(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020666
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】建具構造および建具の施工方法
(51)【国際特許分類】
E06B 3/54 20060101AFI20240206BHJP
E06B 1/12 20060101ALI20240206BHJP
E06B 7/16 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
E06B3/54 A
E06B1/12 A
E06B7/16 Z
E06B1/12 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213099
(22)【出願日】2023-12-18
(62)【分割の表示】P 2019231125の分割
【原出願日】2019-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】浅井 洋一
(57)【要約】
【課題】建具の意匠性を向上することができる建具構造および建具の施工方法を提供する。
【解決手段】縦枠材28と横枠材27とを枠組みした枠部2と、枠部2の内部に設けられるガラスパネル3(パネル体)と、を有し、横枠材27は、ガラスパネル3の上端部31または下端部32を固定する溝部4(パネル固定部)を有し、縦枠材28の側面28aは、平坦面であり、ガラスパネル3の側端部33が対向して配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠材と横枠材とを枠組みした枠部と、
前記枠部の内部に設けられるパネル体と、を有し、
前記横枠材は、前記パネル体の上端部または下端部を固定するパネル固定部を有し、
前記縦枠材の側面は、平坦面であり、前記パネル体の側端部が対向して配置される建具構造。
【請求項2】
前記縦枠材の側面と前記パネル体の側端部との間には、シール材が充填される請求項1に記載の建具構造。
【請求項3】
前記縦枠材の側面と前記パネル体の側端部との間には、前記パネル体の側端部が挿入される端部材が前記縦枠材の側面と接触して設けられる請求項1に記載の建具構造。
【請求項4】
前記パネル固定部は、前記パネル体の上端部または下端部が挿入される溝部を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建具構造。
【請求項5】
縦枠材と横枠材とを枠組みした枠部の内部にパネル体を設置する建具の施工方法において、
前記横枠材は、前記パネル体を固定するパネル固定部を有し、
前記縦枠材の側面は、平坦面であり、
前記パネル体の側端部を前記縦枠材の側面と対向させて配置し、
前記パネル体の上端部および下端部を前記横枠材の前記パネル固定部に固定する建具の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具構造および建具の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
方立と無目で枠組みされた枠体の内部にガラスなどのパネル体が設けられる建具構造では、方立および無目に設けられた溝部にパネル体が嵌め込まれている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。特許文献1に開示された建具構造の方立は、パネル体が嵌め込まれる溝部が方立の側面よりも内側に設けられている。非特許文献1に開示された建具構造の方立は、側方にパネル体が嵌め込まれる溝部が形成された溝部材が接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】株式会社LIXIL、「INSHOP FRONT」ウェブカタログ(カタログコードFD4400)、2019年10月10日、p.8、https://webcatalog.lixil.co.jp/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&catalogId=12270210000&pageGroupId=&volumeID=LXL13001&designID=newinter>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された建具構造では、方立にパネル体を嵌め込む溝部を形成するため、すっきりとしたデザインになるが、方立の幅寸法が大きくなる。非特許文献1に開示された建具構造では、特許文献1に開示された建具構造よりも方立の幅寸法を小さくできるが、方立に溝部材を接合するため溝部材が意匠的に目立ってしまい更なる改善の余地がある。
