(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020767
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】工具ホルダ
(51)【国際特許分類】
B23B 29/00 20060101AFI20240207BHJP
B23B 29/04 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B23B29/00 C
B23B29/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123196
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】591033755
【氏名又は名称】エヌティーツール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 信
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046KK01
3C046MM03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】工具ホルダに対する工具の取り付け位置を、独立して、容易に、精度よく調整する。
【解決手段】工具ホルダ10は、本体部材20、外筒部材30、内筒部材40を有する。外筒部材20は、本体部材外周面部分22cの径方向外側に固定される。本体部材外周面部分22cと外筒部材内周面31との間に第1加圧室36a、36bが形成され、第1加圧室36a、36bと外筒部材外周面32との間に第1押圧部35a、35bが形成される。内筒部材40は、本体部材内周面部分21aの径方向内側に固定される。本体部材内周面部分21aと内筒部材外周面42との間に第2加圧室46a、46bが形成され、第2加圧室46a、46bと内筒部材内周面41との間に第2押圧部45a、45bが形成される。第1加圧室36a、36b内の圧力および第2加圧室46a、46b内の圧力は、第1圧力調整機構および第2圧力調整機構により調整される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダ保持部内周面により形成され、軸線方向に延在するとともに先端側が開口しているホルダ保持部内側空間内に少なくとも一部が挿入された状態で、ホルダ保持部に着脱自在に保持される工具ホルダであって、
本体部と、第1圧力調整機構と、第2圧力調整機構と、を備え、
前記本体部は、筒状に形成され、本体部外周面と、本体部内周面と、前記本体部内周面により形成される本体部内側空間と、第1押圧部と、第1加圧室と、第2押圧部と、第2加圧室と、を有し、
前記第1押圧部は、前記本体部外周面と前記第1加圧室との間に、当該第1加圧室内の圧力が高められることによって径方向外側に弾性変形可能に形成され、
前記第2押圧部は、前記本体部内周面と前記第2加圧室との間に、当該第2加圧室内の圧力が高められることによって径方向内側に弾性変形可能に形成され、
前記第1圧力調整機構は、前記第1加圧室内の圧力を調整可能に構成され、
前記第2圧力調整機構は、前記第2加圧室内の圧力を調整可能に構成され、
前記工具ホルダの前記少なくとも一部が前記ホルダ保持部内側空間内に挿入された状態で、前記第1圧力調整機構によって前記第1加圧室内の圧力が高められることにより、前記第1押圧部が径方向外側に弾性変形して、前記工具ホルダが前記ホルダ保持部に保持され、
工具の少なくとも一部が前記本体部内側空間内に挿入された状態で、前記第2圧力調整機構によって前記第2加圧室内の圧力が高められることにより、前記第2押圧部が径方向内側に弾性変形して、前記工具が前記工具ホルダに保持される、
ことを特徴とする工具ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の工具ホルダであって、
前記ホルダ保持部は、回転不能であることを特徴とする工具ホルダ。
【請求項3】
請求項1に記載の工具ホルダであって、
前記本体部は、前記第1加圧室に連通している第1通路と、前記第2加圧室に連通している第2通路を有し、
前記第1圧力調整機構は、前記第1加圧室および前記第1通路内の圧力を調整可能に構成され、
前記第2圧力調整機構は、前記第2加圧室および前記第2通路内の圧力を調整可能に設けられていることを特徴とする工具ホルダ。
【請求項4】
請求項1に記載の工具ホルダであって、
前記第1押圧部は、前記本体部外周面の周方向全周に延在し、
前記第2押圧部は、前記本体部内周面の周方向全周に延在していることを特徴とする工具ホルダ。
【請求項5】
請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の工具ホルダであって、
前記本体部は、本体部材と、外筒部材と、内筒部材と、を有し、
前記本体部材は、筒状に形成され、本体部材外周面と、本体部材内周面と、前記本体部材内周面により形成される本体部材内側空間と、を有し、
前記外筒部材は、筒状に形成され、外筒部材外周面と、外筒部材内周面と、前記外筒部材内周面により形成される外筒部材内側空間と、を有し、
前記内筒部材は、筒状に形成され、内筒部材外周面と、内筒部材内周面と、前記内筒部材内周面により形成される内筒部材内側空間と、を有し、
前記外筒部材は、前記本体部材外周面の少なくとも一部の径方向外側に固定され、
前記第1加圧室は、前記外筒部材内周面と前記本体部材外周面の前記少なくとも一部との間に形成され、
