(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020658
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/52 20060101AFI20240206BHJP
F04D 29/64 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F04D29/52 C
F04D29/64 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210873
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2022026134の分割
【原出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】福増 一人
(57)【要約】
【課題】空気取入口の部分を取り外し可能にし、清掃しやすい送風機を提供する。
【解決手段】送風機において、ファンと、ファンを駆動するモーターと、モーターを保持するモーターカバーと、モーターカバーを収容するケース部と、を含む送風部を備え、ケース部は、モーターカバーに固着された第1部材と、ファンが取り入れる空気が通流する空気取入口を有し、第1部材に着脱可能に連結された第2部材と、を有する構成とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、
前記ファンを駆動するモーターと、
前記モーターを保持するモーターカバーと、
前記モーターカバーを収容するケース部と、を含む送風部を備える送風機であって、
前記ケース部は、
前記モーターカバーに固着された第1部材と、
前記ファンが取り入れる空気が通流する空気取入口を有し、下側が開放された形状であり、前記第1部材に対して着脱可能な第2部材と、を有し、
前記第1部材は前記第2部材の開放部分に延びた形状である、
送風機。
【請求項2】
前記第1部材には、スリットが形成されており、
前記スリットに挿通され、前記モーターカバーを回転可能に支持する支持脚を含む支持部をさらに備える、
請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記第1部材のうち前記第2部材と接合する縁部は、互いに離間する一対の第1縦辺と、前記一対の第1縦辺を繋ぐ第1横辺と、を含み、
前記第2部材のうち前記第1部材と接合する縁部は、前記第1縦辺と対向する一対の第2縦辺と、前記第1横辺に対向する第2横辺と、を含み、
前記第1縦辺には、凹部が形成されており、
前記第2縦辺には、前記凹部に嵌合する凸部が形成されており、
前記凸部は、テーパー面を有する先細り形状となっている
請求項1または2に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、サーキュレーターなどの送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空間の空気を撹拌し循環させるために利用されるサーキュレーターがあった。特許文献1には、背面の空気取入口4から前面の空気吹出口5まで連通する空気流路3を有し、空気流路3内に配置した送風ファン6によって空気流を作り出し、空気流によって室内空気を循環させるサーキュレータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のサーキュレーターは、背面のカバーに設けられた空気取入口から空気を取り込むが、ファンに異物が接触することを防止するため、空気取入口は複数のリブによって区画された構成となっている。一方で、サーキューレーターを使用していると、このリブに塵埃が堆積し、空気の流れが悪くなったり、衛生的でなくなったりすることがある。しかしながら、背面のカバーは、ファン及びファンを回転させるモーターを支持するモーターカバーに固着されたうえで、支持脚がカバーに挿通されていたため、背面のカバーを丸ごと取り外すことが困難で、リブに堆積した塵埃の除去が困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような送風機を提供する。
【0006】
本発明の一態様は、ファンと、ファンを駆動するモーターと、モーターを保持するモーターカバーと、モーターカバーを収容するケース部と、を含む送風部を備える送風機である。ケース部は、モーターカバーに固着された第1部材と、ファンが取り入れる空気が通流する空気取入口を有し第1部材に着脱可能に連結された第2部材と、を有する。
