(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020644
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
H04W 74/08 20240101AFI20240206BHJP
H04W 72/20 20230101ALI20240206BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W72/20
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209485
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2019553733の分割
【原出願日】2018-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2017222756
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 龍一
(72)【発明者】
【氏名】森岡 裕一
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠介
(57)【要約】
【課題】隠れ端末問題をより効率的に回避することが可能な通信装置を提供する。
【解決手段】他の通信装置へ、所定の条件を満たす場合にチャネルを使用中であることを示す、情報の記載されていない信号であるビジー信号の送信要求を含むデータ信号を送信する通信部と、通信部が送信したデータ信号を受信した他の通信装置が、ビジー信号を送信しているか否かを判定する判定部と、判定部の判定結果に応じて、他の通信装置へデータ信号を送信する処理を制御する制御部と、を備え、制御部は、データ信号の送信完了後、ビジー信号を送信し、ビジー信号の送信開始から所定の時間内にACKを受信しなかった場合ビジー信号の送信を停止するよう通信部を制御する、通信装置が提供される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信装置へ、所定の条件を満たす場合にチャネルを使用中であることを示す、情報の記載されていない信号であるビジー信号の送信要求を含むデータ信号を送信する通信部と、
前記通信部が送信した前記データ信号を受信した前記他の通信装置が、前記ビジー信号を送信しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じて、前記他の通信装置へ前記データ信号を送信する処理を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記データ信号の送信完了後、前記ビジー信号を送信し、
前記ビジー信号の送信開始から所定の時間内にACKを受信しなかった場合ビジー信号の送信を停止するよう前記通信部を制御する、
通信装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記通信部が前記ビジー信号を受信した場合、前記他の通信装置が正常に前記データ信号を受信していると判定し、
前記制御部は、前記通信部に前記データ信号の送信を継続させる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記通信部が前記データ信号の送信を開始してから第2の時間が経過するまでに、前記通信部が前記ビジー信号を受信しなかった場合、前記他の通信装置が正常に前記データ信号を受信していないと判定し、
前記制御部は、前記通信部に前記データ信号の送信を停止させる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記通信部が前記データ信号の送信を開始してから第3の時間が経過した後に、前記通信部が前記ビジー信号を受信しなかった場合、前記他の通信装置が正常に前記データ信号を受信していないと判定し、
前記制御部は、前記通信部に前記データ信号の送信を停止させる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記データ信号の送信を完了した後に前記ビジー信号を送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記データ信号が所定の条件を満たす場合、前記通信部が前記ビジー信号の送信要求を含まない前記データ信号を送信するように制御する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置は、全二重通信に対応した端末である、請求項1に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムでは、複数の通信端末同士が互いに検出できない位置に存在する場合、それぞれの通信端末が送信するフレームが衝突してしまう隠れ端末問題が発生する。そこで、半二重通信のIEEE.802.11規格では、通信端末同士がRTS(Request to Send)/CTS(Clear to Send)フレームを交換することで隠れ端末問題を解決している。しかし、RTS/CTSフレーム交換では、通信端末同士がフレームの交換を行う時間がオーバーヘッドになっている。また、RTS/CTSフレーム交換は、CTSフレームの内容を知ることができない他の通信システムの隠れ端末からの影響を低減することができない。そこで、無線通信をより効率的に行うための技術として、送信と受信を同時に行うことができる全二重(Full Duplex)通信に関する技術の開発がされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、全二重通信対応端末が、ビジー信号を送信することで、隠れ端末からの影響を低減する方法が開示されている。ビジー信号は、受信中のデータ信号に記載された情報から算出したDuration情報を有している。そして、ビジー信号を受信した隠れ端末は、Duration情報に基づき、送信禁止期間を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法は、Duration情報を復号可能な端末にしか効果がなく、Duration情報を復号できない他の通信システムの隠れ端末からの影響を十分に回避することができない。また、全二重端末は、データ信号を検出するとビジー信号を送信するため、隠れ端末の送信機会を大きく減らしてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、隠れ端末問題をより効率的に回避することが可能な、新規かつ改良された通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、他の通信装置へ、所定の条件を満たす場合にチャネルを使用中であることを示す、情報の記載されていない信号であるビジー信号の送信要求を含むデータ信号を送信する通信部と、前記通信部が送信した前記データ信号を受信した前記他の通信装置が、前記ビジー信号を送信しているか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に応じて、前記他の通信装置へ前記データ信号を送信する処理を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記データ信号の送信完了後、前記ビジー信号を送信し、前記ビジー信号の送信開始から所定の時間内にACKを受信しなかった場合ビジー信号の送信を停止するよう前記通信部を制御する、通信装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本開示によれば、隠れ端末問題をより効率的に回避することが可能である。
【0009】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図2】比較例の通信システムの構成を示す図である。
【
図3】比較例の通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図4】同実施形態に係る通信装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図5】同実施形態に係る制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】同実施形態に係るデータフレームのフォーマットの例を示す図である。