【0006】
本開示は、建具の意匠性を向上することができる建具構造および建具の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具構造は、縦枠材と横枠材とを枠組みした枠部と、前記枠部の内部に設けられるパネル体と、を有し、前記横枠材は、前記パネル体の上端部または下端部を固定するパネル固定部を有し、前記縦枠材の側面は、平坦面であり、前記パネル体の側端部が対向して配置される。
【0008】
本発明に係る建具の施工方法は、縦枠材と横枠材とを枠組みした枠部の内部にパネル体を設置する建具の施工方法において、前記横枠材は、前記パネル体を固定するパネル固定部を有し、前記縦枠材の側面は、平坦面であり、前記パネル体の側端部を前記縦枠材の側面と対向させて配置し、前記パネル体の上端部および下端部を前記横枠材の前記パネル固定部に固定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】第2実施形態による建具の水平断面図である。
【
図6】実施形態の変形例による建具の鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態による建具構造は、建物の躯体11に固定された建具1の構造である。建具1は、室内外または室内の一方側と他方側とを仕切る壁面を構成している。建具1の面に沿った水平方向を幅方向(図面の矢印Xの方向)とし、幅方向に直交する水平方向(図面の矢印Yの方向)を見込み方向とする。図面における矢印Zの方向は、上下方向である。
【0011】
建具1は、枠部2と、枠部2の内部に設けられるガラスパネル3(パネル体)と、を有している。枠部2は、一対の縦枠21,22と、下枠23と、上枠24と、方立25と、無目26と、を有している。一対の縦枠21,22は、それぞれ上下方向に延びる部材で、幅方向に間隔をあけて設けられている。一対の縦枠21,22のうち幅方向の一方側に設けられる縦枠を第1縦枠21とし、他方側に設けられる縦枠を第2縦枠22とする。下枠23は、幅方向に延びる部材で、一方の端部が第1縦枠21の下端部に接合され、他方の端部が第2縦枠22の下端部に接合されている。上枠24は、幅方向に延びる部材で、一方の端部が第1縦枠21の上端部に接合され、他方の端部が第2縦枠22の上端部に接合されている。方立25は、上下方向に延びる部材で、下端部が下枠23の幅方向の中間部と接合され、上端部が上枠24の幅方向の中間部と接合されている。無目26は、幅方向に延びる部材で、第1縦枠21と方立25との間、方立25と第2縦枠22との間それぞれに設けられている。無目26は、幅方向の端部が第1縦枠21または第2縦枠22と、方立25とに接合されている。本実施形態では、一対の縦枠21,22、下枠23および上枠24が躯体11に固定されている。
【0012】
一対の縦枠21,22、下枠23、上枠24、方立25および無目26は、例えば、アルミニウムや樹脂の形材などである。ガラスパネル3は、一対の縦枠21,22、上枠24、下枠23、方立25および無目26に囲まれた空間に嵌め込まれている。幅方向に延びる上枠24、下枠23および無目26には、ガラスパネル3の上端部31または下端部32が挿入される溝部4が形成されている。上下方向に延びる一対の縦枠21,22および方立25には、ガラスパネルを取り付けるための溝部が形成されていない。以下では、上枠24、下枠23および無目26を横枠材27と表記し、一対の縦枠21,22および方立25を縦枠材28と表記することがある。
【0013】
図2および
図3に示すように、方立25は、上下方向全体にわたって略同じ水平断面形状に形成されている。方立25の水平断面形状は、幅方向よりも見込み方向に長い長方形である。方立25の側面における幅方向を向く一対の方立側面25a,25aは、それぞれ見込み方向全体にわたって平坦面に形成されている。
