(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020689
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 14/00 20060101AFI20240207BHJP
G11C 11/16 20060101ALI20240207BHJP
H10B 61/00 20230101ALI20240207BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20240207BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
G11C14/00 230
G11C11/16 240
G11C11/16 230
H01L27/105 447
H01L43/08 Z
H01L29/82 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123051
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【弁理士】
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】阪井 塁
(72)【発明者】
【氏名】平賀 啓三
(72)【発明者】
【氏名】肥後 豊
(72)【発明者】
【氏名】細見 政功
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119BB01
4M119CC05
4M119DD05
4M119DD09
4M119DD32
4M119JJ03
4M119JJ04
5F092AB08
5F092AC12
5F092AD03
5F092AD23
5F092AD25
5F092AD30
5F092BB23
5F092BB24
5F092BB34
5F092BB43
5F092BB44
5F092BC03
5F092BC08
5F092CA02
5F092CA03
(57)【要約】
【課題】揮発性記憶部に保持されているデータを電圧駆動に基づいて不揮発性記憶部にストア可能とする。
【解決手段】記憶装置は、データを相補的に保持する揮発性記憶部と、揮発性記憶部に相補的に保持されたデータを保持する電圧制御型磁気抵抗効果素子とを備える。揮発性記憶部と電圧制御型磁気抵抗効果素子との間に接続され、揮発性記憶部と電圧制御型磁気抵抗効果素子との間の抵抗が可変な可変抵抗素子をさらに備えてもよい。可変抵抗素子は、電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が互いに略等しくなるように抵抗を変化させてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを相補的に保持する揮発性記憶部と、
前記揮発性記憶部に相補的に保持されたデータを保持する電圧制御型磁気抵抗効果素子と
を具備する記憶装置。
【請求項2】
前記揮発性記憶部と前記電圧制御型磁気抵抗効果素子との間に接続され、前記揮発性記憶部と前記電圧制御型磁気抵抗効果素子との間の抵抗が可変な可変抵抗素子をさらに具備する
請求項1記載の記憶装置。
【請求項3】
前記可変抵抗素子は、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が互いに略等しくなるように抵抗を変化させる
請求項2記載の記憶装置。
【請求項4】
前記可変抵抗素子は、ゲート電圧に基づいてオン抵抗が変化する電界効果トランジスタである
請求項2記載の記憶装置。
【請求項5】
前記電界効果トランジスタは、前記可変抵抗素子として用いられるだけでなく、前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアするストアトランジスタおよび前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアするリストアトランジスタとしても用いられる
請求項4記載の記憶装置。
【請求項6】
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に前記電界効果トランジスタに印加される第1ゲート電圧と、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に前記電界効果トランジスタに印加される第2ゲート電圧とを切り替えるゲート電圧切替部を
さらに具備する請求項4記載の記憶装置。
【請求項7】
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に高抵抗状態にある場合、前記第1ゲート電圧に基づいて、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子の磁化方向を反転させる反転電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に低抵抗状態にある場合、前記第1ゲート電圧に基づいて、前記反転電圧よりも小さな電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に低抵抗状態にある場合、前記第2ゲート電圧に基づいて、前記反転電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に高抵抗状態にある場合、前記第2ゲート電圧に基づいて、前記反転電圧よりも大きな電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加される
請求項6記載の記憶装置。
【請求項8】
VCMA(Voltage Controlled Magnetic Anisotropy)効果に基づいて前記電圧制御型磁気抵抗効果素子の磁化方向を反転させる反転電圧を印加する電圧ドライバを
さらに具備する請求項6記載の記憶装置。
【請求項9】
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子は、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加される同一極性の電圧の段階的な変化に基づいて、前記揮発性記憶部に相補的に保持されたデータに応じた低抵抗状態および高抵抗状態がそれぞれストアされる
請求項8記載の記憶装置。
【請求項10】
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子は、前記揮発性記憶部に相補的に保持されるデータに応じて互いに異なる抵抗状態が設定される第1電圧制御型磁気抵抗効果素子および第2電圧制御型磁気抵抗効果素子を備え、
前記電圧ドライバは、前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子および前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に対し、前記揮発性記憶部に相補的に保持されるデータに対応したノード電圧に応じて第1駆動電圧を印加した後に第2駆動電圧を印加し、
前記第1駆動電圧は、前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に反転電圧が印加されるとともに、前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子の垂直磁気異方性が増大するように設定され、
前記第2駆動電圧は、前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に反転電圧が印加されるとともに、前記反転電圧よりも小さな電圧が前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加されるように設定される
請求項8記載の記憶装置。
【請求項11】
前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に前記反転電圧が印加されるときに、前記ノード電圧の差分だけ前記反転電圧よりも高い電圧が前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、
前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に前記反転電圧が印加されるときに、前記ノード電圧の差分だけ前記反転電圧よりも低い電圧が前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加される
請求項10記載の記憶装置。
【請求項12】
前記反転電圧よりも小さな電圧は0Vである
請求項10記載の記憶装置。
【請求項13】
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子は、
磁化方向が固定されたピン層と、
電圧に基づいて誘起された磁気の磁化方向が反転可能なフリー層と、
前記ピン層と前記フリー層との間に挟まれたトンネルバリア層と
を備える請求項10記載の記憶装置。
【請求項14】
前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、
前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加された後、
前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、
前記ピン層に印加される電圧よりも低い電圧が前記フリー層に印加される
請求項13記載の記憶装置。
【請求項15】
前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、
前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加された後、
前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、
前記ピン層に印加される電圧よりも高い電圧が前記フリー層に印加される
請求項13記載の記憶装置。
【請求項16】
前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、
前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加された後、
前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、
前記フリー層に印加される電圧よりも低い電圧が前記ピン層に印加される
請求項13記載の記憶装置。
【請求項17】
前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、
前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加された後、
前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、
前記フリー層に印加される電圧よりも高い電圧が前記ピン層に印加される
請求項13記載の記憶装置。
【請求項18】
前記揮発性記憶部はラッチ回路である
請求項1記載の記憶装置。
【請求項19】
前記揮発性記憶部はフリップフロップである
請求項1記載の記憶装置。
【請求項20】
前記揮発性記憶部はSRAM(Static Random Access Memory)である
請求項1記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、記憶装置に関する。詳しくは、本技術は、不揮発性記憶部が揮発性記憶部に設けられた記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源異常や電源断が発生しても、揮発性記憶部に保持されたデータが消失しないようにするために、揮発性記憶部が設けられたメモリセルに不揮発性記憶部を追加した記憶装置がある。このような記憶装置として、例えば、データを記憶する双安定回路と、双安定回路に記憶されたデータを不揮発的にストアし、不揮発的にストアされたデータを双安定回路にリストアする不揮発性素子とを備える構成がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、不揮発性素子にデータをストアする場合、不揮発性素子を電流駆動し、ストアされるデータに応じて互いに逆向きの電流を不揮発性素子に流していた。このため、不揮発性素子によっては、データのストア時に流れる電流が大きくなり、消費電力の増大を招くおそれがあった。
【0005】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、揮発性記憶部に保持されているデータを電圧駆動に基づいて不揮発性記憶部にストア可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、データを相補的に保持する揮発性記憶部と、前記揮発性記憶部に相補的に保持されたデータを保持する電圧制御型磁気抵抗効果素子とを具備する記憶装置である。これにより、揮発性記憶部に保持されているデータが電圧駆動に基づいて不揮発性記憶部にストアされるという作用をもたらす。
【0007】
また、第1の側面において、前記揮発性記憶部と前記電圧制御型磁気抵抗効果素子との間に接続され、前記揮発性記憶部と前記電圧制御型磁気抵抗効果素子との間の抵抗が可変な可変抵抗素子をさらに具備してもよい。これにより、電圧制御型磁気抵抗効果素子の低抵抗書込み時の低抵抗状態を維持しつつ、高抵抗状態から低抵抗状態に遷移されるとともに、高抵抗書込み時の高抵抗状態を維持しつつ、低抵抗状態から高抵抗状態に遷移されるという作用をもたらす。
【0008】
また、第1の側面において、前記可変抵抗素子は、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が互いに略等しくなるように抵抗を変化させてもよい。これにより、電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加される同一極性のセル電圧に基づいて電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータが書込まれるという作用をもたらす。
【0009】
また、第1の側面において、前記可変抵抗素子は、ゲート電圧に基づいてオン抵抗が変化する電界効果トランジスタでもよい。これにより、電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が互いに等しくなるという作用をもたらす。
【0010】
また、第1の側面において、前記電界効果トランジスタは、前記可変抵抗素子として用いられるだけでなく、前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアするストアトランジスタおよび前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアするリストアトランジスタとしても用いられてもよい。これにより、回路構成の簡易化を図りつつ、電圧制御型磁気抵抗効果素子と揮発性記憶部との間のストアおよびリストアが可能になるという作用をもたらす。
【0011】
また、第1の側面において、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に前記電界効果トランジスタに印加される第1ゲート電圧と、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に前記電界効果トランジスタに印加される第2ゲート電圧とを切り替えるゲート電圧切替部をさらに具備してもよい。これにより、ゲート電圧の切り替えに基づいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子の低抵抗状態および高抵抗状態の書込みが実施されるという作用をもたらす。
【0012】
また、第1の側面において、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に高抵抗状態にある場合、前記第1ゲート電圧に基づいて、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子の磁化方向を反転させる反転電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に低抵抗状態にある場合、前記第1ゲート電圧に基づいて、前記反転電圧よりも小さな電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に低抵抗状態にある場合、前記第2ゲート電圧に基づいて、前記反転電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に高抵抗状態にある場合、前記第2ゲート電圧に基づいて、前記反転電圧よりも大きな電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加されてもよい。これにより、電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加される同一極性のセル電圧に基づいて電圧制御型磁気抵抗効果素子に相補的にデータが書込まれるという作用をもたらす。
【0013】
また、第1の側面において、VCMA(Voltage Controlled Magnetic Anisotropy)効果に基づいて前記電圧制御型磁気抵抗効果素子の磁化方向を反転させる反転電圧を印加する電圧ドライバをさらに具備してもよい。これにより、VCMA効果に基づいて電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータが書込まれるという作用をもたらす。
【0014】
また、第1の側面において、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子は、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加される同一極性の電圧の段階的な変化に基づいて、前記揮発性記憶部に相補的に保持されたデータに応じた低抵抗状態および高抵抗状態がそれぞれストアされてもよい。これにより、電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加される同一極性のセル電圧に基づいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子に低抵抗状態および高抵抗状態がそれぞれストアされるという作用をもたらす。
【0015】
また、第1の側面において、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子は、前記揮発性記憶部に相補的に保持されるデータに応じて互いに異なる抵抗状態が設定される第1電圧制御型磁気抵抗効果素子および第2電圧制御型磁気抵抗効果素子を備え、前記電圧ドライバは、前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子および前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に対し、前記揮発性記憶部に相補的に保持されるデータに対応したノード電圧に応じて第1駆動電圧を印加した後に第2駆動電圧を印加し、前記第1駆動電圧は、前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に反転電圧が印加されるとともに、前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子の垂直磁気異方性が増大するように設定され、前記第2駆動電圧は、前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に反転電圧が印加されるとともに、前記反転電圧よりも小さな電圧が前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加されるように設定されてもよい。これにより、第1駆動電圧に基づいて第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に書込まれたデータが破壊されることなく、第2駆動電圧に基づいて第2電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータが書込まれるという作用をもたらす。
【0016】
また、第1の側面において、前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に前記反転電圧が印加されるときに、前記ノード電圧の差分だけ前記反転電圧よりも高い電圧が前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に前記反転電圧が印加されるときに、前記ノード電圧の差分だけ前記反転電圧よりも低い電圧が前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加されてもよい。これにより、揮発性記憶部に相補的に保持されるデータに対応したノード電圧に応じて第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に書込まれたデータが破壊されることなく、第2電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータが書込まれるという作用をもたらす。
