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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020747
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240207BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240207BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240207BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B41J2/175 503
B41J2/18
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123170
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】片倉 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】四十物 孝憲
(72)【発明者】
【氏名】谷口 学
【テーマコード(参考)】
2C056
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA14
2C056EA20
2C056EA22
2C056EA26
2C056FA04
2C056KB13
2C056KB15
2C056KB16
2C056KB23
4F041AA02
4F041AA12
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA32
4F041BA59
4F042AA02
4F042AA22
4F042AB00
4F042AB01
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB19
4F042CB20
4F042CB25
4F042CC21
4F042CC30
4F042DF15
(57)【要約】
【課題】メッシュ型フィルターを用いずに異物を取り除くことができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに液体を供給する液体供給流路と、を有する。液体供給流路は、単管構造の第1領域と、第1領域の下流側に接続された二重管構造の第2領域と、を含み、第2領域のうちの外管は、液体吐出ヘッドへと連通し、第2領域のうちの内管は、液体を貯留する第1貯留部へと液体吐出ヘッドを介さずに連通する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する液体供給流路と、を有する液体吐出装置であって、
前記液体供給流路は、単管構造の第1領域と、前記第1領域の下流側に接続された二重管構造の第2領域と、を含み、
前記第2領域のうちの外管は、前記液体吐出ヘッドへと連通し、
前記第2領域のうちの内管は、前記液体を貯留する第1貯留部へと前記液体吐出ヘッドを介さずに連通する、
液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記第2領域のうちの前記外管の内径に対する前記内管の内径の比率は、前記第2領域と前記第1領域との接続位置である第1位置において、0.75以上である、液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記第1領域の流路長は、前記第1領域の内径の50倍以上である、液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記第2領域のうちの前記外管は、前記第1領域と前記第2領域との接続位置である第1位置よりも下流側に位置する第2位置における内径が、前記第1位置における内径よりも大きくなるように構成されている、液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記第2領域のうちの前記内管は、前記第1領域と前記第2領域との接続位置である第1位置における内径が、前記第1位置よりも下流側に位置する第2位置における内径よりも大きくなるように構成されている、液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記第1領域の流路長は、前記第2領域の流路長よりも長い、液体吐出装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出ヘッドは、
前記液体に圧力を付与する圧力室と、
前記圧力室で付与された前記圧力によって前記液体を吐出するノズルと、
一端が前記液体供給流路と接続し、前記ノズルへと前記液体を供給しつつ前記ノズルから前記液体を排出する循環流路と、
を有する液体吐出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液体吐出装置であって、
前記循環流路は、前記ノズルが接続する流路であって、一方向に延在する流路であるノズル流路を含み、
前記ノズルと前記ノズル流路の上流側の端部との間の距離は、前記ノズル流路の最小幅の50倍以上である、液体吐出装置。
【請求項9】
請求項7に記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出ヘッドから前記液体を排出する液体排出流路を更に備え、
前記循環流路の他端は、前記液体排出流路と接続する、液体吐出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液体吐出装置であって、
前記液体排出流路は、前記単管構造と前記二重管構造とのうち、前記単管構造の領域のみにより構成される、液体吐出装置。
【請求項11】
請求項9に記載の液体吐出装置であって、
前記液体排出流路は、前記第1貯留部と異なる第2貯留部に連通し、
