(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020707
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】温度制御方法及び温度制御プログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/46 20180101AFI20240207BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20240207BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20240207BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/65
F24F11/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123089
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 達郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 左千夫
(72)【発明者】
【氏名】大野 敬史
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA04
3L260AB03
3L260BA41
3L260BA75
3L260CA03
3L260CA04
3L260CA12
3L260EA01
3L260FA02
3L260FA03
(57)【要約】
【課題】省電力を考慮した温度制御が可能な温度制御方法及び温度制御プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】温度制御方法は、それぞれに異なる温度設定が可能な複数の領域に対する温度制御方法であって、人が密集している第1の領域の温度設定を他の領域に適用する際に、前記複数の領域全体の消費電力が低くなる他の領域を、前記温度設定を適用する対象として決定する、処理をコンピュータが実行する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに異なる温度設定が可能な複数の領域に対する温度制御方法であって、
人が密集している第1の領域の温度設定を他の領域に適用する際に、前記複数の領域全体の消費電力が低くなる他の領域を、前記温度設定を適用する対象として決定する、
処理をコンピュータが実行する温度制御方法。
【請求項2】
前記第1の領域で密集する人の発熱量に基づいて、前記消費電力を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御方法。
【請求項3】
前記第1の領域で密集する人の発熱量と、前記第1の領域の温度を下げるために取り除く熱量と、に基づいて、前記消費電力を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御方法。
【請求項4】
前記複数の領域のいずれかに複数の空調機器が設けられている場合、領域ごとに前記複数の空調機器をグループ化した空調グループを生成し、
各領域の前記空調グループに異なる温度を段階的に設定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の温度制御方法。
【請求項5】
前記第1の領域の密度に基づいて、前記複数の領域全体の前記消費電力が低くなる他の領域の一部である区分領域を、前記温度設定を適用する対象に決定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の温度制御方法。
【請求項6】
前記第1の領域の密度を閾値密度以下にするために要する面積と、前記複数の領域全体の前記消費電力が低くなる他の領域を区分領域に分割した場合に前記区分領域に滞在する前記人の人数と、に基づいて、前記他の領域を前記区分領域に分割し、前記人数が少ない方の前記区分領域を、前記温度設定を適用する対象に決定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の温度制御方法。
【請求項7】
それぞれに異なる温度設定が可能な複数の領域に対する温度制御プログラムであって、
人が密集している第1の領域の温度設定を他の領域に適用する際に、前記複数の領域全体の消費電力が低くなる他の領域を、前記温度設定を適用する対象として決定する、
処理をコンピュータに実行させるための温度制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、温度制御方法及び温度制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調制御対象の空間に多くの人がいる場合に、空間を通常冷房エリアと弱冷房エリアとに分けて設定し、通常冷房エリアにおける空調設備の通常運転を行い、弱冷房エリアの空調設備の弱運転を行う技術が知られている。これにより、例えば空間全体を一律に通常冷房により空調する場合と比較して省エネルギー化を図ることができる。
【0003】