【0007】
上記構成の送風機によれば、第1部材を含む送風機本体から第2部材を取り外すことができるため、第2部材の空気取入口に堆積した塵埃を除去したり、第2部材を清掃したりすることが容易になる。
【0008】
上記送風機において好ましくは、ケース部のスリットに挿通され、モーターカバーに枢着された支持脚を含む支持部をさらに備える。
【0009】
上記構成の送風機によれば、支持脚に対してモーターカバーを回転させることでファンの向きを容易に回転させることができるため、配置された空間の空気を効果的に循環させやすい構成とすることができる。
【0010】
上記送風機において、上記スリットが第1部材に形成される構成とすることが好ましい。
【0011】
上記構成の送風機によれば、スリットを第1部材と第2部材との間に設ける必要がなくなり、第1部材と第2部材と間の寸法誤差などが原因となる支持脚と他部材との干渉を防
止しやすい構成とすることができる。
【0012】
上記送風機において好ましくは、第1部材及び第2部材は、接合部の断面において、それぞれ一方の面側に対して他方の面側が突出しており、第1部材の凸部が第2部材の凹部と対向し、第1部材の凹部が第2部材の凸部と対向するよう、互いに接合している。
【0013】
上記構成の送風機によれば、第1部材と第2部材とをインロー構造で接合される構成となるため、第1部材と第2部材との間の隙間を目立たないようにすることができる。また、第1部材と第2部材との間に多少の隙間があったとしても、がたつきが生じたりすることを抑制することができる。特に、第1部材及び第2部材が樹脂で形成された場合、多少の歪みなどの製造ばらつきが生じやすいため効果的である。また、第1部材と第2部材とが接合するそれぞれの端部の強度を高め、破損しづらくすることができる。
【0014】
上記送風機において好ましくは、第2部材は下側が開放された形状であり、第1部材は第2部材の開放部分に延びた形状である。
【0015】
上記構成の送風機によれば、第1部材が第2部材の下側の開放部分をカバーする構成となり、第1部材が安定的に支持された構成とすることができる。
【0016】
上記送風機において好ましくは、第1部材及び第2部材は、互いの着脱方向に対向する面に、互いに嵌合する凸部と凹部とを有する。
【0017】
上記構成の送風機によれば、凸部と凹部とを嵌合させることで、第1部材と第2部材との位置決めを容易に行うことができる。特に、本発明の送風機では、ユーザーが第2部材を取り外すこととなり、その都度、第2部材を第1部材に取り付けることとなるため、このような位置決め容易な構成とすることが効果的である。
【0018】
上記送風機において好ましくは、第1部材と第2部材との接合部が、上下方向に延びる一対の縦辺と、縦辺の上端を連結する横辺とを有する。第1部材及び第2部材は、互いの着脱方向に対向する面に、互いに嵌合する第1凸部及び第1凹部と、第2凸部及び第2凹部とを有する。第1凸部及び第1凹部は縦辺に設けられ、第2凸部及び第2凹部は横辺に設けられる構成とする。
【0019】
上記構成の送風機によれば、第1部材と第2部材とのいずれかに縦方向または横方向の外力が作用した場合であっても、縦辺及び横辺に設けられ互いに嵌合した凸部及び凹部の作用により、がたつきを抑制することができる。
【0020】
上記送風機において好ましくは、凹部が長孔であり、凸部が、長孔に対応する位置に長孔に沿って延びるよう設けられた突条である。凸部は、長孔に対応する位置に長孔に沿って複数設けられた突条としてもよい。
【0021】
上記構成の送風機によれば、第1部材と第2部材との間に位置ずれが生じたとしても、凸部と凹部とを嵌合させることで容易に嵌合させることができる。特に、第1部材及び第2部材が樹脂で形成された場合、多少の歪みなどの製造ばらつきが生じやすいため効果的である。
【0022】
上記送風機において好ましくは、凸部と凹部の少なくとも一方が、対向する面に設けられた凹部または凸部と対向する位置にテーパー面を有する。
【0023】
上記構成の送風機によれば、凹部と凸部とを嵌合させやすい構成とすることができる。
また、凹部に対して凸部が圧入される構成とすることができ、第1部材と第2部材との間にがたつきが生じることを抑制することができる。
【0024】
上記送風機において好ましくは、第1部材には、第2部材との連結用のボルトが螺着されるネジ穴を有するナットが埋設され、第2部材は、ボルトを挿通する貫通孔を有する。
【0025】