【
図7】同実施形態に係る通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図8】同実施形態に係る受信側の通信装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】同実施形態に係る送信側の通信装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】スマートフォンの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】カーナビゲーション装置の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】無線アクセスポイントの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.通信システムの概要
2.本開示の実施形態
2-1.機能概要
2-2.機能構成例
2-3.通信される情報
2-4.動作例
3.応用例
4.まとめ
【0013】
<1.通信システムの概要>
[1-1.通信システムの構成]
まず、
図1を参照して、本開示の一実施形態に係る通信システムの構成について説明する。
図1に示すように、本開示に係る通信システムは、無線LANシステム(例えば、IEEE802.11に準拠する無線LANシステム)である。無線LANシステムは、例えば、通信装置の基地局であるAP(Access Point)100と、子機であるSTA(Station)200で構成される。また、上述の通信システムの付近には、通信装置の基地局であるeNB(evolved Node B)300と、子機であるUE(User Equipment)400で構成される他システムも存在する。
図1では、AP100の子機として、STA200AとSTA200Bが存在する。
【0014】
AP100は、無線LANシステムにおいて基地局として機能する通信装置である。例えば、AP100は、外部ネットワークと接続されることで、STA200に当該外部ネットワークとの間の通信を提供する。例えば、AP100は、インターネットと接続され、STA200とインターネット上の装置またはインターネットを介して接続される装置との通信を提供する。AP100の通信方式、種類、形状等は特に限定されない。また、AP100が他の通信装置を検出可能な範囲は検出範囲102である。
【0015】
STA200は、無線LANシステムにおいて子機として機能し、AP100と通信を行う通信装置である。例えば、STA200は、表示機能を有するディスプレイ、記憶機能を有するメモリ、入力機能を有するキーボードおよびマウス、音出力機能を有するスピーカ、高度な計算処理を実行する機能を有するスマートフォン等の任意の装置であってもよい。STA200の通信方式、種類、形状等は特に限定されない。
【0016】
eNB300は、他システムにおいて基地局として機能する通信装置であり、UE400は、他システムにおいて子機として機能する通信装置である。eNB300、及びUE400の通信方式、種類、形状等は特に限定されない。例えば、他システムは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)によって策定された、免許不要周波数帯を利用する無線通信システムであるLAA(Licensed-Assisted Access)であり、eNB300、及びUE400はLAAに準拠する通信方式を用いて通信してもよい。また、eNB300が他の通信装置を検出可能な範囲は302である。
【0017】
各通信装置は、基本的に、他のシステムで行われている通信を電力によってしか検知することができない。より具体的には、無線LANシステムを構成するAP100およびSTA200は、他システムを構成するeNB300とUE400によって行われる通信を電力によってしか検知することができない。他システムを構成するeNB300とUE400についても同様のことが言える。
【0018】
[1-2.隠れ端末問題]
図2に示すように、AP100と、検出範囲が22AのSTA20Aと、検出範囲が22BのSTA20Bで構成される通信システムがあったとする。
図2では、STA20AとSTA20Bは互いを検出することができないため、STA20AとSTA20BのそれぞれがAP10へ送信したフレームが衝突する隠れ端末問題が発生する。
【0019】
図3に示すように、通信端末は、隠れ端末問題の対策として通信端末間でRTS/CTSフレーム交換を行っている。具体的には、STA20Aは、AP10にデータを送信する前に、RTSフレーム24をAP10へ送信する(時刻T
1)。RTSフレーム24を受信したAP10は、応答としてCTSフレーム26を他の通信端末へ送信する(時刻T
2)。CSTフレームを受信したSTA20Aは、AP10へT
x28としてデータを送信する(時刻T
3-T
4)。時刻T
2では、STA20BもCTSフレーム26を受信しており、STA20BはCTSフレーム26に記載の情報から他の通信装置がチャネルを占有していることが分かり、NAV(Network Allocation Vector)を設定する。NAVとは、送信禁止期間のことであり、NAVが設定された通信装置は、NAVの期間だけ通信を保留する。
【0020】
また、隠れ端末問題は、同システム間の通信端末間だけでなく、異なるシステム間の通信端末間でも発生し得る。具体的に、本開示の実施形態で隠れ端末問題が生じた場合について説明する。例えば、
図1において、無線LANシステムのSTA200Aと他システムのeNB300が、隠れ端末の関係になっているとする。すなわち、STA200AはeNB300から送信された信号を検出できず、eNB300はSTA200から送信された信号を検出できない関係であるとする。この状況下にて、STA200AがAP100へ信号を送信する場合について考える。
【0021】
仮に、eNB300が、CTSフレームを認識できれば、STA200Aによる信号の通信前にSTA200AがRTSフレームをAP100へ送信し、それを受信したAP100がCTSフレームを送信する際に、eNB300は、CTSフレームを受信することでSTA200Aによる信号の送信中に適切に信号の送信を待機することができる。
【0022】
しかし、eNB300は、CTS(及びRTS)フレームを認識することができないため、無線LANシステムの通信に関しては電力を検出することしかできない。したがって、STA200Aによる信号の送信中にeNB300が信号を送信してしまい、互いの信号により干渉が発生することによってAP100がSTA200Aからの信号の受信に失敗する可能性がある。
【0023】
<2.本開示の実施形態>
[2-1.機能概要]
本開示の実施形態では、通信装置が他の通信装置からデータを受信した際に、通信装置は、データ信号が自分宛てであるか否か、及びビジー信号の送信要求を含むか否かを判定し、その判定結果に基づきビジー信号を送信する処理を制御する。ここで、ビジー信号とは、チャネルを使用中であることを他の通信装置へ知らせるための信号のことである。具体的には、AP100がSTA200A宛てのデータを送信すると、STA200AとSTA200Bがデータ信号を検出する。この時、他システムのeNB300はデータ信号を検出できない。
【0024】
なお、AP100、STA200A、及びSTA200Bは、通信の接続を開始する際に、ビジー信号の送信に関する動作を実施可能である旨をcapability fieldに記載し、互いにcapability fieldを送受信し合ってよい。各通信装置は、capability fieldを受信したことで、capability fieldの送信元がビジー信号に関する動作を実施可能であることを知ることができる。
【0025】
STA200AとSTA200Bは、受信したデータ信号が自分宛てであるか否かを判定する。データ信号が自分宛てである場合、STA200AとSTA200Bは、データ信号にビジー信号の送信要求が含まれるか否かを確認する。データ信号にビジー信号の送信要求が含まれている場合、STA200AとSTA200Bは、ビジー信号を送信し、データ信号の受信を開始する。なお、この時、他システムのeNB300は、STA200AとSTA200Bのいずれか一方が送信したビジー信号の電力を検出することができる。
【0026】