しかしながら、空間内の冷房エリアを分割した場合には、ある一方の冷房エリアに人が集中する可能性がある。この場合、人が集中したほうの冷房エリアにおいては、人が過度に過密することにより利用者が窮屈さを感じ、その冷房エリアに存在する人の快適性が損なわれる可能性がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人の密集を避けるためには、人気のある温度設定がなされている方の冷房エリアを拡張することが想定される。しかしながら、空調の温度設定を変更する冷房エリアを無作為に選択すると、全体の消費電力が増大するおそれがある。
【0006】
そこで、1つの側面では、省電力を考慮した温度制御が可能な温度制御方法及び温度制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様では、温度制御方法は、それぞれに異なる温度設定が可能な複数の領域に対する温度制御方法であって、人が密集している第1の領域の温度設定を他の領域に適用する際に、前記複数の領域全体の消費電力が低くなる他の領域を、前記温度設定を適用する対象として決定する、処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0008】
省電力を考慮した温度制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は温度制御サーバのハードウェア構成の一例である。
【
図3】
図3は温度制御サーバの機能構成の一例である。
【
図4】
図4(a)はフロアマスタ情報の一例である。
図4(b)はオフィスフロアの一例を説明する図である。
【
図5】
図5(a)は領域情報の一例である。
図5(b)は複数の領域の一例を説明する図である。
【
図7】
図7は温度制御サーバが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8はオフィスフロアの分割例を説明する図である。
【
図9】
図9は第1実施形態に係る温度設定変更処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10(a)はオフィスフロアに滞在するユーザの現況と複数台の空調機器の設定温度の一例を説明する図である。
図10(b)は各領域の消費電力を含む表の一例と消費電力合計の一例である。
【
図11】
図11は第1実施形態に係る効果の一例を説明する図である。
【
図12】
図12はヒートマップディスプレイに表示される温度分布の一例である。
【
図13】
図13は第2実施形態に係る温度設定変更処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は第2実施形態に係る効果の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本件を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1に示すように、温度制御システムSTは、位置検知サーバ10と温度制御サーバ100とを含んでいる。位置検知サーバ10と温度制御サーバ100は通信ネットワークNWを介して接続されている。通信ネットワークNWはLAN(Local Area Network)とインターネットのいずれか一方又は両方を含んでいる。
【0012】
温度制御システムSTは複数台の空調機器#1~#6を含んでいてもよい。この場合、温度制御システムSTは複数台の空調機器#1~#6のすべてを含んでいなくてもよく、複数台の空調機器#1~#6の少なくとも2台を含んでいればよい。また、温度制御システムSTはヒートマップディスプレイ20を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。空調機器#1~#6はいずれも温度制御サーバ100と接続されている。空調機器#1~#6は例えばオフィスフロアFLの天井などに設けられる。ヒートマップディスプレイ20は通信ネットワークNWに接続されている。
【0013】
ヒートマップディスプレイ20は、オフィスフロアFL内の室温を計測する温度計の計測結果に基づいて、オフィスフロアFL内の室温を表す温度分布を表示する。
図1において、ヒートマップディスプレイ20がオフィスフロアFLのフロア外に設けられているが、オフィスフロアFLのフロア内に設けられていてもよい。例えば、ヒートマップディスプレイ20はオフィスフロアFLの出入口FLx付近に設けられていてもよい。
【0014】
オフィスフロアFL内には、複数のアクセスポイントAPが設けられている。アクセスポイントAPはいずれもオフィスフロアFL内における様々な位置に設置される。アクセスポイントAPはいずれも位置検知サーバ10と接続されている。位置検知サーバ10は携帯端末15の位置を検知する。携帯端末15がオフィスフロアFLを利用するユーザ16に携帯されていれば、位置検知サーバ10は携帯端末15の位置をユーザ16の位置として検知することができる。ユーザ16は人の一例である。なお、携帯端末15はPC(Personal Computer)であってもよいし、スマートフォンやタブレット端末を含むスマートデバイスであってもよい。