前記液体供給流路は、前記第2貯留部と連通する、液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置として、液滴吐出機構である液体吐出ヘッドを備えたインクジェットプリンターが知られている。液体吐出ヘッドは、規則的に配設された複数のノズルを備える。インクは、かかるノズルから印刷媒体に液滴として吐出される。異物がインク中に存在するとノズルが目詰りして正常な印刷が行われなくなるため、例えば特許文献1では、吐出ヘッド内にメッシュ型のフィルターを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-169200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吐出されるインクの液滴を小さくする場合、ノズル径を小さくする必要がある。かかるノズルの目詰まりを抑制するために、メッシュ型フィルターで除去すべき異物の大きさも小さくなる。しかし、小さい異物を除去するためにメッシュの開口面積を小さくすると、圧力損失が大きくなってしまい、インクをノズルまで適切に供給できない問題がある。また、異物がメッシュ型フィルターに捕捉されることでフィルターが目詰まりすると、フィルターの交換が必要になるため、交換の手間やフィルターの費用等の面でユーザビリティが低い。上述したような問題は、インクジェットプリンターに限らず、任意の液体を吐出する液体吐出装置において共通する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する液体供給流路と、を有する液体吐出装置が提供される。前記液体供給流路は、単管構造の第1領域と、前記第1領域の下流側に接続された二重管構造の第2領域と、を含み、前記第2領域のうちの外管は、前記液体吐出ヘッドへと連通し、前記第2領域のうちの内管は、前記液体を貯留する第1貯留部へと前記液体吐出ヘッドを介さずに連通する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態にかかる液体吐出装置の一例を示す説明図である。
図2】液体吐出ヘッドのXZ平面における概略構成図である。
図3】第1実施形態における液体供給流路の構成を示す説明図である。
図4】異物を含む液体が流れる管の流れ方向に垂直な方向の断面図である。
図5】異物を含む液体が流れる管の流れ方向の断面図である。
図6】第2実施形態にかかる液体吐出装置が備える液体供給流路の流れ方向における断面図である。
図7】第3実施形態にかかる液体吐出装置が備える液体供給流路の流れ方向における断面図である。
図8】第4実施形態にかかる液体吐出装置が備える液体吐出ヘッドのXZ平面における概略構成図である。
図9】第5実施形態にかかる液体吐出装置が備える液体吐出ヘッドのXZ平面における概略構成図である。
図10】第6実施形態にかかる液体吐出装置が備える液体吐出ヘッドのXZ平面における概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A1.液体吐出装置100の全体構成:
図1は、第1実施形態にかかる液体吐出装置100の一例を示す説明図である。第1実施形態の液体吐出装置100は、例えば、印刷用紙などの媒体PPにインクを吐出するインクジェットプリンターである。媒体PPは、印刷用紙に限らず、樹脂フィルムや布帛等の任意の印刷対象であってもよい。図1には、X軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向とが示されている。X軸方向には、+X方向と、+X方向とは反対の方向である-X方向とが含まれる。Y軸方向には、+Y方向と、+Y方向とは反対の方向である-Y方向とが含まれる。Z軸方向には、+Z方向と、+Z方向とは反対の方向である-Z方向とが含まれる。X軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向とは互いに直交している。図1に示すX軸方向とY軸方向とZ軸方向との各方向は、図1以降の各図においても共通する。
【0009】
図1に示すように、液体吐出装置100は、粒子を含有する液体を吐出する複数の液体吐出ヘッド1と、制御装置90と、液体容器93と、循環機構94と、液体供給流路200と、第1貯留部300と、液体排出流路600と、を備える。制御装置90は、例えば、CPU等のマイクロプロセッサーと、半導体メモリー等の記憶回路と、を含むマイクロコンピューターである。制御装置90は、記憶回路に予め格納されたプログラムを実行することにより、液体吐出装置100の各部の動作を制御する。
【0010】
液体容器93には、液体が貯留されている。液体は、例えば、顔料が溶媒中に分散されたインクである。液体は、顔料を含有するインクに制限されず、染料を含有するインクや、顔料と染料との双方を含有するインクであってもよい。インクは、水性インク、油性インク、ジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を含む。液体容器93は、例えば、液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクを補充可能なインクタンク等である。液体容器93には、色が相違する複数の種類のインクが貯留されている。
【0011】
循環機構94は、液体容器93に貯留された液体を、液体吐出ヘッド1に供給するポンプである。本実施形態では、循環機構94は、制御装置90による制御のもとで、液体容器93に貯留される複数種類の液体のうちいずれかの液体を選択して、一つの液体吐出ヘッド1に供給することができる。すなわち、本実施形態の液体吐出ヘッド1には、制御装置90が液体の種類を切り換えることによって、複数の種類の液体のそれぞれが個別に供給され得る。循環機構94は、液体吐出ヘッド1内に貯留された液体を液体排出流路600を介して回収し、回収した液体を液体供給流路200を介して液体吐出ヘッド1に還流させる。
【0012】
