(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020771
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】浴室の排水口構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/262 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
E03C1/262 A
E03C1/262 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123204
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】荒木 洋一
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DE05
2D061DE15
(57)【要約】
【課題】従来の排水口構造のように、排水をかご状のフィルタで漉すと、漉し取られた髪の毛などでフィルタが目詰まりし、排水が排水口へと流れなくなる。また、カビや細菌が生成する粘着物質によっても容易にフィルタが目詰まりをおこす。このため、頻繁にフィルタを掃除する必要が生じるが、フィルタの開口部分に髪の毛が絡まり、フィルタを掃除する作業が煩わしい。
【解決手段】排水口の開口部分の全周にわたって密着するように装着される蓋板を備え、この蓋板の中央部分に、この蓋板の上面に流れ込んだ排水を上記排水口内へと導く開口を設け、かつ、ブラシ状の捕集部材を、ブラシ歯の先端が上記蓋板の上面に接するように取り付け、上記排水中に含まれる髪の毛を上記開口から排水口内へと流出する前にブラシ歯に絡めて捕集する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の床面に設けられた排水口に流れ込む髪の毛を捕集する浴室の排水口構造において、上記排水口の開口部分の全周にわたって密着するように装着される蓋板を備え、この蓋板の中央部分に、この蓋板の上面に流れ込んだ排水を上記排水口内へと導く開口を設け、かつ、ブラシ状の捕集部材を、ブラシ歯の先端が上記蓋板の上面に接するように取り付け、上記排水中に含まれる髪の毛を上記開口から排水口内へと流出する前にブラシ歯に絡めて捕集することを特徴とする浴室の排水口構造。
【請求項2】
上記蓋板の上面に、上記開口へと流れる排水の流路長さを延伸する迷路部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の浴室の排水口構造。
【請求項3】
上記捕集部材が浮き上がって上記ブラシ歯の先端が上記蓋板の上面から離間することをと防止する浮き止め手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浴室の排水口構造。
【請求項4】
上記捕集部材に、第1押し込み位置まで移動してブラシ歯に絡め取られた髪の毛を圧縮する圧縮板を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の浴室の排水口構造。
【請求項5】
上記圧縮板を、上記第1押し込み位置を越えた第2押し込み位置まで移動可能に形成して、捕集部材を蓋板から取り外した状態で、圧縮板を第2押し込み位置まで移動させてブラシ歯に絡め取られている髪の毛を圧縮板でブラシ歯から除去し得るようにしたことを特徴つする請求項1から請求項4のいずれかに記載の浴室の排水口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室から排水口へと流出する排水中の髪の毛を捕集する浴室の排水口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室で頭部を洗浄すると、抜けた髪の毛が必ず排水中に存在する。その排水をそのまま下水などに流すと環境に好ましくない。そのため、排水が排水口に流れ出る前にかご状のフィルタを設けて、髪の毛を漉し取るようにして捕集することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-113781号公報(請求項1、
図1のフィルター30)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の排水口構造のように、排水をかご状のフィルタで漉すと、漉し取られた髪の毛などでフィルタが目詰まりし、排水が排水口へと流れなくなる。また、カビや細菌が生成する粘着物質によっても容易にフィルタが目詰まりをおこす。
【0005】
このため、頻繁にフィルタを掃除する必要が生じるが、フィルタの開口部分に髪の毛が絡まり、フィルタを掃除する作業が煩わしいものとなる。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、排水中の髪の毛を容易に捕集でき、かつ清掃の頻度を減らし、清掃作業を容易にする浴室の排水口構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明による浴室の排水口構造は、浴室の床面に設けられた排水口に流れ込む髪の毛を捕集する浴室の排水口構造において、上記排水口の開口部分の全周にわたって密着するように装着される蓋板を備え、この蓋板の中央部分に、この蓋板の上面に流れ込んだ排水を上記排水口内へと導く開口を設け、かつ、ブラシ状の捕集部材を、ブラシ歯の先端が上記蓋板の上面に接するように取り付け、上記排水中に含まれる髪の毛を上記開口から排水口内へと流出する前にブラシ歯に絡めて捕集することを特徴とする。