【0015】
アクセスポイントAPはいずれもWi-Fi(登録商標)といった無線通信規格を利用した電波を発信する。携帯端末15はアクセスポイントAPのそれぞれから発信される電波を受信し、受信した電波の電波強度を測定する。位置検知サーバ10は携帯端末15が測定した電波強度を取得し、取得した電波強度に基づいて、携帯端末15とアクセスポイントAPとのそれぞれの距離を推定する。位置検知サーバ10は、推定した複数の距離(具体的には3つの距離)に基づいて、携帯端末15の位置を推定する。位置検知サーバ10は推定した携帯端末15の位置を推定位置として管理する。温度制御サーバ100は位置検知サーバ10が管理する推定位置や推定日時などを含む位置情報を取得して保持する。
【0016】
温度制御サーバ100は空調機器#1~#6の温度設定を制御する。詳細は後述するが、温度制御サーバ100は、空調機器#1~#6に対して数台単位で段階的に温度設定を行うことで、一領域であるオフィスフロアFLを複数の領域に分割する。例えば、温度制御サーバ100は空調機器#1,#2に対し28℃の温度設定を行うことで、オフィスフロアFLを第1の領域と他の領域とに分割する。また、温度制御サーバ100は空調機器#3,#4に対し26℃の温度設定を行い、空調機器#5,#6に対し24℃の温度設定を行うことで、他の領域を2つの領域に分割する。
【0017】
温度制御サーバ100は各領域の密度を算出し、算出した密度を、温度制御システムSTのシステム管理者30が操作する管理者端末31から送信されて、温度制御サーバ100に設定された閾値密度と対比する。密度は、温度制御サーバ100が保持する位置情報に基づいて算出したユーザ16の人数と領域の面積とに基づいて、算出される。温度制御サーバ100が算出した密度が閾値密度より大きい場合、温度制御サーバ100は空調機器#1~#6の温度設定を変更する。例えば、温度制御サーバ100は、24℃の温度設定が行われた空調機器#5,#6に対し、28℃の温度設定が行われた空調機器#1,#2と同じ温度設定を行う。これにより、空調機器#5,#6が設けられた他の領域の温度は28℃に移行する。
【0018】
この結果、空調機器#1,#2が設けられた第1の領域に滞在するユーザ16は、ヒートマップディスプレイ20を確認し、温度が同じであるものの第1の領域より密集した状態にない他の領域に移動することが期待される。また、空調機器#5,#6が24℃の温度設定から28℃の温度設定に変更されるため、オフィスフロアFL全体の電力消費を低下させることができる。すなわち、省電力化が実現される。
【0019】
次に、
図2を参照して、温度制御サーバ100のハードウェア構成について説明する。なお、位置検知サーバ10や携帯端末15、管理者端末31は基本的に温度制御サーバ100と同様のハードウェア構成を有するため、詳細な説明は省略する。
【0020】
温度制御サーバ100は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)100Aと、メモリとしてのRAM(Random Access Memory)100B及びROM(Read Only Memory)100Cを含んでいる。温度制御サーバ100は、ネットワークI/F(インタフェース)100D及びHDD(Hard Disk Drive)100Eを含んでいる。HDD(Hard Disk Drive)100Eに代えて、SSD(Solid State Drive)を採用してもよい。
【0021】
温度制御サーバ100は、必要に応じて、入力I/F100F、出力I/F100G、入出力I/F100H、ドライブ装置100Iの少なくとも1つを含んでいてもよい。CPU100Aからドライブ装置100Iまでは、内部バス100Jによって互いに接続されている。すなわち、温度制御サーバ100はコンピュータによって実現することができる。
【0022】
入力I/F100Fには入力装置710が接続される。入力装置710としては例えばキーボードやマウス、タッチパネルなどがある。出力I/F100Gには表示装置720が接続される。表示装置720としては例えば液晶ディスプレイなどがある。入出力I/F100Hには半導体メモリ730が接続される。半導体メモリ730としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリやフラッシュメモリなどがある。入出力I/F100Hは半導体メモリ730に記憶された温度制御プログラムを読み取る。入力I/F100F及び入出力I/F100Hは例えばUSBポートを備えている。出力I/F100Gは例えばディスプレイポートを備えている。
【0023】
ドライブ装置100Iには可搬型記録媒体740が挿入される。可搬型記録媒体740としては、例えばCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)といったリムーバブルディスクがある。ドライブ装置100Iは可搬型記録媒体740に記録された温度制御プログラムを読み込む。ネットワークI/F100Dは例えばLANポートや通信回路などを備えている。通信回路は有線通信回路と無線通信回路のいずれか一方又は両方を含んでいる。ネットワークI/F100Dは通信ネットワークNWと接続されている。