【0017】
また、第1の側面において、前記反転電圧よりも小さな電圧は0Vでもよい。これにより、第2電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータが書込まれるときに、第1電圧制御型磁気抵抗効果素子の磁化方向の反転が防止されるという作用をもたらす。
【0018】
また、第1の側面において、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子は、磁化方向が固定されたピン層と、電圧に基づいて誘起された磁気の磁化方向が反転可能なフリー層と、前記ピン層と前記フリー層との間に挟まれたトンネルバリア層とを備えてもよい。これにより、電圧駆動に基づいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子の磁化方向が反転されるという作用をもたらす。
【0019】
また、第1の側面において、前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加された後、前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加され、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、前記ピン層に印加される電圧よりも低い電圧が前記フリー層に印加されてもよい。これにより、低抵抗書込み時の低抵抗状態が破壊されることなく、低抵抗書込み後に高抵抗書込みが実施されるという作用をもたらす。
【0020】
また、第1の側面において、前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加された後、前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加され、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、前記ピン層に印加される電圧よりも高い電圧が前記フリー層に印加されてもよい。これにより、高抵抗書込み時の高抵抗状態が破壊されることなく、高抵抗書込み後に低抵抗書込みが実施されるとともに、垂直磁気異方性が増大するようにリストア時に電圧がかかるという作用をもたらす。
【0021】
また、第1の側面において、前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加された後、前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加され、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、前記フリー層に印加される電圧よりも低い電圧が前記ピン層に印加されてもよい。これにより、負電圧なしで高抵抗書込みを可能としつつ、高抵抗書込み時の高抵抗状態が破壊されることなく、高抵抗書込み後に低抵抗書込みが実施されるとともに、垂直磁気異方性が増大するようにリストア時に電圧がかかるという作用をもたらす。
【0022】
また、第1の側面において、前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加された後、前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加され、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、前記フリー層に印加される電圧よりも高い電圧が前記ピン層に印加されてもよい。これにより、負電圧なしで低抵抗書込みを可能としつつ、低抵抗書込み時の低抵抗状態が破壊されることなく、低抵抗書込み後に高抵抗書込みが実施されるという作用をもたらす。
【0023】
また、第1の側面において、前記揮発性記憶部はラッチ回路でもよい。これにより、ラッチ回路に不揮発性記憶機能が付加されるという作用をもたらす。
【0024】
また、第1の側面において、前記揮発性記憶部はフリップフロップでもよい。これにより、フリップフロップに不揮発性記憶機能が付加されるという作用をもたらす。
【0025】
また、第1の側面において、前記揮発性記憶部はSRAM(Static Random Access Memory)でもよい。これにより、SRAMに不揮発性記憶機能が付加されるという作用をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る記憶装置のラッチ動作の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る記憶装置の第1ストア動作の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る記憶装置の第2ストア動作およびリストア動作の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る記憶装置のストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図6】第1の実施の形態に係る記憶装置のリストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図7】第2の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【
図8】第2の実施の形態に係る記憶装置のラッチ動作の一例を示す図である。
【
図9】第2の実施の形態に係る記憶装置の第1ストア動作の一例を示す図である。
【
図10】第2の実施の形態に係る記憶装置の第2ストア動作の一例を示す図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る記憶装置のリストア動作の一例を示す図である。
【
図12】第2の実施の形態に係る記憶装置のストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図13】第2の実施の形態に係る記憶装置のリストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図14】第3の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【
図15】第3の実施の形態に係る記憶装置のラッチ動作の一例を示す図である。
【
図16】第3の実施の形態に係る記憶装置の第1ストア動作の一例を示す図である。
【
図17】第3の実施の形態に係る記憶装置の第2ストア動作の一例を示す図である。
【
図18】第3の実施の形態に係る記憶装置のリストア動作の一例を示す図である。
【
図19】第3の実施の形態に係る記憶装置のストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図20】第3の実施の形態に係る記憶装置のリストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図21】第4の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【
図22】第4の実施の形態に係る記憶装置の第1ストア動作の一例を示す図である。
【
図23】第4の実施の形態に係る記憶装置の第2ストア動作の一例を示す図である。
【
図24】第4の実施の形態に係る記憶装置のリストア動作の一例を示す図である。
【
図25】第4の実施の形態に係る記憶装置のストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図26】第4の実施の形態に係る記憶装置のリストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図27】第5の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【
図28】第5の実施の形態に係る記憶装置の変形例を示す図である。
【
図29】第6の実施の形態に係る記憶装置の全体的な構成例を示すブロック図である。
【
図30】第6の実施の形態に係る記憶装置のメモリセルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(ラッチ回路に電圧制御型磁気抵抗効果素子を設け、電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に駆動電圧を印加し、ラッチ回路の順論理を電圧制御型磁気抵抗効果素子にストアした例)
2.第2の実施の形態(ラッチ回路に電圧制御型磁気抵抗効果素子を設け、電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に駆動電圧を印加し、ラッチ回路の逆論理を電圧制御型磁気抵抗効果素子にストアした例)
3.第3の実施の形態(ラッチ回路に電圧制御型磁気抵抗効果素子を設け、電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に駆動電圧を印加し、ラッチ回路の順論理を電圧制御型磁気抵抗効果素子にストアした例)
4.第4の実施の形態(ラッチ回路に電圧制御型磁気抵抗効果素子を設け、電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に駆動電圧を印加し、ラッチ回路の逆論理を電圧制御型磁気抵抗効果素子にストアした例)
5.第5の実施の形態(フリップフロップに電圧制御型磁気抵抗効果素子を設けた例)
6.第6の実施の形態(SRAMに電圧制御型磁気抵抗効果素子を設けた例)
【0028】
<1.第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【0029】
同図において、記憶装置100は、ラッチセル101、ゲート電圧切替部105および電圧ドライバ106を備える。ラッチセル101は、ラッチ回路102と、可変抵抗回路103と、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124と、インバータ104とを備える。
【0030】
なお、ラッチ回路102は、特許請求の範囲に記載の揮発性記憶部の一例である。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、不揮発性記憶部の一例である。このとき、不揮発性記憶部は、揮発性記憶部に揮発的に保持されているデータを不揮発的に保持することができる。また、不揮発性記憶部は、不揮発性記憶部が不揮発的に保持しているデータを揮発性記憶部に書き戻すことができる。なお、ここで言う揮発的は、データの保持に電力を要することを言う。また、ここで言う不揮発的は、データの保持に電力を要しないことを言う。
【0031】
なお、本明細書では、揮発性記憶部に保持されているデータを不揮発性記憶部に書込む処理をストア、不揮発性記憶部に保持されているデータを揮発性記憶部に書き戻す処理をリストアと言う。
【0032】
ラッチ回路102は、データを相補的に保持する。このとき、ラッチ回路102は、双安定回路として動作し、データを揮発的に保持することができる。ラッチ回路102は、データを相補的に保持する揮発性記憶ノードNおよびNBを備える。各揮発性記憶ノードNおよびNBは、データを揮発的に保持する。このとき、ラッチ回路102は、入力データINをラッチし、その入力データINに応じた論理値を各揮発性記憶ノードNおよびNBに相補的に保持し、インバータ104を介して出力データOUTとして出力することができる。なお、ここで言う相補的は、揮発性記憶ノードNにデータ‘0’が保持されるときは、揮発性記憶ノードNBにデータ‘1’が保持され、揮発性記憶ノードNにデータ‘1’が保持されるときは、揮発性記憶ノードNBにデータ‘0’が保持される関係を言う。
【0033】
ラッチ回路102は、インバータ112および122を備える。各インバータ112および122は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタで構成することができる。例えば、各インバータ112および122は、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとの直列接続にて構成してもよい。
【0034】
インバータ112の入力はインバータ122の出力に接続され、インバータ122の入力はインバータ112の出力に接続される。このとき、インバータ112の入力とインバータ122の出力との接続点に揮発性記憶ノードNを設け、インバータ122の入力とインバータ112の出力との接続点に揮発性記憶ノードNBを設けることができる。
【0035】
各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、VCMA(Voltage Controlled Magnetic Anisotropy)効果を持つ。このとき、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、VC-MRAM(Voltage Controlled Magnetoresistive Random Access Memory)として動作することができる。ここで、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態は、低抵抗状態と高抵抗状態とをとることができる。このとき、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、VCMA効果に基づいて磁化方向を反転させることで、低抵抗状態と高抵抗状態との間を遷移することができる。
【0036】
各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ピン層141、トンネルバリア層142およびフリー層143を備える。トンネルバリア層142は、ピン層141とフリー層143との間に挟まれている。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141は、MOSトランジスタ113および123にそれぞれ接続される。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143は、駆動端子NDに接続される。
【0037】
ピン層141は、磁気異方性を有するとともに磁化方向が不変の層である。このピン層141は、例えば、CoFeB、CoFeC合金、NiFeB合金及びNiFeC合金等により構成することができる。また、ピン層141は、非磁性層を介して複数の強磁性層を積層した積層フェリピン構造でもよい。この積層フェリピン構造の磁化固定層を構成する強磁性層の材料としては、Co、CoFe、CoFeB等を用いることができる。また、非磁性層の材料としては、Ru、Re、Ir、Os等を用いることができる。
【0038】
ピン層141は、反強磁性層および強磁性層の反強磁性結合を利用することにより、その磁化の向きが固定された構成にすることができる。反強磁性層の材料としては、FeMn合金、PtMn合金、PtCrMn合金、NiMn合金、IrMn合金、NiO及びFe2O3等の磁性体を挙げることができる。また、これらの磁性体に、Ag、Cu、Au、Al、Si、Bi、Ta、B、C、O、N、Pd、Pt、Zr、Hf、Ir、W、Mo、Nb等の非磁性元素を添加することもできる。
【0039】
トンネルバリア層142は、フリー層143に電界を掛けて電圧制御磁気異方性効果を付与する。このトンネルバリア層142は、Mg、Al、Ti、Si、Zn、Zr、Hf、Ta、Bi、Cr、Ga、La、Gd、Sr、Baの群から選択された少なくとも1種の元素の酸化物、もしくはMg、Al、Ti、Si、Zn、Zr、Hf、Ta、Bi、Cr、Ga、La、Gd、Sr、Baの群から選択された少なくとも1種の元素の窒化物により構成することができる。また、MgF2、CaF、SrTiO2、AlLaO3、AlNO等の絶縁体、誘電体および半導体を用いて構成してもよい。これらの層を積層してもよい。なお、トンネルバリア層142の厚さは、0.6nm以上に構成すると好適である。
【0040】
フリー層143は、磁気異方性を有するとともに、電圧に基づいて誘起された磁気の磁化方向が反転可能である。また、フリー層143は、VCMA効果を有する層である。フリー層143の磁化方向がピン層141の磁化方向と同じ状態および異なる状態は、それぞれ平行状態及び反平行状態と称される。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、平行状態の時に低抵抗状態になり、反平行状態の時に高抵抗状態になる。フリー層143は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124への電圧印加に基づいて磁化方向を変化させることができる。
【0041】
また、フリー層143は、コバルト鉄(CoFe)、コバルト鉄ボロン(CoFeB)、Fe、ホウ化鉄(FeB)等により構成することができる。また、フリー層143は、遷移金属(Hf、Ta、VWe、Ir、Pt、Au、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu)等を含んでもよい。また、フリー層143は、窒化物や酸化物を含んでもよい。また、磁性体への近接磁気モーメント誘起を起こす材料として、イリジウム(Ir)やオスミウム(Os)を使用することができる。なお、フリー層143に重金属を添加してVCMA効果を向上させてもよい。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にVCMA効果を持たせるために、フリー層143の厚さは、3.0nm以下に構成すると好適である。
【0042】
また、フリー層143は、非磁性層を介して複数の強磁性層が積層された積層構造を有してもよい。このとき、非磁性層を介して隣接する2つの強磁性層は、交換結合してもよい。この非磁性層には、Mg、Al、Ti、Si、Zn、Zr、Hf、Ta、Bi、Cr、Ga、La、Gd、Sr、Ba、VWe、Ir、Pt、Au、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、V、Mn、Ni及びCu等により構成することができる。
【0043】
ピン層141、トンネルバリア層142およびフリー層143の形成は、スパッタリング法、イオンビーム堆積法、真空蒸着法などのPVD(Physical Vapor Deposition)法でもよいし、ALD(Atomic Layer Deposition)法でもよいし、CVD(Chemical Vapor Deposition)法でもよい。また、ピン層141、トンネルバリア層142およびフリー層143のパターニングには、RIE(Reactive Ion Etching)法を用いてもよいし、イオンミリング法を用いてもよい。
【0044】
可変抵抗回路103は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とでセル電圧が互いに略等しくなるように抵抗を変化させる。なお、互いに略等しいは、互いに等しい場合だけでなく、数%程度のずれがある場合も含む。このときのセル電圧は反転電圧に等しい。反転電圧は、VCMA効果に基づいて各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の磁化方向を反転させる電圧である。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで反転電圧は互いに略等しい。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に反転電圧が印加されると、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の垂直磁気異方性は0になる。可変抵抗回路103は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124と、ラッチ回路102との間に配置される。
【0045】
可変抵抗回路103は、MOSトランジスタ113および123を備える。各MOSトランジスタ113および123は、ゲート電圧Vgに基づいてオン抵抗が変化する。MOSトランジスタ113は、電圧制御型磁気抵抗効果素子114と揮発性記憶ノードNとの間に接続される。MOSトランジスタ123は、電圧制御型磁気抵抗効果素子124と揮発性記憶ノードNBとの間に接続される。このとき、MOSトランジスタ113は、可変抵抗素子としてだけでなく、ラッチ回路102から電圧制御型磁気抵抗効果素子114にデータをストアするストアトランジスタおよび電圧制御型磁気抵抗効果素子114からラッチ回路102にデータをリストアするリストアトランジスタとしても用いることができる。また、MOSトランジスタ123は、可変抵抗素子としてだけでなく、ラッチ回路102から電圧制御型磁気抵抗効果素子124にデータをストアするストアトランジスタおよび電圧制御型磁気抵抗効果素子124からラッチ回路102にデータをリストアするリストアトランジスタとしても用いることができる。なお、MOSトランジスタ113および123は、特許請求の範囲に記載の可変抵抗素子の一例である。
【0046】