液体供給流路200は、循環機構94と液体吐出ヘッド1とを接続する流路である。本開示において、液体供給流路200は、単管構造の第1領域と二重管構造の第2領域とから構成される。「二重管構造」とは、外管の内部に内管が軸線方向を一致させた状態で配置された構造を意味する。二重管構造のうちで外管を流れる液体、即ち外管の内壁面と内管の外壁面との間の領域を流れる液体は、第1分岐流路401を介して液体吐出ヘッド1へと供給される。二重管構造のうちで内管を流れる液体、即ち内管の内側の領域を流れる液体は、継手500により第2分岐流路402を介して第1貯留部300へと供給される。即ち、本開示における継手500は、二重管の外管と内管を分岐できるように構成された継手である。そのような継手500は、例えば外管継手と内管継手とを備え、外管継手は略直角に湾曲する湾曲部を有し、内管継手は外管継手の内側に在って湾曲部を貫通するように構成されている。なお、第1分岐流路401は、液体供給流路200の一部とみなすこともできる。液体供給流路200および第1貯留部300の詳細については、後述する。
【0013】
本開示の液体吐出装置100は、さらに、移動機構91と、搬送機構92と、を備える。移動機構91は、制御装置90の制御により、媒体PPを+Y方向に向かって搬送する。搬送機構92は、複数の液体吐出ヘッド1を収容する収納ケース921と、収納ケース921が固定された無端ベルト922と、を備える。搬送機構92は、制御装置90の制御のもとで、収納ケース921を取り付けた無端ベルト922を動作させることによって、液体吐出ヘッド1をX軸方向に沿って往復移動させる。媒体PPの搬送方向と、液体吐出ヘッド1の移動方向とは、直交のみに限らず、所定の角度で交差していてもよい。液体容器93および循環機構94は、液体吐出ヘッド1とともに収納ケース921に収納されてもよい。
【0014】
液体吐出ヘッド1は、制御装置90の制御のもとで、液体吐出ヘッド1に設けられた複数のノズルの一部または全部から液体を吐出する。本開示において、液体の吐出方向は、+Z方向である。液体吐出ヘッド1は、移動機構91による媒体PPの搬送と、搬送機構92による液体吐出ヘッド1の往復動と、を連動させながらノズルから液体を吐出して、媒体PPの表面に液体を着弾させる。この結果、媒体PPの表面に所望の画像が形成される。液体の吐出方向は、+Z方向に限らず、XY平面に交差する任意の方向であってもよい。
【0015】
図2は、液体吐出ヘッド1のXZ平面における概略構成図である。図2中の破線の矢印の方向は、液体が流れる方向を示す。液体吐出ヘッド1は、連通板2と、圧力室基板3と、振動板4と、共通液室形成基板5と、配線基板8と、コンプライアンスシート61,62と、を備える。なお、図2では図示していないが、実際にはY方向に並ぶ複数の圧電素子PZ1(後述)を覆うような凹部と、Y方向に並ぶ複数の圧電素子PZ2(後述)を覆うような凹部と、が少なくとも設けられた封止基板が更に備えられている。後述する図8図9図10でも同様である。
【0016】
ノズル基板60は、XY平面と略平行となるように配置された板状部材である。ノズル基板60は、例えば、エッチング等の半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ノズル基板60には、液体の吐出口として機能するノズルNzが形成される。ノズルNzは、ノズル基板60に設けられた貫通孔である。
【0017】
連通板2は、ノズル基板60の-Z方向側の面上に設けられている。連通板2は、XY平面と略平行となるように配置された板状部材である。連通板2には複数の貫通孔が設けられており、後述する循環流路120の一部を形成する。連通板2は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。
【0018】
共通液室形成基板5は、連通板2の-Z方向側の面上に設けられている。共通液室形成基板5と連通板2とにより囲まれる領域により、第1共通液室111と、第2共通液室112とが形成されている。第1共通液室111の-Z側には第1貫通孔51が形成されている。第1共通液室111は、第1貫通孔51を介して液体供給流路200と接続している。また、第2共通液室112の-Z側には第2貫通孔52が形成されている。第2共通液室112は、第2貫通孔52を介して液体排出流路600と接続している。共通液室形成基板5は、例えば、樹脂材料の射出成形により形成される。
【0019】
圧力室基板3は、連通板2の-Z方向側の面上に設けられた板状部材である。圧力室基板3は、XY平面に略平行となるように配置されている。圧力室基板3は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。
【0020】
振動板4は、圧力室基板3の-Z方向側の面上に設けられた板状部材である。振動板4は、弾性的に振動可能な部材でもある。連通板2と、圧力室基板3と、振動板4と、によって圧力室CB1,CB2が形成される。圧力室CB1,CB2は、X軸方向に延在する空間である。振動板4は、XY平面に略平行となるように配置されている。振動板4の-Z方向側の面上には、圧力室CB1,CB2のそれぞれに対応する圧電素子PZ1,PZ2が設けられている。圧電素子PZ1,PZ2は、制御装置90から伝達される電気エネルギーを運動エネルギーに変換する、エネルギー変換素子である。圧電素子PZ1,PZ2の変位により振動板4が撓むことで、圧力室CB1,CB2内の液体に圧力を付与する。かかる圧力により、ノズルNzから液体が吐出される。本開示において、圧電素子PZ1,PZ2は、電位変化に応じて変形する受動素子である。
【0021】
配線基板8は、振動板4の-Z方向側に実装されている。配線基板8は、制御装置90と、液体吐出ヘッド1とを電気的に接続するための部品である。配線基板8としては、例えば、フレキシブルプリント回路基板(Flexible printed circuits,FPC)等の可撓性の配線基板が用いられる。配線基板8には、駆動回路81が実装されている。駆動回路81は、制御装置90の制御信号に基づいて、圧電素子PZ1,PZ2に駆動信号を供給する。
【0022】
