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特開2024-207光給電システム、給電装置及び受電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000207
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】光給電システム、給電装置及び受電装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/80 20130101AFI20231225BHJP
   H02J 50/30 20160101ALI20231225BHJP
【FI】
H04B10/80 160
H02J50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098858
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】木村 良之
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AH21
5K102AH23
5K102AH24
5K102AL13
5K102AL23
5K102AN01
5K102AN02
5K102AN03
5K102PB11
5K102PH31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】給電光を介して電力と情報を同時に伝送する光給電システム、給電装置及び受電装置を提供する。
【解決手段】光給電システム1Aは、給電装置110と受電装置310を備える。給電装置110は、給電光112を出力する発光部と、給電制御部150と、を有する。受電装置310は、入射された給電光112を電力に変換する第1受光部311aと、入射された給電光112を電気信号に変換する第2受光部311bと、第2受光部311bで変換された電気信号を復調して情報を取得する復調部と、を有する。給電制御部150は、給電光112を、少なくとも第1受光部311aに照射された第1照射状態と、第1受光部311a及び第2受光部311bの双方に照射され、かつ、第1照射状態よりも第2受光部311bの被照射面積が大きい第2照射状態と、に切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置と受電装置を備え、
前記給電装置は、給電光を出力する発光部と、給電制御部と、を有し、
前記受電装置は、入射された前記給電光を電力に変換する第1受光部と、入射された前記給電光を電気信号に変換する第2受光部と、前記第2受光部で変換された電気信号を復調して情報を取得する復調部と、を有し、
前記給電制御部は、前記給電光を、少なくとも前記第1受光部に照射された第1照射状態と、前記第1受光部及び前記第2受光部の双方に照射され、かつ、前記第1照射状態よりも前記第2受光部の被照射面積が大きい第2照射状態と、に切り替える、
光給電システム。
【請求項2】
前記第2照射状態は、前記第2受光部の被照射面積が互いに異なる複数の照射状態を含む、
請求項1に記載の光給電システム。
【請求項3】
前記発光部、前記第1受光部及び前記第2受光部の各々は、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体を含む光電変換素子である、
請求項1に記載の光給電システム。
【請求項4】
入射された給電光を電気に変換する第1受光部及び第2受光部に向けて前記給電光を出力する発光部と、給電制御部と、を備え、
前記給電制御部は、前記給電光を、少なくとも前記第1受光部に照射された第1照射状態と、前記第1受光部及び前記第2受光部の双方に照射され、かつ、前記第1照射状態よりも前記第2受光部の被照射面積が大きい第2照射状態と、に切り替える、
給電装置。
【請求項5】
前記給電制御部は、前記給電光のピント調整を行うことにより、前記給電光を前記第1照射状態と前記第2照射状態とに切り替える、
請求項4に記載の給電装置。
【請求項6】
前記給電制御部は、前記給電光の被照射位置を移動させることにより、前記給電光を前記第1照射状態と前記第2照射状態とに切り替える、
請求項4に記載の給電装置。
【請求項7】
前記給電制御部は、前記発光部の出力を一定に保持しつつ、前記給電光を前記第1照射状態と前記第2照射状態とに切り替える、
請求項4に記載の給電装置。
【請求項8】
入射された給電光を電力に変換する第1受光部と、
入射された給電光を電気信号に変換する第2受光部と、
前記第2受光部で変換された電気信号を復調して情報を取得する復調部と、
を備え、
前記第1受光部と前記第2受光部は、並設されるとともに、
前記給電光が少なくとも前記第1受光部に照射された第1照射状態と、前記給電光が前記第1受光部及び前記第2受光部の双方に照射され、かつ、前記第1照射状態よりも前記第2受光部の被照射面積が大きい第2照射状態と、を取り得る、
受電装置。
【請求項9】