上記構成の送風機によれば、第1部材と第2部材とを安定的に連結させることができる。また、第2部材を繰り返し第1部材から取り外したとしても、ネジ穴がつぶれてしまうことを防止することができる。また、ボルトとナットとの螺着により、送風機の運転により振動が生じたとしても第2部材が第1部材から脱落することを防止できる。
【0026】
上記送風機において好ましくは、ナットが、ネジ穴が形成された側の面の少なくとも一部が樹脂により覆われるよう第1部材に埋設された構成とする。
【0027】
上記構成の送風機によれば、連結用のナットを紛失してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、送風機を前方から見た外観斜視図である。
【
図2】
図2は、送風機を後方から見た外観斜視図である。
【
図6】
図6は、第2部材を取り外した送風機を後方から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、後方から見た送風機の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、前方から見た送風機の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、第1部材を外側(後方)から見た平面図である。
【
図10】
図10は、第2部材を内側(前方)から見た平面図である。
【
図11】
図11は、
図4のA-Aの位置における第1部材と第2部材との接合部分の断面図である。
【
図12】
図12は、
図4のB-Bの位置における第1部材と第2部材との接合部分の断面図である。
【
図13】
図13は、第2部材を取り外した変形例1の送風機を後方から見た斜視図である。
【
図14】
図14は、変形例2の送風機を前方から見た外観斜視図である。
【
図15】
図15は、変形例2の送風機を後方から見た外観斜視図である。
【
図16】
図16は、第2部材を取り外した変形例2の送風機を後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の送風機の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
【0030】
[実施形態1]
[外観]
図1~
図5は送風機1の外観図である。
図1は前方から見た斜視図、
図2は後方から見た斜視図、
図3は正面図、
図4は背面図、
図5は上面図である。送風機1は、球面グリル構造により風速強化を図るとともに、球面形状の進化形デザインによりコンパクトに見えるよう構成されている。
【0031】
送風機1は、図示されるように、送風部2と支持部3とを有する。送風部2は支持部3により支持される。
【0032】
送風機1では、送風部2は、上下に延びる軸方向に対する周方向に回動可能に、支持部3によって支持される。換言すると、送風部2が支持部3に対して横方向に回動可能である。本明細書ではこれを、送風部2が左右首振り機能を有する、ということがある。また、送風部2は、支持部3に対して上下方向にも回動可能である。
【0033】
送風部2は、前後の中間位置で分割可能なフロントケース21及びリアケース22を含む、外殻が球体状のケース部20を備える。ケース部20はフロントケース21とリアケース22とに分割可能である。そのため、フロントケース21およびリアケース22の製造が容易になるうえ、製造時にケース部20の内部への部品の配置を容易に行うことができる。
【0034】
[各部の具体的構成]
[送風部]
図6は、リアケース22の第1部材221から第2部材222を取り外した送風機1を後方から見た斜視図である。
図7及び
図8は送風機1の分解斜視図であって、
図7は後方から見た図、
図8は前方から見た図である。
【0035】
上記のとおり、送風部2は、フロントケース21及びリアケース22を含むケース部20を備える。送風部2は、ケース部20の内側に、ファン27、モーター28、及びモーターカバー29を収容する。
【0036】
フロントケース21は、
図7及び
図8に示すように、球殻の前側半分の前方部分を切断したような形状に形成されており、前方に開口する円形の開口部21aを有している。このフロントケース21は、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で形成することができる。そして、この円形の開口部21aに球面のグリル23が後方から嵌め込まれている。すなわち、フロントケース21は、正面側に送風口2aが形成されたグリル23を有する。
【0037】
