(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020712
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】風呂釜及び風呂釜付き給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20240207BHJP
F24H 9/20 20220101ALI20240207BHJP
F24H 9/14 20060101ALI20240207BHJP
H01H 35/26 20060101ALI20240207BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20240207BHJP
H01H 36/02 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
F24H9/00 Z
F24H9/20 A
F24H9/14
H01H35/26 Z
H01H36/00 302P
H01H36/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123096
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3L036
3L037
5G046
5G056
【Fターム(参考)】
3L036AA07
3L036AD38
3L036AE34
3L037EA04
5G046CA03
5G046CC03
5G046CE04
5G056DA01
5G056DB09
5G056DC02
5G056DD40
5G056DG08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポンプから水流スイッチに至る流路が屈曲していても水流スイッチが安定的に作動可能な風呂釜を提供する。
【解決手段】風呂釜はポンプと水流スイッチ40を接続する接続管部70を備え、水流スイッチのケーシング71は接続管部から湯水を流入させる流入管部76とケーシングから第1方向に直交する第3方向に湯水が流出する流出管部を備え、流入管部は第1筒部76Aと下流の第2筒部76Bと第1、第2筒部を接続する第3筒部76Cを備え、第2筒部内部断面積は第1筒部内部断面積よりも小さく、第2筒部内周面に第3方向と反対側に第3方向と直交する直交面が設けられ、第3筒部内周面には直交面と第1筒部の内周面とを接続する接続面81が形成され上流から下流に向かうにつれて、対面する方向を第2方向と反対側の方向から第3方向へと連続的に変化させつつ第3筒部の内方に位置、接続面の上流側端部は、第2方向における奥側に配されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水が循環する循環回路に設けられる風呂釜であって、
前記循環回路に湯水を循環させるポンプと、
前記循環回路内に配され、第1方向における水流に応じて作動する水流スイッチと、
前記ポンプと前記水流スイッチとを接続する接続管部と、を備え、
前記接続管部と前記水流スイッチとの接続部分では、湯水の流れる方向が、前記第1方向と交差する第2方向から前記第1方向へと変化するようになっており、
前記水流スイッチは、湯水の経路を構成するケーシングと、前記ケーシング内に形成された検知室内に揺動可能に設けられた検知片と、前記検知片の一端部を固定する固定部材と、前記ケーシングに固定されて、前記検知片の接近により閉状態となるリードスイッチと、を備え、
前記ケーシングは、前記接続管部から流入した湯水が前記検知室に流出する流入管部と、前記検知室から前記第1方向に直交する第3方向に湯水が流出する流出管部と、を備え、
前記第3方向は、前記第2方向と交差しており、
前記流入管部は、
円筒状をなす第1筒部と、
前記第1筒部より下流に配される第2筒部と、
前記第1筒部と前記第2筒部とを接続し、円滑な内周面を有する第3筒部と、を備え、
前記第2筒部の内部空間の断面積は、前記第1筒部の内部空間の断面積よりも小さく、
前記第2筒部の内周面には、前記第3方向と反対側に配され、前記第3方向と直交する直交面が設けられ、
前記直交面は、前記第2筒部の上流側の端部から前記第1方向に延在し、
前記第3筒部の内周面には、前記直交面と前記第1筒部の内周面とを接続する接続面が形成され、
前記接続面は、上流から下流に向かうにつれて、前記接続面が対面する方向を前記第2方向と反対側の方向から前記第3方向へと連続的に変化させつつ前記第3筒部の内方に位置し、
