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特開2024-20780情報管理システム、情報管理方法及び情報管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020780
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】情報管理システム、情報管理方法及び情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240207BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123222
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】畑 浩二
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】トンネル工事等に用いる情報の管理を支援するための情報管理システム、情報管理方法及び情報管理プログラムを提供する。
【解決手段】管理装置20は、現場の状況情報、項目、検索用語に関連付けた用語辞書を記憶する用語情報記憶部23と、項目を含めたファイルを記憶する管理情報記憶部24と、ユーザ装置10に接続される制御部21と、を備える。制御部21が、ユーザ装置10からの目的情報の要求を取得した場合、現場の状況情報を特定し、ユーザ装置10から検索用語を取得し、状況情報、検索用語に用いて、用語辞書において項目を特定し、管理情報記憶部24において、項目に応じたファイルを特定して、ユーザ装置10に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場の状況情報、項目、検索用語に関連付けた用語辞書を記憶する用語情報記憶部と、
項目を含めたファイルを記憶する管理情報記憶部と、
ユーザ装置に接続される制御部と、を備えた情報管理システムであって、
前記制御部が、
前記ユーザ装置からの目的情報の要求を取得した場合、現場の状況情報を特定し、
前記ユーザ装置から検索用語を取得し、
前記状況情報、前記検索用語を用いて、前記用語辞書において項目を特定し、
前記管理情報記憶部において、前記項目に応じたファイルを特定して、前記ユーザ装置に出力することを特徴とする情報管理システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記ユーザ装置の集音装置で取得した音声の音声認識により、前記検索用語を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記制御部が、前記管理情報記憶部に記録された工事の進捗状況に応じて前記状況情報を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記制御部が、前記ユーザ装置の集音装置で取得した音により、前記状況情報を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記制御部が、前記目的情報の要求において位置情報を特定し、前記位置情報に応じたファイルを特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報管理システム。
【請求項6】
現場の状況情報、項目、検索用語に関連付けた用語辞書を記憶する用語情報記憶部と、
項目を含めたファイルを記憶する管理情報記憶部と、
ユーザ装置に接続される制御部と、を備えた情報管理システムを用いて、情報管理を行なう方法であって、
前記制御部が、
前記ユーザ装置からの目的情報の要求を取得した場合、現場の状況情報を特定し、
前記ユーザ装置から検索用語を取得し、
前記状況情報、前記検索用語を用いて、前記用語辞書において項目を特定し、
前記管理情報記憶部において、前記項目に応じたファイルを特定して、前記ユーザ装置に出力することを特徴とする情報管理方法。
【請求項7】
現場の状況情報、項目、検索用語に関連付けた用語辞書を記憶する用語情報記憶部と、
項目を含めたファイルを記憶する管理情報記憶部と、
ユーザ装置に接続される制御部と、を備えた情報管理システムを用いて、情報管理を行なうためのプログラムであって、
前記制御部を、
前記ユーザ装置からの目的情報の要求を取得した場合、現場の状況情報を特定し、
前記ユーザ装置から検索用語を取得し、
前記状況情報、前記検索用語を用いて、前記用語辞書において項目を特定し、
