(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020749
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ヘッドユニット
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123172
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】石倉 拓朗
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FA10
2C056HA07
2C056HA37
(57)【要約】
【課題】ヘッドからインクが漏れ出た場合にインクとの接触を避けたい部品にインクが至ることを抑制する。
【解決手段】インクを吐出するヘッド16と、ヘッド16を保持する第1ヘッド保持部材17Aと、インクの経路とは異なる位置に設けられる第1部品201と、を備え、第1ヘッド保持部材17Aは、インクを第1部品201に向かう方向とは異なる第1方向へ誘導する第1インク誘導部180を有するヘッドユニット15。このような構成のヘッドユニット15とすることで、ヘッド16からインクが漏れ出た場合にインクとの接触を避けたい部品にインクが至ることを抑制することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するヘッドと、
前記ヘッドを保持する第1ヘッド保持部材と、
前記インクの経路とは異なる位置に設けられる第1部品と、
を備え、
前記第1ヘッド保持部材は、前記インクを前記第1部品に向かう方向とは異なる第1方向へ誘導する第1インク誘導部を有することを特徴とするヘッドユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドユニットにおいて、
前記第1インク誘導部は、前記第1方向に延設される溝を有することを特徴とするヘッドユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のヘッドユニットにおいて、
前記第1インク誘導部は、前記第1方向に延設される突起を有することを特徴とするヘッドユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のヘッドユニットにおいて、
前記第1ヘッド保持部材に対して隣接し、前記ヘッドを保持する第2ヘッド保持部材を備え、
前記第2ヘッド保持部材は、前記インクを前記第1部品に向かう方向とは異なる第2方向へ誘導する第2インク誘導部を有することを特徴とするヘッドユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のヘッドユニットにおいて、
前記第2ヘッド保持部材は、前記第1ヘッド保持部材に対して少なくとも一部が重力方向の下方に隣接し、
前記第1インク誘導部は、前記インクを前記第1方向として重力方向の下方に誘導し、
前記第2インク誘導部は、前記インクを前記第2方向として重力方向の下方に誘導することを特徴とするヘッドユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のヘッドユニットにおいて、
前記第1ヘッド保持部材と前記第2ヘッド保持部材とが隣接する部分の間隔は、前記第1インク誘導部と前記第2インク誘導部とが重力方向において重なる第1領域の方が、前記第1インク誘導部と前記第2インク誘導部とが重力方向において重ならない第2領域よりも広いことを特徴とするヘッドユニット。
【請求項7】
請求項4に記載のヘッドユニットにおいて、
前記第2インク誘導部は、前記第2方向に延設される溝を有することを特徴とするヘッドユニット。
【請求項8】
請求項4に記載のヘッドユニットにおいて、
前記第2インク誘導部は、前記第2方向に延設される突起を有することを特徴とするヘッドユニット。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載のヘッドユニットにおいて、
前記ヘッドは、前記ヘッドから漏れ出たインクを前記第1インク誘導部に向けて誘導する第3インク誘導部を有することを特徴とするヘッドユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からインクジェットプリンターなどにおいて、インクを吐出するヘッドと、ヘッドを保持するヘッド保持部材と、を備えるヘッドユニットが使用されている。このようなヘッドユニットにおいては、ヘッドからインクが漏れ出る場合がある。