前記接続面の上流側の端部は、前記第3筒部の内周面のうち前記第2方向における奥側に配されている、風呂釜。
【請求項2】
前記第2筒部の内部空間の断面積は、前記第1筒部の内部空間の断面積の半分以上である、請求項1に記載の風呂釜。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の風呂釜と、
給湯回路と、
前記循環回路に設けられる風呂熱交換器と前記給湯回路に設けられる給湯熱交換器とを加熱するバーナと、を備える、風呂釜付き給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風呂釜及び風呂釜付き給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風呂の追い炊き回路等の循環加熱経路に用いられる水流スイッチとして、特開2007-323934号公報(下記特許文献1)に記載の水流スイッチが知られている。この水流スイッチは、内部に流体流路を形成するケーシングと、ケーシング内に設けられた検知室内に配される磁性体と、弾性部材により形成され、ケーシングに対して磁性体を支持する支持体と、ケーシングの外側に固定されるリードスイッチと、を備える。湯水を循環させるポンプにより検知室内に水流が発生すると、支持体は流水圧を受けて弾性的に撓む。支持体が撓むことにより、磁性体が検知室内において揺動し、リードスイッチに接近する。リードスイッチは磁性体が接近することで閉状態となる。リードスイッチが閉状態となったことにより、制御部は追い炊き回路中に水流が発生したことを検知し、湯水の加熱が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、水流スイッチはポンプに対して真上に配されることが想定されている。特許文献1の構成では、湯水を検知室へと流入させる流入通路は上下方向に延びており、ポンプから流入通路へ流入する湯水の流入方向と流入通路から検知室へ流入する湯水の流入方向とは一致している。これにより、検知室での湯水の流れを安定化させることができる。
【0005】
ところで、水流スイッチが設けられる風呂釜等の装置は多くの部材を備えている。このため、装置内における各部材のレイアウトによっては、水流スイッチをポンプの真上に配置することができず、ポンプに対して斜め上に配さざるを得ない場合がありうる。このような場合、ポンプから検知室に至る流路には、水平方向に延びる連絡路と、連絡路の端部から上方に延びる流入通路と、を設けることが考えられる。
【0006】
上記のように、水平方向に延びる連絡路が流入通路に接続される場合には、湯水の慣性により、流入通路内において連絡路から離間した領域に偏って湯水が流れ、流入通路の下流側に旋回流が形成される。この結果、湯水と支持体とが当たる位置が安定せず、リードスイッチの作動が不安定になる場合がある。
【0007】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ポンプから水流スイッチに至る流路が屈曲していても、水流スイッチが安定的に作動可能な風呂釜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の風呂釜は、湯水が循環する循環回路に設けられる風呂釜であって、前記循環回路に湯水を循環させるポンプと、前記循環回路内に配され、第1方向における水流に応じて作動する水流スイッチと、前記ポンプと前記水流スイッチとを接続する接続管部と、を備え、前記接続管部と前記水流スイッチとの接続部分では、湯水の流れる方向が、前記第1方向と交差する第2方向から前記第1方向へと変化するようになっており、前記水流スイッチは、湯水の経路を構成するケーシングと、前記ケーシング内に形成された検知室内に揺動可能に設けられた検知片と、前記検知片の一端部を固定する固定部材と、前記ケーシングに固定されて、前記検知片の接近により閉状態となるリードスイッチと、を備え、前記ケーシングは、前記接続管部から流入した湯水が前記検知室に流出する流入管部と、前記検知室から前記第1方向に直交する第3方向に湯水が流出する流出管部と、を備え、前記第3方向は、前記第2方向と交差しており、前記流入管部は、円筒状をなす第1筒部と、前記第1筒部より下流に配される第2筒部と、前記第1筒部と前記第2筒部とを接続し、円滑な内周面を有する第3筒部と、を備え、前記第2筒部の内部空間の断面積は、前記第1筒部の内部空間の断面積よりも小さく、前記第2筒部の内周面には、前記第3方