(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020727
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】駆動機構、移動装置、及び、記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240207BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 401
B41J2/165 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123125
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 拓人
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB29
2C056EC07
2C056EC22
2C056EC23
2C056HA12
2C056JA04
2C056JB04
2C056JB08
(57)【要約】
【課題】移動部の移動する方向によってウォームの回転負荷が異なる駆動機構、移動装置、及び、記録装置を提供する。
【解決手段】駆動機構は、移動部を所定方向及び所定方向とは反対の反対方向に移動させる駆動機構であって、駆動源と接続され、回転することによって移動部を移動させるウォームと、ウォームと噛み合うウォームホイールと、ウォームを保持する保持部と、を備え、保持部は、移動部が所定方向に移動する場合に、ウォームと接触する強規制部と、移動部が反対方向に移動する場合に、ウォームと接触する弱規制部と、を有し、強規制部とウォームとの摩擦係数は、弱規制部とウォームとの摩擦係数よりも大きい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動部を所定方向及び前記所定方向とは反対の反対方向に移動させる駆動機構であって、
駆動源と接続され、回転することによって前記移動部を移動させるウォームと、
前記ウォームと噛み合うウォームホイールと、
前記ウォームを保持する保持部と、を備え、
前記保持部は、
前記移動部が前記所定方向に移動する場合に、前記ウォームと接触する強規制部と、
前記移動部が前記反対方向に移動する場合に、前記ウォームと接触する弱規制部と、を有し、
前記強規制部と前記ウォームとの摩擦係数は、前記弱規制部と前記ウォームとの摩擦係数よりも大きいことを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記移動部を前記所定方向に移動させる場合に、前記ウォームの回転負荷が閾値を超えることを契機に、前記駆動源を停止させることによって前記移動部を停止させることを特徴とする請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
前記移動部を前記反対方向に移動させる場合に、前記移動部の移動量が閾値を超えることを契機に、前記駆動源を停止させることによって前記移動部を停止させることを特徴とする請求項1に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記所定方向に移動する前記移動部は、下方に移動することを特徴とする請求項1に記載の駆動機構。
【請求項5】
請求項2に記載の駆動機構と、
前記移動部と、
前記駆動機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記移動部を前記所定方向に移動させる場合に、前記ウォームの回転負荷が前記閾値を超えることを契機に、前記駆動源を停止させることによって前記移動部を停止させることを特徴とする移動装置。
【請求項6】
請求項3に記載の駆動機構と、
前記移動部と、
前記駆動機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記移動部を前記反対方向に移動させる場合に、前記移動部の移動量が前記閾値を超えることを契機に、前記駆動源を停止させることによって前記移動部を停止させることを特徴とする移動装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の駆動機構と、
前記移動部と、を備え、
前記移動部は、媒体に記録する記録部であることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
前記記録部のメンテナンスを実施するメンテナンス部を備え、
前記記録部は、媒体に液体を吐出することによって媒体に記録し、
前記所定方向は、前記記録部を前記メンテナンス部に接近させる方向であり、
前記反対方向は、前記記録部を前記メンテナンス部から離す方向であることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記駆動機構及び前記記録部を制御する制御部をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項10】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の駆動機構と、
媒体に液体を吐出することによって記録する記録部と、
前記移動部と、を備え、
前記移動部は、前記記録部にメンテナンスを実施するメンテナンス部であることを特徴とする記録装置。
【請求項11】
前記駆動機構及び前記記録部を制御する制御部をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
媒体に液体を吐出することによって記録する記録部と、
前記記録部にメンテナンスを実施するメンテナンス部と、
前記記録部を第1所定方向及び前記第1所定方向とは反対の第1反対方向に移動させる第1駆動機構と、
前記メンテナンス部を第2所定方向及び前記第2所定方向とは反対の第2反対方向に移動させる第2駆動機構と、を備え、
前記第2所定方向は、前記第1所定方向及び前記第1反対方向と異なる方向であり、
前記第1駆動機構は、
第1駆動源と接続され、回転することによって前記記録部を移動させる第1ウォームと、
前記第1ウォームと噛み合う第1ウォームホイールと、
前記第1ウォームを保持する第1保持部と、を有し、
前記第1保持部は、
前記記録部が前記第1所定方向に移動する場合に、前記第1ウォームと接触する第1強規制部と、
前記記録部が前記第1反対方向に移動する場合に、前記第1ウォームと接触する第1弱規制部と、を有し、
前記第2駆動機構は、
第2駆動源と接続され、回転することによって前記メンテナンス部を移動させる第2ウォームと、
前記第2ウォームと噛み合う第2ウォームホイールと、
前記第2ウォームを保持する第2保持部と、を有し、
前記第2保持部は、
前記メンテナンス部が前記第2所定方向に移動する場合に、前記第2ウォームと接触する第2強規制部と、
前記メンテナンス部が前記第2反対方向に移動する場合に、前記第2ウォームと接触する第2弱規制部と、を有し、
前記第1強規制部と前記第1ウォームとの摩擦係数は、前記第1弱規制部と前記第1ウォームとの摩擦係数よりも大きく、
前記第2強規制部と前記第2ウォームとの摩擦係数は、前記第2弱規制部と前記第2ウォームとの摩擦係数よりも大きいことを特徴とする記録装置。
【請求項13】
前記第1所定方向及び前記第2所定方向は、鉛直方向及び水平方向と異なる方向であり、
前記第1所定方向は、前記記録部を前記メンテナンス部に接近させる方向であり、
前記第1反対方向は、前記記録部を前記メンテナンス部から離す方向であり、
前記第2所定方向は、前記メンテナンス部を前記記録部から離す方向であり、
前記第2反対方向は、前記メンテナンス部を前記記録部に接近させる方向であり、
前記第1所定方向に移動する前記記録部は、下方に移動し、
前記第2所定方向に移動する前記メンテナンス部は、下方に移動することを特徴とする請求項12に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構、移動装置、及び、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駆動源によって回転するウォームと、ウォームと噛み合うウォームホイールと、ウォームを保持する保持部とを備える駆動機構が記載されている。駆動機構は、ウォームを回転させることによって、移動部を移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした駆動機構においては、移動部を移動させる場合に、ウォームがウォームホイールからスラスト力を受ける。これにより、ウォームは、保持部に突き当たる。ウォームが保持部に突き当たることによって、ウォームに回転負荷が生じる。この回転負荷について、移動部が移動する2方向でそれぞれ異なることが好ましい場合がある。例えば、移動部が下方に移動する場合には、移動部の速度が上がりすぎないように、ウォームの回転負荷が大きいことが好ましい場合がある。例えば、移動部が上方に移動する場合には、移動部をスムーズに移動させるために、ウォームの回転負荷が小さいことが好ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する駆動機構は、移動部を所定方向及び前記所定方向とは反対の反対方向に移動させる駆動機構であって、駆動源と接続され、回転することによって前記移動部を移動させるウォームと、前記ウォームと噛み合うウォームホイールと、前記ウォームを保持する保持部と、を備え、前記保持部は、前記移動部が前記所定方向に移動する場合に、前記ウォームと接触する強規制部と、前記移動部が前記反対方向に移動する場合に、前記ウォームと接触する弱規制部と、を有し、前記強規制部と前記ウォームとの摩擦係数は、前記弱規制部と前記ウォームとの摩擦係数よりも大きい。