前記第1受光部と前記第2受光部は、互いの受光面を当接させた状態で並設されている、
請求項8に記載の受電装置。
【請求項10】
前記第1受光部と前記第2受光部は、互いの受光面の間に隙間を介在させた状態で並設されている、
請求項8に記載の受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光給電システム、給電装置及び受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、電力を光(給電光と呼ばれる)に変換して伝送し、当該給電光を電気エネルギーに変換して電力として利用する光給電システムが研究されている。
特許文献1には、電気信号で変調された信号光、及び電力を供給するための給電光を発信する光発信機と、上記信号光を伝送するコア、上記コアの周囲に形成され上記コアより屈折率が小さく上記給電光を伝送する第1クラッド、及び上記第1クラッドの周囲に形成され上記第1クラッドより屈折率が小さい第2クラッド、を有する光ファイバーと、上記光ファイバーの第1クラッドで伝送された上記給電光を変換した電力で動作し、上記光ファイバーのコアで伝送された上記信号光を上記電気信号に変換する光受信機と、を備えた光通信装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-135989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光給電システムにおいて給電光に情報を挿入することで電力と情報とを同時に伝送できると有用である。
本開示は、給電光を介して電力と情報を同時に伝送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る光給電システムは、
給電装置と受電装置を備え、
前記給電装置は、給電光を出力する発光部と、給電制御部と、を有し、
前記受電装置は、入射された前記給電光を電力に変換する第1受光部と、入射された前記給電光を電気信号に変換する第2受光部と、前記第2受光部で変換された電気信号を復調して情報を取得する復調部と、を有し、
前記給電制御部は、前記給電光を、少なくとも前記第1受光部に照射された第1照射状態と、前記第1受光部及び前記第2受光部の双方に照射され、かつ、前記第1照射状態よりも前記第2受光部の被照射面積が大きい第2照射状態と、に切り替える。
【0006】
本開示に係る給電装置は、
入射された給電光を電気に変換する第1受光部及び第2受光部に向けて前記給電光を出力する発光部と、給電制御部と、を備え、
前記給電制御部は、前記給電光を、少なくとも前記第1受光部に照射された第1照射状態と、前記第1受光部及び前記第2受光部の双方に照射され、かつ、前記第1照射状態よりも前記第2受光部の被照射面積が大きい第2照射状態と、に切り替える。
【0007】
本開示に係る受電装置は、
入射された給電光を電力に変換する第1受光部と、
入射された給電光を電気信号に変換する第2受光部と、
前記第2受光部で変換された電気信号を復調して情報を取得する復調部と、
を備え、
前記第1受光部と前記第2受光部は、並設されるとともに、
前記給電光が少なくとも前記第1受光部に照射された第1照射状態と、前記給電光が前記第1受光部及び前記第2受光部の双方に照射され、かつ、前記第1照射状態よりも前記第2受光部の被照射面積が大きい第2照射状態と、を取り得る。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、給電光を介して電力と情報を同時に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係る光給電システムの構成図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る(a)2つの受光部への給電光の照射を示す概念図、(b)2つの受光部の正面図、(c)第2受光部の出力波形例を示す図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る給電光の照射状態の切り替え態様の変形例を示す図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る受光部の変形例を示す図である。
図5】本開示の第2実施形態に係る光給電システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本開示の一実施形態につき図面を参照して説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1に示すように本実施形態の光給電システム1Aは、給電装置(PSE:Power Sourcing Equipment)110と、受電装置(PD:Powered Device)310を備える。光給電システム1Aは、給電装置110が生成した給電光112を、空間を介して受電装置310に伝送する。このような空間伝送の光給電方式は、PoA(Power over Air)と呼ばれる。
