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  • 特開-熱交換素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020775
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】熱交換素子
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20240207BHJP
   F28F 21/00 20060101ALI20240207BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
F28F3/08 301Z
F28F21/00
F28D9/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123215
(22)【出願日】2022-08-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】500076974
【氏名又は名称】株式会社テクノフロンティア
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】河原 利和
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA05
3L103BB42
3L103CC23
3L103DD15
3L103DD53
(57)【要約】
【課題】軽量で持ち運びに便利な熱交換素子を提供する。
【解決手段】一壁面部と、他壁面部と、一壁面部と他壁面部とを連結する多数の平行なリブ片3を有するプラスチック段ボール素材4から成る第1流路形成部材と第2流路形成部材の各々に、不織布を張設して成る第1熱交換部材7Aと第2熱交換部材7Bとを、交互に前後に複数枚積層して構成され、気体と水の熱交換を行う熱交換素子である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一壁面部(1)と、他壁面部(2)と、該一壁面部(1)と他壁面部(2)とを連結する多数の平行なリブ片(3)を有するプラスチック段ボール素材(4)から成る水用第1流路形成部材(5A)と気体用第2流路形成部材(5B)の各々に、不織布(6)を張設して成る第1熱交換部材(7A)と第2熱交換部材(7B)とを、交互に前後に複数枚積層して構成され、気体と水の熱交換を行う熱交換素子であって、
上記第1熱交換部材(7A)は、窓部(8)が打抜き形成された正面視外形形状が矩形の第1流路形成部材(5A)と、該第1流路形成部材(5A)と外形形状が略同一であって該第1流路形成部材(5A)の一面に張設された不織布(6A)と、から成り、
上記第2熱交換部材(7B)は、窓部が打抜き形成されずかつ上記第1流路形成部材(5A)と外形形状が略同一の第2流路形成部材(5B)と、該第2流路形成部材(5B)と外形形状が略同一であって該第2流路形成部材(5B)の一面に張設された不織布(6B)と、から成り、
上記第1熱交換部材(7A)の不織布(6A)と、上記第2熱交換部材(7B)の不織布(6B)とが、水が流れる流路(9)を形成するように所定小間隙(g)をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材(5A)のリブ方向(R1 )を上下方向として、上記第2流路形成部材(5B)のリブ方向(R2 )を左右方向として、交互に積層させたことを特徴とする熱交換素子。
【請求項2】
上記第1流路形成部材(5A)は、複数本の左右方向の細帯部(10)を残して上記窓部(8)が打抜き形成されている請求項1記載の熱交換素子。
【請求項3】
上記不織布(6)の目付けを、12g/m2 以上 200g/m2 以下に設定した請求項1又は2記載の熱交換素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷風機や空調機には、熱交換素子が内臓されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-132339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の冷風機に用いられている熱交換素子は、熱交換素子がアルミニウム等から成り、持ち運ぶ際、重いという問題がある。そこで、本発明は、軽量で持ち運びに便利な熱交換素子を提供することを目的とする。
【0005】
また、熱交換素子がハニカム構造のアルミニウムから成る熱交換素子の場合、形状が複雑なので製造コストが高くなるとともに、防錆処理が必要なので、さらに高価になるという欠点があった。そこで、本発明は、容易に製造することができて安価な熱交換素子を提供することを目的とする。
【0006】
また、熱交換素子がハニカム構造のアルミニウムから成る熱交換素子の場合、熱交換が行われる(隣接する)気体の流路と水の流路との間に配設されるアルミニウムの厚さ寸法が約1mmもあり、熱交換率が低いという欠点があった。そこで、本発明は、熱交換率が高い熱交換素子を提供することを目的とする。
【0007】