【0006】
上記課題を解決する移動装置は、上記駆動機構と、前記移動部と、前記駆動機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記移動部を前記所定方向に移動させる場合に、前記ウォームの回転負荷が前記閾値を超えることを契機に、前記駆動源を停止させることによって前記移動部を停止させることを特徴とする移動装置。
【0007】
上記課題を解決する移動装置は、上記駆動機構と、前記移動部と、前記駆動機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記移動部を前記反対方向に移動させる場合に、前記移動部の移動量が前記閾値を超えることを契機に、前記駆動源を停止させることによって前記移動部を停止させる。
【0008】
上記課題を解決する記録装置は、上記駆動機構と、前記移動部と、を備え、前記移動部は、媒体に記録する記録部である。
上記課題を解決する記録装置は、上記駆動機構と、媒体に液体を吐出することによって記録する記録部と、前記移動部と、を備え、前記移動部は、前記記録部にメンテナンスを実施するメンテナンス部である。
【0009】
上記課題を解決する記録装置は、媒体に液体を吐出することによって記録する記録部と、前記記録部にメンテナンスを実施するメンテナンス部と、前記記録部を第1所定方向及び前記第1所定方向とは反対の第1反対方向に移動させる第1駆動機構と、前記メンテナンス部を第2所定方向及び前記第2所定方向とは反対の第2反対方向に移動させる第2駆動機構と、を備え、前記第2所定方向は、前記第1所定方向及び前記第1反対方向と異なる方向であり、前記第1駆動機構は、第1駆動源と接続され、回転することによって前記記録部を移動させる第1ウォームと、前記第1ウォームと噛み合う第1ウォームホイールと、前記第1ウォームを保持する第1保持部と、を有し、前記第1保持部は、前記記録部が前記第1所定方向に移動する場合に、前記第1ウォームと接触する第1強規制部と、前記記録部が前記第1反対方向に移動する場合に、前記第1ウォームと接触する第1弱規制部と、を有し、前記第2駆動機構は、第2駆動源と接続され、回転することによって前記メンテナンス部を移動させる第2ウォームと、前記第2ウォームと噛み合う第2ウォームホイールと、前記第2ウォームを保持する第2保持部と、を有し、前記第2保持部は、前記メンテナンス部が前記第2所定方向に移動する場合に、前記第2ウォームと接触する第2強規制部と、前記メンテナンス部が前記第2反対方向に移動する場合に、前記第2ウォームと接触する第2弱規制部と、を有し、前記第1強規制部と前記第1ウォームとの摩擦係数は、前記第1弱規制部と前記第1ウォームとの摩擦係数よりも大きく、前記第2強規制部と前記第2ウォームとの摩擦係数は、前記第2弱規制部と前記第2ウォームとの摩擦係数よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】移動装置の一例である記録装置を示す正面図である。
【
図2】記録位置に位置する記録部と待機位置に位置するメンテナンス部との正面図である。
【
図3】退避位置に位置する記録部と接触位置に位置するメンテナンス部との正面図である。
【
図4】メンテナンス位置に位置する記録部と接触位置に位置するメンテナンス部との正面図である。
【
図5】記録部を移動させる第1駆動機構の側断面図である。
【
図6】記録部を第1所定方向に移動させる第1駆動機構の模式図である。
【
図7】記録部を第1反対方向に移動させる第1駆動機構の模式図である。
【
図8】メンテナンス部を移動させる第2駆動機構の側断面図である。
【
図9】メンテナンス部を第2所定方向に移動させる第2駆動機構の模式図である。
【
図10】メンテナンス部を第2反対方向に移動させる第2駆動機構の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、駆動機構を備える移動装置の一例として、記録装置について図を参照しながら説明する。移動装置は、記録装置に限らず、その他の装置で具体化されてもよい。記録装置は、用紙、布帛などの媒体に文字、写真などの画像を記録するプリンターである。特に、記録装置は、液体の一例であるインクを媒体に吐出することによって、画像を記録するインクジェットプリンターである。
【0012】
<記録装置>
図1に示すように、記録装置11は、筐体12を備える。
記録装置11は、1以上の収容部13を備える。収容部13は、媒体99を収容するように構成される。収容部13は、例えば、筐体12に対して引出可能なカセットである。
【0013】
記録装置11は、搬送経路14を備える。搬送経路14は、媒体99が搬送される経路である。搬送経路14は、筐体12内を延びる。搬送経路14は、例えば、収容部13から筐体12外に媒体99を排出するように延びる。媒体99は、搬送経路14を搬送される過程で画像を記録される。
【0014】
記録装置11は、搬送部15を備える。搬送部15は、媒体99を搬送するように構成される。搬送部15は、例えば、1以上のローラーを有する。搬送部15は、収容部13に収容される媒体99を搬送経路14に沿って搬送する。
【0015】
搬送部15は、例えば、搬送ベルト16と、第1プーリー17と、第2プーリー18とを有する。搬送ベルト16は、第1プーリー17及び第2プーリー18に巻き掛けられる。搬送ベルト16は、例えば、静電吸着によって媒体99を吸着する。これにより、搬送ベルト16は、媒体99を支持する。搬送ベルト16は、例えば、負圧による吸引によって媒体99を吸着するように構成されてもよい。第1プーリー17及び第2プーリー18は、搬送経路14に沿って位置する。第1プーリー17及び第2プーリー18が回転することによって、搬送ベルト16が周回する。その結果、搬送ベルト16に支持される媒体99が搬送される。
【0016】
記録装置11は、スタッカー19を備える。スタッカー19には、記録された媒体99が積載される。スタッカー19は、例えば、筐体12外に位置する。媒体99は、搬送経路14を搬送されることによってスタッカー19に排出される。
【0017】
記録装置11は、記録部21を備える。記録部21は、媒体99に画像を記録するように構成される。記録部21は、媒体99に液体を吐出することによって媒体99に画像を記録する。記録部21は、例えば、1以上のノズル22を有するヘッドである。記録部21は、搬送部15によって搬送される媒体99に画像を記録する。記録部21は、例えば、搬送ベルト16と対向する位置に位置する。記録部21は、搬送ベルト16に支持される媒体99に画像を記録する。
【0018】
図2、
図3、及び、
図4に示すように、記録部21は、複数の位置に移動するように構成される。記録部21は、記録位置P1とメンテナンス位置P2とに移動するように構成される。
図2に示す記録部21の位置が記録位置P1である。
図4に示す記録部21の位置がメンテナンス位置P2である。記録部21は、記録位置P1と、メンテナンス位置P2とに加えて、退避位置P3に移動するように構成される。
図3に示す記録部21の位置が退避位置P3である。
【0019】
記録位置P1は、記録部21が媒体99に記録する位置である。記録位置P1、メンテナンス位置P2、退避位置P3のうち、記録位置P1は、搬送ベルト16に対して記録部21が最も接近する位置である。記録位置P1は、例えば、メンテナンス位置P2よりも下方の位置である。
【0020】
メンテナンス位置P2は、記録部21がメンテナンスされる位置である。メンテナンス位置P2は、例えば、退避位置P3よりも下方の位置である。
退避位置P3は、記録部21が退避する位置である。退避位置P3は、記録位置P1からメンテナンス位置P2に記録部21が変位する場合、及び、メンテナンス位置P2から記録位置P1に記録部21が変位する場合に、記録部21が経由する位置である。そのため、記録部21は、記録位置P1とメンテナンス位置P2との間で変位する場合に、退避位置P3に一時的に退避する。