なお、本開示における給電装置は電力を光エネルギーに変換して供給する装置であり、受電装置は光エネルギーの供給を受け当該光エネルギーを電力に変換する装置である。また、本開示では、給電光により電力と情報(データ)とが伝送される。
【0012】
給電装置110は、給電用半導体レーザー111と、給電制御部150を含む。
給電装置110は電源に接続され、給電用半導体レーザー111等が電気駆動される。
給電用半導体レーザー111は、上記電源からの電力によりレーザー発振して給電光112を出力する。
給電装置110は、例えばコリメータレンズ等のレンズ115を有し、給電用半導体レーザー111から出射される給電光112を、レンズ115を介して空間に送出する。レンズ115は、モータ等のレンズ駆動部116の駆動により、その中心軸方向に移動可能に構成されている。レンズ駆動部116によるレンズ115の移動により、給電光112のピント調整が行われる。なお、レンズ115は複数枚であってもよい。この場合、レンズ駆動部116により駆動されるレンズはそのうちの一部であってもよい。
【0013】
給電制御部150は、給電用半導体レーザー111のレーザー発振を制御して給電光112の出力を制御する。また、給電制御部150は、レンズ駆動部116を動作制御して給電光112のピント調整を行うことにより、給電光112に情報を重畳させる。具体的な情報の重畳態様については後述する。
なお、給電光112に重畳させる情報は特に限定されない。例えば、給電装置110の電力伝送状態を受電装置310に通知する(これから給電量を上げる等)信号や、受電装置310の機器(又は外部機器)を制御する信号などでもよい。
【0014】
受電装置310は、給電装置110からの給電光112を受ける受光室312を含む。
受光室312は、給電装置110側の壁部に開口312bを有する。給電装置110からの給電光112は、開口312bを通じて受光室312内に入射する。なお、開口312bには、パワーを有しない平行平板又は集光レンズなどのレンズが配置されてもよい。
【0015】
受光室312の内部には、図2(a)、(b)に示すように、光電変換素子である2つの受光部311(第1受光部311a、第2受光部311b)が収容されている。
2つの受光部311は、受光室312内のうち、開口312bに対向する壁部に並設されている。ただし、開口312bを通じて受光室312内に入射する給電光112の中心軸(光軸)は、第1受光部311a上に位置している。2つの受光部311は、それぞれの受光面311af、311bfに入射した給電光112を電気に変換する。また、本実施形態の2つの受光部311は、互いの受光面311af、311bfを当接させた状態で並設されている。
【0016】
2つの受光部311には、給電制御部150によってピント調整された給電光112が照射される。具体的に、給電制御部150は、送信する情報に基づいて、給電用半導体レーザー111のレーザー出力を略一定に保持しつつ給電光112のピント調整を行うことにより、給電光112を第1照射状態S1と第2照射状態S2とに切り替える。第1照射状態S1は、第2受光部311bに照射されず第1受光部311aのみに照射された状態である。第2照射状態S2は、2つの受光部311上への被照射面積が第1照射状態S1よりも大きい状態であって、第1受光部311a及び第2受光部311bの双方に照射された状態である。
なお、給電用半導体レーザー111(給電光112)の出力が「(略)一定」であるとは、制御による能動的な出力変化が加えられることなく実質的に一定であることをいい、制御以外の外乱等による出力変化分を加味しない。
【0017】
第1照射状態S1の給電光112は、第1受光部311aによって電力に変換される。一方、第2照射状態S2の給電光112は、第1受光部311aの照射部分が当該第1受光部311aによって電力に変換されるとともに、第2受光部311bの照射部分が当該第2受光部311bによって電気信号に変換される。
これにより、第1受光部311aからは、少なくとも第1照射状態S1に対応する電力が安定して出力される。一方、第2受光部311bからは、図2(c)に示すように、第2照射状態S2と第1照射状態S1とでON/OFFが切り替えられたパルス波形の信号114が出力される。したがって、給電光112を第1照射状態S1と第2照射状態S2とに切り替えることにより、変調した情報を給電光112に重畳させることができる。
【0018】
なお、第1照射状態S1は、給電光112が少なくとも第1受光部311aに照射された状態であればよく、第2照射状態S2は、第1受光部311a及び第2受光部311bの双方に照射され、かつ、第1照射状態S1よりも第2受光部311bの被照射面積が大きい状態であればよい。したがって、第1照射状態S1と第2照射状態S2とで第2受光部311bからの電気出力の大きさが異なっていれば、第1照射状態S1において給電光112が第2受光部311bに照射されていてもよい。