向と反対側に配され、前記第3方向と直交する直交面が設けられ、前記直交面は、前記第2筒部の上流側の端部から前記第1方向に延在し、前記第3筒部の内周面には、前記直交面と前記第1筒部の内周面とを接続する接続面が形成され、前記接続面は、上流から下流に向かうにつれて、前記接続面が対面する方向を前記第2方向と反対側の方向から前記第3方向へと連続的に変化させつつ前記第3筒部の内方に位置し、前記接続面の上流側の端部は、前記第3筒部の内周面のうち前記第2方向における奥側に配されている、風呂釜である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ポンプから水流スイッチに至る流路が屈曲していても、水流スイッチが安定的に作動可能な風呂釜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる風呂釜付き給湯器の概略回路図である。
【
図2】
図2は、ポンプ、水流スイッチ、及び接続管部の斜視図である。
【
図3】
図3は、ポンプ、水流スイッチ、及び接続管部の平面図である。
【
図7】
図7は、
図6のD-D断面を下方から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、流入管部を異なる高さ位置で切断した断面を示す断面図である。
図8(A)は、
図6のD-D断面図である。
図8(B)は、
図6のE-E断面図である。
図8(C)は、
図6のF-F断面図である。
図8(D)は、
図6のG-G断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0012】
(1)本開示の風呂釜は、湯水が循環する循環回路に設けられる風呂釜であって、前記循環回路に湯水を循環させるポンプと、前記循環回路内に配され、第1方向における水流に応じて作動する水流スイッチと、前記ポンプと前記水流スイッチとを接続する接続管部と、を備え、前記接続管部と前記水流スイッチとの接続部分では、湯水の流れる方向が、前記第1方向と交差する第2方向から前記第1方向へと変化するようになっており、前記水流スイッチは、湯水の経路を構成するケーシングと、前記ケーシング内に形成された検知室内に揺動可能に設けられた検知片と、前記検知片の一端部を固定する固定部材と、前記ケーシングに固定されて、前記検知片の接近により閉状態となるリードスイッチと、を備え、前記ケーシングは、前記接続管部から流入した湯水が前記検知室に流出する流入管部と、前記検知室から前記第1方向に直交する第3方向に湯水が流出する流出管部と、を備え、前記第3方向は、前記第2方向と交差しており、前記流入管部は、円筒状をなす第1筒部と、前記第1筒部より下流に配される第2筒部と、前記第1筒部と前記第2筒部とを接続し、円滑な内周面を有する第3筒部と、を備え、前記第2筒部の内部空間の断面積は、前記第1筒部の内部空間の断面積よりも小さく、前記第2筒部の内周面には、前記第3方向と反対側に配され、前記第3方向と直交する直交面が設けられ、前記直交面は、前記第2筒部の上流側の端部から前記第1方向に延在し、前記第3筒部の内周面には、前記直交面と前記第1筒部の内周面とを接続する接続面が形成され、前記接続面は、上流から下流に向かうにつれて、前記接続面が対面する方向を前記第2方向と反対側の方向から前記第3方向へと連続的に変化させつつ前記第3筒部の内方に位置し、前記接続面の上流側の端部は、前記第3筒部の内周面のうち前記第2方向における奥側に配されている、風呂釜である。
【0013】
上記の構成では、ポンプから接続管部を介して水流スイッチの流入管部に対して湯水が流入する。接続管部と水流スイッチとの接続部分では、湯水の流れる方向が第2方向から第1方向に偏流される。よって、接続管部と水流スイッチとの接続部分においては湯水の旋回流が発生する。接続管部から流入管部に流入した湯水は、第2方向における奥側に偏って、流入管部の第1筒部内を第1方向に流れる。
さらに水流スイッチの上流と下流とで湯水の流れが第2方向から第3方向へと変化することによっても、湯水の偏流、旋回流が形成される。
【0014】
第3筒部の内周面には、上流から下流に向かうにつれて第3筒部の内方に位置する接続面が設けられている。これにより、湯水が第3筒部内を第1方向に流れるにつれて、湯水の旋回流が抑制されるようになっている。また、第2筒部の内部空間の断面積は、第1筒部の内部空間の断面積よりも小さくなっている。よって、第3筒部及び第2筒部の内部を通過することにより、湯水が整流されやすい。