【0021】
記録装置11は、メンテナンス部23を備える。メンテナンス部23は、記録部21をメンテナンスするように構成される。メンテナンス部23は、記録部21に接触することによって記録部21をメンテナンスする。メンテナンス部23は、例えば、接触部24と、支持部25と、押付部26とを有する。
【0022】
接触部24は、メンテナンス部23が記録部21をメンテナンスする場合に、記録部21に接触する。詳述すると、接触部24は、ノズル22を覆うように記録部21に接触する。接触部24は、例えば、ノズル22を覆うキャップである。したがって、接触部24が記録部21に接触することによって、ノズル22が保湿される。その結果、ノズル22の目詰まりが抑制される。これは、いわゆるキャッピングである。このように、メンテナンス部23は、記録部21にメンテナンスを実施する。接触部24は、キャップに限らず、記録部21に接触することによって液体を拭き取るワイパーでもよい。この場合、記録部21に付着する液体が除去される。これは、いわゆるワイピングである。
【0023】
メンテナンス部23は、例えば、接触部24が記録部21に接触する状態で記録部21に負圧を作用させることによって、ノズル22から液体を強制的に排出させてもよい。この場合、固化した液体、気泡などが記録部21から排出される。これは、いわゆるクリーニングである。メンテナンス部23は、記録部21に、キャッピング、ワイピング、及び、クリーニングなどのメンテナンスを実施する。
【0024】
メンテナンス部23は、フラッシングによる液体を接触部24が受けることによって、記録部21にメンテナンスを実施してもよい。フラッシングは、ノズル22の目詰まりを抑制するために、記録部21が液体を吐出することである。記録部21がフラッシングを実施する場合には、接触部24が記録部21に接触する状態で実施してもよいし、接触しない状態で実施してもよい。すなわち、メンテナンス部23は、接触部24が記録部21に接触しない状態でメンテナンスを実施することができる。ただし、本実施例では、メンテナンス部23が、記録部21に接触することによって記録部21をメンテナンスするものとして説明する。
【0025】
支持部25は、接触部24を支持する。
押付部26は、接触部24と支持部25とに取り付けられる。接触部24が記録部21に接触する場合に、押付部26は、接触部24を記録部21に押し付ける。これにより、接触部24が記録部21に密着する。接触部24が記録部21に密着することによって、メンテナンス部23によるメンテナンス効果が向上する。押付部26は、例えば、ばねである。
【0026】
メンテナンス部23は、複数の位置に移動するように構成される。メンテナンス部23は、待機位置Q1と接触位置Q2とに移動するように構成される。
図2に示すメンテナンス部23の位置が待機位置Q1である。
図3及び
図4に示すメンテナンス部23の位置が接触位置Q2である。
【0027】
待機位置Q1は、メンテナンス部23が待機する位置である。メンテナンス部23は、記録部21をメンテナンスしない場合、例えば記録部21が記録している場合に、待機位置Q1に位置する。待機位置Q1は、例えば、接触位置Q2よりも下方の位置である。
【0028】
接触位置Q2は、メンテナンス部23が記録部21に接触する位置である。すなわち、接触位置Q2は、メンテナンス部23が記録部21をメンテナンスする位置である。接触位置Q2に位置するメンテナンス部23は、メンテナンス位置P2に位置する記録部21に接触する。接触位置Q2は、記録部21と搬送ベルト16との間の位置である。
【0029】
メンテナンス部23が記録部21をメンテナンスする場合、まず、記録部21が記録位置P1から退避位置P3に変位する。記録部21が記録位置P1から退避位置P3に変位する間、メンテナンス部23は、待機位置Q1から接触位置Q2に変位する。メンテナンス部23が接触位置Q2に変位した後、記録部21は、退避位置P3からメンテナンス位置P2に変位する。これにより、記録部21とメンテナンス部23とが接触する。記録部21が媒体99に画像を記録しない場合には、記録部21とメンテナンス部23とが接触する状態のまま待機する。
【0030】
記録部21が媒体99に画像を記録する場合、まず、記録部21がメンテナンス位置P2から退避位置P3に変位する。記録部21がメンテナンス位置P2から退避位置P3に変位する間、メンテナンス部23は、接触位置Q2から待機位置Q1に変位する。メンテナンス部23が待機位置Q1に変位した後、記録部21は、退避位置P3から記録位置P1に変位する。
【0031】
記録装置11は、制御部28を備える。制御部28は、記録部21の移動を制御する。制御部28は、メンテナンス部23の移動を制御する。制御部28は、記録装置11を統括的に制御してもよい。
【0032】
制御部28は、コンピュータープログラムにしたがって各種処理を実行する1つ以上のプロセッサーで構成されてもよい。制御部28は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路などの1つ以上の専用のハードウェア回路で構成されてもよい。制御部28は、プロセッサー及びハードウェア回路を含む回路で構成されてもよい。プロセッサーは、CPU、ならびに、RAM及びROMなどのメモリーを含む。メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は、指令を格納している。メモリー、すなわちコンピューター可読媒体は、汎用又は専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0033】
記録装置11は、1以上の駆動機構を備える。駆動機構は、移動対象である移動部を移動させる機構である。駆動機構は、制御部28に制御される。したがって、移動部は、制御部28によって移動を制御される。移動装置は、少なくとも、移動部と、駆動機構と、制御部28とを備える。
【0034】
記録装置11は、例えば、第1駆動機構31Aと、第2駆動機構31Bとを備える。第1駆動機構31Aは、記録部21を移動させる機構である。すなわち、第1駆動機構31Aにおいて、移動部は、記録部21である。第2駆動機構31Bは、メンテナンス部23を移動させる機構である。すなわち、第2駆動機構31Bにおいて、移動部は、メンテナンス部23である。第1駆動機構31A及び第2駆動機構31Bは、互いに異なる方向にそれぞれの移動部を移動させる。
【0035】
<第1駆動機構>
まず、第1駆動機構31Aについて説明する。
第1駆動機構31Aは、第1駆動源32Aを有する。第1駆動源32Aは、モーターである。第1駆動源32Aは、第1出力軸33Aを有する。第1出力軸33Aは、いわゆるローターである。第1駆動源32Aは、第1出力軸33Aを回転させる。
【0036】
第1駆動機構31Aは、制御回路を有してもよい。制御回路は、第1駆動源32Aを制御する回路である。制御回路は、例えば、制御部28の指示に基づいて第1駆動源32Aを制御する。
【0037】
第1駆動機構31Aは、第1ウォームギヤ34Aを有する。第1ウォームギヤ34Aは、第1駆動源32Aと接続される。第1ウォームギヤ34Aは、第1ウォーム35Aと、第1ウォームホイール36Aとを有する。第1ウォーム35Aは、第1出力軸33Aと接続される。詳しくは、第1ウォーム35Aは、カップリング部材を介することによって、第1出力軸33Aと接続される。第1ウォーム35Aは、第1出力軸33Aに直接取り付けられることによって、第1出力軸33Aと接続されてもよい。第1ウォーム35Aは、第1出力軸33Aとともに回転する。第1ウォーム35Aは、回転することによって、移動部、すなわち記録部21を移動させる。第1ウォームホイール36Aは、第1ウォーム35Aと噛み合う。第1ウォームホイール36Aは、第1ウォーム35Aとともに回転する。
【0038】
第1駆動機構31Aは、第1駆動歯車37Aを有する。第1駆動歯車37Aは、第1ウォームホイール36Aと接続される。第1駆動歯車37Aは、例えば、第1ウォームホイール36Aと同軸上に位置することによって、第1ウォームホイール36Aと接続される。第1駆動歯車37Aは、第1ウォームホイール36Aとともに回転する。第1駆動歯車37Aは、第1ウォームホイール36Aと同軸上に限らず、第1ウォームホイール36Aと別の軸上に位置してもよい。例えば、第1駆動歯車37Aは、複数の歯車で構成される輪列を介することによって、第1ウォームホイール36Aと接続されてもよい。
【0039】
第1駆動機構31Aは、第1ラック38Aを有する。第1ラック38Aは、第1駆動歯車37Aと噛み合う。第1ラック38Aは、直線的に一方向に延びる。第1ラック38Aは、例えば、第1所定方向D1に延びる。第1ラック38A及び第1駆動歯車37Aは、ラックアンドピニオンを構成する。第1ラック38Aは、第1駆動歯車37Aが回転することによって、第1駆動歯車37Aに対して相対的に移動する。