前記第1押圧部は、前記第1加圧室と前記外筒部材外周面との間に形成され、
前記内筒部材は、前記本体部材内周面の少なくとも一部の径方向内側に固定され、
前記第2加圧室は、前記内筒部材外周面と前記本体部材内周面の前記少なくとも一部との間に形成され、
前記第2押圧部は、前記第2加圧室と前記内筒部材内周面との間に形成されていることを特徴とする工具ホルダ。
【請求項6】
請求項1に記載の工具ホルダであって、
前記第1押圧部および前記第2押圧部は、前記軸線方向に離間する複数箇所に形成されており、
前記複数の第1押圧部のうちの、後端側に形成されている第1押圧部は、前記複数の第2押圧部より後端側に配置され、
前記複数の第2押圧部のうちの、先端側に形成されている第2押圧部は、前記複数の第1押圧部より先端側に配置されていることを特徴とする工具ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械等に設けられているホルダ保持部に取り付けられる工具ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
旋盤等の工作機械では、工具を着脱自在に保持する工具ホルダが用いられている。工具ホルダは、工作機械に着脱自在に取り付けられる。このような工具ホルダは、例えば、特許文献1(特開2015-54385号公報)に開示されている。
特許文献1に開示されている工具ホルダは、工作機械の回転軸(主軸)に着脱自在に取り付けられる本体部を有している。本体部は、先端側に、外壁と内壁を有する筒状部を有している。筒状部の内壁により形成される筒状部内側空間内には、穴加工を行う穴加工工具が挿入される。筒状部の径方向外側には、筒状に形成されているとともに、加工穴の開口部を切削加工する切刃が外周に設けられているヘッド部が配置される。筒状部の外壁と内壁との間に、流体が充填される加圧室が形成されている。また、加圧室と筒状部の外壁との間に、径方向外側に弾性変形可能な外側押圧部が形成されているとともに、加圧室と筒状部の内壁との間に、径方向内側に弾性変形可能な内側押圧部が形成されている。
切刃が設けられているヘッド部および穴加工工具を本体部に取り付ける場合には、筒状部の内側空間内に穴加工工具を挿入するとともに、筒状部の径方向外側にヘッド部を配置した状態で、圧力調整ネジを操作して加圧室内の圧力を高める。これにより、内側加圧部が、径方向内側に弾性変形して、穴加工工具の外周面を押圧する。同時に、外側加圧部が、径方向外側に弾性変形して、ヘッド部の内周面を押圧する。穴加工工具および切刃を本体部材から取り外す場合には、加圧室内の圧力を低くする。
特許文献1に開示されている工具ホルダを用いることにより、圧力調整ネジを操作して加圧室内の圧力を調整することで、切刃が設けられているヘッド部と穴加工工具を本体部材に、容易に取り付けあるいは取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、工作機械に対する工具ホルダの取り付け作業および工具ホルダに対する工具の取り付け作業を容易に行うことができる技術の開発が要望されている。
この要望に対して、特許文献1に開示されている技術を用いることが考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、本体部材に穴加工工具とヘッド部を取り付ける技術であり、工作機械に工具ホルダを取り付けるとともに工具ホルダに工具を取り付ける技術として用いることができない。さらに、特許文献1に開示されている技術は、本体部材に対する穴加工工具の取り付け位置および本体部材に対するヘッド部の取り付け位置を独立して調整することができない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、ホルダ保持部に対する工具ホルダの取り付け位置および工具ホルダに対する工具の取り付け位置を、独立して、容易に、精度よく調整することができる技術を開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の工具ホルダは、ホルダ保持部内側空間内に少なくとも一部が挿入された状態で、ホルダ保持部に着脱自在に取り付けられる。ホルダ保持部内側空間は、ホルダ保持部内周面により形成され、軸線方向に延在している。
本発明の工具ホルダは、本体部と、第1圧力調整機構と、第2圧力調整機構と、を備えている。
本体部は、筒状に形成され、本体部外周面と、本体部内周面と、本体部内周面により形成される本体部内側空間と、第1押圧部と、第1加圧室と、第2押圧部と、第2加圧室と、を有している。第1押圧部、第1加圧室、第2押圧部および第2加圧室は、それぞれ少なくとも1つ設けられる。
第1押圧部は、本体部外周面と第1加圧室との間に、当該第1加圧室内の圧力が高められることによって径方向外側に弾性変形可能に形成されている。第2押圧部は、本体部内周面と第2加圧室との間に、当該第2加圧室内の圧力が高められることによって径方向内側に弾性変形可能に形成されている。
第1圧力調整機構は、第1加圧室内の圧力を調整可能に構成される。第2圧力調整機構は、第2加圧室内の圧力を調整可能に構成される。第1圧力調整機構および第2圧力調整機構としては、公知の種々の構成の圧力調整機構を用いることができる。
本発明の工具ホルダでは、工具ホルダの少なくとも一部がホルダ保持部内側空間内に挿入された状態で、第1圧力調整機構によって第1加圧室内の圧力が高められることにより、第1押圧部が径方向外側に弾性変形して、工具ホルダがホルダ保持部に保持されるように構成されている。また、工具の少なくとも一部が本体部内側空間内に挿入された状態で、第2圧力調整機構によって第2加圧室内の圧力が高められることにより、第2押圧部が径方向内側に弾性変形して、工具が工具ホルダに保持されるように構成されている。