このため、検知室での湯水の流れを安定化させることができ、検知片の定まった位置に集中して湯水を受圧させることができる。この結果、水流スイッチを安定的に作動させることができる。
【0015】
さらに、接続面は上流から下流に向かうにつれて対面する方向を第2方向と反対側の方向から第3方向へと連続的に変化させているから、第3筒部内を流れることによる湯水の圧損を最低限度に抑えつつ、湯水を整流することができる。
【0016】
(2)前記第2筒部の内部空間の断面積は、前記第1筒部の内部空間の断面積の半分以上であることが好ましい。
【0017】
上記の構成では、第2筒部の内部空間の断面積は、第1筒部の内部空間の断面積の半分以上であるから、第2筒部と第3筒部とにより湯水を整流しつつ、湯水の圧損を抑えることができる。
【0018】
(3)本開示の風呂釜付き給湯器は、上記の風呂釜と、給湯回路と、前記循環回路に設けられる風呂熱交換器と前記給湯回路に設けられる給湯熱交換器とを加熱するバーナと、を備える、風呂釜付き給湯器である。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について
図1から
図8を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0020】
[風呂釜付き給湯器の全体構造]
図1は、風呂釜1Aを備える風呂釜付き給湯器1の概略回路図である。
風呂釜付き給湯器1は、図示しない筐体内に収容される内胴2内に、仕切部材3によって仕切り形成される給湯燃焼室4及び風呂燃焼室5と、バーナ6と、を有している。バーナ6は、給湯燃焼室4の下部に配される給湯バーナ6A,6A・・と、風呂燃焼室5の下部に配される風呂バーナ6Bと、を備えている。また、各燃焼室4,5には、点火プラグ8とフレームロッド9とがそれぞれ設けられている。内胴2の下部には、各バーナ6A,6Bへ燃焼用空気を供給する燃焼ファン10が設けられている。
【0021】
給湯燃焼室4内の上部には、給湯バーナ6Aの燃焼排気が通過する給湯一次熱交換器11及び給湯二次熱交換器12(給湯熱交換器の一例)が設けられている。風呂燃焼室5の上部には、風呂バーナ6Bの燃焼排気が通過する風呂一次熱交換器13及び風呂二次熱交換器14(風呂熱交換器の一例)が設けられている。各二次熱交換器12,14は、内胴2の上部に設けられた排気フード15内に収容されている。排気フード15には、各二次熱交換器12,14を通過した燃焼排気を排出する排気口16が形成されている。
【0022】
筐体の底面に設けたガス入口には、外部からのガス配管が接続されるガス管17が接続されている。各給湯バーナ6Aと風呂バーナ6Bとには、ガス管17から分岐するガス分岐管18,18・・がそれぞれ接続されると共に、各ガス分岐管18には、ガス流路を開閉するガス電磁弁19がそれぞれ設けられている。また、分岐前のガス管17には、上流側から元ガス電磁弁20、ガス比例弁21がそれぞれ設けられている。
【0023】
給湯二次熱交換器12の吸熱管の入口には、筐体底面の水入口に接続される給水管22が接続される。給水管22には、上流側から、水抜き栓を備えたストレーナ23と、給水管22を流れる水量を検出する給湯水量センサ24と、入水温度を検出する給湯入水サーミスタ25と、水量制御モータ26とが設けられている。吸熱管の出口は、給湯一次熱交換器11の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には、筐体底面の湯出口に接続される出湯管27が接続される。出湯管27には、給湯一次熱交換器11からの出口温度を検出する給湯熱交換器サーミスタ28と、給湯熱交換器サーミスタ28より下流側で器具からの出湯温度を検出する給湯出湯サーミスタ29と、が設けられている。出湯管27における給湯出湯サーミスタ29の上流側と、給水管22における水量制御モータ26の下流側との間には、給湯一次、二次熱交換器11,12をバイパスするバイパス管30が接続され、バイパス管30には、バイパス流量を制御する水分配弁31が設けられている。
こうして筐体内には、給水管22からの水が給湯二次熱交換器12、給湯一次熱交換器11の順に通過して給湯バーナ6Aの燃焼排気と熱交換して加熱された後、出湯管27から出湯される給湯回路Aが形成される。
【0024】