また、図2(b)、(c)では、第2受光部311bからの信号114を二値化した例を示したが、より多値化した高次のデジタル変調を行ってもよいし、アナログ変調を行ってもよい。例えば図3(a)、(b)に示すように、第2照射状態S2を、第2受光部311bの被照射面積が互いに異なる複数の照射状態(図3(a)の例では、2つの照射状態S21、S22)を含むものとし、信号114を多値化させてもよい。
また、給電光112を第1照射状態S1と第2照射状態S2とに切り替える手法は、給電光112のピント調整に限定されない。例えば図3(c)に示すように、給電光112の照射位置を移動させることで、給電光112を第1照射状態S1と第2照射状態S2とに切り替えてもよい。この場合でも、第2受光部311bからの信号114を多値化等できる。またこの場合、第1受光部311a及び第2受光部311b上での給電光112の被照射面積及びフォーカス状態は、第1照射状態S1と第2照射状態S2とで変わっていてもよいし変わっていなくてもよい(図3(c)の例では変わっていない)。
【0019】
また、本実施形態では、2つの受光部311(第1受光部311aと第2受光部311b)が、互いの受光面311af、311bfを当接させた状態で並設されていることとした。これにより、2つの受光部311の双方に給電光112が照射される場合でも、2つの受光面311af、311bfの間への受光漏れを抑制でき、ひいては効率よく給電及び情報の抽出を行うことができる。
しかし、図4(a)に示すように、2つの受光部311は、互いの受光面311af、311bfの間に隙間CLを介在させた状態で並設されていてもよい。この場合には、例えば第1照射状態S1において第1受光部311aの受光面311afの端部に照射された給電光112が第2受光部311bに誤検出されることを抑制できる。
また、給電光112から情報(電気信号)を取り出す第2受光部311bは、例えば図4(b)に示すように、複数設けられていてもよい。この場合、全ての第2受光部311bを第1受光部311aに隣接させてもよいし、第1受光部311aに隣接せずに他の第2受光部311bのみに隣接する第2受光部311bを含んでもよい。また、第1受光部311aと複数の第2受光部311bとの各隣接部では、互いの受光面が当接していてもよいしその間に隙間が介在していてもよい。また、複数の第2受光部311bの各々から得られる信号(情報)は、互いに異なるものでもよいし、同じものが含まれてもよい。
【0020】
また、受電装置310は、図1に示すように、受光室312の外部に復調回路370を備える。
復調回路370は、第2受光部311bにより給電光112から変換された信号114を復調し、給電光112に予め重畳されていた情報を取得する。取得された情報は、その内容に応じて、受電装置310の制御部等に出力されたり、外部機器に出力されたりする。
【0021】
給電用半導体レーザー111及び2つの受光部311の各々は、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体を含む光電変換素子である。より詳しくは、給電用半導体レーザー111及び2つの受光部311の光‐電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料が、500nm以下の短波長のレーザー波長をもった半導体とされる。
短波長のレーザー波長をもった半導体は、バンドギャップが大きく光電変換効率が高いので、光給電の発電側及び受電側における光電変換効率が向上され、光給電効率が向上する。
そのためには、同半導体材料として、例えば、ダイヤモンド、酸化ガリウム、窒化アルミニウム、GaN等、レーザー波長(基本波)が200~500nmのレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
また、同半導体材料として、2.4eV以上のバンドギャップを有した半導体が適用される。
例えば、ダイヤモンド、酸化ガリウム、窒化アルミニウム、GaN等、バンドギャップ2.4~6.2eVのレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
なお、レーザー光は長波長ほど伝送効率が良く、短波長ほど光電変換効率が良い傾向にある。したがって、長距離伝送の場合には、レーザー波長(基本波)が500nmより大きいレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。また、光電変換効率を優先する場合には、レーザー波長(基本波)が200nmより小さいレーザー媒体の半導体材料を用いてもよい。
これらの半導体材料は、給電用半導体レーザー111及び2つの受光部311の少なくとも1つに適用すればよい。給電側又は受電側における光電変換効率が向上され、光給電効率が向上する。
【0022】
