(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020721
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】化粧シートおよび化粧板
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20240207BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20240207BHJP
E04F 13/18 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B32B27/00 E
E04F13/07 B
E04F13/07 C
E04F13/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123117
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】太田 新
(72)【発明者】
【氏名】高田 大貴
(72)【発明者】
【氏名】阿部 隼人
【テーマコード(参考)】
2E110
4F100
【Fターム(参考)】
2E110AA57
2E110AB03
2E110AB04
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(57)【要約】
【課題】意匠性および塗工適性に優れた、視覚的な立体感および触感による立体感を有する化粧板と、該化粧板に用いられる化粧シートを提供する。
【解決手段】化粧シート10は、シート基材1と、前記シート基材1の上側UPに印刷により形成される絵柄模様層2と、前記絵柄模様層2の上側UPに積層される第一表面保護層3と、前記第一表面保護層3の上側UPに部分的に積層され、前記第一表面保護層3と異なる光沢を有する第二表面保護層4と、を備え、前記第二表面保護層4は、薄膜部4bと、上下方向において、前記薄膜部4bの高さの1.2倍以上の高さを有する厚膜部4aと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート基材と、
前記シート基材の上側に印刷により形成される絵柄模様層と、
前記絵柄模様層の上側に積層される第一表面保護層と、
前記第一表面保護層の上側に部分的に積層され、前記第一表面保護層と異なる光沢を有する第二表面保護層と、
を備え、
前記第二表面保護層は、
薄膜部と、
上下方向において、前記薄膜部の高さの1.2倍以上の高さを有する厚膜部と、
を有する、
化粧シート。
【請求項2】
前記第二表面保護層は、合成樹脂ビーズ又は無機化合物フィラーで形成されて前記厚膜部を形成する粒子部を含み、
前記粒子部は、平均粒径が15μm以上である、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記第二表面保護層は、ウレタン結合を有する熱硬化性樹脂を含む、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記第二表面保護層は、電離放射硬化性樹脂を含む、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記粒子部は、アクリル樹脂ビーズである、
請求項2に記載の化粧シート。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の化粧シートと、
前記化粧シートの下側に接着される基板と、
を備える、
化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シートおよび化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
家具や住宅用建材の表面材として用いられる化粧シートは、光沢が異なる複数の表面保護層により形成されることで、視覚的な立体感又は高級感等を付与される。また、エンボス加工等により表面に凹凸を形成されることで、触感による立体感を付与される。例えば、木目柄の化粧シートにおいて、木目柄の導管部分とその他の部分との光沢の差による視覚的な立体感および表面の凹凸で触感による立体感を付与することで、より天然木材の見た目に近い木目柄の化粧シートを提供することができる。
【0003】
光沢差および触感を付与する化粧シートとして、特許文献1に記載の化粧シートがある。特許文献1に記載の化粧シートは、絵柄模様層の上側に積層された第一表面保護層の上側に、第一表面保護層と異なる光沢を有する第二表面保護層を部分的に積層することで視覚的な立体感を有する。また、第二表面保護層の厚みの4倍以上の厚みを有する第三表面保護層を第二表面保護層の上側に部分的に積層することで、触感による立体感を有する。その結果、特許文献1に記載の化粧シートは、視覚的な立体感および触感による立体感を有する化粧シートを提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の化粧シートは、第二表面保護層と第三表面保護層との光沢差によって第二表面保護層と第三表面保護層との境目が目立つため、意匠性が劣る虞がある。また、表面保護層を3層形成する必要があり、表面保護層の印刷に用いるグラビア版が3版必要であるため、印刷コストが増加する。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、表面保護層の光沢差による立体感および触感による立体感を有する化粧シートに関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、意匠性および塗工適性に優れた、視覚的な立体感および触感による立体感を有する化粧板と、該化粧板に用いられる化粧シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の化粧シートは、シート基材と、前記シート基材の上側に印刷により形成される絵柄模様層と、前記絵柄模様層の上側に積層される第一表面保護層と、前記第一表面保護層の上側に部分的に積層され、前記第一表面保護層と異なる光沢を有する第二表面保護層と、を備え、前記第二表面保護層は、薄膜部と、上下方向において、前記薄膜部の高さの1.2倍以上の高さを有する厚膜部と、を有する。