本発明の工具ホルダを用いることにより、ホルダ保持部に対する工具ホルダの取り付け位置および工具ホルダに対する工具の取り付け位置を、独立して、容易に、精度よく調整することができる。
本発明の異なる形態では、工具ホルダは、回転不能なホルダ保持部に取り付けられる。
ホルダ保持部(ホルダ保持部に取り付けられる工具ホルダ)が回転しない場合には、ホルダ保持部に対する工具ホルダの取り付け位置および工具ホルダに対する工具の取り付け位置を、精度よく調整する必要がある。
本形態の工具ホルダは、回転不能なホルダ保持部に取り付けられる場合に好適に用いることができる。
本発明の異なる形態では、本体部は、第1加圧室に連通している第1通路と、第2加圧室に連通している第2通路と、を有している。そして、第1圧力調整機構は、第1加圧室および第1通路内の圧力を調整可能に構成されている。また、第2圧力調整機構は、第2加圧室および第2通路内の圧力を調整可能に設けられている。
第1加圧室(第2加圧室)が複数設けられる場合には、各第1加圧室(第2加圧室)に直接に連通する第1通路(第2通路)を設けてもよいし、連通路により連通されている複数の第1通路(第2通路)のうちのいずれか1つに連通する第1通路(第2通路)を設けてもよい。
本形態では、第1圧力調整機構および第2圧力調整機構を簡単に構成することができる。
本発明の異なる形態では、第1押圧部は、本体部外周面の周方向全周に延在するように形成されている。また、第2押圧部は、本体部内周面の周方向全周に延在するように形成されている。
本形態では、本体部材をホルダ保持部に確実に取り付けることができるとともに、工具を本体部に確実に取り付けることができる。
本発明の異なる形態では、本体部は、本体部材と、外筒部材と、内筒部材と、を有している。
本体部材は、筒状に形成され、本体部材外周面と、本体部材内周面と、本体部材内周面により形成される本体部材内側空間と、を有している。
外筒部材は、筒状に形成され、外筒部材外周面と、外筒部材内周面と、外筒部材内周面により形成される外筒部材内側空間と、を有している。
内筒部材は、筒状に形成され、内筒部材外周面と、内筒部材内周面と、内筒部材内周面により形成される内筒部材内側空間と、を有している。
外筒部材は、本体部材外周面の少なくとも一部の径方向外側に固定される。第1加圧室は、本体部材外周面の少なくとも一部と外筒部材内周面との間に形成される。第1押圧部は、第1加圧室と外筒部材外周面との間に形成される。
内筒部材は、本体部材内周面の少なくとも一部の径方向内側に固定される。第2加圧室は、本体部材内周面の少なくとも一部と内筒部材外周面との間に形成される。第2押圧部は、第2加圧室と内筒部材内周面との間に形成される。
本形態では、本体部を容易に構成することができる。
本発明の異なる形態では、第1押圧部および第2押圧部は、軸線方向に離間する複数個所に形成されている。そして、複数の第1押圧部のうちの、後端側に形成されている第1押圧部は、複数の第2押圧部より後端側に配置されている。また、複数の第2押圧部のうちの、先端側に形成されている第2押圧部は、複数の第1押圧部より先端側に配置されている。
本形態では、工具を、工具ホルダを介してホルダ保持部に確実に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の工具ホルダを用いることにより、ホルダ保持部に対する工具ホルダの取り付け位置および工具ホルダに対する工具の取り付け位置を、独立して、容易に、精度よく調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の工具ホルダを先端側から見た図である。
【
図3】一実施形態の工具ホルダを構成する本体部材、外筒部材、内筒部材の断面図である。
【
図4】一実施形態の工具ホルダをホルダ保持部に取り付け、工具を一実施形態の工具ホルダに取り付ける動作を説明する図である。
【
図5】一実施形態の工具ホルダを工作機械に取り付け、工具を一実施形態の工具ホルダに取り付けた状態の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の工具ホルダの実施形態を説明する。
なお、本明細書では、ホルダ保持部110のホルダ保持部内側空間110aの中心線P(
図5参照)を「軸線」といい、中心線Pの延在方向(
図5において矢印Zで示されている方向)を「軸線方向」という。また、軸線方向に沿って、ホルダ保持部内側空間110a内に工具ホルダ10が挿入される側(
図5において、Xで示される左側)を「先端側」あるいは「軸線方向一方側」といい、工具ホルダ10が挿入される側と反対側(
図5において、Yで示される右側)を「後端側」あるいは「軸線方向他方側」という。また、軸線方向一方側あるいは他方側から見て、軸線Pを中心点とする円に沿った方向を「周方向」といい、軸線Pを通る線の延在方向を「径方向」という。
なお、工具ホルダ10を構成する本体部材20、外筒部材30、内筒部材40については、「軸線方向」、「周方向」および「径方向」は、工具ホルダ10がホルダ保持部110に保持されている状態における「軸線方向」、「周方向」および「径方向」を意味する。すなわち、工具ホルダ10がホルダ保持部110に保持されている状態において、本体部材内側空間10aの中心線Q、外筒部材内側空間30aの中心線Rおよび内筒部材内側空間40aの中心線Sは、「軸線方向」に延在する。