【0040】
第1ラック38Aは、例えば、記録部21に取り付けられる。これに対し、第1駆動源32A、第1ウォームギヤ34A、及び、第1駆動歯車37Aは、筐体12に取り付けられる。この場合、第1駆動歯車37Aが回転することによって、第1ラック38Aが第1駆動歯車37Aに対して移動する。第1ラック38Aが移動するとともに、記録部21が移動する。
【0041】
第1ラック38Aは、例えば、筐体12に固定されてもよい。これに対し、第1駆動源32A、第1ウォームギヤ34A、及び、第1駆動歯車37Aは、記録部21に取り付けられてもよい。この場合、第1駆動歯車37Aが回転することによって、第1駆動源32A、第1ウォームギヤ34A、及び、第1駆動歯車37Aが第1ラック38Aに対して移動する。第1駆動源32A、第1ウォームギヤ34A、及び、第1駆動歯車37Aが移動することによって、記録部21が移動する。
【0042】
第1駆動機構31Aは、第1ラック38Aの延びる方向に記録部21を移動させる。第1駆動機構31Aは、第1所定方向D1、及び、第1所定方向D1とは反対の第1反対方向D2に記録部21を移動させる。第1駆動機構31Aは、記録部21を第1所定方向D1及び第1反対方向D2に移動させることによって、記録位置P1とメンテナンス位置P2と退避位置P3とに移動させる。
【0043】
第1所定方向D1は、例えば、下方に向かう方向である。そのため、記録部21は、第1所定方向D1に移動する場合に、下方に移動する。ただし、「下方に向かう方向」とは、鉛直下方向に限らない。第1所定方向D1は、例えば、鉛直方向及び水平方向の双方と異なる方向である。具体的には、第1所定方向D1は、斜め下方に向かう方向である。第1所定方向D1は、例えば、記録部21をメンテナンス部23に接近させる方向である。また、記録部21をメンテナンス部23に接触させる方向である。すなわち、第1所定方向D1は、記録部21が搬送ベルト16に接近する方向である。
【0044】
第1反対方向D2は、例えば、上方に向かう方向である。そのため、記録部21は、第1反対方向D2に移動する場合に、上方に移動する。ただし、「上方に向かう方向」とは、鉛直上方向に限らない。具体的には、第1反対方向D2は、斜め上方に向かう方向である。第1反対方向D2は、例えば、記録部21をメンテナンス部23から離す方向である。すなわち、第1反対方向D2は、記録部21が搬送ベルト16から離れる方向である。
【0045】
第1駆動機構31Aは、記録部21を記録位置P1から第1反対方向D2に移動させることによって退避位置P3に変位させた後に、記録部21を退避位置P3から第1所定方向D1に移動させることによってメンテナンス位置P2に変位させる。第1駆動機構31Aは、記録部21をメンテナンス位置P2から第1反対方向D2に移動させることによって退避位置P3に変位させた後に、記録部21を退避位置P3から第1所定方向D1に移動させることによって記録位置P1に変位させる。記録位置P1とメンテナンス位置P2と退避位置P3とは、第1反対方向D2にこの順で並ぶ。
【0046】
図5に示すように、第1駆動機構31Aは、第1保持部41Aを有する。第1保持部41Aは、例えば、板金である。第1保持部41Aは、第1駆動源32Aを保持してもよい。例えば、第1保持部41Aに、第1駆動源32Aがねじ留めされてもよい。
【0047】
第1保持部41Aは、筐体12に取り付けられる。この場合、記録部21は、第1保持部41Aに対して移動する。第1保持部41Aは、記録部21に取り付けられてもよい。この場合、記録部21は、第1保持部41Aとともに移動する。
【0048】
第1保持部41Aは、第1ウォーム35Aを保持する。詳しくは、第1保持部41Aは、第1ウォーム35Aを回転可能に保持する。第1ウォーム35Aは、その軸方向に移動可能に保持される。第1ウォーム35Aは、第1ウォームホイール36Aからスラスト力を受ける。第1ウォーム35Aは、スラスト力を受けることによって、その軸方向に移動する。第1保持部41Aは、第1ウォーム35Aと接触することによって、そのスラスト力を受ける。第1ウォーム35Aが第1出力軸33Aに直接取り付けられる場合、第1出力軸33Aであるローターが第1駆動源32Aの不図示のステーターに対して移動する。
【0049】
第1保持部41Aは、第1基端部分42Aと、第1先端部分43Aとを有する。第1基端部分42A及び第1先端部分43Aは、第1ウォーム35Aを挟むように位置する。第1基端部分42Aと第1先端部分43Aとの間の距離は、第1ウォーム35Aの長さよりも長い。第1基端部分42Aは、第1ウォーム35Aの第1基端と対向する部分である。第1ウォーム35Aの第1基端は、第1ウォーム35Aの両端のうち、第1駆動源32Aとの距離が小さい端部である。第1基端部分42Aには、第1駆動源32Aがねじ留めされる。第1先端部分43Aは、第1ウォーム35Aの第1先端と対向する部分である。第1ウォーム35Aの第1先端は、第1ウォーム35Aの両端のうち、第1駆動源32Aとの距離が大きい端部である。
【0050】
第1保持部41Aは、第1連結部分44Aを有する。第1連結部分44Aは、第1基端部分42Aと第1先端部分43Aとを連結する部分である。第1連結部分44Aは、例えば、第1ウォーム35Aを覆うように延びる。これにより、第1ウォーム35Aが保護される。
【0051】
記録部21が第1所定方向D1に移動する場合に、第1ウォーム35Aが第1ウォームホイール36Aからスラスト力を受けることによって、第1ウォーム35Aが第1基端部分42Aに接近する。その結果、第1基端部分42Aは、後述する第1強規制部45Aを介してスラスト力を受ける。
【0052】
記録部21が第1反対方向D2に移動する場合に、第1ウォーム35Aが第1ウォームホイール36Aからスラスト力を受けることによって、第1ウォーム35Aが第1先端部分43Aに接近する。その結果、第1先端部分43Aは、後述する第1弱規制部46Aを介してスラスト力を受ける。
【0053】
図6及び
図7に示すように、第1保持部41Aは、2つの規制部を有する。第1保持部41Aは、第1強規制部45Aと、第1弱規制部46Aとを有する。第1強規制部45A及び第1弱規制部46Aは、例えば、ワッシャーである。第1強規制部45Aは、第1基端部分42Aに取り付けられる。第1弱規制部46Aは、第1先端部分43Aに取り付けられる。
【0054】
第1強規制部45Aと第1弱規制部46Aとの間の距離は、第1ウォーム35Aの長さよりも長い。そのため、第1強規制部45Aと第1弱規制部46Aとの間で、第1ウォーム35Aが移動する。記録部21が移動する場合に、第1強規制部45A及び第1弱規制部46Aの何れかに第1ウォーム35Aが接触する。記録部21が第1所定方向D1に移動する場合に、第1強規制部45Aに第1ウォーム35Aが接触する。このとき、第1弱規制部46Aは、第1ウォーム35Aに接触しない。記録部21が第1反対方向D2に移動する場合に、第1弱規制部46Aに第1ウォーム35Aが接触する。このとき、第1強規制部45Aは、第1ウォーム35Aに接触しない。
【0055】
第1強規制部45A及び第1弱規制部46Aは、第1ウォーム35Aと接触することによって、第1ウォーム35Aの移動を規制する。第1強規制部45Aと第1ウォーム35Aとの摩擦係数は、第1弱規制部46Aと第1ウォーム35Aとの摩擦係数よりも大きい。そのため、第1強規制部45Aが第1ウォーム35Aに接触する場合、すなわち記録部21が第1所定方向D1に移動する場合には、第1ウォーム35Aが回転しにくくなる。これにより、第1ウォーム35Aの回転負荷が大きくなる。第1弱規制部46Aが第1ウォーム35Aに接触する場合、すなわち記録部21が第1反対方向D2に移動する場合には、第1ウォーム35Aが回転しやすくなる。これにより、第1ウォーム35Aの回転負荷が小さくなる。このように、第1駆動機構31Aにおいては、記録部21が移動する方向によって、第1ウォーム35Aの回転負荷、すなわち第1ウォーム35Aと第1保持部41Aとの接触による第1駆動源32Aの回転負荷が異なる。
【0056】
<第2駆動機構>
次に、第2駆動機構31Bについて説明する。第2駆動機構31Bは、基本的に、第1駆動機構31Aと同様の構成である。第2駆動機構31Bについては、第1駆動機構31Aと比べて、強規制部及び弱規制部の位置が異なる。
【0057】
図2、
図3、及び、
図4に示すように、第2駆動機構31Bは、第2駆動源32Bを有する。第2駆動源32Bは、モーターである。第2駆動源32Bは、第2出力軸33Bを有する。第2出力軸33Bは、いわゆるローターである。第2駆動源32Bは、第2出力軸33Bを回転させる。
【0058】
第2駆動機構31Bは、制御回路を有してもよい。制御回路は、第2駆動源32Bを制御する回路である。制御回路は、例えば、制御部28の指示に基づいて第2駆動源32Bを制御する。