ゲート電圧切替部105は、電圧Vg0、Vg1およびVg2の間でゲート電圧Vgを切り替える。電圧Vg0は、各MOSトランジスタ113および123がオフするように設定される。電圧Vg0は、例えば、グランド電圧である。電圧Vg1は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124が低抵抗書込みされる場合に各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に印加されるセル電圧が反転電圧に等しくなるように設定される。電圧Vg2は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124が高抵抗書込みされる場合に各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に印加されるセル電圧が反転電圧に等しくなるように設定される。このとき、ゲート電圧切替部105は、ストア時に低抵抗書込みが実施された後に高抵抗書込みが実施されるようにゲート電圧Vgを切り替える。
【0047】
ゲート電圧切替部105は、抵抗制御スイッチ115を備える。抵抗制御スイッチ115は、切替信号Tg1に基づいて、電圧Vg0、Vg1およびVg2を切り替える。このとき、切替信号Tg1は、抵抗制御スイッチ115に対し、ラッチ動作時には電圧Vg0を選択させることができる。切替信号Tg1は、抵抗制御スイッチ115に対し、低抵抗書込み時には電圧Vg1を選択させ、高抵抗書込み時には電圧Vg2を選択させることができる。このとき、切替信号Tg1は、ストア時にVg1→Vg2という順序でゲート電圧Vgを切り替える。抵抗制御スイッチ115は、MOSトランジスタで構成してもよい。
【0048】
ここで、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124が低抵抗書込みされる場合に高抵抗状態にある場合、ゲート電圧Vg1に基づいて、反転電圧が各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に印加される。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124が低抵抗書込みされる場合に低抵抗状態にある場合、ゲート電圧Vg1に基づいて、反転電圧よりも小さな電圧が各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に印加される。この反転電圧よりも小さな電圧は、0Vでもよい。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124が高抵抗書込みされる場合に低抵抗状態にある場合、ゲート電圧Vg2に基づいて、反転電圧が各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に印加される。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124が高抵抗書込みされる場合に高抵抗状態にある場合、ゲート電圧Vg2に基づいて、反転電圧よりも大きな電圧が各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に印加される。
【0049】
電圧ドライバ106は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に反転電圧が印加可能になるように各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を駆動する。ここで、電圧ドライバ106は、駆動端子NDを介し各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に駆動電圧Vxを印加することができる。このとき、電圧ドライバ106は、ストア時に駆動電圧Vx1およびVx2の間で駆動電圧Vxを切り替えることができる。ここで、電圧ドライバ106は、ストア時に駆動電圧Vx1を選択した後、駆動電圧Vx2に切り替える。
【0050】
駆動電圧Vx1は、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に反転電圧が印加されるとともに、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の垂直磁気異方性が増大するように設定される。駆動電圧Vx2は、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方に反転電圧が印加されるとともに、反転電圧よりも小さな電圧が電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に印加されるように設定される。そして、電圧ドライバ106は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に対し、各揮発性記憶ノードNおよびNBに保持されるデータに対応したノード電圧VAおよびVBに応じて駆動電圧Vx1を印加した後に駆動電圧Vx2を印加する。
【0051】
駆動電圧Vx1の印加に基づいて電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に反転電圧が印加されるときに、ノード電圧VAおよびVBの差分だけ反転電圧よりも高い電圧が電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方に印加されてもよい。駆動電圧Vx2の印加に基づいて電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方に反転電圧が印加されるときに、ノード電圧VAおよびVBの差分だけ反転電圧よりも低い電圧が電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に印加されてもよい。
【0052】
電圧ドライバ106は、電圧切替スイッチ116を備える。電圧切替スイッチ116は、切替信号Tx1に基づいて、駆動電圧Vx1およびVx2を切り替える。このとき、切替信号Tx1は、電圧切替スイッチ116に対し、低抵抗書込みでは駆動電圧Vx1を選択させ、高抵抗書込みでは駆動電圧Vx2を選択させることができる。また、切替信号Tx1は、電圧切替スイッチ116に対し、リストア時に駆動電圧Vx2を選択させることができる。電圧切替スイッチ116は、MOSトランジスタで構成してもよい。
【0053】
ここで、ラッチ回路102から各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にデータを相補的にストアする場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に印加される同一極性の電圧が段階的に変化される。この電圧の段階的に変化に基づいて、第1ストア動作と、その後の第2ストア動作が実施される。
【0054】
第1ストア動作では、各MOSトランジスタ113および123にゲート電圧Vg1が印加されている時に駆動電圧Vx1が電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に印加される。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に反転電圧が印加され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方が低抵抗書込みされるとともに、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の垂直磁気異方性が増大する。電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の垂直磁気異方性が増大したときに、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の磁化方向は反転してもよい。第1ストア動作で電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の磁化方向が反転した場合においても、その後の第2ストア動作で電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の磁化方向を正しく設定することができる。
【0055】
第2ストア動作では、各MOSトランジスタ113および123にゲート電圧Vg2が印加されている時に駆動電圧Vx2が電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に印加される。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方に反転電圧が印加され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方が高抵抗書込みされるとともに、反転電圧よりも小さな電圧が電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に印加される。ここで、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方には反転電圧よりも小さな電圧がかかるので、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方の低抵抗状態は維持される。
【0056】
例えば、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されている場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態に設定され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態に設定される。一方、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されている場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態に設定され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態に設定される。このような揮発性記憶ノードNおよびNBの論理値と、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態との関係を順論理と言う。
【0057】
また、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータを相補的にリストアする場合、ピン層141に印加される電圧よりも低い電圧がフリー層143に印加される。このとき、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態に応じてラッチ回路102に元のデータが書き戻されるとともに、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態が維持される。
【0058】
以下、記憶装置100のラッチ動作、ストア動作およびリストア動作について説明する。なお、以下の説明では、説明を簡単化するために、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持され、そのときのノード電圧VAが0V、ノード電圧VBが1Vである場合を例にとる。また、駆動電圧Vx1は-1V、駆動電圧Vx2は0Vに設定されている場合を例にとる。なお、ノード電圧VAおよびVBと、駆動電圧Vx1およびVx2とは、これらの値に限定されない。
【0059】
図2は、第1の実施の形態に係る記憶装置のラッチ動作の一例を示す図である。
【0060】
同図において、ラッチ動作では、ゲート電圧VgはVg0=0Vに設定される。このため、各MOSトランジスタ113および123はオフし、ラッチ回路102は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124から切り離される。
【0061】
このとき、入力データINの論理値が‘0’の場合、揮発性記憶ノードNには論理値‘0’が保持され、揮発性記憶ノードNBには論理値‘1’が保持される。入力データINの論理値が‘1’の場合、揮発性記憶ノードNには論理値‘1’が保持され、揮発性記憶ノードNBには論理値‘0’が保持される。
【0062】
図3は、第1の実施の形態に係る記憶装置の第1ストア動作の一例を示す図である。
【0063】
同図において、第1ストア動作では、ゲート電圧VgはVg1に設定され、駆動電圧VxはVx1=-1Vに設定される。このため、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には、1Vの電圧が印加され、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には、2Vの電圧が印加される。このとき、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間の電圧は、MOSトランジスタ113のオン抵抗にかかる電圧と、電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧とに分圧される。そして、ゲート電圧Vg1は、MOSトランジスタ113のオン抵抗にて揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間の電圧が分圧されたときに、高抵抗状態の電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧が反転電圧に一致するように設定される。
【0064】
ここで、低抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114には反転電圧が印加されるため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。一方、低抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態にある場合に比べて、MOSトランジスタ113のオン抵抗への分圧比が増大する。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧は反転電圧より小さくなり、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の垂直磁気異方性により電圧制御型磁気抵抗効果素子114の低抵抗状態が維持される。
【0065】
一方、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には2Vの電圧が印加され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124のセル電圧は、電圧制御型磁気抵抗効果素子114のセル電圧より大きくなる。ただし、電圧制御型磁気抵抗効果素子124については、第2ストア動作で書込みが実施されるので、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の抵抗状態は任意でよい。
【0066】
図4は、第1の実施の形態に係る記憶装置の第2ストア動作およびリストア動作の一例を示す図である。
【0067】
同図において、第2ストア動作では、ゲート電圧VgはVg2に設定され、駆動電圧VxはVx2=0Vに設定される。このため、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には、0Vの電圧が印加され、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には、1Vの電圧が印加される。このとき、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間の電圧は、MOSトランジスタ123のオン抵抗にかかる電圧と、電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧とに分圧される。そして、ゲート電圧Vg2は、MOSトランジスタ123のオン抵抗にて揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間の電圧が分圧されたときに、低抵抗状態の電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧が反転電圧に一致するように設定される。
【0068】
ここで、高抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子124には反転電圧が印加されるため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。一方、高抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にある場合に比べて、MOSトランジスタ123のオン抵抗への分圧比が低下する。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧は反転電圧より大きくなり、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の面内磁気異方性により面内の回転成分が現れるが、この回転成分は磁化方向の反転には寄与しないため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の高抵抗状態が維持される。
【0069】
なお、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にある場合は、高抵抗状態にある場合に比べて、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の分圧比が低下する。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にある時と高抵抗状態にある時とで反転電圧を略等しくするために、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にある場合は、高抵抗状態にある場合に比べて、MOSトランジスタ123のオン抵抗を減少させる。MOSトランジスタ123のオン抵抗を減少させるために、ゲート電圧Vg1に比べてゲート電圧Vg2を増大させる。
【0070】
一方、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には0Vの電圧が印加され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114のセル電圧は0Vになる。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の磁化方向は変化せず、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の低抵抗状態は維持される。
【0071】
同図において、リストア動作では、ゲート電圧VgはVg2に設定され、駆動電圧VxはVx2=0Vに設定される。ここで、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態にあるものとする。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより低くなり、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされる。
【0072】
ここで、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’がリストアされると、ノード電圧VAが0Vになり、電圧制御型磁気抵抗効果素子114には電圧がかからないので、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の低抵抗状態は維持される。一方、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされると、ノード電圧VBが1Vになり、電圧制御型磁気抵抗効果素子124には1Vの電圧がかかる。このとき、ゲート電圧VgはVg2に設定され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態にあるときは、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の高抵抗状態はそのまま維持される。
【0073】
なお、上述の第1の実施の形態の第1ストア動作、第2ストア動作およびリストア動作の説明では、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されている場合を例にとった。第1の実施の形態の第1ストア動作、第2ストア動作およびリストア動作は、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されている場合も同様である。
【0074】