【0024】
RAM100BにはROM100C、HDD100E、半導体メモリ730の少なくとも1つに記憶された温度制御プログラムがCPU100Aによって一時的に格納される。RAM100Bには可搬型記録媒体740に記録された温度制御プログラムがCPU100Aによって一時的に格納される。格納された温度制御プログラムをCPU100Aが実行することにより、CPU100Aは後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を実行する。なお、温度制御プログラムは後述するフローチャートに応じたものとすればよい。
【0025】
図3乃至
図6を参照して、温度制御サーバ100の機能構成について説明する。なお、
図3では温度制御サーバ100の機能の要部が示されている。
【0026】
図3に示すように、温度制御サーバ100は記憶部110、処理部120、及び通信部130を備えている。記憶部110は上述したRAM100BとHDD100Eのいずれか一方又は両方によって実現することができる。処理部120は上述したCPU100Aによって実現することができる。通信部130は上述したネットワークI/F100Dによって実現することができる。
【0027】
記憶部110、処理部120、及び通信部130は互いに接続されている。記憶部110は、フロアマスタ記憶部111、領域情報記憶部112、及び位置情報記憶部113を含んでいる。処理部120は、密度算出部121、領域分割部122、及び空調制御部123を含んでいる。
【0028】
フロアマスタ記憶部111はオフィスフロアFLに関するフロアマスタ情報を記憶する。フロアマスタ情報は、
図4(a)に示すように、フロアID、登録日時、始点(X)、始点(Y)、終点(X)、終点(Y)、サイズ(X)、及びサイズ(Y)といった複数の項目を含んでいる。フロアID、登録日時、始点(X)、始点(Y)、終点(X)、終点(Y)、サイズ(X)、及びサイズ(Y)は互いに関連付いている。なお、図示しないが、フロアマスタ情報は、オフィスフロアFLを有する建物を識別するビルIDや、オフィスフロアFLのフロア名といった項目を含んでいてもよい。
【0029】
フロアIDはオフィスフロアFLを一意に識別する識別子である。登録日時はフロアマスタ情報がフロアマスタ記憶部111に登録又は更新された日時である。始点(X)は、
図4(b)に示すように、オフィスフロアFLの始点Psを定義するX座標である。始点(Y)はオフィスフロアFLの始点Psを定義するY座標である。終点(X)は始点PsのX座標に対応する終点PeのX座標である。終点(Y)は始点PsのY座標に対応する終点PeのY座標である。始点(X)、始点(Y)、終点(X)、及び終点(Y)により、XY座標面におけるオフィスフロアFLの位置を特定することができる。サイズ(X)はオフィスフロアFLのX軸方向の実サイズ(メートル)である。サイズ(Y)はオフィスフロアFLのY軸方向の実サイズ(メートル)である。サイズ(X)及びサイズ(Y)の大きさを特定することができる。フロアマスタ情報はシステム管理者30によって事前に登録される。
【0030】
領域情報記憶部112は上述した第1の領域や他の領域に関する領域情報を記憶する。領域情報は、
図5(a)に示すように、領域ID、登録日時、始点(X)、始点(Y)、終点(X)、及び終点(Y)といった複数の項目を含んでいる。領域ID、登録日時、始点(X)、始点(Y)、終点(X)、及び終点(Y)は互いに関連付いている。
【0031】
領域IDは第1の領域や他の領域を一意に識別する識別子である。登録日時は領域情報が領域情報記憶部112に登録又は更新された日時である。始点(X)は、
図5(b)に示すように、各領域の始点を定義するX座標である。始点(Y)は各領域の始点を定義するY座標である。終点(X)は始点のX座標に対応する終点のX座標である。終点(Y)は始点のY座標に対応する終点のY座標である。例えば、領域ID「R001」で識別される第1の領域R1は、始点(0.00,0.00)と終点(4.00,2.50)とによって定義される矩形領域によって表される。第1の領域R1以外の他の領域についても同様である。領域情報は温度制御サーバ100の処理結果によって登録される。
【0032】
位置情報記憶部113は、温度制御サーバ100が位置検知サーバ10から取得した位置情報を記憶する。位置情報は、
図6に示すように、取得日時、ユーザID、フロアID、位置(X)、及び位置(Y)といった複数の項目を含んでいる。取得日時、ユーザID、フロアID、位置(X)、及び位置(Y)は互いに関連付いている。取得日時は温度制御サーバ100が位置情報を取得した日時である。ユーザIDはユーザ16を一意に識別する識別子である。ユーザIDは携帯端末15を一意に識別する識別子であってもよい。位置(X)はオフィスフロアFL内でユーザ16が滞在する位置のX座標である。位置(Y)はオフィスフロアFL内でユーザ16が滞在する位置のY座標である。位置情報は温度制御サーバ100が位置検知サーバ10から位置情報を取得する度に更新される。
【0033】
次に、
図7及び
図8を参照して、温度制御サーバ100の動作について説明する。まず、
