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特開2024-20725入札シミュレーションシステム、入札シミュレーションプログラム及び入札シミュレーション方法
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  • 特開-入札シミュレーションシステム、入札シミュレーションプログラム及び入札シミュレーション方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020725
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】入札シミュレーションシステム、入札シミュレーションプログラム及び入札シミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/08 20120101AFI20240207BHJP
【FI】
G06Q30/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123122
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】396025447
【氏名又は名称】株式会社建設システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 政人
(72)【発明者】
【氏名】榊原 平八
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB73
(57)【要約】
【課題】精度よく入札結果をシミュレーションする。
【解決手段】入札価格と所定の評価項目に対する評価点とに基づいて落札者を決定する工事の入札シミュレーションシステムであって、入札公告情報を取得する入札公告情報取得部と、有資格者名簿取得部と、過去の工事の入札結果情報を取得する入札結果情報取得部と、有資格者名簿に含まれる有資格者と、該有資格者と同定された入札者に関する入札結果情報を関連付けた拡大有資格者名簿を生成する拡大有資格者名簿生成部と、拡大有資格者名簿を記憶する拡大有資格者名簿記憶部と、応札想定業者の、評価関連情報を拡大有資格者名簿から取得する応札想定業者評価関連情報取得部と、応札想定業者の評価関連情報に基づいて設定された評価点と、応札想定業者の設定された入札金額と、設定された自社の評価点と、設定された自社の入札金額に基づいて、シミュレーションを行うシミュレーション実行部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入札価格と所定の評価項目に対する評価点とに基づいて落札者を決定する落札方式が適用される工事の入札のシミュレーションを行う入札シミュレーションシステムであって、
前記シミュレーションの対象となるシミュレーション対象入札の入札公告に含まれる情報である入札公告情報を取得する入札公告情報取得部と、
工事の発注者によって、該発注者が発注する工事の入札参加資格を認められた建設業者である有資格者の名称を含む有資格者名簿を取得する有資格者名簿取得部と、
過去の工事の入札の結果に関する情報である入札結果情報を取得する入札結果情報取得部と、
前記入札結果情報に含まれる入札者と前記有資格者とを同定する入札者同定部と、
前記有資格者名簿に含まれる前記有資格者と、該有資格者と同定された前記入札者に関する前記入札結果情報を関連付けた拡大有資格者名簿を生成する拡大有資格者名簿生成部と、
前記拡大有資格者名簿を記憶する拡大有資格者名簿記憶部と、
前記入札公告情報と、前記拡大有資格者名簿とを照合し、前記シミュレーション対象入札に参加可能な前記有資格者である応札可能業者を抽出する応札可能業者抽出部と、
前記応札可能業者又は該応札可能業者から選択され、前記シミュレーションの対象とされる応札想定業者の、前記評価項目の評価に関する情報である評価関連情報を前記拡大有資格者名簿から取得する応札想定業者評価関連情報取得部と、
前記応札想定業者の前記評価関連情報に基づいて設定された、該応札想定業者の前記評価点と、該応札想定業者の設定された入札金額と、設定された自社の前記評価点と、設定された前記自社の入札金額に基づいて、前記シミュレーションを行うシミュレーション実行部と、
を備えたことを特徴とする入札シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記入札公告情報取得部は、
前記入札公告を取得する入札公告取得部と、
前記入札公告から前記入札公告情報を抽出する入札公告情報抽出部を含むことを特徴とする請求項1に記載の入札シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記自社が実施する工事の工種ごとの歩掛を記憶する歩掛記憶部と、
前記シミュレーション対象入札に係る工事であるシミュレーション対象工事を前記自社で実施する場合の実行予算を、前記工種ごとの歩掛に基づいて算出する実行予算算出部と、
を備え、
前記シミュレーション実行部は、前記シミュレーション対象工事の予定価格と、前記実行予算とに基づいて、設定された前記入札金額に対する粗利益金額、粗利益率又は落札率の少なくともいずれかを算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の入札シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記自社が実施した工事の作業の日ごとの作業履歴を含む日報情報の入力を受け付ける日報情報取得部と、
前記日報情報から、前記工種ごとの歩掛を算出する歩掛算出部と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の入札シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記シミュレーションの結果に基づき、前記自社が応札すべきか否かの判断を支援する応札判断支援情報を提供する支援情報提供部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の入札シミュレーションシステム。
【請求項6】
コンピュータに、入札価格と所定の評価項目に対する評価点とに基づいて落札者を決定する落札方式が適用される工事の入札のシミュレーションを実行させる入札シミュレーションプログラムであって、
前記シミュレーションの対象となるシミュレーション対象入札の入札公告に含まれる情報である入札公告情報を取得するステップと、
工事の発注者によって、該発注者が発注する工事の入札参加資格を認められた建設業者である有資格者の名称を含む有資格者名簿を取得するステップと、
過去の工事の入札の結果に関する情報である入札結果情報を取得するステップと、
前記入札結果情報に含まれる入札者と前記有資格者とを同定するステップと、
前記有資格者名簿に含まれる前記有資格者と、該有資格者と同定された前記入札者に関する前記入札結果情報を関連付けた拡大有資格者名簿を記憶するステップと、
前記入札公告情報と、前記拡大有資格者名簿とを照合し、前記シミュレーション対象入札に参加可能な前記有資格者である応札可能業者を抽出するステップと、
前記応札可能業者又は該応札可能業者から選択され、前記シミュレーションの対象とされる応札想定業者の、前記評価項目の評価に関する情報である評価関連情報を前記拡大有資格者名簿から取得するステップと、
前記応札想定業者の前記評価関連情報に基づいて設定された、該応札想定業者の前記評価点と、該応札想定業者の設定された入札金額と、設定された自社の前記評価点と、設定された前記自社の入札金額に基づいて、前記シミュレーションを行うステップと、
を含むことを特徴とする入札シミュレーションプログラム。
【請求項7】
入札価格と所定の評価項目に対する評価点とに基づいて落札者を決定する落札方式が適用される工事の入札のシミュレーションを実行する入札シミュレーション方法であって、
前記シミュレーションの対象となるシミュレーション対象入札の入札公告に含まれる情報である入札公告情報を取得するステップと、
工事の発注者によって、該発注者が発注する工事の入札参加資格を認められた建設業者である有資格者の名称を含む有資格者名簿を取得するステップと、
過去の工事の入札の結果に関する情報である入札結果情報を取得するステップと、
前記入札結果情報に含まれる入札者と前記有資格者とを同定するステップと、
前記有資格者名簿に含まれる前記有資格者と、該有資格者と同定された前記入札者に関する前記入札結果情報を関連付けた拡大有資格者名簿を記憶するステップと、
前記入札公告情報と、前記拡大有資格者名簿とを照合し、前記シミュレーション対象入札に参加可能な前記有資格者である応札可能業者を抽出するステップと、
前記応札可能業者又は該応札可能業者から選択され、前記シミュレーションの対象とされる応札想定業者の、前記評価項目の評価に関する情報である評価関連情報を前記拡大有資格者名簿から取得するステップと、
前記応札想定業者の前記評価関連情報に基づいて設定された、該応札想定業者の前記評価点と、該応札想定業者の設定された入札金額と、設定された自社の前記評価点と、設定された前記自社の入札金額に基づいて、前記シミュレーションを行うステップと、
を含むことを特徴とする入札シミュレーション方法。
【請求項8】
工事の発注者によって、該発注者が発注する工事の入札参加資格を認められた建設業者である有資格者の名称を含む有資格者名簿を取得する有資格者名簿取得部と、
過去の工事の入札の結果に関する情報である入札結果情報を取得する入札結果情報取得部と、
前記入札結果情報に含まれる入札者と前記有資格者とを同定する入札者同定部と、
前記有資格者名簿に含まれる前記有資格者と、該有資格者と同定された前記入札者に関する前記入札結果情報を関連付けた拡大有資格者名簿を生成する拡大有資格者名簿生成部と、
前記拡大有資格者名簿を記憶する拡大有資格者名簿記憶部と、
を備えた、拡大有資格者名簿生成システム。
【請求項9】
自社が実施した工事の作業の日ごとの作業履歴を含む日報情報の入力を受け付ける日報情報取得部と、
前記日報情報から、工種ごとの歩掛を算出する歩掛算出部と、
前記工種ごとの歩掛を記憶する歩掛記憶部と、
工事を前記自社で実施する場合の実行予算を、前記工種ごとの歩掛に基づいて算出する実行予算算出部と、
を備えたことを特徴とする実行予算算出システム。
【請求項10】
工事の発注者による入札公告を取得する入札公告取得部と、
前記入札公告に含まれる情報である入札公告情報を取得する入札公告情報取得部と、
を備えた入札公告情報取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入札シミュレーションシステム、入札シミュレーションプログラム及び入札シミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国や地方公共団体が発注する公共工事については、一般競争入札が原則とされる一方で、実際には不良・不適格な建設業者を排除するために指名競争入札が行われてきた。しかし、公共投資が減少するなかで、価格競争が激化し著しい低価格による入札やくじ引きにより落札者が決定する例が急増し、技術的能力が高くない建設業者が施工することにより、公共工事の品質低下が懸念される事態となっていた。このため、建設業者の技術力を適切に審査し、価格と品質が総合的に優れた調達を実現すべく、国が発注する公共工事について、総合評価落札方式が実施され、地方公共団体が発注する公共工事についてもその採用が進んでいる。
【0003】
このような総合評価落札方式には、優良な社会資本整備を行うことができる、必要な技術的能力を有する建設業者のみが競争に参加することにより、ダンピングの防止、不良・不適格業者の排除ができる、技術的能力を審査することにより、建設業者の技術力向上に対する意欲を高め、建設業者の育成に貢献できる等の、種々のメリットがある。
【0004】
一方で、総合評価落札方式を導入により、手続が煩雑になった。また、応札しようとする建設業者は、総合評価落札方式においては多方面から審査が行われるため、価格だけでなく自社の技術力及び応札が予想される建設業者の技術力等を総合的に考慮して応札金額を決定しなければならない。
【0005】