以上、本開示の実施形態に係る通信装置の機能概要ついて説明した。続いて、本開示の実施形態に係る通信装置の機能構成例について説明する。
【0027】
[2-2.機能構成例]
以下では、
図4を参照しながら、本実施の形態に係る通信装置の機能構成例について説明する。
図4は、通信装置の機能構成例を示すブロック図である。なお、本開示の実施形態に係る通信装置は、全二重通信対応の通信装置を用いる。全二重通信とは、データの送信と受信を双方から同時に行える通信方式のことである。例えば、全二重通信対応の通信装置は、他の通信装置からデータを受信しながら、他の通信装置へビジー信号を送信することができる。
【0028】
また、以下では、通信装置はAP100、及びSTA200の両方、またはいずれか一方のことを指す。また、それぞれ同様の機能構成を備え得るため、以下ではAP100の機能構成について説明し、STA200の機能構成についての説明は省略する。また、これはあくまで一例であるため、AP100およびSTA200は、それぞれ異なる機能構成を備えていてもよい。例えば、AP100は、複数のSTA200を制御する機能を別途備えていてもよい。
【0029】
図4に示すように、AP100は、通信部110、データ処理部130、制御部140、及び電源部150を備える。
【0030】
(1)通信部110
通信部110は、送信部、及び受信部として機能し、他の通信装置へRTSフレーム、CTSフレーム、及びデータフレームを送受信する機能を有する。本開示の実施形態に係る通信部110は、アンテナ111、アンプ部112、無線インタフェース部114、信号処理部116、チャネル推定部118、及び変復調部120を備える。アンプ部112および無線インタフェース部114については、これらを一組としたとき、2つ以上の組が備えられてもよい(図中では、2以上の組が備えられる場合を一例として示している)。また、アンプ部112は、無線インタフェース部114にその機能が内包されてもよい。
【0031】
(アンテナ111)
アンテナ111は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、他の通信装置からの受信信号をアンプ部112へ出力する機能、及びアンプ部112から入力された送信信号を他の通信装置へ送信する機能を有する。
【0032】
(アンプ部112)
アンプ部112は、信号の増幅処理を行う。より具体的に説明すると、アンプ部112は、受信時においては、アンテナ111から入力された受信信号を所定の電力まで増幅し、後述する無線インタフェース部114に出力する。また、送信時においては、アンプ部112は、無線インタフェース部114から入力された送信信号を所定の電力まで増幅しアンテナ111へ送出する。なお、これらの機能は、無線インタフェース部114によって実現されてもよい。
【0033】
(無線インタフェース部114)
無線インタフェース部114は、受信時においては、アンプ部112から提供されたアナログ信号である受信信号に対してダウンコンバートを行うことでベースバンド信号を取得し、当該ベースバンド信号に対してフィルタリング、デジタル信号への変換等の各種処理を行うことで受信シンボルストリームを生成し、後述する信号処理部116へ出力する。また、送信時においては、無線インタフェース部114は、信号処理部116からの入力をアナログ信号へ変換し、フィルタリングおよび搬送波周波数帯へのアップコンバートを行い、アンプ部112へ送出する。
【0034】
(信号処理部116)
信号処理部116は、受信時においては、無線インタフェース部114から提供される受信シンボルストリームに対して空間処理を行うことで受信シンボルストリーム毎に独立したデータシンボルストリームを取得し、後述する変復調部120へ提供する。また、送信時においては、信号処理部116は、変復調部120から入力されたデータシンボルストリームに対して空間処理を行い、得られた一つ以上の送信シンボルストリームを各無線インタフェース部114へ提供する。
【0035】
(チャネル推定部118)
チャネル推定部118は、各無線インタフェース部114から提供される受信信号のうち、プリアンブル部分およびトレーニング信号部分から伝搬路の複素チャネル利得情報を算出する。算出された複素チャネル利得情報は変復調部120での復調処理および信号処理部116での空間処理に利用される。
【0036】
(変復調部120)
変復調部120は、受信時においては、信号処理部116から提供されたデータシンボルストリームに対して復調、デインターリーブおよびデコードを行うことで受信データを取得し、当該受信データをデータ処理部130へ提供する。また、送信時においては、変復調部120は、データ処理部130から提供されたフレームに対して、後述する制御部140によって設定されたコーディングおよび変調方式に基づいて、エンコード、インターリーブおよび変調を行うことでデータシンボルストリームを生成し、当該ストリームを信号処理部116へ提供する。
【0037】
(2)データ処理部130
データ処理部130は、受信時においては、変復調部120から提供された受信データに対して、メディアアクセス制御(MAC:Media Access Control)のためのMACヘッダの解析、フレーム中の誤り検出等の処理を行う機能を有する。また、送信時においては、データ処理部130は、送信用のパケット(データ)を生成し、当該パケットにMACヘッダの付加および誤り検出符号の付加等の処理を行うことで送信用のフレームを生成し、当該フレームを変復調部120へ提供する。また、データ処理部130は、受信データの内、制御部140における判定処理、及び送信制御処理に必要な情報を制御部140へ提供する。
【0038】
(3)制御部140
制御部140は、上記の各構成の制御を行う機能を有し、上記の各構成要素間における情報の受け渡し、及びパラメータの設定、処理のスケジューリング等の処理を行う。例えば、制御部140は、変復調部120、及び信号処理部116におけるパラメータ設定、及びデータ処理部130におけるパケットのスケジューリングを行う。また、例えば、制御部140は、無線インタフェース部114、及びアンプ部112におけるパラメータ設定、及び送信電力制御を行う。
【0039】
また、本開示の実施形態では、制御部140は、データ信号、及びビジー信号の送受信等に関する制御を行うための判定処理、及び判定処理の判定結果に基づく各信号の送受信処理等を制御する機能を有する。
【0040】
上述の機能を実現するために、本開示の実施形態に係る制御部140は、
図5に示すように、判定部142、及び信号送信制御部144を備える。
【0041】
(判定部142)
判定部142は、データ信号、及びビジー信号の送受信等に関する制御を行うための判定処理を行う機能を有する。なお、判定部142の処理は、通信装置がデータ信号を受信する側、及び送信する側のどちらであるかにより異なる。以下では、受信する側と送信する側のそれぞれの場合の処理について説明する。また、以下ではデータ信号を受信する側の通信装置はSTA200A、データ信号を送信する側の通信装置はAP100として説明する。
【0042】
・通信装置がデータ信号を受信する側の場合
STA200Aの判定部242は、データ信号検出時に、STA200Aがデータ信号を受信するか否かを判定する。例えば、判定部242は、データ信号に含まれる情報に基づき、データ信号が自分宛てであるか否かを確認する。データ信号が自分宛てである場合、判定部242は、STA200Aがデータ信号を受信すると判定し、判定結果を信号送信制御部244へ提供する。また、データ信号が自分宛てでない場合、判定部242は、STA200Aがデータ信号を受信しないと判定し、判定結果を信号送信制御部244へ提供する。なお、判定部242は、データ信号を検出する前にRTS/CTSフレーム交換を行うことにより宛先判定を行ってもよい。
【0043】
また、判定部242は、STA200Aの信号送信がAP100の信号送信に影響を与える可能性がある位置にSTA200があるか否かの判定処理を行う。例えば、判定部242は、STA200Aがデータ信号を検出してから所定の時間(第1の時間)が経過するまでにビジー信号を検出したか否かを確認する。
【0044】
ここで、所定の時間(第1の時間)は、例えば、SIFS時間である。SIFS(Short Inter Frame Space)時間とは、フレーム送信間隔における最短の待ち時間のことである。なお、所定の時間(第1の時間)はSIFS時間に限定されず、任意の時間を設定されてもよい。