一方、風呂二次熱交換器14の吸熱管の入口には、筐体底面の風呂戻り口に接続された戻り管35が接続される。風呂戻り口は、外部戻り管36を介して浴槽37と接続される。戻り管35の下流側にはポンプ38が設けられている。ポンプ38の上流側には、風呂戻り温度を検出する風呂戻りサーミスタ39が設けられている。ポンプ38の下流側には、水流スイッチ40と水位センサ41とが設けられている。水流スイッチ40は、ポンプ38から送り出された湯水の水流を検知して、風呂バーナ6Bを作動させるものである。水流スイッチ40の詳細な構成については後述する。
風呂二次熱交換器14の吸熱管の出口は、風呂一次熱交換器13の伝熱管の入口に接続されている。伝熱管の出口は、筐体底面の風呂往き口に接続される往き管42に接続されている。風呂往き口は、外部往き管43を介して浴槽37と接続されている。往き管42には、風呂往き温度を検出する風呂往きサーミスタ44が設けられている。
【0025】
こうして筐体内には、ポンプ38の運転によって浴槽37の湯水が戻り管35から風呂二次熱交換器14、風呂一次熱交換器13の順に通過して風呂バーナ6Bの燃焼排気と熱交換して加熱された後、往き管42から浴槽37に戻る風呂回路B(循環回路の一例)が形成される。
【0026】
本開示においては、風呂釜1Aは、風呂回路Bのうち、筐体底面の風呂戻り口に接続された戻り管35から筐体底面の風呂往き口に接続された往き管42までの湯水の流通経路を含んでいる。風呂釜1Aは、外部配管(外部戻り管36及び外部往き口43)を通じて浴槽37と接続されている。換言すると、風呂回路Bは、外部配管とにより、浴槽37と風呂釜1Aとを接続する循環回路を構成している。
【0027】
また、出湯管27におけるバイパス管30より下流側と、戻り管35におけるポンプ38よりも上流側との間には、落とし込み管45が接続される。この落とし込み管45には、上流側(出湯管27側)から、落とし込み管45を開閉する落とし込み水電磁弁46と、落とし込み管45を流れる水量を検出する風呂水量センサ47とがそれぞれ設けられている。風呂水量センサ47の下流側には、3つの逆止弁48,48,48が設けられている。これらの逆止弁48の間には、縁切弁49が接続されている。この縁切弁49は、筐体底面に設けたオーバーフロー口に接続される排水管50と、給水管22におけるストレーナ23の下流側と接続された導入管51とが接続されている。落とし込み管45内の湯水の内圧が、戻り管35からの逆圧によって高まり、導入管51からの背圧よりも大きくなると、縁切弁49は、落とし込み管45から逆流した湯水を排水管50を介してオーバーフロー口へと排出するようになっている。
【0028】
筐体内には、給湯二次熱交換器12及び風呂二次熱交換器14で生じたドレンを中和するための中和器55が設けられている。この中和器55は、ドレン導入管57を介して排気フード15の底面に設けたドレン受け56と接続されると共に、ドレン排出管58を介して縁切弁49の排水管50と接続されている。また、中和器55には、水位を検出する水位電極59が設けられると共に、筐体底面からドレンを排出するドレン抜き口60が設けられている。
【0029】
図示しないものの、風呂釜付き給湯器1は、各サーミスタやセンサ等の検出信号を受けて各弁等を動作させて出湯温制御や浴槽37への湯張り制御等を行うコントローラ、コントローラと通信可能に接続されるリモコン等を備えている。
【0030】
[水流スイッチ、接続管部]
図2に示すように、本実施形態の水流スイッチ40は、接続管部70を介してポンプ38の吐出口38Bと接続されている。ポンプ38の吸込口38Aは、風呂戻り口側へと接続されている。水流スイッチ40の下流側には、配管78が接続されている。
図5に示すように、接続管部70は、ポンプ38の吐出口38Bに接続される第1屈曲管部70Aと、第1屈曲管部70Aから水平方向に延びる直管部70Bと、直管部70Bと水流スイッチ40とを接続する第2屈曲管部70Cと、を備える。各屈曲管部70A,70Cは、屈曲した形状をなし、両端部に設けられる開口の開口方向が略垂直となっている。接続管部70と水流スイッチ40との接続部分(本実施形態では第2屈曲管部70C)において湯水の流れる方向が
図5の図示右方(第2方向の一例)から上方(第1方向の一例)へと変化するようになっている。
【0031】
図4に示すように、水流スイッチ40は、湯水が内部を流通するケーシング71と、ケーシング71内に配される検知片72と、検知片72の後側の端部を固定する固定部材73と、ケーシング71に固定されるリードスイッチ74と、を備えている。
【0032】