フロントケース21は、リアケース22の第1部材221と着脱可能に連結される。なお、フロントケース21が第1部材221に固定された状態で連結されてもよいが、着脱可能にすると、ファン27を清掃しやすくなる点などで有用である。フロントケース21は、第2部材222と着脱可能に連結されてもよい。ただし、清掃などの際には第2部材222が第1部材221から取り外されるため、取り外し容易にするために、フロントケース21が第2部材222と連結されない構成としてもよい。フロントケース21は、第1部材221を介してモーターカバー29に連結され、モーターカバー29が支持脚33に連結されているため、フロントケース21は、第1部材221及びモーターカバー29を介して、支持脚33により支持されている、ということができる。
【0038】
グリル23は、例えば、耐衝撃性の高い合成樹脂材料で形成された前面パネルである。本実施形態では、グリル23は、渦巻き状のフィン24を複数有しており、複数のフィン24が渦巻きの中心部Oに向かうにつれて次第に突出するように凸湾曲状に形成されている。グリル23をこのような構成にすることで、グリル23の後方から風を送りグリル23を空気流が通過すると、渦を巻きながら直進するスパイラル気流が生じる。本実施形態では、グリル23は、前面が球面の一部をなすように形成されている。なお、フィン24は、送風を案内するためのものであり、「送風案内板」と呼ぶことがある。
【0039】
このように、送風機1では、グリル23を含むフロントケース21により、送風部2の前側の半球が形成されている。
【0040】
リアケース22は、球殻の前側半分の後側部分を切断したような形状に形成されており、フロントケース21と連結されることでケース部20となる。リアケース22は、第1部材221及び第2部材222を含む。リアケース22は、第1部材221及び第2部材222に設けられた複数の桟22aによって半球状に形成され、リアケース22のほぼ全面にわたって、外気を取り込むための空気取入口22bが形成されている。リアケース22は、フロントケース21と同様に、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で形成することができる。
【0041】
図9は、第1部材221を外側(後方)から見た図である。
図4及び
図9に示されるように、第1部材221は、球面に沿って上下方向に延びた形状である。第1部材221の第2部材222との接合部分となる縁部は、互いに平行な縦辺221a及び221bの上端が湾曲する横辺221cで連結され、逆U字状となっている。第1部材221のフロントケース21との接合部分となる縁部221dは、フロントケース21に対向して円弧状に延びる。
【0042】
第1部材221は、固定された状態でモーターカバー29に支持される。すなわち、第1部材221は、モーターカバー29を介して、支持脚33により固着される。第1部材221の縁部221dが位置する下端は、支持部3とは当設せず、浮いた状態になっている。第1部材221には、支持脚33が挿通された、上下方向に延びる2つのスリット2211が形成される。2つのスリット2211は、それぞれ第1部材221の湾曲形状に沿っており、背面から見ると互いに平行に直線状に延びている。送風機1は、支持部3に対して送風部2が上下方向に回動する上下首振り構造を有しており、スリット2211が設けられることで上下首振りの際に支持脚33が第1部材221と干渉しない構造になっている。スリット2211が第1部材221に設けられると、組み立て時の位置決め精度を出しやすくすることができる。スリット2211は、フロントケース21との接合部分となる縁部221dまで延びる形状であってもよいし、この縁部221dから離れた位置から形成されてもよい。
【0043】
図10は、第2部材222を内側(前方)から見た図である。
図4及び
図10に示されるように、第2部材222は、第1部材221と連結することで半球状になる形状を有している。第2部材222は、第1部材221に着脱可能に連結される。第2部材222は、フロントケース21との接合部分となる外縁が円状であり、第1部材221との接合部分となる内縁が、下側が開放された逆U字状である。第2部材222は第1部材221によって支持されているため、第2部材222の下側に第1部材221が位置する本実施形態のような配置にすると、安定性が増すため好ましい。
【0044】
第2部材222の内縁部は、第1部材221と同様、互いに平行な縦辺222a及び222bの上端が湾曲する横辺222cで連結された形状である。つまり、第1部材221は、第2部材の開放部分に延びた形状であるともいえる。第2部材222は、第1部材221から取り外されることで送風機1から取り外され、単体で清掃することができ、必要に応じて水洗いをすることもできる。