これに対して、他社の技術力を評価するために有用な、公共工事における実績に関する情報である、公共工事の入札情報や落札結果情報を提供するシステムが提案されている(特許文献1参照)。また、客観的な評価が困難な評価項目について、自社の評価点及び応札が予想される他社の評価点を種々のパターンで設定し、設定された評価点のパターンに対して、落札可能な自社の入札金額の範囲や、他社の入札予想価格等をシミュレートする入札シミュレーション装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-133822号公報
【特許文献2】特開2008-250461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、入札結果をシミュレートするための基礎となる自社及び応札が予想される建設業者に関する情報が十分ではなく、精度よく、入札結果をシミュレートすることができなかった。
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、精度よく、入札結果をシミュレーションできる入札シミュレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明は、
入札価格と所定の評価項目に対する評価点とに基づいて落札者を決定する落札方式が適用される工事の入札のシミュレーションを行う入札シミュレーションシステムであって、
前記シミュレーションの対象となるシミュレーション対象入札の入札公告に含まれる情報である入札公告情報を取得する入札公告情報取得部と、
工事の発注者によって、該発注者が発注する工事の入札参加資格を認められた建設業者である有資格者の名称を含む有資格者名簿を取得する有資格者名簿取得部と、
過去の工事の入札の結果に関する情報である入札結果情報を取得する入札結果情報取得部と、
前記入札結果情報に含まれる入札者と前記有資格者とを同定する入札者同定部と、
前記有資格者名簿に含まれる前記有資格者と、該有資格者と同定された前記入札者に関する前記入札結果情報を関連付けた拡大有資格者名簿を生成する拡大有資格者名簿生成部と、
前記拡大有資格者名簿を記憶する拡大有資格者名簿記憶部と、
前記入札公告情報と、前記拡大有資格者名簿とを照合し、前記シミュレーション対象入札に参加可能な前記有資格者である応札可能業者を抽出する応札可能業者抽出部と、
前記応札可能業者又は該応札可能業者から選択され、前記シミュレーションの対象とされる応札想定業者の、前記評価項目の評価に関する情報である評価関連情報を前記拡大有資格者名簿から取得する応札想定業者評価関連情報取得部と、
前記応札想定業者の前記評価関連情報に基づいて設定された、該応札想定業者の前記評価点と、該応札想定業者の設定された入札金額と、設定された自社の前記評価点と、設定された前記自社の入札金額に基づいて、前記シミュレーションを行うシミュレーション実行部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
いわゆる総合評価落札方式のように、入札価格と所定の評価項目に対する評価点とに基づいて落札者を決定する落札方式が適用される工事の入札では、評価基準が定められていても、評価項目に、客観的に評価可能な評価項目、すなわち、入札のシミュレーションを行う際に、評価点をより正確に設定可能な評価項目と、評価者の主観的又は裁量的な評価の余地があり、入札のシミュレーションを行う際に、評価点を正確に設定することが難しい評価項目が含まれる。この点で、過去の工事の入札の結果に関する入札結果情報に、落札金額や落札者のみならず、上述の総合評価落札方式であれば落札及び他の応札者について所定の評価項目の評価点が含まれる。これらの入札結果情報に含まれる、過去の工事の入札における評価の結果である評価点に基づいて、入札のシミュレーションを行う際に評価点を設定すれば、精度のよいシミュレーションが可能となる。このような、過去の工事の入札結果情報を入札のシミュレーションに利用するためには、入札結果情報に含まれる評価点等の情報が、いずれの建設業者に対するものかを特定する必要がある。しかし、入札結果情報に、落札者又は他の応札者を特定するに十分な情報が含まれているわけではない。
この点、国や地方公共団体を発注者とする工事であれば、入札に参加できるのは、発注者によって入札に参加する資格を認められた有資格者に限定されており、その有資格者の名称、住所等のより詳細な属性情報が有資格者名簿として、国や地方公共団体のWEBサイト等により公表されている。また、このような、国や地方公共団体が発注する工事の入札に参加する資格は、工種ごとに、また、工種によっては、さらに工事の規模(ランク)を限定して認められており、有資格者名簿には、そのような工種やランクに関する情報も含めて公表されている。
従って、入札結果情報に含まれる入札者(落札者及び落札者以外の応札者)の名称や工種(ランクも含む)により、有資格者名簿に含まれるいずれの有資格者であるのかを特定(同定)することにより、有資格者に、入札結果情報に含まれる当該有資格者に関する情報を関連付けて拡大有資格者名簿を作成し、これを拡大有資格者名簿記憶部として保持す
ることができる。
また、発注者による入札公告には、評価項目や評価基準のような評価に関する情報や、入札への参加資格に関する情報が含まれている。シミュレーションの対象となる工事の入札について、これらの情報を含む入札公告情報を取得し、拡大有資格者名簿に含まれる情報とを照合することにより、入札公告情報に含まれる参加可能な有資格者である応札可能業者を抽出することができる。
このようにして抽出された応札可能業者をそのまま、シミュレーションを行う入札に応札すると想定される応札想定業者に設定することもできるが、応札可能業者から応札想定業者を選択して絞り込んでもよい。応札想定業者の数が多いと、シミュレーションが複雑化するので、適正な数に絞り込むことが好ましい。また、拡大有資格者名簿に含まれる評価点が高い応札可能業者を応札想定業者として選択することにより、落札可能性が高い応札可能業者をシミュレーションに含めることができるので、シミュレーションをより有意義なものとすることができる。
シミュレーションを行う際には、実際の入札と同様に、入札価格と所定の評価項目に対する評価点に基づいて、落札者を決定する過程を模擬するので、シミュレーションを行うことにより、対象となっている入札に応札するか否かを検討したい業者(自社)の入札金額及び評価点と、他の応札想定業者の入札金額及び評価点を設定する。このとき、本入札シミュレーションシステムでは、的確な設定が難しい自社以外の応札想定業者の評価点を、過去の工事の入札結果情報が関連付けられた拡大有資格者名簿から取得した当該応札想定業者の評価関連情報に基づいて設定することにより、入札の正確なシミュレーションが可能となる。
【0011】
また、本発明において、
前記入札公告情報取得部は、
前記入札公告を取得する入札公告取得部と、
前記入札公告から前記入札公告情報を抽出する入札公告情報抽出部を含むようにしてもよい。
【0012】
これによれば、入札公告取得部が取得した入札公告から、入札公告情報抽出部が入札公告情報を抽出するので、発注者によって異なるフォーマットで入札公告が公表される場合でも、必要な入札公告情報を取得することができる。
【0013】
また、本発明において、
前記自社が実施する工事の工種ごとの歩掛を記憶する歩掛記憶部と、
前記シミュレーション対象入札に係る工事であるシミュレーション対象工事を前記自社で実施する場合の実行予算を、前記工種ごとの歩掛に基づいて算出する実行予算算出部と、
を備え、
前記シミュレーション実行部は、前記シミュレーション対象工事の予定価格と、前記実行予算とに基づいて、設定された前記入札金額に対する粗利益金額、粗利益率又は落札率の少なくともいずれかを算出するようにしてもよい。
【0014】
これによれば、シミュレーションを利用して入札金額を検討する場合に、自社が実施する工事の工種ごとの歩掛に基づいて、実行予算を算出し、予定価格と実行予算に基づいて、設定された入札金額に対する粗利益金額、粗利益率又は落札率の少なくともいずれかを算出するので、より適切な入札金額の決定を支援することができる。
【0015】
また、本発明において、
前記自社が実施した工事の作業の日ごとの作業履歴を含む日報情報の入力を受け付ける日報情報取得部と、
前記日報情報から、前記工種ごとの歩掛を算出する歩掛算出部と、
を備えるようにしてもよい。
【0016】
これによれば、工種ごとの歩掛を、自社の工事の日ごとの作業履歴を含む日報情報から算出するので、より正確な歩掛の算出が可能となる。また、歩掛に基づいて、より正確な実行予算を算出することができるので、より適切な入札金額の決定を支援することができる。
【0017】
前記シミュレーションの結果に基づき、前記自社が応札すべきか否かの判断を支援する応札判断支援情報を提供する支援情報提供部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の入札シミュレーションシステム。
【0018】
これによれば、入札のシミュレーションの結果に基づいて、自社が応札すべきか否かの判断を支援する応札判断支援情報が提供されるので、自社が応札すべきか否かの判断をより的確に行うことができる。
【0019】
また、本発明は、
コンピュータに、入札価格と所定の評価項目に対する評価点とに基づいて落札者を決定する落札方式が適用される工事の入札のシミュレーションを実行させる入札シミュレーションプログラムであって、
前記シミュレーションの対象となるシミュレーション対象入札の入札公告に含まれる情報である入札公告情報を取得するステップと、
工事の発注者によって、該発注者が発注する工事の入札参加資格を認められた建設業者である有資格者の名称を含む有資格者名簿を取得するステップと、
過去の工事の入札の結果に関する情報である入札結果情報を取得するステップと、
前記入札結果情報に含まれる入札者と前記有資格者とを同定するステップと、
前記有資格者名簿に含まれる前記有資格者と、該有資格者と同定された前記入札者に関する前記入札結果情報を関連付けた拡大有資格者名簿を記憶するステップと、
前記入札公告情報と、前記拡大有資格者名簿とを照合し、前記シミュレーション対象入札に参加可能な前記有資格者である応札可能業者を抽出するステップと、
前記応札可能業者又は該応札可能業者から選択され、前記シミュレーションの対象とされる応札想定業者の、前記評価項目の評価に関する情報である評価関連情報を前記拡大有資格者名簿から取得するステップと、
前記応札想定業者の前記評価関連情報に基づいて設定された、該応札想定業者の前記評価点と、該応札想定業者の設定された入札金額と、設定された自社の前記評価点と、設定された前記自社の入札金額に基づいて、前記シミュレーションを行うステップと、
を含むことを特徴とする。
【0020】
いわゆる総合評価落札方式のように、入札価格と所定の評価項目に対する評価点とに基づいて落札者を決定する落札方式が適用される工事の入札では、評価基準が定められていても、評価項目に、客観的に評価可能な評価項目、すなわち、入札のシミュレーションを行う際に、評価点をより正確に設定可能な評価項目と、評価者の主観的又は裁量的な評価の余地があり、入札のシミュレーションを行う際に、評価点を正確に設定することが難しい評価項目が含まれる。この点で、過去の工事の入札の結果に関する入札結果情報に、落札金額や落札者のみならず、上述の総合評価落札方式であれば落札及び他の応札者について所定の評価項目の評価点が含まれる。これらの入札結果情報に含まれる、過去の工事の入札における評価の結果である評価点に基づいて、入札のシミュレーションを行う際に評価点を設定すれば、精度のよいシミュレーションが可能となる。このような、過去の工事の入札結果情報を入札のシミュレーションに利用するためには、入札結果情報に含まれる評価点等の情報が、いずれの建設業者に対するものかを特定する必要がある。しかし、入
札結果情報に、落札者又は他の応札者を特定するに十分な情報が含まれているわけではない。
この点、国や地方公共団体を発注者とする工事であれば、入札に参加できるのは、発注者によって入札に参加する資格を認められた有資格者に限定されており、その有資格者の名称、住所等のより詳細な属性情報が有資格者名簿として、国や地方公共団体のWEBサイト等により公表されている。また、このような、国や地方公共団体が発注する工事の入札に参加する資格は、工種ごとに、また、工種によっては、さらに工事の規模(ランク)を限定して認められており、有資格者名簿には、そのような工種やランクに関する情報も含めて公表されている。