【0008】
従来のようなかご状のフィルタで排水を漉すのではなく、ブラシ状の捕集部材のブラシ歯に髪の毛を絡めて捕集することによってフィルタの目詰まりが生じないようにした。
【0009】
なお、上記蓋板の上面に、上記開口へと流れる排水の流路長さを延伸する迷路部を形成することによって、ブラシ歯に髪の毛が絡め取られる確率を上げるようにした。
【0010】
また、排水が多い場合には捕集部材が浮き上がるおそれが生じるが、上記捕集部材が浮き上がって上記ブラシ歯の先端が上記蓋板の上面から離間することをと防止する浮き止め手段を設けることが望ましい。
【0011】
上記捕集部材に、第1押し込み位置まで移動してブラシ歯に絡め取られた髪の毛を圧縮する圧縮板を設ければ、捕集部材に対する清掃頻度を少なくすることができる。
【0012】
さらに、上記圧縮板を、上記第1押し込み位置を越えた第2押し込み位置まで移動可能に形成して、捕集部材を蓋板から取り外した状態で、圧縮板を第2押し込み位置まで移動させてブラシ歯に絡め取られている髪の毛を圧縮板でブラシ歯から除去し得るようにすれば、捕集部材の清掃作業が容易になる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、かご状のフィルタを使用することなく排水中の髪の毛を捕集できるので、フィルタの目詰まりなどの弊害の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】捕集された髪の毛を除去する際の捕集部材を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は浴室の床面であり、この床面1に形成され、カバー板12で目隠しされる排水ピット11内に排水口2が設けられている。この排水口2から排水と共に髪の毛が排水口2内に流入することを防止するために、
図2に示す蓋板3が設けられている。
【0016】
図2および
図3を参照して、蓋板3の外周面には複数個の突起30が形成され、排水口2の開口縁21に当接して蓋板3が排水口2から浮き上がることを防止している。
【0017】
蓋板3の上面には蓋板3を排水口2から取り外すための1対の取っ手31が設けられている。また、中央部分には開口32が形成されており、この開口32を囲む3重の周壁33が形成されている。これら3つの周壁33は全て複数個所の切り欠きを有しており、周壁33の挟まれた部分は排水が流れる迷路34が形成され、蓋板3の外周部分から蓋板3の上面に流れ込んだ排水はこの迷路34を通って中央の開口32に導かれる。
【0018】
髪の毛は排水と共に迷路34内を流れるが、その排水と共に流れる髪の毛を捕集するための捕集部材4を蓋板3の上部に載置する。
【0019】
図4(a)に示すように、捕集部材4の本体41の下面には位置決めようの3本の支柱42が設けられている。これら支柱42の先端が迷路34内に嵌入して周壁33に当接して捕集部材4の水平方向の位置決めがされる。また、これら支柱42の先端部分には永久磁石42aが射出成形時に鋳込まれている。そして、蓋板3には磁性体である鉄製のリング3aが鋳込まれているので、蓋板3上に捕集部材4を載置すると、永久磁石42aの磁力により捕集部材4の上方への浮き上がりが防止される。なお、この浮き上がり防止は永久磁石42aによらなくても、例えば支柱42の先端部分が周壁33に着脱自在に係合することによって実現してもよい。
【0020】
また、捕集部材4の本体41の下面には、先端部分が迷路34内に入り込む複数のブラシ歯43が設けられている。従って、上述のように、迷路34内を流れる排水内の髪の毛はブラシ歯43の先端部分に捕集されることになる。そして、このように髪の毛が捕集されるので排水のみが中央の開口32に流れ込むことになる。
【0021】
捕集部材4には、圧縮板44が設けられている。この圧縮板44には上記支柱42とブラシ歯43が貫通されており、かつ、圧縮板44に固定されている押し部材46と本体41との間に縮設されているバネ45によって上方に付勢されている。
【0022】
ブラシ歯43に髪の毛が捕集されると本体41側に浮き上がってくる。その場合には、蓋板3上に載置されたままの状態で押し部材46を押し下げると、本図(b)に示すように、圧縮板44は周壁33の上端に当接するまで下方に移動して、ブラシ歯43に捕集されている髪の毛を圧縮する。この周壁33の上端に当接している位置を第1押し込み位置とする。
【0023】
圧縮板44を第1押し込み位置まで押し下げてブラシ歯43に捕集されている髪の毛を圧縮すると、そのまま使用し続けることができるが、この圧縮を複数回繰り返すと、ブラシ歯43に捕集された髪の毛を除去しなければならない状態になる。その場合には、捕集部材4を蓋板3から取り外して、押し部材46を押し込む。
【0024】
図5を参照して、捕集部材4を蓋板3から取り外した状態で押し部材46を押し込むと、押し部材46が本体41の上端41aに当接するまで押し込まれる。この位置を第2押し込み位置とする。この第2押し込み位置まで押し部材46を押し込むと、圧縮板44はブラシ歯43の先端部近傍まで移動するので、ブラシ歯43に捕集されている髪の毛は全てブラシ歯43から除去されて落下する。
【0025】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0026】
1 床面
2 排水口
3 蓋板
4 捕集部材
32 開口
33 周壁
34 迷路
41 本体
41a 上端
42 支柱
42a 永久磁石
43 ブラシ歯
44 圧縮板