【0059】
第2駆動機構31Bは、第2ウォームギヤ34Bを有する。第2ウォームギヤ34Bは、第2駆動源32Bと接続される。第2ウォームギヤ34Bは、第2ウォーム35Bと、第2ウォームホイール36Bとを有する。第2ウォーム35Bは、第2出力軸33Bと接続される。詳しくは、第2ウォーム35Bは、カップリング部材を介することによって、第2出力軸33Bと接続される。第2ウォーム35Bは、第2出力軸33Bに直接取り付けられることによって、第2出力軸33Bと接続されてもよい。第2ウォーム35Bは、第2出力軸33Bとともに回転する。第2ウォーム35Bは、回転することによって、移動部、すなわちメンテナンス部23を移動させる。第2ウォームホイール36Bは、第2ウォーム35Bと噛み合う。第2ウォームホイール36Bは、第2ウォーム35Bとともに回転する。
【0060】
第2駆動機構31Bは、第2駆動歯車37Bを有する。第2駆動歯車37Bは、第2ウォームホイール36Bと接続される。第2駆動歯車37Bは、例えば、第2ウォームホイール36Bと同軸上に位置することによって、第2ウォームホイール36Bと接続される。第2駆動歯車37Bは、第2ウォームホイール36Bとともに回転する。第2駆動歯車37Bは、第2ウォームホイール36Bと同軸上に限らず、第2ウォームホイール36Bと別の軸上に位置してもよい。例えば、第2駆動歯車37Bは、複数の歯車で構成される輪列を介することによって、第2ウォームホイール36Bと接続されてもよい。
【0061】
第2駆動機構31Bは、第2ラック38Bを有する。第2ラック38Bは、第2駆動歯車37Bと噛み合う。第2ラック38Bは、直線的に一方向に延びる。第2ラック38Bは、例えば、第2所定方向D3に延びる。第2ラック38Bは、第1ラック38Aと異なる方向に延びる。すなわち、第2所定方向D3は、第1所定方向D1及び第1反対方向D2と異なる方向である。第2ラック38B及び第2駆動歯車37Bは、ラックアンドピニオンを構成する。第2ラック38Bは、第2駆動歯車37Bが回転することによって、第2駆動歯車37Bに対して相対的に移動する。
【0062】
第2ラック38Bは、例えば、メンテナンス部23に取り付けられる。これに対し、第2駆動源32B、第2ウォームギヤ34B、及び、第2駆動歯車37Bは、筐体12に取り付けられる。この場合、第2駆動歯車37Bが回転することによって、第2ラック38Bが第2駆動歯車37Bに対して移動する。第2ラック38Bが移動するとともに、メンテナンス部23が移動する。
【0063】
第2ラック38Bは、例えば、筐体12に固定されてもよい。これに対し、第2駆動源32B、第2ウォームギヤ34B、及び、第2駆動歯車37Bは、メンテナンス部23に取り付けられてもよい。この場合、第2駆動歯車37Bが回転することによって、第2駆動源32B、第2ウォームギヤ34B、及び、第2駆動歯車37Bが第2ラック38Bに対して移動する。第2駆動源32B、第2ウォームギヤ34B、及び、第2駆動歯車37Bが移動することによって、メンテナンス部23が移動する。
【0064】
第2駆動機構31Bは、第2ラック38Bの延びる方向にメンテナンス部23を移動させる。第2駆動機構31Bは、第2所定方向D3、及び、第2所定方向D3とは反対の第2反対方向D4にメンテナンス部23を移動させる。第2駆動機構31Bは、メンテナンス部23を第2所定方向D3及び第2反対方向D4に移動させることによって、待機位置Q1と接触位置Q2とに移動させる。
【0065】
第2所定方向D3は、例えば、下方に向かう方向である。そのため、メンテナンス部23は、第2所定方向D3に移動する場合に、下方に移動する。ただし、「下方に向かう方向」とは、鉛直下方向に限らない。第2所定方向D3は、例えば、鉛直方向及び水平方向の双方と異なる方向である。具体的には、第2所定方向D3は、斜め下方に向かう方向である。第2所定方向D3は、例えば、メンテナンス部23を記録部21から離す方向である。
【0066】
第2反対方向D4は、例えば、上方に向かう方向である。そのため、メンテナンス部23は、第2反対方向D4に移動する場合に、上方に移動する。ただし、「上方に向かう方向」とは、鉛直上方向に限らない。具体的には、第2反対方向D4は、斜め上方に向かう方向である。第2反対方向D4は、例えば、メンテナンス部23を記録部21に接近させる方向である。
【0067】
第2駆動機構31Bは、メンテナンス部23を接触位置Q2から第2所定方向D3に移動させることによって待機位置Q1に変位させる。第2駆動機構31Bは、メンテナンス部23を待機位置Q1から第2反対方向D4に移動させることによって接触位置Q2に変位させる。待機位置Q1と接触位置Q2とは、第2所定方向D3にこの順で並ぶ。
【0068】
図8に示すように、第2駆動機構31Bは、第2保持部41Bを有する。第2保持部41Bは、例えば、板金である。第2保持部41Bは、第2駆動源32Bを保持してもよい。例えば、第2保持部41Bに、第2駆動源32Bがねじ留めされてもよい。
【0069】
第2保持部41Bは、筐体12に取り付けられる。この場合、メンテナンス部23は、第2保持部41Bに対して移動する。第2保持部41Bは、メンテナンス部23に取り付けられてもよい。この場合、メンテナンス部23は、第2保持部41Bとともに移動する。
【0070】
第2保持部41Bは、第2ウォーム35Bを保持する。詳しくは、第2保持部41Bは、第2ウォーム35Bを回転可能に保持する。第2ウォーム35Bは、その軸方向に移動可能に保持される。第2ウォーム35Bは、第2ウォームホイール36Bからスラスト力を受ける。第2ウォーム35Bは、スラスト力を受けることによって、その軸方向に移動する。第2保持部41Bは、第2ウォーム35Bと接触することによって、そのスラスト力を受ける。第2ウォーム35Bが第2出力軸33Bに直接取り付けられる場合、第2出力軸33Bであるローターが第2駆動源32Bの不図示のステーターに対して移動する。
【0071】
第2保持部41Bは、第2基端部分42Bと、第2先端部分43Bとを有する。第2基端部分42B及び第2先端部分43Bは、第2ウォーム35Bを挟むように位置する。第2基端部分42Bと第2先端部分43Bとの間の距離は、第2ウォーム35Bの長さよりも長い。第2基端部分42Bは、第2ウォーム35Bの第2基端と対向する部分である。第2ウォーム35Bの第2基端は、第2ウォーム35Bの両端のうち、第2駆動源32Bとの距離が小さい端部である。第2基端部分42Bには、第2駆動源32Bがねじ留めされる。第2先端部分43Bは、第2ウォーム35Bの第2先端と対向する部分である。第2ウォーム35Bの第2先端は、第2ウォーム35Bの両端のうち、第2駆動源32Bとの距離が大きい端部である。
【0072】
第2保持部41Bは、第2連結部分44Bを有する。第2連結部分44Bは、第2基端部分42Bと第2先端部分43Bとを連結する部分である。第2連結部分44Bは、例えば、第2ウォーム35Bを覆うように延びる。これにより、第2ウォーム35Bが保護される。
【0073】
メンテナンス部23が第2所定方向D3に移動する場合に、第2ウォーム35Bが第2ウォームホイール36Bからスラスト力を受けることによって、第2ウォーム35Bが第2先端部分43Bに接近する。その結果、第2先端部分43Bは、後述する第2強規制部45Bを介してスラスト力を受ける。
【0074】
メンテナンス部23が第2反対方向D4に移動する場合に、第2ウォーム35Bが第2ウォームホイール36Bからスラスト力を受けることによって、第2ウォーム35Bが第2基端部分42Bに接近する。その結果、第2基端部分42Bは、後述する第2弱規制部46Bを介してスラスト力を受ける。
【0075】
図9及び
図10に示すように、第2保持部41Bは、2つの規制部を有する。第2保持部41Bは、第2強規制部45Bと、第2弱規制部46Bとを有する。第2強規制部45B及び第2弱規制部46Bは、例えば、ワッシャーである。第2強規制部45Bは、第2先端部分43Bに取り付けられる。第2弱規制部46Bは、第2基端部分42Bに取り付けられる。
【0076】
第2強規制部45Bと第2弱規制部46Bとの間の距離は、第2ウォーム35Bの長さよりも長い。そのため、第2強規制部45Bと第2弱規制部46Bとの間で、第2ウォーム35Bが移動する。メンテナンス部23が移動する場合に、第2強規制部45B及び第2弱規制部46Bの何れかに第2ウォーム35Bが接触する。メンテナンス部23が第2所定方向D3に移動する場合に、第2強規制部45Bに第2ウォーム35Bが接触する。このとき、第2弱規制部46Bは、第2ウォーム35Bに接触しない。メンテナンス部23が第2反対方向D4に移動する場合に、第2弱規制部46Bに第2ウォーム35Bが接触する。このとき、第2強規制部45Bは、第2ウォーム35Bに接触しない。
【0077】