従って、入札結果情報に含まれる入札者(落札者及び落札者以外の応札者)の名称や工種(ランクも含む)により、有資格者名簿に含まれるいずれの有資格者であるのかを特定(同定)することにより、有資格者に、入札結果情報に含まれる当該有資格者に関する情報を関連付けて拡大有資格者名簿を作成し、これを記憶して保持することができる。
また、発注者による入札公告には、評価項目や評価基準のような評価に関する情報や、入札への参加資格に関する情報が含まれている。シミュレーションの対象となる工事の入札について、これらの情報を含む入札公告情報を取得し、拡大有資格者名簿に含まれる情報とを照合することにより、入札公告情報に含まれる参加可能な有資格者である応札可能業者を抽出することができる。
このようにして抽出された応札可能業者をそのまま、シミュレーションを行う入札に応札すると想定される応札想定業者に設定することもできるが、応札可能業者から応札想定業者を選択して絞り込んでもよい。応札想定業者の数が多いと、シミュレーションが複雑化するので、適正な数に絞り込むことが好ましい。また、拡大有資格者名簿に含まれる評価点が高い応札可能業者を応札想定業者として選択することにより、落札可能性が高い応札可能業者をシミュレーションに含めることができるので、シミュレーションをより有意義なものとすることができる。
シミュレーションを行う際には、実際の入札と同様に、入札価格と所定の評価項目に対する評価点に基づいて、落札者を決定する過程を模擬するので、シミュレーションを行うことにより、対象となっている入札に応札するか否かを検討したい業者(自社)の入札金額及び評価点と、他の応札想定業者の入札金額及び評価点を設定する。このとき、本入札シミュレーションプログラムをコンピュータに実行させることにより、的確な設定が難しい自社以外の応札想定業者の評価点を、過去の工事の入札結果情報が関連付けられた拡大有資格者名簿から取得した当該応札想定業者の評価関連情報に基づいて設定することができるので、入札の正確なシミュレーションが可能となる。
【0021】
また、本発明は、
入札価格と所定の評価項目に対する評価点とに基づいて落札者を決定する落札方式が適用される工事の入札のシミュレーションを実行する入札シミュレーション方法であって、
前記シミュレーションの対象となるシミュレーション対象入札の入札公告に含まれる情報である入札公告情報を取得するステップと、
工事の発注者によって、該発注者が発注する工事の入札参加資格を認められた建設業者である有資格者の名称を含む有資格者名簿を取得するステップと、
過去の工事の入札の結果に関する情報である入札結果情報を取得するステップと、
前記入札結果情報に含まれる入札者と前記有資格者とを同定するステップと、
前記有資格者名簿に含まれる前記有資格者と、該有資格者と同定された前記入札者に関する前記入札結果情報を関連付けた拡大有資格者名簿を記憶するステップと、
前記入札公告情報と、前記拡大有資格者名簿とを照合し、前記シミュレーション対象入札に参加可能な前記有資格者である応札可能業者を抽出するステップと、
前記応札可能業者又は該応札可能業者から選択され、前記シミュレーションの対象とされる応札想定業者の、前記評価項目の評価に関する情報である評価関連情報を前記拡大有資格者名簿から取得するステップと、
前記応札想定業者の前記評価関連情報に基づいて設定された、該応札想定業者の前記評価点と、該応札想定業者の設定された入札金額と、設定された自社の前記評価点と、設定された前記自社の入札金額に基づいて、前記シミュレーションを行うステップと、
を含むことを特徴とする。
【0022】
いわゆる総合評価落札方式のように、入札価格と所定の評価項目に対する評価点とに基づいて落札者を決定する落札方式が適用される工事の入札では、評価基準が定められていても、評価項目に、客観的に評価可能な評価項目、すなわち、入札のシミュレーションを行う際に、評価点をより正確に設定可能な評価項目と、評価者の主観的又は裁量的な評価の余地があり、入札のシミュレーションを行う際に、評価点を正確に設定することが難しい評価項目が含まれる。この点で、過去の工事の入札の結果に関する入札結果情報に、落札金額や落札者のみならず、上述の総合評価落札方式であれば落札及び他の応札者について所定の評価項目の評価点が含まれる。これらの入札結果情報に含まれる、過去の工事の入札における評価の結果である評価点に基づいて、入札のシミュレーションを行う際に評価点を設定すれば、精度のよいシミュレーションが可能となる。このような、過去の工事の入札結果情報を入札のシミュレーションに利用するためには、入札結果情報に含まれる評価点等の情報が、いずれの建設業者に対するものかを特定する必要がある。しかし、入札結果情報に、落札者又は他の応札者を特定するに十分な情報が含まれているわけではない。
この点、国や地方公共団体を発注者とする工事であれば、入札に参加できるのは、発注者によって入札に参加する資格を認められた有資格者に限定されており、その有資格者の名称、住所等のより詳細な属性情報が有資格者名簿として、国や地方公共団体のWEBサイト等により公表されている。また、このような、国や地方公共団体が発注する工事の入札に参加する資格は、工種ごとに、また、工種によっては、さらに工事の規模(ランク)を限定して認められており、有資格者名簿には、そのような工種やランクに関する情報も含めて公表されている。
従って、入札結果情報に含まれる入札者(落札者及び落札者以外の応札者)の名称や工種(ランクも含む)により、有資格者名簿に含まれるいずれの有資格者であるのかを特定(同定)することにより、有資格者に、入札結果情報に含まれる当該有資格者に関する情報を関連付けて拡大有資格者名簿を作成し、これを記憶して保持することができる。
また、発注者による入札公告には、評価項目や評価基準のような評価に関する情報や、入札への参加資格に関する情報が含まれている。シミュレーションの対象となる工事の入札について、これらの情報を含む入札公告情報を取得し、拡大有資格者名簿に含まれる情報とを照合することにより、入札公告情報に含まれる参加可能な有資格者である応札可能業者を抽出することができる。
このようにして抽出された応札可能業者をそのまま、シミュレーションを行う入札に応札すると想定される応札想定業者に設定することもできるが、応札可能業者から応札想定業者を選択して絞り込んでもよい。応札想定業者の数が多いと、シミュレーションが複雑化するので、適正な数に絞り込むことが好ましい。また、拡大有資格者名簿に含まれる評価点が高い応札可能業者を応札想定業者として選択することにより、落札可能性が高い応札可能業者をシミュレーションに含めることができるので、シミュレーションをより有意義なものとすることができる。
シミュレーションを行う際には、実際の入札と同様に、入札価格と所定の評価項目に対する評価点に基づいて、落札者を決定する過程を模擬するので、シミュレーションを行うことにより、対象となっている入札に応札するか否かを検討したい業者(自社)の入札金額及び評価点と、他の応札想定業者の入札金額及び評価点を設定する。このとき、本入札シミュレーション方法により、的確な設定が難しい自社以外の応札想定業者の評価点を、過去の工事の入札結果情報が関連付けられた拡大有資格者名簿から取得した当該応札想定業者の評価関連情報に基づいて設定することができるので、入札の正確なシミュレーションが可能となる。
【0023】
また、本発明は、
工事の発注者によって、該発注者が発注する工事の入札参加資格を認められた建設業者である有資格者の名称を含む有資格者名簿を取得する有資格者名簿取得部と、
過去の工事の入札の結果に関する情報である入札結果情報を取得する入札結果情報取得部と、
前記入札結果情報に含まれる入札者と前記有資格者とを同定する入札者同定部と、
前記有資格者名簿に含まれる前記有資格者と、該有資格者と同定された前記入札者に関する前記入札結果情報を関連付けた拡大有資格者名簿を生成する拡大有資格者名簿生成部と、
前記拡大有資格者名簿を記憶する拡大有資格者名簿記憶部と、
を備えた、拡大有資格者名簿生成システムである。
【0024】
これによれば、有資格者名簿に含まれる有資格者について、当該有資格者が落札又は応札した入札の結果に関する情報を拡大有資格者名簿として蓄積することができる。
【0025】
また、本発明は、
自社が実施した工事の作業の日ごとの作業履歴を含む日報情報の入力を受け付ける日報情報取得部と、
前記日報情報から、工種ごとの歩掛を算出する歩掛算出部と、
前記工種ごとの歩掛を記憶する歩掛記憶部と、
工事を前記自社で実施する場合の実行予算を、前記工種ごとの歩掛に基づいて算出する実行予算算出部と、
を備えたことを特徴とする実行予算算出システムである。
【0026】
これによれば、入札の対象となっている工事の実行予算を、日報情報から算出される歩掛に基づいて算出することができるの、実行予算をより正確に算出することができる。
【0027】
また、本発明は、
工事の発注者による入札公告を取得する入札公告取得部と、
前記入札公告から、前記入札公告に含まれる情報である入札公告情報を抽出する入札公告情報抽出部と、
を備えた入札公告情報取得システムである。
【0028】
これによれば、入札公告のフォーマットに関わらず、入札公告から必要な情報を抽出することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、精度よく、入札結果をシミュレートできる入札シミュレーションシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例に係る入札シミュレーションシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例に係る拡大有資格者名簿を生成する処理手順を説明するフローチャートである。
図3】本発明の実施例に係る有資格者名簿と落札情報のデータ構成例を示す図である。
図4】本発明の実施例に係る拡大有資格者名簿と工事実績情報のデータ構成例を示す図である。
図5】入札結果例を示す図である。
図6】入札公告例の一部を示す図である。
図7】入札公告例の他の一部を示す図である。
図8】本発明の実施例に係る日報管理装置の入力画面を示す図である。
図9】本発明の実施例に係る日報管理装置の集計例を示す図である。
図10】本発明の実施例に係る歩掛算出例を示す図である。
図11】本発明の実施例に係る入札シミュレーションの処理手順を説明するフローチャートである。
図12】本発明の実施例に係る実行予算算出における工種合計例を示す図である。
図13】本発明の実施例に係る実行予算算出における直接工事費合計例を示す図である。
図14】本発明の実施例に係る実行予算算出における工事費合計例を示す図である。
図15】本発明の実施例に係る入札シミュレーション結果例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照して説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0032】
本実施例に係る入札シミュレーションシステム1は、総合評価落札方式が採用される公共工事について、精度のよいシミュレーションを行うことができる。
【0033】
(総合評価落札方式)
まず、総合評価落札方式について説明する。上述したように、総合評価落札方式は、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」を踏まえた公共工事の入札で受注者を決定する方式の一つであり、建設業者の技術力を適切に審査し、価格と品質が総合的に優れた調達を実現しようとするものである。
【0034】
総合評価落札方式では、価格と品質を総合的に評価するために、評価値という指標を算出する。
この評価値の算出方式には、加算方式と除算方式の二つの方式がある。
【0035】
加算方式では、入札価格を一定のルールにより点数化した「価格評価点」と、価格以外の要素を点数化した「技術評価点」を足し合わせることで、評価値を算出する。すなわち、加算方式による評価値は以下の(1)式によって算出される。
評価値=価格評価点+技術評価点・・・(1)
価格評価点に対する技術評価点の割合は、工事の特性(工事内容、規模、要求要件等)に応じて適切に設定される。
【0036】
除算方式では、価格以外の要素を数値化した「技術評価点」(標準点+加算点)を入札価格で除して、評価値を算出する。すなわち、除算方式による評価値は以下の(2)式で算出される。