【0045】
ビジー信号を検出しなかった場合、判定部242は、STA200Aの信号送信がAP100の信号送信に影響を与える可能性が小さい位置にSTA200Aがあると判定し、判定結果を信号送信制御部244へ提供する。また、ビジー信号を検出した場合、判定部242は、さらにビジー信号の受信電力が所定の閾値以下であるか否かを判定する。ここで、所定の閾値は、例えば、IEEE802.11axで定められているOBSS_PDである。受信電力がOBSS_PD以下である場合、判定部242は、STA200Aの信号送信がAP100の信号送信に影響を与える可能性が小さい位置にSTA200Aがあると判定し、判定結果を信号送信制御部244へ提供する。受信電力がOBSS_PD以下でない場合、判定部242は、STA200Aの信号送信がAP100の信号送信に影響を与える可能性が大きい位置にSTA200Aがあると判定し、判定結果を信号送信制御部244へ提供する。
【0046】
また、判定部242は、STA200Aがデータ信号を受信する際に、STA200Aがビジー信号を送信するか否かの判定処理を行う。例えば、判定部242は、STA200Aがデータ信号を検出した際に、データ信号がビジー信号の送信要求を含むか否かを確認する。データ信号がビジー信号の送信要求を含む場合、判定部242は、STA200Aがビジー信号を送信すると判定し、判定結果を信号送信制御部244へ提供する。また、データ信号がビジー信号の送信要求を含まない場合、判定部242は、STA200Aがビジー信号を送信しないと判定し、判定結果を信号送信制御部244へ提供する。
【0047】
また、判定部242は、STA200Aがデータ信号の受信を開始してからの動作に関する判定処理を行う。例えば、判定部242は、STA200Aがデータ信号の受信を正常に完了したか否かを確認する。STA200Aがデータ信号の受信を正常に完了した場合、判定部242は、STA200AはAP100へACKを送信すると判定し、判定結果を信号送信制御部244へ提供する。ここで、ACK(Acknowledge)とは、データの受信を正常に完了したことを送信側へ知らせるための応答である。また、STA200Aがデータ信号の受信を正常に完了しなかった場合、判定部242は、STA200Aはビジー信号の送信を停止すると判定し、判定結果を信号送信制御部244へ提供する。
【0048】
・通信装置がデータ信号を送信する側の場合
AP100の判定部142は、送信するデータ信号がビジー信号による保護が必要か否かの判定処理を行う。例えば、判定部142は、複数の所定の条件の内、データ信号がいずれか1つでも条件を満たす場合、データ信号はビジー信号による保護が必要ないと判定し、判定結果を信号送信制御部144へ提供する。また、判定部142は、複数の所定の条件の内、データ信号が条件を1つも満たさない場合、データ信号はビジー信号による保護が必要であると判定し、判定結果を信号送信制御部144へ提供する。
【0049】
ここで、データ信号がビジー信号による保護が不要であるか否かを判定するための複数の所定の条件について説明する。複数の所定の条件は、条件1~8まで存在する。
【0050】
条件1は、データ信号のビットレートが第1の閾値以下であることである。例えば、第1の閾値は、変調・符号化方式変調・符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme)における変調方式が16QAM、及び符号化率が3/4である時のビットレートである。条件2は、データ信号のフレーム長が第2の閾値以下であることである。第2の閾値は、例えば、1msである。条件3は、データ信号のアクセスカテゴリの優先度が第3の閾値以下であることである。第3の閾値は、例えば、アクセスカテゴリがAC_BEである時の優先度である。
【0051】
条件4は、データ信号が、FTM(Fine Time Measurement)フレームでないことである。条件5は、データ信号が、NDP(Null Data Packet)でないことである。条件6は、データ信号が、マネジメントフレームでないことである。条件7は、データ信号が、RTS/CTSフレームでないことである。条件8は、データ信号が、SR PPDU(Spatial Reuse PPDU)でないことである。
【0052】
また、例えば、判定部142は、STA200Aがデータ信号の受信を失敗する確率が低い場合、データ信号はビジー信号による保護が必要ないと判定し、判定結果を信号送信制御部144へ提供してもよい。また、例えば、判定部142は、AP100が優先度の低いデータ信号を送信する場合、データ信号はビジー信号による保護が必要ないと判定し、判定結果を信号送信制御部144へ提供してもよい。
【0053】
また、判定部142は、STA200Aがデータ信号を正常に受信しているか否かの判定処理を行う。例えば、判定部142は、データ信号がビジー信号による保護が必要なデータの場合、STA200Aがビジー信号を送信しているか否かを確認する。例えば、AP100がデータ信号を送信してから、所定の時間(第2の時間)が経過するまで、及び所定の時間(第3の時間)が経過した後にもAP100がビジー信号を検出した場合、判定部142は、STA200Aがデータ信号を正常に受信していると判定し、判定結果を信号送信制御部144へ提供する。ここで、所定の時間(第2の時間、及び第3の時間)は、例えば、SIFS時間である。なお、所定の時間(第2の時間、及び第3の時間)はSIFS時間に限定されず、任意の時間を設定されてもよい。また、SIFS時間が経過するまで、及びSIFS時間が経過した後にもAP100がビジー信号を検出しなかった場合、判定部142は、STA200Aがデータ信号を正常に受信していないと判定し、判定結果を信号送信制御部144へ提供する。
【0054】
また、判定部142は、STA200Aがデータ信号を正常に受信完了したか否かの判定処理を行う。例えば、判定部142は、AP100Aがデータ信号の送信を完了して、ビジー信号の送信を開始した後に、STA200AからACKを受信したか否かを確認する。SIFS時間が経過するまでに、AP100がACKを受信した場合、STA200Aがデータ信号を正常に受信完了したと判定し、判定結果を信号送信制御部144へ提供する。また、SIFS時間が経過するまでに、AP100がACKを受信しなかった場合、STA200Aがデータ信号を正常に受信完了しなかったと判定し、判定結果を信号送信制御部144へ提供する。
【0055】
(信号送信制御部144)
信号送信制御部144は、データの通信を制御する機能を有する。具体的に、信号送信制御部144は、判定部142から取得した判定結果に基づき、データ信号、及びビジー信号の送受信等に関する処理を制御する。なお、信号送信制御部144の処理は、通信装置がデータ信号を受信する側、及び送信する側のどちらであるかにより異なる。以下では、受信する側と送信する側のそれぞれの場合の処理について説明する。また、以下ではデータ信号を受信する側の通信装置はSTA200A、データ信号を送信する側の通信装置はAP100として説明する。
【0056】
・通信装置がデータ信号を受信する側の場合
STA200Aの信号送信制御部244は、判定部242からSTA200Aがデータ信号を受信する旨の判定結果を取得した場合、STA200Aがデータ信号を受信できる状態にする。また、信号送信制御部244は、判定部242からSTA200Aがデータ信号を受信しない旨の判定結果を取得した場合、STA200Aにデータ信号を受信させず、ビジー状態にする。
【0057】
また、信号送信制御部244は、STA200Aの信号送信がAP100の信号送信に影響を与える可能性が小さい位置にSTA200Aがある旨の判定結果を取得した。その場合、信号送信制御部244は、STA200Aを信号の送信が可能である状態(以下、アイドル状態とも称する)にする。また、信号送信制御部244は、STA200Aの信号送信がAP100の信号送信に影響を与える可能性が大きい位置にSTA200Aがある旨の判定結果を取得した。その場合、信号送信制御部244は、STA200Aをビジー状態のままにする。
【0058】
また、信号送信制御部244は、判定部242からSTA200Aがビジー信号を送信する旨の判定結果を取得した場合、STA200Aにビジー信号を送信させてデータ信号も受信させる。また、信号送信制御部244は、判定部242からSTA200Aがビジー信号を送信しない旨の判定結果を取得した場合、STA200にビジー信号を送信させずにデータ信号を受信させる。