前記管理情報記憶部において、前記項目に応じたファイルを特定して、前記ユーザ装置に出力する手段として機能させることを特徴とする情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル工事等に用いる情報の管理を支援する情報管理システム、情報管理方法及び情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル施工に関するデータを統合して情報の共有化を図るとともに、切羽前方の地質予測に基づいて、効率的に各種データを管理する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。例えば、特許文献1に開示された技術においては、管理システムが、計測情報記憶部に記録された前方探査結果を、設計情報記憶部に記録されたトンネルモデル及び地山情報記憶部に記録された地山モデルに統合した統合モデルをユーザ装置に表示する。更に、前方探査結果に応じて、第1の設計区画を見直した第2の設計区画を特定する。そして、トンネルモデルを構成する物理要素を関連付けて記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-84076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、管理システムを用いて、現場で観察、計測、解析したデータを共有する。その際、共有者が認識しやすいようにフォーマットの統一や調整を行なうために手間がかかっていた。更に、ユーザによる情報の検索、必要な情報の引き出し、情報の加工、情報の出力を人手作業で行なう場合には、作業負荷がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための情報管理システムは、現場の状況情報、項目、検索用語に関連付けた用語辞書を記憶する用語情報記憶部と、項目を含めたファイルを記憶する管理情報記憶部と、ユーザ装置に接続される制御部と、を備える。そして、前記制御部が、前記ユーザ装置からの目的情報の要求を取得した場合、現場の状況情報を特定し、前記ユーザ装置から検索用語を取得し、前記状況情報、前記検索用語を用いて、前記用語辞書において項目を特定し、前記管理情報記憶部において、前記項目に応じたファイルを特定して、前記ユーザ装置に出力する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トンネル工事等に用いる情報の管理を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のシステムの説明図である。
図2】実施形態のハードウェア構成の説明図である。
図3】実施形態のユーザ情報記憶部に記録された情報の説明図である。
図4】実施形態の用語情報記憶部に記録された情報の説明図である。
図5】実施形態の管理情報記憶部に記録された情報の説明図である。
図6】実施形態の処理手順の説明図である。
図7】実施形態の処理手順の説明図である。
図8】実施形態の処理手順の説明図である。
図9】別例の処理手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図8に従って、情報管理システム、情報管理方法及び情報管理プログラムの一実施形態を説明する。本実施形態では、トンネル工事に関する情報の管理に用いる情報管理システムCS1として説明する。
図1に示すように、本実施形態では、ネットワークで相互に接続されたユーザ装置10、管理装置20を用いる。
【0009】
(ハードウェア構成の説明)
図2を用いて、ユーザ装置10、管理装置20を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0010】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0011】
入力装置H12は、各種情報の入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
記憶装置H14は、ユーザ装置10、管理装置20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0012】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ装置10、管理装置20における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各処理のための各種プロセスを実行する。
【0013】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。
【0014】
(システム構成)
次に、図1を用いて、情報管理システムの各機能を説明する。
ユーザ装置10は、トンネル工事の担当者(ユーザ)が用いるコンピュータ端末である。
【0015】
管理装置20は、トンネル工事の管理を支援するコンピュータシステムである。この管理装置20は、制御部21、ユーザ情報記憶部22、用語情報記憶部23、管理情報記憶部24を備える。
【0016】
制御部21は、建設工事の工事現場での工程管理を支援する。このために、制御部21は、情報管理プログラムを実行することにより、登録ステップ、検索ステップ、出力ステップ等を実行する登録部211、検索部212、出力部213として機能する。