評価値=技術評価点/入札価格=(標準点+加算点)/入札価格・・・(2)
上述の加算点は、一般的な場合と、施工体制を評価する場合とで、加算点の範囲が異なる(成功体制を評価する場合には、技術評価点に「施工体制評価点」30点を対か設定する。)。また、加算点は、総合評価落札方式が、簡易型、標準型、高度技術提案型のいずれのタイプであるかによっても異なる。簡易型総合評価落札方式とは、技術的な工夫の余地が少ない一般的で小規模な工事の際に利用される。標準型総合評価落札方式は、技術的工夫が大きい工事のうち、安全対策や工期の短縮、環境への影響軽微等、施工上の工夫に
関する技術的提案を求める工事の際に利用される。高度技術提案型総合評価落札方式は、技術的工夫が大きい工事のうち、構造物の品質向上につながる高度な技術提案が求められる工事の際に利用される。以下の表1に、各タイプの加算点の範囲の例を示す。
【表1】

【0037】
以下に、加算方式により評価値を算出する総合評価落札方式における落札者の決定方法について、例を用いて説明する。
上述のように加算方式では評価値は(1)式で算出される。ここで、技術評価点が30点満点であり、価格評価点が以下の(3)式で算出されるとする。
価格評価点=100×(1-入札価格/予定価格)・・・(3)
このとき、予定価格が100,000千円であるとする。
入札に参加したA社、B社、C社の技術評価点及び入札価格が以下の表2に示すようなものであるとすると、技術評価点と価格評価点で評価値が決まるので、入札価格ではなく、評価値によって落札者が決定するので、入札価格が最も低いB社ではなく、評価値が最も高いA社が落札することとなる。
【表2】

【0038】
以下に、除算方式により評価値を算出する総合評価落札方式における落札者の決定方法について、例を用いて説明する。
上述のように除算方式では評価値は(2)式で算出される。ここで、標準点が100点、加算点が30点満点であり、予定価格が100,000千円であるとする。
入札に参加したA社、B社、C社の加算点及び入札価格が以下の表3に示すようなものであるとすると、技術評価点(標準点+加算点)と入札価格で評価値が決まるので、技術評価点は最も低いものの入札価格も最も低いため、評価値が最も高いB社が落札することになる。
【表3】
【0039】
以下に、総合評価落札方式の評価項目及び評価基準の例について説明する。以下に説明する総合評価落札方式の評価項目は、本発明の所定の評価項目に相当する。
まず、簡易な施工計画に関する評価項目について説明する。簡易な施工計画は、簡易型の総合評価落札方式における技術提案である。簡易な施工計画の評価項目、評価基準(配点)、得点は、例えば、以下の表4に示すように設定される。ここでは、評価項目として、施工計画の実施手順の妥当性と工期設定の適切性が設定される。それぞれの評価項目について、現地の環境基準(地形、地質、環境、地域特性等)を踏まえて特に考慮すべき事項が適切に記述されているかを評価基準とし、配点5.0点とする評価により得点が与えられ、一般的な記述にとどまっているかを評価基準とし、配点0.0点とする評価により得点が与えられる。
【表4】
【0040】
次に、企業の成功実績に関する評価項目について説明する。評価項目、評価基準(配点)、得点は、例えば、以下の表5に示すように設定される。ここでは、過去15年間の同種・類似工事の施工実績の有無という評価項目について、同種工事の実績があるかを評価基準とし、配点2.0点とする評価により得点が与えられ、類似工事の実績があるかを評価基準とし、配点0.0点とする評価により得点が与えられる。また、過去2年間の工事成績評定点の平均点という評価項目について、80点以上である場合には、2.0点が配点され、70点以上80点未満である場合には、1.0点が配点され、70点未満である場合には、0.0点が配点され、評価によって得点が与えられる。
【表5】
【0041】
次に、配置予定技術者の能力に関する評価項目について説明する。評価項目、評価基準(配点)、得点は、例えば、以下の表6に示すように設定される。まず、主任(監理)技術者の保有する資格という評価項目について、1級土木施工管理技士又は技術士である場合には2.0点が配点され、2級土木施工管理技士である場合には0.0点が配点され、評価によって得点が与えられる。また、過去15年間の主任(監理)技術者の施工経験の有無という評価項目については、同種工事の実績があるかを評価基準とし、配点2.0点とする評価により得点が与えられ、類似工事の実績があるかを評価基準とし、配点0.0とする評価により得点が与えられる。また、過去2年間の主任(監理)技術者の工事成績評定点の平均点という評価項目について、80点以上である場合には、2.0点が配点され、70点以上80点未満である場合には、1.0点が配点され、70点未満である場合には、0.0点が配点され、評価によって得点が与えられる。
【表6】
【0042】
上述の簡易な施工計画、企業の施工実績、配置予定者の能力に関する評価項目に関する得点が合計され、最高点(満点)を20.0点とする合計得点が付与される。
【0043】
評価項目は上述のものに限定されるものではなく、以下の評価項目を追加することもできる。
例えば、地理的条件の評価として、以下の表7に示すような評価項目、評価基準を追加してもよい。まず、地域内における本支店、営業所の所在地の有無という評価項目について、○○県内に本店、支店又は営業所があるか、○○県内に拠点がないかという評価基準
により評価することができる。過去15年間の近隣地域での施工実績の有無という評価項目について、施工実績かあるか、施工実績がないかという評価基準により評価することができる。また、過去15年間の主任(監理)技術者の近隣地域での施工実績の有無という評価項目について、施工実績があるか、施工実績がないかという評価基準により評価することができる。
【表7】
【0044】
例えば、災害協定等による地域貢献の実績の評価として、以下の表8に示すような評価項目、評価基準を追加してもよい。過去5年間の災害協定等に基づく活動実績の有無、例えば、災害対応協定に基づく活動実績の有無や、大規模災害時の応急対策実績の有無という評価項目について、活動実績があるか、活動実績がないかという評価基準により評価することができる。
【表8】
【0045】
例えば、ボランティア活動による地域貢献の実績の評価として、以下の表9に示すような評価項目、評価基準を追加してもよい。過去5年間のボランティア活動の実績の有無、例えば、災害ボランティア実績の有無、ボランチティアサポートプログラム参加実績の有無、クリーンアップキャンペーン参加実績の有無等の評価項目について、主として社会資本の維持管理や防災等に関連する公共サービス分野への貢献について、活動実績があるか、活動実績がないかという評価基準により評価する。
【表9】
【0046】
上述したように総合評価落札方式では、入札価格のみならず、公共工事の品質に関連する多岐にわたる項目に関する評価点(得点)から評価値が算出され、落札者が決定される。このため、総合評価落札方式が採用される公共工事の入札をシミュレートするには、入札に参加が想定される業者を的確に予想するとともに、入札参加想定業者について、評価値に影響を与える評価項目に対する評価点(加算点)を精度よく推定することが必要となる。
【0047】
以下に説明する本実施例では、入札シミュレーションシステム1は、発注者である国(各地方整備局)や地方公共団体のWEBサイトから取得できる入札公告に記載された情報から、当該入札への参加が想定される業者(応札想定業者)を抽出する。そして、入札公告に記載された情報から、自社及び応札想定業者の技術評価点を算出する。このようにして、応札想定業者のうちから、技術評価点が上位である応札想定業者を抽出する。そして、自社及び応札想定業者の応札金額をシミュレートして設定することにより、自社の応札金額の決定を支援する。
【0048】
このような入札シミュレーションを行うためには、応札想定業者について、技術評価点の算出の基礎となる情報を準備する必要がある。また、自社についても、技術評価点の算出の基礎となる情報を準備する必要がある。また、入札公告から必要な情報を取得する必要がある。また、自社の応札金額をより的確に決定するためには、入札の対象となっている工事を自社で行う場合の原価を的確に把握する必要がある。以下に、説明する入札シミュレーションシステム1では、これらの機能を実現する。
【0049】
図1は、本実施例に係る入札シミュレーションシステム1の概略構成を示すブロック図である。
入札シミュレーションシステム1は、入札シミュレーション装置100と、拡大有資格者名簿生成装置200と、入札公告情報取得装置300と、日報管理装置400を含む。入札シミュレーション装置100、拡大有資格者名簿生成装置200、入札公告情報取得装置300及び日報管理装置400は、それぞれ一般的なコンピュータによって構成される。すなわち、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置、通信インタフ
ェースを有するコンピュータによって構成される。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能部を実現することができる。入札シミュレーション装置100、拡大有資格者名簿生成装置200、入札公告情報取得装置300及び日報管理装置400は、それぞれ単一のコンピュータで構成されてもよいし、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0050】
入札シミュレーションシステム1は、クラウド上に設置されたコンピュータシステムであり、ユーザがシミュレーションユーザ端末10から、ネットワークを介して、入札シミュレーションシステム1にアクセスしたユーザに対して、入札シミュレーションサービスを提供する。
また、ユーザは、自社の工事の日ごとの作業履歴に日報情報を、日報管理装置400に入力するための登録用ユーザ端末20を有する。登録用ユーザ端末20は、シミュレーションユーザ端末10と共通であってもよいし、独立した端末であってもよい。
【0051】
(拡大有資格者名簿生成装置)
まず、拡大有資格者名簿生成装置200について説明する。拡大有資格者名簿生成装置200は、有資格者名簿取得部201、落札情報取得部202、有資格者名簿DB(データベース)203、落札情報DB204、落札会社名取得部205、工種取得部206、有資格者名簿情報探索部207、落札会社特定部208、拡大有資格者名簿生成部209、拡大有資格者名簿210の各機能部を含む。各機能部の機能は後述する。拡大有資格者名簿生成装置200、有資格者名簿取得部201、落札情報取得部202、拡大有資格者名簿生成部209、拡大有資格者名簿210は、それぞれ本発明の拡大有資格者名簿生成システム、有資格者名簿取得部、入札結果情報取得部、拡大有資格者名簿生成部、拡大有資格者名簿記憶部に相当する。また、落札会社名取得部205、工種取得部206、有資格者名簿情報探索部207及び落札会社特定部208は、本発明の入札者同定部を構成する。
【0052】
拡大有資格者名簿生成装置200は、上述した、応札可能業者及び自社について、技術評価点の算出の基礎となる情報である拡大有資格者名簿を生成する装置である。この拡大有資格者名簿は、入札公告に含まれる入札公告情報に基づいて、当該工事の入札に参加する資格がある業者、すなわち、応札可能業者を抽出するための基礎ともなる。図2に拡大有資格者名簿生成装置200における処理手順を説明するフローチャートである。
【0053】
図3(A)は、有資格者名簿のデータ構成例の一部を抜粋して示したものである。国や地方公共団体が発注する公共工事については、入札参加資格を有する建設業者の名簿(有資格者名簿)が作成され、公表されている。このような有資格者名簿は、国土交通省の各地方整備局のWEBサイトや、各地方公共団体のWEBサイトにおいて公表されている。拡大有資格者名簿生成装置200では、有資格者名簿取得部201が、ネットワークを介して、これらの有資格者名簿が掲載されたWEBサイトにアクセスして、有資格者名簿に含まれる有資格者名簿情報を取得し、又は、キーボード等の入力手段を通じて、表計算ソフト等に入力させることにより有資格者名簿情報を取得し、補助記憶装置に構成された有資格者名簿DB203に登録する(ステップS101)。図2(A)は、有資格者名簿DBに登録された有資格者名簿情報のデータ構成の一部を例示したものであり、有資格者名簿情報のデータ構成はこれに限られない。国又は地方公共団体(以下、「名簿作成者」ともいう。)に応じて有資格者名簿のデータ構成は必ずしも共通ではない。