図7に示すように、密度算出部121は管理者端末31から送信された閾値密度を受信する(ステップS1)。閾値密度を受信すると、密度算出部121は閾値密度を密度算出部121自身又は温度制御サーバ100に設定する(ステップS2)。詳細は後述するが、閾値密度は温度制御サーバ100が空調機器#1~#6の温度設定を変更するか否かを判断する際に利用される。
【0034】
閾値密度を設定すると、領域分割部122はオフィスフロアFLを分割する(ステップS3)。より詳しくは、領域分割部122はオフィスフロアFLをY軸に沿って均等又は非均等に複数の矩形領域に分割する。オフィスフロアFLを分割する際、例えば、
図8に示すように、オフィスフロアFLの天井などに複数台の空調機器#1,#2,・・・,#6が設けられていれば、領域分割部122は空調機器#1,#2,・・・,#6を数台単位でグループ化し、複数の空調グループを生成する。本実施形態であれば、領域分割部122は空調機器#1,#2,・・・,#6を2台単位でグループ化し、複数の空調グループG1,G2,G3を生成する。
【0035】
領域分割部122は、複数の空調グループG1,G2,G3を生成すると、空調グループG1,G2,G3のそれぞれに異なる複数の温度を順に段階的に設定することにより、オフィスフロアFLを複数の矩形領域に分割する。本実施形態であれば、領域分割部122は空調機器#1,#2に対し28℃の温度設定を行うことにより、オフィスフロアFLを第1の領域R1である弱冷領域と第1の領域R1以外の残領域に分割する。また、領域分割部122は空調機器#3,#4に対し26℃の温度設定を行い、空調機器#5,#6に対し24℃の温度設定を行うことにより、残領域を他の領域Rxの一方である中冷領域と他の領域Rxの他方である強冷領域とに分割する。
【0036】
なお、本実施形態では、領域分割部122はオフィスフロアFLを均等に3つの矩形領域に分割したが、オフィスフロアFLを均等に2つの矩形領域や4つに矩形領域に分割してもよい。また、領域分割部122はオフィスフロアFLを非均等に3つの矩形領域に分割してもよい。
【0037】
オフィスフロアFLを分割すると、
図7に示すように、空調制御部123は温度設定変更処理を実行し(ステップS4)、処理を終了する。温度設定変更処理は、空調機器の温度設定を変更する処理である。詳細は後述するが、空調制御部123は、ユーザ16が密集している第1の領域R1の温度設定を他の領域Rxに適用する際に、領域全体の消費電力が低くなる他の領域Rxを、温度設定を適用する対象として決定する。このように、空調制御部123が温度設定を適用する対象を決定し、実際に温度設定を変更すれば、第1の領域R1で密集するユーザ16の分散が期待でき、かつ、省電力が実現される。
【0038】
図9乃至
図11を参照して、上述した温度設定変更処理について説明する。なお、空調制御部123は
図9に示す処理を定期的(例えば数分ごと)に実行する。
【0039】
まず、
図9に示すように、空調制御部123は位置情報記憶部113から位置情報を取得する(ステップS11)。位置情報を取得すると、空調制御部123は密度を算出する(ステップS12)。より詳しくは、空調制御部123は位置情報を取得すると、領域情報(
図5(a)参照)を取得し、領域情報と位置情報とに基づいて、各領域の密度を算出する。
【0040】
例えば、領域情報に基づけば、
図10(a)及び(b)に示すように、弱冷領域に相当する第1の領域R1の面積Aは10m
2である。また、領域情報と位置情報とに基づけば、
図10(a)及び(b)に示すように、第1の領域R1に滞在するユーザ16の人数Nは8人である。このため、空調制御部123は人数N÷面積Aにより密度0.8人/m
2を算出する。
【0041】
同様に、弱冷領域に隣接する中冷領域を表す他の領域Rxの一方の面積Aは10m2であり、この他の領域Rxの一方に滞在するユーザ16の人数Nは2人である。このため、空調制御部123は人数N÷面積Aにより密度0.2人/m2を算出する。中冷領域に隣接する強冷領域を表す他の領域Rxの他方の面積Aは10m2であり、この他の領域Rxの他方に滞在するユーザ16の人数Nは1人である。このため、空調制御部123は人数N÷面積Aにより密度0.1人/m2を算出する。
【0042】
密度を算出すると、空調制御部123は密度が変化したか否かを判断する(ステップS13)。より詳しくは、空調制御部123は領域ごとに密度が変化したか否かを判断する。密度が変化していない場合(ステップS13:NO)、空調制御部123はステップS11の処理を再び実行する。例えばユーザ16が領域間で移動していない場合は、密度が変化していない場合に相当する。その他、密度が変化していない場合には、オフィスフロアFLに新たなユーザ16が入っていない場合や、オフィスフロアFLからユーザ16が出ていない場合なども含まれる。
【0043】
密度が変化した場合(ステップS13:YES)、空調制御部123は変化した密度が閾値密度を超えたか否かを判断する(ステップS14)。ここで、本実施形態であれば、弱冷領域に相当する第1の領域R1は密度0.8人/m2である。中冷領域に相当する他の領域Rxの一方は密度0.2人/m2である。強冷領域に相当する他の領域Rxの他方は密度0.1人/m2である。したがって、例えば閾値密度0.9人/m2が設定されている場合、どの領域の密度も閾値密度を超えていない。このような場合、空調制御部123は変化した密度が閾値密度を超えていないと判断する(ステップS14:NO)。これにより、空調制御部123はステップS11の処理を再び実行する。