【0045】
(第1部材221と第2部材222との接合)
上記のように、第1部材221と第2部材222とは下側が開放された逆U字状に接合する。
【0046】
図11は、
図4のA-Aの位置における、第1部材221と第2部材222との接合部
分を含む断面図である。接合部分において、第1部材221は、内面側に凸部2212を有し、外面側に凹部2213を有する。第2部材222は、内面側に凹部2223を有し、外面側に凸部2222を有する。内面側では、第1部材221の凸部2212と、第2部材222の凹部2223とが対向する。外面側では、第2部材の凸部2222と、第1部材221の凹部2213とが対向する。この接合部分において、第1部材221と第2部材222との内面及び外面は、いずれも連続している。すなわち、第1部材221と第2部材222との接合部分は断面が階段状のインロー構造となっている。言い換えると、第1部材221と第2部材222とは接合部分において厚さ方向に重なり合うよう配置され、重なり合った部分の厚さが第1部材221及び第2部材222の他の部分と同程度になるよう、接合部分における第1部材221及び第2部材222の厚さが薄くなっている。
【0047】
送風機1のリアケース22では、上記のように第1部材221と第2部材222とをインロー構造で接合される構成となっているため、接合部の隙間を目立たないようにすることができる。また、このインロー構造により、第1部材221と第2部材222との間に多少の隙間があったとしても、がたつきが生じることを抑制することができる。特に、第1部材221及び第2部材222が樹脂で形成された場合、多少の歪みなどの製造ばらつきが生じやすいため効果的である。さらに、このインロー構造により、第1部材221と第2部材222とが接合するそれぞれの端部の強度を高め、破損しづらくすることができる。
【0048】
図9に示されるように、第1部材221の第2部材222と接合する縁部は、縦辺221a及び221bと、横辺221cとからなる。一方、
図10に示されるように、第2部材222の第1部材221と接合する縁部は、縦辺222a及び222bと、横辺222cとからなる。縦辺221aと222a、縦辺221bと222b、及び横辺221cと222cとは互いに対向する。第1部材221の縦辺221aには凹部2214が形成され、縦辺221bには凹部2215が形成され、横辺221cには凹部2216及び2217が形成される。第2部材222の縦辺222aには凸部2224が形成され、縦辺222bには凸部2225が形成され、横辺222cには凸部2226及び2227が形成される。つまり、凹部2214~2217は長孔であり、凸部2224~2227は長孔に沿って延びるよう設けられた突条である。凹部2214~2217は、貫通孔であってもよいし、底を有する溝であってもよい。凹部2214と凸部2224、凹部2215と凸部2225、凹部2216と凸部2226、及び凹部2217と凸部2227は、互いに対向する位置に形成されており、第1部材221と第2部材222とが連結した状態では互いに嵌合する。
【0049】
このように、第1部材221及び第2部材222が、それぞれ凹部2214~2217及び凸部2224~2227を有する構成とすることで、両者の位置決めを容易に行うことができる。特に、送風機1ではユーザーが第2部材222を第1部材221から取り外すこととなり、その都度、第2部材222を第1部材221に取り付けることとなるため、このような位置決め容易な構成とすることが効果的である。また、第1部材221と第2部材222との間に多少の位置ずれが生じたとしても、凸部と凹部とを嵌合させることで容易に連結させることができる。特に、第1部材221及び第2部材222が樹脂で形成された場合、多少の歪みなどの製造ばらつきが生じやすいため効果的である。なお、第1部材221が凸部を有し、第2部材222が凹部を有する構成であってもよい。
【0050】
上記の例では、凸部2224~2227が、凹部2214~2217の長孔に沿って延びるよう設けられた突条であったが、長孔に沿って複数設けられた突条であってもよい。
【0051】
図12は、
図4のB-Bの位置における、第1部材221と第2部材222との接合部
分の断面図である。
図12に示されるように、第2部材222の凸部2224及び2225は、第1部材221の凹部2214及び2215にそれぞれ嵌合している。凸部2224及び2225は、その角部分が丸められて先細りの形状になっており、テーパー面を有している。第1部材221の凹部2216及び2217と、第2部材222の凸部2226及び2227も同様に嵌合しており、凸部2226及び2227はテーパー面を有する先細り形状である。