【0009】
一実施形態の工具ホルダ10を、
図1~
図3を参照して説明する。
図1は、工具ホルダ10を、先端側から見た図である。
図2は、
図1のA-Q-B線断面図である。
図3は、工具ホルダ10を構成する本体部材20、外筒部材30および内筒部材40の断面図である。
【0010】
工具ホルダ10は、本体部、第1圧力調整機構50および第2圧力調整機構60を有している。
【0011】
本体部は、本体部材20、外筒部材30および内筒部材40を有している。
本体部材20は、
図3に示されているように、軸線方向に延在する筒状に形成されている。本体部材20は、本体部材先端面20A、本体部材後端面20B、本体部材内周面21、本体部材外周面22、本体部材内周面21により形成される本体部材内側空間20aを有している。本体部材内側空間20aは、中心線Qを有している。
本体部材内周面21は、先端側から後端側に、本体部材内周面部分21a~21cを有している。本体部材内周面部分21aと21cは、断面が円形に形成され、中心線Qの延在方向に延在している。本体部材内周面部分21aの内径は、本体部材内周面部分21cの内径より大きく設定されている。本体部材内周面部分21bは、径方向に延在し、本体部材内周面部分21aと21cを接続している。
本体部材内側空間20aは、本体部材内周面部分21aにより形成される本体部材部材内側空間部分20a1と、本体部材内周面部分21cにより形成される本体部材内側空間部分20a2を有している。
本体部材外周面22は、先端側から後端側に、本体部材外周面部分22a~22eを有している。本体部材外周面部分22a、22cは、中心線Qの延在方向に延在している。本体部材外周面部分22cは、断面が円形に形成されている。本体部材外周面部分22bは、径方向に延在し、本体部材外周面部分22aと22cを接続している。
本体部材外周面部分22dと22eにより、本体部材外周面部分22cから径方向内側に切欠いた切欠部が形成されている。
本体部材先端面20Aと本体部材外周面部分22a、22bにより、本体部材外周面部分22cより径方向外側に突出する鍔部(フランジ)23が形成されている。
【0012】
また、本体部材20には、第1加圧室36a、36b(後述する)に連通する第1通路25と、第2加圧室46a、46b(後述する)に連通する第2通路26が形成されている。第1加圧室36a、36bと第1通路25内、また、第2加圧室46a、46bと第2通路26内に、加圧流体が充填される。加圧流体としては、例えば油が用いられる。
図1に示されているように、第1圧力調整機構50は、第1通路25および第1加圧室36a、36b内の圧力を調整可能に構成されている。本実施形態では、第1圧力調整機構50は、第1圧力調整ネジ51と第1ピストン52を有している。第1圧力調整ネジ51を回転させて第1ピストン52の位置を調整することによって、第1通路25および第1加圧室36a、36b内に充填されている加圧媒体の圧力、すなわち第1加圧室36a、36b内の圧力を調整することができる。
第2圧力調整機構60は、第2通路26および第2加圧室46a、46b内の圧力を調整可能に構成されている。本実施形態では、第2圧力調整機構60は、第2圧力調整ネジ61と第2ピストン62を有している。第2圧力調整ネジ61を回転させて第2ピストン62の位置を調整することによって、第2通路26および第2加圧室46a、46b内に充填されている加圧媒体の圧力、すなわち第2加圧室46a、46b内の圧力を調整することができる。
なお、第1通路25には、第1通路25および第1加圧室36a、36b内に加圧流体を充填しあるいは第1通路25および第1加圧室36a、36b内から加圧流体を排出するための補助ネジ70が設けられている。同様に、第2通路26には、第2通路26および第2加圧室46a、46b内に加圧流体を充填しあるいは第2通路26および第2加圧室46a、46b内から加圧流体を排出するための補助ネジ70が設けられている。
【0013】
外筒部材30は、
図3に示されているように、軸線方向に延在する筒状に形成されている。外筒部材30は、外筒部材先端面30A、外筒部材後端面30B、外筒部材内周面31、外筒部材外周面32、外筒部材内周面31により形成される外筒部材内側空間30aを有している。外筒部材内側空間30aは、中心線Rを有している。
外筒部材内周面31は、先端側から後端側に、外筒部材内周面部分31a~31gを有している。外筒部材内周面部分31a~31eは、断面が円形に形成され、中心線Rの延在方向に延在している。外筒部材内周面部分31aの内径D31と外筒部材内周面部分31eの内径D35は、等しく設定されている(D31=D35)。外筒部材内周面部分31cの内径D33は、内径D31およびD35より大きく設定されている(D33>D31)。外筒部材内周面部分31bの内径D32と外筒部材内周面部分31dの内径D34は、等しく設定されているとともに、D33より大きく設定されている(D32=D34、D32>D33)。
外筒部材外周面32は、断面が円形に形成されている。
外筒部材後端面30B、外筒部材内周面部分31f、31gにより、径方向内側に突出する突部が形成される。
【0014】
内筒部材40は、
図3に示されているように、軸線方向に延在する筒状に形成されている。内筒部材40は、内筒部材先端面40A、内筒部材後端面40B、内筒部材内周面41、内筒部材外周面42、内筒部材内周面41により形成される内筒部材内側空間40aを有している。内筒部材内側空間40aは、中心線Sを有している。内筒部材内側空間40aは、後述する工具200(詳しくは、シャンク部)が挿入可能に形成されている。