【0059】
また、信号送信制御部244は、判定部242からSTA200AはAP100へACKを送信する旨の判定結果を取得した場合、STA200AにACKを送信させる。また、信号送信制御部244は、判定部242からSTA200Aはビジー信号の送信を停止する旨の判定結果を取得した場合、STA200Aにビジー信号の送信を停止させる。
【0060】
なお、例えば、STA200Aが上述したアイドル状態になった場合、STA200Aは、データの送信等を行うことが可能となる。しかし、実際にSTA200Aが信号送信を行った際に、AP100の信号送信等に影響を与えることは避けたい。例えば、AP100がACKを受信する処理に影響を与えることは避けたい。そこで、通信装置がアイドル状態のときに行う処理に、制限が設定されてもよい。例えば、AP100から受信したデータ信号に記載された、データ信号の送信時間、ビジー信号の送信電力情報、及びビジー信号の送信時間情報等に基づき、アイドル状態に関する制限が設定されてもよい。
【0061】
具体的に、上述の情報に基づき、AP100がACKを受信すると想定される時刻を算出し、その時刻に合わせてSTA200Aがアイドル状態を継続可能な時間が制限されてもよい、及びアイドル状態で送信可能な信号の長さ等が設定されてもよい。ACKを受信するタイミングでデータの送信等を行わないように、アイドル状態に関する設定がされてもよい。また、アイドル状態で送信する信号の送信電力は、ビジー信号の送信電力情報、及びビジー信号の受信電力に基づき設定されてもよい。
【0062】
・通信装置がデータ信号を送信する側の場合
AP100の信号送信制御部144は、判定部142から、データ信号はビジー信号による保護が必要ない旨の判定結果を取得した場合、AP100にビジー信号の送信要求を記載せずにデータ信号を送信させる。また、信号送信制御部144は、判定部142から、データ信号はビジー信号による保護が必要である旨の判定結果を取得した場合、AP100にビジー信号の送信要求を記載したデータ信号を送信させる。
【0063】
信号送信制御部144は、判定部142からSTA200Aがデータ信号を正常に受信している旨の判定結果を取得した場合、AP100にデータ信号の送信を継続させる。また、信号送信制御部144は、判定部142からSTA200Aがデータ信号を正常に受信していない旨の判定結果を取得した場合、AP100にデータ信号の送信を停止させる。
【0064】
また、信号送信制御部144は、判定部142からSTA200Aがデータ信号を正常に受信完了した旨の判定結果を取得した場合、AP100にビジー信号の送信を停止させる。また、信号送信制御部144は、判定部142からSTA200Aがデータ信号を正常に受信完了しなかった旨の判定結果を取得した場合、AP100にビジー信号の送信を停止させる。
【0065】
(5)電源部150
電源部150は、バッテリー電源、または固定電源で構成され、通信装置に対して電力を供給する機能を有する。
【0066】
[2-3.通信される情報]
続いて、AP100およびSTA200によって通信される情報の一例について説明する。
【0067】
本開示の実施形態では、通信装置間で通信される情報としてデータフレーム、ビジー信号、及びACKがある。以下では、各情報について具体的に説明する。
【0068】
[2-3-1.データフレーム]
図6を参照しながら、データフレームのフォーマットの一例について説明する。本開示の実施形態では、例えば、データフレームは、「Phy Header」、及び「Data(MAC)」を有する構成である。なお、当該フレームのフォーマットはあくまで一例である。以下では、データフレームの各フォーマットについて説明する。
【0069】
(1)Phy Header
Phy Headerは、無線LAN規格に応じて定義される情報を有する。本開示の実施形態では、例えば、Phy Headerは、「L-STF」、「L-LTF」、「L-SIG」、「RL-SIG」、「HE-SIG-A」、「HE-STF」、「HE-LTF」等のフィールドを有する。なお、当該Phy Headerのフォーマットはあくまで一例である。以下では、Phy Headerを構成する各フィールドについて説明する。
【0070】
L-STF(Legacy-Short Training Field)は、信号受信のための同期処理を行うフィールドであり、主に無線パケット信号の検出、タイミングの検出に使用される。L-LTF(Legacy-Long Training Field)は、信号受信のための同期処理を行うフィールドであり、主にキャリア周波数の誤差の補正、基準振幅の検出等に使用される。L-SIG(Legacy-Signal Field)は、フレームのデータ部に含まれるデータの長さ、データ部の伝送速度、変調方式等の情報が記入されているフィールドである。RL-SIG(Repeated Legacy-Signal Field)は、L-SIGに記入されている情報のチェックを繰り返し行う。
【0071】
HE-SIG-A(HE-Signal-A Field)は、ビジー信号の送信に関する情報を有する。例えば、HE-SIG-Aは、さらに、「Busy signal request」、「Busy signal transmit power」、「Busy signal duration」等のフィールドを有する。なお、当該フィールドのフォーマットはあくまで一例である。以下では、HE-SIG-Aを構成する各フィールドについて説明する。
【0072】
Busy signal requestフィールドは、ビジー信号の送信要求に関する情報を有する。Busy signal transmit powerフィールドは、ビジー信号の送信電力に関する情報を有する。Busy signal durationフィールドは、ビジー信号の送信時間に関する情報を有する。
【0073】
HE-STF(HE-Short Training Field)は、802.11axデバイスによって復号化することができるSTFである。HE-LTF(HE-Long Training Field)は、802.11axデバイスによって復号化することができるLTFである。
【0074】
(2)Data(MAC)
Data(MAC)は、データが格納されるフィールドである。
【0075】
なお、本開示の実施形態では、ビジー信号の送信に関する情報はHE-SIG-Aフィールドに格納されるが、格納される場所は特に限定されず、任意の場所に格納されてもよい。例えば、ビジー信号の送信に関する情報は、Phy Headerの後ろ、かつDataの前に新しく拡張されたヘッダ領域に格納されてもよく、他の情報を格納するための既存のフィールドに格納されてもよい。また、例えば、例えば、ビジー信号の送信に関する情報は、HE-SIG-Aフィールド内の途中ではなく、先頭、及び末尾に格納されてもよい。また、例えば、ビジー信号の送信に関する情報を格納するフィールドは、任意の順番に並べられてもよく、連続して並べられていなくてもよい。
【0076】
また、ビジー信号を送信しない場合、データフレームはビジー信号の送信に関する情報を格納するフィールドを用意しなくてもよい。例えば、データフレームは、ビジー信号を格納するすべてのフィールドのbitを0と設定することで、ビジー信号を送信しないためフィールドが不要である旨を示してもよい。なお、ビジー信号を送信する場合、データフレームは、ビジー信号を格納するフィールドの少なくとも1つのフィールドのbitを1と設定すればよい。
【0077】
[2-3-2.ビジー信号]
ビジー信号は、通信装置におけるデータ信号の受信処理を保護する目的がある。通信装置がデータ信号等を受信する際に、他の通信装置に対してビジー信号を送信することで、チャネルを使用中であることを他の通信装置に知らせることができる。ビジー信号を検出した他の通信装置は、チャネルが使用中であることを知ることができ、ビジー信号を検出している間はデータ等を送信しないようにする。例えば、STA200AがAP100からデータ信号を受信する際、受信処理と同時にビジー信号を送信することで、データ信号の受信処理を保護できる。また、例えば、AP100は、STA200Aへデータ信号の送信を完了した後に、ビジー信号を送信することで、STA200Aから送信されるACKの受信処理を保護できる。
【0078】