コンプライアンスシート61,62は、連通板2の+Z方向側の面に設けられている。コンプライアンスシート61,62には、例えば、弾性材料が用いられる。コンプライアンスシート61,62は、後述する循環流路120内の液体の圧力変動を吸収する。
【0023】
液体吐出ヘッド1内には、上述した連通板2と、圧力室基板3と、振動板4と、共通液室形成基板5と、コンプライアンスシート61,62と、によって循環流路120が形成される。循環流路120は、液体供給流路200から供給された液体が液体排出流路600に排出されるまでの液体吐出ヘッド1における流路である。循環流路120は、一端が液体供給流路200と接続し、他端が液体排出流路600と接続している。具体的には、循環流路120は、第1共通液室111と、第1接続流路121と、第2接続流路122と、ノズル流路130と、第3接続流路123と、第4接続流路124と、第2共通液室112と、を含む。第1接続流路121は、第1共通液室111と圧力室CB1とを接続する流路である。第2接続流路122は、圧力室CB1とノズル流路130とを接続する。第3接続流路123は、ノズル流路130と圧力室CB2とを接続する。第4接続流路124は、圧力室CB2と第2共通液室112とを接続する。圧力室CB1と圧力室CB2とは、循環流路120の一部を形成しているということもできる。ノズル流路130は、X軸方向に延在する流路であり、X軸方向の中央付近においてノズルNzと接続している。
【0024】
本開示において、循環機構94によって液体容器93から供給された液体は、液体供給流路200を介して、第1共通液室111に供給される。第1共通液室111に流入した液体の一部は、第1接続流路121を経由して圧力室CB1に流入する。圧力室CB1に流入した液体の一部は、第2接続流路122と、ノズル流路130と、第3接続流路123と、をこの順に経由して、圧力室CB2に流入する。圧力室CB2に流入した液体の一部は、第4接続流路124と第2共通液室112とをこの順に経由した後に、液体排出流路600に排出される。排出された液体は、循環機構94により再度液体供給流路200を介して第1共通液室111に供給される。このように液体は、液体供給流路200と、液体吐出ヘッド1と、液体排出流路600と、をこの順番に循環する。
【0025】
A2.液体供給流路200の構成:
図3は、第1実施形態における液体供給流路200の構成を示す説明図である。図3の白抜きの矢印の方向は、液体の流れる方向を示す。図3において下流側の記載は一部を省略している。図3に示すように、液体供給流路200は、単管構造の第1領域210と、二重管構造の第2領域220とを有する。具体的には、第1領域210は、外管201により構成され、第2領域220は、外管201および内管202から構成される。外管201と内管202の中心軸Cは、略同一である。また、第1領域210は上流側に位置し、第2領域220は下流側に位置する。
【0026】
本実施形態において、第1領域210の流路長L1は、第1領域210の内径、即ち外管201の内径D1の50倍以上であることが好ましい。即ち、流路長L1は、下記式(1)の関係を満たす長さであることが好ましい。
L1≧50×D1…(1)
【0027】
また、第1領域210と第2領域220との接続位置である第1位置211において、外管201の内径D1に対する内管202の内径D2の比率は、0.75以上であることが好ましい。即ち、外管201の内径D1に対する内管202の内径D2の比率は、下記式(2)の関係を満たす長さであることが好ましい。
D2/D1≧0.75…(2)
【0028】
上述のように第1領域210の長さL1と、外管201の内径D1に対する内管202の比率と、を設定することが好ましい理由について次に説明する。図4は、異物S1,S2を含む液体が流れる管Tの流れ方向に垂直な方向の断面図である。管Tは、一般的な管である。図4に示す破線は、中心がCであり直径がD4の円周を示す。図5は、異物S1,S2を含む液体が流れる管Tの流れ方向の断面図である。図5の白抜きの矢印の方向は、液体の流れる方向を示す。図5において下流側の記載は一部を省略している。液体中に直径dの球状の異物S1,S2が存在する場合、粒子レイノルズ数Repは、下記式(3)により表される。
【0029】
【数1】
(ここで、ρ=液体比重(kg/m)、ρ=異物の比重(kg/m)、μ=液体粘度(Pa・s)、g=重力加速度(m/s)である。)
【0030】
液体中に含まれる主な異物は、角質、土埃などであり、それらの比重ρは、0.8×10~2.0×10kg/mである。液体比重ρを1.0×10kg/m、液体粘度μを一般にインクジェットプリンターで使用されるインク粘度である1~20mPa・s、異物の直径dを10μm以下とすると、上記(3)から得られる粒子レイノルズ数Repは、0.01よりも小さい値であることが分かる。このように粒子レイノルズ数Repが極めて小さい場合、液体と異物粒子とが一体となって運動するため、異物は中立浮遊粒子と見做すことができる。本発明者らは、異物が中立浮遊粒子と見做せる場合、管内を流れる異物は、流れとともに管内を移動し、管の径方向において一定の位置に集中することを見出した。具体的には、異物S1,S2は、図4に示すように、管Tの流れ方向に垂直な方向の断面において、内径D3の管Tの中心Cと略同一の中心を有する直径D4の円周上付近に集中する。ここで、直径D4は、D3の約0.6~0.7倍である。図5に示すように、管Tの内壁に近い場所に位置していた異物S1は、液体の流れとともに中心軸C側に移動し、上述の一定の位置まで移動する。中心軸Cに近い場所に位置していた異物S2は、液体の流れとともに管Tの内壁側に移動し、上述の一定の位置まで移動する。
【0031】
また、本発明者らは、図5に示すように、かかる異物S1,S2の径方向の移動は、管Tの長さ方向において、管Tの入口からL2の距離付近で安定することを見出した。ここで、L2は、管Tの内径D3の約50倍である。
【0032】