第2強規制部45B及び第2弱規制部46Bは、第2ウォーム35Bと接触することによって、第2ウォーム35Bの移動を規制する。第2強規制部45Bと第2ウォーム35Bとの摩擦係数は、第2弱規制部46Bと第2ウォーム35Bとの摩擦係数よりも大きい。そのため、第2強規制部45Bが第2ウォーム35Bに接触する場合、すなわちメンテナンス部23が第2所定方向D3に移動する場合には、第2ウォーム35Bが回転しにくくなる。これにより、第2ウォーム35Bの回転負荷が大きくなる。第2弱規制部46Bが第2ウォーム35Bに接触する場合、すなわちメンテナンス部23が第2反対方向D4に移動する場合には、第2ウォーム35Bが回転しやすくなる。これにより、第2ウォーム35Bの回転負荷が小さくなる。このように、第2駆動機構31Bにおいては、メンテナンス部23が移動する方向によって、第2ウォーム35Bの回転負荷、すなわち第2ウォーム35Bと第2保持部41Bとの接触による第2駆動源32Bの回転負荷が異なる。
【0078】
<第1駆動機構及び第2駆動機構の作用>
次に、第1駆動機構31A及び第2駆動機構31Bの作用について説明する。ここまでで説明したように、第1駆動機構31A及び第2駆動機構31Bは、移動させる対象が異なるのみで、それぞれ同様の構成を有する。そのため、ここでは、第1駆動機構31A及び第2駆動機構31Bを区別しない場合、駆動機構と表記する。これに伴い、第1駆動源32A及び第2駆動源32Bを駆動源、第1出力軸33A及び第2出力軸33Bを出力軸、第1ウォームギヤ34A及び第2ウォームギヤ34Bをウォームギヤ、第1ウォーム35A及び第2ウォーム35Bをウォーム、第1ウォームホイール36A及び第2ウォームホイール36Bをウォームホイール、第1駆動歯車37A及び第2駆動歯車37Bを駆動歯車、第1ラック38A及び第2ラック38Bをラック、と表記する。また、第1保持部41A及び第2保持部41Bを保持部、第1基端部分42A及び第2基端部分42Bを基端部分、第1先端部分43A及び第2先端部分43Bを先端部分、第1連結部分44A及び第2連結部分44Bを連結部分、第1強規制部45A及び第2強規制部45Bを強規制部、第1弱規制部46A及び第2弱規制部46Bを弱規制部、と表記する。また、第1所定方向D1及び第2所定方向D3を所定方向、第1反対方向D2及び第2反対方向D4を反対方向、と表記する。
【0079】
移動装置において、制御部28は、例えば、移動部を下方に移動させることがある。この場合、重力によって移動部が移動しやすいため、ウォームの回転負荷が小さくなりやすい。すなわち、移動部の加速度が大きくなりやすい。その結果、移動部が想定以上に移動するおそれがある。この点、本実施例では、移動部が下方に移動する場合に、強規制部によって、ウォームの回転負荷が大きくなるように設定されている。これにより、移動部が下方に移動する場合に、移動部の加速度が大きくなりにくい。したがって、移動部が想定以上に移動するおそれが低減される。
【0080】
移動装置において、制御部28は、例えば、移動部を上方に移動させることがある。この場合、重力によって移動部が移動しにくいため、ウォームの回転負荷が大きくなりやすい。すなわち、移動部がスムーズに移動しないおそれがある。この点、駆動機構では、移動部が上方に移動する場合には、弱規制部によって、ウォームの回転負荷が小さくなるように設定されている。これにより、移動部が上方に移動する場合に、移動部がスムーズに移動しやすい。
【0081】
記録装置11においては、記録部21が第1所定方向D1に移動する場合に、第1強規制部45Aによって、記録部21が想定以上に移動するおそれが低減される。記録部21が第1反対方向D2に移動する場合に、第1弱規制部46Aによって、記録部21がスムーズに移動できる。メンテナンス部23が第2所定方向D3に移動する場合に、第2強規制部45Bによって、メンテナンス部23が想定以上に移動するおそれが低減される。メンテナンス部23が第2反対方向D4に移動する場合に、第2弱規制部46Bによって、メンテナンス部23がスムーズに移動できる。
【0082】
制御部28は、移動部を所定方向に移動させる場合に、ウォームの回転負荷が閾値を超えることを契機に、駆動源を停止させることによって移動部を停止させてもよい。すなわち、制御部28は、負荷制御を実施することによって、移動部を移動させてもよい。負荷制御は、ウォームの回転負荷が閾値を超えることを契機に駆動源を停止させる制御である。負荷制御では、例えば、移動部が移動先の対象物と接触することを契機に、移動部が停止する。ウォームの回転負荷は、例えば、駆動源に流れる負荷電流であらわされる。移動する移動部が対象物と接触すると、ウォームの回転負荷が上がる。これにより、移動部が停止する。
【0083】
負荷制御においては、移動部が対象物と接触した場合に、ウォームの回転負荷が閾値を大きく超えることが好ましい。その理由は、移動部が即座に停止できるためである。移動部が即座に停止しない場合、移動部が対象物を強く押し込むおそれがある。この場合、例えば、移動部が対象物を塑性変形させるおそれがある。例えば、記録装置11では、記録部21がメンテナンス部23に接触する場合に、記録部21がメンテナンス部23を強く押し込むことによって、接触部24、押付部26が塑性変形するおそれがある。また、移動部が対象物と接触することによって、移動部が損傷するおそれがある。例えば、記録部21がメンテナンス部23に強く衝突することによって、記録部21が損傷するおそれがある。具体的には、記録部21においてノズル22が形成される不図示のノズル面が損傷するおそれがある。この点、本実施例では、記録部21が第1所定方向D1に移動する場合に、第1強規制部45Aによって、第1ウォーム35Aの回転負荷が予め大きくなるように設定されている。これにより、記録部21がメンテナンス部23に接触した場合に、第1ウォーム35Aの回転負荷が閾値を大きく超える。したがって、制御部28は、記録部21を即座に停止させることができる。
【0084】
制御部28は、移動部を反対方向に移動させる場合に、移動部の移動量が閾値を超えることを契機に、駆動源を停止させることによって移動部を停止させてもよい。すなわち、制御部28は、負荷制御に限らず、定ステップ制御を実施することによって、移動部を移動させてもよい。定ステップ制御は、移動部の移動量が閾値を超えることを契機に駆動源を停止させる制御である。移動部の移動量は、例えば、駆動源の回転数、駆動源の回転速度などであらわされる。移動部の移動量は、例えば、エンコーダーにより駆動源の回転に関する情報を取得することによって測定できる。
【0085】
定ステップ制御においては、ウォームの回転負荷が小さいことが好ましい。これは、駆動源の駆動効率を上げるためである。定ステップ制御において、ウォームの回転負荷が大きいと、駆動源の駆動効率を損なうおそれがある。例えば、記録装置11では、記録部21が第1反対方向D2に移動する場合に、第1駆動源32Aの駆動効率を損なうおそれがある。また、例えば、メンテナンス部23が第2反対方向D4に移動する場合に、第2駆動源32Bの駆動効率を損なうおそれがある。この点、本実施例では、記録部21が第1反対方向D2に移動する場合に、第1弱規制部46Aによって、第1ウォーム35Aの回転負荷が小さくなるように設定されている。これにより、記録部21が記録位置P1又はメンテナンス位置P2から退避位置P3に移動する場合に、第1駆動源32Aの駆動効率が上がる。また、メンテナンス部23が第2反対方向D4に移動する場合に、第2弱規制部46Bによって、第2ウォーム35Bの回転負荷が小さくなるように設定されている。これにより、メンテナンス部23が待機位置Q1から接触位置Q2に移動する場合に、第2駆動源32Bの駆動効率が上がる。
【0086】
本実施例では、制御部28は、記録部21を第1所定方向D1に移動させる場合に、負荷制御を実施する。制御部28は、記録部21を第1反対方向D2に移動させる場合に、定ステップ制御を実施する。制御部28は、メンテナンス部23を第2所定方向D3に移動させる場合、及び、第2反対方向D4に移動させる場合の双方において、定ステップ制御を実施する。駆動機構においては、移動させる対象物、移動させる方向などに合わせて、負荷制御及び定ステップ制御を任意に適用できる。
【0087】
<効果>
次に、上記実施例の効果について説明する。
(1)駆動機構において、強規制部とウォームとの摩擦係数は、弱規制部とウォームとの摩擦係数よりも大きい。上記構成によれば、移動部が所定方向に移動する場合に、ウォームの回転負荷が相対的に大きくなる。移動部が反対方向に移動する場合に、ウォームの回転負荷が相対的に小さくなる。このように、強規制部及び弱規制部によって、移動部が移動する方向に合わせてウォームの回転負荷を異ならせることができる。
【0088】
(2)駆動機構において、所定方向に移動する移動部は、下方に移動する。