また、アルミニウムから成る熱交換素子は、形状寸法を容易に変更することができないという問題もあった。そこで、本発明は、形状寸法を容易に変更することができる熱交換素子を提供することを目的とする。
【0008】
また、熱交換素子にあっては、水を上から下に流す際、水が流れる速度が速いので、熱交換率が低いという欠点があった。そこで、本発明は、熱交換率が高い熱交換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る熱交換素子は、一壁面部と、他壁面部と、該一壁面部と他壁面部とを連結する多数の平行なリブ片を有するプラスチック段ボール素材から成る水用第1流路形成部材と気体用第2流路形成部材の各々に、不織布を張設して成る第1熱交換部材と第2熱交換部材とを、交互に前後に複数枚積層して構成され、気体と水の熱交換を行う熱交換素子であって、上記第1熱交換部材は、窓部が打抜き形成された正面視外形形状が略正方形の第1流路形成部材と、該第1流路形成部材と外形形状が略同一であって該第1流路形成部材の一面に張設された不織布と、から成り、上記第2熱交換部材は、窓部が打抜き形成されずかつ上記第1流路形成部材と外形形状が略同一の第2流路形成部材と、該第2流路形成部材と外形形状が略同一であって該第2流路形成部材の一面に張設された不織布と、から成り、上記第1熱交換部材の不織布と、上記第2熱交換部材の不織布とが、水が流れる流路を形成するように所定小間隙をもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材のリブ方向を上下方向として、上記第2流路形成部材のリブ方向を左右方向として、交互に積層させたものである。
【0010】
また、上記第1流路形成部材は、複数本の左右方向の細帯部を残して上記窓部が打抜き形成されているものである。
また、上記不織布の目付けを、12g/m2 以上 200/m2 以下に設定したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱交換素子によれば、軽量で持ち運びに便利である。また、容易に製造することができて安価である。また、形状寸法を容易に変更することができる。また、熱交換効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の一形態を示す斜視図である。
図2】第1流路形成部材を示す正面図である。
図3】プラスチック段ボール素材を示す断面図である。
図4】不織布を示す正面図である。
図5】第1熱交換部材を示す正面図である。
図6】第2流路形成部材を示す正面図である。
図7】第2熱交換部材を示す拡大断面側面図である。
図8】熱交換素子を示す正面図である。
図9図8のY-Y断面簡略拡大図である。
図10図9の要部拡大説明図である。
図11図9の要部拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1は、本発明に係る熱交換素子の実施の一形態を示す。この熱交換素子は、気化式冷風機や空調機等に内蔵される。上から下へ水を流下させるとともに、冷風機,空調機等に内蔵されたファンによって(左右方向に)気体を流して、気体と水の熱交換を行うものである。気体は、例えば、空気である。プラスチック段ボール素材4(図3参照)と不織布6(図4参照)とが、用いられる。
【0014】
図3に示すように、プラスチック段ボール素材4は、一壁面部1と、他壁面部2と、一壁面部1と他壁面部2とを連結する多数の平行なリブ片3を有する。このプラスチック段ボール素材4は、例えば、ポリプロピレンから成る。
【0015】
本発明に係る熱交換素子は、第1熱交換部材7A(図5参照)と第2熱交換部材7B(図7参照)とを、交互に前後に複数枚積層して構成される。第1熱交換部材7Aは、プラスチック段ボール素材4から成る水用第1流路形成部材5Aに、不織布6(6A)を張設して成る。第2熱交換部材7Bは、プラスチック段ボール素材4から成る気体用第2流路形成部材5Bに、不織布6(6B)を張設して成る。本発明に於て、「張設」とは、接着、貼着、その他、平面状に張った状態で一体化する他の手段を含むものとする。
【0016】
図2に示すように、第1流路形成部材5Aは、正面視外形形状が矩形である。本発明に於て、「矩形」とは、正方形、長方形を含み、さらに、多少の切欠きや突部を有する略正方形、略長方形をも含むものとする。そして、第1流路形成部材5Aは、複数本(好ましくは、2本以上5本以下)の左右方向の細帯部10を残して窓部8が打抜き形成されている。図4に示すように、不織布6Aは、第1流路形成部材5Aと外形形状が略同一である。
【0017】
細帯部10の幅寸法wを、3mm~30mmに設定する。なお、この幅寸法wを、第1流路形成部材5Aの一辺(短辺)の長さ寸法Lの3%以上10%以下に設定するのが望ましい。幅寸法wが長さ寸法Lの3%未満の場合、強度が不足する。幅寸法wが長さ寸法Lの10%を超える場合、熱交換率が低下する。
【0018】
図6図7に示すように、第2流路形成部材5Bは、窓部が打抜き形成されず、かつ、第1流路形成部材5A(図2参照)と外形形状が略同一である。図4に示すように、不織布6Bは、第2流路形成部材5Bと外形形状が略同一である。
【0019】
