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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002062
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】仕切部材、ブランク、及び収納箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/492 20060101AFI20231228BHJP
   B65D 5/49 20060101ALI20231228BHJP
   B65D 5/493 20060101ALI20231228BHJP
   B65D 5/494 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65D5/492
B65D5/49 110
B65D5/493 110
B65D5/494
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101030
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】506100990
【氏名又は名称】日本トーカンパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】今井 恵一
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB12
3E060BB01
3E060BB05
3E060CC12
3E060CC14
3E060CC17
3E060CC33
3E060CC34
3E060DA23
(57)【要約】
【課題】外部から衝撃が加わった場合における収納物の移動を規制できる仕切部材、仕切部材をなすブランク、及び仕切部材を備えた収納箱を提供する。
【解決手段】仕切部材20は、箱本体10の内側に配置され、箱本体10の空間を仕切る仕切部材であって、箱本体10の底面11aが延出する方向であり、且つ互いに交差する第1方向及び第2方向のうち、第1方向において間隔を空けて並べられた一対の内壁40と、一対の内壁40の間において第1方向に延出する延出壁50と、第1方向において延出壁50に部分的に配置され、第2方向における延出壁50の端から突出するとともに収納物を係止する第1係止部60と、第2方向における延出壁50の倒れを規制する倒れ規制部80と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱本体の内側に配置され、前記箱本体内の空間を仕切る仕切部材であって、
前記箱本体の底面が延出する方向であり、且つ互いに交差する第1方向及び第2方向のうち、前記第1方向において間隔を空けて並べられた一対の内壁と、
前記一対の内壁の間において前記第1方向に延出する延出壁と、
前記第1方向において前記延出壁に部分的に配置され、前記第2方向における前記延出壁の端から突出するとともに収納物を係止する第1係止部と、
前記第2方向における前記延出壁の倒れを規制する倒れ規制部と、を備える、仕切部材。
【請求項2】
前記第2方向に沿って間隔を空けて並べられた複数の前記延出壁を備える、請求項1に記載の仕切部材。
【請求項3】
前記第1方向と平行な前記延出壁の中心線に対して左右対称の形状である一対の前記第1係止部を備える、請求項1に記載の仕切部材。
【請求項4】
前記延出壁は、
前記第2方向において間隔を空けて並べられた一対の延出側部と、
一方の前記延出側部から他方の前記延出側部に向かって突出する第1突出片と、を有している、請求項1に記載の仕切部材。
【請求項5】
前記第2方向において一方の前記内壁に部分的に配置され、他方の前記内壁に向かって突出するともに収納物を係止する第2係止部を更に備える、請求項1に記載の仕切部材。
【請求項6】
前記内壁は、
前記底面と直交する第3方向において前記底面から離れた位置に配置された内壁上部を有し、
前記延出壁は、
前記第3方向において前記底面から離れた位置に配置された延出上部と、
前記第1方向における前記延出上部の端から前記内壁上部に向かって突出し、前記内壁上部の上に載せられて前記内壁上部と重なり、且つ前記内壁上部に接する第2突出片と、を有する、請求項1に記載の仕切部材。
【請求項7】
前記延出壁は、前記第1方向に延出する延出側部を有し、
前記倒れ規制部は、
前記第1方向における前記延出側部の端から突出する凸部と、
前記内壁に設けられ、前記凸部が嵌合可能な凹部と、を有する、請求項1に記載の仕切部材。
【請求項8】
折り曲げ線を備え、前記折り曲げ線に沿って折り曲げることにより、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の仕切部材をなす、ブランク。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の仕切部材と、
前記仕切部材が配置された箱本体と、を備える収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切部材、ブランク、及び収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
紙製の収納箱は、多岐の用途に用いられ、例えば物品の運送用に用いられる。収納箱内の収納物は、製造メーカから出荷されて店舗等に配送され、最終的に店舗等からユーザに届けられる。このような収納箱において、1つの収納箱内に複数の収納物を収納する場合がある。
【0003】
上述したような収納箱として、例えば、特許文献1に記載のように、箱本体と、当該箱本体の内側に配置された仕切部材と、を備えた収納箱が知られている。複数の収納物は、仕切部材によって仕切られた複数の収納空間にそれぞれ収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-094772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、製造メーカから出荷されて最終的にユーザが収納箱を開封するまでの間、収納物は、収納箱内において適正な位置で保持され続けることが求められている。
【0006】
しかしながら、運送中に外部から衝撃が加わった場合、収納箱内において収納物が動いてしまい、適正な位置又は状態で保持されない場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、外部から衝撃が加わった場合における収納物の移動を規制できる仕切部材、仕切部材をなすブランク、及び仕切部材を備えた収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の仕切部材は、箱本体の内側に配置され、箱本体内の空間を仕切る仕切部材であって、箱本体の底面が延出する方向であり、且つ互いに交差する第1方向及び第2方向のうち、第1方向において間隔を空けて並べられた一対の内壁と、一対の内壁の間において第1方向に延出する延出壁と、第1方向において延出壁に部分的に配置され、第2方向における延出壁の端から突出するとともに収納物を係止する第1係止部と、第2方向における延出壁の倒れを規制する倒れ規制部と、を備える。
【0009】
本発明の仕切部材によれば、第1係止部が収納物を係止するので、収納箱に対して外部から衝撃が加わった場合において、箱本体内における収納物の移動が規制される。加えて、倒れ規制部が延出壁の倒れを規制するので、収納箱に対して外部から衝撃が加わった場合において、収納物に対して第1係止部が適切に係止される。すなわち、収納箱に対して外部から衝撃が加わると、収納物から延出壁に対し、第1係止部を介して延出壁を押し倒す力が付与されることとなる。このとき、延出壁が倒れてしまうと、延出壁に配置された第1係止部が収納物から離れてしまい、収納物は適切に係止されない。この点、本発明の仕切部材によれば、倒れ規制部によって延出壁の倒れが規制されるので、上述したような衝撃が加わった場合においても、収納物が第1係止部によって適切に係止され続けることになる。このように、本発明の仕切部材は、収納箱に対して外部から衝撃が加わった場合における収納物の移動を規制できる。
【0010】
また、本発明の仕切部材は、第2方向に沿って間隔を空けて並べられた複数の延出壁を備えてもよい。この場合、収納空間の数は延出壁の数に応じて増えていく。本発明の仕切部材は、このように収納空間の数が増えた場合においても、それぞれの収納物を適切に係止できる。
【0011】
また、本発明の仕切部材は、第2方向と平行な延出壁の中心線に対して左右対称の形状である一対の第1係止部を備えてもよい。この場合、第2方向の幅について、一対の第1係止部が配置された位置の幅は、延出壁の幅に比べて広い。これにより、第1係止部の剛性が高まり、外部から衝撃が加わった場合において、第2方向における第1係止部の変形が軽減される。その結果、収納物が第1係止部によって一層適切に係止される。
【0012】