【0052】
このように第2部材222の凸部2224~2227がテーパー面を有する構成とすることで、嵌合させる際にテーパー面の案内作用により、第1部材221と第2部材222とを嵌合させやすい構成となる。
【0053】
なお、第1部材221と第2部材222との凹部及び凸部による嵌合構造において、凸部を凹部に圧入するような構成としてもよい。このような構成にすると、第1部材221に対して第2部材222の位置がより安定する。
【0054】
図6及び
図9に示されるように、第1部材221は、金属製のナットが埋設されて形成されたネジ穴2218及び2219を有する。ナットは、樹脂製の第1部材221が成形される際にインサート成形で埋設される。これにより、ネジ穴2218が形成された側のナットの面のネジ穴2218を除く少なくとも一部が、第1部材221を形成する樹脂により覆われた状態で、ナットが第1部材221に埋設される。一方、
図6及び
図10に示されるように、第2部材222は、第1部材221のネジ穴2218及び2219に対向する位置に、それぞれ貫通孔2228及び2229を有する。第1部材221と第2部材222とが連結されるとき、ボルトが第2部材222の貫通孔2228及び2229を挿通してネジ穴2218及び2219に螺合することで螺着する。
【0055】
このようにボルトとナットとの螺着によって第1部材221と第2部材222とを連結されることで、安定して連結させることができる。また、第1部材221と第2部材222との着脱を繰り返しても、ネジ穴がつぶれてしまうことを防止できる。また、ボルトとナットとの螺着により、送風機1の運転により振動が生じたとしても第2部材222が第1部材221から脱落することを防止できる。さらに、第1部材221にナットをインサート成形により埋設すると、連結用のナットを紛失してしまうことを防止できる。また、着脱可能な第2部材222ではなく第1部材221に金属製のナットを埋設すると、第2部材222は樹脂のみで形成することができる。このような構成は、第2部材222を水洗いしても金属部材に錆が生じるおそれがないため好ましい。
【0056】
以上、第1部材221と第2部材222との接合の機構について説明したが、必ずしもこれらの構成に限定されるものではない。
【0057】
例えば、第1部材221と第2部材222とを接合または嵌合するための構成が逆であってもよいし、部分的に逆であってもよい。具体的には、第1部材221の凹部2214~2217と、第2部材222の凸部2224~2227との凹凸を逆にする構成、または4つのうちの2つの凹凸を逆にする構成を採用してもよい。
【0058】
ところで、ケース部20は、グリル23が嵌め込まれたフロントケース21とリアケース22とが嵌着されることで、球体形状となる。このように、送風部2の外観を球体形状とすれば、洗練された見た目とすることができるうえ、角がなくなることで、よりコンパクトな見た目とすることができる。また、見た目のかわいらしさやおしゃれ感をアップさせることもできる。
【0059】
なお、グリル23は、複数のフィン24の隙間から手指が入るのを防止すると共にグリ
ル23の補強も兼ねて、各フィン24と交差する円形のリングによって複数のフィン24を支持した構成としてもよい。
【0060】
グリル23の外周縁部には、円筒状の風洞部26が設けられている。この風洞部26は、ファン27の周方向外側に設けられた円筒状の部材であり、風洞部26の内径が、送風口2aの内径と略等しくなるようにしている。すなわち、送風機1では、グリル23の風洞部26が設けられた部位よりも内側が送風部2の送風口2aとなっている。送風機1では、送風部2の内部に円筒状の風洞部26を設けることで、サーキュレーター特有の作用である風の指向性及び直進性を確保している。
【0061】
モーター28は、ファン27を駆動する。モーター28は、モーター本体28a、及びモーター本体28aから前方に突出する出力軸28bを備えている。出力軸28bの先端にはファン27が取り付けられている。モーター28を駆動させると出力軸28bが回転し、これによってファン27が出力軸28bを中心として回転する。
【0062】
モーターカバー29はモーター28を保持している。具体的には、出力軸28bがモーターカバー29の挿通孔291に挿通された状態で、モーター本体28aがモーターカバー29に覆われて保持されている。モーターカバー29には、リアケース22の第1部材221が固定された状態で取り付けられ、支持部3の支持脚33が回転自在に連結される。