図5は、第1の実施の形態に係る記憶装置のストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。なお、同図におけるaは、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されている場合のストア時の各部の電圧波形を示す。同図におけるbは、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されている場合のストア時の各部の電圧波形を示す。
【0075】
同図におけるaにおいて、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されるものとする。このとき、ノード電圧VAは1V、ノード電圧VBは0Vに設定され、出力データOUTは論理値‘1’に設定される(t1)。
【0076】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg1が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx1=-1Vが選択される(t2)。このとき、第1ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態に設定される。
【0077】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx2=0Vが選択される(t3)。このとき、第2ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態に設定される。
【0078】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t4)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。
【0079】
次に、記憶装置100は、パワーオフされる(t5)。このとき、ラッチ回路102に保持されていたデータは消失する。一方、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を維持する。
【0080】
同図におけるbにおいて、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されるものとする。このとき、ノード電圧VAは0V、ノード電圧VBは1Vに設定され、出力データOUTは論理値‘0’に設定される(t1)。
【0081】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg1が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx1=-1Vが選択される(t2)。このとき、第1ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態に設定される。
【0082】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx2=0Vが選択される(t3)。このとき、第2ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態に設定される。
【0083】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t4)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。
【0084】
次に、記憶装置100は、パワーオフされる(t5)。このとき、ラッチ回路102に保持されていたデータは消失する。一方、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を維持する。
【0085】
このように、記憶装置100のストア動作では、ラッチ回路102からの出力データOUTが論理値‘0’であっても、論理値‘1’であっても、第1ストア動作で低抵抗書込みを実施し、第2ストア動作で高抵抗書込みを実施する。
【0086】
図6は、第1の実施の形態に係る記憶装置のリストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。なお、同図におけるaは、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’をリストアする時の各部の電圧波形を示す。同図におけるbは、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’をリストア時の各部の電圧波形を示す。
【0087】
同図におけるaにおいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124へのストア後に記憶装置100のパワーオフによってラッチ回路102の電荷は放電されているものとする。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を保持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を保持しているものとする。
【0088】
ここで、リストア時には、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx2=0Vが選択される(t11)。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより高くなり(t12)、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’がリストアされる。
【0089】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t13)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。また、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を維持する。
【0090】
同図におけるbにおいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を保持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を保持しているものとする。
【0091】
ここで、リストア時には、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx2=0Vが選択される(t11)。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより低くなり(t12)、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされる。
【0092】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t13)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。また、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を維持する。
【0093】
このように、上述の第1の実施の形態では、ラッチ回路102に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を設ける。これにより、ラッチ回路102に保持されているデータを電圧駆動に基づいて電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にストアすることができる。このため、ラッチ回路102に保持されたデータが電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にストアされるときの消費電力の増大を抑制しつつ、不揮発性記憶機能をラッチ回路102に付加することができる。
【0094】
また、ラッチ回路102と各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124との間の抵抗が可変なMOSトランジスタ113、123をラッチ回路102と各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124との間に接続する。これにより、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、低抵抗書込み時の低抵抗状態を維持しつつ、高抵抗状態から低抵抗状態に遷移可能となるとともに、高抵抗書込み時の高抵抗状態を維持しつつ、低抵抗状態から高抵抗状態に遷移可能となる。
【0095】
このとき、各MOSトランジスタ113、123は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とでセル電圧が互いに略等しくなるように抵抗を変化させることができる。これにより、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に印加される同一極性のセル電圧に基づいて各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にデータを書込むことができる。
【0096】
また、ラッチ回路102から各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にデータをストアする場合、各MOSトランジスタ113、123にゲート電圧Vg1が印加されている時に駆動電圧Vx1を各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に印加する。その後、各MOSトランジスタ113、123にゲート電圧Vg2が印加されている時に駆動電圧Vx2を各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に印加する。
【0097】
これにより、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方の低抵抗書込み時の低抵抗状態を破壊することなく、その低抵抗書込み後に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の高抵抗書込みを実施することができる。このため、ラッチ回路102の論理値‘0’を低抵抗状態として電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に保持させ、ラッチ回路102の論理値‘1’を高抵抗状態として電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方に保持させることができる。
【0098】
また、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータをリストアする場合、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141に印加される電圧よりも低い電圧をフリー層143に印加する。これにより、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に保持されているデータを破壊することなく、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータをリストアすることができる。
【0099】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、ラッチ回路102に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を設け、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に駆動電圧Vxを印加し、ラッチ回路102の順論理をストアした。この第2の実施の形態では、ラッチ回路102に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を設け、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に駆動電圧Vxを印加し、ラッチ回路102の逆論理をストアする。
【0100】
図7は、第2の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【0101】
同図において、記憶装置200は、上述の第1の実施の形態のゲート電圧切替部105および電圧ドライバ106に代えて、ゲート電圧切替部205および電圧ドライバ206を備える。第2の実施の形態の記憶装置200のそれ以外の構成は、上述の第1の実施の形態の記憶装置100の構成と同様である。
【0102】
ゲート電圧切替部205は、電圧Vg0、Vg1およびVg2の間でゲート電圧Vgを切り替える。このとき、ゲート電圧切替部205は、ストア時に高抵抗書込みが実施された後に低抵抗書込みが実施されるようにゲート電圧Vgを切り替える。
【0103】
ゲート電圧切替部205は、抵抗制御スイッチ215を備える。抵抗制御スイッチ215は、切替信号Tg2に基づいて、電圧Vg0、Vg1およびVg2を切り替える。このとき、切替信号Tg2は、抵抗制御スイッチ215に対し、ラッチ動作時には電圧Vg0を選択させることができる。切替信号Tg2は、抵抗制御スイッチ215に対し、低抵抗書込み時には電圧Vg1を選択させ、高抵抗書込み時には電圧Vg2を選択させることができる。このとき、切替信号Tg2は、ストア時にVg2→Vg1という順序でゲート電圧Vgを切り替える。
【0104】
電圧ドライバ206は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に反転電圧が印加可能になるように各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を駆動する。ここで、電圧ドライバ206は、駆動端子NDを介し各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に駆動電圧Vxを印加することができる。このとき、電圧ドライバ206は、ストア時に駆動電圧Vx4およびVx5の間で駆動電圧Vxを切り替えることができる。また、電圧ドライバ206は、リストア時に駆動電圧Vxを駆動電圧V3に切り替えることができる。
【0105】
駆動電圧Vx4は、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に反転電圧が印加されるとともに、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の垂直磁気異方性が増大するように設定される。駆動電圧Vx5は、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方に反転電圧が印加されるとともに、反転電圧よりも小さな電圧が電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に印加されるように設定される。駆動電圧Vx3は、リストア時にピン層141に印加される電圧よりも高い電圧がフリー層143に印加されるように設定される。
【0106】
そして、電圧ドライバ206は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に対し、各揮発性記憶ノードNおよびNBに保持されるデータに対応したノード電圧VAおよびVBに応じて駆動電圧Vx4を印加した後に駆動電圧Vx5を印加する。また、電圧ドライバ206は、リストア時に駆動電圧Vx3を印加する。
【0107】
電圧ドライバ206は、電圧切替スイッチ216を備える。電圧切替スイッチ216は、切替信号Tx2に基づいて、駆動電圧Vx3、Vx4およびVx5を切り替える。このとき、切替信号Tx2は、電圧切替スイッチ216に対し、高抵抗書込みでは駆動電圧Vx4を選択させ、低抵抗書込みでは駆動電圧Vx5を選択させることができる。また、切替信号Tx2は、電圧切替スイッチ216に対し、リストア時に駆動電圧Vx3を選択させることができる。
【0108】
ここで、第1の実施の形態では、第1ストア動作で低抵抗書込みを実施した後、第2ストア動作で高抵抗書込みを実施した。第2の実施の形態では、第1ストア動作で高抵抗書込みを実施した後、第2ストア動作で低抵抗書込みを実施する。このとき、第2の実施の形態では、ラッチ回路102の逆論理を電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124をストアする。
【0109】
例えば、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されている場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態に設定され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態に設定される。一方、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されている場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態に設定され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態に設定される。このような揮発性記憶ノードNおよびNBの論理値と、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態との関係を逆論理と言う。
【0110】
また、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータを相補的にリストアする場合、駆動電圧Vx3がフリー層143に印加される。なお、ゲート電圧Vgは、各MOSトランジスタ113および123がオンすれば、どのような電圧でもよい。このとき、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態に応じてラッチ回路102に元のデータが書き戻される。また、リストア時には、ピン層141に印加される電圧よりも高い電圧がフリー層143に印加される。このため、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124には、それらの垂直磁気異方性が増大するように電圧がかかり、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態が維持される。
【0111】
以下、記憶装置200のラッチ動作、ストア動作およびリストア動作について説明する。なお、以下の説明では、説明を簡単化するために、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持され、そのときのノード電圧VAが0V、ノード電圧VBが1Vである場合を例にとる。また、駆動電圧Vx3は1V、駆動電圧Vx4は0V、駆動電圧Vx5は-1Vに設定されている場合を例にとる。なお、ノード電圧VAおよびVBと、駆動電圧Vx3、Vx4およびVx5とは、これらの値に限定されない。
【0112】
図8は、第2の実施の形態に係る記憶装置のラッチ動作の一例を示す図である。
【0113】
同図において、ラッチ動作では、ゲート電圧VgはVg0=0Vに設定される。このため、各MOSトランジスタ113および123はオフし、ラッチ回路102は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124から切り離される。
【0114】
図9は、第2の実施の形態に係る記憶装置の第1ストア動作の一例を示す図である。
【0115】
同図において、第1ストア動作では、ゲート電圧VgはVg2に設定され、駆動電圧VxはVx5=-1Vに設定される。このため、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には、1Vの電圧が印加され、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には、2Vの電圧が印加される。このとき、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間の電圧は、MOSトランジスタ113のオン抵抗にかかる電圧と、電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧とに分圧される。そして、ゲート電圧Vg2は、MOSトランジスタ113のオン抵抗にて揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間の電圧が分圧されたときに、低抵抗状態の電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧が反転電圧に一致するように設定される。
【0116】
ここで、高抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114には反転電圧が印加されるため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。一方、高抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態にある場合に比べて、MOSトランジスタ113のオン抵抗への分圧比が低下する。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧は反転電圧より大きくなり、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の垂直磁気異方性により電圧制御型磁気抵抗効果素子114の高抵抗状態が維持される。