【0054】
図3(A)に示す有資格者名簿情報には、ID、会社名、住所、土木工事、舗装の各項目が含まれている。IDは、名簿作成者(国又は地方公共団体)が付与した、有資格者を
一意に識別するための識別情報である。会社名及び住所は、有資格者の名称及び所在地(又は住所)である。土木工事及び舗装は、工種の例であり、ここでは工種として土木一式と舗装が示されているがこれらに限られない。各工種の欄に表示されたランクは、有資格者申請に基づいて名簿作成者が審査し付与する等級(格付け)であり、工種ごとに付与される。工種ごとのランクによって、当該有資格者が入札参加可能な工種と契約金額の範囲が制限されるのが一般的であり、工種によってはランクが付与されない場合もある。
有資格者名簿は、図3(A)に示した項目以外に、例えば、有資格者の代表者、法人番号、建設業許可番号、電話番号等を含んでもよい。
【0055】
図3(A)に例示する有資格者名簿情報では、ID00001が付された有資格者の名称が〇〇建設、その住所が静岡県〇〇市であり、この〇〇建設の土木一式工事及び舗装工事に対するランクが、それぞれA及びBである。また、ID00002が付された有資格者の名称が△△建設、その住所が静岡県〇〇市であり、この△△建設の土木一式工事及び舗装工事に対するランクが、それぞれB及びCである。また、ID00003が付された有資格者の名称が〇〇建設、その住所が静岡県△△市であり、この〇〇建設の舗装工事に対するランクはBであるが、土木一式工事についてはランクが付与されていない。
ここでは、ID00001が付された会社とID00003を付された会社の名称がいずれも○○建設であり、同一の名称の有資格者が複数含まれている。しかし、有資格者にはそれぞれIDが付与されているので、名称が同一であっても、IDによって一意に識別することができる。
【0056】
図3(B)は、落札情報DB204に登録された落札情報のデータ構成例の一部を抜粋して示したものである。国や地方公共団体が発注する公共工事について入札が行われ、落札された場合には、落札結果に関する落札情報が、国土交通省の各地方整備局のWEBサイトや、各地方公共団体のサイトWEBにおいて公表される。拡大有資格者名簿生成装置200では、落札情報取得部202が、ネットワークを介して、これらの落札結果に関する情報が掲載されたWEBサイトにアクセスし、落札情報を取得し、又は、キーボード等の入力手段を通じて、表計算ソフト等に入力させることにより、落札情報を取得し、記憶装置に構成された落札情報DB204に登録する(ステップS102)。落札結果に関する情報が掲載されたWEBサイトから、例えば、スクレイピング等の方法により、落札結果に関する情報を取得し、落札情報DBに登録することができるが、落札情報DBへの登録方法はこれに限られない。図3(B)は、落札情報のデータ構成の一部を例示したものであり、落札情報DBに登録された落札情報のデータ構成はこれに限られない。
【0057】
図3(B)に示す落札情報には、発注機関、工事名、工種、落札会社名、落札金額の各項目が含まれている。発注機関は、入札の対象となった工事を発注した機関の名称であり、工事名及び工種は入札の対象となった工事の名称及び種別である。そして、落札会社名は、当該工事を落札した会社の名称であり、落札金額は、当該工事が落札された金額である。
落札情報は、図3(B)に示した項目以外に、例えば、開札日、予定価格、入札方式、工事場所等を含んでもよい。また、後述の総合評価落札方式の入札結果のように、落札者以外の応札者を含む入札者に関する名称等の情報を含んでもよい。
【0058】
拡大有資格者名簿生成装置200では、落札会社名取得部205が、落札情報DBから、落札情報のレコードから落札会社名を取得する(ステップS103)。図3(B)に示す落札情報では、静岡県が発注した土木一式工事である○○工事を○○建設が90,000円で落札している。また、静岡県が発注した舗装工事である△△工事を△△建設が750,000円で落札している。また、静岡県が発注した舗装工事である◇◇工事を〇〇建設が380,000円で落札している。
【0059】
拡大有資格者名簿生成装置200では、有資格者名簿情報と、落札情報とを照合し、有資格者と、落札情報に含まれる当該有資格者の落札結果とを、当該有資格者の工事実績として関連付けた拡大有資格者名簿を作成する。このとき、落札情報の落札会社名に記載された落札会社が、有資格者名簿情報に含まれるいずれの有資格者であるのかを特定(同定)できなければ、落札情報を当該有資格者の落札結果として適切に関連付けることができない。図3(B)に例示したように、落札情報では、落札者は落札会社名によって特定されているに過ぎない。そこで、まず、拡大有資格者名簿生成装置200では、有資格者名簿情報探索部207が、ステップS102で取得した落札情報のレコードの落札会社名と一致する有資格者名簿情報の会社名を検索する(ステップS104)。
【0060】
そして、有資格者名簿情報探索部207は、落札会社名と一致する有資格者名簿情報の会社名が複数あるか否かを判断する(ステップS105)。
落札会社名と一致する有資格者名簿情報の会社名が複数存在しない、すなわち1社のみである図3(B)の△△建設の場合には、落札会社特定部208が、有資格者名簿に1社しか含まれない△△建設が落札会社であると特定する(ステップS106)。
【0061】
一方、落札会社名と一致する有資格者名簿情報の会社名が複数存在する、すなわち、図3(B)の○○建設の場合には、有資格者名簿情報に、同一名称の○○建設が2社含まれているので、図3(B)の○○工事と△△工事のそれぞれの落札会社がいずれの○○建設であるか、落札会社名のみからは特定することができない。このとき、工種取得部206が、落札情報DB204から取得したレコードの工種に関する情報を取得し、有資格者名簿情報探索部207が、図3(A)の有資格者名簿情報において、有資格者名簿情報において会社名が一致する各会社について、入札参加資格を有する工種と、落札情報における落札会社の工種が一致する会社が複数あるか否かを判断する(ステップS107)。ここで、図3(B)において、○○工事は土木一式工事である。
【0062】
ここで、入札参加資格を有する工種と、落札情報における工種が一致する会社が複数存在しない、すなわち1社のみである場合には、落札会社特定部208が、落札会社を、落札情報における工種と一致する工種について入札参加資格を有する会社であると特定する(ステップS108)。図3(A)の有資格者情報によると、土木一式工事については、ID00001の○○建設にAのランクが付与されているものの、ID00003の○○建設にはランクが付与されておらず、ID00003の○○建設は土木一式工事に関して入札参加資格がないことが分かる。従って、有資格者名簿情報において会社名が一致する○○建設について、入札参加資格を有する工種と、落札情報における○○工事の工種が一致する会社は複数存在しない。このことから、土木一式工事である○○工事を落札した○○建設は、土木一式工事について入札参加資格を有するID00001の○○建設であると特定することができる。
【0063】
一方、入札参加資格を有する工種と、落札情報における工種が一致する会社が複数存在する場合には、落札会社特定部208は落札会社が有資格者名簿のいずれの会社であるか特定できないので、落札情報を拡大有資格者名簿DB210に取り込まない。図3(A)の有資格者名簿情報によると、舗装工事である◇◇工事については、ID00001の○○建設とID00003の○○建設のいずれも舗装工事に対してBランクが付与されており、入札参加資格を有することから、◇◇工事の落札会社がいずれの○○建設であるかは、落札情報の工種と、有資格者情報の工種ごとのランクを照合しても、特定することができないので、◇◇工事については拡大有資格者名簿には取り込まない。このように、入札参加資格を有する工種と落札情報における工種が一致する会社が複数存在し、落札会社が有資格者名簿のいずれの会社であるかを、落札会社特定部208が特定できない場合には、当該落札情報については、拡大有資格者名簿DB210及び工事実績DB101に取り込まないとしてもよいが、他の処理も可能である。例えば、拡大有資格者名簿生成装置2
00に接続されたデータ管理用端末を通じて、拡大有資格者名簿DB210の管理者の選択を受け付け、落札会社特定部208が、この選択に従って、落札会社が有資格者名簿のいずれの会社であるかを特定し、当該有資格者に関連付けて落札情報を登録してもよい。拡大有資格者名簿DB210の管理者が、有資格者名簿に登録されていないが、落札者と同定することが可能な情報を保有している場合には、このような処理が望ましい。また、複数の有資格者のそれぞれに、他の有資格者に関する落札情報である可能性を備考欄に附帯情報として登録しておいてもよい。この場合には、特定し切れなかった複数の有資格者が、応札可能業者として抽出されるので、後述する応札想定業者を選択する際に、シミュレーションユーザ端末10を通じて、ユーザに、特定し切れなかった複数の有資格者(応札可能業者)から、当該落札情報をいずれの応札可能業者の情報とするかを選択させてもよい。
【0064】
ステップS106及びステップS108において、落札情報に含まれる落札者が有資格者名簿情報に含まれるいずれの会社であるかが特定できた場合には、拡大有資格者名簿生成部209が、図4(A)に示すように、有資格者名簿に含まれるいずれの会社であるかが特定された落札者を含む落札情報を当該会社と関連付けた拡大有資格者名簿情報を生成し(ステップS109)、拡大有資格者名簿DB210に登録する(ステップS110)。拡大有資格者名簿DB210に登録された拡大有資格者情報は、図4(B)に示すように、各有資格者を一意に識別可能な独自の会社IDを付与して、当該会社に関する工事実績として蓄積する工事実績DB101に取り込まれる。拡大有資格者名簿DB210は、工事実績DB101と独立に構成してもよいが、工事実績DB101が拡大有資格者名簿DB210を含んでもよい。拡大有資格者名簿DB210及びこれを取り込み又は含む工事実績DBが、本発明の拡大有資格者名簿記憶部に相当する。
【0065】
図4(A)に、図3(A)に示す有資格者名簿及び図3(B)に示す落札情報を関連付けた拡大有資格者名簿のデータ構成を示す。ここでは、拡大有資格者名簿は、ID、会社名、住所、工種、ランク、落札工事名、落札金額の各項目が含まれる。ID、会社名、住所については、有資格者名簿について説明し、落札工事名、落札金額については、落札情報について説明したところと同様であるので、説明を省略する。工種は、落札工事の項目に記載された工事の種別であり、上述したように、有資格者名簿情報において、ランクの記載等により、当該落札会社が入札参加可能であることが示されているいずれかの工種に一致する。また、ランクは、工種の項目に記載された工種についての、当該落札会社の有資格者名簿に記載されたランクである。上述のように◇◇工事については落札会社が特定できないので、◇◇工事の落札情報は取り込まずに、落札会社が特定できた○○工事と△△工事についての落札情報が、有資格者名簿情報と関連付けられて、拡大有資格者名簿が生成される。
【0066】
このようにして生成された拡大有資格者名簿情報は、工事実績DB101にも取り込まれる。すなわち、有資格者名簿情報から取り込まれたID(00001)、会社名(○○建設)、住所(静岡県〇〇市)、ランク(A)と、落札情報から取り込まれた工種(土木一式)、落札工事名(○○工事)、落札金額(90,000円)が関連付けられ、○○建設の工事実績情報として登録される。また、有資格者名簿情報から取り込まれたID(00002)、会社名(△△建設)、住所(静岡県〇〇市)、ランク(C)と、落札情報から取り込まれた工種(舗装)、落札工事名(△△工事)、落札金額(750,000円)が関連付けられ、△△建設の工事実績として登録される。
このとき、工事実績DB101では、有資格者名簿に含まれた会社に対して、有資格者名簿において付されていたIDとは異なる、工事実績DB101における独自の企業IDを、有資格者名簿に含まれていた各会社に付与する。この企業IDは、工事実績DB101に含まれる会社を一意に識別可能な識別情報であり、その形式は特に限定されない。図4(B)は、企業IDと会社名とIDとを関連付けた工事実績情報のデータ構成の一例を