【0014】
方立25は、互いに固定された第1方立部材51と、第2方立部材52と、を有している。第1方立部材51および第2方立部材52は、互いに同じ形状で、上下方向に延び、水平断面形状が略L字形状の部材である。
【0015】
第1方立部材51は、L字形の一方の片となる第1方立板部53と、他方の片となる第2方立板部54と、を有している。第1方立板部53は、平板状に形成され、板面が幅方向を向く向きに配置される。第2方立板部54は、平板状に形成され、板面が見込み方向を向く向きに配置される。第2方立板部54は、第1方立板部53の見込み方向の一方側の端部から幅方向の他方側に突出している。第1方立板部53の見込み方向の寸法は、方立25の見込み方向の寸法である。第2方立板部54の幅方向の寸法は方立25の幅方向の寸法である。
【0016】
第1方立板部53の見込み方向の他方側の端部近傍、すなわち第2方立板部54が接続されていない側の端部近傍に第1突出部55が設けられている。第1突出部55は、第1方立板部53の見込み方向の他方側の端部よりも少し見込み方向の一方側となる位置から幅方向の他方側に突出し、更に見込み方向の他方側に突出している。第1方立部材51には、第1方立板部53と第1突出部55とに囲まれ見込み方向の他方側に開口する溝部551が形成されている。この溝部551を方立部材溝部551とする。第1方立板部53の見込み方向の中間部には、幅方向の他方側に突出する第2突出部56が設けられている。第2突出部56は、第1方立板部53の見込み方向の中間部から幅方向の他方側に突出する第1突出片561と、第1突出片561の先端部から更に見込み方向の一方側に突出する第2突出片562と、を有している。第2方立板部54の幅方向の他方側の端部近傍、すなわち第1方立板部53と接続されていない側の端部近傍には、見込み方向の他方側に突出する第3突出部57が設けられている。第3突出部57は、第2方立板部54の幅方向の他方側の端部よりも少し幅方向の一方側となる位置に設けられている。
【0017】
第2方立部材52は、上述しているように第1方立部材51と同じ部材で、第1方立部材51を鉛直軸回りに180°回転させた向きに配置される。第2方立部材52は、第1方立板部53の板面が幅方向を向き、第2方立板部54が第1方立板部53の見込み方向の他方側の端部から幅方向の一方側に突出している。第1方立部材51と第2方立部材52とは、それぞれの第1方立板部53同士が対向し、それぞれの第2方立板部54同士が対向して配置される。第1方立部材51の第1方立板部53の見込み方向の他方側の端部と、第2方立部材52の第2方立板部54の幅方向の一方側の端部と、が略直角を成すように突き合わされている。第2方立部材52の第1方立板部53の見込み方向の一方側の端部と、第1方立部材51の第2方立板部54の幅方向の他方側の端部と、が略直角を成すように突き合わされている。
【0018】
第1方立部材51の第3突出部57が第2方立部材52の方立部材溝部551に挿入され、第2方立部材52の第3突出部57が第1方立部材51の方立部材溝部551に挿入されている。これにより、第1方立部材51と第2方立部材52とが接合されている。第1方立部材51の第2突出片562の幅方向の他方側の面と、第2方立部材52の第1方立板部53の幅方向の一方側の面と、が面接触し、第2方立部材52の第2突出片562の幅方向の一方側の面と、第1方立部材51の第1方立板部53の幅方向の他方側の面と、が面接触している。
【0019】
図3に示すように、第1縦枠21および第2縦枠22は、方立25と同様に形成されている。第1縦枠21は、第1縦枠21の幅方向の一方側の躯体11にネジなどの固定具で固定されている。第2縦枠22は、第2縦枠22の幅方向の他方側の躯体11にネジなどの固定具で固定されている。第1縦枠21の幅方向の他方側を向く第1縦枠側面21a、および第2縦枠22の幅方向の一方側を向く第2縦枠側面22aは、それぞれ平坦面に形成されている。それぞれ幅方向を向く第1縦枠21の第1縦枠側面21a、第2縦枠22の第2縦枠側面22a、方立25の方立側面25aを縦枠材28の側面28aと表記することがある。
【0020】
図2および