内筒部材内周面41は、先端側から後端側に、内筒部材内周面部分41a~41cを有している。内筒部材内周面部分41a、41cは、断面が円形に形成され、中心線Sの延在方向に延在している。内筒部材内周面部分41bは、内筒部材内周面部分41aと41cを接続する段差面に形成されている。
内筒部材内側空間40aは、内筒部材内周面部分41aにより形成される内側空間部分40a1と、内筒部材内周面部分41cにより形成される内筒部材内側空間部分40a2を有している。
内筒部材外周面42は、先端側から後端側に、内筒部材外周面部分42a~42eを有している。内筒部材外周面部分42a~42eは、断面が円形に形成され、中心線Sの延在方向に延在している。内筒部材外周面部分42aの外径D41と内筒部材外周面部分42eの外径D45は、等しく設定されている(D41=D45)。内筒部材外周面部分42cの外径D43は、D41およびD45より小さく設定されている(D43<D41)。内筒部材外周面部分42bの外径D42と内筒部材外周面部分42dの外径D44は、等しく設定されているとともに、D43より小さく設定されている(D42=D44、D42<D43)。
【0015】
外筒部材30は、本体部材20の本体部材外周面22の少なくとも一部の径方向外側に配置される。本実施形態では、
図2に示されているように、外筒部材30は、本体部材外周面部分22cの径方向外側に配置される。外筒部材30は、外筒部材先端面30Aが本体部材外周面部分22bに当接する位置に配置される。この時、外筒部材30の突部が、本体部材20の切欠部に挿入される。
そして、外筒部材30は、本体部材20に固定される。例えば、外筒部材内周面部分31aと31eを本体部材外周面部分22cにロウ付けするとともに、外筒部材先端面30Aを本体部材外周面部分22bにロウ付けする。この時、外筒部材内側空間30aの中心線Rが、本体部材内側空間20aの中心線Qと一致(「略一致」を含む)するように、外筒部材30が本体部材20に固定される。
これにより、本体部材外周面22と外筒部材内周面31との間に、第1加圧室36a、36bと、連通室37が形成される。詳しくは、本体部材外周面部分22cと外筒部材内周面部分31bおよび31dとの間に、第1加圧室36aおよび36bが形成される。また、本体部材外周面部分22cと外筒部材内周面部分31cとの間に、第1加圧室36aと36bを連通する連通室37が形成される。
第1加圧室36aと36bは、軸線方向に離間する箇所に形成されている。第1加圧室36aは、先端側に形成され、第1加圧室36bは、後端側に形成されている。
【0016】
なお、外筒部材30には、第1加圧室36aと外筒部材外周面32との間、詳しくは、第1加圧室36aを形成する外筒部材内周面部分31bと外筒部材外周面32との間に、薄肉状の第1押圧部35aが形成されている。第1押圧部35aは、第1加圧室36a内の圧力が高められることによって、径方向外側に弾性変形可能に構成されている。
また、外筒部材30は、第1加圧室36bと外筒部材外周面32との間、詳しくは、第2加圧室36bを形成する外筒部材内周面部分31dと外筒部材外周面32との間に、薄肉状の第1押圧部35bが形成されている。第1押圧部35bは、第1加圧室36b内の圧力が高められることによって、径方向外側に弾性変形可能に構成されている。
【0017】
内筒部材40は、本体部材20の本体部材内周面21の少なくとも一部の径方向内側に配置される。本実施形態では、
図2に示されているように、内筒部材40は、本体部材内周面部分21aの径方向内側に配置される。この時、内筒部材後端面40Bが本体部材内周面部分21bに当接するように配置される。
そして、内筒部材40は、本体部材20に固定される。例えば、内筒部材外周面部分42aと42eを本体部材内周面部分21aにロウ付けするとともに、内筒部材後端面40Bを本体部材内周面部分21bにロウ付けする。この時、内筒部材内側空間40aの中心線Sが、本体部材内側空間20aの中心線Qと一致(「略一致」を含む)するように、内筒部材40が本体部材20に固定される。
これにより、本体部材内周面21と内筒部材外周面42との間に、第2加圧室46a、46bと、連通室34が形成される。詳しくは、本体部材内周面部分21aと内筒部材外周面部分42bおよび42dとの間に、第2加圧室46aおよび46bが形成される。また、本体部材内周面部分21aと内筒部材外周面部分42cとの間に、第2加圧室46aと46bを連通する連通室47が形成される。
第2加圧室46aと46bは、軸線方向に離間する箇所に形成されている。第2加圧室46aは、先端側に形成され、第2加圧室46bは、後端側に形成されている。
【0018】
なお、内筒部材40は、第2加圧室46aと内筒部材内周面41との間、詳しくは、第2加圧室46aを形成する内筒部材外周面部分42bと内筒部材内周面41との間に、薄肉状の第2押圧部45aが形成されている。第2押圧部45aは、第2加圧室46a内の圧力が高められることによって、径方向内側に弾性変形可能に構成されている。
また、内筒部材40は、第2加圧室46bと内筒部材内周面41との間、詳しくは、第2加圧室46bを形成する内筒部材外周面部分42dと内筒部材内周面41との間に、薄肉状の第2押圧部45bが形成されている。第2押圧部45bは、第2加圧室46b内の圧力が高められることによって、径方向内側に弾性変形可能に構成されている。
【0019】
