(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020701
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】自動水平搬送装置、自動搬送システム及び自動搬送方法
(51)【国際特許分類】
B61B 13/00 20060101AFI20240207BHJP
B62B 3/04 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B61B13/00 V
B62B3/04 A
B61B13/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123077
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松岡 明彦
(72)【発明者】
【氏名】市村 元
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信也
(72)【発明者】
【氏名】岡部 光寿
【テーマコード(参考)】
3D050
3D101
【Fターム(参考)】
3D050AA19
3D050BB22
3D050DD01
3D050EE09
3D050HH07
3D101BA01
3D101BB31
3D101BB43
(57)【要約】
【課題】荷取りの手間を低減する。
【解決手段】自動水平搬送装置10は、経由位置(第一の地点)と目標位置(第二の地点)との間に一列に並んで配列された複数の搬送対象物を搬送する。本体11(搬送部)は、搬送対象物の下に潜り込む。検出部19は、本体11が搬送対象物の下に潜り込んだことを検出する。牽引ピン14又は昇降部15(荷取り部)は、本体11が搬送対象物の下に潜り込んだことを検出部19が検出した場合に、荷取り動作をする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の地点と第二の地点との間に一列に並んで配列された複数の搬送対象物を搬送する自動水平搬送装置において、
前記搬送対象物の下に潜り込む搬送部と、
前記搬送部が前記搬送対象物の下に潜り込んだことを検出する検出部と、
前記搬送部が前記搬送対象物の下に潜り込んだことを前記検出部が検出した場合に、荷取り動作をする荷取り部と
を備える、自動水平搬送装置。
【請求項2】
前記第一の地点から前記第二の地点へ向けて移動し、前記搬送部が前記搬送対象物の下に潜り込んだことを前記検出部が検出した時点で停止して、前記荷取り部が前記荷取り動作をしたのち、前記第一の地点へ向けて移動することにより、前記搬送対象物を搬送する、
請求項1の自動水平搬送装置。
【請求項3】
前記検出部は、
前記第一の地点から前記第二の地点へ向けて移動するとき後方となる位置に接触式センサを有し、
前記搬送対象物に前記接触式センサが接触したとき、前記搬送部が前記搬送対象物の下に潜り込んだことを検出する、
請求項1又は2の自動水平搬送装置。
【請求項4】
請求項1又は2の自動水平搬送装置と、
前記第一の地点と前記第二の地点との間に配置され、前記複数の搬送対象物を並べるためのガイドとなるガイドレールと
を備える、自動搬送システム。
【請求項5】
請求項2の自動水平搬送装置に、前記第一の地点及び前記第二の地点を設定し、
複数の搬送対象物を前記第一の地点と前記第二の地点との間に一列に並べて配列し、
前記自動水平搬送装置が、設定された前記第一の地点及び前記第二の地点に基づいて移動することにより、配列された前記複数の搬送対象物を搬送する、
自動搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場などにおいて資機材などを搬送する自動水平搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、建設現場において資機材などを載置した専用平台車を牽引することにより搬送する自動水平搬送装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動水平搬送装置は、資機材などを載置した専用平台車が置かれた荷取り位置を指定することにより、荷取り位置まで移動して専用平台車に係合し、搬送する。