以上のように、本実施形態によれば、給電光112が、少なくとも第1受光部311aに照射された第1照射状態S1と、第1受光部311a及び第2受光部311bの双方に照射され、かつ、第1照射状態S1よりも第2受光部311bの被照射面積が大きい第2照射状態S2と、に切り替えられる。第1照射状態S1と第2照射状態S2とを通じて第1受光部311aに照射された給電光112は電力に変換される。一方、第2受光部311bに照射された給電光112は、第1照射状態S1と第2照射状態S2とで出力の大きさが異なる電気信号に変換される。この電気信号は復調回路370で復調されて、給電光112に予め重畳されていた情報が抽出される。
すなわち、給電光112を第1照射状態S1と第2照射状態S2とに切り替えることにより、給電光112によって給電を行いつつ当該給電光112に情報を重畳させることができる。したがって、給電光112を介して電力と情報を同時に伝送することができる。
【0023】
また、本実施形態によれば、給電制御部150は、給電用半導体レーザー111の出力を略一定に保持しつつ、給電光112を第1照射状態S1と第2照射状態S2とに切り替える。
これにより、例えばレーザー出力を変動させて情報を重畳させる場合に比べ、給電光112の出力変動を抑えて電力供給効率を向上させることができる。
【0024】
〔第2実施形態〕
図5に示すように、本実施形態の光給電システム1Bは、給電装置110を含む第1のデータ通信装置100と、光ファイバーケーブル200と、受電装置310を含む第2のデータ通信装置300とを備える。
給電装置110は、給電用半導体レーザー111と給電制御部150を含む。第1のデータ通信装置100は、給電装置110のほか、受信部130を含む。第1のデータ通信装置100は、データ端末装置(DTE(Data Terminal Equipment))、中継器(Repeater)等に相当する。受信部130は、信号用フォトダイオード131を含む。
【0025】
光ファイバーケーブル200は、信号光の伝送路を形成する光ファイバー250を含む。
光ファイバーケーブル200は、一端が第1のデータ通信装置100に接続可能とされ、他端が第2のデータ通信装置300に接続可能とされ、信号光を伝送する。
【0026】
受電装置310は、2つの受光部311(第1受光部311a、第2受光部311b)を収容する受光室312と、復調回路370とを含む。第2のデータ通信装置300は、受電装置310のほか、発信部320と、データ処理ユニット340とを含む。第2のデータ通信装置300は、パワーエンドステーション(Power End Station)等に相当する。発信部320は、信号用半導体レーザー321と、モジュレーター322とを含む。データ処理ユニット340は、受信した信号を処理するユニットである。また、第2のデータ通信装置300は、給電ネットワークにおけるノードである。または第2のデータ通信装置300は、他のノードと通信するノードでもよい。
【0027】
第1のデータ通信装置100は電源に接続され、給電用半導体レーザー111、信号用フォトダイオード131等が電気駆動される。また、第1のデータ通信装置100は、給電ネットワークにおけるノードである。または第1のデータ通信装置100は、他のノードと通信するノードでもよい。
給電用半導体レーザー111は、上記電源からの電力によりレーザー発振して給電光112を出力する。このとき、給電制御部150は、上記第1実施形態と同様に、送信する情報に基づいて、給電用半導体レーザー111のレーザー出力を略一定に保持しつつ給電光112のピント調整を行うことにより、2つの受光部311への給電光112の照射状態を第1照射状態S1と第2照射状態S2とに切り替える。第1照射状態S1は、給電光112が少なくとも第1受光部311aに照射された状態である。第2照射状態S2は、第1受光部311a及び第2受光部311bの双方に照射され、かつ、第1照射状態S1よりも第2受光部311bの被照射面積が大きい状態である。これにより、給電光112に情報が重畳される。給電装置110からの給電光112は、空間を介して第2のデータ通信装置300の受電装置310に伝送され、受光室312内に入射する。
【0028】
受光室312内の第1受光部311aは、第1照射状態S1と第2照射状態S2とを通じて、照射された給電光112を電力に変換する。得られた電力は、発信部320及びデータ処理ユニット340の駆動電力、その他の第2のデータ通信装置300内で必要となる駆動電力とされる。さらに第2のデータ通信装置300は、得られた電力を外部機器用に出力可能とされていてもよい。
一方、第2受光部311bは、照射された給電光112を、第1照射状態S1と第2照射状態S2とで出力の大きさが異なる電気信号に変換する。復調回路370は、第2受光部311bで変換された電気信号を復調して、予め給電光112に重畳されていた情報を抽出する。取得された情報は、その内容に応じて、データ処理ユニット340に出力されたり、外部機器に出力されたりする。
【0029】
データ処理ユニット340は、入力されたデータをノードに送信し、その一方で当該ノードからデータを受信し、送信データ324としてモジュレーター322に出力する。
発信部320のモジュレーター322は、信号用半導体レーザー321からのレーザー光323を送信データ324に基づき変調して信号光325として出力する。