示す。工事実績DB101では、このように、工事実績DB101独自の企業IDと、会社名と、IDとが関連付けられたデータを有しているので、企業IDを特定することにより、これが付与された会社の図4(A)に示すような工事実績情報を、IDをキーとして呼び出すことができる。
【0067】
有資格者名簿DB203に登録された有資格者情報と、落札情報DB204に登録された落札情報とから拡大有資格者名簿を生成して拡大有資格者名簿DB210に登録し、さらに工事実績DB101に取り込む手順は、上述した通りであるが、総合評価落札方式を採用した入札における落札情報には、図3(B)に示した落札会社名や落札金額とは別に、各入札参加者の技術評価点についても記載されている。図5(A)及び図5(B)は、総合評価落札方式の入札結果の例を示す。図5(A)及び図5(B)は図面のスペースの都合で、一つの表を分割して示したものであり、図5(A)の表の右端から図5(B)の表の左端へとつながる。図5(A)及び図5(B)の対応関係を明確にするために、図5(B)の左端にも、各行の入札者の番号を記載している。
【0068】
図5(A)及び図5(B)に示した入札結果では、標準点が100点とされ、標準点と加算と品質等確実点との合計が技術評価点とされ、技術評価点/入札価格により評価値が算出されている。ここでは、加算点は、企業の能力、技術者の能力、地域貢献度に大別される。企業の能力は、施工実績、工事成績評定、工事顕彰歴の評価項目からなる。技術者の能力は、施工経験、工事成績評定、継続教育(CPD)、週休2日証明の評価項目からなる。また、地域貢献度は、災害協定等、ボランティア等、インターンシップ等、災害復旧工事、道路除雪業務の評価項目からなる。各評価項目(所定の評価項目)の評価基準については、総合評価落札方式に関する説明において説明したので、繰り返さない。
【0069】
また、図5(A)及び図5(B)に示した入札結果には、他に、予定価格≧入札価格、入札価格≧調査基準価格、評価値≧基準評価値という条件を満たしているか否かも含まれている。そして、図5(A)及び図5(B)に示した入札結果には、算出された評価値による各入札者の順位も記載されている。
【0070】
図5(A)及び図5(B)に示した入札結果を落札情報DBに登録することにより、落札者の入札金額のみならず、当該落札者に付与された技術評価点(加算点)の情報も蓄積することができる。また、落札者のみならず、辞退者を除く入札参加者についても、入札金額及び付与された技術評価点(加算点)が公表されるので、落札の実績とは別に、落札できなかった入札参加者の入札価格及び技術評価点(加算点)を蓄積することができる。
【0071】
上述のような総合評価落札方式による入札結果に含まれる情報も、工事実績DBに取り込まれるが、技術者の能力のような技術評価点については、いずれの監理技術者又は主任技術者(併せて「監理(主任)技術者」ともいう。)に対する評価であるのかまでは開示されていないため、技術評価点が異なる複数の監理(主任)技術者が所属する応札想定業者を含めたシミュレーションにおいて技術評価点を算出する際にいずれの監理(主任)技術者のデータを採用するかに応じてシミュレーションの結果が異なる可能性がある。もっとも、総合評価落札方式による入札において落札された工事の現場事務所には、その工事の監理(主任)技術者の氏名が表示されているので、その表示を確認することは可能である。技術者の能力に関する評価項目等のように、総合評価落札方式による評価項目については、入札結果等のように発注者のWEBサイトを通じて入手可能な公開情報以外の方法により取得・収集可能な情報も含まれる。従って、拡大有資格者名簿DB210及び/又は後述する工事実績DB101にデータ管理用端末を接続し、このデータ管理用端末を通じて、当該工事の監理(主任)技術者名等の有資格者に関する情報を追加して登録できるようにしてもよい。
【0072】
(入札公告情報取得装置)
次に、入札公告情報取得装置300について説明する。入札公告情報取得装置300は、入札公告取得部301、入札公告DB302、入札公告情報抽出部303、入札公告情報DB304、学習用データ生成部305、学習処理部306、学習結果データ記憶部307の各機能部を含む。各機能部の機能は後述する。入札公告情報取得装置300は、本発明の入札公告情報取得部及び入札公告情報取得システムに相当する。また、入札公告取得部301及び入札公告情報抽出部303が、それぞれ本発明の入札公告取得部及び入札公告に相当する。
【0073】
入札公告情報取得装置300は、入札公告から、入札シミュレーションに必要な情報を取得する装置である。
国や地方公共団体が発注する公共工事について入札を行う場合には、入札公告がなされる。入札公告の内容は、各地方整備局のWEBサイトや地方公共団体のWEBサイトにおいて公表される。入札公告は、上述のWEBサイトから、一般的にPDFファイル形式で取得することができる。国や地方公共団体が発注する公共工事に関する入札公告に記載すべき事項については法令の定めがあるが、入札公告のフォーマットについては特に定められていない。このため、入札公告情報取得装置300では、発注者によって種々のフォーマットで作成された入札公告のファイル(以下、単に「入札公告ファイル」にという。)から必要事項のテキスト情報を取得する情報抽出処理を行う。
【0074】
図6及び図7は、入札公告ファイルの例を示す。図6及び図7は、1件の入札公告ファイルをスペースの都合で、2つの図面に分割したものであり、図6の下端から、図7の上端に続いている。この入札公告ファイルは、中部地方整備局が発注する公共工事に関する入札公告に基づき、その記載事項を適宜省略及び改変したものある。
【0075】
入札公告から取得すべき必要情報には、例えば、以下の情報が含まれる。
(ア)工事名
(イ)工事内容
(ウ)ICT活用工事の有無
(エ)BIM/CIM活用工事の有無
(オ)参加資格(特に、ランク)
(カ)同種工事
(キ)入札の方式(一般競争入札方式又は総合評価落札方式)
(ク)競争参加資格確認申請書の受付期間
(ケ)技術資料(競争参加資格確認資料)及び入札の受付期間
【0076】
上述の必要情報のうち(ア)工事名、(イ)工事内容、(ウ)ICT活用工事の有無、(エ)BIM/CIM活用工事の有無、については、図6に示した入札公告ファイルの「1.工事概要」の「(1)工事名」、「(3)工事内容」、「(11)」、「(18)」に、それぞれ記載されている。また、上述の必要情報のうち(オ)参加資格(特に、ランク)、(カ)同種工事については、図6に示した入札公告ファイルの「2.競争参加資格」の「(2)」のランク表記It1に、「(4)」の同種工事表記It2に、それぞれ記載されている。また、(キ)入札方式については、「3.総合評価落札方式に関す事項」に記載されている。また、上述の必要事項のうち(ク)、(ケ)については、図7に示した入札公告ファイルの別表1の「競争参加資格確認申請書の受付期間」の行の欄、別表1の「技術資料(競争参加資格確認資料」及び入札の受付期間)の行の欄にそれぞれ記載されている。
【0077】
入札公告情報取得装置300では、入札公告取得部301が、入札公告を提供する地方整備局等のWEBサイトから、入札公告ファイルを取得して、入札公告DB302に記憶
する。入札公告情報抽出部303は、入札公告DB302から入札公告ファイルを読み出して、入札公告ファイルを解析し、上述の必要情報の各項目の記載内容を含む、入札公告ファイルに含まれる情報(入札公告情報)を抽出する。入札公告情報抽出部303の出力は、必要情報の各項目のテキスト情報であってもよいし、このテキスト情報を変換した情報であってもよい。例えば、図6に示した入札公告ファイルから、(ア)工事名として、「令和4年度〇〇道路工事(電子入札対象案件)(電子契約対象案件)」、(イ)工事内容として、「道路土工 1式、軽量盛土工 1式、擁壁工 1式、 防護柵工 1式、区画線工 1式、構造物撤去工 1式、仮設工 1式」、(ウ)ICT活用の有無として、「あり」等の情報を出力する。
【0078】
入札公告情報抽出部303によって抽出された入札公告情報は、入札公告情報DB304に記憶される。入札公告情報DB304に記憶された入札公告情報は、後述する工事実績DB101にも記憶される。入札公告情報DB304に記憶される入札公告情報を工事実績DB101にもコピーして記憶させるようにしてもよい。工事実績DB101が入札公告DB305を含んでもよい。
【0079】
入札公告情報抽出部303には、学習済みのAIを用いることができる。学習用データ生成部305が、入札公告DB302から地方整備局のWEBサイト等から取得した入札公告ファイルを、入札公告情報DB304から、この入札公告ファイルに記載された必要情報を取得して、これらを含む教師データを生成する。そして、生成された教師データを学習処理部306に入力して学習させることにより学習済みの抽出処理AIを生成する。学習済みの抽出処理AI及び各種パラメータは、学習結果データ記憶部307に記憶される。入札公告情報抽出部303では、適宜のタイミングで、更新された学習済みのAIを学習結果データ記憶部307から取得することにより、より正確な入札公告情報の抽出が可能となる。
【0080】
(日報管理装置)
次に、日報管理装置400について説明する。日報管理装置400は、日報情報取得部401、日報DB402、歩掛算出部403、歩掛DB404の各機能部を含む。各機能部の機能は後述する。日報情報取得部401、歩掛DB404及び歩掛算出部403が、本発明の日報情報取得部、歩掛記憶部及び歩掛算出部に相当する。
【0081】
図8は、日報管理装置400にネットワークを介して接続された登録用ユーザ端末20の表示部に表示される入力画面例を示す。日報管理装置400では、登録用ユーザ端末20を通じて、日報情報取得部401が、工事における日ごとの作業の履歴である日報情報の入力を受け付け、日報を作成し、日報DB402に登録する。図8(A)は、登録用ユーザ端末20の表示部に表示される労務入力画面を示し、図8(B)は機械入力画面を示す。
【0082】
労務入力画面の上段には、左から右へと順に、年月日欄、天気欄、日移動ボタンが配置されている。年月日欄は、入力当日の日付(図8では「2022年8月2日(月)」)が表示されるとともに、プルダウンメニュー形式で過去の年月日を選択できるようになっている。天気欄は、晴れを表す記号が表示されるとともに、プルダウンメニュー形式で他の天気を選択できるようになっている。日移動ボタンは、「今日」、すなわち入力当日から左側の矢印を押下(実際には、マウスをクリック又はタッチパネルに触れる等の動作を行う。以下同様である。)することにより過去の入力画面に遷移し、左側の矢印を押下することにより未来の入力画面に遷移する。
【0083】
労務入力画面の中段には、左側に「+業者を追加する」ボタン、左側に「+日報を複写する」ボタンが配置されている。「+業者を追加する」ボタンは、労務入力画面の下段に
配置された入力欄が足りない場合に押下するボタンであり、このボタンを押下することにより、行方向に同様の構成を有する入力欄が追加される。「+日報を複写する」は、労務内容が同じ日が複数ある場合に、既に入力した日付の日報の内容を他の日付に複写するためのボタンである。
【0084】
労務入力画面の下段には、入力欄が配置されている。入力欄は、左から右へ順に、確認欄、業者名欄、工種名欄、作業内容欄、労務欄、施工数量欄、使用機械欄、使用資材欄が配置されている。確認欄には、確認ボタンが配置され、対応する行の入力が完了した後に、確認ボタンを押下することにより、入力内容を確認することができる。業者名欄には、当該労務を行った業者の名称をテキストで入力することができる。1行目の業者名欄には「富士山建設」と記入されている。工種名欄には、業種名欄に記入された業者が行った労務の工種名をテキストで入力することができる。1行目の工種名欄には「橋梁下部工」と記入されている。作業内容欄には、業者名欄に記入された業者が、工種名欄に記入された工種の具体的な作業内容をテキストで記入することができる。1行目の作業内容欄には「足場工」と記入されている。労務欄には、作業内容欄に記入された作業の作業者の人数を、スピンボックスに表示された数字をスピンボタンによって増減させることにより入力することができる。1行目の労務欄では2名と入力されている。施工数量欄には、作業内容欄に記入された作業の施工数量を、スピンボックスに表示された数字をスピンボタンによって増減させることにより入力することができる。1行目の施工数量欄の単位は「m」であり、2行目の施工数量欄の単位は「m2」となっている。施工数量の単位は、これらに限定されない。使用機械欄には、選択ボタンが配置されており、選択ボタンを押下することにより、図8(B)に示す機械入力画面での入力が可能となる。図8(A)に示す労務入力画面から、図8(B)に示す機械入力画面に遷移してもよいし、図8(A)に示す労務入力画面が表示された画面と同じ画面に、図8(B)に示す機械入力画面がポップアップして表示されてもよい。