【0008】
上記化粧シートでは、前記第二表面保護層は、合成樹脂ビーズ又は無機化合物フィラーで形成されて前記厚膜部を形成する粒子部を含み、前記粒子部は、平均粒径が15μm以上であってもよい。
【0009】
上記化粧シートでは、前記第二表面保護層は、ウレタン結合を有する熱硬化性樹脂を含んでもよい。
【0010】
上記化粧シートでは、前記第二表面保護層は、電離放射硬化性樹脂を含んでもよい。
【0011】
上記化粧シートでは、前記粒子部は、アクリル樹脂ビーズであってもよい。
【0012】
本発明の化粧板は、上記の化粧シートと、前記化粧シートの下側に接着される基板と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の化粧シートおよび化粧板によれば、意匠性および塗工適性に優れた、視覚的な立体感および触感による立体感を有する化粧板と、該化粧板に用いられる化粧シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本実施形態の変形例1-3に係る化粧板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について、
図1および
図2を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る化粧板の断面図である。
本実施形態では、
図1に示すように、化粧板100の厚さ方向を「上下方向V」、化粧シート10に基板20を接着する側を上下方向Vにおける「下側LO」、化粧シート10に基板20を接着する側と反対側を上下方向Vにおける「上側UP」と定義する。
【0017】
また、
図1に示すように、第二表面保護層4の厚膜部4aの上下方向Vにおける高さを「高さH1」、薄膜部4bの上下方向Vにおける高さを「高さH2」と定義する。
【0018】
化粧板100は、化粧シート10と基板20とを備える。
基板20は、化粧シート10の下側LOに接着される。基板20としては、パーチクルボード又は中密度繊維板(MDF)等を採用できる。また、基板20として、アルミニウム又はステンレス等の金属系の板状の部材、ポリエチレン等の樹脂からなる芯材の両側にアルミニウム等の金属を貼り付けた複合板を採用してもよい。
【0019】
化粧シート10は、シート基材1と絵柄模様層2と第一表面保護層3と第二表面保護層4とを備える。
シート基材1は、化粧シート10の下側LOに積層される層である。シート基材1は、印刷を施すことができる公知の材質からなるシート状の層である。シート基材1として、薄葉紙又はチタン紙等の繊維質シートを採用できる。また、シート基材1として、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニル等の樹脂シートを採用してもよい。
【0020】
絵柄模様層2は、シート基材1の上側UPに印刷により形成される層であり、例えば、木目、石目又は砂目等の絵柄の印刷を施すことで形成される。印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。絵柄模様層2には、採用する印刷方法に適した公知の印刷インキを採用できる。
【0021】
第一表面保護層3は、絵柄模様層2の上側UPに積層される層である。第一表面保護層3には、絵柄模様層2の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。第一表面保護層3として、ウレタン結合を有する熱硬化性樹脂又はアクリル樹脂等の電離放射硬化性樹脂等を採用できる。第一表面保護層3を積層する方法としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。また、第一表面保護層3は、公知のコーティング装置を用いて積層されてもよい。
【0022】
第二表面保護層4は、第一表面保護層3の上側UPに部分的に積層される層である。第二表面保護層4には、第一表面保護層3を通して絵柄模様層2の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。第二表面保護層4として、ウレタン結合を有する熱硬化性樹脂又はアクリル樹脂等の電離放射硬化性樹脂等を採用できる。
【0023】
第一表面保護層3と第二表面保護層4とは、異なる光沢を有する。第一表面保護層3と第二表面保護層4との光沢の差を付与する方法として、第一表面保護層3又は第二表面保護層4に艶消材を添加する方法がある。例えば、第一表面保護層3には艶消材を添加せず、第二表面保護層4に艶消材を添加した場合、第一表面保護層3は第二表面保護層4よりも高い光沢を有する。第一表面保護層3と第二表面保護層4との光沢に差を付与できる程度に、第一表面保護層3と第二表面保護層4とに異なる添加量の艶消材を添加してもよい。