通信装置は、他の通信装置に対してビジー信号を送信する場合、送信禁止期間(NAV:Network Allocation Vector)を有するフレームをビジー信号として送信してもよい。同一システムの他の通信装置は、フレームに記載された情報を読み取り、NAVを設定することが可能である。しかし、他の通信システムの通信装置は、フレームに記載された情報を読み取ることができないため、NAVを設定することができない。また、他の通信システムの通信装置は、フレームとして送信されたビジー信号を一瞬しか検知することができないため、ビジー信号の受信電力を検出することによりNAVを設定することもできない。
【0079】
そこで、ビジー信号を他の通信システムの通信装置にも検出させる場合、通信装置は、フレームに情報を何も記載せず、他の通信システムの通信装置に送信を禁止させたい期間だけビジー信号を送信し続ける。他の通信システムの通信装置は、ビジー信号の受信電力を検出し続けることができ、受信電力を検出している期間をNAVとして設定することができるようになる。
【0080】
なお、AP100がACKを受信する際にビジー信号を送信するタイミングは、データ信号の送信直後に限定されず、任意のタイミングで送信してもよい。例えば、STA200AからACKが送信される時刻が、AP100がビジー信号を送信してから所定の時間(例えばSIFS時間)内であると判定できた場合に、AP100はデータ送信を完了した後、続けてビジー信号を送信してもよい。
【0081】
また、AP100は、STA200AからACKを受信したタイミングからビジー信号の送信を開始してもよい。その際に、AP100は、ACKに記載された情報に基づき宛先判定を行ってもよい。ただし、AP100は、ACKの送信が期待される時間内にACKを受信した場合、ACKがAP100宛てに送信されたと想定できるため、ACKに記載された情報に基づく宛先判定を行わなくてもよい。その場合、AP100は、ACKを受信した際に検出した受信電力に基づき宛先判定を行ってもよい。例えば、AP100は、ACKの受信電力が所定の閾値より大きい場合、ACKが自分宛てであると判定してよい。ここで、所定の閾値は、例えば、AP100がIEEE802.11規格のプリアンブル部を検出する際の受信電力である。
【0082】
なお、AP100がACKに記載された情報に基づく宛先判定を行わずにビジー信号の送信を開始し、送信中にACKが自分宛てでないと判明した場合、AP100は、ビジー信号の送信を停止する。また、ACKを正常に受信できていないと判明した場合も、AP100は、ビジー信号の送信を停止する。
【0083】
また、ビジー信号は、IEEE802.11規格の通信システムのプリアンブル部を有してもよい。また、ビジー信号は、IEEE802.11規格の通信装置がNAV(送信禁止期間)を設定できるようにするため、AP100がデータ信号を送信する時間に関する情報を有してもよい。また、ビジー信号は、IEEE802.11規格の通信装置がデータ信号の受信を打ち切るための判定を行えるようにするため、BSS識別情報を有してもよい。
【0084】
また、STA200Aは、AP100が送信したデータ信号に記載されたビジー信号の送信に関する情報に基づき、ビジー信号の送信時間を設定する。なお、STA200Aは、設定された送信時間内で継続的にビジー信号を送信してもよく、データ信号の受信状況に合わせて断続的にビジー信号を送信してもよい。
【0085】
[2-3-3.ACK]
STA200Aは、AP100からデータ信号の受信を正常に完了すると、AP100へACKを送信する。なお、STA200AがACKを送信するタイミングは特に限定されず、任意のタイミングでACKを送信してもよい。例えば、STA200Aは、AP100からデータ信号を受信している途中であっても、サブフレーム単位でデータの受信が完了した度にACKを送信してもよい。
【0086】
また、STA200Aは、ACKを送信する際に、SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)等のデータ信号の受信状況を示す情報を送信してもよい。
【0087】
以上、
図6を参照しながら、本開示の一実施形態に係るAP100、及びSTA200によって通信される情報の例を説明した。続いて、本開示の一実施形態に係る通信システムの動作例について説明する。
【0088】
[2-4.動作例]
本開示の一実施形態に係る通信システムの動作例について説明する。以下、
図7~9を参照しながら、通信システムの動作例について説明する。
【0089】
(1)通信システムの動作例
図7を参照しながら、本開示の実施形態に係る通信システム全体の動作例について説明する。
図7は、通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
【0090】
図7のシーケンス図は、AP100がSTA200Aにデータを送信する場合のAP100、STA200A、STA200B、及びeNB300の動作例を示している。なお、
図7の横軸は時間を示しており、各通信装置間の縦の矢印は、矢印方向の通信装置へ信号を送信したことを示している。
【0091】
まず、AP100は、TX30としてデータ信号をSTA200Aへ送信する(時刻T11)。AP100からデータ信号を受信したSTA200Aは、データ信号が自分宛てであること、及びビジー信号の送信要求が含まれていることを確認したため、ビジー信号32を送信してデータ信号の受信を開始する(時刻T12)。また、STA200Bは、AP100からデータ信号を受信するが、データ信号は自分宛てではないことを確認したため、ビジー状態に遷移する(時刻T11)。
【0092】
STA200Aからのビジー信号32を受信したAP100は、STA200Aがデータ信号を正常に受信していると判定し、データ信号の送信を継続する(時刻T12)。また、eNB300は、STA200Aが送信したビジー信号32の電力を検出したため、ビジー状態に遷移する(時刻T12)。また、STA200Bは、SIFS時間が経過してもビジー信号32を検出しなかったため、ビジー状態からアイドル状態に遷移する(時刻T13)。
【0093】
AP100は、データ信号の送信を完了すると、STA200AからのACK34を受信するためにビジー信号36を送信して待機する(時刻T14)。STA200Bは、AP100からのビジー信号36を検出したため、アイドル状態からビジー状態に遷移する(時刻T14)。
【0094】
STA200Aは、AP100からのデータ信号を正常に受信完了したため、AP100へACK34を送信する(時刻T15)。この時、eNB300は、STA200Aが送信したACK34の電力を検出したため、ビジー状態を継続する(時刻T15)。AP100は、STA200AからのACK34を受信完了した後、ビジー信号36の送信を停止する(時刻T16)。
【0095】
(2)データ受信側の通信装置の動作例
続いて、
図8を参照しながら、データ受信側の通信装置における具体的な判定処理、及び動作を説明する。以下では、例えば、受信側の通信装置はSAT200A、送信側の通信装置はAP100であるとする。
【0096】
まず、STA200Aは、AP100からのデータ信号を検出したら(ステップS1000)、データ信号が自分宛てであるか否かを確認する(ステップS1002)。データ信号が自分宛てである場合(ステップS1002/YES)、STA200Aは、データ信号はビジー信号の送信要求を含むか否かを確認する(ステップS1004)。データ信号がビジー信号の送信要求を含む場合(ステップS1004/YES)、STA200Aは、ビジー信号を送信し(ステップS1008)、データ信号の受信を開始する(ステップS1010)。データ信号がビジー信号の送信要求を含まない場合(ステップS1004/NO)、STA200Aは、ビジー信号を送信せずにデータ信号の受信を開始する(ステップS1010)。
【0097】
STA200Aは、データ信号の受信を正常に完了した場合(ステップS1012/YES)、AP100へACKを送信して(ステップS1016)、処理を終了する。STA200Aは、データ信号の受信を正常に完了しなかった場合(ステップS1012/NO)、ビジー信号の送信を停止し(ステップS1020)、処理を終了する。
【0098】