【0117】
一方、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には2Vの電圧が印加され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124のセル電圧は、電圧制御型磁気抵抗効果素子114のセル電圧より大きくなる。ただし、電圧制御型磁気抵抗効果素子124については、第2ストア動作で書込みが実施されるので、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の抵抗状態は任意でよい。
【0118】
図10は、第2の実施の形態に係る記憶装置の第2ストア動作の一例を示す図である。
【0119】
同図において、第2ストア動作では、ゲート電圧VgはVg1に設定され、駆動電圧VxはVx4=0Vに設定される。このため、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には、0Vの電圧が印加され、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には、1Vの電圧が印加される。このとき、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間の電圧は、MOSトランジスタ123のオン抵抗にかかる電圧と、電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧とに分圧される。そして、ゲート電圧Vg1は、MOSトランジスタ123のオン抵抗にて揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間の電圧が分圧されたときに、高抵抗状態の電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧が反転電圧に一致するように設定される。
【0120】
ここで、低抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子124には反転電圧が印加されるため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。一方、低抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態にある場合に比べて、MOSトランジスタ123のオン抵抗への分圧比が増大する。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧は反転電圧より小さくなり、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の面内磁気異方性により面内の回転成分が現れるが、この回転成分は磁化方向の反転には寄与しないため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の低抵抗状態が維持される。
【0121】
一方、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には0Vの電圧が印加され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114のセル電圧は0Vになる。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の磁化方向は変化せず、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の高抵抗状態は維持される。
【0122】
図11は、第2の実施の形態に係る記憶装置のリストア動作の一例を示す図である。
【0123】
同図において、リストア動作では、ゲート電圧VgはVg2に設定され、駆動電圧VxはVx3=1Vに設定される。なお、リストア動作では、ゲート電圧VgはVg2に限定されることなく、各MOSトランジスタ113、123がオンすれば、どのような電圧でもよい。ここで、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にあるものとする。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより低くなり、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされる。
【0124】
ここで、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’がリストアされると、ノード電圧VAが0Vになり、電圧制御型磁気抵抗効果素子114には1Vの電圧がかかる。ただし、電圧制御型磁気抵抗効果素子114に1Vの電圧がかかる方向は、ピン層141の電圧よりもフリー層143の電圧の方が高くなる方向である。この場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の垂直磁気異方性は増大し、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の高抵抗状態はそのまま維持される。一方、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされると、ノード電圧VBが1Vになり、電圧制御型磁気抵抗効果素子124には電圧がかからないので、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の低抵抗状態は維持される。
【0125】
なお、上述の第2の実施の形態の第1ストア動作、第2ストア動作およびリストア動作の説明では、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されている場合を例にとった。第2の実施の形態の第1ストア動作、第2ストア動作およびリストア動作は、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されている場合も同様である。
【0126】
図12は、第2の実施の形態に係る記憶装置のストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。なお、同図におけるaは、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されている場合のストア時の各部の電圧波形を示す。同図におけるbは、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されている場合のストア時の各部の電圧波形を示す。
【0127】
同図におけるaにおいて、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されるものとする。このとき、ノード電圧VAは1V、ノード電圧VBは0Vに設定され、出力データOUTは論理値‘1’に設定される(t21)。
【0128】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx5=-1Vが選択される(t22)。このとき、第1ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態に設定される。
【0129】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg1が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx4=0Vが選択される(t23)。このとき、第2ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態に設定される。
【0130】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t24)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。
【0131】
次に、記憶装置100は、パワーオフされる(t25)。このとき、ラッチ回路102に保持されていたデータは消失する。一方、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を維持する。
【0132】
同図におけるbにおいて、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されるものとする。このとき、ノード電圧VAは0V、ノード電圧VBは1Vに設定され、出力データOUTは論理値‘0’に設定される(t21)。
【0133】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx5=-1Vが選択される(t22)。このとき、第1ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態に設定される。
【0134】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg1が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx4=0Vが選択される(t23)。このとき、第2ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態に設定される。
【0135】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t24)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。
【0136】
次に、記憶装置100は、パワーオフされる(t25)。このとき、ラッチ回路102に保持されていたデータは消失する。一方、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を維持する。
【0137】
このように、記憶装置200のストア動作では、ラッチ回路102からの出力データOUTが論理値‘0’であっても、論理値‘1’であっても、第1ストア動作で高抵抗書込みを実施し、第2ストア動作で低抵抗書込みを実施する。
【0138】
図13は、第2の実施の形態に係る記憶装置のリストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。なお、同図におけるaは、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’をリストアする時の各部の電圧波形を示す。同図におけるbは、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’をリストア時の各部の電圧波形を示す。
【0139】
同図におけるaにおいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124へのストア後に記憶装置200のパワーオフによってラッチ回路102の電荷は放電されているものとする。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を保持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を保持しているものとする。
【0140】
ここで、リストア時には、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx3=1Vが選択される(t31)。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより高くなり(t32)、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’がリストアされる。
【0141】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t33)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。また、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を維持する。
【0142】
同図におけるbにおいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を保持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を保持しているものとする。
【0143】
ここで、リストア時には、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx3=1Vが選択される(t31)。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより低くなり(t32)、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされる。
【0144】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t33)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。また、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を維持する。
【0145】
このように、上述の第2の実施の形態では、ラッチ回路102から各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にデータをストアする場合、各MOSトランジスタ113、123にゲート電圧Vg2が印加されている時に駆動電圧Vx5を各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に印加する。その後、各MOSトランジスタ113、123にゲート電圧Vg1が印加されている時に駆動電圧Vx4を各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に印加する。
【0146】
これにより、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方の高抵抗書込み時の高抵抗状態を破壊することなく、その高抵抗書込み後に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の低抵抗書込みを実施することができる。このため、ラッチ回路102の論理値‘0’を高抵抗状態として電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に保持させ、ラッチ回路102の論理値‘1’を低抵抗状態として電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方に保持させることができる。
【0147】
また、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータをリストアする場合、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141に印加される電圧よりも高い電圧をフリー層143に印加する。これにより、リストア時に各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の垂直磁気異方性が増大するように電圧をかけることができる。このため、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に保持されているデータを破壊することなく、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータをリストアすることができる。
【0148】
<3.第3の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、ラッチ回路102に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を設け、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に駆動電圧Vxを印加し、ラッチ回路102の順論理をストアした。この第3の実施の形態では、ラッチ回路102に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を設け、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141に駆動電圧Vxを印加し、ラッチ回路102の順論理をストアする。
【0149】
図14は、第3の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【0150】
同図において、記憶装置300は、上述の第2の実施の形態のラッチセル101および電圧ドライバ206に代えて、ラッチセル301および電圧ドライバ306を備える。第3の実施の形態の記憶装置300のそれ以外の構成は、上述の第2の実施の形態の記憶装置200の構成と同様である。
【0151】
上述の第2の実施の形態のラッチセル101では、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143が駆動端子NDに接続されていた。第3の実施の形態のラッチセル301では、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141が駆動端子NDに接続される。第3の実施の形態のラッチセル301のそれ以外の構成は、上述の第2の実施の形態のラッチセル101の構成と同様である。
【0152】
電圧ドライバ306は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に反転電圧が印加可能になるように各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を駆動する。ここで、電圧ドライバ306は、駆動端子NDを介し各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141に駆動電圧Vxを印加することができる。このとき、電圧ドライバ306は、ストア時に駆動電圧Vx7およびVx8の間で駆動電圧Vxを切り替えることができる。また、電圧ドライバ306は、リストア時に駆動電圧Vxを駆動電圧V6に切り替えることができる。
【0153】
駆動電圧Vx8は、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に反転電圧が印加されるとともに、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の垂直磁気異方性が増大するように設定される。駆動電圧Vx7は、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方に反転電圧が印加されるとともに、反転電圧よりも小さな電圧が電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に印加されるように設定される。駆動電圧Vx6は、リストア時にフリー層143に印加される電圧よりも低い電圧がピン層141に印加されるように設定される。駆動電圧Vx6は、グランド電位に設定してもよい。
【0154】
そして、電圧ドライバ306は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に対し、各揮発性記憶ノードNおよびNBに保持されるデータに対応したノード電圧VAおよびVBに応じて駆動電圧Vx8を印加した後に駆動電圧Vx7を印加する。また、電圧ドライバ306は、リストア時に駆動電圧Vx6を印加する。
【0155】
電圧ドライバ306は、電圧切替スイッチ316を備える。電圧切替スイッチ316は、切替信号Tx3に基づいて、駆動電圧Vx6、Vx7およびVx8を切り替える。このとき、切替信号Tx3は、電圧切替スイッチ316に対し、高抵抗書込みでは駆動電圧Vx8を選択させ、低抵抗書込みでは駆動電圧Vx7を選択させることができる。また、切替信号Tx3は、電圧切替スイッチ316に対し、リストア時に駆動電圧Vx6を選択させることができる。
【0156】
ここで、第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、第1ストア動作で高抵抗書込みを実施した後、第2ストア動作で低抵抗書込みを実施する。このとき、第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ラッチ回路102の順論理を電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124をストアする。
【0157】