【0044】
一方、例えば閾値密度0.7人/m2が設定されている場合、第1の領域R1の密度が閾値密度を超えている。このような場合、空調制御部123は変化した密度が閾値密度を超えていると判断する(ステップS14:YES)。これにより、空調制御部123は閾値密度を超えている第1の領域R1を検出し(ステップS15)、他の領域Rxを特定する(ステップS16)。本実施形態であれば、空調制御部123は中冷領域を表す他の領域Rxの一方と、強冷領域を表す他の領域Rxの他方を特定する。
【0045】
他の領域Rxを特定すると、空調制御部123は適用の対象を決定する(ステップS17)。より詳しくは、空調制御部123はオフィスフロアFL全体の消費電力を低下可能な他の領域Rxのいずれかを、温度設定を適用する対象として決定する。この際、まず、例えば、
図10(a)及び(b)に示すように、空調制御部123は、現在の各領域の人数N、面積A、設定温度T1などに基づいて、各領域に設けられた空調グループの現在の消費電力Pを算出する。
【0046】
ここで、空調グループの消費電力Pは単位時間当たりに取り除く熱量Qジュールに依存する。本実施形態では、ユーザ16から発生する発熱量Q1と領域の温度を下げるために取り除く熱量Q2の総和Q1+Q2が熱量Qになる。すなわち、熱量Qは以下の数式(1)により表すことができる。
<数式(1)>
Q=Q1+Q2
【0047】
また、本実施形態では、発熱量Q1は領域内の人数Nと1人当たりの発熱量c1に基づいて算出される。具体的には、発熱量Q1は以下の数式(2)により表すことができる。
<数式(2)>
Q1=N×c1
【0048】
さらに、本実施形態では、熱量Q2は領域の面積Aと所定の係数c2(ジュール/m2・ケルビン)と外気温や領域内の温度(例えば室温など)といった基準温度T0と設定温度T1とに基づいて算出される。具体的には、熱量Q2は以下の数式(3)により表すことができる。
<数式(3)>
Q2=A×c2(T0-T1)
【0049】
そして、本実施形態では、消費電力Pは熱量Qと換算係数cとに基づいて算出される。具体的には、消費電力Pは以下の数式(4)により表すことができる。
<数式(4)>
P=c×Q
【0050】
したがって、例えばc=0.1、c
1=1、c
2=0.5、T
0=30℃とした場合、
図10(b)に示すように、空調制御部123は弱冷領域を表す第1の領域R1における空調グループG1の消費電力Pを1.8kWとして算出する。また、空調制御部123は中冷領域を表す他の領域Rxの一方における空調グループG2の消費電力Pを2.2kWとして算出する。さらに、空調制御部123は強冷領域を表す他の領域Rxの他方における空調グループG3の消費電力Pを3.1kWとして算出する。これにより、空調制御部123は第1の領域R1と他の領域Rxを含むオフィスフロアFL全体の現在の消費電力合計を7.1kWとして算出する。
【0051】
次に、空調制御部123は密度が閾値密度を超えた領域と同じ設定温度の範囲を他の領域に領域ごとに順に拡大した場合における、オフィスフロアFL全体の消費電力の相違を確認する。本実施形態であれば、
図11の中段及び下段に示すように、例えば、空調制御部123は密度が閾値密度を超えた第1の領域R1と同じ設定温度28℃の範囲を他の領域Rxの一方に拡大した場合におけるオフィスフロアFL全体の消費電力を算出する。
【0052】
設定温度28℃の範囲を第1の領域R1に隣接する領域である他の領域Rxの一方に拡大し、空調グループG2の設定温度26℃が設定温度28℃に変更された場合、空調制御部123はこの場合の消費電力合計を6.1kWとして算出する。具体的には、設定温度26℃が設定温度28℃に変更された場合、他の領域Rxの一方に対応する空調グループG2に属する空調機器#3,#4の消費電力は、図示しないが、1.2kWとして算出される。このように、空調機器#3,#4の消費電力は2.2kW(
図10(b)参照)から1.2kWに低減する。一方、空調機器#1,#2の消費電力は変更されないため、1.8kWが維持される。同様に、空調機器#5,#6の消費電力は変更されないため、3.1kWが維持される。したがって、空調制御部123はこの場合の消費電力合計を6.1kWとして算出する。
【0053】
次に、
図11の中段及び上段に示すように、例えば、空調制御部123は密度が閾値密度を超えた第1の領域R1と同じ設定温度28℃の範囲を他の領域Rxの他方に拡大した場合におけるオフィスフロアFL全体の消費電力を算出する。
【0054】
設定温度28℃の範囲を第1の領域R1から離隔する領域である他の領域Rxの他方に拡大し、空調グループG3の設定温度24℃が設定温度28℃に変更された場合、空調制御部123はこの場合の消費電力合計を5.1kWとして算出する。具体的には、設定温度24℃が設定温度28℃に変更された場合、他の領域Rxの他方に対応する空調グループG3に属する空調機器#5,#6の消費電力は、図示しないが、1.1kWとして算出される。このように、空調機器#5,#6の消費電力は3.1kW(