ケーシング71は合成樹脂から構成されている。ケーシング71は、箱状をなすケーシング本体71Aと、ケーシング本体71Aの上側の開口を閉塞する蓋体71Bと、を備えている。ケーシング71の内部には、水流を検知するための検知室75が形成されている。固定部材73は、蓋体71Bの下面から下方に突出して形成されている。固定部材73は、検知室75内の後側の位置に配されている。リードスイッチ74は、蓋体71Bの上面の前側の位置に固定されている。
ケーシング本体71Aは、ケーシング本体71Aの底壁を上下方向に貫通して設けられる流入管部76と、ケーシング本体71Aの前壁を前後方向に貫通して設けられる流出管部77と、を備えている。流入管部76の上部は、ケーシング本体71Aの底壁よりも上方に突出している。流入管部76の上端部は、前方に向かうほど下側に位置して傾斜している。流出管部77は、前方(第3方向の一例)に延びており、配管78を介して風呂二次熱交換器14の入口に接続されている。
【0033】
検知片72は、弾性変形可能な弾性片72Aと、弾性片72Aの前側の端部に固定される磁性体72Bと、を備えている。弾性片72Aの後側の端部は、固定部材73に固定されている。弾性片72Aの前側部分は、流入管部76(第2筒部76B)の上部を塞ぐように、第2筒部76Bの内部空間に対向して配されている。流入管部76から検知室75内に湯水が流れ込むと、弾性片72Aが湯水からの圧力によって固定部材73に固定された後側の端部を基端として弾性変形する。この結果、弾性片72Aの前側の端部は、流入管部76から離間するように上方へと移動する。これにより磁性体72Bがリードスイッチ74に接近することで、リードスイッチ74は開状態から閉状態に切り替わるようになっている。
【0034】
[流入管部、第1筒部、第2筒部]
図4から
図6に示すように、流入管部76は、第1筒部76Aと、第1筒部76Aより下流側に配される第2筒部76Bと、第1筒部76Aと第2筒部76Bとを接続する第3筒部76Cと、を備えている。
図7及び
図8(A)に示すように、第1筒部76Aは、円筒状をなしている。
図8(D)に示すように、第2筒部76Bは、第1筒部76Aの内部空間の後側部分がなくなった円筒状をなしている。詳細には、第2筒部76Bの内周面の後側には、前後方向に延びる軸と直交する直交面80が設けられている。水平方向に流入管部76を切断した場合、第2筒部76Bの内部空間の断面積は第1筒部76Aの内部空間の断面積よりも小さくなっている(
図8(A)及び
図8(D)参照)。本実施形態では、第2筒部76Bの内部空間の断面積は、第1筒部76Aの内部空間の断面積の80%程度である。第2筒部76Bの内部空間は第1筒部76Aの内部空間よりも前後方向に扁平とされている。
【0035】
[第3筒部、接続面]
図6に示すように、第3筒部76Cは、第1筒部76Aと第2筒部76Bとを連続的に接続する円滑な内周面を有する。
図8(A)から
図8(C)に示すように、第3筒部76Cの内周面には、第2方向における奥側に配される接続面81が設けられている。ここで、第2方向とは、接続管部70と流入管部76との接続部分において湯水が上方に方向転換する前の湯水の流通方向であって、
図5の図示右方に対応している。接続面81は、上流から下流に(下方から上方に)向かうほど第3筒部76Cの内方に位置している。
なお、第3筒部76Cの接続面81を除いた部分の内周面は、第1筒部76A及び第2筒部76Bの円筒状をなす内周面と連続に接続される円筒状の内周面とされている。
【0036】
本実施形態では、接続管部70と流入管部76との接続部分(第2屈曲管部70C)において湯水の流れる方向が第2方向から上方へと転換される。この際、湯水が第2屈曲管部70C(及び第1筒部76A)の第2方向における奥側の内周面と衝突して旋回流を形成しつつ、後続の湯水に押し出される。この結果、流入管部76に導入される湯水は、旋回しつつ上昇する傾向を示す。ここでいう旋回流とは、第1筒部76Aの内周面に沿うような環状の流れのことを指す。また、湯水は第2方向から上方に偏流されて流入管部76内に進入する際、湯水の慣性により、流入管部76内で第2方向における手前側よりも奥側に偏って湯水が配されやすい。
【0037】
しかし、本実施形態においては、第3筒部76Cの内周面の第2方向における奥側には、上流から下流に向かうにつれて(上方に向かうにつれて)内方へと傾斜する接続面81を形成しているため、上昇傾向にある湯水は、この接続面81からの抵抗を受けつつ上昇し、しだいに、湯水の旋回成分が抑制される。