また、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータを相補的にリストアする場合、駆動電圧Vx6がピン層141に印加される。このとき、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態に応じてラッチ回路102に元のデータが書き戻される。また、リストア時には、フリー層143に印加される電圧よりも低い電圧がピン層141に印加される。このため、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124には、それらの垂直磁気異方性が増大するように電圧がかかり、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態が維持される。
【0158】
以下、記憶装置300のラッチ動作、ストア動作およびリストア動作について説明する。なお、以下の説明では、説明を簡単化するために、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持され、そのときのノード電圧VAが0V、ノード電圧VBが1Vである場合を例にとる。また、駆動電圧Vx6は0V、駆動電圧Vx7は1V、駆動電圧Vx8は2Vに設定されている場合を例にとる。なお、ノード電圧VAおよびVBと、駆動電圧Vx6、Vx7およびVx8とは、これらの値に限定されない。
【0159】
図15は、第3の実施の形態に係る記憶装置のラッチ動作の一例を示す図である。
【0160】
同図において、ラッチ動作では、ゲート電圧VgはVg0=0Vに設定される。このため、各MOSトランジスタ113および123はオフし、ラッチ回路102は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124から切り離される。
【0161】
図16は、第3の実施の形態に係る記憶装置の第1ストア動作の一例を示す図である。
【0162】
同図において、第1ストア動作では、ゲート電圧VgはVg2に設定され、駆動電圧VxはVx8=2Vに設定される。このため、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には、2Vの電圧が印加され、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には、1Vの電圧が印加される。このとき、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間の電圧は、MOSトランジスタ123のオン抵抗にかかる電圧と、電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧とに分圧される。そして、ゲート電圧Vg2は、MOSトランジスタ123のオン抵抗にて揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間の電圧が分圧されたときに、低抵抗状態の電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧が反転電圧に一致するように設定される。
【0163】
ここで、高抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子124には反転電圧が印加されるため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。一方、高抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にある場合に比べて、MOSトランジスタ123のオン抵抗への分圧比が低下する。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧は反転電圧より大きくなり、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の垂直磁気異方性により電圧制御型磁気抵抗効果素子124の高抵抗状態が維持される。
【0164】
一方、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には2Vの電圧が印加され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114のセル電圧は、電圧制御型磁気抵抗効果素子124のセル電圧より大きくなる。ただし、電圧制御型磁気抵抗効果素子114については、第2ストア動作で書込みが実施されるので、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の抵抗状態は任意でよい。
【0165】
図17は、第3の実施の形態に係る記憶装置の第2ストア動作の一例を示す図である。
【0166】
同図において、第2ストア動作では、ゲート電圧VgはVg1に設定され、駆動電圧VxはVx7=1Vに設定される。このため、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には、1Vの電圧が印加され、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には、0Vの電圧が印加される。このとき、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間の電圧は、MOSトランジスタ113のオン抵抗にかかる電圧と、電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧とに分圧される。そして、ゲート電圧Vg1は、MOSトランジスタ113のオン抵抗にて揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間の電圧が分圧されたときに、高抵抗状態の電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧が反転電圧に一致するように設定される。
【0167】
ここで、低抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114には反転電圧が印加されるため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。一方、低抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態にある場合に比べて、MOSトランジスタ113のオン抵抗への分圧比が増大する。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧は反転電圧より小さくなり、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の面内磁気異方性により面内の回転成分が現れるが、この回転成分は磁化方向の反転には寄与しないため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の低抵抗状態が維持される。
【0168】
一方、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には0Vの電圧が印加され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124のセル電圧は0Vになる。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の磁化方向は変化せず、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の高抵抗状態は維持される。
【0169】
図18は、第3の実施の形態に係る記憶装置のリストア動作の一例を示す図である。
【0170】
同図において、リストア動作では、ゲート電圧VgはVg2に設定され、駆動電圧VxはVx6=0Vに設定される。ここで、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にあるものとする。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより低くなり、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされる。
【0171】
ここで、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされると、ノード電圧VBが1Vになり、電圧制御型磁気抵抗効果素子124には1Vの電圧がかかる。ただし、電圧制御型磁気抵抗効果素子124に1Vの電圧がかかる方向は、ピン層141の電圧よりもフリー層143の電圧の方が高くなる方向である。この場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の垂直磁気異方性は増大し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の高抵抗状態はそのまま維持される。一方、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’がリストアされると、ノード電圧VAが0Vになり、電圧制御型磁気抵抗効果素子114には電圧がかからないので、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の低抵抗状態は維持される。
【0172】
なお、上述の第3の実施の形態の第1ストア動作、第2ストア動作およびリストア動作の説明では、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されている場合を例にとった。第3の実施の形態の第1ストア動作、第2ストア動作およびリストア動作は、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されている場合も同様である。
【0173】
図19は、第3の実施の形態に係る記憶装置のストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。なお、同図におけるaは、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されている場合のストア時の各部の電圧波形を示す。同図におけるbは、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されている場合のストア時の各部の電圧波形を示す。
【0174】
同図におけるaにおいて、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されるものとする。このとき、ノード電圧VAは1V、ノード電圧VBは0Vに設定され、出力データOUTは論理値‘1’に設定される(t41)。
【0175】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx8=2Vが選択される(t42)。このとき、第1ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態に設定される。
【0176】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg1が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx7=1Vが選択される(t43)。このとき、第2ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態に設定される。
【0177】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t44)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。
【0178】
次に、記憶装置100は、パワーオフされる(t45)。このとき、ラッチ回路102に保持されていたデータは消失する。一方、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を維持する。
【0179】
同図におけるbにおいて、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されるものとする。このとき、ノード電圧VAは0V、ノード電圧VBは1Vに設定され、出力データOUTは論理値‘0’に設定される(t41)。
【0180】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx8=2Vが選択される(t42)。このとき、第1ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態に設定される。
【0181】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg1が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx7=1Vが選択される(t43)。このとき、第2ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態に設定される。
【0182】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t44)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。
【0183】
次に、記憶装置100は、パワーオフされる(t45)。このとき、ラッチ回路102に保持されていたデータは消失する。一方、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を維持する。
【0184】
このように、記憶装置300のストア動作では、ラッチ回路102からの出力データOUTが論理値‘0’であっても、論理値‘1’であっても、第1ストア動作で高抵抗書込みを実施し、第2ストア動作で低抵抗書込みを実施する。
【0185】
図20は、第3の実施の形態に係る記憶装置のリストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。なお、同図におけるaは、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’をリストアする時の各部の電圧波形を示す。同図におけるbは、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’をリストア時の各部の電圧波形を示す。
【0186】
同図におけるaにおいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124へのストア後に記憶装置300のパワーオフによってラッチ回路102の電荷は放電されているものとする。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を保持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を保持しているものとする。
【0187】
ここで、リストア時には、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx6=0Vが選択される(t51)。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより高くなり(t52)、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’がリストアされる。
【0188】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t53)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。また、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を維持する。
【0189】
同図におけるbにおいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を保持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を保持しているものとする。
【0190】
ここで、リストア時には、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx6=0Vが選択される(t51)。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより低くなり(t52)、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされる。
【0191】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t53)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。また、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を維持する。
【0192】
このように、上述の第3の実施の形態では、ラッチ回路102から各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にデータをストアする場合、各MOSトランジスタ113、123にゲート電圧Vg2が印加されている時に駆動電圧Vx8を各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141に印加する。その後、各MOSトランジスタ113、123にゲート電圧Vg1が印加されている時に駆動電圧Vx7を各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141に印加する。
【0193】
これにより、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方の高抵抗書込み時の高抵抗状態を破壊することなく、その高抵抗書込み後に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の低抵抗書込みを実施することができる。このため、ラッチ回路102の論理値‘0’を低抵抗状態として電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に保持させ、ラッチ回路102の論理値‘1’を高抵抗状態として電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方に保持させることができる。このとき、ラッチ回路102から各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にデータをストアするために、駆動電圧Vx7およびVx8を正電圧に設定すればよく、負電圧を不要とすることができる。
【0194】
また、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータをリストアする場合、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に印加される電圧よりも低い電圧をピン層141に印加する。これにより、リストア時に各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の垂直磁気異方性が増大するように電圧をかけることができる。このため、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に保持されているデータを破壊することなく、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータをリストアすることができる。
【0195】
<4.第4の実施の形態>
上述の第3の実施の形態では、ラッチ回路102に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を設け、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141に駆動電圧Vxを印加し、ラッチ回路102の順論理をストアした。この第4の実施の形態では、ラッチ回路102に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を設け、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141に駆動電圧Vxを印加し、ラッチ回路102の逆論理をストアする。
【0196】
図21は、第4の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【0197】
同図において、記憶装置400は、上述の第3の実施の形態のゲート電圧切替部205および電圧ドライバ306に代えて、ゲート電圧切替部105および電圧ドライバ406を備える。第4の実施の形態の記憶装置400のそれ以外の構成は、上述の第3の実施の形態の記憶装置300の構成と同様である。
【0198】