そこで、例えば、特許文献1には、少なくともヘッド基板の露出領域を覆うように遮蔽部材が形成されるとともに、該遮蔽部材にインクがかかった場合により多くのインクを保持することができるようにインク保持溝が形成される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来からインクジェットプリンターなどのヘッドユニットには、各種センサーなど、ヘッドからインクが漏れ出た場合にインクとの接触を避けたい部品が搭載される場合がある。しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ヘッドから漏れ出たインクの量が多いと、インク保持溝からインクが溢れ出る場合がある。そして、このような場合、ヘッドユニットの構成などによっては、ヘッドから漏れ出たインクがインクとの接触を避けたい部品に至る虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明のヘッドユニットは、インクを吐出するヘッドと、前記ヘッドを保持する第1ヘッド保持部材と、前記インクの経路とは異なる位置に設けられる第1部品と、を備え、前記第1ヘッド保持部材は、前記インクを前記第1部品に向かう方向とは異なる第1方向へ誘導する第1インク誘導部を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施例の印刷装置としてのプリンターの構成を示す断面図。
【
図3】
図1のプリンターのヘッドユニットであってインク供給ユニットを取り外した状態を示す平面図。
【
図4】
図3のヘッドユニットのキャリッジを示す平面図。
【
図5】
図4のキャリッジにおいて第1ヘッド保持部材を取り外し第2ヘッド保持部材のみを示す平面図。
【
図6】
図4のキャリッジにおける第1インク誘導部及び第2インク誘導部の周辺部分を表す斜視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
本発明の第1の態様に係るヘッドユニットは、インクを吐出するヘッドと、前記ヘッドを保持する第1ヘッド保持部材と、前記インクの経路とは異なる位置に設けられる第1部品と、を備え、前記第1ヘッド保持部材は、前記インクを前記第1部品に向かう方向とは異なる第1方向へ誘導する第1インク誘導部を有することを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、第1ヘッド保持部材はインクを第1部品に向かう方向とは異なる第1方向へ誘導する第1インク誘導部を有する。このため、第1部品がインクとの接触を避けたい部品である構成において、第1インク誘導部がヘッドから漏れ出たインクを第1部品に向かう方向とは異なる第1方向へ誘導することによって、インクとの接触を避けたい第1部品にインクが至ることを抑制することができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、前記第1の態様のヘッドユニットにおいて、前記第1インク誘導部は、前記第1方向に延設される溝を有することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、第1インク誘導部は第1方向に延設される溝を有する。このため、該溝によってヘッドから漏れ出たインクを第1部品に向かう方向とは異なる第1方向へ誘導することができる。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、前記第1の態様のヘッドユニットにおいて、前記第1インク誘導部は、前記第1方向に延設される突起を有することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、第1インク誘導部は第1方向に延設される突起を有する。このため、該突起によってヘッドから漏れ出たインクを第1部品に向かう方向とは異なる第1方向へ誘導することができる。
【0013】
また、本発明の第4の態様は、前記第1から第3のいずれか1つの態様のヘッドユニットにおいて、前記第1ヘッド保持部材に対して隣接し、前記ヘッドを保持する第2ヘッド保持部材を備え、前記第2ヘッド保持部材は、前記インクを前記第1部品に向かう方向とは異なる第2方向へ誘導する第2インク誘導部を有することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、第1ヘッド保持部材に対して隣接するとともにヘッドを保持する第2ヘッド保持部材を備え、第2ヘッド保持部材はインクを第1部品に向かう方向とは異なる第2方向へ誘導する第2インク誘導部を有する。このように第2インク誘導部が設けられることにより、第1インク誘導部でインクが滞留しにくくすることができ、また、第2インク誘導部がヘッドから漏れ出たインクを第1部品に向かう方向とは異なる第2方向へ誘導することによって、インクとの接触を避けたい第1部品にインクが至ることを効果的に抑制することができる。
【0015】