このように異物S1,S2が、管Tの流れ方向に垂直な方向において一定の位置に集中することを利用して、液体供給流路200の一部を二重管構造として構成することで、液体供給流路200中の異物S1,S2をトラップすることができる。具体的には、第1領域210の流路長L1と、外管201の内径D1と、内管202の内径D2と、を上述した式(1)、式(2)の関係を満たすような値に設定することで、異物S1,S2は、第2領域220において内管202に導かれる。ここで、第2領域220の外管201には異物S1,S2がほとんど含まれていない。そして、図1に示すように、継手500により外管201と内管202とを分岐させることで、異物S1,S2をほとんど含まない液体を液体吐出ヘッド1に供給できる。
【0033】
継手500により分岐された内管202は、第2分岐流路402に接続する。第2分岐流路402は、第1貯留部300と接続する。第1貯留部300は、液体を貯留可能な容器である。第1貯留部300には、液体供給流路200の二重管構造によりトラップされた異物S1,S2を含む液体が供給される。第1貯留部300に貯留した液体は、ユーザーによって廃棄されてもよいし、或いは液体容器93に再度供給してもよい。液体容器93に再度供給する前に濾過等による洗浄を行ってもよい。
【0034】
上記第1実施形態によれば、液体供給流路200が二重管構造の第2領域220を有しており、第2領域220の内管202が第1貯留部300に液体吐出ヘッド1を介さずに連通するので、液体供給流路200を流れる液体中の異物S1,S2は、第2領域220において内管202中を流れ、液体吐出ヘッド1を介さずに第1貯留部300に供給される。即ち、二重管構造により、液体供給流路200を流れる液体中の異物S1,S2を第1貯留部300へとトラップすることができる。これにより、異物S1,S2が液体吐出ヘッド1に供給されノズルNzが目詰まりすることを抑制できる。
【0035】
また、二重管構造により異物S1,S2をトラップするので、メッシュ型フィルターで異物S1,S2を捕捉する方法とは異なり、フィルターの交換の手間や費用を必要としない。
【0036】
また、液体供給流路200が単管構造の第1領域210と二重管構造の第2領域220とで構成されているので、液体供給流路200が二重管構造のみで構成される場合と比較して、液体供給流路200全体としての圧力損失を小さくできる。
【0037】
また、異物S1,S2を含む液体は、第1貯留部300に貯留されるので、異物S1,S2を含む液体を容易に廃棄または再利用できる。
【0038】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態にかかる液体吐出装置100が備える液体供給流路200bの流れ方向における断面図である。図6の白抜きの矢印の方向は、液体の流れる方向を示す。第2実施形態の液体供給流路200bにおいて、第2領域220のうちの外管201bは、第1領域210と第2領域220との接続位置である第1位置211よりも下流側に位置する第2位置212における内径が、第1位置211における内径よりも大きくなるように構成されている点で、第1実施形態にかかる液体供給流路200と異なる。第2実施形態における液体供給流路200bのその他の構成は、第1実施形態の液体吐出装置100が備える液体供給流路200と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0039】
図6に示すように、第2実施形態の液体供給流路200bは、第1領域210と第2領域220との接続位置である第1位置211において、外管201bが下流側に向けて広がるテーパー構造を有している。これにより、第1位置211よりも下流側に位置する第2位置212における外管201bの内径D6が、第1位置211における外管201bの内径D5よりも大きくなっている。即ち、第2領域220の外管201bの流路が、下流側に向けて広くなっている。二重管構造の第2領域220の外管201bは、単管構造の第1領域210と比較して圧力損失が大きいため、かかる構成とすることで、第2領域220における圧力損失の増大を抑制できる。
【0040】
以上説明した第2実施形態の液体吐出装置100は、第1実施形態の液体吐出装置100と同様な効果を有する。加えて、第2位置212における外管201bの内径D6が、第1位置211における外管201bの内径D5よりも大きいので、第2領域220における圧力損失の増大を抑制できる。
【0041】
C.第3実施形態:
図7は、第3実施形態にかかる液体吐出装置100が備える液体供給流路200cの流れ方向における断面図である。図7の白抜きの矢印の方向は、液体の流れる方向を示す。第3実施形態の液体供給流路200cにおいて、第2領域220のうちの内管202cは、第1領域210と第2領域220との接続位置である第1位置211における内径が、第1位置211よりも下流側に位置する第2位置212における内径よりも大きくなるように構成されている点で、第1実施形態にかかる液体供給流路200と異なる。第2実施形態における液体供給流路200cのその他の構成は、第1実施形態の液体吐出装置100が備える液体供給流路200と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
図7に示すように、第3実施形態の液体供給流路200cは、第1領域210と第2領域220との接続位置である第1位置211において、内管202cが上流側に向けて広がるテーパー構造を有している。これにより、第1位置211における内管202cの内径D7が、第1位置211よりも下流側に位置する第2位置212における内管202cの内径D8よりも大きくなっている。かかる構成とすることで、第1位置211においては内管202cの内径が大きいので、異物S1,S2を内管202cに導き易くでき、第2位置212においては内管202cの内径が第1位置211よりも小さいので、第2領域220における圧力損失を抑制できる。
【0043】
なお、第3実施形態の液体供給流路200cは、第2実施形態の液体供給流路200bと組み合わせてもよい。即ち、第2位置212における外管201の内径が、第1位置211における外管201の内径よりも大きく構成され、かつ、第1位置211における内管202の内径が、第2位置212における内管202の内径よりも大きく構成されていてもよい。