プラスチック段ボール素材4の一壁面部1と他壁面部2は、図3に示すように、厚さ寸法tが同一である。一壁面部1と他壁面部2各々の厚さ寸法tを、0.05mm以上0.5 mm以下に設定する。厚さ寸法tが0.05mm未満の場合、強度と剛性が不足し、また、製造が困難である。厚さ寸法tが0.5 mmを超える場合、熱交換率が低くなる。
【0020】
不織布6(第1熱交換部材7Aの不織布6A、及び、第2熱交換部材7Bの不織布6B)の目付けを、12g/m2 以上 200g/m2 以下に設定する。目付けが12g/m2 未満の場合、水の流れを遅くする効果が低くなる。目付けが 200g/m2 を超える場合、熱交換率が低くなる。
【0021】
図8は、熱交換素子の正面図を示す。図9は、図8のY-Y断面簡略拡大図である。図9に示すように、熱交換素子は、第1熱交換部材7Aの不織布6Aと、第2熱交換部材7Bの不織布6Bとが、水が流れる流路9を形成するように所定小間隙gをもって向き合うように、第1熱交換部材7Aと第2熱交換部材7Bとが、交互に積層される。さらに、熱交換素子は、第1熱交換部材7Aと第2熱交換部材7Bとが、第1流路形成部材5Aのリブ方向R1 図2図5参照)を上下方向として、第2流路形成部材5Bのリブ方向R2 図6参照)を左右方向として、交互に積層される。図9の矢印zは、水の流れを示す。
【0022】
次に、熱交換が行われる方法について説明する。水を第1熱交換部材7Aの上から下へ流すとともに、気体を第2熱交換部材7Bの左右方向の一方から他方へ流す。図10に示すように、一対の(向き合った)不織布6が、水が流れる流路9を形成するので、水の流れが不織布6によって遅くなり、熱交換率が高くなる。また、図11に示すように、第1流路形成部材5Aの細帯部10への入口部分によっても、水が抵抗を受け、水の流れが遅くなり、熱交換率が高くなる。
【0023】
なお、図3及び図9に於て、プラスチック段ボール素材4のリブ片3が、一壁面部1及び他壁面部2と垂直に描いているが、このリブ片3は、傾斜状であったり、弯曲状であることも望ましい。
本発明は、設計変更可能であって、例えば、水用第1流路形成部材5Aと気体用第2流路形成部材5Bの厚みを相違させるも良い。例えば、風量が小さい場合、気体用第2流路形成部材5Bの厚みを大きくして風量を増すことができる。また、水量が小さい場合、水用第1流路形成部材5Aの厚みを大きくして水流を増すことができる。また、左右方向の細帯部10に加えて、または、左右方向の細帯部10に代えて、上下方向の細帯部を残して窓部8を打抜き形成するも良い。例えば、左右方向の2本の細帯部10,10の間を、上下方向の細帯部が連結する形状に各細帯部を残して、窓部8を打抜き形成するも良い。また、(図2の正面図において、)細帯部10をジグザグ折れ線形状や波型等とするも好ましい。また、不織布に機能性材料を使っても良い。例えば、防カビ剤を用いるも好ましい。
【0024】
以上のように、本発明は、一壁面部1と、他壁面部2と、該一壁面部1と他壁面部2とを連結する多数の平行なリブ片3を有するプラスチック段ボール素材4から成る水用第1流路形成部材5Aと気体用第2流路形成部材5Bの各々に、不織布6を張設して成る第1熱交換部材7Aと第2熱交換部材7Bとを、交互に前後に複数枚積層して構成され、気体と水の熱交換を行う熱交換素子であって、上記第1熱交換部材7Aは、窓部8が打抜き形成された正面視外形形状が略正方形の第1流路形成部材5Aと、該第1流路形成部材5Aと外形形状が略同一であって該第1流路形成部材5Aの一面に張設された不織布6Aと、から成り、上記第2熱交換部材7Bは、窓部が打抜き形成されずかつ上記第1流路形成部材5Aと外形形状が略同一の第2流路形成部材5Bと、該第2流路形成部材5Bと外形形状が略同一であって該第2流路形成部材5Bの一面に張設された不織布6Bと、から成り、上記第1熱交換部材7Aの不織布6Aと、上記第2熱交換部材7Bの不織布6Bとが、水が流れる流路9を形成するように所定小間隙gをもって向き合うように、かつ、上記第1流路形成部材5Aのリブ方向R1 を上下方向として、上記第2流路形成部材5Bのリブ方向R2 を左右方向として、交互に積層させたので、水の降下速度がゆっくりとなり、気体との熱交換率が高い。しかも、熱交換素子が軽く形成できるので、これを内臓した気化式冷風機等の軽量化が図られて、持ち運びに便利である。また、疎水性があるプラスチック段ボールを用いながらも、熱交換率が高い。さらに、熱交換素子を容易に製造することができて安価である。また、熱交換素子全体の形状寸法を容易に変更することができる。
【0025】
また、上記第1流路形成部材5Aは、複数本の左右方向の細帯部10を残して上記窓部8が打抜き形成されているので、強度が優れる。また、熱交換率が高い。
また、上記不織布6の目付けを、12g/m2 以上 200g/m2 以下に設定したので、適切に水の流れが遅くなり熱交換率が高くなる。
【符号の説明】
【0026】
1 一壁面部
2 他壁面部
3 リブ片
4 プラスチック段ボール素材
5A 第1流路形成部材
5B 第2流路形成部材
6 不織布
6A 不織布
6B 不織布
7A 第1熱交換部材
7B 第2熱交換部材
8 窓部
9 流路
10 細帯部
g 所定小間隙
1 リブ方向
2 リブ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11