また、本発明の仕切部材では、延出壁は、第2方向において間隔を空けて並べられた一対の延出側部と、一方の延出側部から他方の延出側部に向かって突出する第1突出片と、を有してもよい。これにより、収納物から延出壁に力が加わった場合において、第1突出片によって一対の延出側部の間隔が確保される。すなわち、第2方向における延出壁の変形(潰れ)が第1突出片によって軽減されるので、第1係止部は収納物を適切に係止できる。
【0013】
また、本発明の仕切部材は、第2方向において一方の内壁に部分的に配置され、他方の内壁に向かって突出するともに収納物を係止する第2係止部を更に備えてもよい。これにより、収納物は、第1方向及び第2方向の両方から係止されるので、仕切部材は、収納箱に対して外部から衝撃が加わった場合における収納物の移動を一層規制できる。
【0014】
また、本発明の仕切部材では、内壁は、底面と直交する第3方向において底面から離れた位置に配置された内壁上部を有し、延出壁は、第3方向において底面から離れた位置に配置された延出上部と、第1方向における延出上部の端から内壁上部に向かって突出し、内壁上部の上に載せられて内壁上部と重なり、且つ内壁上部に接する第2突出片と、を有してもよい。外部からの衝撃よって内壁に対して第1方向の外側に向かう力が作用する場合がある。その力は、底面側の端を回動軸として内壁を第1方向の外側に向かって回動させようとする。本発明の仕切部材では、第2突出片が、内壁上部の上に載せられて内壁上部と重なり、且つ内壁上部に接しているので、上述した内壁に作用する力に抗することができ、その力による内壁の回動を規制できる。これにより、内壁と収納物との隙間の広がりが軽減されるので、収納箱に対して外部から衝撃が加わった場合における収納物の移動を一層規制できる。
【0015】
また、本発明の仕切部材では、延出壁は、第1方向に延出する延出側部を有し、倒れ規制部は、第1方向における延出側部の端から突出する凸部と、内壁に設けられ、凸部が嵌合可能な凹部と、を有してもよい。この場合、凸部が凹部に嵌合するので、延出壁の倒れをより一層効果的に規制できる。
【0016】
本発明のブランクは、折り曲げ線を備え、折り曲げ線に沿って折り曲げることにより仕切部材をなす。これにより、複数の部品を組み合わせて仕切部材を構成する場合に比べて、安価で且つ部品点数が少ない仕切部材が提供される。
【0017】
本発明の収納箱によれば、上記の仕切部材と、当該仕切部材が配置された箱本体と、を備える。上記の仕切部材を備えることにより、外部から衝撃が加わった場合における収納物の移動を規制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外部から衝撃が加わった場合における収納物の移動を規制できる仕切部材、ブランク、及び収納箱が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る収納箱の斜視図である。
図2図1の収納箱を構成する箱本体の斜視図である。
図3図1の収納箱を構成する仕切部材の斜視図である。
図4図3の仕切部材を構成する内壁の斜視図である。
図5図4の内壁の端部を示す斜視図である。
図6図4の内壁をA-A線に沿って切断した断面図である。
図7図3の仕切部材を構成する延出壁の左側面図である。
図8図7の延出壁の底面図である。
図9図7の延出壁の平面図である。
図10図3の仕切部材の平面図である。
図11図10のCで示す領域の拡大斜視図である。
図12図3の仕切部材を構成するブランクの平面図である。
図13図1の収納箱に円筒形状の収納物を収納した状態を示す平面図である。
図14図1の収納箱に六面体形状の収納物を収納した状態を示す平面図である。
図15】前後方向の外側に向かう力が内壁に作用した状態を示す図である。
図16】従来の収納箱に円筒形状の収納物を収納した状態を示す平面図である。
図17】従来の収納箱に六面体形状の収納物を収納した状態を示す平面図である。
図18】第1係止部の変形例の断面を示す図である。
図19】第1係止部の別の変形例の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一つの実施形態(以下、本実施形態)について、添付の図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0021】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0022】
また、本明細書において、「同じ」、「同一」、「合同」、「等しい」、「均等」、「等分」、及び「等間隔」のそれぞれの意味には、本発明が属する技術分野で一般的に許容される誤差の範囲が含まれ得る。
【0023】
また、本明細書において、「垂直」、「直交」、及び「平行」のそれぞれの意味には、本発明が属する分野で一般的に許容される誤差の範囲を含み、厳密な垂直、直交及び平行に対して数度(例えば2~3°)未満の範囲内でずれている場合も含まれ得る。
【0024】
[収納箱の構成]
収納箱1は、図1に示すように、箱本体10と、仕切部材20と、図示しない蓋と、を備えている。収納箱1は、箱本体10に蓋を取り付けた状態では六面体形状をなしている。
【0025】
なお、以下では、収納箱1の各部の位置等を説明するにあたり、3つの方向を規定し、それぞれ、収納箱1の前後方向(第1方向)、左右方向(第2方向)、上下方向(第3方向)と呼ぶこととする。前後方向及び左右方向は互いに直交する。上下方向は、前後方向及び左右方向のそれぞれと直交する。収納箱1は、平面視で矩形(長方形)の外形形状をなしており、その長手方向を左右方向とし、その短手方向を前後方向とする。
【0026】
[箱本体の構成]
箱本体10は、図2に示すように、箱底部11と、箱前部12と、箱後部13と、箱右部14と、箱左部15と、を有している。
【0027】
なお、以下では、特に断る場合を除き、箱底部11が箱本体10の下端に位置するように箱本体10の水平面に置いたケースを想定して、箱本体10各部の位置等を説明することとする。
【0028】
箱底部11は、板状であって、平面視で矩形形状をなしている。箱底部11は、箱底部11の上端面としての底面11aを有している。底面11aは、前後方向及び左右方向に延出(展開)している。言い換えると、前後方向及び左右方向は、底面11aが延出する方向である。箱前部12は、底面11aの前端から上方に立ち上がっている。箱後部13は、底面11aの後端から上方に立ち上がっている。箱右部14は、底面11aの右端から上方に立ち上がっている。箱左部15は、底面11aの左端から上方に立ち上がっている。
【0029】
箱前部12、箱後部13、箱右部14、及び箱左部15は、それぞれ、板状の部分であって、逆さU字状に屈曲して二重壁を構成している。また、箱前部12、箱後部13、箱右部14、及び箱左部15のうち、隣り合う部分同士が連続して形成されている。すなわち、箱前部12、箱後部13、箱右部14、及び箱左部15は、底面11aの周端から立ち上がることにより、底面11aの外縁全周に亘って設けられた側部(側壁)として一体化している。
【0030】
箱本体10の内側には、上記の側壁(すなわち、箱前部12、箱後部13、箱右部14、及び箱左部15)と箱底部11とに囲まれた内部空間が形成され、その上端は開口となっている。この開口は、図示しない蓋が箱本体10に取り付けられることで閉じられる。また、箱本体10は、図2に示すように、その内部空間(以下、箱本体10内の空間とも言う。)に4つの隅部16を有している。4つの隅部16は、箱前部12、箱後部13、箱右部14、及び箱左部15のうち、互いに隣り合う2つの部分の連結部分に相当する。
【0031】
[仕切部材の構成]
仕切部材20は、箱本体10内に配置されている。仕切部材20は、図3に示すように、箱本体10内の空間を仕切ることにより、箱本体10内に複数の収納空間を形成する。本実施形態では、左側から右側に向かって順に、3つの収納空間S1,S2,S3が形成される。
【0032】
なお、以下の説明において、「内側」とは、箱本体10内の空間における内側、詳しくは箱本体10内の空間の中央に近づく側を意味する。また、「外側」とは、箱本体10内の空間における外側、詳しくは箱本体10内の空間の中央からより離れる側を意味する。
【0033】
仕切部材20は、図3に示すように、底壁30と、一対の内壁40と、2個の延出壁50と、12個の第1係止部60と、6個の第2係止部70と、4個の倒れ規制部80と、を有している。以下、仕切部材20の各部分について詳しく説明する。
【0034】
(底壁)
底壁30は、図3に示すように、左右方向において、底壁中央部31と、底壁右部32と、底壁左部33と、を有している。底壁中央部31は、箱本体10内に仕切部材20が配置された際、底面11aの中央部分の直上、つまり底面11aの中央部分と重なる位置にある。底壁右部32は、底壁中央部31の右側に位置する。詳しくは、底壁右部32は、底壁中央部31の右側に位置する延出壁50を挟んで底壁中央部31の反対側に位置している。底壁左部33は、底壁中央部31の左側に位置する。詳しくは、底壁左部33は、底壁中央部31の左側に位置する延出壁50を挟んで底壁中央部31の反対側に位置している。底壁中央部31、底壁右部32、及び底壁左部33は、一対の延出壁50を介して左右方向に連続している。底壁中央部31、底壁右部32、及び底壁左部33は、それぞれ、板状であって、平面視で矩形形状をなしている。
【0035】
(内壁)