また、接続面81は第3筒部76Cの内周面の第2方向における奥側に配されているから、湯水が上方(下流側)に流れるにつれて、第2方向における奥側への湯水の偏りも緩和される。したがって、本実施形態によれば、接続管部70と流入管部76との接続部分が屈曲していても、検知室75内に流入する湯水の流れを安定化させ、水流スイッチ40を安定的に作動させることができる。
【0038】
図8(B)に示すように、接続面81の上流側の端部(下端部)には、第2方向に延びる軸と略直交する上流端面81Aが設けられている。上流端面81Aは、第2方向と反対側を向いて形成されている。
図7に示すように、上流端面81Aは、上流側(下側)に向かうほど幅狭となっており、第3筒部76Cと第1筒部76Aとの境界部分においては、点となって消失している。
図4に示すように、接続面81の下流側の端部(上端部)は、前後方向に延びる軸と略直交し、第2筒部76Bの直交面80と円滑に接続されている。接続面81の下流側の端部は、前方を向いて形成されている。
図8(B)及び
図8(C)に示すように、接続面81は、上流端面81Aから下流側の端部に至るまで、接続面81が対面する方向を第2方向と反対側の方向から前方へと連続的に変化させるように、第3筒部76Cの内方に位置して形成されている。本実施形態では、上流端面81Aから下流側の端部に至るまで、接続面81の法線ベクトルは平面視において(第1方向から見た場合に)30°程度変化している。この接続面81の法線ベクトルの平面視における角度変化は鋭角であることが好ましい。
【0039】
図3に示すように、湯水は水流スイッチ40に対して接続管部70から第2方向(左斜め後方)に有限の速度を有した状態で流入し、配管78側へと前方に流出する。すなわち、水流スイッチ40の上流と下流において湯水の流通方向が、水平面内において有限の角度だけずれている。これにより、水流スイッチ40内部において、湯水の圧損や旋回流等が発生することがありうる。
本実施形態では、接続面81は円滑な内周面を有し、接続面81の対面する方向が連続的に第2方向と反対側の方向から前方に変化しているから、水流スイッチ40内部における湯水の圧損を最低限度に抑え、湯水を整流させやすくなっている。
【0040】
[実施形態の作用効果]
以上のように、実施形態にかかる風呂釜1Aは、湯水が循環する循環回路(風呂回路B)に設けられる風呂釜1Aであって、循環回路に湯水を循環させるポンプ38と、循環回路内に配され、第1方向(上方)における水流に応じて作動する水流スイッチ40と、ポンプ38と水流スイッチ40とを接続する接続管部70と、を備え、接続管部70と水流スイッチ40との接続部分では、湯水の流れる方向が、第1方向と交差する第2方向から第1方向へと変化するようになっており、水流スイッチ40は、湯水の経路を構成するケーシング71と、ケーシング71内に形成された検知室75内に揺動可能に設けられた検知片72と、検知片72の一端部を固定する固定部材73と、ケーシング71に固定されて、検知片72の接近により閉状態となるリードスイッチ74と、を備え、ケーシング71は、接続管部70から流入した湯水が検知室75に流出する流入管部76と、検知室75から第1方向に直交する第3方向(前方)に湯水が流出する流出管部77と、を備え、第3方向は、第2方向と交差しており、流入管部76は、円筒状をなす第1筒部76Aと、第1筒部76Aより下流に配される第2筒部76Bと、第1筒部76Aと第2筒部76Bとを接続し、円滑な内周面を有する第3筒部76Cと、を備え、第2筒部76Bの内部空間の断面積は、第1筒部76Aの内部空間の断面積よりも小さく、第2筒部76Bの内周面には、第3方向と反対側に配され、第3方向と直交する直交面80が設けられ、直交面80は、第2筒部76Bの上流側の端部から第1方向に延在し、第3筒部76Cの内周面には、直交面80と第1筒部76Aの内周面とを接続する接続面81が形成され、接続面81は、上流から下流に向かうにつれて、接続面81が対面する方向を第2方向と反対側の方向から第3方向へと連続的に変化させつつ第3筒部76Cの内方に位置し、接続面81の上流側の端部は、第3筒部76Cの内周面のうち第2方向における奥側に配されている、風呂釜1Aである。
【0041】
上記の構成では、ポンプ38から接続管部70を介して水流スイッチ40の流入管部76に対して湯水が流入する。接続管部70と水流スイッチ40との接続部分では、湯水の流れる方向が第2方向から第1方向に偏流される。よって、接続管部70と水流スイッチ40との接続部分においては湯水の旋回流が発生する。接続管部70から流入管部76に流入した湯水は、第2方向における奥側に偏って、流入管部76の第1筒部76A内を第1方向に流れる。