本体部材20には、本体部材外周面部分22cの、第1加圧室36aに対応する箇所に開口している第1通路25が形成されている。これにより、第1通路25は、第1加圧室36aに連通するとともに、第1加圧室36aおよび連通室37を介して第1加圧室36bに連通する。
第1圧力調整機構50を構成する第1ピストン52は、第1通路25内に配置されている。第1ピストン52に連結されている第1圧力調整ネジ51を一方方向に回転させると、第1ピストン52が、第1通路25内の容積を減少させる方向に移動する。これにより、第1加圧室36a、36b内の圧力が大きくなって、第1押圧部35a、35bが径方向外側に弾性変形する。第1圧力調整ネジ51を他方方向に回転させると、第1ピストン52が、第1通路25内の容積を増大させる方向に移動する。これにより、第1加圧室36a、36b内の圧力が低下して、第1押圧部35a、35bが通常の形状に復帰する。
また、本体部材20には、本体部材内周面部分21aの、第2加圧室46aに対応する箇所に開口している第2通路26が形成されている。これにより、第2通路26は、第2加圧室46aに連通するとともに、第2加圧室46aおよび連通室47を介して第2加圧室46bに連通する。
第2圧力調整機構60を構成する第2ピストン62は、第2通路26内に配置されている。第2ピストン62に連結されている第2圧力調整ネジ61を一方方向に回転させると、第2ピストン62が、第2通路26内の容積を減少させる方向に移動する。これにより、第2加圧室46a、46b内の圧力が大きくなって、第2押圧部45a、45bが径方向内側に弾性変形する。第2圧力調整ネジ61を他方方向に回転させると、第2ピストン62が、第2通路26内の容積を増大させる方向に移動する。これにより、第2加圧室46a、46b内の圧力が低下して、第2押圧部45a、45bが通常の形状に復帰する。
【0020】
本実施形態では、本体部材20、外筒部材30および内筒部材40により、本発明の「本体部」が構成される。本体部材先端面20Aと内筒部材先端面40Aにより、本発明の「本体部先端面」が構成される。本体部材後端面20Bと外筒部材後端面30Bにより、本発明の「本体部後端面」が構成される。本体部材外周面部分22a、22bと外筒部材外周面32により、本発明の「本体部外周面」が構成される。内筒部材内周面41と本体部材内周面部分21cにより、本発明の「本体部内周面」が構成される。内筒部材内側空間40aと本体部材内側空間部分20a2により、本発明の「本体部内側空間」が構成される。
第1押圧部35a、35bが、本発明の「第1押圧部」あるいは「少なくとも1つの第1押圧部」に対応する。第1加圧室36a、36bが、本発明の「第1加圧室」あるいは「少なくとも1つの第1加圧室」に対応する。第2押圧部45a、45bが、本発明の「第2押圧部」あるいは「少なくとも1つの第2押圧部」に対応する。第2加圧室46a、46bが、本発明の「第2加圧室」あるいは「少なくとも1つの第2加圧室」に対応する。
第1通路25が、本発明の「第1通路」に対応し、第2通路26が、本発明の「第2通路」に対応する。
第1圧力調整機構50が、本発明の「第1圧力調整機構」に対応する、第2圧力調整機構60が、本発明の「第2圧力調整機構」に対応する。
【0021】
次に、本実施形態の工具ホルダ10の使用方法を、
図4、
図5を参照して説明する。
図4は、工具ホルダ10をホルダ保持部110に取り付ける動作、工具200を工具ホルダ10に取り付ける動作を説明する図である。
図5は、工具ホルダ10をホルダ保持部110に取り付け、工具200を工具ホルダ10に取り付けた状態を示す断面図である。
【0022】
工作機械100には、工具ホルダ10が取り付けられるホルダ保持部110が設けられている。本実施形態の工具ホルダ10が取り付けられるホルダ保持部110は、工作機械100に固定されている。すなわち、ホルダ保持部110は回転不能である。
ホルダ保持部110は、断面が円形に形成されているホルダ保持部内周面111を有している。ホルダ保持部内周面111により、ホルダ保持部先端面110Aに開口している(先端側が開口している)とともに、軸線方向に延在するホルダ保持部内側空間110aが形成される。ホルダ保持部内側空間110aは、中心線Pを有している。ホルダ保持部内側空間110aは、工具ホルダ10の外筒部材30が挿入可能に形成されている。
【0023】
先ず、工具ホルダ10をホルダ保持部110に取付ける動作を説明する。
工具ホルダ10の少なくとも一部を、ホルダ保持部内側空間110a内に挿入する。本実施形態では、外筒部材30が固定されている部分をホルダ保持部内側空間110a内に挿入する。また、本体部材20の鍔部23を形成する本体部材外周面部分22bが、ホルダ保持部先端面110Aに当接する位置に配置する。
この状態で、第1圧力調整機構50を構成する第1圧力調整ネジ51を第1回転方向に回転させて、第1ピストン52を、第1通路25内の容積が減少する方向に移動させる。第1通路25内の容積が減少することによって、第1加圧室36a、36b内の圧力が高められ、第1押圧部35a、35bが径方向外側に弾性変形する。第1押圧部35a、35bが径方向外側に弾性変形することによって、外筒部材外周面32の、第1押圧部35a、35bに対応する部分が拡径する。この場合、
図5に示されているように、外筒部材外周面32の、第1押圧部35a、35bに対応する部分からホルダ保持部内周面111に押圧力Fが加わる。すなわち、外壁部材外周面32が、ホルダ保持部内周面111を押圧する。