第一表面保護層3と第二表面保護層4との光沢の差によって、人間の目の錯覚を利用して、視覚的に立体感を感じさせることができる。
【0024】
第二表面保護層4は、粒子部5を含む。粒子部5は、合成樹脂ビーズ又は無機化合物フィラーからなり、第二表面保護層4に触感による立体感を付与する。粒子部5には、第一表面保護層3および第二表面保護層4を通して絵柄模様層2の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。粒子部5として、透明度が高く、触感による立体感を付与することができる、平均粒径が15μm以上のアクリル樹脂ビーズを採用するのが望ましい。
【0025】
また、第二表面保護層4は、厚膜部4aと、上下方向Vにおいて、厚膜部4aの高さH1よりも高さが低い薄膜部4bとを有する。薄膜部4bは、例えば、0.5μm以上13μm以下の塗膜厚み(高さH2)を有し、第一表面保護層3の上側UPにほぼ一定の塗膜厚み(高さH2)で積層されている。
【0026】
厚膜部4aは、第二表面保護層4の粒子部5が配置される位置に形成される。第二表面保護層4を形成する印刷樹脂が粒子部5を被覆することで、厚膜部4aは、粒子部5の粒径の分だけ薄膜部4bよりも上下方向Vにおける高さが高くなる。そのため、厚膜部4aは、薄膜部4bよりも上側UPへ突出している。
厚膜部4aの高さH1から薄膜部4bの高さH2へなだらかに第二表面保護層4の高さが変化してもよい。例えば、粒子部5の合成樹脂ビーズに第二表面保護層4の印刷樹脂が表面張力によって引っ張られ、厚膜部4aと薄膜部4bとの間になだらかな斜面を形成する。
【0027】
優れた視覚的な立体感および触感による立体感を付与するため、第二表面保護層4の厚膜部4aの高さH1は、薄膜部4bの高さH2の1.2倍以上である。
【0028】
第二表面保護層4を積層する方法としては、グラビア印刷等の凹版印刷を採用できる。例えば、グラビア印刷に用いるグラビア版の印刷樹脂を流し込む溝において、粒子部5の粒径よりも深さが深い溝には印刷樹脂および粒子部5が流れ込み、粒子部5の粒径よりも深さが浅い溝には粒子部5が流れ込まずに印刷樹脂のみが流れ込む。その結果、第二表面保護層4には、粒子部5が配置される部分と配置されない部分とが形成される。粒子部5が配置された部分が厚膜部4aを形成し、粒子部5が配置されない部分が薄膜部4bを形成する。
【0029】
第二表面保護層4は、絵柄模様層2と同調した位置に形成されるのが望ましい。例えば、絵柄模様層2が木目柄を有する場合、木目柄の導管部分と同調した位置に第二表面保護層4を形成することで、第一表面保護層3と第二表面保護層4との光沢の差によって導管部分に視覚的な立体感を付与できる。
また、第二表面保護層4の厚膜部4aは、絵柄模様層2と同調した位置に形成されるのが望ましい。例えば、絵柄模様層2が木目柄を有する場合、木目柄の導管部分と同調した位置に厚膜部4aを形成することで、厚膜部4aの高さH1と薄膜部4bの高さH2との差によって導管部分に触感による立体感を付与できる。その結果、視覚的な立体感と触感による立体感とを組み合わせることで導管部分の立体感がより強調され、より天然木材の見た目に近い木目柄の化粧シート10を提供することができる。
【0030】
本実施形態の化粧シート10および化粧板100によれば、第一表面保護層3と第二表面保護層4は異なる光沢を有するため、視覚的な立体感を有する。また、第二表面保護層4の厚膜部4aの高さH1は、薄膜部4bの高さH2の1.2倍以上であるため、触感による立体感を有する。すなわち、第一表面保護層3および第二表面保護層4の二つの層によって視覚的な立体感および触感による立体感を提供できる。視覚的な立体感と触感による立体感とを組み合わせることで、より強調した立体感を提供できる。また、厚膜部4aと薄膜部4bはどちらも第二表面保護層4に含まれるため、厚膜部4aと薄膜部4bとの光沢に大きな差は生じず、厚膜部4aと薄膜部4bとの境目は目立ちにくい。
その結果、意匠性および塗工適性に優れた、視覚的な立体感および触感による立体感を有する化粧板100と、化粧板100に用いられる化粧シート10を提供することができる。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0032】
(変形例1)
上記実施形態において、化粧シート10は、シート基材1と絵柄模様層2と第一表面保護層3と第二表面保護層4とを備えるが、化粧シートの態様はこれに限定されない。例えば、
図2に示すように、化粧シートは、導管インキ層2a等の層を備えていてもよい。絵柄模様層2の上側UPに導管インキ層2aを形成することで、視覚的に立体感を付与することができる。このとき、導管インキ層2aと同調した位置に厚膜部を配置することで、より立体感を強調することができる。
【0033】
(変形例2)
上記実施形態において、シート基材1は、繊維質シート又は樹脂シート等の単層シートであるが、シート基材の態様はこれに限定されない。例えば、
図2に示すように、シート基材1Aは、上側紙基材1aと下側紙基材1bとで樹脂層1cを挟んだ複合シートでもよい。例えば、繊維質シートからなる上側紙基材1aおよび下側紙基材1bとの間に、水蒸気を透過しない樹脂層1cを挟むことで、シート基材1Aに防湿性を付与することができる。
【0034】
(変形例3)