【0063】
このように、モーターカバー29を介してモーター28及びファン27をリアケース22に取り付けた状態で、リアケース22をグリル23が嵌め込まれたフロントケース21に嵌着させることで、内部に送風機構が組み込まれた送風部2が形成される。
【0064】
[支持部]
支持部3は、床面等の設置面に載置されるものであり、この支持部3には電源コード80が取り付けられている。また、支持部3は、
図8に示すように、上方に送風部2が配置される本体部分と、本体部分に固定されて、ケース部20の内部で送風部2を支持する一対の支持脚33と、を備える。
【0065】
支持部3の本体部分は、平面視における大きさが、送風部2の平面視における大きさとほぼ同じ大きさ、またはそれ以下の大きさとなるようにするのが好ましい。こうすれば、送風機1の平面視における大きさを、
図5に示すように、支持部3を、送風部2の平面視における大きさとほぼ同等とすることができ、送風機1の全体が大きくなりすぎてしまうことを抑制することができる。なお、支持部3の本体部分の平面視における大きさを、送風部2の平面視における大きさとほぼ同じ大きさとすれば、送風機1の転倒を抑制しつつ、送風機1の小型化を図ることができるようになる。すなわち、送風機1の小型化を図りつつ、送風機1をより安定的に載置できるようになる。
【0066】
支持部3の本体部分は、
図7及び
図8に示すように、平面視で円形状に形成された台座下部31と、台座下部31に嵌着可能な台座上部32と、を有している。台座下部31も台座上部32も、外面を形成するカバーは、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で形成することができる。
【0067】
支持部3の本体部分は、内部が空洞であり、この内部に回路基板及び左右首振り機構などが収容されている。
【0068】
また、台座上部32のカバーにおける中心よりも後方には、一本脚形状の支柱部321が垂直に立設されている。台座上部32のカバーにおける支柱部321よりも前方には、
操作パネル323が配置されている。そして、支柱部321の上面322の上方には、送風部2が上面322との間に隙間が設けられた状態で配置されている。
【0069】
操作パネル323には、例えば、電源の切/入を切り替える電源ボタン、送風部2の風量調節を行う風量ボタン、左右首振りのオン/オフを切り替える首振りボタンなどが設けられている。
【0070】
支持脚33は、
図8に示すように、リアケース22のスリット2211に挿通された状態で、上下方向に回動可能にモーターカバー29に枢着されている。支持脚33の下端は、支持部3の本体部分の台座上部32に固定される。
【0071】
具体的には、モーターカバー29の幅方向の両側に、円筒状の軸部を介して支持脚33の上側が連結される。これにより、モーターカバー29は、一対の支持脚33によって挟持された状態で、支持部3に対して上下方向に回動可能に支持される。モーターカバー29は、モーター28を保持しており、モーター28にはファン27が連結している。また、モーターカバー29は、第1部材221と固定されている。第1部材221は、フロントケース21に固定され、第2部材222と着脱可能に連結される。つまり、支持脚33に対してモーターカバー29が上下方向に回動すると、支持部3に固定された支持脚33に対して、モーターカバー29、モーター28、ファン27、ならびにフロントケース21及びリアケース22を含むケース部20を備える送風部2が、上下方向に回動することとなる。
【0072】
なお、支持脚33とモーターカバー29とが連結される軸部は、送風機1を側面から見たときに、平面視で円形となるケース部20の中央近傍に設けられることが好ましい。これによれば、球体状のケース部20の中心部分を軸に、上下方向に回動可能となる。
【0073】
すなわち、送風機1では、一対の支持脚33に枢着されたモーターカバー29を支持部3に対して回動させることで、送風部2の全体が支持部3に対して上下に回動するように構成される。このとき、支持脚33はスリット2211が形成された領域で回動するため、送風部2の上下方向の可動域はスリット2211の長さで決定される。
【0074】
なお、モーターカバー29は、支持脚33に対して、図示しないモーターによって上下方向に回動する構成としてもよいし、手動で上下方向に回動する構成としてもよい。モーターによってモーターカバー29が上下方向に回動する構成では、ファン27を回動させるモーター28に加え、支持脚33と連結された軸部を回動させるモーターを備える。