一対の内壁40は、前後方向において間隔を空けて並べられている。前側の内壁40は、底壁30の前端から上方に立ち上がっている。後側の内壁40は、底壁30の後端から上方に立ち上がっている。
【0036】
前側の内壁40について図4~6を参照しながら説明する。
【0037】
なお、後側の内壁40の説明については省略するが、一対の内壁40は、左右方向と平行な方向に延びる箱本体10の中心線を基準に対称形状となっている。したがって、後側の内壁40は、当該中心線を基準に、前側の内壁40と前後に対称な形状(詳しくは、線対称の形状)となっている。
【0038】
内壁40は、図4に示すように、内壁内側部41と、内壁上部42と、内壁外側部43と、一対の内壁端部44と、内壁突出片45と、を有している。これらの部分は、一体化しており、詳しくは、同じシート(詳しくは、後述のブランク21の一部分)によって構成されている。
【0039】
内壁内側部41は、内壁40における内側の側部を構成している。内壁内側部41は、底壁30の前端から上方に立ち上がっている。内壁内側部41は、板状であって、側面視で左右方向を長手方向とする矩形の形状をなしている。内壁内側部41には、図4に示すように、3個の上開口部41a、下開口部41b、2個の内開口部41c、及び2個の外開口部41dが設けられている。
【0040】
3個の上開口部41aは、左右方向における内壁内側部41の左部分、中央部分、及び右部分のそれぞれにおいて、内壁内側部41の上端近傍(詳しくは、上端の直下位置)にそれぞれ設けられている。上開口部41aは、後述する第2係止部70が切り出されたことによって形成された開口部である。上開口部41aは、図4に示すように、内壁内側部41の上端側の端を基端として下方に向かって開口幅が狭くなるように設けられている。つまり、上開口部41aは、略逆さ台形型開口形状をなしている。
【0041】
下開口部41bは、左右方向における内壁内側部41の中央部分において、内壁内側部41の下端近傍(詳しくは、下端の直上位置)に設けられている。下開口部41bは、後述する内壁突出片45が切り出されたことによって形成された開口部である。下開口部41bは、図4に示すように、内壁内側部41の下端側の端を基端として上方に向かって同程度の開口幅を維持するように設けられている。下開口部41bは、左右方向を長手方向とする略矩形の形状をなしている。下開口部41bは、図4に示すように、内壁内側部41の中央部分に位置する上開口部41aの真下に位置している。
【0042】
2個の内開口部41cは、図4に示すように、左右方向における内壁内側部41の左部分及び右部分のそれぞれにおいて、内壁内側部41の下端近傍(詳しくは、下端の直上位置)にそれぞれ設けられている。内開口部41cは、後述する第2突出片54が切り出されたことによって形成された開口部である。内開口部41cは、内壁内側部41の下端側の端を基端として上方に向かって開口幅が狭くなるように設けられている。内開口部41cは、略台形型の開口形状をなしている。
【0043】
2個の外開口部41dは、図4に示すように、左右方向における内開口部41cの外側において、内壁内側部41の下端近傍(詳しくは、下端の直上位置)にそれぞれ設けられている。外開口部41dは、後述する凸部81が切り出されたことによって形成された開口部である。外開口部41dは、内壁内側部41の下端側の端を基端として上方に向かって開口幅が狭くなるように設けられている。外開口部41dは、略台形型の開口形状をなしている。詳しくは、外開口部41dを形成する左右方向における端(縁)のうち、内側の端は、上方に向かって垂直に延び、外側の端は、上方に向かうに連れて内側に向かうように延びている。
【0044】
内壁上部42は、内壁40における上部を構成している。内壁上部42は、上下方向において底面11aから離れた位置に配置されている。内壁上部42は、内壁内側部41の上端から前後方向の外側(図4における前側)に向かって延出している。内壁上部42は、板状であって、平面視で左右方向を長手方向とする矩形の形状をなしている。
【0045】
内壁外側部43は、図5に示すように、内壁40における外側の側部を構成している。内壁外側部43は、前後方向における内壁上部42の外側の端(図5における前端)から下方に向かって垂れ下がっている。内壁外側部43は、板状であって、平面視で、左右方向を長手方向とする略矩形の形状をなしている。左右方向における内壁外側部43の両端部は、それぞれの端に向かうにつれて上下方向における幅が狭くなっている。詳しくは、内壁外側部43の下端部分43aが、端に向かうについて上側に向かう形状となっている。下端部分43aは、一例としては、角部が切り取られた面取り部分に相当する。内壁外側部43は、内壁内側部41とともに、前後方向において間隔を空けて並べられた一対の側部を構成する。すなわち、内壁40は、内壁内側部41及び内壁外側部43による二重壁構造となっている。
【0046】
一対の内壁端部44は、左右方向における内壁40の両端部をそれぞれ構成している。一対の内壁端部44は、左右方向における内壁内側部41の両端を基端として前後方向における外側(図5における前側)に向かってそれぞれ延びている。内壁端部44の先端部分は、内壁外側部43の内面に接している。ただし、これに限定されず、内壁端部44の先端部分は、通常時には内壁外側部43から僅かに離間し、外部から衝撃が加わった場合に内壁外側部43の内面に接する位置にあってもよい。
【0047】
内壁突出片45は、図6に示すように、内壁内側部41から内壁外側部43に向かって(すなわち、外側に)突出している。本実施形態において、内壁突出片45は、左右方向における内壁内側部41の中央部分において、内壁内側部41の下端から内壁外側部43に向かって突出している。詳しくは、内壁突出片45は、図6に示すように、底壁中央部31から連続して形成されており、下開口部41bの下端から内壁外側部43の内面に向かって突出している。内壁突出片45の先端部分は、内壁外側部43の内面に接している。ただし、これに限定されず、上記の先端部分は、通常時には内壁外側部43から僅かに離間しており、外部から衝撃が加わった場合に内壁外側部43の内面に接する位置にあってもよい。
【0048】
上記のように構成された内壁40において、内壁内側部41、内壁上部42、内壁外側部43、及び内壁端部44は、図6に示すように、空間(以下、内壁40の内部空間)を取り囲んで配置されている。
【0049】
(延出壁)
2個の延出壁50は、左右方向に沿って間隔を空けて並べられている(図3参照)。右側の延出壁50は、左右方向において底壁中央部31及び底壁右部32との境界に相当する箇所に位置している。左側の延出壁50は、左右方向において底壁中央部31及び底壁左部33との境界に位置する箇所に位置している。延出壁50は、図3に示すように、一対の内壁40の間において前後方向に沿って延出している。
【0050】
左側の延出壁50の詳細について、図7~10を参照しながら説明する。
【0051】
なお、右側の延出壁50の説明については省略するが、2個の延出壁50は、前後方向と平行な方向に延びる箱本体10の中心線を基準に対称形状となっている。したがって、右側の延出壁50は、上述した中心線を基準に、左側の延出壁50と対称(詳しくは、線対称)な形状となっている。
【0052】
延出壁50は、図7~9に示すように、一対の延出側部51と、延出上部52と、2組の第1突出片53と、一対の第2突出片54と、を有している。一対の延出側部51は、図8に示すように、左右方向において間隔を空けて並べられている。延出側部51は、前後方向に延出しており、前後方向を長手方向とする略矩形の形状をなしている。延出側部51は、図7に示すように、3個の第1開口部51aと、2個の第2開口部51bと、を有している。
【0053】
3個の第1開口部51aは、前後方向における延出側部51の前部分、中央部分、及び後部分の上端側に設けられている。第1開口部51aは、後述する第1係止部60が切り出されたことによって形成された開口部である。第1開口部51aは、延出側部51の上端近傍を基端として下方に向かって開口幅が狭くなる形状を有している。一方の延出側部51に設けられた3個の第1開口部51aと、他方の延出側部51に設けられた3個の第1開口部51aとは、前後方向と平行な延出壁50の中心線に対して左右対称の形状となっている。
【0054】
第2開口部51bは、後述する第1突出片53が切り出されたことにより形成された開口である。第2開口部51bについては、第1突出片53とともに後の項で説明する。
【0055】
本実施形態において、延出上部52は、図7に示すように、上下方向に凹凸が形成されるように湾曲することによって波形状をなしている。詳しくは、延出上部52は、4個の延出凸部52aと、3個の延出凹部52bと、を有している。延出凸部52aは、延出上部52における上方に向かって弓形に突出する部分である。延出凹部52bは、延出上部52における下方に向かって弓形に窪んだ部分である。延出上部52は、延出凸部52a及び延出凹部52bが前後方向に交互に配置され、且つ連続することによって構成されている。
【0056】
延出上部52は、図7に示すように、延出壁50における上部を構成している。延出上部52は、上下方向において底面11aから離れた位置に配置されている。左右方向における延出上部52の一端は、一方の延出側部51の上端に接続されている。左右方向における延出上部52の他端は、他方の延出側部51の上端に接続されている。延出上部52は、板状をなし、前後方向に延出している。