また、本発明の第5の態様は、前記第4の態様のヘッドユニットにおいて、前記第2ヘッド保持部材は、前記第1ヘッド保持部材に対して少なくとも一部が重力方向の下方に隣接し、前記第1インク誘導部は、前記インクを前記第1方向として重力方向の下方に誘導し、前記第2インク誘導部は、前記インクを前記第2方向として重力方向の下方に誘導することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、第2ヘッド保持部材は第1ヘッド保持部材に対して少なくとも一部が重力方向の下方に隣接し、第1インク誘導部はインクを重力方向の下方に誘導し、第2インク誘導部はインクを重力方向の下方に誘導する。このため、重力を利用してヘッドから漏れ出たインクを迅速に第1部品に向かう方向とは異なる方向に移動させることができる。
【0017】
また、本発明の第6の態様は、前記第5の態様のヘッドユニットにおいて、前記第1ヘッド保持部材と前記第2ヘッド保持部材とが隣接する部分の間隔は、前記第1インク誘導部と前記第2インク誘導部とが重力方向において重なる第1領域の方が、前記第1インク誘導部と前記第2インク誘導部とが重力方向において重ならない第2領域よりも広いことを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、第1ヘッド保持部材と前記第2ヘッド保持部材とが隣接する部分の間隔は、第1インク誘導部と第2インク誘導部とが重力方向において重なる第1領域の方が、第1インク誘導部と第2インク誘導部とが重力方向において重ならない第2領域よりも広い。このような構成とすることで、第1領域に多くのインクを貯留でき、第1部品に向かう方向とは異なる方向へインクを誘導する際のインクの移動速度が遅くなった場合でも、第1部品にインクが至ることを抑制することができる。
【0019】
また、本発明の第7の態様は、前記第4の態様のヘッドユニットにおいて、前記第2インク誘導部は、前記第2方向に延設される溝を有することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、第2インク誘導部は第2方向に延設される溝を有する。このため、該溝によってヘッドから漏れ出たインクを第1部品に向かう方向とは異なる第2方向へ誘導することができる。
【0021】
また、本発明の第8の態様は、前記第4の態様のヘッドユニットにおいて、前記第2インク誘導部は、前記第2方向に延設される突起を有することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、第2インク誘導部は第2方向に延設される突起を有する。このため、該突起によってヘッドから漏れ出たインクを第1部品に向かう方向とは異なる第2方向へ誘導することができる。
【0023】
また、本発明の第9の態様は、前記第1から第3のいずれか1つの態様のヘッドユニットにおいて、前記ヘッドは、前記ヘッドから漏れ出たインクを前記第1インク誘導部に向けて誘導する第3インク誘導部を有することを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、ヘッドは、ヘッドから漏れ出たインクを第1インク誘導部に向けて誘導する第3インク誘導部を有する。このため、ヘッドから漏れ出たインクが第1インク誘導部に至らないがために第1インク誘導部以外の経路を通って第1部品に至るということを抑制することができる。
【0025】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下の各図においては、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸、及びZ軸として説明する。X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」とし、矢印の方向が+方向であり、+方向と反対の方向を-方向とする。なお、+Z方向を「上」又は「上方」、-Z方向を「下」又は「下方」ということもあり、+Z方向から見ることを平面視あるいは平面的ともいう。また、Z方向+側の面を上面、これと反対側となるZ方向-側の面を下面として説明する。
【0026】
まず、
図1及び
図2を参照しながら、印刷装置としてのプリンター11の構成を説明する。
図1及び
図2に示すように、プリンター11は、例えば、媒体としての用紙99に、液体としてのインクを吐出することにより、文字や、写真などの画像を形成する。
【0027】
プリンター11は、筐体12と、脚部14と、ヘッドユニット15と、プラテン19と、第1媒体保持部23と、第2媒体保持部24と、を備えている。筐体12には、画像が形成された後、すなわち、印刷された後の用紙99を排出する排出口13が設けられている。筐体12は、脚部14によって支持されている。脚部14は、プリンター11において、着脱可能である。脚部14は、プリンター11が設置される設置面A1に接触する。