図4に示すように、無目26は、無目本体261と、無目本体261に取り付けられた4つの押縁6と、を有している。無目本体261は、幅方向全体にわたって略同じ鉛直断面形状に形成されている。無目本体261の鉛直断面形状は、幅方向よりも見込み方向に長い形状である。無目本体261の見込み方向の寸法は、方立25の見込み方向の寸法と略同じに設定されている。無目本体261は、上下方向に対称な形状であるとともに、見込み方向にも対称な形状となっている。
【0021】
無目本体261は、中空の部材である。無目本体261は、上板部71と、下板部72と、第1端板部73と、第2端板部74と、第1中間板部75と、第2中間板部76と、を有している。上板部71は、無目本体261の上端部に配置される。下板部72は無目本体261の下端部に配置される。上板部71および下板部72の見込み方向の寸法は、無目本体261の見込み方向の寸法となっている。すなわち、上板部71および下板部72の見込み方向の寸法は、方立25の見込み方向の寸法と略同じに設定されている。
【0022】
第1端板部73、第2端板部74、第1中間板部75および第2中間板部76は、それぞれ平板状に形成され、板面が見込み方向を向く向きに配置されている。第1端板部73は、無目本体261の見込み方向の一方側の端部に配置され、上板部71の見込み方向の一方側の端部および下板部72の見込み方向の一方側の端部と接続されている。第2端板部74は、無目本体261の見込み方向の他方側の端部に配置され、上板部71の見込み方向の他方側の端部および下板部72の見込み方向の他方側の端部と接続されている。第1中間板部75は、無目本体261の見込み方向の中間部において上板部71と下板部72との間に配置され、上端部が上板部71と接続され、下端部が下板部72と接続されている。第2中間板部76は、無目本体261の見込み方向の中間部において上板部71と下板部72との間に配置され、上端部が上板部71と接続され、下端部が下板部72と接続されている。第1中間板部75は、第2中間板部76よりも見込み方向の一方側に間隔をあけて配置されている。
【0023】
上板部71は、見込み方向の一方側から他方側に向かって、第1無目板部761、第1押縁取付板部762、溝形成板部763、第2押縁取付板部764、第2無目板部765が設けられている。見込み方向に隣り合う板部は、接続されている。第1無目板部761と第2無目板部765とは、見込み方向に対称な形状で、第1押縁取付板部762と第2押縁取付板部764とは、見込み方向に対称な形状である。第1無目板部761と第2無目板部765とは、同じ高さに配置されている。第1押縁取付板部762と第2押縁取付板部764とは、第1無目板部761および第2無目板部765よりもやや下側において、互いに同じ高さに配置されている。溝形成板部763は、第1無目板部761および第2無目板部765よりもやや上側に配置されている。
【0024】
第1無目板部761と第1押縁取付板部762との接続部分には、段部が形成されている。第1無目板部761の第2押縁取付板部764側(見込み方向の他方側)の端部には、上方に突出し更に見込み方向の他方側に突出する第1本体爪部766が形成されている。第1押縁取付板部762と溝形成板部763との接続部分には、段部が形成されている。溝形成板部763の第1押縁取付板部762側(見込み方向の一方側)の端部には、見込み方向の一方側に突出する第2本体爪部767が形成されている。
【0025】
溝形成板部763と第2押縁取付板部764との接続部分には、段部が形成されている。溝形成板部763の第2押縁取付板部764側(見込み方向の他方側)の端部には、見込み方向の他方側に突出する第3本体爪部768が形成されている。第2押縁取付板部764と第2無目板部765との接続部分には、段部が形成されている。第2無目板部765の第2押縁取付板部764側(見込み方向の一方側)の端部には、上方に突出し更に見込み方向の一方側に突出する第4本体爪部769が形成されている。
【0026】
下板部72は、上板部71と上下対称の形状となっている。下板部72の各部位は、上板部71の各部位と同じ名称、符号で表記する。
【0027】