このため、複数の専用平台車に載置された資機材を一台ずつ搬送する場合、複数の専用平台車が置かれた荷取り位置をすべて指定する必要がある。あるいは、最初の専用平台車が置かれた荷取り位置だけを指定し、二台目以降は、同じ位置から搬送することとしてもよいが、その場合、前の専用平台車が搬送されたのち、次の専用平台車を荷取り位置に人手で移動させる必要がある。
この発明は、例えばこのような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
自動水平搬送装置は、第一の地点と第二の地点との間に一列に並んで配列された複数の搬送対象物を搬送する。自動水平搬送装置は、前記搬送対象物の下に潜り込む搬送部と、前記搬送部が前記搬送対象物の下に潜り込んだことを検出する検出部と、前記搬送部が前記搬送対象物の下に潜り込んだことを前記検出部が検出した場合に、荷取り動作をする荷取り部とを有する。
自動水平搬送装置は、前記第一の地点から前記第二の地点へ向けて移動し、前記搬送部が前記搬送対象物の下に潜り込んだことを前記検出部が検出した時点で停止して、前記荷取り部が前記荷取り動作をしたのち、前記第一の地点へ向けて移動することにより、前記搬送対象物を搬送してもよい。
前記検出部は、前記第一の地点から前記第二の地点へ向けて移動するとき後方となる位置に接触式センサを有し、前記搬送対象物に前記接触式センサが接触したとき、前記搬送部が前記搬送対象物の下に潜り込んだことを検出してもよい。
自動搬送システムは、前記自動水平搬送装置と、前記第一の地点と前記第二の地点との間に配置され、前記複数の搬送対象物を並べるためのガイドとなるガイドレールとを備えてもよい。
【発明の効果】
【0006】
前記自動水平搬送装置によれば、搬送部が搬送対象物の下に潜り込んだことを検出部が検出した場合に、荷取り部が荷取り動作をするので、搬送対象物を荷取り位置に人手で移動させる必要がなく、また、すべての搬送対象物の位置を指定する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図7】自動水平搬送装置が専用平台車の下に潜り込んだ状態を示す正面図。
【
図8】自動水平搬送装置が専用平台車の下に潜り込んだ状態を示す右側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~3を参照して、専用台車20について説明する。
専用平台車20は、搬送対象物の一例であり、その上に搬送されるべき資機材などが載置される。
専用平台車20は、例えば、本体21と、荷台22と、車輪23と、ストッパー24と、レバー25と、接触部29とを有する。
本体21は、略長方形状の枠組みである。
荷台22は、本体21の上に固定された略正方形状の板であり、搬送されるべき資機材などが載置される。
車輪23は、本体21の四隅に設けられ、自由に回転する。これにより、専用平台車20を容易に移動させることができる。車輪23は、360度自由に向きを変えることができる。これにより、専用平台車20は、任意の向きに動かすことができる。
【0009】
ストッパー24は、本体21の短辺に沿って、車輪23の間に設けられている。ストッパー24は、レバー25を操作することにより上下に移動可能である。ストッパー24を上げることにより、専用平台車20が移動可能となる。逆にストッパー24を下げることにより、専用平台車20が意図せず動くのを防ぐ。また、レバー25を操作する代わりに、後述する自動水平搬送装置10による操作によって、上げることができる。
接触部29は、本体21の長辺側側面に設けられた略長方形状の板である。
【0010】
図4~6を参照して、自動水平搬送装置10について説明する。
自動水平搬送装置10は、コンピュータプログラムなどからの指示にしたがって自動走行する車両であり、専用平台車20に載置された資機材などを搬送する。
自動水平搬送装置10は、例えば、本体11と、車輪13と、牽引ピン14と、昇降部15と、検出部19とを有する。
本体11は、搬送部の一例であり、略長方形板状である。
車輪13は、本体11の四隅及び長辺の中間部に設けられている。このうち、中央の二つが駆動輪であり、残りの四つは、補助輪である。二つの駆動輪が同じ向きに同じ速度で回転することにより、自動水平搬送装置10は、本体11の長辺に平行な方向へ向けて移動する。また、二つの駆動輪が反対方向に同じ速度で回転することにより、自動水平搬送装置10は、その場で向きを変えることができる。
【0011】
牽引ピン14は、荷取り部の一例であり、本体11の上面の中央付近に四つ設けられている。牽引ピン14は、上下に移動する。