【0028】
ヘッドユニット15は、筐体12に収容されている。ヘッドユニット15は、用紙99にインクを吐出する。ヘッドユニット15が用紙99にインクを吐出することによって、用紙99に画像が印刷される。ヘッドユニット15は、ヘッド16と、ヘッド16を搭載するキャリッジ17と、を有する。ヘッド16は、インクを吐出する複数のノズル18を有する吐出ユニット16Aと、吐出ユニット16Aにインクを供給するインク供給ユニット16Bと、を有する。本実施例のインク供給ユニット16Bは、後述の液体収容部52から不図示のチューブを介してヘッド16にインクが供給される部材であるとともに、吐出ユニット16Aのノズル18においてインクのメニスカスを形成するための負圧を発生させる部材である。キャリッジ17は、用紙99に対して走査する。具体的には、キャリッジ17は、筐体12内において、幅方向W、すなわち、+X方向及び-X方向に移動する。これにより、ヘッド16は、用紙99の幅にわたってインクを吐出する。
【0029】
本実施形態のプリンター11は、シリアルプリンターである。なお、プリンター11は、用紙99の幅にわたって一斉にインクを吐出可能なラインプリンターでもよい。プラテン19は、筐体12に収容され、ヘッドユニット15と対向して配置されている。プラテン19は、搬送方向Vに搬送される用紙99を下方から支持する。ヘッドユニット15は、プラテン19に支持されている部分にインクを吐出する。プラテン19の搬送方向Vには、ヘッドユニット15によって印刷された後の用紙99を支持する排出支持部21が配置されている。
【0030】
第1媒体保持部23は、ヘッドユニット15によって印刷される前の、ロール状に巻き重ねられた用紙99を保持する。第1媒体保持部23は、用紙99が巻き重ねられている繰出軸25を有する。第1媒体保持部23は、筐体12に収容される。
【0031】
第2媒体保持部24は、ヘッドユニット15によって印刷された後の用紙99を、ロール状に巻き重ねられた状態で保持する。第2媒体保持部24は、用紙99が巻き重ねられた巻取軸26を有する。巻取軸26が回転することによって、用紙99が巻き取られる。第2媒体保持部24は、例えば、脚部14に取り付けられている。
【0032】
図2に示すように、プリンター11は、筐体12と、脚部14とが取り付けられた本体フレーム27を備える。本体フレーム27は、メインフレーム28と、ベースフレーム29と、第1サイドフレーム31と、第2サイドフレーム32と、を有する。そして、本体フレーム27は、連結フレーム46に取り付けられる。
【0033】
メインフレーム28は、ヘッドユニット15のキャリッジ17を支持するフレームである。メインフレーム28は、X方向に長尺である。ベースフレーム29は、プラテン19を支持するフレームである。ベースフレーム29は、X方向に長尺である。第1サイドフレーム31及び第2サイドフレーム32は、メインフレーム28及びベースフレーム29を支持し、X方向において、プラテン19を挟むように配置される。第1サイドフレーム31及び第2サイドフレーム32には、脚部14が取り付けられる。
【0034】
第1サイドフレーム31は、3つのサイドフレーム33,34,35を有する。サイドフレーム33は、メインフレーム28及びベースフレーム29を支持する。第2サイドフレーム32は、3つのサイドフレーム41,42,43を有する。サイドフレーム41は、メインフレーム28及びベースフレーム29を支持する。
【0035】
連結フレーム46は、サイドフレーム35とサイドフレーム43とに取り付けられる。サイドフレーム35及びサイドフレーム43は本体フレーム27の一部を構成すると見なすことができるので、サイドフレーム35とサイドフレーム43とが載せられる連結フレーム46は、本体フレーム27を保持すると見なすことができる。連結フレーム46には、保持ユニット53と、電子部品57と、が配置されている。
【0036】
保持ユニット53は、インクを収容する液体収容部52を保持する保持トレイ54と、インクを受ける液体受け部56と、を備えている。保持ユニット53は、例えば、プリンター11に2つ配置されている。2つの保持ユニット53の間には、電子部品57が配置されている。言い換えれば、プラテン19の下方に、電子部品57が配置されている。また、電子部品57以外には、図示しないポンプユニットが配置されている。ポンプユニットは、液体収容部52からヘッドユニット15に向けて液体を供給するポンプである。ポンプユニットは、例えば、液体収容部52内を減圧することによって、ヘッドユニット15にインクを供給する。
【0037】