受信部130の信号用フォトダイオード131は、光ファイバーケーブル200を通して伝送されてきた信号光325を電気信号に復調し出力する。当該電気信号によるデータがノードに送信される。当該ノードからのデータは、給電制御部150が給電用半導体レーザー111を制御して給電光112に重畳させる情報とされてもよい。
【0030】
第1のデータ通信装置100からの給電光112は、空間を介して第2のデータ通信装置300に伝送される。
第2のデータ通信装置300からの信号光325は、光ファイバーケーブル200に入力され、第1のデータ通信装置100に出力される。
なお、信号光325は、PoA方式で空間を介して伝送させてもよい。
【0031】
給電用半導体レーザー111及び2つの受光部311の各々は、光-電気間の変換効果を奏する半導体領域を構成する半導体材料として上記第1実施形態と同様のものを含む。これにより、高い光給電効率が実現される。
【0032】
以上のように構成された光給電システム1Bによっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、光給電システム1Bにも上記第1実施形態と同様の各種変形例を適用できる。
【0033】
以上、本開示の各実施形態について説明した。しかし、本開示の内容は、上記実施形態に限られるものではない。実施形態で示した細部等は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0034】
以下、本開示の一実施形態を示す。一実施形態において、
(1)光給電システムは、
給電装置と受電装置を備え、
前記給電装置は、給電光を出力する発光部と、給電制御部と、を有し、
前記受電装置は、入射された前記給電光を電力に変換する第1受光部と、入射された前記給電光を電気信号に変換する第2受光部と、前記第2受光部で変換された電気信号を復調して情報を取得する復調部と、を有し、
前記給電制御部は、前記給電光を、少なくとも前記第1受光部に照射された第1照射状態と、前記第1受光部及び前記第2受光部の双方に照射され、かつ、前記第1照射状態よりも前記第2受光部の被照射面積が大きい第2照射状態と、に切り替える。
【0035】
(2)上記(1)の光給電システムにおいて、
前記第2照射状態は、前記第2受光部の被照射面積が互いに異なる複数の照射状態を含む。
【0036】
(3)上記(1)又は(2)の光給電システムにおいて、
前記発光部、前記第1受光部及び前記第2受光部の各々は、レーザー波長500nm以下のレーザー媒体を含む光電変換素子である。
【0037】
(4)給電装置は、
入射された給電光を電気に変換する第1受光部及び第2受光部に向けて前記給電光を出力する発光部と、給電制御部と、を備え、
前記給電制御部は、前記給電光を、少なくとも前記第1受光部に照射された第1照射状態と、前記第1受光部及び前記第2受光部の双方に照射され、かつ、前記第1照射状態よりも前記第2受光部の被照射面積が大きい第2照射状態と、に切り替える。
【0038】
(5)上記(4)の給電装置において、
前記給電制御部は、前記給電光のピント調整を行うことにより、前記給電光を前記第1照射状態と前記第2照射状態とに切り替える。
【0039】
(6)上記(4)の給電装置において、
前記給電制御部は、前記給電光の被照射位置を移動させることにより、前記給電光を前記第1照射状態と前記第2照射状態とに切り替える。
【0040】
(7)上記(4)~(6)のいずれかの給電装置において、
前記給電制御部は、前記発光部の出力を一定に保持しつつ、前記給電光を前記第1照射状態と前記第2照射状態とに切り替える。
【0041】
(8)受電装置は、
入射された給電光を電力に変換する第1受光部と、
入射された給電光を電気信号に変換する第2受光部と、
前記第2受光部で変換された電気信号を復調して情報を取得する復調部と、
を備え、
前記第1受光部と前記第2受光部は、並設されるとともに、
前記給電光が少なくとも前記第1受光部に照射された第1照射状態と、前記給電光が前記第1受光部及び前記第2受光部の双方に照射され、かつ、前記第1照射状態よりも前記第2受光部の被照射面積が大きい第2照射状態と、を取り得る。
【0042】
(9)上記(8)の受電装置において、
前記第1受光部と前記第2受光部は、互いの受光面を当接させた状態で並設されている。
【0043】
(10)上記(8)の受電装置において、
前記第1受光部と前記第2受光部は、互いの受光面の間に隙間を介在させた状態で並設されている。
【符号の説明】
【0044】
1A、1B 光給電システム
110 給電装置
111 給電用半導体レーザー(発光部)
112 給電光
114 信号
115 レンズ
116 レンズ駆動部
150 給電制御部
310 受電装置
311 受光部
311a 第1受光部
311af 受光面
311b 第2受光部
311bf 受光面
370 復調回路(復調部)
CL 隙間
S1 第1照射状態
S2 第2照射状態
図1
図2
図3
図4
図5