電圧ドライバ306および406の違いは、電圧ドライバ306では、リストア時に駆動電圧Vxを駆動電圧V6に切り替えるが、電圧ドライバ406では、リストア時に駆動電圧Vxを駆動電圧V7に切り替える。ストア時では、電圧ドライバ406は、電圧ドライバ306と同様に動作する。このとき、電圧ドライバ406は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に対し、各揮発性記憶ノードNおよびNBに保持されるデータに対応したノード電圧VAおよびVBに応じて駆動電圧Vx8を印加した後に駆動電圧Vx7を印加する。ただし、電圧ドライバ306は、低抵抗書込み時に駆動電圧Vx7を選択し、高抵抗書込み時に駆動電圧Vx8を選択する。電圧ドライバ406は、高抵抗書込み時に駆動電圧Vx7を選択し、低抵抗書込み時に駆動電圧Vx8を選択する。
【0199】
電圧ドライバ406は、電圧切替スイッチ416を備える。電圧切替スイッチ416は、切替信号Tx4に基づいて、駆動電圧Vx6、Vx7およびVx8を切り替える。このとき、切替信号Tx4は、電圧切替スイッチ416に対し、高抵抗書込みでは駆動電圧Vx7を選択させ、低抵抗書込みでは駆動電圧Vx8を選択させることができる。また、切替信号Tx4は、電圧切替スイッチ416に対し、リストア時に駆動電圧Vx7を選択させることができる。
【0200】
ここで、第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、第1ストア動作で低抵抗書込みを実施した後、第2ストア動作で高抵抗書込みを実施する。このとき、第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ラッチ回路102の順論理を電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124をストアする。
【0201】
また、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータを相補的にリストアする場合、駆動電圧Vx7がピン層141に印加される。このとき、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態に応じてラッチ回路102に元のデータが書き戻されるとともに、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態が維持される。
【0202】
以下、記憶装置400のラッチ動作、ストア動作およびリストア動作について説明する。なお、以下の説明では、説明を簡単化するために、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持され、そのときのノード電圧VAが0V、ノード電圧VBが1Vである場合を例にとる。また、駆動電圧Vx6は0V、駆動電圧Vx7は1V、駆動電圧Vx8は2Vに設定されている場合を例にとる。なお、ノード電圧VAおよびVBと、駆動電圧Vx6、Vx7およびVx8とは、これらの値に限定されない。
【0203】
ラッチ動作では、
図15に示すように、ゲート電圧VgはVg0=0Vに設定される。このため、各MOSトランジスタ113および123はオフし、ラッチ回路102は、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124から切り離される。
【0204】
図22は、第4の実施の形態に係る記憶装置の第1ストア動作の一例を示す図である。
【0205】
同図において、第1ストア動作では、ゲート電圧VgはVg1に設定され、駆動電圧VxはVx8=2Vに設定される。このため、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には、2Vの電圧が印加され、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には、1Vの電圧が印加される。このとき、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間の電圧は、MOSトランジスタ123のオン抵抗にかかる電圧と、電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧とに分圧される。そして、ゲート電圧Vg1は、MOSトランジスタ123のオン抵抗にて揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間の電圧が分圧されたときに、高抵抗状態の電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧が反転電圧に一致するように設定される。
【0206】
ここで、低抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子124には反転電圧が印加されるため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。一方、低抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態にある場合に比べて、MOSトランジスタ123のオン抵抗への分圧比が低下する。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124に印加されるセル電圧は反転電圧より大きくなり、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の垂直磁気異方性により電圧制御型磁気抵抗効果素子124の低抵抗状態が維持される。
【0207】
一方、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には2Vの電圧が印加され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114のセル電圧は、電圧制御型磁気抵抗効果素子124のセル電圧より大きくなる。ただし、電圧制御型磁気抵抗効果素子114については、第2ストア動作で書込みが実施されるので、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の抵抗状態は任意でよい。
【0208】
図23は、第4の実施の形態に係る記憶装置の第2ストア動作の一例を示す図である。
【0209】
同図において、第2ストア動作では、ゲート電圧VgはVg2に設定され、駆動電圧VxはVx7=1Vに設定される。このため、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間には、1Vの電圧が印加され、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には、0Vの電圧が印加される。このとき、揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間の電圧は、MOSトランジスタ113のオン抵抗にかかる電圧と、電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧とに分圧される。そして、ゲート電圧Vg2は、MOSトランジスタ113のオン抵抗にて揮発性記憶ノードNと駆動端子NDとの間の電圧が分圧されたときに、低抵抗状態の電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧が反転電圧に一致するように設定される。
【0210】
ここで、高抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114には反転電圧が印加されるため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。一方、高抵抗書込み時において、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態にある場合、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態にある場合に比べて、MOSトランジスタ113のオン抵抗への分圧比が増大する。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114に印加されるセル電圧は反転電圧より小さくなり、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の面内磁気異方性により面内の回転成分が現れるが、この回転成分は磁化方向の反転には寄与しないため、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の高抵抗状態が維持される。
【0211】
一方、揮発性記憶ノードNBと駆動端子NDとの間には0Vの電圧が印加され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124のセル電圧は0Vになる。このため、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の磁化方向は変化せず、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の低抵抗状態は維持される。
【0212】
図24は、第4の実施の形態に係る記憶装置のリストア動作の一例を示す図である。
【0213】
同図において、リストア動作では、ゲート電圧VgはVg2に設定され、駆動電圧VxはVx7=1Vに設定される。ここで、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態にあるものとする。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより低くなり、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされる。
【0214】
ここで、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされると、ノード電圧VBが1Vになり、電圧制御型磁気抵抗効果素子124には電圧がかからないので、電圧制御型磁気抵抗効果素子124の低抵抗状態は維持される。一方、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’がリストアされると、ノード電圧VAが0Vになり、電圧制御型磁気抵抗効果素子114には1Vの電圧がかかる。このとき、ゲート電圧VgはVg2に設定され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態にあるときは、電圧制御型磁気抵抗効果素子114の高抵抗状態はそのまま維持される。
【0215】
なお、上述の第4の実施の形態の第1ストア動作、第2ストア動作およびリストア動作の説明では、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されている場合を例にとった。第4の実施の形態の第1ストア動作、第2ストア動作およびリストア動作は、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されている場合も同様である。
【0216】
図25は、第4の実施の形態に係る記憶装置のストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。なお、同図におけるaは、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されている場合のストア時の各部の電圧波形を示す。同図におけるbは、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されている場合のストア時の各部の電圧波形を示す。
【0217】
同図におけるaにおいて、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’が保持されるものとする。このとき、ノード電圧VAは1V、ノード電圧VBは0Vに設定され、出力データOUTは論理値‘1’に設定される(t61)。
【0218】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg1が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx8=2Vが選択される(t62)。このとき、第1ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が低抵抗状態に設定される。
【0219】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx7=1Vが選択される(t63)。このとき、第2ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が高抵抗状態に設定される。
【0220】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t64)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。
【0221】
次に、記憶装置100は、パワーオフされる(t65)。このとき、ラッチ回路102に保持されていたデータは消失する。一方、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を維持する。
【0222】
同図におけるbにおいて、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’が保持されるものとする。このとき、ノード電圧VAは0V、ノード電圧VBは1Vに設定され、出力データOUTは論理値‘0’に設定される(t61)。
【0223】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg1が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx8=2Vが選択される(t62)。このとき、第1ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子124が低抵抗状態に設定される。
【0224】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg1が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx7=1Vが選択される(t63)。このとき、第2ストア動作が実施され、電圧制御型磁気抵抗効果素子114が高抵抗状態に設定される。
【0225】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t64)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。
【0226】
次に、記憶装置100は、パワーオフされる(t65)。このとき、ラッチ回路102に保持されていたデータは消失する。一方、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を維持する。
【0227】
このように、記憶装置400のストア動作では、ラッチ回路102からの出力データOUTが論理値‘0’であっても、論理値‘1’であっても、第1ストア動作で低抵抗書込みを実施し、第2ストア動作で高抵抗書込みを実施する。
【0228】
図26は、第4の実施の形態に係る記憶装置のリストアタイミングの一例を示すタイミングチャートである。なお、同図におけるaは、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’をリストアする時の各部の電圧波形を示す。同図におけるbは、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’をリストア時の各部の電圧波形を示す。
【0229】
同図におけるaにおいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124へのストア後に記憶装置300のパワーオフによってラッチ回路102の電荷は放電されているものとする。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を保持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を保持しているものとする。
【0230】
ここで、リストア時には、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx7=1Vが選択される(t71)。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより高くなり(t72)、揮発性記憶ノードNに論理値‘1’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘0’がリストアされる。
【0231】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t73)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。また、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は低抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は高抵抗状態を維持する。
【0232】
同図におけるbにおいて、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を保持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を保持しているものとする。
【0233】
ここで、リストア時には、ゲート電圧Vgとして電圧Vg2が選択されるとともに、駆動電圧Vxとして電圧Vx7=1Vが選択される(t71)。このとき、ノード電圧VAの方がノード電圧VBより低くなり(t72)、揮発性記憶ノードNに論理値‘0’、揮発性記憶ノードNBに論理値‘1’がリストアされる。
【0234】
次に、ゲート電圧Vgとして電圧Vg0が選択される(t73)。このとき、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124は、ラッチ回路102から切り離される。また、電圧制御型磁気抵抗効果素子114は高抵抗状態を維持し、電圧制御型磁気抵抗効果素子124は低抵抗状態を維持する。
【0235】
このように、上述の第4の実施の形態では、ラッチ回路102から各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にデータをストアする場合、各MOSトランジスタ113、123にゲート電圧Vg1が印加されている時に駆動電圧Vx8を各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141に印加する。その後、各MOSトランジスタ113、123にゲート電圧Vg2が印加されている時に駆動電圧Vx7を各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のピン層141に印加する。
【0236】
これにより、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方の低抵抗書込み時の低抵抗状態を破壊することなく、その低抵抗書込み後に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方の高抵抗書込みを実施することができる。このため、ラッチ回路102の論理値‘0’を低抵抗状態として電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の一方に保持させ、ラッチ回路102の論理値‘1’を高抵抗状態として電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の他方に保持させることができる。このとき、ラッチ回路102から各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にデータをストアするために、駆動電圧Vx7およびVx8を正電圧に設定すればよく、負電圧を不要とすることができる。
【0237】
また、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータをリストアする場合、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143に印加される電圧よりも高い電圧をピン層141に印加する。これにより、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に保持されているデータを破壊することなく、各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124からラッチ回路102にデータをリストアすることができる。
【0238】
<5.第5の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124をラッチ回路102に設けた。この第5の実施の形態では、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124をフリップフロップに設ける。