上記実施形態において、厚膜部4aは、第二表面保護層4の粒子部5が配置される位置に形成されるが、厚膜部の態様はこれに限定されない。厚膜部は、第二表面保護層の粒子部5が配置されない位置に形成されてもよい。第二表面保護層の印刷に用いるグラビア版の印刷樹脂を流し込む溝において、深さが深い溝には深さが浅い溝よりも多い量の印刷樹脂が流れ込む。その結果、第二表面保護層において、グラビア版の深さが深い溝の部分は深さが浅い溝の部分よりも高さが高くなる。すなわち、グラビア版の溝の深さに差をつけることで、粒子部5を配置せずに部分的に高さが異なる第二表面保護層を形成できる。このとき、第二表面保護層におけるグラビア版の深さが深い溝の部分の高さを深さが浅い溝の部分(薄膜部)の高さの1.2倍以上とすることで、
図2に示すように、第二表面保護層4Aの粒子部5が配置されない位置に厚膜部4Aaを形成できる。
【0035】
(変形例4)
上記実施形態において、絵柄模様層2は木目、石目又は砂目等の絵柄の印刷を施すことで形成されるが、絵柄模様層の態様はこれに限定されない。絵柄模様層は、木目、石目又は砂目等の絵柄を有さなくてもよい。
【0036】
以下実施例により、本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
シート基材1として、化粧紙用原紙を準備した。シート基材1の上側UPにグラビア印刷により木目柄の絵柄模様層2を形成した。絵柄模様層2の上側UPにグラビア印刷により第一表面保護層3を形成した。第一表面保護層3の上側UPにアクリル樹脂ビーズである粒子部5を含む第二表面保護層4をグラビア印刷により形成した。
第二表面保護層4の厚膜部4aの高さH1は15μm、薄膜部4bの高さH2は0.5μmとした。こうして、実施例1の化粧シート10を形成した。
【0038】
(実施例2)
第二表面保護層4の薄膜部4bの高さH2を1μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例2の化粧シート10を形成した。
【0039】
(実施例3)
第二表面保護層4の薄膜部4bの高さH2を13μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例3の化粧シート10を形成した。
【0040】
(実施例4)
第二表面保護層4の厚膜部4aの高さH1を7μm、薄膜部4bの高さH2を2.1μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例4の化粧シート10を形成した。
【0041】
(実施例5)
第二表面保護層4の厚膜部4aの高さH1を18μm、薄膜部4bの高さH2を2.1μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例5の化粧シート10を形成した。
【0042】
(実施例6)
第二表面保護層4の厚膜部4aの高さH1を31μm、薄膜部4bの高さH2を2.1μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例6の化粧シート10を形成した。
【0043】
(実施例7)
第二表面保護層4の厚膜部4aの高さH1を57μm、薄膜部4bの高さH2を2.1μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例7の化粧シート10を形成した。
【0044】
(実施例8)
第二表面保護層4の厚膜部4aの高さH1を113μm、薄膜部4bの高さH2を2.1μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例8の化粧シート10を形成した。
【0045】
(比較例1)
第二表面保護層の薄膜部の高さを14μmとした以外は実施例1と同様の方法により、比較例1の化粧シートを形成した。
【0046】
(実験1)
実施例1-8および比較例1の化粧シートに意匠評価試験を実施した。意匠評価試験では、10人の試験員で化粧シートの第一表面保護層および第二表面保護層の意匠の官能試験を実施し、意匠の見た目の程度について評価した。
評価基準は4段階とし、評価1以外を合格とした。
4:意匠の見た目が良いと評価した人が9人以上10人以下である。
3:意匠の見た目が良いと評価した人が7人以上8人以下である。
2:意匠の見た目が良いと評価した人が1人以上6人以下である。
1:意匠の見た目が良いと評価した人が0人である。
【0047】
(実験2)
実施例1-8および比較例1の化粧シートに触感評価試験を実施した。触感評価試験では、10人の試験員で化粧シートの第二表面保護層の触感の官能試験を実施し、触感の程度について評価した。
評価基準は4段階とし、評価1以外を合格とした。
4:手触り感が良いと評価した人が9人以上10人以下である。
3:手触り感が良いと評価した人が7人以上8人以下である。
2:手触り感が良いと評価した人が1人以上6人以下である。
1:手触り感が良いと評価した人が0人である。
【0048】
(実験結果)
実験1-2の結果を表1に示す。表1の高さ比率は、厚膜部の高さを薄膜部の高さで除算し、小数点第二位の値を四捨五入した値である。すなわち、厚膜部の高さが薄膜部の高さの何倍の値かを示している。
高さ比率が1.2倍以上である実施例1-8は実験1および実験2において良好な結果を示した。実施例1-8および比較例1の中で高さ比率が最も小さく1.2倍未満である比較例1は、実験1および実験2において不合格であった。
【表1】
【符号の説明】
【0049】
100 化粧板
10 化粧シート
1 シート基材
2 絵柄模様層
3 第一表面保護層
4 第二表面保護層
4a 厚膜部
4b 薄膜部
5 粒子部
20 基板
H1 厚膜部の高さ
H2 薄膜部の高さ
V 上下方向
UP 上側
LO 下側