これにより、工具ホルダ10が、ホルダ保持部110に保持される。この時、工具ホルダ10の本体部材内側空間20aの中心線Qが、ホルダ保持部内側空間110aの中心線Pと一致(「略一致」を含む)ように、工具ホルダ10がホルダ保持部110に保持される。
工具ホルダ10をホルダ保持部110から取り外す場合には、第1圧力調整ネジ51を第2回転方向に回転させ、第1通路25および第1加圧室36a、36b内の圧力を下げる。これにより、第1押圧部35a、35bが通常の形状に復帰し、工具ホルダ10をホルダ保持部内側空間110aから取り外すことができる。
【0024】
次に、工具200を工具ホルダ10に取り付ける動作を説明する。
工具ホルダ10の内筒部材40の内筒部材内側空間40a内に、工具200の少なくとも一部を挿入する。例えば、工具200のシャンク部を挿入する。
この状態で、第2圧力調整機構60を構成する第2圧力調整ネジ61を第1回転方向に回転させて、第2ピストン62を、第2通路26内の容積が減少する方向に移動させる。第2通路26内の容積が減少することによって、第2加圧室46a、46b内の圧力が高められ、第2押圧部45a、45bが径方向内側に弾性変形する。第2押圧部45a、45bが径方向内側に弾性変形することによって、内筒部材内周面41の、第2押圧部45a、45bに対応する部分が縮径する。この場合、
図5に示されているように、内筒部材内周面41の、第2押圧部45a、45bに対応する部分から工具200(シャンク部)の外周面202に押圧力Gが加わる。すなわち、内筒部材内周面41が、工具200の外周面202を押圧する。
これにより、工具200が、工具ホルダ10に保持される。この時、工具200の中心線Tが、工具ホルダ10の本体部材内側空間20aの中心線Qと一致(「略一致」を含む)するように、工具200が工具ホルダ10に保持される。
工具200を工具ホルダ10から取り外す場合には、第2圧力調整ネジ61を第2回転方向に回転させ、第2通路26および第2加圧室46a、46b内の圧力を下げる。これにより、第2押圧部45a、45bが通常の形状に復帰し、工具200を内筒内側空間40aから取り外すことができる。
【0025】
本実施形態の工具ホルダ10を用いることにより、ホルダ保持部110に対する工具ホルダ10の取り付け作業と、工具ホルダ10に対する工具200の取り付け作業を独立して行うことができる。工具ホルダ10の取り付け作業と工具200の取り付け作業を独立して行うことができることにより、ホルダ保持部110に対する工具ホルダ10の取り付け位置(飛び出し長さ、軸線回りの位相)と、工具ホルダ10に対する工具200の取り付け位置(飛び出し長さ、軸線回りの位相)を独立して調整することができる。
これにより、例えば、ホルダ保持部110に対する取り付け位置が調整された状態で、工具ホルダ10をホルダ保持部110に保持させておく。そして、工具ホルダ10に取り付ける工具200を交換する。本実施形態では、工具200の交換作業は、第2圧力調整機構60により第2加圧室46a、46b内の圧力を調整することで行うことができる。この場合、工具200を交換する際に、ホルダ保持部110に対する工具ホルダ10の取り付け位置を調整する必要がない。このため、工具200の着脱作業や、ホルダ保持部110に対する工具200の取り付け位置の調整作業を容易に行うことができる。
あるいは、工具ホルダ10に対する取り付け位置が調整された状態で工具200を保持している工具ホルダ10を予め用意しておく。そして、工具を交換する場合には、工具200を保持している工具ホルダ10をホルダ保持部110に取り付ける。本実施形態では、工具ホルダ10の交換作業は、第1圧力調整機構50により第1加圧室36a、36b内の圧力を調整することで行うことができる。この場合。工具200を交換する際に、工具ホルダ10に対する工具200の取り付け位置を調整する必要がない。このため、工具ホルダ10の着脱作業や、ホルダ保持部110に対する工具200の取り付け位置の調整作業を容易に行うことができる。
【0026】
本発明は、以下のように構成することもできる。
(態様1)ホルダ保持部内周面により形成され、軸線方向に延在するとともに先端側が開口しているホルダ保持部内側空間内に少なくとも一部が挿入された状態で、ホルダ保持部に着脱自在に保持される工具ホルダであって、
本体部と、第1圧力調整機構と、第2圧力調整機構と、を備え、
前記本体部は、筒状に形成され、本体部外周面と、本体部内周面と、前記本体部内周面により形成される本体部内側空間と、第1押圧部と、第1加圧室と、第2押圧部と、第2加圧室と、を有し、
前記第1押圧部は、前記本体部外周面と前記第1加圧室との間に、当該第1加圧室内の圧力が高められることによって径方向外側に弾性変形可能に形成され、
前記第2押圧部は、前記本体部内周面と前記第2加圧室との間に、当該第2加圧室内の圧力が高められることによって径方向内側に弾性変形可能に形成され、
前記第1圧力調整機構は、前記第1加圧室内の圧力を調整可能に構成され、
前記第2圧力調整機構は、前記第2加圧室内の圧力を調整可能に構成され、
前記工具ホルダの前記少なくとも一部が前記ホルダ保持部内側空間内に挿入された状態で、前記第1圧力調整機構によって前記第1加圧室内の圧力が高められることにより、前記第1押圧部が径方向外側に弾性変形して、前記工具ホルダが前記ホルダ保持部に保持され、
工具の少なくとも一部が前記本体部内側空間内に挿入された状態で、前記第2圧力調整機構によって前記第2加圧室内の圧力が高められることにより、前記第2押圧部が径方向内側に弾性変形して、前記工具が前記工具ホルダに保持される、
ことを特徴とする工具ホルダ。
(態様2)