移動部が所定方向に移動する場合、重力の作用によって移動部の加速度が大きくなりやすい。上記構成によれば、強規制部によってウォームの回転負荷が相対的に大きくなるため、移動部の加速度が大きくなるおそれが低減される。
【0089】
(3)移動装置において、制御部28は、移動部を所定方向に移動させる場合に、ウォームの回転負荷が閾値を超えることを契機に、駆動源を停止させることによって移動部を停止させる。
【0090】
負荷制御では、移動部を即座に停止させるために、移動部に負荷が生じた際にウォームの回転負荷が閾値を大きく超えることが好ましい。上記構成によれば、強規制部によってウォームの回転負荷が予め大きくなるように設定されているため、ウォームの回転負荷に基づいて移動部を即座に停止させやすくなる。
【0091】
(4)移動装置において、制御部28は、移動部を反対方向に移動させる場合に、移動部の移動量が閾値を超えることを契機に、駆動源を停止させることによって移動部を停止させる。
【0092】
定ステップ制御では、駆動源の駆動効率を上げるために、ウォームの回転負荷が小さいことが好ましい。上記構成によれば、弱規制部によってウォームの回転負荷が小さくなるように設定されているため、駆動源の駆動効率が上がる。
【0093】
(5)記録装置11において、第1所定方向D1は、記録部21をメンテナンス部23に接近させる方向である。第1反対方向D2は、記録部21をメンテナンス部23から離す方向である。
【0094】
記録部21をメンテナンス部23に接近させる場合、記録部21がメンテナンス部23に接近しすぎることは好ましくない場合がある。また、記録部21をメンテナンス部23に接触させる場合、記録部21がメンテナンス部23に強く接触することは好ましくない。上記構成によれば、記録部21をメンテナンス部23に接近させる場合に、第1強規制部45Aによって第1ウォーム35Aの回転負荷が相対的に大きくなる。そのため、記録部21がメンテナンス部23に接近しすぎるおそれや強く接触するおそれが低減される。
【0095】
(6)記録装置11は、記録部21を第1所定方向D1及び第1反対方向D2に移動させる第1駆動機構31Aと、メンテナンス部23を第2所定方向D3及び第2反対方向D4に移動させる第2駆動機構31Bとを備える。
【0096】
上記構成によれば、記録部21が第1所定方向D1に移動する場合に、第1ウォーム35Aの回転負荷が相対的に大きくなる。記録部21が第1反対方向D2に移動する場合に、第1ウォーム35Aの回転負荷が相対的に小さくなる。メンテナンス部23が第2所定方向D3に移動する場合に、第2ウォーム35Bの回転負荷が相対的に大きくなる。メンテナンス部23が第2反対方向D4に移動する場合に、第2ウォーム35Bの回転負荷が相対的に小さくなる。このように、強規制部及び弱規制部によって、記録部21及びメンテナンス部23が移動する方向に合わせて第1ウォーム35Aの回転負荷及び第2ウォーム35Bの回転負荷を異ならせることができる。
【0097】
(7)記録装置11において、第1所定方向D1及び第2所定方向D3は、鉛直方向及び水平方向と異なる方向である。第1所定方向D1は、記録部21をメンテナンス部23に接触させる方向である。第1反対方向D2は、記録部21をメンテナンス部23から離す方向である。第2所定方向D3は、メンテナンス部23を記録部21から離す方向である。第2反対方向D4は、メンテナンス部23を記録部21に接近させる方向である。第1所定方向D1に移動する記録部21は、下方に移動する。第2所定方向D3に移動するメンテナンス部23は、下方に移動する。
【0098】
上記構成では、記録部21が第1所定方向D1に移動する場合に、記録部21の加速度が大きくなりやすい。記録部21が第1反対方向D2に移動する場合に、重力に抗するため記録部21が移動しにくい。メンテナンス部23が第2所定方向D3に移動する場合に、メンテナンス部23の加速度が大きくなりやすい。メンテナンス部23が第2反対方向D4に移動する場合に、重力に抗するためメンテナンス部23が移動しにくい。この点、第1強規制部45Aによって、第1ウォーム35Aの回転負荷が相対的に大きくなるため、記録部21の加速度が大きくなるおそれが低減される。第1弱規制部46Aによって、第1ウォーム35Aの回転負荷が相対的に小さくなるため、記録部21が移動しやすくなる。第2強規制部45Bによって、第2ウォーム35Bの回転負荷が相対的に大きくなるため、メンテナンス部23の加速度が大きくなるおそれが低減される。第2弱規制部46Bによって、第2ウォーム35Bの回転負荷が相対的に小さくなるため、メンテナンス部23が移動しやすくなる。
【0099】
<変更例>
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0100】
・記録装置11は、第1駆動機構31A及び第2駆動機構31Bのうち少なくとも1つを備えていればよい。例えば、記録装置11は、第1駆動機構31Aのみを備えていてもよい。例えば、記録装置11は、第2駆動機構31Bのみを備えていてもよい。
【0101】
・記録装置11は、駆動機構ごとに制御部28を備えていてもよい。例えば、記録装置11は、第1駆動機構31Aを制御する第1制御部と、第2駆動機構31Bを制御する第2制御部とを備えていてもよい。
【0102】
・制御部28は、移動部を所定方向に移動させる場合、及び、移動部を反対方向に移動させる場合の双方において、負荷制御を実施してもよい。強規制部と弱規制部とによって、移動部の移動する方向によって移動部に対するブレーキ力を異ならせることができる。
【0103】
・上記実施例では、強規制部及び弱規制部について、動摩擦係数で比較しているが、静摩擦係数で比較してもよい。一般的に、静摩擦係数は、動摩擦係数よりも大きい。ウォームが弱規制部に接触する状態で移動部が所定方向に移動する場合、ウォームと弱規制部との間で静摩擦力が作用する。移動部が所定方向に移動することによってウォームが強規制部に接触する場合、ウォームと強規制部との間で動摩擦力が作用する。ウォームが強規制部に接触する状態で移動部が反対方向に移動する場合、ウォームと強規制部との間で静摩擦力が作用する。移動部が反対方向に移動することによってウォームが弱規制部に接触する場合、ウォームと弱規制部との間で動摩擦力が作用する。そのため、強規制部及び弱規制部によってウォームに静摩擦力が作用する場合に、ウォームが回転できる程度に回転負荷の閾値が設定されているとよい。
【0104】
・所定方向は、鉛直方向と一致してもよい。所定方向は、水平方向と一致してもよい。
・記録部21が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、記録部21が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材または画素材料などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0105】
<技術的思想>
以下に、上述した実施例及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0106】
(A)駆動機構は、移動部を所定方向及び前記所定方向とは反対の反対方向に移動させる駆動機構であって、駆動源と接続され、回転することによって前記移動部を移動させるウォームと、前記ウォームと噛み合うウォームホイールと、前記ウォームを保持する保持部と、を備え、前記保持部は、前記移動部が前記所定方向に移動する場合に、前記ウォームと接触する強規制部と、前記移動部が前記反対方向に移動する場合に、前記ウォームと接触する弱規制部と、を有し、前記強規制部と前記ウォームとの摩擦係数は、前記弱規制部と前記ウォームとの摩擦係数よりも大きい。
【0107】
上記構成によれば、移動部が所定方向に移動する場合に、ウォームの回転負荷が相対的に大きくなる。移動部が反対方向に移動する場合に、ウォームの回転負荷が相対的に小さくなる。このように、強規制部及び弱規制部によって、移動部が移動する方向に合わせてウォームの回転負荷を異ならせることができる。例えば、移動部が下方に移動する場合には、重力によって移動部の加速度が大きくなりやすいため、ウォームの回転負荷が大きくなることが好ましい。例えば、移動部が上方に移動する場合には、重力に抗するために、ウォームの回転負荷が小さいことが好ましい。
【0108】
(B)上記駆動機構は、前記移動部を前記所定方向に移動させる場合に、前記ウォームの回転負荷が閾値を超えることを契機に、前記駆動源を停止させることによって前記移動部を停止させてもよい。
【0109】
ウォームの回転負荷に基づいて移動部を停止させることを負荷制御という。負荷制御では、移動部を即座に停止させるために、移動部に負荷が生じた際にウォームの回転負荷が閾値を大きく超えることが好ましい。上記構成によれば、強規制部によってウォームの回転負荷が予め大きくなるように設定されているため、ウォームの回転負荷に基づいて移動部を即座に停止させやすくなる。