さらに水流スイッチ40の上流と下流とで湯水の流れが第2方向から第3方向へと変化することによっても、湯水の偏流、旋回流が形成される。
【0042】
第3筒部76Cの内周面には、上流から下流に向かうにつれて第3筒部76Cの内方に位置する接続面81が設けられている。これにより、湯水が第3筒部76C内を第1方向に流れるにつれて、湯水の旋回流が抑制されるようになっている。また、第2筒部76Bの内部空間の断面積は、第1筒部76Aの内部空間の断面積よりも小さくなっている。よって、第3筒部76C及び第2筒部76Bの内部を通過することにより、湯水が整流されやすい。
このため、検知室75での湯水の流れを安定化させることができ、検知片72の定まった位置に集中して湯水を受圧させることができる。この結果、水流スイッチ40を安定的に作動させることができる。
【0043】
さらに、接続面81は上流から下流に向かうにつれて対面する方向を第2方向と反対側の方向から第3方向へと連続的に変化させているから、第3筒部76C内を流れることによる湯水の圧損を最低限度に抑えつつ、湯水を整流することができる。
【0044】
実施形態では、第2筒部76Bの内部空間の断面積は、第1筒部76Aの内部空間の断面積の半分以上であることが好ましい。
【0045】
上記の構成では、第2筒部76Bの内部空間の断面積は、第1筒部76Aの内部空間の断面積の半分以上であるから、第2筒部76Bと第3筒部76Cとにより湯水を整流しつつ、湯水の圧損を抑えることができる。
【0046】
実施形態にかかる風呂釜付き給湯器1は、風呂釜1Aと、給湯回路Aと、循環回路(風呂回路B)に設けられる風呂熱交換器(風呂一次、二次熱交換器13,14)と給湯回路Aに設けられる給湯熱交換器(給湯一次、二次熱交換器11,12)とを加熱するバーナ6と、を備える、風呂釜付き給湯器1である。
【0047】
<他の実施形態>
(1)実施形態では、風呂釜1Aを備える風呂釜付き給湯器1について例示したが、風呂釜は給湯回路と併設されていない形態でもよい。
【0048】
(2)実施形態では、接続管部70と流入管部76との接続部分であって、湯水が第2方向から第1方向へと方向転換する部分は、接続管部70の第2屈曲部70Bであったが、湯水が第2方向から第1方向へと方向転換する当該接続部分は流入管部に設けられてもよい。例えば、流入管部は有底の円筒状であって、流入管部の側壁に設けられる貫通孔に接続管部が挿通されるような形態でもよい。
【0049】
(3)実施形態では、接続管部70は、水平方向に延びる直管部70Bと、第1、第2屈曲管部70A,70Cと、を備えていたが、接続管部は流入管部側の端部において第1方向に交差する方向に延びた形状を有していればよい。例えば、接続管部の直管部は水平方向に対してやや傾斜していてもよい。また、接続管部は曲管状でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1:風呂釜付き給湯器、1A:風呂釜
2:内胴、3:仕切部材、4:給湯燃焼室、5:風呂燃焼室、6:バーナ、6A:給湯バーナ、6B:風呂バーナ、8:点火プラグ、9:フレームロッド、10:燃焼ファン、11:給湯一次熱交換器、12:給湯二次熱交換器、13:風呂一次熱交換器、14:風呂二次熱交換器、15:排気フード、16:排気口、17:ガス管、18:ガス分岐管、19:ガス電磁弁、20:元ガス電磁弁、21:ガス比例弁、22:給水管、23:ストレーナ、24:給湯水量センサ、25:給湯入水サーミスタ、26:水量制御モータ、27:出湯管、28:給湯熱交換器サーミスタ、29:給湯出湯サーミスタ、30:バイパス管、31:水分配弁、35:戻り管、36:外部戻り管、37:浴槽、38:ポンプ、39:風呂戻りサーミスタ、40:水流スイッチ、41:水位センサ、42:往き管、43:外部往き管、44:風呂往きサーミスタ、45:落とし込み管、46:落とし込み水電磁弁、47:風呂水量センサ、48:逆止弁、49:縁切弁、50:排水管、51:導入管、55:中和器、56:ドレン受け、57:ドレン導入管、58:ドレン排出管、59:水位電極、60:ドレン抜き口
70:接続管部、70A:第1屈曲管部、70B:直管部、70C:第2屈曲管部
71:ケーシング、71A:ケーシング本体、71B:蓋体、72:検知片、72A:弾性片、72B:磁性体、73:固定部材、74:リードスイッチ、75:検知室
76:流入管部、76A:第1筒部、76B:第2筒部、76C:第3筒部、77:流出管部、78:配管、80:直交面、81:接続面、81A:上流端面
A:給湯回路、B:風呂回路(循環回路)