押縁6は、上板部71の第1押縁取付板部762および第2押縁取付板部764の上、下板部72の第1押縁取付板部762および第2押縁取付板部764の下にそれぞれに取り付けられている。上板部71および下板部72の第1押縁取付板部762に取り付けられる押縁6を第1押縁61とし、第2押縁取付板部764に取り付けられる押縁6を第2押縁62とする。第1押縁61と第2押縁62とは見込み方向に間隔をあけて配置されている。第1押縁61は、第2押縁62の見込み方向の一方側に配置されている。第1押縁61と第2押縁62とは、同じ形状の部材で、無目本体261に取り付けられる向きが異なっている。第1押縁61と第2押縁62とは、無目本体261に取り付けられると、見込み方向に対称な形状となる。以下では、上板部71の第1押縁取付板部762に取り付けられる第1押縁61について詳細な形状を説明する。
【0028】
第1押縁61は、断面形状がC字形の形材で、下側に開口し、見込み方向に延びる向きで第1押縁取付板部762の上に設置される。第1押縁61は、上側に板面が水平となるように配置される第1押縁板部63と、第1押縁板部63の見込み方向の一方側の端部から下側に突出する第2押縁板部64と、第1押縁板部63の見込み方向の他方側の端部から下側に突出する第3押縁板部65と、を有している。第2押縁板部64の下端部には、見込み方向の他方側に突出し更に下側に突出する第1押縁爪部66が形成されている。第3押縁板部65の下端部には、下側に向かって漸次見込み方向の他方側に延びて、更に見込み方向の他方側に突出する第2押縁爪部67が形成されている。第1押縁61は、第1押縁取付板部762の上に設置されて、第1押縁爪部66が無目本体261の第1本体爪部766と固定され、第2押縁爪部67が無目本体261の第2本体爪部767と固定される。これにより、第1押縁61は、無目本体261に固定される。
【0029】
上板部71に取り付けられる第2押縁62は、上述しているように、上板部71に取り付けられる第1押縁61と見込み方向に対称となる向きで第2押縁取付板部764の上に設置される。上板部71に取り付けられる第2押縁62は、第1押縁爪部66が無目本体261の第4本体爪部769と固定され、第2押縁爪部67が無目本体261の第3本体爪部768と固定される。これにより、上板部71に取り付けられる第2押縁62は、無目本体261に固定される。
【0030】
第1押縁61および第2押縁62が無目本体261の上板部71に固定されると、第1押縁61の第3押縁板部65、第2押縁62の第3押縁板部65および無目本体261の上板部71の溝形成板部763によって上に開口し、幅方向に延びる溝部4が形成される。この溝部4には、無目26の上に配置されるガラスパネル3の下端部32が挿入されて、固定される。溝部4には、ガラスパネル3を設置するためのスペーサやシール材などが適宜設置される。
【0031】
下板部72には、下側から第1押縁61および第2押縁62が取り付けられる。下板部72への第1押縁61および第2押縁62の取付構造は、上板部71への第1押縁61および第2押縁62の取付構造と上下対称となっている。下板部72に第1押縁61および第2押縁62が取り付けられると、無目26には、下に開口し幅方向に延びる溝部4が形成される。溝部4には、無目26の下に配置されるガラスパネル3の上端部31が挿入されて、固定される。溝部4には、ガラスパネル3を設置するためのスペーサやシール材などが適宜設置される。
【0032】
図4に示すように、下枠23は、下枠本体231と、下枠本体231の上に取り付けられた押縁6と、を有している。下枠23および上枠24に設けられる押縁は、無目26に設けられる押縁6と同じ形状の部材を用いている。このため、下枠23および上枠24に設けられる押縁および押し縁の各部位についても、無目26に設けられる押縁6と同じ名称、符号で説明する。
【0033】
下枠本体231は、無目本体261の下板部72を平板状の下枠下板部232に変えた形状に形成されている。下枠本体231の上板部71は、無目本体261の上板部71と同様に第1押縁61および第2押縁62が取り付けられる。下枠下板部232は、躯体11の上に設置される。下枠23は、下枠本体231に第1押縁61および第2押縁62が固定されると、上側に開口する溝部4が形成される。溝部4には、下枠23の上に配置されるガラスパネル3の下端部32が挿入されて、固定される。溝部4には、ガラスパネル3を設置するためのスペーサやシール材などが適宜設置される。