Z方向において、プラテン19と電子部品57との間には、例えば、ベースフレーム29に固定されたフレーム100と、フレーム100に取り付けられた樹脂板200と、が配置されている。フレーム100は、例えば、図示しないファンのカバーである。なお、プラテン19と電子部品57との間に樹脂板200が配置されればよく、例えば、フレーム100を介さずにベースフレーム29に樹脂板200が取り付けられていてもよく、筐体12の内部やプリンター11本体に、樹脂板200が取り付けられていてもよい。また、樹脂板200のかわりに樹脂以外の可撓性のシート部材を備えていてもよい。
【0038】
以下に、本実施例のプリンター11の要部であるヘッドユニット15について、
図3から
図6を参照して詳細に説明する。本実施例のプリンター11は、ヘッド16にフラットケーブル60を用いて電気信号である印刷データを入力して印刷することが可能な印刷装置である。また、上記のように、ヘッドユニット15はヘッド16とキャリッジ17とを有している。ここで、ヘッド16は、上記のように、吐出ユニット16Aとインク供給ユニット16Bとを有している。また、キャリッジ17は、
図3及び
図4などで表されるように、ともにヘッド16を保持する第1ヘッド保持部材17Aと第2ヘッド保持部材17Bとを有している。
【0039】
ここで、
図3はインク供給ユニット16Bを外した状態の本実施例のヘッドユニット15の平面図であり、
図4は
図3の状態から吐出ユニット16Aを外した状態の平面図であり、
図5は
図4の状態から第1ヘッド保持部材17Aを外した状態の平面図である。また、
図6は、
図4の状態において後述する第1インク誘導部180B及び第2インク誘導部190Bの近傍においてY-Z平面で切断した斜視断面図である。
図4及び
図5で表されるように、第1ヘッド保持部材17Aには孔部174が設けられ、第2ヘッド保持部材17Bには孔部176が設けられている。孔部174と孔部176とは大部分において各々の縁部がZ方向から見て重なっており、孔部174及び孔部176から吐出ユニット16Aに設けられたノズル18の形成部が-Z方向に通される。
【0040】
図5で表されるように、第2ヘッド保持部材17Bには上面部175が設けられ、上面部175に第1ヘッド保持部材17Aが載置される。また、
図4で表されるように、第1ヘッド保持部材17Aには上面部173が設けられ、上面部173に吐出ユニット16Aが載置される。
【0041】
図3で表されるように、吐出ユニット16Aにはフラットケーブル60を挿入する挿入口161が設けられる。なお、本実施例のヘッドユニット15は、
図3で表されるように、フラットケーブル60としてフラットケーブル60Aとフラットケーブル60Bとを有し、フラットケーブル60Aは対応する挿入口161に対して挿入方向I1に挿入され、フラットケーブル60Bは対応する挿入口161に対して挿入方向I2に挿入される。また、
図3で表されるように、吐出ユニット16Aには上面部160が設けられ、上面部160にはインク供給ユニット16Bからインクが供給されるピン162が複数形成されている。
【0042】
ピン162は、インク供給ユニット16Bの不図示のインク供給口に通されるが、プリンター11に衝撃が加わった場合などにおいて、ピン162とインク供給口との接続部分からインクが漏れ出る虞がある。そこで、
図3で表されるように、吐出ユニット16Aの上面部160には、複数のピン162を囲うように形成される+Z方向に突出したリブ163が形成されている。リブ163により、ピン162とインク供給口との接続部分から漏れ出たインクが上面部160から飛び散りにくくなっている。
【0043】
なお、
図3で表されるように、吐出ユニット16Aのリブ163には切り込み部165が2カ所形成され、上面部160に漏れ出たインクはさらに切り込み部165を介してインク退避部166に流れ出ることが可能に構成されている。そして、インク退避部166には少なくとも一部がZ方向に延設されるリブ167が設けられ、インク退避部166に流れ出たインクが、リブ167を伝って、下部の第1ヘッド保持部材17Aの第1インク誘導部180に流れ出ることが可能に構成されている。ここで、本実施例のヘッドユニット15は、第1インク誘導部180として第1インク誘導部180A及び第1インク誘導部180Bの2つを有している。
【0044】
図4及び
図6で表されるように、第1ヘッド保持部材17Aの第1インク誘導部180には、リブ167を伝って流れ出たインクを受けるインク退避部183と、インク退避部183を孔部174側以外の方向において囲う+Z方向に突出したリブ182と、インク退避部183において少なくとも一部が孔部174に向かってY方向に延設されるとともに孔部174においてZ方向に延設される複数の溝部181と、が設けられている。そして、リブ167を伝ってインク退避部183に流れ出たインクが、溝部181を伝って、
図5で表される下部の第2ヘッド保持部材17Bの第2インク誘導部190に流れ出ることが可能に構成されている。ここで、本実施例のヘッドユニット15は、第2インク誘導部190として第2インク誘導部190A及び第2インク誘導部190Bの2つを有している。また、