【0057】
第1突出片53は、図8に示すように、一方の延出側部51から他方の延出側部51に向かって突出している。一方の延出側部51には、1組(2個)の第1突出片53が前後方向に並べられている。他方の延出側部51には、他の1組(2個)の第1突出片53が前後方向に並べられている。1組の第1突出片53と、他方の1組の第1突出片53とは、上下方向から底面視した場合に一部が重なるように、前後方向にずれて配置されている。1組の第1突出片53と、他の1組の第1突出片53との重なり領域は、重なり領域Bとする。
【0058】
一方の延出側部51の第1突出片53(図8における左側の第1突出片53)は、一方の延出側部51の第2開口部51bの下端から他方の延出側部51に向かって突出しており、底壁左部33と連続している。つまり、左側の第1突出片53は、左右方向における底壁左部33の端から突出している。
【0059】
他方の延出側部51の第1突出片53(図8における右側の第1突出片53)は、他方の延出側部51の第2開口部51bの下端から一方の延出側部51に向かって突出しており、底壁中央部31と連続している。つまり、右側の第1突出片53は、左右方向における底壁中央部31の端から突出している。それぞれの第1突出片53は、箱本体10の底から見たときに略矩形状の突出片である。
【0060】
一方の延出側部51の第1突出片53の先端部分のうち、重なり領域Bから前後方向にずれた部分は、他方の延出側部51の内面に接している。ただし、これに限定されず、上記の部分は、通常時には他方の延出側部51から僅かに離間し、外部から衝撃が加わった場合に他方の延出側部51の内面に接する位置にあってもよい。
【0061】
同様に、他方の延出側部51の第1突出片53の先端部分のうち、重なり領域Bから前後方向にずれた部分は、一方の延出側部51の内面に接している。ただし、これに限定されず、上記の部分は、通常時には一方の延出側部51から僅かに離間し、外部から衝撃が加わった場合に一方の延出側部51の内面に接する位置にあってもよい。
【0062】
第2開口部51bは、第1突出片53が切り出されたことにより形成された開口である。2個の第2開口部51bは、図7に示すように、前後方向における延出側部51の中央部分の下端側において、前後方向に並んで設けられている。2個の第2開口部51bは、前後方向において、隣り合う第1開口部51a同士の間にそれぞれ位置している。第2開口部51bは、延出側部51の下端を基端として上方に向かって形成された略矩形状の開口である。
【0063】
一方の延出側部51に設けられた1組(2個)の第2開口部51bは、他方の延出側部51に設けられた1組(2個)の第2開口部51bに対して、前後方向にずらして配置されている。一方の1組の第2開口部51bは、左右方向から側面視した場合、他方の1組の第2開口部51bに対して一部重なっている。
【0064】
一対の第2突出片54は、図9に示すように、前後方向における延出上部52の端から内壁上部42に向かってそれぞれ突出しており、内壁上部42の上に載せられている。すなわち、第2突出片54は、内壁上部42と重なり、且つ内壁上部42に接している。第2突出片54は、前後方向における延出上部52の端から、延出上部52と同程度の幅を維持しながら前後方向における外側に向かって突出している。第2突出片54の突出量は、前後方向における内壁上部42の幅と同等でもよいし、短くてもよい。
【0065】
(第1係止部)
第1係止部60は、図10に示すように、収納空間S1,S2,S3内にそれぞれ収納された収納物を左右方向において係止する。第1係止部60は、前後方向において、それぞれの延出壁50に部分的に配置されている。第1係止部60は、左右方向における延出壁50の端から突出している。詳しくは、第1係止部60は、左右方向における延出凹部52bの端を基端として、各収納空間S1,S2,S3に向かって突出している。第1係止部60は、板状の突出片であって、延出凹部52bと連続して形成されている。
【0066】
本実施形態では、それぞれの延出壁50に第1係止部60が6個ずつ設けられ、仕切部材20には、計12個の第1係止部60が設けられている。詳しくは、それぞれの延出壁50には、左右方向における延出壁50の両端に配置された一対の第1係止部60を1組として、前後方向に3組の第1係止部60が配置されている。
【0067】
前後方向における3組の第1係止部60の配置位置に関する構成について説明する。まず、前後方向における第1係止部60の組数(個数)に応じて、一対の内壁40の間の空間(すなわち、箱本体10の内部)を前後方向に複数の分割空間に等分割する。本実施形態では、前後方向において3組の第1係止部60が存在するので、これと対応するように、一対の内壁40の間の空間を、前後方向において3つの分割空間に等分割する。
【0068】
図10に示すように、それぞれの分割空間において、前後方向における中心線CL1をそれぞれ想定する。中心線CL1は、左右方向と平行な線であって、それぞれの分割空間を前後方向に2等分する線である。各組の第1係止部60は、前後方向における第1係止部60の中央部がそれぞれの中心線CL1上に位置するように、延出壁50に対してそれぞれ配置される。
【0069】
第1係止部60は、図10に示すように、先端に向かうに連れて、前後方向における幅が狭くなる形状を有している。具体的に説明すると、本実施形態では、第1係止部60の外縁は、平面視で略円弧をなしている。第1係止部60の先端部分は、各収納空間S1,S2,S3の左右方向における端より内側に位置し、各収納空間S1,S2,S3に収納される収納物に接することとなる。
【0070】
左右方向における延出壁50の両端に配置された一対の第1係止部60は、前後方向と平行な延出壁50の中心線CL2に対して左右対称の形状となっている。一方の第1係止部60の先端から他方の第1係止部60の先端までの左右方向における幅寸法は、延出凸部52aの左右方向における幅寸法よりも広くなっている。
【0071】
第1係止部60の位置に関する構成として、以下では、2個の延出壁50の間における第1係止部60の位置関係について説明する。
【0072】
図10に示すように、左側の延出壁50における中央の収納空間S2側に配置された第1係止部60と、右側の延出壁50における中央の収納空間S2側に配置された第1係止部60とは、中央の収納空間S2を挟んで左右方向に互いに対向している。これらの左右方向に互いに対向する第1係止部60を「1群の第1係止部60」と呼ぶ。
【0073】
1群の第1係止部60は、中央の収納空間S2を左右方向に2等分する中心線CL3を基準に、左右対称の形状となっている。1群の第1係止部60は、収納空間S2に収納される収納物を、左右方向の両側において係止する。1群の第1係止部60の左右方向における間隔は、収納物の左右方向における幅寸法に応じて決定される。
【0074】
(第2係止部)
第2係止部70は、収納空間S1,S2,S3内に収納された収納物を前後方向において係止する。第2係止部70は、図10に示すように、左右方向において内壁40に部分的に配置されている。本実施形態では、3個の第2係止部70が、左右方向において一方の内壁40に部分的に配置されている。同様に、3個の第2係止部70が、左右方向において他方の内壁40に部分的に配置されている。一方の内壁40に配置された3個の第2係止部70と、他方の内壁40に配置された3個の第2係止部70とは、前後方向において互いに対向している。言い換えると、一対の内壁40には、前後方向に互いに対向する一対の第2係止部70を1組として、左右方向に間隔を空けて3組の第2係止部70が配置されている。
【0075】
左右方向における3組の第2係止部70の配置位置に関する構成について説明する。本実施形態では、箱本体10内には、左右方向に等分割された各収納空間S1,S2,S3が形成されている。図10に示すように、それぞれの収納空間S1,S2,S3において、左右方向における中心線CL3をそれぞれ想定する。中心線CL3とは、前後方向と平行な線であって、それぞれの収納空間S1,S2,S3を左右方向に2等分する線である。各組の第2係止部70は、第2係止部70の左右方向における中央部がそれぞれの中心線CL3上に位置するように、内壁40に対してそれぞれ配置される。
【0076】
上記のように配置された第2係止部70は、一方の内壁40から他方の内壁40に向かって突出している。詳しくは、第2係止部70は、前後方向における内壁上部42の内側の一端から各収納空間S1,S2,S3に向かって突出している。第2係止部70は、板状の突出片であって、内壁上部42と連続して形成されている。
【0077】
第2係止部70は、先端に向かうに連れて、左右方向における幅が狭くなる形状を有している。具体的に説明すると、本実施形態では、第2係止部70の外形形状は、平面視で略台形である。第2係止部70の先端部分は、各収納空間S1,S2,S3の前後方向における端より内側に位置し、各収納空間S1,S2,S3に収納された収納物に接することとなる。
【0078】