【0085】
図8(B)に示すように、機械入力画面の上端には、「使用機械」という画面タイトルと機械入力画面を閉じるための「×」ボタンが表示されている。機械入力画面の上段には、+ボタン、×ボタン、アップボタン、ダウンボタン、表示設定ボタンが配置されている。また、機械入力画面の下段には、入力欄が配置されている。入力欄には、左から右へ順に、機械名欄、規格欄、単位欄、当日欄、備考欄が配置されている。機械名欄には、作業に使用された機械の名称をテキストで記入することができる。入力欄の1行目の機械名欄には、「ラフテレーンクレーン」と記入されている。規格欄には、機械名欄に記入された機械の規格をテキストで記入することができる。1行目には、「25t」と記入されている。単位欄には、規格欄及び機械名欄に記入された規格の機械の単位をテキストで記入することができる。1行目の単位欄には、「台」と記入されている。当日欄には、当日使用された規格の機械の、単位欄に記入された単位での数量をテキストで記入することができる。1行目の当日欄には「1」と記入されている。備考欄には、機械名欄に記入された機械に関するその他の情報をテキストで記入することができる。
【0086】
図8(B)に示す機械入力画面に作業に使用した機械に関する情報を記入した後に、「×」ボタンを押下して規格入力画面を閉じると、図8(A)に示す労務入力画面に戻る。図8(A)に示す労務入力画面の使用機械欄では、機械入力画面により使用機械に関する情報が入力されると、「!」マークがチェックマークに切り替わり、使用機械に関する情報が含まれることを表示する。使用機械欄の右側には、使用資材欄が配置されている。使用機材欄は、使用機械欄と同様に構成されており、選択ボタンを押下することにより、機械入力画面と同様に構成される資材入力画面での入力が可能となり、使用資材に関する情報が入力されると「!」マークがチェックマークに切り替わる。
労務入力画面の各行に入力した後に、確認ボタンを押下すると、入力確認画面により、入力した情報の内容を確認することができる。
【0087】
図9は、日報管理装置400を用いて登録された日報情報DBに登録された日報情報から生成された2021年8月1日から30日までの1か月分の日報情報の集計情報を登録用ユーザ端末20の表示部に表示した画面例を示す。図9(A)は、労務に関する日報情報の集計情報画面を示し、図9(B)は、機械に関する日報情報の集計情報画面を示す。
【0088】
労務に関する集計は、各作業について、8月1日から8月30日までの1日ごとに、定時、残業、深夜、早出の4つの時間区分に分けて記録され、集計される。このとき、定時の時間区分については、単位が日であり、残業、深夜、早出の時間区分については単位が時間である。図9(A)に示す労務集計情報画面は、表形式で表示され、左から右へ順に、作業名欄、時間区分欄、1日から30日までの日ごとの欄、合計欄、単位欄が配置されている。ここでは、作業名欄には、橋梁下部工、橋台工、橋台躯体工(A1橋台)、足場と記載されている。日ごとの労務としては、定時の時間区分で、8月2日に2.0日、8月3日に3.0日、8月4日に5.0日、8月5日に2.0日、8月6日に3.0日、8月9日に5.0日、8月10日に4.0日であり、8月1日から30日までの合計が24.00日と記載されている。残業、深夜、早出の時間区分では、日ごとの労務はいずれの日も0日であり、8月1日から30までの合計も0日と記載されている。
【0089】
機械に関する集計は、各作業について、8月1日から8月30日までの1日ごとに、支給、有償支給、常用、請負の4つの契約形態に分けて記録され、集計される。このとき、単位は時間である。図9(B)に示す機械集計情報画面は、表形式で表示され、左から右へ順に、作業名欄、単位欄、契約欄、1日から30日までの日ごとの欄、合計欄が記載されている。日ごとの機械使用として、支給の契約形態で、8月2日~6日、8日、9日
でそれぞれ1.0時間、8月1日から30日までの合計が7時間と記載されている。また、有償支給、常用、請負の契約形態では、日ごとの機械使用はいずれの日も0時間であり、8月1日から30日までの合計も0時間と記載されている。
【0090】
日報管理装置400は、日報DB402に登録された日報情報から、歩掛に関する歩掛情報を算出する歩掛算出部403を備える。
図10は、歩掛算出部403によって算出され、歩掛DB404に登録された自社歩掛情報を登録用ユーザ端末20の表示部に表示させた例を示す。歩掛とは、各工種の単位量を施工するのに要する金額である。自社歩掛情報は、上述のようにして日報管理装置400を通じて蓄積された、自社の各工種の施工に要した労務、資材、機械から、歩掛を算出し、このように算出された歩掛は、工種及び歩掛IDと関連付けられて、歩掛DBに登録される。
【0091】
表示例の上段には、工事名、発注者、施工業者、工事期間に加え、工種、歩掛名、歩掛IDの各欄が設けられている。ここでは、工種欄には、橋梁下部工―橋台工―橋大躯体工と記載され、歩掛名欄には、足場工と記載され、歩掛ID欄には、b1234と記載されている。また、表示例の上段には、施工数量、単位、単価、金額の各欄も設けられているが、これらについては後述する。
【0092】
表示例の中段には、施工条件の欄が設けられている。ここでは、施工条件欄には、3分割施工、組・解体込、狭所と記載されている。
【0093】
また、表示例の下段には、労務、資材、機械の区分ごとに、名所、規格・寸法、単位、数量、単価、金額、備考の欄が設けられ、さらに金額の合計欄が設けられている。労務について、名称欄には作業員と記載され、作業員の労務であることが示されている。図9(A)に示した労務集計表から、労務の数量欄には24.00と記載され、単価欄には労務の単価として採用されている18,000が記載され、金額欄には、数量と単価を掛け合
わせた432,000が記載されている(単価及び金額の表記について単位(円)を省略する。)。
【0094】
また、資材について、名称欄には、足場工に用いられた資材である枠組足場材と記載され、規格・寸法欄には、H=1.82と記載され、単位欄には、mと記載され、数量欄には施工終了である1,500が記載され、単価欄にはH=1.82の枠組足場材の単価として採用されている600が記載され、金額欄には数量と単価とを掛け合わせた900,000が記載されている。
【0095】
また、機械について、名称欄にはラフタークレーンと記載され、規格・寸法欄には25tと記載され、単位欄には日と記載され、図9(B)に示した機械集計表から、機械の数量欄には7.0と記載され、単価欄には25tのラフタークレーンの単価として採用されている60,000が記載され、金額欄には、数量と単価を掛け合わせた420,000が記載されている。
【0096】
そして、合計欄には、労務、資材、機械のそれぞれの金額を合計した1,752,000が記載されている。
【0097】
表示例の上段の施工数量、単位、単価、金額の各欄の説明に戻る。上述したように、枠組足場材の施工数量は1,500mであるから、成功数量欄には1,500と記載されている。また、足場工に要した金額は、下段の合計欄に記載された1,752,000であるから、金額欄にはこの値が記載される。単価欄には、歩掛に相当する、金額欄に記載された1,752,000を施工数量欄に記載された1,500で除した額である1,168が記載されている。このようにして算出された歩掛が、歩掛ID(ここではb1234)に関連付けられて歩掛DB404に記憶される。
【0098】
工種が、より下位の複数の工種を含む場合には、上述のようにして蓄積されたそれぞれの工種の歩掛に基づいて。上位の工種に要する金額を算出する。
【0099】
(入札シミュレーション装置)
次に、入札シミュレーション装置100について説明する。入札シミュレーション装置100は、工事実績DB101とシミュレーション制御部110とを含み、シミュレーション制御部110は、応札可能業者抽出部111、応札可能業者技術評価点取得部112、応札想定業者選択部113、自社技術評価点取得部114、自社実行予算算出部115、シミュレーション実行部116、応札判断支援情報提供部117を含む。応札可能業者抽出部111、応札可能業者技術評価点取得部112、自社実行予算算出部115、シミュレーション実行部116及び応札判断支援情報提供部117が、それぞれ本発明の応札可能業者抽出部、応札想定業者評価関連情報取得部、実行予算算出部、シミュレーション実行部、及び支援情報提供部に相当する。また、拡大有資格者名簿DB210に登録された情報を含んで構成される工事実績DB101は、本発明の拡大有資格者名簿記憶部に相当する。また、日報管理装置400の日報情報取得部401、歩掛DB404及び歩掛算出部403並びに自社実行予算算出部115が、本発明の実行予算算出システムに相当する。
【0100】
以下に、図11に示すフローチャートを参照して、入札シミュレーション方法について説明する。以下に説明する入札シミュレーション方法は、入札シミュレーション装置100を構成する1又は複数のプロセッサにおいて、入札シミュレーションプログラムを実行することによって実現される。
シミュレーション制御部110が、ネットワークを介して接続されたシミュレーションユーザ端末10を通じてユーザから入札シミュレーションの指示を受け付けると、応札可
能業者抽出部111は、ユーザが指定した、又は、ユーザが入力した条件に合致する入札(シミュレーション対象入札)に関する入札公告情報を工事実績DB101から取得する(ステップS201)。
【0101】
次に、応札可能業者抽出部111は、取得された入札公告情報(シミュレーション対象入札公告情報)と、工事実績DB101に記憶された拡大有資格者名簿を照合し、応札可能業者を抽出する(ステップS202)。具体的には、上述した、入札公告情報の必要情報のうち、参加資格(ランクを含む)と、同種工事に関する事項を条件として、これに適合する属性を有する有資格者を工事実績DB101から抽出する。
【0102】
次に、シミュレーション制御部110は、シミュレーション対象入札公告情報に基づいて、入札の方式が一般競争入札か、総合評価落札方式かを判断する(ステップS203)。
【0103】
シミュレーション対象入札の方式が総合評価落札方式であると判断された場合には、応札可能業者技術評価点取得部112が、ステップS202で抽出された応札可能業者について、工事実績DB101から、技術評価点を取得する(ステップS204)。それぞれの応札可能業者について、総合評価落札方式による技術評価点が付与された入札が複数存在する場合には、シミュレーションに用いる技術評価点は、種々の方法で算出することができる。例えば、直近の入札における技術評価点でもよいし、過去の所定期間にわたる入札における技術評価点の平均値や最高値でもよいし、他の条件によって、技術評価点を取得すべき入札をさらに絞り込んでもよい。
【0104】
次に、応札想定業者選択部113が、ステップS202で抽出された応札可能業者から、ステップS204で取得された技術評価点に基づいて、シミュレーションの対象とする応札想定業者(シミュレーション対象業者)を選択する(ステップS205)。これは、入札公告情報で指定された参加資格や同種工事実績に関する条件を満たす応札可能業者の数が多い場合には、シミュレーションが複雑化するためである。例えば、ステップS04で取得された技術評価点が高い応札可能業者から順に所定数の応札想定業者を選択することができる。応札想定業者の選択基準は、技術評価点の高さに限られず、特定の評価項目の評価点の高さを基準として選択してもよい。また、応札想定業者選択部113が、ユーザからの入力を受け付け、ステップS202で抽出された応札可能業者に対して、シミュレーションの対象としたい業者を追加したり、変更したりできるようにしてもよい。また、ステップS202で抽出された応札可能業者を変更せずに、抽出された応札可能業者に対してシミュレーションを行う場合には、抽出された応札可能業者がすべてシミュレーションの対象である応札想定業者として選択される。このときは、ステップS205の処理を省略してもよい。