昇降部15は、荷取り部の一例であり、本体11の上面の中央に設けられた略正方形板状であり、牽引ピン14に対応する部分に開口を有する。昇降部15は、上下に移動する。
牽引ピン14及び昇降部15を下げた状態において、自動水平搬送装置10は、専用平台車20の本体21の下に潜り込むことができる(
図7,8参照)。
自動水平搬送装置10が専用平台車20の下に潜り込んだ状態で、牽引ピン14を上昇させると、牽引ピン14は、専用平台車20に係合するとともに、ストッパー24を上昇させる。これは、荷取り動作の一例である。この状態で、自動水平搬送装置10が移動すると、専用平台車20も一緒に移動する。これを「牽引モード」と呼ぶ。
また、自動水平搬送装置10が専用平台車20の下に潜り込んだ状態で、昇降部15を上昇させると、専用平台車20の本体21に当接して、専用平台車20を持ち上げる。これにより、ストッパー24だけでなく、車輪23も床面から離れる。これは、荷取り動作の一例である。この状態で、自動水平搬送装置10が移動すると、専用平台車20も一緒に移動する。これを「直載せモード」と呼ぶ。
例えば、専用平台車20に載置された資機材が比較的重い場合は、牽引モードを使用し、軽い場合は、直載せモードを使用する。例えば、専用平台車20に貼付されたRFIDタグを読み取ることにより、専用平台車20に載置された資機材の重量情報を取得する。
なお、直載せモードでは、専用平台車20を使用する必要はなく、例えばパレットなどに車輪のない荷台に資機材などを載置したものを搬送対象物として搬送してもよい。
【0012】
検出部19は、本体11が専用平台車20の下に潜り込んだことを検出する。例えば、検出部19は、本体21の後方寄りの上方に設けられた接触式センサを有する。そして、検出部19は、
図7及び8に示すように、接触式センサが接触部29に接触したことを検出することにより、本体11が専用平台車20の下に潜り込んだと判断する。これにより、本体11が専用平台車20に対して所定の位置に達したことを正確に検出できる。
なお、本体11が専用平台車20の下に潜り込んだことを検出する方式は、物理的な接触によるものに限らず、他の方式であってもよい。例えば、本体11の上面に非接触式の距離センサを設け、距離センサの上に専用平台車20が覆い被さると、距離センサが測定する距離が急に短くなることから、本体11が専用平台車20の下に潜り込んだと判断してもよい。このような構成としても、本体11が専用平台車20に対して所定の位置に達したことを正確に検出できる。
接触式センサを用いる方式は、部品コストを抑えられるので好ましい。しかし、接触式センサがあると、自動水平搬送装置10が専用平台車20の下を潜り抜けることができなくなるので、自動水平搬送装置10が専用平台車20の下を潜り抜ける必要がある場合は、非接触式センサを用いる方式が好ましい。
【0013】
図9を参照して、自動搬送システムについて説明する。
自動水平搬送装置10は、荷取り位置に配置された専用平台車20を、搬送先位置(例えば、同じ階の別の位置やエレベーターの籠のなかなど)まで搬送することにより、専用平台車20に載置された資機材などを搬送する。
【0014】
荷取り位置には、例えば二本のガイドレール30が平行に設置されている。二本のガイドレール30の間の間隔は、専用平台車20の長辺の長さよりもわずかに大きい。
そして、そのガイドレール30の間に、資機材など(不図示)を載置した複数(この例では五つ)の専用平台車20を一列に並べて配列する。
【0015】
自動水平搬送装置10は、プログラムされた搬送経路にしたがって移動する。
荷取り位置において、自動水平搬送装置10は、経由位置31(第一の地点の一例)を通り、目標位置32(第二の地点の一例)に向かうようプログラムされている。ここで、経由位置31は、二本のガイドレール30の中心線の延長上にある。また、目標位置32は、同じく二本のガイドレール30の中心線の延長上にある。ただし、経由位置31とは反対側である。すなわち、経由位置31と目標位置32との間に、専用平台車20を一列に並べて配列する。
例えば、
図9の例では、ガイドレール30の中心線の延長線上で一番左の専用平台車20よりも左に経由位置31を設定し、同一延長線上で一番右の専用平台車20を超えた右に目標位置32を設定する。これにより、一列に並べられた専用平台車20を左側から順に搬送できる。逆に、一番右の専用平台車20よりも右に経由位置31を設定し、一番左の専用平台車20よりも左に目標位置32を設定すれば、一列に並べられた専用平台車20を右側から順に搬送できる。