図3で表されるように、第1インク誘導部180及び第2インク誘導部190が2つ設けられることに合わせて、ピン162などからなる吐出ユニット16Aの第3インク誘導部164も第3インク誘導部164A及び第3インク誘導部164Bと2つ設けられる。
【0045】
また、
図3及び
図4で表されるように、第1ヘッド保持部材17Aには、ネジ孔172が設けられたインク供給ユニット16Bの固定部171を4カ所有している。4つの固定部171の各々にインク供給ユニット16Bをネジ孔172にネジ留めすることにより、インク供給ユニット16Bをキャリッジ17に固定可能に構成されている。
【0046】
図5及び
図6で表されるように、第2ヘッド保持部材17Bの第2インク誘導部190には、溝部181を伝って流れ出たインクを受けるインク退避部193と、インク退避部193において少なくとも一部が孔部176に向かってY方向に延設されるとともに孔部176においてZ方向に延設される複数の溝部191と、インク退避部193に溝部191が形成されることで溝部191に対して+Z方向に凸状となった凸状部192と、が設けられている。そして、溝部181を伝ってインク退避部193に流れ出たインクが、溝部191を伝って、第2ヘッド保持部材17Bよりもさらに下部の領域に流れ出ることが可能に構成されている。
【0047】
なお、
図3から
図5で表されるように、第2ヘッド保持部材17Bには、センサー201が設けられている。本実施例のセンサー201は光学センサーであり、インクが付着すると性能が低下する。このため、センサー201はインクの経路とは異なる領域に設けられている。そして、本実施例のヘッドユニット15は、上記のようにヘッド16から漏れ出たインクが流れる構成としていることで、センサー201に該インクが至らないようにしている。
【0048】
ここで一旦まとめると、上記のように、本実施例のヘッドユニット15は、インクを吐出するヘッド16と、ヘッド16を保持する第1ヘッド保持部材17Aと、インクの経路とは異なる位置に設けられる第1部品としてセンサー201と、を備えている。そして、第1ヘッド保持部材17Aは、インクをセンサー201に向かう方向とは異なる第1方向としての-Z方向へ誘導する第1インク誘導部180を有している。このため、第1部品が本実施例のセンサー201のようにインクとの接触を避けたい部品である構成において、第1インク誘導部180がヘッド16から漏れ出たインクを第1部品に向かう方向とは異なる第1方向へ誘導することによって、インクとの接触を避けたい第1部品にインクが至ることを抑制することができる。
【0049】
また、
図4及び
図6で表されるように、本実施例の第1インク誘導部180は、第1方向としての-Z方向に延設される溝である溝部181を有する。このため、溝部181によってヘッド16から漏れ出たインクをセンサー201に向かう方向とは異なる-Z方向へ誘導することができる。
【0050】
ただし、このような構成に限定されない。例えば、第1インク誘導部180は、吐出ユニット16Aの上面部160に設けられるリブ167のような、第1方向としての-Z方向に延設される突起を有する構成としてもよい。このような構成であっても、該突起によってヘッド16から漏れ出たインクをセンサー201に向かう方向とは異なる-Z方向へ誘導することができる。
【0051】
また、上記のように、本実施例のヘッドユニット15は、第1ヘッド保持部材17Aに対して隣接し、ヘッド16を保持する第2ヘッド保持部材17Bを備えている。そして、第2ヘッド保持部材17Bは、インクをセンサー201に向かう方向とは異なる第2方向としての-Z方向へ誘導する第2インク誘導部190を有する。このように第2インク誘導部190が設けられることにより、第1インク誘導部180でインクが滞留しにくくすることができ、また、第2インク誘導部190がヘッド16から漏れ出たインクをセンサー201に向かう方向とは異なる第2方向へ誘導することによって、インクとの接触を避けたいセンサー201にインクが至ることを効果的に抑制することができる。
【0052】
ここで、上記第1方向及び第2方向はいずれも-Z方向、すなわち、下方向である。別の観点から説明をすると、第2ヘッド保持部材17Bは第1ヘッド保持部材17Aに対して少なくとも一部が重力方向の下方に隣接し、第1インク誘導部180はインクを第1方向として重力方向の下方に誘導し、第2インク誘導部190はインクを第2方向として重力方向の下方に誘導する。このため、本実施例のヘッドユニット15は、重力を利用してヘッド16から漏れ出たインクを迅速にセンサー201に向かう方向とは異なる方向に移動させることができる。
【0053】