【0105】
次に、自社技術評価点取得部114が、自社の技術評価点を工事実績DB101から取得し(ステップS206)、ステップS207に進む。このとき、自社の技術評価点を取得すべき入札は、入札公告情報に含まれる工事内容、参加資格及び同種工事の少なくともいずれかの条件を満たす工事に対するものであることが好ましい。また、取得された技術評価点が複数存在する場合には、直近の入札における技術評価点でもよいし、過去の所定期間にわたる入札における技術評価点の平均値や最高値でもよいし、他の条件によって、技術評価点を取得すべき入札をさらに絞り込んでもよい。
【0106】
次に、自社実行予算算出部115が、入札公告情報に含まれる工事内容に係る工事を自社で行った場合に生じる費用を予め算出したものである実行予算を算出する(ステップS207)。
【0107】
例えば、シミュレーションの対象となっている工事(シミュレーション対象工事)が道路改良工事であるとする。この道路改良工事は、より細分化された工種に分類される複数の工事を含む。具体的には、道路改良工事は、道路土工一式、地盤改良工一式、法面工一式、擁壁工一式、石・ブロック積(張)工一式、階段工一式、カルバート工一式、塗装工一式、排水構造物工一式、縁石工一式、防護柵工一式、道路付属施設工一式、橋台工一式、構想物撤去工一式、仮設工一式を含む。
【0108】
このうち、道路土工一式について工種単位での費用の合計の算出例を図12に示す。ここでは、道路土工として掘削工を行う場合について説明する。
【0109】
掘削工は、掘削及び土砂等運搬を含み、それぞれが、複数の異なる数量に対する掘削及び土砂等運搬からなる。まず、掘削には、数量が550.0mであり、規格・寸法が土砂である掘削と、数量が1,3000.0mであり、規格・寸法が土砂である掘削と、数量が60.0mであり、規格・寸法が土砂である掘削が含まれる。ここで、単位数量の土砂の掘削については、自社の歩掛が蓄積されているので、これを取得する。数量が550.0mであり、規格・寸法が土砂である掘削と、数量が1,3000.0mであり、規格・寸法が土砂である掘削は、自社の歩掛から単価がいずれも140.0であり、数量が60.0mであり、規格・寸法が土砂である掘削は、自社の歩掛から単価は510.0である。
【0110】
そして、土砂等運搬には、数量が1,300.0mであり、規格・寸法が土砂0.3kmである土砂等運搬と、数量が70.0mであり、規格・寸法が11.9kmである土砂等運搬が含まれる。ここで単位数量の土砂0.3kmの土砂等運搬と、土砂11.kmの土砂等運搬については、自社の歩掛が歩掛DBに蓄積されているので、これを取得する。数量が1,300.0mであり、規格・寸法が土砂0.3kmである土砂等運搬は、自社の歩掛から単価が510.0であり、数量が70.0mであり、規格・寸法が11.9kmである土砂等運搬は、自社の歩掛から単価が840.0である。
【0111】
上述のようにして自社の歩掛DBから得られた単価に、数量を掛け合わせることにより、各工種に対する金額を算出する。数量が550.0mであり、規格・寸法が土砂である掘削については金額が77,000、数量が1,3000.0mであり、規格・寸法が土砂である掘削については金額が182,000と算出される。また、数量が1,300.0mであり、規格・寸法が土砂0.3kmである土砂等運搬については金額が663,000と算出される。また、数量が60.0mであり、規格・寸法が土砂である掘削については金額が30,600と算出される。そして、数量が70.0mであり、規格・寸法が11.9kmである土砂等運搬については58,800と算出される。
【0112】
掘削工一式は、上述の掘削及び土砂等運搬から構成されているので、掘削工一式についての金額は、掘削及び土砂等運搬についての金額を合計することにより、1,011,400と算出される。そして、掘削工一式以外に道路土工一式に含まれる工種についての合計金額を算出し、これらを合計することにより、道路土工一式についての合計金額が4,843,960と算出される。さらに、道路土工一式以外に道路改良工事に含まれる工種についての合計金額を算出し、これらを合計することにより、道路改良工事一式に対する合計金額が86,705,127と算出される。
【0113】
図13に、道路改良工事一式に含まれる道路土工一式とその他の工種ごとの合計金額を示す。道路改良工事一式は、道路土工一式、地盤改良工一式、法面工一式、擁壁工一式、石・ブロック積(張)工一式、階段工一式、カルバート工一式、塗装工一式、仕様SRG-2000の排水構造物工一式、縁石工一式、防護柵工一式、道路付属施設工一式、橋台工一式、構想物撤去工一式、仮設工一式を含む。地盤改良工一式等の、道路土工一式以外
の工種についても、道路土工一式と同様に、自社の歩掛から各工種についての金額を積み上げることにより合計金額が7,491.010のように算出される。そして、このような道路改良工事一式に含まれる工種の合計金額を合計することにより、道路改良工事一式の合計金額が86,705,000と算出される。
【0114】
上述のように算出された道路改良工事一式の合計金額は、直接工事費を算出したものであるが、工事費全体を算出するには他の費用も合計する必要がある。
図14は、工事費合計を構成する他の費用についても、その金額を示したものである。項目の欄に記載されているように、工事費合計は、直接工事費、資材費、仮設費、経費からなる。従って、直接工事費計86,705,000、資材費計50,500,000、仮設費計8,400,000、経費計14,000,000を合計することにより、工事に係る金額である工事費合計が159,605,000と算出される。この工事費合計が、実行予算額に相当する。
【0115】
次に、シミュレーション実行部116が、ステップS207で算出された自社の実行予算に基づいて、自社の応札金額のシミュレーションを行う(ステップS208)。
総合評価落札方式の場合には、入札価格と技術評価点に基づいて算出される評価値に基づいて落札の可否が決定されるが、その前提である応札価格をシミュレーションする。
【0116】
図15に3パターンのシミュレーション結果例を示す。
ここでは、シミュレーションの対象である入札に係る工事(シミュレーション対象工事)の予定価格が210,000,000円とする。そして、実行予算金額は、ステップS207の実行予算算出について説明した例のように159,605,000円とする。このとき、図15(A)は、今回応札する金額である入札金額を195,000,000円と設定した場合(パターン1)、図15(B)は入札金額を168,000,000円と設定した場合(パターン2)、図15(C)は入札金額を157,000,000円と設定した場合(パターン3)の結果を示す。
【0117】
パターン1では、入札金額から実行予算金額を差し引いた金額である粗利益金額が35,395,000円、入札金額に対する粗利益金額の率である粗利益率が18、15%、予定価格に対する落札金額(ここでは入札金額)の率である落札率が92.9%となっている。パターン2では、粗利益金額が8,395,000円、粗利益率が5.00%、落札率が80.0%となっている。パターン3では、粗利益金額が-2,605,000円、粗利益率が-1.66%となっている。
【0118】
このような、3パターンの入札金額のシミュレーションについて、パターン1では、ユーザは、粗利益金額、粗利益率及び落札率については問題がないと判断することができる。パターン2では、ユーザは、粗利益金額及び粗利益率が最低限ではあるが、落札率は問題がないと判断するこことができる。これに対して、パターン3では、ユーザは、粗利益金額及び粗利益率であり、最低落札価格を下回る可能性があると判断することができる。このような判断を後述する応札判断支援情報提供部117がシミュレーションユーザ端末10を通じて提供してもよい。
【0119】
このような応札金額のシミュレーション結果を踏まえて、ユーザは、総合評価落札方式による入札シミュレーションの対象となる自社の応札金額を設定する。そして、シミュレーション実行部116は、自社の応札金額、ステップS206において算出された自社の技術評価点、ステップS206において選択された応札想定業者の技術評価点(ステップS204ですでに技術評価点を取得している応札想定業者は、そのデータを利用し、ステップS206において追加された応札想定業者がある場合には工事実績DB101から取得・算出する。)、応札想定業者の応札金額に基づいて、総合評価落札方式による入札の
シミュレーションを行う(ステップS209)。このとき、シミュレーションの対象となる応札想定業者の応札金額を設定する方法は限定されない。応札想定業者の応札金額は、ユーザが設定又は選択できるようにしてもよいし、シミュレーション実行部116が適宜設定するようにしてもよい。また、シミュレーション実行部116は、工事実績DBに記憶された当該応札想定業者の過去の入札実績に基づき、例えば、予定金額に対する応札金額の割合に基づいて設定するようにしてもよい。
【0120】
シミュレーション実行部116によって実行された入札シミュレーションの結果に基づいて、応札判断支援情報提供部117が、応札すべきか否か判断を支援する応札判断支援情報を提供してもよい。応札判断支援情報の態様は限定されない。落札の確率を算出して表示してもよいし、赤、黄、緑等の色や、種々のメッセージをシミュレーションユーザ端末10の表示部に表示等させることにより提供してもよい。
【0121】
ステップS203に戻り、シミュレーションの対象である入札の方式が一般競争入札方式であると判断された場合には、応札想定業者選択部113が、ステップS202で抽出された応札可能業者から、シミュレーションの対象とする応札想定業者を選択し(ステップS211)、ステップS212に進む。これは、入札公告情報で指定された参加資格や同種工事実績に関する条件を満たす応札可能業者の数が多い場合には、シミュレーションが複雑化するためである。応札可能業者の選択基準は、過去の落札実績等の種々の基準を採用することができる。また、応札想定業者選択部1131、ユーザからの入力を受け付け、ステップS202で抽出された応札可能業者に対して、シミュレーションの対象としたい業者を追加したり、変更したりできるようにしてもよい。また、ステップS202で抽出された応札可能業者を変更せずに、抽出された応札可能業者に対してシミュレーションを行う場合には、抽出された応札可能業者がすべてシミュレーションの対象として選択される。このときは、ステップS211の処理を省略してもよい。
【0122】
次に、自社の実行予算を算出し(ステップS212)、自社の応札金額のシミュレーションを行う(ステップS213)。これらの処理は、それぞれ上述のステップS207及びステップS208と同様であるので説明を省略する。そして、シミュレーション実行部116が一般競争入札方式による入札のシミュレーションを行う(ステップS214)。一般競争入札では、技術評価点を利用した評価は行われないので、シミュレーション実行部116は、自社の応札金額と、ステップS211で選択された応札予定業者の応札金額に基づいて、落札の可否のシミュレーションを行う。
【0123】
このように、入札シミュレーションシステム1によれば、自社の応札金額については、自社の歩掛を利用した実行予算金額に基づいた決定が可能となる。また、シミュレーションの対象となる入札の入札公告の内容に応じた応札想定業者が抽出されるので、精度のよいシミュレーションが可能となる。また、総合評価落札方式における落札の可否に用いられる技術評価点についても、過去の実績に基づいて算出された技術評価点をシミュレーションに利用することができるので、精度のよいシミュレーションが可能となる。
【符号の説明】
【0124】
1 入札シミュレーションシステム
101 工事実績DB
111 応札可能業者抽出部
112 応札可能業者技術評価点取得部
113 応札想定業者選択部
114 自社技術評価点取得部
116 シミュレーション実行部
201 有資格者名簿取得部
202 落札情報取得部
205 落札会社名取得部
206 工種取得部
207 有資格者名簿探索部
208 落札会社特定部
209 拡大有資格者名簿生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15