前後方向に互いに対向する一対の第2係止部70は、各収納空間S1,S2,S3に収納された各収納物に対して、前後方向の両側において各収納物を係止する。一対の第2係止部70の先端部分の前後方向における間隔は、各収納空間S1,S2,S3に収納される収納物の前後方向における幅寸法に応じて決定される。
【0079】
(倒れ規制部)
倒れ規制部80は、左右方向における延出壁50の倒れを規制する。ここで、倒れとは、延出壁50の側方に位置する収納物からの力(押圧力)によって延出壁50が押されて横倒れすることを意味する。本実施形態では、仕切部材20において、図10に示すように、4つの倒れ規制部80が設けられており、一対の内壁40及び一対の延出壁50における4つの接続部分に、倒れ規制部80がそれぞれ配置されている。
【0080】
図11は、4つの接続部分のうち、一つの接続部分(詳しくは、左前側の接続部分)を示す拡大斜視図である。倒れ規制部80は、図11に示すように、一対の凸部81と、凹部82と、を有している。なお、他の3つの接続部分に配置された倒れ規制部80も同様の構成となっているため、説明を省略する。
【0081】
一対の凸部81は、図11に示すように、前後方向における延出壁50の端からそれぞれ突出しており、左右方向において互いに対向している。詳しくは、それぞれの凸部81は、前後方向における延出側部51の端のうち、下部分から内壁40側に突出している。また、凸部81は、先端に向かうに連れて上下方向における幅が狭くなっている。詳しくは、凸部81の下端部分81aが、先端に向かうに連れて上方に向かう形状となっている。下端部分81aは、一例としては、角部が切り取られた面取り部分に相当する。
【0082】
凹部82は、図11に示すように内壁40に設けられ、凸部81が嵌合可能となっている。具体的に説明すると、凹部82は、左右方向における内壁内側部41の中央部分において、下端側に設けられている。凹部82は、内壁内側部41の下端から上方に向かって形成された開口であり、詳しくは、図11に示すように下端が解放された切欠き形状となっている。
【0083】
凹部82をなす開口は、側面視で矩形の形状をなし、左右方向に互いに対向する左端及び右端を有している。凹部82の左端は、左側の凸部81の外側面と接している。凹部82の右端は、右側の凸部81の外側面と接している。左右方向における凹部82の開口幅は、一対の凸部81の間隔に応じて決定される。
【0084】
[仕切部材の組立方法]
上記の仕切部材20は、図12に示される一枚のシート体であるブランク21から構成される。ブランク21は、各箇所に折り曲げ線を備えている。ブランク21は、それぞれの折り曲げ線に沿って折り曲げることにより、仕切部材20を構成する。
【0085】
ブランク21の材質は、段ボール及び板紙のような各種の紙材料から選択可能であり、紙質はいかなるものであってもよい。ブランク21は、種々のコーティングが行われたもの、又は、紙以外の樹脂等で形成されたものであってもよい。ブランク21の厚さは、例えば、0.35~5.0mm(好ましくは、0.35~2.0mm)程度とする。
【0086】
組立て前のブランク21(すなわち展開状態のブランク21)は、平面状に延びている。以下では、ブランク21の組立てを説明するにあたり、互いに直交する2つの方向を規定し、それぞれ、ブランク21の前後方向及び左右方向と呼ぶこととする。ブランク21の前後方向及び左右方向は、仕切部材20の前後方向及び左右方向と対応している。
【0087】
図12において、折り曲げ線は、太線の一点鎖線、又は太線の破線で示されている。太線の一点鎖線は、谷折り線VL1,VL2,VL3を示しており、太線の破線は、山折り線ML1,ML2,ML3を示している。各折り曲げ線は、例えば、折り曲げ易いようにミシン目を有してもよい。
【0088】
また、図12において、細線の実線は、事前に断裁機等によって断裁されたラインを示している。具体的に説明すると、第2係止部70と対応する上開口部41a、内壁突出片45と対応する下開口部41b、第2突出片54と対応する内開口部41c、及び、一方の凸部81と対応する外開口部41dのそれぞれの外形形状に沿って、切込みが形成されている。同様に、第1係止部60と対応する第1開口部51a、及び、第1突出片53と対応する第2開口部51bの外形形状に沿って、切込みが形成されている。
【0089】
以下、ブランク21から仕切部材20を組み立てる手順について説明する。
【0090】
まず、ブランク21は、一対の谷折り線VL1に沿って谷折り方向に折り曲げられる。ここで、一対の谷折り線VL1は、底壁中央部31の左端及び右端に相当する位置において前後方向にそれぞれ延びている。谷折り線VL1は、第1突出片53に相当する部分を除く、不連続の直線となっている。そのため、ブランク21が谷折り線VL1に沿って折り曲げられる際に、第1突出片53に相当する部分は、折り曲げられずに、左右方向における底壁中央部31の両端から外側にそれぞれ突出する。その結果、第1突出片53が形成される。
【0091】
続いて、ブランク21は、一対の山折り線ML1に沿って山折り方向に折り曲げられる。ここで、一対の山折り線ML1は、延出上部52の左端及び右端に相当する位置において前後方向にそれぞれ延びている。一対の山折り線ML1は、第1係止部60に相当する部分を除く、不連続の波線となっている。一対の山折り線ML1は、第1係止部60に相当する部分を基準として、前後方向に進むにつれて互いの間隔が狭くなっている。つまり、一対の山折り線ML1は、第1係止部60に相当する部分を基準として、前方向に向かって逆Vの字となっている。山折り線ML1は、第1係止部60を基準として、後方に向かってVの字となっている。
【0092】
そして、ブランク21が一対の山折り線ML1に沿って折り曲げられることにより、第1係止部60に相当する部分の前後には延出凸部52aが形成される。すなわち、ブランク21が一対の山折り線ML1に沿って折り曲げられることによって、左右方向の外側から内側に向かう力が、延出凸部52aに相当する部分の側方から当該部分に作用する。これらの力によって延出凸部52aに相当する部分は、左右方向に圧縮される。その結果、延出凸部52aに相当する部分は、上側に隆起して、凸形状の延出凸部52aとなる。また、第1係止部60に相当する部分と隣り合う部分には、延出凹部52bが形成される。
【0093】
また、上述したように、第1係止部60と対応する第1開口部51aの外形形状に沿って切込みが形成されている。これにより、ブランク21が山折り線ML1に沿って折り曲げられる際、第1係止部60に相当する部分は、折り曲げられずに、左右方向における延出上部52の両端から外側にそれぞれ突出する。その結果、第1係止部60が形成される。
【0094】
続いて、ブランク21は、一対の谷折り線VL2に沿って谷折り方向に折り曲げられる。一対の谷折り線VL2は、底壁右部32の左端、及び底壁左部33の右端に相当する位置において、前後方向にそれぞれ延びている。谷折り線VL2は、第1突出片53に相当する部分を除く、不連続の直線となっている。そして、ブランク21が谷折り線VL2に沿って折り曲げられる際、第1突出片53に相当する部分は、折り曲げられずに、底壁右部32の左端、及び底壁左部33の右端から内側に向かってそれぞれ突出する。その結果、第1突出片53が形成される。上記の工程によって、底壁30に対して一対の延出壁50がそれぞれ立ち上がる。
【0095】
続いて、ブランク21は、一対の谷折り線VL3に沿って谷折り方向に折り曲げられる。ここで、一対の谷折り線VL3は、底壁中央部31の上端及び下端に相当する位置において左右方向にそれぞれ延びている。谷折り線VL3は、内壁突出片45に相当する部分を除く、不連続の直線となっている。そして、ブランク21が谷折り線VL3に沿って折り曲げられる際、内壁突出片45に相当する部分、凸部81に相当する部分、及び、第2突出片54に相当する部分は、折り曲げられずに、底壁30の上端及び下端から外側に向かって突出する。その結果、内壁突出片45、凸部81、及び第2突出片54が形成される。
【0096】
また、凸部81が形成された際に、凸部81及び凹部82が嵌合する。詳しくは、谷折り線VL3に沿ってブランク21が折り曲げられる際、凹部82が設けられた内壁内側部41が、谷折り線VL3を回動軸として凸部81に向かって回動する。これにより、凹部82は、凸部81に対して谷折り線VL3に近い側から順に接することとなる。凹部82の縁部は、面取り部分に相当する下端部分81aと最初に接することとなり、円滑な嵌合が可能となる。また、内壁内側部41が完全に立ち上がると、内壁上部42が第1突出片53と接することとなる。
【0097】
続いて、ブランク21は、一対の山折り線ML2に沿って山折り方向に折り曲げられる。ここで、一対の山折り線ML2は、内壁上部42の前端及び後端に相当する位置において左右方向にそれぞれ延びている。一対の山折り線ML2のうち、外側の山折り線ML2は、連続した直線となっている。一方で、一対の山折り線ML2のうち、内側の山折り線ML2は、第2係止部70に相当する部分を除く、不連続の直線となっている。
【0098】
また、上述したように、第2係止部70と対応する上開口部41aの外形形状に沿って切込みが形成されている。これにより、第2係止部70に相当する部分は、ブランク21が山折り線ML2に沿って折り曲げられる際に、折り曲げられずに、前後方向における内壁上部42の内側の端から内側に向かって突出する。その結果、第2係止部70が形成される。