【0044】
以上説明した第3実施形態の液体吐出装置100は、第1実施形態の液体吐出装置100と同様な効果を有する。加えて、第1位置211における内管202cの内径D7が、第2位置212における内管202cの内径D8よりも大きいので、第2領域220における圧力損失を抑制できる。また、異物S1,S2を内管202cの内部に導き易くできる。
【0045】
D.第4実施形態:
図8は、第4実施形態にかかる液体吐出装置100が備える液体吐出ヘッド1dのXZ平面における概略構成図である。図8の破線の矢印は、液体が流れる方向を示す。第4実施形態の液体吐出ヘッド1dにおいて、ノズルNzdとノズル流路130の上流側の端部との間の距離は、ノズル流路130の最小幅wの50倍以上である点で、第1実施形態の液体吐出装置100が備える液体吐出ヘッド1と異なる。第4実施形態における液体吐出ヘッド1dのその他の構成は、第1実施形態の液体吐出ヘッド1と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0046】
第1実施形態の液体吐出ヘッド1においては、ノズルNzがX軸方向の中央付近に設けられていたが、第4実施形態の液体吐出ヘッド1dでは、ノズルNzdは、ノズルNzdとノズル流路130の上流側の端部との距離L3がノズル流路130の最小幅wの50倍以上となる位置に構成されている。本実施形態において、「ノズル流路130の最小幅w」とは、ノズル流路130の液体が流れる方向と垂直な断面において、最も短い幅をいう。具体的には、ノズル流路130の断面が略円形である場合、断面の直径が最小幅wである。また、ノズル流路130の断面が略長方形である場合、長方形の短辺が最小幅wである。
【0047】
第1実施形態で説明したように、液体供給流路200中の異物S1,S2は、流路の流れ方向と垂直な断面において、流路と同一の中心を有し内径の約0.6~0.7倍の直径を有する円周上付近に移動する。また、かかる異物S1,S2の径方向の移動は、流路の長さ方向において、流路の内径の約50倍の長さの位置において安定する。このような異物S1,S2の移動を利用して、ノズルNzdとノズル流路130の上流側の端部との距離L3がノズル流路130の最小幅wの50倍以上となる位置にノズルNzdを設けることで、ノズル流路130に供給されてしまった異物S1,S2が、ノズルNzdに排出されることを抑制できる。具体的には、ノズル流路130中の液体は、ノズルNzdに近い+Z方向の液体から先にノズルNzdから吐出される。そこで、ノズルNzdとノズル流路130の上流側の端部との距離L3がノズル流路130の最小幅wの50倍以上である位置にノズルNzdを設けることで、ノズルNzd付近では異物S1,S2が流路の最小幅の約0.6~0.7倍の位置に移動するため、ノズルNzdに異物S1,S2が排出されることを抑制できる。
【0048】
以上説明した第4実施形態の液体吐出装置100は、第1実施形態の液体吐出装置100と同様な効果を有する。加えて、ノズルNzdとノズル流路130の上流側の端部との間の距離が、ノズル流路130の最小幅wの50倍以上なので、液体吐出ヘッド1に異物S1,S2が供給されてしまった場合でも、異物S1,S2がノズルNzdに排出されることに起因するノズルNzdの目詰まりや、印刷不良を抑制できる。
【0049】
E.第5実施形態:
図9は、第5実施形態にかかる液体吐出装置100が備える液体吐出ヘッド1eのXZ平面における概略構成図である。図9の破線の矢印は、液体が流れる方向を示す。第5実施形態の液体吐出ヘッド1eにおいて、液体排出流路600は、第1貯留部300と異なる第2貯留部700に連通し、液体供給流路200eは、第2貯留部700と連通する点で、第1実施形態の液体吐出装置100が備える液体吐出ヘッド1と異なる。第5実施形態における液体吐出ヘッド1eのその他の構成は、第1実施形態の液体吐出ヘッド1と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図9に示すように、第2貯留部700は、液体排出流路600と液体供給流路200eと連通している。なお、第1実施形態における液体供給流路200は、循環機構94と液体吐出ヘッド1とを接続し循環機構94の下流側に在る流路であったが、本実施形態における液体供給流路200eは、第1液体供給流路221と第2液体供給流路222とを含む流路である。第1液体供給流路221は、循環機構94と継手500とを接続し、循環機構94の下流側に在る流路である。第2液体供給流路222は、第2貯留部700と循環機構94とを接続し、循環機構94の上流側に在る流路である。
【0051】
第2貯留部700は、液体を貯留可能な容器である。第2貯留部700には、液体吐出ヘッド1の循環流路120を循環した液体が、液体排出流路600を介して供給される。即ち、第2貯留部700に貯留される液体は、液体供給流路200eの二重管構造により異物S1,S2を取り除かれた液体なので、異物S1,S2をほとんど含まない液体である。第2貯留部700に貯留された液体は、再度液体供給流路200eにより液体吐出ヘッド1に供給される。また、第2貯留部700は、外部から液体を供給可能に構成されている。
【0052】
以上説明した第5実施形態の液体吐出装置100は、第1実施形態の液体吐出装置100と同様な効果を有する。加えて、第2貯留部700が液体排出流路600と液体供給流路200eと連通しているので、第2貯留部700は、液体供給流路200eの二重管構造により異物S1,S2が取り除かれた液体を貯留でき、貯留した液体を再度液体供給流路200eに供給できる。また、第2貯留部700に外部から直接液体を補給することで、液体吐出ヘッド1に供給される液体の補給を行うことができる。
【0053】
F.第6実施形態:
図10は、第6実施形態にかかる液体吐出装置100が備える液体吐出ヘッド1fのXZ平面における概略構成図である。図10の破線の矢印は、液体が流れる方向を示す。第6実施形態の液体吐出ヘッド1fは、第1貯留部300と循環機構94とを接続する連結流路403を有する点で、第1実施形態の液体吐出装置100が備える液体吐出ヘッド1と異なる。第6実施形態における液体吐出ヘッド1fのその他の構成は、第1実施形態の液体吐出ヘッド1と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
図10に示すように、連結流路403は、第1貯留部300と循環機構94とを接続する流路である。第1貯留部300に貯留された液体は、連結流路403を介して再び循環機構94に供給される。循環機構94に供給された液体は、液体供給流路200に供給される。
【0055】
以上説明した第6実施形態の液体吐出装置100は、第1実施形態の液体吐出装置100と同様な効果を有する。加えて、第1貯留部300が連結流路403により循環機構94と接続しているので、第1貯留部300に貯留された液体を循環機構94に循環させることができる。
【0056】
G.他の実施形態:
(G1)各実施形態において、液体供給流路200における第1領域210の流路長は、第2領域220の流路長より長くてもよい。二重管構造の第2領域220は、単管構造の第1領域210よりも圧力損失が大きいので、液体供給流路200をかかる構成にすることで、液体供給流路200全体としての圧力損失の増大を抑制できる。
【0057】
(G2)各実施形態において、液体吐出ヘッド1が循環式のヘッドである構成について説明したが、本開示はこれに限定されない。液体吐出ヘッド1は、非循環式のヘッドであってもよい。
【0058】
(G3)各実施形態において、液体排出流路600は、単管構造と二重管構造とのうちで、単管構造の領域により構成されてもよい。かかる構成にすることで、液体排出流路600における圧力損失の増大を抑制できる。また、第1分岐流路401と、第2分岐流路402と、連結流路403と、も同様に単管構造の領域により構成されてもよい。
【0059】
(G4)各実施形態において、第2領域220のうちの外管201の内径に対する内管202の内径の比率は、第2領域220と第1領域210との接続位置である第1位置211において、0.75以上0.9以下であってもよい。かかる構成にすることで、異物S1,S2を内管202に導き易くしながら、第2領域220における圧力損失の増大を抑制できる。
【0060】
(G5)第2実施形態において、第1位置211における外管201bが下流側に向けて広がるテーパー構造を有する構成について説明したが、本開示はこれに限定されない。第1位置211における外管201bは、内径が下流側に向けて徐々に広がる構成であってもよいし、内径が下流側に向けて階段状に広がる構成であってもよい。
【0061】
(G6)第3実施形態において、第1位置211における内管202cが上流側に向けて広がるテーパー構造を有する構成について説明したが、本開示はこれに限定されない。第1位置211における内管202cは、内径が上流側に向けて徐々に広がる構成であってもよいし、液体の流れ方向の断面において、内径が上流側に向けて階段状に広がる構成であってもよい。
【0062】
(G7)第6実施形態において、連結流路403が、第1貯留部300と循環機構94とを接続する構成について説明したが、本開示はこれに限定されない。連結流路403は、第1貯留部300と液体供給流路200とを接続してもよい。或いは、連結流路403は、第1貯留部300と液体排出流路600とを接続してもよい。
【0063】
(G8)各実施形態において、圧力室CB1,CB2が2つ設けられた液体吐出ヘッド1について説明したが、本開示はこれに限定されない。圧力室は、例えば1つ、3つ等、任意の個数設けられてもよい。
【0064】
(G9)各実施形態において、第1領域210の長さL1と、外管201の内径D1に対する内管202の比率とは、上述した式(1)、式(2)を満たすことが好ましいが、本開示はこれに限定されない。第1領域210の長さL1と、外管201の内径D1に対する内管202の比率とは、必ずしも上述した式(1)、式(2)を満たさなくてもよい。
【0065】
H.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0066】
(1)本開示の一形態によれば、液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに液体を供給する液体供給流路と、を有する液体吐出装置が提供される。液体供給流路は、単管構造の第1領域と、第1領域の下流側に接続された二重管構造の第2領域と、を含み、第2領域のうちの外管は、液体吐出ヘッドへと連通し、第2領域のうちの内管は、液体を貯留する第1貯留部へと液体吐出ヘッドを介さずに連通する。
【0067】
この形態の液体吐出装置によれば、液体供給流路が二重管構造の第2領域を含み、第2領域のうちの内管は液体ヘッドを介さずに第1貯留部へと連通しているので、異物を含む液体を第1貯留部にトラップすることができる。また、二重管構造により異物をトラップするので、メッシュ型フィルターで異物を捕捉する方法とは異なり、フィルターの交換の手間や費用を必要としない。また、液体供給流路が単管構造の第1領域と二重管構造の第2領域とで構成されているので、液体供給流路が二重管構造のみで構成される場合と比較して、液体供給流路全体としての圧力損失を小さくできる。また、異物を含む液体が第1貯留部に貯留されるので、異物を含む液体を容易に廃棄または再利用できる。
【0068】
(2)上記形態の液体吐出装置において、第2領域のうちの外管の内径に対する内管の内径の比率は、第2領域と第1領域との接続位置である第1位置において、0.75以上であってもよい。
【0069】
この形態の液体吐出装置によれば、第1位置における外管の内径に対する内管の内径の比率が0.75以上なので、異物を確実に内管に導くことができる。
【0070】
(3)上記形態の液体吐出装置において、第1領域の流路長は、第1領域の内径の50倍以上であってもよい。
【0071】
この形態の液体吐出装置によれば、第1領域の流路長が第1領域の内径の50倍以上なので、異物が一定の位置に移動する流路を十分に確保できる。
【0072】