【0239】
図27は、第5の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。なお、第5の実施の形態では、上述の第1の実施の形態のラッチ回路102に代えて、フリップフロップを設けた例を示す。
【0240】
同図において、記憶装置500は、上述の第1の実施の形態のラッチセル101に代えて、FF(Flip Flop)セル501を備える。第5の実施の形態の記憶装置500のそれ以外の構成は、上述の第1の実施の形態の記憶装置100の構成と同様である。
【0241】
FFセル501は、上述の第1の実施の形態のラッチ回路102に代えて、フリップフロップ502を備える。なお、フリップフロップ502は、特許請求の範囲に記載の揮発性記憶部の一例である。
【0242】
フリップフロップ502は、データを相補的に保持する。このとき、フリップフロップ502は、双安定回路として動作し、データを揮発的に保持することができる。フリップフロップ502は、データを相補的に保持する揮発性記憶ノードNおよびNBを備える。各揮発性記憶ノードNおよびNBは、データを揮発的に保持する。このとき、フリップフロップ502は、入力データDに応じた論理値を各揮発性記憶ノードNおよびNBに相補的に保持し、出力データQとして出力する。
【0243】
フリップフロップ502は、インバータ521、523、528および530と、NAND回路524および527と、トランスファーゲート522、525、526および529とを備える。
【0244】
インバータ521、トランスファーゲート522、インバータ523、トランスファーゲート526、NAND回路524およびインバータ530は、順次直列接続される。インバータ521には、入力データDが入力される。インバータ530からは、出力データQが出力される。
【0245】
また、インバータ523の出力は、NAND回路524に入力され、NAND回路524の出力は、トランスファーゲート525を介してインバータ523に入力される。NAND回路524の出力は、インバータ528に入力され、インバータ528の出力は、トランスファーゲート529を介してNAND回路527に入力される。また、各NAND回路524および527には、リセット信号RBが入力される。
【0246】
また、各トランスファーゲート522および529の反転入力と、各トランスファーゲート525および526の非反転入力には、非反転クロック信号Cが入力される。各トランスファーゲート522および529の非反転入力と、各トランスファーゲート525および526の反転入力には、反転クロック信号CBが入力される。反転クロック信号CBは、インバータ508を介してクロック信号CLKを反転させることで生成することができる。非反転クロック信号Cは、インバータ508および509を順次介してクロック信号CLKを2回反転させることで生成することができる。トランスファーゲート529には、リセットトランジスタ507が並列に接続される。リセットトランジスタ507は、MOSトランジスタでもよい。
【0247】
電圧制御型磁気抵抗効果素子114は、MOSトランジスタ113を介してフリップフロップ502の揮発性記憶ノードNに接続される。電圧制御型磁気抵抗効果素子124は、MOSトランジスタ123を介してフリップフロップ502の揮発性記憶ノードNBに接続される。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143は駆動端子NDに接続される。駆動端子NDには、電圧ドライバ106から駆動電圧Vxが印加される。MOSトランジスタ113および123のゲートと、リセットトランジスタ507のゲートとには、ゲート電圧切替部105からゲート電圧Vgが印加される。
【0248】
図28は、第5の実施の形態に係る記憶装置の変形例を示す図である。
【0249】
同図において、記憶装置510は、複数のFFセル501-1から501-N(Nは2以上の整数)と、ゲート電圧切替部105と、電圧ドライバ106とを備える。各FFセル501-1から501-Nは、FFセル501と同様に構成することができる。ゲート電圧切替部105は、複数のFFセル501-1から501-Nにゲート電圧Vgを供給する。電圧ドライバ106は、複数のFFセル501-1から501-Nに駆動電圧Vxを供給する。
【0250】
このように、上述の第5の実施の形態では、フリップフロップ502に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を設ける。これにより、フリップフロップ502に保持されたデータが電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にストアされるときの消費電力の増大を抑制しつつ、不揮発性記憶機能をフリップフロップ502に付加することができる。
【0251】
なお、上述の第5の実施の形態では、上述の第1の実施の形態のラッチ回路102に代えて、フリップフロップ502を設けた例を示したが、上述の第2の実施の形態のラッチ回路102に代えて、フリップフロップ502を設けてもよい。また、上述の第3の実施の形態のラッチ回路102に代えて、フリップフロップ502を設けてもよいし、上述の第4の実施の形態のラッチ回路102に代えて、フリップフロップ502を設けてもよい。
【0252】
<6.第6の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124をラッチ回路102に設けた。この第6の実施の形態では、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124をSRAMに設ける。
【0253】
図29は、第6の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【0254】
同図において、記憶装置600は、メモリセルアレイ671、ワード線デコーダ672、ワード線ドライバ673、ビット線デコーダ674およびビット線ドライバ675を備える。また、記憶装置600は、ストア/リストア制御回路676、センスアンプ677および制御回路678を備える。
【0255】
メモリセルアレイ671は、メモリセル601が、ロウ方向およびカラム方向にマトリックス状に配置されている。各メモリセル601には、揮発性記憶部と不揮発性記憶部とが設けられる。揮発性記憶部としてSRAMが設けられる。不揮発性記憶部として電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124が設けられる。SRAMと各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124との間には、MOSトランジスタ113および123がそれぞれ接続される。このとき、各メモリセル601は、NV(Non Volatile)SRAMを構成することができる。また、メモリセルアレイ671には、ワード線WLがロウごとに設けられるとともに、ビット線BLおよびBLBがカラムごとに設けられる。さらに、メモリセルアレイ671には、電圧切替線SRLおよび電圧駆動線CTLが設けられる。電圧切替線SRLは、電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態の設定に用いられる電圧を各MOSトランジスタ113および123に供給する。電圧駆動線CTLは、ストア時およびリストア時に用いられる駆動電圧を各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124に供給する。なお、以下の説明では、SRAMへのデータの書込みをライト、SRAMからのデータの読出しをリードと言う。
【0256】
ワード線デコーダ672は、コマンドおよびロウアドレスを解釈し、リードまたはライトの対象となるメモリセル601が接続されたワード線WLを選択する。ワード線ドライバ673は、ワード線デコーダ672にて選択されたワード線WLを駆動する。
【0257】
ビット線デコーダ674は、コマンドおよびロウアドレスを解釈し、リードまたはライトの対象となるメモリセル601が接続されたビット線BLおよびBLBを選択する。ビット線ドライバ675は、ビット線デコーダ674にて選択されたビット線BLおよびBLBを駆動する。
【0258】
ストア/リストア制御回路676は、メモリセルアレイ671に含まれるメモリセル601のストアおよびリストアを制御する。このとき、ストア/リストア制御回路676は、ストア時に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124の抵抗状態の設定に用いられる電圧を電圧切替線SRLに印加する。また、ストア/リストア制御回路676は、ストア時およびリストア時に用いられる駆動電圧を電圧駆動線CTLに印加する。
【0259】
センスアンプ677は、ビット線デコーダ674にて選択されたビット線BLおよびBLBの電位に基づいて、メモリセルアレイ671から読み出されたデータを検出する。制御回路678は、センスアンプ677で検出されたデータが入力され、ビット線デコーダ674、ワード線デコーダ672およびストア/リストア制御回路676の動作を制御する。
【0260】
図30は、第6の実施の形態に係る記憶装置のメモリセルの構成例を示す図である。
【0261】
同図において、メモリセル601は、上述の第1の実施の形態のラッチ回路102に代えて、SRAM602を備える。なお、SRAM602は、特許請求の範囲に記載の揮発性記憶部の一例である。
【0262】
SRAM602は、データを相補的に保持する。このとき、SRAM602は、双安定回路として動作し、データを揮発的に保持することができる。SRAM602は、データを相補的に保持する揮発性記憶ノードNおよびNBを備える。各揮発性記憶ノードNおよびNBは、データを揮発的に保持する。
【0263】
SRAM602は、アクセストランジスタ633および643がラッチ回路102に追加されている。アクセストランジスタ633および643は、MOSトランジスタでもよい。アクセストランジスタ633は、ビット線BLと揮発性記憶ノードNとの間に接続されている。アクセストランジスタ643は、ビット線BLBと揮発性記憶ノードNBとの間に接続されている。各アクセストランジスタ633および643のゲートは、ワード線WLに接続されている。
【0264】
電圧制御型磁気抵抗効果素子114は、MOSトランジスタ113を介してSRAM602の揮発性記憶ノードNに接続される。電圧制御型磁気抵抗効果素子124は、MOSトランジスタ123を介してSRAM602の揮発性記憶ノードNBに接続される。各電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124のフリー層143は駆動端子NDに接続される。駆動端子NDには、電圧駆動線CTLを介して電圧ドライバ106から駆動電圧Vxが印加される。MOSトランジスタ113および123のゲートには、電圧切替線SRLを介してゲート電圧切替部105からゲート電圧Vgが印加される。
【0265】
このように、上述の第6の実施の形態では、SRAM602を含む各メモリセル601に電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124を設ける。これにより、SRAMに保持されたデータが電圧制御型磁気抵抗効果素子114および124にストアされるときの消費電力の増大を抑制しつつ、不揮発性記憶機能をSRAMに付加することができる。
【0266】
なお、上述の第6の実施の形態では、上述の第1の実施の形態のラッチ回路102に代えて、SRAM602を設けた例を示したが、上述の第2の実施の形態のラッチ回路102に代えて、SRAM602を設けてもよい。また、上述の第3の実施の形態のラッチ回路102に代えて、SRAM602を設けてもよいし、上述の第4の実施の形態のラッチ回路102に代えて、SRAM602を設けてもよい。
【0267】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0268】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)データを相補的に保持する揮発性記憶部と、
前記揮発性記憶部に相補的に保持されたデータを保持する電圧制御型磁気抵抗効果素子と
を具備する記憶装置。
(2)前記揮発性記憶部と前記電圧制御型磁気抵抗効果素子との間に接続され、前記揮発性記憶部と前記電圧制御型磁気抵抗効果素子との間の抵抗が可変な可変抵抗素子をさらに具備する
前記(1)記載の記憶装置。
(3)前記可変抵抗素子は、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が互いに略等しくなるように抵抗を変化させる
前記(2)記載の記憶装置。
(4)前記可変抵抗素子は、ゲート電圧に基づいてオン抵抗が変化する電界効果トランジスタである
前記(2)または(3)に記載の記憶装置。
(5)前記電界効果トランジスタは、前記可変抵抗素子として用いられるだけでなく、前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアするストアトランジスタおよび前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアするリストアトランジスタとしても用いられる
前記(4)記載の記憶装置。
(6)前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に前記電界効果トランジスタに印加される第1ゲート電圧と、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に前記電界効果トランジスタに印加される第2ゲート電圧とを切り替えるゲート電圧切替部を
さらに具備する前記(4)記載の記憶装置。
(7)前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に高抵抗状態にある場合、前記第1ゲート電圧に基づいて、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子の磁化方向を反転させる反転電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に低抵抗状態にある場合、前記第1ゲート電圧に基づいて、前記反転電圧よりも小さな電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に低抵抗状態にある場合、前記第2ゲート電圧に基づいて、前記反転電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に高抵抗状態にある場合、前記第2ゲート電圧に基づいて、前記反転電圧よりも大きな電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加される
前記(6)記載の記憶装置。
(8)VCMA(Voltage Controlled Magnetic Anisotropy)効果に基づいて前記電圧制御型磁気抵抗効果素子の磁化方向を反転させる反転電圧を印加する電圧ドライバを
さらに具備する前記(6)または(7)に記載の記憶装置。
(9)前記電圧制御型磁気抵抗効果素子は、前記電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加される同一極性の電圧の段階的な変化に基づいて、前記揮発性記憶部に相補的に保持されたデータに応じた低抵抗状態および高抵抗状態がそれぞれストアされる
前記(8)記載の記憶装置。
(10)前記電圧制御型磁気抵抗効果素子は、前記揮発性記憶部に相補的に保持されるデータに応じて互いに異なる抵抗状態が設定される第1電圧制御型磁気抵抗効果素子および第2電圧制御型磁気抵抗効果素子を備え、
前記電圧ドライバは、前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子および前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に対し、前記揮発性記憶部に相補的に保持されるデータに対応したノード電圧に応じて第1駆動電圧を印加した後に第2駆動電圧を印加し、
前記第1駆動電圧は、前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に反転電圧が印加されるとともに、前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子の垂直磁気異方性が増大するように設定され、
前記第2駆動電圧は、前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に反転電圧が印加されるとともに、前記反転電圧よりも小さな電圧が前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加されるように設定される
前記(8)または(9)に記載の記憶装置。
(11)前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に前記反転電圧が印加されるときに、前記ノード電圧の差分だけ前記反転電圧よりも高い電圧が前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加され、
前記第2電圧制御型磁気抵抗効果素子に前記反転電圧が印加されるときに、前記ノード電圧の差分だけ前記反転電圧よりも低い電圧が前記第1電圧制御型磁気抵抗効果素子に印加される
前記(10)記載の記憶装置。
(12)前記反転電圧よりも小さな電圧は0Vである
前記(10)または(11)に記載の記憶装置。
(13)前記電圧制御型磁気抵抗効果素子は、
磁化方向が固定されたピン層と、
電圧に基づいて誘起された磁気の磁化方向が反転可能なフリー層と、
前記ピン層と前記フリー層との間に挟まれたトンネルバリア層と
を備える前記(10)から(12)のいずれかに記載の記憶装置。
(14)前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、
前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加された後、
前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、
前記ピン層に印加される電圧よりも低い電圧が前記フリー層に印加される
前記(13)記載の記憶装置。
(15)前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、
前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加された後、
前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のフリー層に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、
前記ピン層に印加される電圧よりも高い電圧が前記フリー層に印加される
前記(13)記載の記憶装置。
(16)前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、
前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加された後、
前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、
前記フリー層に印加される電圧よりも低い電圧が前記ピン層に印加される
前記(13)記載の記憶装置。
(17)前記揮発性記憶部から前記電圧制御型磁気抵抗効果素子にデータをストアする場合、
前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧が印加されている時に前記第1駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加された後、
前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧が印加されている時に前記第2駆動電圧が前記電圧制御型磁気抵抗効果素子のピン層に印加され、
前記電圧制御型磁気抵抗効果素子から前記揮発性記憶部にデータをリストアする場合、
前記フリー層に印加される電圧よりも高い電圧が前記ピン層に印加される
前記(13)記載の記憶装置。
(18)前記揮発性記憶部はラッチ回路である
前記(1)から(17)のいずれかに記載の記憶装置。
(19)前記揮発性記憶部はフリップフロップである
前記(1)から(17)のいずれかに記載の記憶装置。
(20)前記揮発性記憶部はSRAM(Static Random Access Memory)である
前記(1)から(17)のいずれかに記載の記憶装置。
【符号の説明】
【0269】
100から600 記憶装置
101 ラッチセル
102 ラッチ回路
112、122 インバータ
103 可変抵抗回路
113、123 MOSトランジスタ
114、124 電圧制御型磁気抵抗効果素子
141 ピン層
142 トンネルバリア層
143 フリー層
105 ゲート電圧切替部
115 抵抗制御スイッチ
106 電圧ドライバ
116 電圧切替スイッチ