【0099】
続いて、ブランク21は、一対の山折り線ML3に沿って山折り方向に折り曲げられる。一対の山折り線ML3は、内壁内側部41の左右方向における両端に相当する位置において前後方向にそれぞれ延びている。山折り線ML3は、連続した直線となっている。
【0100】
以上の手順によって、ブランク21から仕切部材20が組み立てられる。
【0101】
[収納物]
収納物の一例として、図13に示すように、収納箱1の収納空間S1,S2,S3内には、筒形状の収納物W1がそれぞれ収納される。収納物W1の外周面には表示ラベルZが貼付されている。表示ラベルZは、箱本体10の開口側(蓋が配置される側)から視認できるように貼付されている。第1係止部60は、各収納物W1の外周面を左右方向において係止する。詳しくは、第1係止部60の先端部分が、収納物W1の外周面に対して線接触する。第2係止部70は、収納物W1の端面を前後方向において係止する。詳しくは、第2係止部70の先端部分が収納物W1の端面に対して線接触する。第1係止部60及び第2係止部70が収納物W1に対して線接触しているので、面接触している場合に比べて、収納物W1を収納箱1から容易に取り出すことができる。
【0102】
[別の収納物]
収納物の別の一例として、図14に示すように、収納箱1の収納空間S1,S2,S3内には、六面体形状(具体的には、直方体又は立方体形状)の収納物W2がそれぞれ収納される。それぞれの収納空間S1,S2,S3内には、例えば3個の収納物W2が前後方向に隣り合って並べられる。第1係止部60は、収納物W2の左面及び右面を左右方向においてそれぞれ係止する。具体的に説明すると、収納物W2の左面側の第1係止部60の先端部分は、収納物W2の左面における前後方向中央部と線接触する。収納物W2の右面側の第1係止部60は、収納物W2の右面における前後方向中央部と線接触する。
【0103】
前側の第2係止部70は、前側の収納物W2を係止し、後側の第2係止部70は、後側の収納物W2を係止する。具体的に説明すると、前側の第2係止部70の先端部分は、前側の収納物W2の前面における左右方向中央部と線接触する。後側の第2係止部70の先端部分は、後側の収納物W2の後面における左右方向中央部と線接触する。
【0104】
[本実施形態の作用及び効果]
以上までに説明したように、仕切部材20によれば、第1係止部60が収納物W1,W2を係止するので、収納箱1に対して外部から衝撃が加わった場合において、箱本体10内における収納物W1,W2の移動(回転)が規制される。これに加えて、倒れ規制部80が延出壁50の倒れを規制するので、収納箱1に対して外部から衝撃が加わった場合において、収納物W1,W2に対して第1係止部60が適切に係止される。
【0105】
すなわち、収納箱1に対して外部から衝撃が加わると、収納物W1,W2から延出壁50に対し、第1係止部60を介して延出壁50を押し倒す力が付与されることとなる。このとき、延出壁50が倒れてしまうと、延出壁50に配置された第1係止部60が収納物W1,W2から離れてしまい、収納物W1,W2は適切に係止されない。この点、仕切部材20によれば、倒れ規制部80によって延出壁50の倒れが規制される。このため、上述したような衝撃が加わった場合においても、第1係止部60と収納物W1、W2との当接状態を維持することができ、収納物W1,W2が第1係止部60によって適切に係止され続けることになる。このように、仕切部材20は、収納箱1に対して外部から衝撃が加わった場合であっても収納物W1,W2の移動を規制できる。
【0106】
これにより、図13に示すように、表示ラベル付きの筒形状の収納物W1を収納した場合において、表示ラベルZが運送中に箱本体10の開口側(蓋が配置される側)以外を向いてしまうことが抑制され、ユーザが開封時に視認できるように表示ラベルZを適切な位置に保持することができる。
【0107】
また、仕切部材20は、左右方向に沿って間隔を空けて並べられた2個の延出壁50を備えている。これにより、3つの収納空間S1,S2,S3が形成され、複数の収納物W1,W2がそれぞれの収納空間S1,S2,S3に収納可能となる。このように、延出壁50の数に応じて収納空間S1,S2,S3の数が増えた場合においても、それぞれの収納物W1,W2を適切に係止できる。
【0108】
また、仕切部材20は、左右方向と平行な延出壁50の中心線CL2に対して左右対称の形状である一対の第1係止部60を備えている。これにより、左右方向の幅について、一対の第1係止部60が配置された位置の幅は、延出壁50の幅(延出凸部52aの幅)に比べて広い。これにより、第1係止部60の剛性が高まり、外部から衝撃が加わった場合において、左右方向における第1係止部60の変形が軽減される。その結果、収納物W1,W2が第1係止部60によって適切に係止される。
【0109】
なお、本実施形態では、左右方向における延出壁50の両端に配置された一対の第1係止部60が、左右方向に隣り合う複数(2個)の延出壁50にそれぞれ配置されている。一方の延出壁50に配置された一対の第1係止部60と、他方の延出壁50に配置された一対の第1係止部60との位置関係は、前後方向において同じ位置であって、左右方向と平行な直線上に並んでいる。これにより、第1係止部60から受ける力が、複数の延出壁50に対してバランスよく分散される。その結果、1個の延出壁50に対する力の偏りが緩和され、1個の延出壁50に対する偏った変形が軽減される。
【0110】
また、延出壁50は、左右方向において間隔を空けて並べられた一対の延出側部51と、一方の延出側部51から他方の延出側部51に向かって突出する第1突出片53と、を有している。これにより、収納物W1,W2から延出壁50に力が加わった場合において、第1突出片53によって一対の延出側部51の間隔が確保される。すなわち、左右方向における延出壁50の変形(潰れ)が第1突出片53によって軽減されるので、第1係止部60は収納物W1,W2を適切に係止できる。
【0111】
特に、本実施形態では、一方の延出側部51から突出する第1突出片53と、他方の延出側部51から突出する第1突出片53とが、上下方向から底面視した場合に重なり領域Bを有している。一方の延出側部51から突出する第1突出片53が、他方の延出側部51から突出する第1突出片53の下側に配置された場合、一方の延出側部51から突出する第1突出片53の上方への跳上がりが規制される。その結果、一方の延出側部51から突出する第1突出片53の先端部分は、他方の延出側部51の内面に適切に接する。
【0112】
また、仕切部材20は、左右方向において一方の内壁40に部分的に配置され、他方の内壁40に向かって突出するともに収納物W1,W2を係止する第2係止部70を備えている。これにより、収納物W1,W2は、前後方向及び左右方向の両方向から係止されるので、仕切部材20は、収納箱1に対して外部から衝撃が加わった場合における収納物W1,W2の移動を、より効果的に規制できる。
【0113】
また、内壁40は、底面11aと直交する上下方向において底面11aから離れた位置に配置された内壁上部42を有している。延出壁50は、上下方向において底面11aから離れた位置に配置された延出上部52を有している。延出壁50は、前後方向における延出上部52の端から内壁上部42に向かって突出し、内壁上部42の上に載せられて内壁上部42と重なり、且つ内壁上部42に接する第2突出片54を有している。
【0114】
外部からの衝撃よって内壁40に対して前後方向の外側に向かう力が作用した場合、内壁40は底面11a側の端を回動軸として前後方向の外側に向かって回動する。この回動により内壁40と収納物W1,W2との間隔が広がるようなる。これに対して、本実施形態の仕切部材20では、第2突出片54が、内壁上部42の上に載せられて内壁上部42と重なり、且つ内壁上部42に接しているので、上述したような内壁40における回動が規制できる。これにより、内壁40と収納物W1,W2との隙間の広がりが軽減されるので、仕切部材20は、収納箱1に対して外部から衝撃が加わった場合における収納物W1,W2の移動を規制できる。
【0115】
特に、本実施形態の内壁40は二重壁であり、内壁内側部41及び内壁外側部43の間に間隔が設けられている。外部からの衝撃によって内壁40に対して前後方向の外側に向かう力が作用した場合、図15に示すように、内壁内側部41が内壁外側部43に近づき、内壁上部42が上方に向かって変形(湾曲)する。内壁内側部41が内壁外側部43側に近づくと、凸部81と凹部82との接点が減ることで嵌合力が減少する。それにより、凸部81と凹部82において隙間が発生し、延出壁50の横倒れが生じ易くなる。また、内壁40と収納物W1,W2との隙間が広がり、第2係止部70の係止力が減少する。
【0116】
本実施形態では、第2突出片54が内壁上部42の上に載せられているので、内壁上部42の上方への変形が軽減される。これにより、内壁内側部41及び内壁外側部43の間隔が狭くなることも軽減される。その結果、収納物W1,W2に対する内壁40の位置が維持されるので、延出壁50の横倒れが抑制され、且つ、第2係止部70の係止力の減少も抑制される。
【0117】