【0034】
上枠24は、上枠本体241と、上枠本体241の下に取り付けられた押縁6と、を有している。上枠本体241は、無目本体261の上板部71を平板状の上枠上板部242に変えた形状に形成されている。上枠本体241の下板部72は、無目本体261の下板部72と同様に第1押縁61および第2押縁62が取り付けられる。上枠上板部242は、躯体11の下に設置される。上枠24は、上枠本体241に第1押縁61および第2押縁62が固定されると、下側に開口する溝部4が形成される。溝部4には、上枠24の下に配置されるガラスパネル3の上端部31が挿入されて、固定される。溝部4には、ガラスパネル3を設置するためのスペーサやシール材などが適宜設置される。
【0035】
ガラスパネル3は、下端部32が下側に配置される横枠材27(下枠23または無目26)の溝部4に上側から挿入され、上端部31が上側に配置される横枠材27(上枠24または無目26)の溝部4に下側から挿入されて横枠材27に固定される。ガラスパネル3の側端部33(幅方向の端部を示す)は、縦枠材28(縦枠21,22または方立25)の側面28aと対向して配置される。ガラスパネル3の側端部33と、縦枠材28の側面28aとの間には、シール材81が充填されている。
【0036】
第1実施形態の建具の施工方法について説明する。
枠部2を設置する。枠部2の内側にガラスパネル3を仮固定する。横枠材27に第1押縁61および第2押縁62を取り付けて溝部4を形成し、溝部4にガラスパネル3の上端部31および下端部32を挿入し、ガラスパネル3の側端部33を縦枠材28の側面28aと対向させた状態とする。溝部4にシール材を充填してガラスパネル3を横枠材27に固定する。ガラスパネル3の側端部33と縦枠材28の側面28aとの間にシール材81を充填する。
【0037】
上記の第1実施形態による建具構造および建具の施工方法では、縦枠材28(第1縦枠21、第2縦枠22、方立25)の側面28aは、平坦面に形成されて、ガラスパネル3を固定するための溝部が無く、ガラスパネル3の側端部33が対向して配置される。このように、縦枠材28に溝部を形成したり、溝部が形成された部材を接合したりする必要が無いため、縦枠材28の幅方向の寸法を小さくすることができて、建具1の意匠性を向上させることができる。
【0038】
上記の第1実施形態による建具構造では、縦枠材28の側面28aとガラスパネル3の側端部33との間には、シール材81が充填されている。これにより、縦枠材28の側面28aとガラスパネル3との隙間を塞ぐことができる。
【0039】
上記の第1実施形態による建具構造では、横枠材27は、ガラスパネル3の上端部31または下端部32が挿入される溝部4を有することにより、横枠材27にガラスパネル3を容易に固定することができる。
【0040】
上記の第1実施形態による建具構造では、ガラスパネル3の側端部33は、縦枠材28の側面28aと対向させる構成であるため、方立25に対して見込み方向の任意の位置にガラスパネル3を設置することができる。これにより、縦枠材28に対して、溝部4の見込み方向の位置の異なる横枠材27を取り付けることができる。その結果、ガラスパネル3の見込み方向の位置をアレンジしたり、調整したりすることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図5に示すように、第2実施形態による建具構造の建具1Bは、ガラスパネル3Bの側端部33に端部材82が取り付けられて、端部材82が縦枠材28の側面28aと接触している。端部材82は、ガラスパネル3Bの側端部33の上下方向全体に取り付けられている。端部材82は、樹脂や金属などで形成されている。
【0042】
第2実施形態の建具の施工方法では、ガラスパネル3Bに予め端部材82を取り付けてから、ガラスパネル3Bを枠部2の内側に仮固定し、第1実施形態と同様に、横枠材27に固定する。第2実施形態では、ガラスパネル3Bの側端部33と縦枠材28の側面28aとの間にシール材を充填しない。
【0043】