図10(b)参照)から1.1kWに低減する。一方、空調機器#1,#2の消費電力は変更されないため、1.8kWが維持される。同様に、空調機器#3,#4の消費電力は変更されないため、2.2kWが維持される。したがって、空調制御部123はこの場合の消費電力合計を5.1kWとして算出する。
【0055】
このように、空調制御部123は密度が閾値密度を超えた領域と同じ設定温度の範囲を他の領域に領域ごとに順に拡大した場合における、オフィスフロアFL全体の消費電力を算出する。そして、空調制御部123はオフィスフロアFL全体の消費電力を算出すると、オフィスフロアFL全体の消費電力を低下可能な他の領域Rxのいずれかを、温度設定を適用する対象となる第2の領域として決定する。
【0056】
本実施形態であれば、
図11の上段に示すように、他の領域Rxの他方が第2の領域として決定されると、消費電力合計として5.1kWが算出される。一方、
図11の下段に示すように、他の領域Rxの一方が第2の領域として決定されると、消費電力合計として6.1kWが算出される。したがって、空調制御部123はオフィスフロアFL全体の消費電力を低下可能な他の領域Rxの他方を、温度設定の変更を適用する対象として決定する。すなわち、第1の領域R1から離隔する領域である他の領域Rxの他方が第2の領域になる。このように、空調制御部123は消費電力が大きい領域を優先して、温度設定の変更を適用する対象を決定する。なお、
図11では、温度設定の変更を適用する対象の領域に対応する消費電力合計に印「〇」が付されている。温度設定の変更を適用しない対象の領域に対応する消費電力合計に印「×」が付されている。
【0057】
温度設定の変更を適用する対象を決定すると、
図9に示すように、空調制御部123は温度設定を対象領域の空調グループに適用し(ステップS18)、温度設定変更処理を終了する。これにより、本実施形態であれば、第1の領域R1に対応する空調グループG1に属する空調機器#1,#2の設定温度28℃が、他の領域Rxの他方に対応する空調グループG3に属する空調機器#5,#6に適用される。これにより、他の領域Rxの他方の温度が徐々に24℃から28℃に上昇する。
【0058】
この結果、
図12に示すように、ヒートマップディスプレイ20は、28℃の2つの温度領域Z1,Z2と、これら2つの温度領域Z1,Z2に挟まれる26℃の1つの温度領域Z3を含むオフィスフロアFLの温度分布を表示する。ここで、オフィスフロアFLの温度領域Z1に滞在するユーザ16が自身の周囲の状況を確認すると、ユーザ16は自分がいる今の領域が密集した状態であると感じている可能性がある。このような場合、ユーザ16がヒートマップディスプレイ20の温度分布を確認すれば、密集した状態を回避するために、同じ温度環境である温度領域Z2への移動を試みる可能性がある。
【0059】
このように、第1実施形態によれば、オフィスフロアFL全体で消費される電力の省電力化を考慮した温度制御が可能となる。また、第1実施形態によれば、ヒートマップディスプレイ20は密集を回避するためのユーザ16の移動を誘発する可能性がある。
【0060】
(第2実施形態)
次に、
図13及び
図14を参照して、本件の第2実施形態について説明する。まず、上述した第1実施形態では、強冷領域を表す他の領域Rxの他方に滞在するユーザ16(
図11中段及び上段参照)は、自身の意図に関わらずに、温度設定が変更される。これにより、このユーザ16にとっての快適性が低下する可能性がある。このため、第2実施形態では、省電力化と併せて、温度設定が変更された領域に滞在するユーザ16の快適性を考慮する。
【0061】
具体的には、
図13に示すように、上述したステップS17の処理が終了すると、空調制御部123は温度設定が変更される領域に設けられた空調機器の台数Lが複数か否かを判断する(ステップS21)。より詳しくは、空調制御部123は温度設定が変更される領域の空調グループに属する空調機器の台数を台数Lとし、台数Lが複数か否かを判断する。本実施形態であれば、
図14の上段に示すように、温度設定が変更される他の領域Rxの他方には2台の空調機器#5,#6が設けられている。このため、本実施形態であれば、空調制御部123は温度設定が変更される領域に設けられた空調機器の台数が複数であると判断する(ステップS21:YES)。
【0062】
空調機器の台数が複数である場合、次に、空調制御部123は所定面積A1を算出する(ステップS22)。所定面積A1は、
図14の上段及び下段に示すように、第1の領域R1の密度を閾値密度以下にするために必要な面積である。具体的には、空調制御部123は所定面積A1を以下の数式(5)により算出する。
<数式(5)>
A1=N/ε-A
Nは第1の領域R1の人数を表す。Aは第1の領域R1の面積を表す。εは上述した閾値密度とは別の閾値密度である。この別の閾値密度も管理者端末31から設定される。
【0063】
所定面積A1を算出すると、次に、空調制御部123は温度設定を変更する空調機器の台数Mを決定する(ステップS23)。具体的には、温度設定が変更される領域の面積をAxとしたときに、空調制御部123は以下の不等式(6)を満たす最小の自然数を台数Mとして決定する。なお、本実施形態であれば、例えば所定面積A1を2m2とした場合、台数Lが2台であり、面積Axが10m2であるため、空調制御部123は台数Mを1台と決定する。