【0110】
(C)上記駆動機構は、前記移動部を前記反対方向に移動させる場合に、前記移動部の移動量が閾値を超えることを契機に、前記駆動源を停止させることによって前記移動部を停止させてもよい。
【0111】
移動部の移動量に基づいて移動部を停止させることを定ステップ制御という。定ステップ制御では、駆動源の駆動効率を上げるために、ウォームの回転負荷が小さいことが好ましい。上記構成によれば、弱規制部によってウォームの回転負荷が小さくなるように設定されているため、駆動源の駆動効率が上がる。
【0112】
(D)上記駆動機構において、前記所定方向に移動する前記移動部は、下方に移動してもよい。
移動部が所定方向に移動する場合、重力の作用によって移動部の加速度が大きくなりやすい。上記構成によれば、強規制部によってウォームの回転負荷が相対的に大きくなるため、移動部の加速度が大きくなるおそれが低減される。
【0113】
(E)移動装置は、上記駆動機構と、前記移動部と、前記駆動機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記移動部を前記所定方向に移動させる場合に、前記ウォームの回転負荷が前記閾値を超えることを契機に、前記駆動源を停止させることによって前記移動部を停止させる。上記構成によれば、上述した駆動機構と同様の効果が得られる。
【0114】
(F)移動装置は、上記駆動機構と、前記移動部と、前記駆動機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記移動部を前記反対方向に移動させる場合に、前記移動部の移動量が前記閾値を超えることを契機に、前記駆動源を停止させることによって前記移動部を停止させてもよい。上記構成によれば、上述した駆動機構と同様の効果を得られる。
【0115】
(G)記録装置は、上記駆動機構と、前記移動部と、を備え、前記移動部は、媒体に記録する記録部である。
上記構成によれば、駆動機構によって記録部を移動させる記録装置において、上述した駆動機構と同様の効果が得られる。
【0116】
(H)上記記録装置は、前記記録部のメンテナンスを実施するメンテナンス部を備え、前記記録部は、媒体に液体を吐出することによって媒体に記録し、前記所定方向は、前記記録部を前記メンテナンス部に接近させる方向であり、前記反対方向は、前記記録部を前記メンテナンス部から離す方向であってもよい。
【0117】
記録部をメンテナンス部に接近させる場合、記録部がメンテナンス部に接近しすぎることは好ましくない場合がある。また、記録部をメンテナンス部に接触させる場合、記録部がメンテナンス部に強く接触することは好ましくない。上記構成によれば、記録部をメンテナンス部に接近させる場合に、強規制部によってウォームの回転負荷が相対的に大きくなるため、記録部がメンテナンス部に接近しすぎるおそれや強く接触するおそれが低減される。
【0118】
(I)上記記録装置は、前記駆動機構及び前記記録部を制御する制御部をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、上述した駆動機構と同様の効果が得られる。
【0119】
(J)記録装置は、上記駆動機構と、媒体に液体を吐出することによって記録する記録部と、前記移動部と、を備え、前記移動部は、前記記録部にメンテナンスを実施するメンテナンス部である。上記構成によれば、駆動機構によってメンテナンス部を移動させる記録装置において、上述した駆動機構と同様の効果が得られる。
【0120】
(K)上記記録装置は、前記駆動機構及び前記記録部を制御する制御部をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、上述した駆動機構と同様の効果が得られる。
【0121】
(L)記録装置は、媒体に液体を吐出することによって記録する記録部と、前記記録部にメンテナンスを実施するメンテナンス部と、前記記録部を第1所定方向及び前記第1所定方向とは反対の第1反対方向に移動させる第1駆動機構と、前記メンテナンス部を第2所定方向及び前記第2所定方向とは反対の第2反対方向に移動させる第2駆動機構と、を備え、前記第2所定方向は、前記第1所定方向及び前記第1反対方向と異なる方向であり、前記第1駆動機構は、第1駆動源と接続され、回転することによって前記記録部を移動させる第1ウォームと、前記第1ウォームと噛み合う第1ウォームホイールと、前記第1ウォームを保持する第1保持部と、を有し、前記第1保持部は、前記記録部が前記第1所定方向に移動する場合に、前記第1ウォームと接触する第1強規制部と、前記記録部が前記第1反対方向に移動する場合に、前記第1ウォームと接触する第1弱規制部と、を有し、前記第2駆動機構は、第2駆動源と接続され、回転することによって前記メンテナンス部を移動させる第2ウォームと、前記第2ウォームと噛み合う第2ウォームホイールと、前記第2ウォームを保持する第2保持部と、を有し、前記第2保持部は、前記メンテナンス部が前記第2所定方向に移動する場合に、前記第2ウォームと接触する第2強規制部と、前記メンテナンス部が前記第2反対方向に移動する場合に、前記第2ウォームと接触する第2弱規制部と、を有し、前記第1強規制部と前記第1ウォームとの摩擦係数は、前記第1弱規制部と前記第1ウォームとの摩擦係数よりも大きく、前記第2強規制部と前記第2ウォームとの摩擦係数は、前記第2弱規制部と前記第2ウォームとの摩擦係数よりも大きい。
【0122】
上記構成によれば、記録部が第1所定方向に移動する場合に、第1ウォームの回転負荷が相対的に大きくなる。記録部が第1反対方向に移動する場合に、第1ウォームの回転負荷が相対的に小さくなる。メンテナンス部が第2所定方向に移動する場合に、第2ウォームの回転負荷が相対的に大きくなる。メンテナンス部が第2反対方向に移動する場合に、第2ウォームの回転負荷が相対的に小さくなる。このように、強規制部及び弱規制部によって、記録部及びメンテナンス部が移動する方向に合わせて第1ウォームの回転負荷及び第2ウォームの回転負荷を異ならせることができる。
【0123】
(M)上記記録装置において、前記第1所定方向及び前記第2所定方向は、鉛直方向及び水平方向と異なる方向であり、前記第1所定方向は、前記記録部を前記メンテナンス部に接近させる方向であり、前記第1反対方向は、前記記録部を前記メンテナンス部から離す方向であり、前記第2所定方向は、前記メンテナンス部を前記記録部から離す方向であり、前記第2反対方向は、前記メンテナンス部を前記記録部に接近させる方向であり、前記第1所定方向に移動する前記記録部は、下方に移動し、前記第2所定方向に移動する前記メンテナンス部は、下方に移動してもよい。
【0124】
上記構成では、記録部が第1所定方向に移動する場合に、記録部の加速度が大きくなりやすい。記録部が第1反対方向に移動する場合に、重力に抗するため記録部が移動しにくい。メンテナンス部が第2所定方向に移動する場合に、メンテナンス部の加速度が大きくなりやすい。メンテナンス部が第2反対方向に移動する場合に、重力に抗するためメンテナンス部が移動しにくい。この点、第1強規制部によって、第1ウォームの回転負荷が相対的に大きくなるため、記録部の加速度が大きくなるおそれが低減される。第1弱規制部によって、第1ウォームの回転負荷が相対的に小さくなるため、記録部が移動しやすくなる。第2強規制部によって、第2ウォームの回転負荷が相対的に大きくなるため、メンテナンス部の加速度が大きくなるおそれが低減される。第2弱規制部によって、第2ウォームの回転負荷が相対的に小さくなるため、メンテナンス部が移動しやすくなる。
【符号の説明】
【0125】
11…記録装置、12…筐体、13…収容部、14…搬送経路、15…搬送部、16…搬送ベルト、17…第1プーリー、18…第2プーリー、19…スタッカー、21…記録部、22…ノズル、23…メンテナンス部、24…接触部、25…支持部、26…押付部、28…制御部、31A…第1駆動機構、31B…第2駆動機構、32A…第1駆動源、32B…第2駆動源、33A…第1出力軸、33B…第2出力軸、34A…第1ウォームギヤ、34B…第2ウォームギヤ、35A…第1ウォーム、35B…第2ウォーム、36A…第1ウォームホイール、36B…第2ウォームホイール、37A…第1駆動歯車、37B…第2駆動歯車、38A…第1ラック、38B…第2ラック、41A…第1保持部、41B…第2保持部、42A…第1基端部分、42B…第2基端部分、43A…第1先端部分、43B…第2先端部分、44A…第1連結部分、44B…第2連結部分、45A…第1強規制部、45B…第2強規制部、46A…第1弱規制部、46B…第2弱規制部、99…媒体、D1…第1所定方向、D2…第1反対方向、D3…第2所定方向、D4…第2反対方向、P1…記録位置、P2…メンテナンス位置、P3…退避位置、Q1…待機位置、Q2…接触位置。