態様1の工具ホルダであって、前記ホルダ保持部は、回転不能であることを特徴とする工具ホルダ。
(態様3)態様1または2の工具ホルダであって、前記本体部は、前記第1加圧室に連通している第1通路と、前記第2加圧室に連通している第2通路を有し、前記第1圧力調整機構は、前記第1加圧室および前記第1通路内の圧力を調整可能に構成され、前記第2圧力調整機構は、前記第2加圧室および前記第2通路内の圧力を調整可能に設けられていることを特徴とする工具ホルダ。
(態様4)態様1~3のうちのいずれかの工具ホルダであって、前記第1押圧部は、前記本体部外周面の周方向全周に延在し、前記第2押圧部は、前記本体部内周面の周方向全周に延在していることを特徴とする工具ホルダ。
(態様5)態様1~4のうちのいずれかの工具ホルダであって、
前記本体部は、本体部材と、外筒部材と、内筒部材と、を有し、
前記本体部材は、筒状に形成され、本体部材外周面と、本体部材内周面と、前記本体部材内周面により形成される本体部材内側空間と、を有し、
前記外筒部材は、筒状に形成され、外筒部材外周面と、外筒部材内周面と、前記外筒部材内周面により形成される外筒部材内側空間と、を有し、
前記内筒部材は、筒状に形成され、内筒部材外周面と、内筒部材内周面と、前記内筒部材内周面により形成される内筒部材内側空間と、を有し、
前記外筒部材は、前記本体部材外周面の少なくとも一部の径方向外側に固定され、
前記第1加圧室は、前記外筒部材内周面と前記本体部材外周面の前記少なくとも一部との間に形成され、
前記第1押圧部は、前記第1加圧室と前記外筒部材外周面との間に形成され、
前記内筒部材は、前記本体部材内周面の少なくとも一部の径方向内側に固定され、
前記第2加圧室は、前記内筒部材外周面と前記本体部材内周面の前記少なくとも一部との間に形成され、
前記第2押圧部は、前記第2加圧室と前記内筒部材内周面との間に形成されていることを特徴とする工具ホルダ。
(態様6)態様1~5のうちのいずれかの工具ホルダであって、前記第1押圧部および前記第2押圧部は、前記軸線方向に離間する複数個所に形成されており、前記複数の第1押圧部のうちの、後端側に形成されている第1押圧部は、前記複数の第2押圧部より後端側に配置され、前記複数の第2押圧部のうちの、先端側に形成されている第2押圧部は、前記複数の第1押圧部より先端側に配置されていることを特徴とする工具ホルダ。
【0027】
本発明は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、」削除が可能である。
実施形態では、第1押圧部、第1加圧室、第2押圧部および第2加圧室を、それぞれ2つ設けたが、第1押圧部、第1加圧室、第2押圧部および第2加圧室は、1を含む適宜の数設けることができる。すなわち、少なくとも1つ設けられていればよい。
実施形態では、第1通路を、1つの第1加圧室を介して各第1加圧室に連通するように設けたが、第1加圧室それぞれに直接連通するように設けてもよい。また、第2通路を、1つの第2加圧室を介して各第2加圧室に連通するように設けたが、第2加圧室それぞれに直接連通するように設けてよい。
第1加圧室に連通する第1通路および第2加圧室に連通する第2通路を設けたが、第1通路と第2通路を省略することもできる。この場合、第1圧力調整機構は、第1加圧室内の圧力を調整可能に構成され、第2圧力調整機構は、第2加圧室内の圧力を調整可能に構成される。
本体部材、外筒部材および内筒部材の構成は、実施形態で説明した構成に限定されない。
実施形態では、本体部を本体部材、外筒部材および内筒部材により構成したが、本体部材、外筒部材および内筒部材が一体に形成された本体部を用いることもできる。
第1圧力調整機構および第2圧力調整機構は、実施形態で説明した構成の圧力調整機構に限定されない。
実施形態では、工具ホルダを、回転不能なホルダ保持部に取り付ける場合について説明したが、本発明の工具ホルダは、回転するホルダ保持部に取り付けることもできる。
実施形態で説明した複数の構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数を組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0028】
10 工具ホルダ
20 本体部材
20A 本体部材先端面
20B 本体部材後端面
20a 本体部材内側空間
20a1、20a2 本体部材内側空間部分
21 本体部材内周面
21a~21c 本体部材内周面部分
22 本体部材外周面
22a~22e 本体部材外周面部分
23 鍔部(フランジ)
25 第1通路
26 第2通路
30 外筒部材
30A 外筒部材先端面
30B 外筒部材後端面
30a 外筒部材内側空間
31 外筒部材内周面
31a~31g 外筒部材内周面部分
32 外筒部材外周面
35a、35b 第1押圧部
36a、36b 第1加圧室
37 連通室
40 内筒部材
40A 内筒部材先端面
40B 内筒部材後端面
40a 内筒部材内側空間
40a1、40a2 内筒部材内側空間部分
41 内筒部材内周面
41a~41c 内筒部材内周面部分
42 内筒部材外周面
42a~42e 内筒部材外周面部分
45a、45b 第2押圧部
46a、46b 第2加圧室
47 連通室
50 第1圧力調整機構
51 第1圧力調整ネジ
52 第1ピストン
60 第2圧力調整機構
61 第2圧力調整ネジ
62 第2ピストン
70 補助ネジ
100 工作機械
110 ホルダ保持部
110A ホルダ保持部先端面
110a ホルダ保持部内側空間
111 ホルダ保持部内周面
200 工具
202 工具外周面