また、データ信号が自分宛てでない場合(ステップS1002/NO)、STA200Aは、データ信号を受信せずに、ビジー状態に遷移する(ステップS1022)。その後、STA200Aは、データ信号の検出から第1の時間が経過するまでに他の通信装置からのビジー信号を検出し(ステップS1024/YES)、かつビジー信号の受信電力が所定の閾値以下でない場合(ステップS1028/NO)、ビジー状態を継続する。なお、STA200Aは、データ信号の検出から第1の時間が経過するまでに他の通信装置からのビジー信号を検出しなかった場合(ステップS1024/NO)、ビジー状態からアイドル状態に遷移する(ステップS1032)。また、STA200Aは、検出したビジー信号の受信電力が所定の閾値以下であった場合(ステップS1028/YES)、ビジー状態からアイドル状態に遷移する(ステップS1032)。
【0099】
(3)データ送信側の通信装置の動作例
続いて、
図9を参照しながら、データ送信側の通信装置における具体的な判定処理、及び動作を説明する。以下では、例えば、
図8の説明と同様に、送信側の通信装置はAP100、受信側の通信装置はSTA200Aであるとする。まず、AP100は、データ信号をSTA200Aへ送信する(ステップS1100)。データ信号がビジー信号による保護を必要としない場合(ステップS1104/NO)、AP100は、データ信号の送信を完了させる(ステップS1116)。
【0100】
データ信号がビジー信号による保護を必要とする場合(ステップS1104/YES)、AP100は、第2の時間が経過するまでにビジー信号を検出したか否かを確認する(ステップS1108)。ビジー信号を検出した場合(ステップS1108/YES)、第3の時間が経過した後にビジー信号を検出したか否かを確認する(ステップS1112)。ビジー信号を検出した場合(ステップS1112/YES)、AP100は、データ信号の送信を完了させる(ステップS1116)。
【0101】
なお、データ信号を送信してから第2の時間が経過するまでにビジー信号を検出しなかった場合(ステップS1108/NO)、AP100は、STA200Aがデータ信号を正常に受信していないと判定し、データ信号の送信を停止する(ステップS1124)。また、第2の時間が経過するまでにビジー信号を検出しても、第3の時間が経過した後にビジー信号を検出しなかった場合(ステップS1112/NO)も同様に、AP100は、データ信号の送信を停止する(ステップS1124)。
【0102】
AP100は、データ信号の送信を完了した後、ACKを受信するためにビジー信号を送信する(ステップS1128)。ACKを受信した場合(ステップS1132/YES)、AP100は、STA200Aがデータ信号の受信を正常に完了したと判定し、処理を終了する。ACKを受信しなかったが(ステップS1132/NO)、所定の時間が経過していない場合(ステップS1140/NO)、AP100は、所定の時間が経過するまでACKの受信を確認する。所定の時間が経過した場合(ステップS1140/YES)、AP100は、STA200Aがデータ信号を正常に受信していないと判定し、ビジー信号の送信を停止する(ステップS1144)。
【0103】
以上、
図1~9を参照しながら、本開示の一実施形態について説明した。続いて、本開示の一実施形態に係る技術の応用例について説明する。
【0104】
<3.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。例えば、STA200は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、テレビジョン受像機、プリンタ、デジタルスキャナ若しくはネットワークストレージなどの固定端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、STA200は、スマートメータ、自動販売機、遠隔監視装置又はPOS(Point Of Sale)端末などの、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、STA200は、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
【0105】
一方、例えば、AP100は、ルータ機能を有し又はルータ機能を有しない無線LANアクセスポイント(無線基地局ともいう)として実現されてもよい。また、AP100は、モバイル無線LANルータとして実現されてもよい。さらに、AP100は、これら装置に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
【0106】
[3-1.第1の応用例]
図10は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913、アンテナスイッチ914、アンテナ915、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
【0107】
プロセッサ901は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
【0108】
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
【0109】
無線通信インタフェース913は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース913は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース913は、アドホックモード又はWi-Fi Direct(登録商標)等のダイレクト通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。なお、Wi-Fi Directでは、アドホックモードとは異なり2つの端末の一方がアクセスポイントとして動作するが、通信はそれら端末間で直接的に行われる。無線通信インタフェース913は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF(Radio Frequency)回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース913は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース913は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ914は、無線通信インタフェース913に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ915の接続先を切り替える。アンテナ915は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース913による無線信号の送信及び受信のために使用される。
【0110】
なお、
図10の例に限定されず、スマートフォン900は、複数のアンテナ(例えば、無線LAN用のアンテナ及び近接無線通信方式用のアンテナ、など)を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ914は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
【0111】
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、
図10に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
【0112】
なお、スマートフォン900は、プロセッサ901がアプリケーションレベルでアクセスポイント機能を実行することにより、無線アクセスポイント(ソフトウェアAP)として動作してもよい。また、無線通信インタフェース913が無線アクセスポイント機能を有していてもよい。
【0113】
[3-2.第2の応用例]
図11は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、アンテナスイッチ934、アンテナ935及びバッテリー938を備える。
【0114】
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
【0115】
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
【0116】
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
【0117】