あるいは、一列に並べられた専用平台車20の間の位置に目標位置32を設定してもよい。そうすれば、一列に並べられた専用平台車20をすべて搬送するのではなく、一部のみを搬送することができる。
【0016】
この経路にしたがって自動水平搬送装置10が移動することにより、自動水平搬送装置10は、経由位置31の側から二本のガイドレール30の間に進入し、一番手前にある専用平台車20の下に潜り込む。
そして、本体11が専用平台車20の下に潜り込んだことを検出部19が検出すると、自動水平搬送装置10は、その場に停止する。そして、牽引ピン14又は昇降部15が上昇して荷取り動作をする。
【0017】
自動水平搬送装置10は、荷取り動作をしたのち、目標位置32に向かうのではなく、後退して経由位置31まで戻ったのち、搬送先位置(不図示)へ向かうようプログラムされている。
【0018】
搬送先位置に到着すると、自動水平搬送装置10は、牽引ピン14又は昇降部15を下降させて専用平台車20を切り離し、搬送先位置に専用平台車20を置き去りにして、再び、荷取り位置に戻ってくる。
【0019】
荷取り位置に戻ってきた自動水平搬送装置10は、先ほどと同じように、経由位置31の側から二本のガイドレール30の間に進入し、次の専用平台車20の下に潜り込む。
そして、先ほどと同じように、本体11が専用平台車20の下に潜り込んだことを検出部19が検出すると、自動水平搬送装置10は、その場に停止する。したがって、自動水平搬送装置10が停止する位置は、自動的に前回と異なる位置となる。そして、牽引ピン14又は昇降部15が上昇して荷取り動作をする。その後、経由位置31まで後退し、搬送先位置へ向かう。
【0020】
以下、同様にして、すべての専用平台車20を搬送先位置まで搬送する。
【0021】
このように、異なる位置に配置された複数の専用平台車20を搬送先位置まで搬送する際に、それぞれの専用平台車20の位置を指定したり更新したりする必要がなく、経由位置31と目標位置32とを指定するだけで、すべての専用平台車20を搬送先位置まで搬送することができる。したがって、専用平台車20を一つ搬送するたびに次の専用平台車20を人手で移動する必要もない。
【0022】
なお、自動水平搬送装置10は、専用平台車20を一つずつ搬送するのではなく、一回で複数(例えば二つ)の専用平台車20を搬送してもよい。
また、ガイドレール30は、二本ではなく、いずれか一本だけでもよい。しかし、ガイドレール30が二本あるほうが、専用平台車20をきれいに整列させることができるので、好ましい。
あるいは、ガイドレール30の代わりに、例えば単体土台や治具などを用いて専用平台車20を並べてもよいし、床の上に目印となる直線を描き、その直線に沿って専用平台車20を並べてもよい。しかし、ガイドレールを設けるほうが、専用平台車20を容易に整列させることができるので、好ましい。
【0023】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【0024】
建設現場において近年の労務不足から単純作業の機械化による生産性を向上させることが求められる。
現場資材の垂直・水平自動搬送システムは、搬送の開始地点である仮置き場から資材を荷取り、搬送先であるストックヤードまでの搬送をする水平搬送AGVと、工事用エレベーターとが連動する。
仮置き場から資材を荷取る際、管理PCにて資材の真下にSL-AGVが停止するように荷取座標を設定し、SL-AGVがその座標に到着すると荷取りが行われる。複数の資材を連続して搬送する場合、管理者が次の搬送資材を荷取座標の位置まで移動し、管理PCにてスタート指示をする必要があった。
荷取座標停止の制御に接触式センサを用いる。すなわち、水平搬送AGVに接触式センサを搭載し、管理PCで目標座標を設定することで、目標座標に向かう途中で専用台車の縁にセンサが触れるとその位置で停止し、荷取りが行われる。これにより、仮置き場の同一延長線上に専用台車を配置すれば、人力による作業を発生させることなく、連続して荷取りを行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0025】
10 自動水平搬送装置、11,21 本体、13,23 車輪、14 牽引ピン、15 昇降部、19 検出部、20 専用平台車、22 荷台、24 ストッパー、25 レバー、29 接触部、30 ガイドレール、31 経由位置、32 目標位置。