本実施形態では、延出壁50は、前後方向に延出する延出側部51を有している。倒れ規制部80は、前後方向における延出側部51の端から突出する凸部81と、内壁40に設けられ、一対の凸部81が嵌合可能な凹部82と、を有している。これにより、一対の凸部81が凹部82に嵌合するので、延出壁50の倒れを効果的に規制できる。
【0118】
また、一枚のシート材であるブランク21は、折り曲げ線を備え、当該折り曲げ線に沿って折り曲げることにより仕切部材20をなしている。これにより、複数の部品を組み立てて仕切部材20を構成する場合に比べて、安価で且つ部品点数が少ない仕切部材20が提供される。部品点数の削減によって部品管理が容易となる。
【0119】
また、本実施形態において、内壁40は、二重壁であり、内壁40を構成する壁同士の間に空間(内壁40の内部空間)が形成されている。これにより、外部から衝撃が加わった場合、当該内部空間によって収納物W1,W2への衝撃が緩和される。
【0120】
また、内壁端部44の先端(前後方向における外側の端)は、内壁外側部43の内面に接している(図5参照)。これにより、外部から衝撃が加わった場合であっても、前後方向における内壁40の内部空間が確保される。
【0121】
また、内壁突出片45の先端部分(前後方向における外側の端)は、内壁外側部43の内面に接している(図6参照)。これにより、外部から衝撃が加わった場合であっても、前後方向における内壁40の内部空間が確保される。特に、本実施形態では、内壁突出片45は、一対の内壁40のそれぞれに設けられている。すなわち、一対の内壁突出片45が、上下方向に並べて配置されている。これにより、一対の内壁40のいずれにおいても、内部空間が確保される。
【0122】
また、本実施形態において、延出上部52は、上下方向に凹凸することによって波形状をなしている(図7参照)。すなわち、延出上部52において、前後方向と平行な延出壁50の中心線CL2で切断した断面形状は、凹凸形状となっている。この断面形状は、例えば凹凸しない断面形状(平板の断面形状等)と比べて、断面二次モーメントの値が大きい。したがって、延出上部52は、左右方向から力が加わった場合、凹凸しない断面形状と比べて、変形しにくい構造となっている。
【0123】
また、複数の第1係止部60が、前後方向において延出壁50に部分的に配置されている。これにより、図13に示すように、収納空間S1,S2,S3のそれぞれに対して収納物Wが1個ずつ収納される場合、1個の収納物W1に対して複数の第1係止部60が前後方向において係止する。これにより、外部から衝撃が加わった場合、収納物W1から受ける力が、前後方向にバランスよく分散される。その結果、延出壁50の前後方向における局所的な変形が軽減される。
【0124】
また、2個の延出壁50において、一方の延出壁50に配置された第1係止部60と、他方の延出壁50に配置された第1係止部60とは、中央の収納空間S2を挟んで左右方向に互いに対向しており、収納物W1,W2を左右方向において係止する。このため、外部から衝撃が加わった場合、収納物W1,W2から受ける力が2個の延出壁50にバランスよく分散され、その結果、一方の延出壁50に対する偏った変形が軽減される。
【0125】
また、本実施形態において、一対の第2係止部70が、収納空間S1,S2,S3を挟んで前後方向に互いに対向している。このため、外部から衝撃が加わった場合、収納物W1,W2から受ける力が一対の内壁40にバランスよく分散され、その結果、一方の内壁40に対する偏った変形が軽減される。
【0126】
ここで、仕切部材20の優れた効果を説明するために、図13及び14に示された本実施形態の収納箱1と、図16及び17に示された従来の収納箱100とを対比しながら説明する。
【0127】
収納箱100は、図16及び17に示すように、箱本体10と、従来の仕切部材120を備えている。仕切部材120は、従来の一対の内壁140と、従来の一対の延出壁150と、を有している。従来の仕切部材120は、図16及び17から分かるように、第1係止部60及び第2係止部70を有していない。収納物W1,W2は、内壁140及び延出壁150によって係止される。
【0128】
収納箱100に対して円筒形状の収納物W1が収納される場合、図16に示すように、延出壁150は、収納物W1の外周面に対し、前後方向における当該外周面の一端から他端に至るまで係止(線接触)している。したがって、延出壁150は、外部から衝撃が加わっていない状態(静的な状態)においては、本実施形態の第1係止部60よりも収納物W1に対する係止範囲が広い。
【0129】
また、内壁140は、収納物W1の端面に対し、左右方向における当該端面の一端から他端に至るまで係止(面接触)している。したがって、内壁140は、外部から衝撃が加わっていない状態(静的な状態)においては、本実施形態の第2係止部70よりも収納物W1に対する係止範囲が広い。
【0130】
しかしながら、延出壁150は、外部から衝撃が加わった状態(動的な状態)においては、左右方向に倒れてしまい(変形してしまい)、収納物W1に対する左右方向の係止が外れてしまう。同様に、内壁140は、外部から衝撃が加わった状態(動的な状態)においては、前後方向に倒れてしまい(変形してしまい)、収納物W1に対する上下方向の係止が外れてしまう。
【0131】
一方で、本実施形態の仕切部材20は、上記で説明した構成によって、外部から衝撃が加わった状態(動的な状態)においても、静的な状態のときと同程度の収納物W1に対する係止範囲を維持できる。
【0132】
言い換えると、従来は、動的な状態における係止範囲の変動(減少)を考慮し、係止範囲を広く設定する必要があった。これにより、静的な状態において、係止範囲が必要以上に広くなるために、収納箱100に対する収納物W1の出し入れが難しくなってしまうという課題があった。これに対して、本実施形態の仕切部材20によれば、動的な状態における係止範囲の変動(減少)が抑制されるので、係止範囲を最小限に設定することが可能となる。その結果、静的な状態において、収納物W1の出し入れが容易となる。
【0133】
続いて、六面体形状の収納物W2が収納される場合、図17に示すように、延出壁150は、収納物W2の左面及び右面に対して面接触している。また、内壁140は、前側の収納物W2の前面、及び後側の収納物W2の後面に対して、面接触している。
【0134】
六面体形状の収納物W2の角部(各面の結合部)は、強度を持ち、変形しづらい性質を持つ。一方で、六面体形状の収納物W2の中央部(各面の中央部)は、角部から離れており、角部に比べて変形しやすい性質を持つ。図17に示すように、設計寸法よりも左右方向に若干大きい収納物W2が、左右方向に隣り合う3つの収納空間S1,S2,S3にそれぞれ収納される場合がある。従来の仕切部材120では、2つの収納空間S1,S2に収納物W2が収納できたとしても、最後の1つの収納空間S3が圧迫されて狭くなってしまい、収納物W2を収納できない場合がある。
【0135】
また、図17に示すように、1つの収納空間(例えば収納空間S1)に対して、設計寸法よりも前後方向に若干大きい3個の収納物W2を前後方向に隣り合わせて収納する場合も同様である。この場合、3個の収納物W2の前後方向における合計の寸法は、前後方向における一対の内壁140間の寸法よりも大きい。収納物W2は、その角部が最も変形しづらい構造であるため、収納空間に複数の収納物を収納する際に各収納物の角部を箱内の壁(例えば延出壁)に当接させると、角部を基準に収納物各部の位置が決まることになる。この場合、正規の寸法よりも大きい収納物を収納空間に収納した際に、その設計誤差が許容され難くなり、結果として一対の内壁140の間に3個の収納物W2を収納できない可能性がある。
【0136】
本実施形態の仕切部材20は、六面体形状の収納物W2の上記の性質(すなわち、角部は変形しづらく、中央部は変形しやすいという性質)を利用した構成となっている。仕切部材20では、変形しやすい収納物W2の中央部に対して、第1係止部60及び第2係止部70が接触する。一方で、変形しづらい収納物W2の角部と第1係止部60/第2係止部70との間には隙間が設けられており、いずれの部位にも接触しない。
【0137】
上記の点について、図14を参照してより詳細に説明する。設計寸法よりも左右方向に若干大きい収納物W2を、左右方向に隣り合う収納空間S1,S2,S3にそれぞれ収納する場合、変形しやすい収納物W2の中央部が第1係止部60と接し、変形しづらい収納物W2の角部については、第1係止部60から離間する。このため、収納物W2の角部からの反力によって延出壁50が押し倒されることはなく、複数の収納空間のそれぞれに収納物W2を収納していく際に、最後の1つの収納空間S3が圧迫されるのを回避することができる。その結果、全ての収納空間S1,S2,S3に収納物W2が収納可能となる。
【0138】
また、1つの収納空間(例えば収納空間S1)に対して、設計寸法よりも前後方向に若干大きい3個の収納物W2を前後方向に沿ってそれぞれ収納する場合、変形しやすい収納物W2の中央部が第2係止部70と接する。収納物W2の中央部が変形することにより、3個の収納物W2の中央部の前後方向における合計の寸法は、前後方向における一対の第2係止部70間の寸法と同程度の寸法となる。一方で、3個の収納物W2の角部の前後方向における合計の寸法は、前後方向における一対の第2係止部70間の寸法より大きいが、収納物W2の角部と第2係止部70との間には隙間が設けられているので、第2係止部70は、いずれの角部にも接触しない。これにより、1つの収納空間において、3個の収納物W2が前後方向に収納可能となる。