<不等式(6)>
A1×L÷Ax≦M
【0064】
空調機器の台数Mを決定すると、空調制御部123は台数Lが台数Mより大きいか否かを判断する(ステップS24)。本実施形態であれば、台数Lが2台であり、台数Mが1台であるため、空調制御部123は台数Lが台数Mより大きいと判断する(ステップS24:YES)。
【0065】
台数Lが台数Mより大きい場合、空調制御部123は領域の分割と温度変更の再設定を実行する(ステップS25)。具体的には、まず、空調制御部123は温度設定が変更される領域の一端に隣接するM台の空調機器を含む領域を区分領域Ryとして決定する。本実施形態であれば、
図14の下段に示すように、温度設定が変更される他の領域Rxの他方には、1台の空調機器#5を含む領域と1台の空調機器#6を含む領域がある。このような場合、領域を決定した場合に、その領域に含まれるユーザ16の数が少ない方の領域を空調制御部123は区分領域Ryとして決定する。
図14の下段に示すように、1台の空調機器#5を含む領域にはユーザ16はいない。一方で、1台の空調機器#6を含む領域にユーザ16が滞在する。したがって、空調制御部123は1台の空調機器#5を単独で含む領域を区分領域Ryとして決定する。
【0066】
次に、温度設定が変更される他の領域Rxの他方のうち、区分領域Ryと決定しなかった領域を空調制御部123は区分領域Rzとして決定する。したがって、本実施形態であれば、
図14の下段に示すように、空調制御部123は1台の空調機器#6を単独で含む領域を区分領域Rzとして決定する。このように、空調制御部123は他の領域Rxの他方を区分領域Ry,Rzに分割する。
【0067】
他の領域Rxの他方を区分領域Ry,Rzに分割すると、空調制御部123は区分領域Ry,Rzのそれぞれで領域内にある空調機器をグループ化する。本実施形態であれば、空調制御部123は空調機器#5を単独でグループ化し、空調機器#5を単独で含む第1の空調グループを生成する。また、空調制御部123は空調機器#6を単独でグループ化し、空調機器#6を単独で含む第2の空調グループを生成する。このように、空調制御部123は空調グループG3を第1の空調グループと第2の空調グループとに再設定する。
【0068】
領域の分割と温度変更の再設定を実行すると、空調制御部123は適用の対象を再決定し(ステップS26)、ステップS18の処理を実行する。本実施形態であれば、空調制御部123はオフィスフロアFL全体の消費電力を低下可能な他の領域Rxの他方の一部である区分領域Ryを、温度設定を適用する対象となる第2の領域として再決定し、ステップS18の処理を実行する。これにより、
図14の下段に示すように、ユーザ16が滞在する区分領域Rzに設けられた空調機器#6の設定温度は24℃が維持される。一方、ユーザ16が滞在しない区分領域Ryに設けられた空調機器#5の設定温度は24℃から第1の領域R1と同じ28℃に変更される。
【0069】
なお、ステップS21の処理において、温度設定が変更される領域に設けられた空調機器の台数が複数でない場合(ステップS21:NO)、空調制御部123は、ステップS26の処理を実行する。すなわち、この場合、空調制御部123は、オフィスフロアFL全体の消費電力を低下可能な他の領域Rxの他方をそのまま、温度設定を適用する対象となる第2の領域として再決定する。
【0070】
また、ステップS24の処理において、台数Lが台数M以下である場合(ステップS24:NO)、空調制御部123は、ステップS26の処理を実行する。すなわち、この場合も同様に、空調制御部123は、オフィスフロアFL全体の消費電力を低下可能な他の領域Rxの他方をそのまま、温度設定を適用する対象となる第2の領域として再決定する。
【0071】
このように、第2実施形態によれば、
図14の中段に示すように、消費電力合計7.1kWから消費電力5.1kwに省電力化されるだけでなく、区分領域Rzに滞在するユーザ16の快適性も確保される。また、第1の領域R1に滞在するユーザ16はヒートマップディスプレイ20の表示内容を確認することで、第1の領域R1と同じ温度環境でありながら、密集した状態でない区分領域Ryに移動することが期待される。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態では、オフィスフロアFLを一例として説明したが、オフィスフロアFLに限定されず、図書館といった公共施設のフロアや学校といった教育施設のフロアなどであってもよい。また、本実施形態では、ユーザ16から発生する発熱量Q1と領域の温度を下げるために取り除く熱量Q2の総和Q1+Q2を熱量Qとして説明したが、携帯端末15から発生する発熱量Q3を熱量Qに加えてもよい。
【符号の説明】
【0073】
ST 温度制御システム
FL オフィスフロア
R1 第1の領域
Rx 他の領域
Ry,Rz 区分領域
100 温度制御サーバ
111 フロアマスタ記憶部
112 領域情報記憶部
113 位置情報記憶部
121 密度算出部
122 領域分割部
123 空調制御部