(4)上記形態の液体吐出装置において、第2領域のうちの外管は、第1領域と第2領域との接続位置である第1位置よりも下流側に位置する第2位置における内径が、第1位置における内径よりも大きくなるように構成されていてもよい。
【0073】
この形態の液体吐出装置によれば、外管の第2位置における内径が第1位置における内径よりも大きいので、第2領域における圧力損失の増大を抑制できる。
【0074】
(5)上記形態の液体吐出装置において、第2領域のうちの内管は、第1領域と第2領域との接続位置である第1位置における内径が、第1位置よりも下流側に位置する第2位置における内径よりも大きくなるように構成されていてもよい。
【0075】
この形態の液体吐出装置によれば、内管の第1位置における内径が、第2位置における内径よりも大きいので、異物を内管に導き易くしながら第2領域における圧力損失の増大を抑制できる。
【0076】
(6)上記形態の液体吐出装置において、第1領域の流路長は、第2領域の流路長よりも長くてもよい。
【0077】
この形態の液体吐出装置によれば、第1領域の流路長が、第2領域の流路長よりも長いので、液体供給流路全体としての圧力損失の増大を抑制できる。
【0078】
(7)上記形態の液体吐出装置において、液体吐出ヘッドは、液体に圧力を付与する圧力室と、圧力室で付与された圧力によって液体を吐出するノズルと、一端が液体供給流路と接続し、ノズルへと液体を供給しつつノズルから液体を排出する循環流路と、を有してもよい。
【0079】
この形態の液体吐出装置によれば、液体を液体供給流路から循環流路に供給しながら液体の吐出を行うことができる。
【0080】
(8)上記形態の液体吐出装置において、循環流路は、ノズルが接続する流路であって、一方向に延在する流路であるノズル流路を含み、ノズルとノズル流路の上流側の端部との間の距離は、ノズル流路の最小幅の50倍以上であってもよい。
【0081】
この形態の液体吐出装置によれば、ノズルとノズル流路の上流側の端部との間の距離が、ノズル流路の最小幅の50倍以上であるので、ノズル付近の液体中の異物は、ノズル流路の流れ方向と垂直な断面において、ノズル流路の最小幅の約0.6~0.7倍の位置に移動する。したがって、ノズル流路を流れる異物がノズルから排出されることに起因するノズルの目詰まりや印刷不良を抑制できる。
【0082】
(9)上記形態の液体吐出装置において、液体吐出ヘッドから液体を排出する液体排出流路を更に備え、循環流路の他端は、液体排出流路と接続していてもよい。
【0083】
この形態の液体吐出装置によれば、液体吐出ヘッド中の液体を液体吐出ヘッド1の外部に排出できる。
【0084】
(10)上記形態の液体吐出装置において、液体排出流路は、単管構造と二重管構造とのうち、単管構造の領域のみにより構成されてもよい。
【0085】
この形態の液体吐出装置によれば、液体排出流路が単管構造のみにより構成されているので、液体排出流路における圧力損失の増大を抑制できる。
【0086】
(11)上記形態の液体吐出装置において、液体排出流路は、第1貯留部と異なる第2貯留部に連通し、液体供給流路は、第2貯留部と連通していてもよい。
【0087】
この形態の液体吐出装置によれば、第2貯留部が液体排出流路と液体供給流路と連通しているので、第2貯留部は、液体吐出ヘッドを循環した液体を貯留し、貯留した液体を液体供給流路に供給できる。また、外部から第2貯留部に液体を補給できる。
【0088】
本開示は、インクジェット方式に限らず、インク以外の他の液体を吐出する任意の液体吐出装置にも適用できる。例えば、以下のような各種の液体吐出装置に適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ (Field Emission Display,FED)等の電極形成に用いられる電極材吐出装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を吐出する液体吐出装置
(5)精密ピペットとしての試料吐出装置
(6)潤滑油の吐出装置
(7)樹脂液の吐出装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を吐出する液体吐出装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置。
【0089】
なお、「液滴」とは、液体吐出装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体吐出装置が吐出させることができるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
【符号の説明】
【0090】
C…中心、CB1,CB2…圧力室、D1,D2,D3,D5,D6,D7,D8…内径、D4…直径、L1…流路長、Nz,Nzd…ノズル、PP…媒体、Rep…粒子レイノルズ数、S1,S2…異物、T…管、w…最小幅、1,1d,1e,1f…液体吐出ヘッド、2…連通板、3…圧力室基板、4…振動板、5…共通液室形成基板、8…配線基板、51…第1貫通孔、52…第2貫通孔、60…ノズル基板、61,62…コンプライアンスシート、81…駆動回路、90…制御装置、91…移動機構、92…搬送機構、93…液体容器、94…循環機構、100…液体吐出装置、111…第1共通液室、112…第2共通液室、120…循環流路、121…第1接続流路、122…第2接続流路、123…第3接続流路、124…第4接続流路、130…ノズル流路、200,200b,200c,200e…液体供給流路、201,201b…外管、202,202c…内管、210…第1領域、211…第1位置、212…第2位置、220…第2領域、221…第1液体供給流路、222…第2液体供給流路、300…第1貯留部、401…第1分岐流路、402…第2分岐流路、403…連結流路、500…継手、600…液体排出流路、700…第2貯留部、921…収納ケース、922…無端ベルト、PZ1,PZ2…圧電素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10