【0017】
登録部211は、トンネル工事に関する情報を登録する処理を実行する。
検索部212は、ユーザ装置10から取得した情報を用いて、管理情報記憶部24において、情報を検索する処理を実行する。
出力部213は、検索結果を用いて目的情報を生成し、ユーザ装置10に出力する処理を実行する。
【0018】
図3に示すように、ユーザ情報記憶部22には、ユーザ管理情報220が記録される。このユーザ管理情報220は、ユーザ登録が行なわれた場合に記録される。ユーザ管理情報220には、ユーザID、属性、端末IDに関する情報が記録される。
【0019】
ユーザIDは、各ユーザを特定するための識別子である。
現場IDは、このユーザが関わる工事現場を特定するための識別子である。
属性は、このユーザの氏名や所属、役職に関する情報である。
端末IDは、このユーザが利用しているユーザ装置10を特定するための情報である。
【0020】
図4に示すように、用語情報記憶部23には、ユーザが用いる用語について、用語辞書としての分類情報231、表示管理情報232が記録される。この分類情報231、表示管理情報232は、工事現場で用いられる用語が登録された場合に記録される。
【0021】
分類情報231には、段階、大項目、中項目、用語に関する情報が記録される。
段階は、工事の進捗を示す現場の状況情報である。例えば、設計、掘削時、覆工、その他等がある。
【0022】
大項目は、各段階の中で行なわれる作業に関する項目に関する情報が記録される。例えば、段階「設計」においては、コアボーリング情報、基準点情報、当初設計、弾性波探査等がある。段階「掘削時」には、切羽観察、坑内計測、湧水情報、前方探査等がある。
【0023】
中項目は、大項目で用いられる項目に関する情報が記録される。
用語は、中項目で用いられる検索用語である。この中項目を他の単語を用いて表現した用語も含まれる。そして、この用語を検索のためのキーワードとして用いて、管理情報記憶部24から情報を抽出する。例えば、段階「掘削時」、大項目「切羽観察」に対して、中項目「切羽写真」がある。用語としては、「切羽写真」の他に「切羽画像」が記録される。
【0024】
表示管理情報232には、指示ワード、表示方法に関する情報が記録される。
指示ワードは、表示方法を指示する用語である。
表示方法は、指示ワードに対応した表示方法である。出力部213は、この表示方法に従って、管理情報記憶部24から抽出した情報の加工処理や編集処理を実行する。例えば、「AからCの切羽を表示」の場合には、指示ワード「切羽を表示」に対応して、出力部213は、番号Aから番号Cの切羽画像を、順番に並べて表示する。また、「AからCの天端の沈下量を表示」の場合には、指示ワード「天端の沈下量」に対応して、出力部213は、番号Aから番号Cの天端の沈下量を、順番に並べたグラフを生成する。
【0025】
図5に示すように、管理情報記憶部24には、トンネル工事に関する各種情報が記録される。各種情報には、例えば、地山データ24a、トンネルデータ24b、計測品質データ24c等が記録される。
地山データ24aは、トンネルを構築する現地形や地質に関する情報である。地山データ24aには、地形ファイル241や地質ファイル242が含まれる。この地山データ24aには、現場ID、地形や地質に関するデータが含まれる。この地山データ24aには、各地形や各地質について、位置情報が関連付けられている。そして、地山データ24aの位置情報を用いることにより、地形・地質の3次元モデル(地山モデル)を生成することができる。
【0026】
現場IDデータは、工事現場を特定するための識別子である。
地形ファイル241には、地表面の3次元モデルが記録される。この地形データは、例えば、国土地理院標高データや、3次元スキャナによる実測データ(点群データ)を用いることが可能である。
【0027】
地質ファイル242には、地層の境界面についての3次元モデルが記録されている。この地質データは、ボーリング等を用いて測定された地質情報であって、設計図書に記述された地質調査資料の情報が記録される。
【0028】
トンネルデータ24bは、トンネルの設計情報である。このトンネルデータ24bには、トンネル設計ファイル243、施工進捗状況ファイル244が含まれる。
トンネル設計ファイル243には、現場ID、トンネル線形、トンネル断面形状、トンネル部材、施工計画等に関するデータが含まれる。このトンネルデータ24bには、トンネル形状について、位置情報が関連付けられている。そして、このトンネルデータ24bのトンネル線形、トンネル断面形状を用いることにより、トンネル本体の3次元モデル(トンネル設計モデル)を生成することができる。
【0029】
現場IDデータは、工事現場を特定するための識別子である。
トンネル線形データは、3次元空間においてトンネルが配置される計画線(起点~終点)までの座標が記録される。
【0030】
トンネル断面形状データには、トンネルの断面図が記録される。このトンネル断面形状データを用いることにより、計画線の各位置における断面形状を特定することができる。