無線通信インタフェース933は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース933は、アドホックモード又はWi-Fi Direct等のダイレクト通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。無線通信インタフェース933は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース933は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ934は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路の間でアンテナ935の接続先を切り替える。アンテナ935は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送信及び受信のために使用される。
【0118】
なお、
図11の例に限定されず、カーナビゲーション装置920は、複数のアンテナを備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ934は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
【0119】
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、
図11に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
【0120】
また、無線通信インタフェース933は、上述したAP100として動作し、車両に乗るユーザが有する端末に無線接続を提供してもよい。
【0121】
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
【0122】
[3-3.第3の応用例]
図12は、本開示に係る技術が適用され得る無線アクセスポイント950の概略的な構成の一例を示すブロック図である。無線アクセスポイント950は、コントローラ951、メモリ952、入力デバイス954、表示デバイス955、ネットワークインタフェース957、無線通信インタフェース963、アンテナスイッチ964及びアンテナ965を備える。
【0123】
コントローラ951は、例えばCPU又はDSP(Digital Signal Processor)であってよく、無線アクセスポイント950のIP(Internet Protocol)レイヤ及びより上位のレイヤの様々な機能(例えば、アクセス制限、ルーティング、暗号化、ファイアウォール及びログ管理など)を動作させる。メモリ952は、RAM及びROMを含み、コントローラ951により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、ルーティングテーブル、暗号鍵、セキュリティ設定及びログなど)を記憶する。
【0124】
入力デバイス954は、例えば、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作を受け付ける。表示デバイス955は、LEDランプなどを含み、無線アクセスポイント950の動作ステータスを表示する。
【0125】
ネットワークインタフェース957は、無線アクセスポイント950が有線通信ネットワーク958に接続するための有線通信インタフェースである。ネットワークインタフェース957は、複数の接続端子を有してもよい。有線通信ネットワーク958は、イーサネット(登録商標)などのLANであってもよく、又はWAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0126】
無線通信インタフェース963は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、近傍の端末へアクセスポイントとして無線接続を提供する。無線通信インタフェース963は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース963は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。アンテナスイッチ964は、無線通信インタフェース963に含まれる複数の回路の間でアンテナ965の接続先を切り替える。アンテナ965は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース963による無線信号の送信及び受信のために使用される。
【0127】
<4.まとめ>
上述の説明より、本開示に係る通信装置は、隠れ端末問題をより効率的に回避することが可能である。以上より、隠れ端末問題をより効率的に回避することが可能な、新規かつ改良された通信装置、及び通信システムを提供することが可能である。
【0128】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0129】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。
【0130】
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0131】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0132】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
他の通信装置へ、所定の条件を満たす場合にチャネルを使用中であることを示す、情報の記載されていない信号であるビジー信号の送信要求を含むデータ信号を送信する通信部と、
前記通信部が送信した前記データ信号を受信した前記他の通信装置が、前記ビジー信号を送信しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じて、前記他の通信装置へ前記データ信号を送信する処理を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記データ信号の送信完了後、前記ビジー信号を送信し、
前記ビジー信号の送信開始から所定の時間内にACKを受信しなかった場合ビジー信号の送信を停止するよう前記通信部を制御する、
通信装置。
(2)
前記判定部は、前記通信部が前記ビジー信号を受信した場合、前記他の通信装置が正常に前記データ信号を受信していると判定し、
前記制御部は、前記通信部に前記データ信号の送信を継続させる、前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記判定部は、前記通信部が前記データ信号の送信を開始してから第2の時間が経過するまでに、前記通信部が前記ビジー信号を受信しなかった場合、前記他の通信装置が正常に前記データ信号を受信していないと判定し、
前記制御部は、前記通信部に前記データ信号の送信を停止させる、前記(1)または(2)のいずれか一項に記載の通信装置。
(4)
前記判定部は、前記通信部が前記データ信号の送信を開始してから第3の時間が経過した後に、前記通信部が前記ビジー信号を受信しなかった場合、前記他の通信装置が正常に前記データ信号を受信していないと判定し、
前記制御部は、前記通信部に前記データ信号の送信を停止させる、前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の通信装置。
(5)
前記制御部は、前記データ信号の送信を完了した後に前記ビジー信号を送信する、前記(1)~(4)のいずれか一項に記載の通信装置。
(6)
前記制御部は、前記データ信号が所定の条件を満たす場合、前記通信部が前記ビジー信号の送信要求を含まない前記データ信号を送信するように制御する、前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の通信装置。
(7)
前記通信装置は、全二重通信に対応した端末である、前記(1)~(6)のいずれか一項に記載の通信装置。
【符号の説明】
【0133】
100 AP
110 通信部
111 アンテナ
112 アンプ部
114 無線インタフェース部
116 信号処理部
118 チャネル推定部
120 変復調部
130 データ処理部
140 制御部
142 判定部
144 信号送信制御部
150 電源部
200 STA