また、本実施例のヘッドユニット15においては、第1ヘッド保持部材17Aと第2ヘッド保持部材17Bとが隣接する部分の間隔は、第1インク誘導部180と第2インク誘導部190とが重力方向において重なる第1領域R1の方が、第1インク誘導部180と第2インク誘導部190とが重力方向において重ならない第2領域R2よりも広くなっている。このような構成とすることで、第1領域R1に多くのインクを貯留でき、センサー201に向かう方向とは異なる方向へインクを誘導する際のインクの移動速度が遅くなった場合でも、センサー201にインクが至ることを抑制することができる。詳細には、
図6で表されるように、本実施例では、第2領域R2の第1ヘッド保持部材17Aと第2ヘッド保持部材17Bとが隣接する部分の間隔G3に比べて、第1領域R1の第1ヘッド保持部材17Aと第2ヘッド保持部材17Bとが隣接する部分の間隔G1(溝部191の形成領域)及び間隔G2(凸状部192の形成領域)のいずれもが広くなっている。ただし、第2領域R2の第1ヘッド保持部材17Aと第2ヘッド保持部材17Bとが隣接する部分の間隔G3に比べて、第1領域R1の第1ヘッド保持部材17Aと第2ヘッド保持部材17Bとが隣接する部分の間隔G1(溝部191の形成領域)のみが広い構成であってもよい。
【0054】
また、
図5及び
図6で表されるように、本実施例の第2インク誘導部190は、第2方向としての-Z方向に延設される溝である溝部191を有する。このため、溝部191によってヘッド16から漏れ出たインクをセンサー201に向かう方向とは異なる-Z方向へ誘導することができる。
【0055】
ただし、このような構成に限定されない。例えば、第2インク誘導部190は、吐出ユニット16Aの上面部160に設けられるリブ167のような、第2方向としての-Z方向に延設される突起を有する構成としてもよい。このような構成であっても、該突起によってヘッド16から漏れ出たインクをセンサー201に向かう方向とは異なる-Z方向へ誘導することができる。
【0056】
また、
図3で表されるように、本実施例のヘッドユニット15において、ヘッド16は、ヘッド16から漏れ出たインクを第1インク誘導部180に向けて誘導する第3インク誘導部164を有する。このため、本実施例のヘッドユニット15は、ヘッド16から漏れ出たインクが第1インク誘導部180に至らないがために第1インク誘導部180以外の経路を通ってセンサー201に至るということを抑制することができる。
【0057】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0058】
例えば、上述の実施例においては、
図3から
図6で表されるように、第1インク誘導部180を第1インク誘導部180A及び第1インク誘導部180Bと2つ、第2インク誘導部190を第2インク誘導部190A及び第2インク誘導部190Bと2つ、第3インク誘導部164を第3インク誘導部164A及び第3インク誘導部164Bと2つ、有していた。しかしながら、第1インク誘導部180、第2インク誘導部190及び第3インク誘導部164Bのうちの全部またはいずれかを1つ、或いは、3つ以上有する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0059】
11…プリンター(印刷装置)、12…筐体、13…排出口、14…脚部、15…ヘッドユニット、16…ヘッド、16A…吐出ユニット、16B…インク供給ユニット、17…キャリッジ、17A…第1ヘッド保持部材、17B…第2ヘッド保持部材、18…ノズル、19…プラテン、21…排出支持部、23…第1媒体保持部、24…第2媒体保持部、25…繰出軸、26…巻取軸、27…本体フレーム、28…メインフレーム、29…ベースフレーム、31…第1サイドフレーム、32…第2サイドフレーム、33…サイドフレーム、34…サイドフレーム、35…サイドフレーム、41…サイドフレーム、42…サイドフレーム、43…サイドフレーム、46…連結フレーム、52…液体収容部、53…保持ユニット、54…保持トレイ、56…液体受け部、57…電子部品、60…フラットケーブル、60A…フラットケーブル、60B…フラットケーブル、99…用紙(媒体)、100…フレーム、161…挿入口、162…ピン、163…リブ、164…第3インク誘導部、164A…第3インク誘導部、164B…第3インク誘導部、165…切り込み部、166…インク退避部、167…リブ、171…固定部、172…ネジ孔、173…上面部、174…孔部、175…上面部、176…孔部、180…第1インク誘導部、180A…第1インク誘導部、180B…第1インク誘導部、181…溝部(溝)、182…リブ、183…インク退避部、190…第2インク誘導部、190A…第2インク誘導部、190B…第2インク誘導部、191…溝部(溝)、192…凸状部、193…インク退避部、200…樹脂板、201…センサー(第1部品)、A1…設置面