【0075】
送風機1は、左右方向に首振りをさせ、送風方向を変化させる左右首振り機構を備える。左右首振り機構は、台座上部32の内部に設けられた図示しないモーターを含んで構成される。左右首振り機構のモーターは、上下方向に延びる回転軸を回動させる。台座下部31と台座上部32とは、この回動軸を介在して連結される。そのため、左右首振り機構のモーターが回動すると、台座下部31に対して台座上部32を左右方向に回動させる。台座上部32には支持脚33が固定され、支持脚33にはモーターカバー29が連結される。すなわち、左右首振り機構のモーターが回動すると、支持部3に対して送風部2が左右方向に旋回し、首振りを行う。
【0076】
[変形例]
また、送風機は、上述の実施形態の送風機1の構成に限られるものではなく、例えば、
図13に示すように、リアケース22の第1部材221と第2部材222とが着脱不能の一体となっており、リアケース22が送風機1本体から着脱可能な構成としてもよい。この場合、フロントケース21はリアケース22を介して支持脚33により支持されている
ため、フロントケース21も送風部2の本体から着脱自在になる。この構成では、リアケース22を取り外す際に支持脚33と干渉しないようスリット2211が形成される。例えば、スリット2211の下端を開放させておけば良い。このような構成にすると、ケース部20の全体を支持部3から取り外して清掃などすることが可能となる。
【0077】
また、送風機は、例えば、
図14~
図16に示す送風機1Aのような構成としてもよい。
図14及び
図15は、変形例の送風機1Aの斜視図であって、
図14は前方から見た図、
図15は後方から見た図である。
図16は、リアケース22Aの第1部材221Aから第2部材222Aを取り外した送風機1Aを後方から見た斜視図である。
【0078】
送風機1Aは、ケース部20Aの外殻が球体状ではなく、前方に向かって次第に径が大きくなる円筒状である。ケース部20Aは、前後の中間位置で分割可能なフロントケース21A及びリアケース22Aを含む。リアケース22Aは、第1部材221A及び第2部材222Aを含んで構成される。第2部材222Aは、第1部材221Aに着脱可能に取り付けられる。第1部材221Aは送風機1の第1部材221と、第2部材222Aは送風機1の第2部材222Aと、外形以外の構成は共通である。
【0079】
また、実施形態の送風機1では、スリット2211が第1部材221にされていたが、このような態様に限定されるものではない。スリット2211は、第2部材222に形成されてもよいし、第1部材221と第2部材222との間に形成されてもよい。ただし、スリット2211を第2部材222に形成する場合には、第2部材222を第1部材221から取り外す際に、スリット2211と支持脚33とが干渉しないよう、スリット2211が開放された形状にする必要がある。具体的には、スリット2211の下端が第2部材222の縁部まで延び、この縁部が開放された構成とする。
【0080】
[送風機の特徴]
本明細書で説明した送風機1は、リアケース22の第2部材222が第1部材221に着脱可能に連結された構成であるため、送風機1から第2部材222を取り外すことができる。この構成により、第2部材222を取り外して、空気取入口22bに堆積した塵埃を除去したり、第2部材222を清掃したりすることが容易になっている。
【0081】
以上、本発明の実施形態及び変形例についての具体的な説明を行った。これらの実施形態及び変形例は、あくまで本発明の一構成例及び一動作例としての具体例であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に留まらず、同様の技術思想に基づいて当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【符号の説明】
【0082】
1、1A…送風機
2…送風部
2a…送風口
20、20A…ケース部
21、21A…フロントケース
21a…開口部
22、22A…リアケース
221…第1部材
2211…スリット
2212…凸部
2213…凹部
2214~2217…凹部
2218…ネジ穴
222…第2部材
2222…凸部
2223…凹部
2224~2227…凸部
2228…貫通孔
22a…桟
22b…空気取入口
23…グリル
24…フィン
26…風洞部
27…ファン
28…モーター
28a…モーター本体
28b…出力軸
29…モーターカバー
291…挿通孔
3…支持部
31…台座下部
32…台座上部
321…支柱部
322…上面
323…操作パネル
33…支持脚
80…電源コード