【0139】
また、仕切部材20は、従来の仕切部材120と比べて剛性が高められており、仕切部材120と比べて変形しづらい。これにより、箱本体10に対して仕切部材20の端部を支点に仕切部材20を挿入させることができ、従来の仕切部材120と比べて組立性が向上している。また、仕切部材20は、箱本体10内の4つの隅部16と対応する位置において、面取り部分に相当する下端部分43aを有している。これにより、箱本体10に対して仕切部材20を挿入する際、それぞれの隅部16に対して、まずは、それぞれの下端部分43aが入っていくため、円滑な挿入が可能となる。
【0140】
また、ブランク21の厚さが0.35~5.0mm程度なので、剛性の高いブランク21によって構成された仕切部材20は、外部から衝撃が加わった場合における収納物W1,W2の移動(回転)を効果的に規制できる。
【0141】
さらに、ブランク21の厚さを比較的薄く設定し、0.35~2.0mm程度とした場合は、ブランク21が折り曲げ易くなるので上記の効果に加えて、従来のブランクに比べて組立性を向上できる、という効果が得られる。
すなわち、従来の仕切部材120では、上記のようにブランクの厚さを薄く設定してしまうと、剛性が確保できず、外部から衝撃が加わった場合における収納物の移動をより一層規制できなくなってしまう。このため、ブランクの厚さを薄く設定できず、ブランクの組立性を向上することができなかった。一方で、本実施形態の仕切部材20では、従来の仕切部材120と比べて剛性が高められており、仕切部材120と比べて変形しづらい。したがって、仕切部材20は、ブランクの厚さを薄く設定した場合であっても、衝撃が加わった場合における収納物W1,W2の移動を規制できる。
このように、本実施形態の仕切部材20は、従来の仕切部材120に比べて、ブランクの薄肉化が可能な構成となっており、その結果、ブランクの組立性を向上することができる。
【0142】
[変形例]
以上までに、本発明の収納箱に関する一つの実施形態を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれることは勿論である。
【0143】
上記の実施形態では、仕切部材20は、複数の延出壁50を備えていたが、これに限られず、少なくとも1つの延出壁50であってもよい。
【0144】
上記の実施形態では、内壁40及び延出壁50は、それぞれ二重壁構造であり、壁同士の間に形成された内部空間を有していたが、これに限られず、内壁40及び延出壁50は、例えば、内部空間を有さない単一の壁であってもよい。
【0145】
上記の実施形態では、延出上部52は、上下方向に凹凸することによって波形状をなしているとしたが、これに限られず、延出上部52は、延出凸部52a又は延出凹部52bを少なくとも1つ有してもよい。言い換えると、延出上部52は、左右方向に延びる折り曲げ線に沿って少なくとも1回折り曲がっていればよい。また、延出上部52は、凹凸構造ではなく、平坦な構造であってもよい。
【0146】
上記の実施形態では、仕切部材20は、複数の内壁突出片45、複数の第1突出片53、及び複数の第2突出片54を有しているとしたが、これに限られず、仕切部材20は、上述の部分をそれぞれ少なくとも1つ有していてもよい。例えば、内壁突出片45は、一対の内壁40のうちのいずれか一方のみに配置されていてもよい。第1突出片53は、2個の延出壁50のいずれか一方において、いずれか一方の延出側部51のみから突出していてもよい。第2突出片54は、2個の延出壁50のいずれか一方において、前後方向における延出上部52のいずれか一方の端のみから突出していてもよい。
【0147】
上記の実施形態では、一方の延出側部51から突出する第1突出片53と、他方の延出側部51から突出する第1突出片53とは重なっている(重なり領域Bを有する)としたが、これに限られない。例えば、これらの第1突出片53は、重なっておらず、前後方向に離れて配置されていてもよい。
【0148】
上記の実施形態では、複数の第1係止部60が2個の延出壁50に対して配置され、複数の第2係止部70が一対の内壁40に対して配置されていたが、これに限られない。例えば、2個の延出壁50のうちのいずれか一方において、少なくとも1つの第1係止部60が配置されてもよい。また、一対の内壁40のうちのいずれか一方において、少なくとも1つの第2係止部70が配置されてもよい。
【0149】
上記の実施形態では、それぞれの延出壁50には、左右方向における延出壁50の両端に配置された一対の第1係止部60を1組として、前後方向に3組の第1係止部60が配置されているとしたが、これに限られない。例えば、第1係止部60は、前後方向に沿って、左右方向における延出壁50の一端及び他端に交互に配置されてもよい。言い換えると、複数の第1係止部60は、1つの延出壁50に対して前後方向に沿って千鳥状に配置されてもよい。
【0150】
上記の実施形態では、一方の延出壁50に配置された第1係止部60と、他方の延出壁50に配置された第1係止部60とは、中央の収納空間S2を挟んで左右方向に互いに対向しているとしたが、これに限られない。例えば、第1係止部60は、前後方向に沿って、一方の延出壁50及び他方の延出壁50に交互に配置されてもよい。言い換えると、第1係止部60は、収納空間S2を挟んで左右方向に互いに対向する一対の延出壁50の間において、前後方向に沿って千鳥状に配置されてもよい。
【0151】
上記の実施形態では、第1係止部60の外縁は、平面視で略円弧をなしているとしてが、これに限られず、延出壁50の端から突出していれば、いずれの形状であってもよい。
【0152】
上記の実施形態では、第1係止部60は、延出壁50に切込み(第1開口部51a)を形成することによって構成されているとしたが、これに限られず、例えば、第1係止部60は、延出壁50とは別部材であってもよい。
【0153】
上記の実施形態では、第1係止部60は、左右方向における延出凹部52bの端を基端として、各収納空間S1,S2,S3に向かって突出しているとしたが、これに限られない。例えば、第1係止部60は、図18及び19に示すように、上下方向におけるいずれの位置に配置されてもよい。収納物の背が低い場合、あるいは、収納物の重心位置が下側に位置する場合、第1係止部60は、図18に示すように、延出壁50の下側に配置されてもよい。また、収納物の重心が上側の場合、第1係止部60は、図19に示すように、延出壁50の上側に配置されてもよい。すなわち、第1係止部60は、収納物の重心位置に応じて、上下方向における位置を選択してもよい。上記の説明は、第1係止部60について行ったが、第2係止部70も同様である。すなわち、第2係止部70は、収納物の重心位置に応じて、上下方向における位置を選択してもよい。
【0154】
上記の実施形態では、第2係止部70の配置位置は、前後方向に互いに対向する一対の第2係止部70を1組として、左右方向に3組並べて配置されているとしたが、これに限られない。例えば、第2係止部70は、左右方向に沿って、一方の内壁40及び他方の内壁40に交互に配置されてもよい。言い換えると、複数の第2係止部70は、一対の内壁40に対して、左右方向に沿って千鳥状に配置されてもよい。
【0155】
上記の実施形態では、倒れ規制部80は、一対の凸部81と、凹部82と、を有しているとしたが、これに限られず、嵌合可能であれば、どのような形状であってもよく、また、凹部82に嵌合可能であれば、凸部81は1つであってよい。
【0156】
上記の実施形態では、仕切部材20は、一枚のシート体であるブランク21から構成されているとしたが、これに限られず、複数の別部材から構成されてもよい。また、上記の実施形態では、ブランク21は、板紙として例示したが、例えば段ボールであってもよい。その場合、段ボールの目方向は、例えば、延出壁50の変形が軽減されるように左右方向と平行にしてもよい。
【符号の説明】
【0157】
1,100 収納箱
10 箱本体
11 箱底部
11a 底面
12 箱前部
13 箱後部
14 箱右部
15 箱左部
16 隅部
20,120 仕切部材
21 ブランク
30 底壁
31 底壁中央部
32 底壁右部
33 底壁左部
40,140 内壁
41 内壁内側部
41a 上開口部
41b 下開口部
41c 内開口部
41d 外開口部
42 内壁上部
43 内壁外側部
43a,81a 下端部分
44 内壁端部
45 内壁突出片
50,150 延出壁
51 延出側部
51a 第1開口部
51b 第2開口部
52 延出上部
52a 延出凸部
52b 延出凹部
53 第1突出片
54 第2突出片
60 第1係止部
70 第2係止部
80 倒れ規制部
81 凸部
82 凹部
B 重なり領域
S1,S2,S3 収納空間
W1,W2 収納物
Z 表示ラベル
CL1,CL2,CL3 中心線
ML1,ML2,ML3 山折り線
VL1,VL2,VL3 谷折り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19