上述した第2実施形態による建具構造および建具の施工方法は、第1実施形態と同様の効果を奏する。第2実施形態による建具構造は、縦枠材28の側面28aとガラスパネル3Bの側端部33との間には、ガラスパネル3Bの側端部33が挿入される端部材82が縦枠材28の側面28aと接触して設けられる。これにより、乾式工法でガラスパネル3Bを枠部2に設置することができるため、建具1Bを容易に施工することができる。
【0044】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、枠部2は、一対の縦枠21,22、上枠24、下枠23、方立25、無目26で枠組みされているが、縦枠材28および横枠材27で枠組みされていれば、一対の縦枠21,22、上枠24、下枠23など、必要部材で枠組みされていてもよい。また、開口部を有する建具や、開口部を開閉する障子を有する建具において、開口部と上下方向や幅方向に隣接部分に、上記の実施形態の建具構造が採用されていてもよい。枠部2の内部に設けられるパネル体は、ガラスパネル3以外の板状の部材であってもよい。
【0045】
上記の実施形態では、縦枠材28の側面28aとガラスパネル3の側端部33との間には、シール材81や端部材82が設けられているが、シール材81や端部材82に代わる部材が設けられていてもよいし、縦枠材28の側面28aとガラスパネル3の側端部33との間にシール材81や端部材82などの部材が設けられていなくてもよい。
上記の実施形態では、ガラスパネル3の上端部31および下端部32を溝部4に挿入して固定しているが、ガラスパネル3の上端部31および下端部32を横枠材27に固定する固定部は、溝部4以外の形態であってもよい。
【0046】
上記の実施形態では、溝部4は、横枠材27の本体(無目本体261、上枠本体241、下枠本体231)の上または下に見込み方向に間隔をあけて取り付けられた第1押縁61と第2押縁62との間に形成されている。これに対し、
図6に示す建具1Cのように、無目26Cの無目本体261C、下枠23Cの下枠本体231Cに見込み方向を向く見付面41が形成され、この見付面41と見込み方向に間隔をあけるように無目本体261C、下枠本体231Cに押縁6Cが取り付けられて、見付面41と押縁6Cとの間にガラスパネル3の下端部32が挿入される溝部4Cが形成されてもよい。ガラスパネル3の上端部31が挿入される溝部4が上記のように形成されてもよい。
【0047】
上記の実施形態では、溝部4は、横枠材27の本体と押縁6によって形成されているが、
図6に示す上枠24や無目26の下部側に形成された溝部4Dのように、押縁を用いずに、上枠24Cの上枠本体241Cや無目26Cの無目本体261Cに直接形成されていてもよい。
図6に示すように、横枠材27Cに押縁6Cが設けられている場合は、横枠材27Cの本体の上に取り付けられている押縁6Cの上面6aが横枠材27Cの本体の上面27bと同じ高さとなるようにして、押縁6Cが横枠材27Cの本体から上側に突出しないようにしてもよい。横枠材27Cの本体の上に取り付けられている押縁6Cの上面6aが横枠材27Cの本体の上面27bよりも下側となるようにして、押縁6Cが横枠材27Cの本体から上側に突出しないようにしてもよい。横枠材27の本体の下に押縁6が取り付けられる場合は、押縁6の下面が横枠材27の本体の下面と同じ高さ、または横枠材27の本体の下面よりも上側となるようにして、押縁6が横枠材27の本体から下側に突出しないようにしてもよい。
【0048】
上記の実施形態では、方立25と無目26とは、見込み方向の寸法が同じ寸法に設定されているが、
図6に示す建具1Cのように、無目26Cの見込み方向の寸法が方立25の見込み方向の寸法よりも小さく設定されていてもよい。また、方立25の見込み方向の寸法が、無目26の見込み方向の寸法よりも小さく設定されていてもよい。上記の実施形態では、建具1は、躯体11に固定されているが、躯体11に固定されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,1B,1C 建具、2 枠部、3,3B ガラスパネル(パネル体)、4,4C,
4D 溝部(パネル固定部)、21 第1縦枠(縦枠材)、22 第2縦枠(縦枠材)、
23 下枠(横枠材)、24 上枠(横枠材)、25 方立(縦枠材)、26,26C
無目(横枠材)、27 横枠材、28 縦枠材、28a 側面、31 上端部、32 下
端部、33 側端部、81 シール材、82 端部材