トンネル部材データには、計画線(座標)に対して、トンネル施工に用いられるトンネル部材(オブジェクト)が記録される。
施工計画データには、トンネル施工に関する計画日程が記録される。
【0031】
施工進捗状況ファイル244には、現場ID、施工位置、実績日程(施工開始日や施工終了日)が記録される。
【0032】
計測品質データ24cは、現場ID、計測位置、施工時の各種計測情報である。計測品質データ24cには、現場ID、計測日時、計測位置(例えば、計画線の座標)に関連付けて、計測ファイル245、断面測定ファイル246、切羽観察画像ファイル247、切羽前方探査結果ファイル248等が記録される。この計測品質データ24cの計測位置を用いることにより、計測結果の仮想空間内の3次元配置を特定することができる。
【0033】
現場IDデータは、工事現場を特定するための識別子である。
計測ファイル245には、日常の施工管理において計測された計測結果に関するデータが記録される。例えば、内空変位計測、ロックボルト軸力計測、支保工応力計測、吹付けコンクリート応力計測、地中変位計測等が含まれる。
【0034】
断面測定ファイル246には、施工時において計測されたトンネル断面の測定結果に関するデータが記録される。この断面測定データには、切羽観察以外の変位、応力、軸力測定、切羽の状態、素堀面の状態、圧縮強度、風化状態、破砕部の切羽における割合、割れ目の頻度、割れ目状態、湧水、等に関する観察結果が含まれる。
【0035】
切羽観察画像ファイル247には、施工時に切羽断面を撮影した画像が記録される。この切羽観察画像を、計測位置に応じて統合モデルに組み込んで表示させることができる。
切羽前方探査結果ファイル248には、施工時に行なわれた切羽前方の探査結果に関するデータが記録される。本実施形態では、切羽前方探査として、ノンコア削孔探査、ボーリング孔内観察、オールコアボーリング、坑内弾性波探査を用いる。
【0036】
そして、地山モデル、トンネル設計モデル、計測結果モデルを、同じ3次元仮想空間に配置することにより、複数の情報を統合した統合モデルを生成することができる。
(情報管理処理)
図6図8を用いて、情報管理処理を説明する。
【0037】
(情報登録処理)
まず、図6を用いて、情報登録処理を説明する。
ここでは、管理装置20の制御部21は、情報の取得処理を実行する(ステップS11)。具体的には、制御部21の登録部211は、ユーザ装置10に入力されたファイルを取得する。
【0038】
次に、管理装置20の制御部21は、現場及び位置の特定処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御部21の登録部211は、ユーザ情報記憶部22を用いて、ユーザ装置10を利用するユーザが担当する現場IDを特定する。この場合、ユーザ装置10の端末IDを用いたり、ユーザ装置10にログインしたユーザIDを用いたりすることができる。更に、登録部211は、ユーザ装置10の所在位置を取得する。
【0039】
次に、管理装置20の制御部21は、情報の登録処理を実行する(ステップS13)。具体的には、制御部21の登録部211は、取得したファイルを、管理情報記憶部24に記録する。この場合、登録部211は、ファイルに位置情報を関連付けて、管理情報記憶部24に記録する。例えば、取得ファイルに位置情報が含まれる場合には、この位置情報を用いる。また、取得ファイルに位置情報が含まれない場合には、ユーザ装置10の所在位置を位置情報として用いる。
【0040】
(情報出力処理)
次に、図7、8を用いて、目的情報の情報出力処理を説明する。
まず、図7を用いて、目的情報の情報出力処理の概要を説明する。ここでは、目的情報を出力させる場合、ユーザ装置10から、ユーザの音声を取得する。この場合、ユーザ装置10を利用するユーザが関わる現場を特定する。そして、管理情報記憶部24において、この現場の段階(工事進捗)を特定する。担当者の音声の音声認識により、キーワード(検索用語)を取得する。このキーワードには、検索ワードと指示ワードとが含まれる。そして、現場、ユーザ、段階から、検索ワードに対応する項目を含むファイルを抽出する。更に、指示ワードを用いて、抽出ファイルの表示方法を決定して、目的情報を出力する。
【0041】
図8を用いて、情報出力処理の詳細を説明する。
ここでは、管理装置20の制御部21は、音声の取得処理を実行する(ステップS21)。具体的には、ユーザが、目的情報の出力を要求する場合、ユーザ装置10の集音装置(マイク)に音声を入力する。この場合、制御部21の検索部212は、ユーザ装置10から、担当者が発話した音声を取得する。
【0042】
次に、管理装置20の制御部21は、現場の特定処理を実行する(ステップS22)。具体的には、制御部21の検索部212は、ユーザ装置10のユーザを特定する。この場合、ユーザ装置10から取得したユーザIDや、端末IDを用いることができる。そして、検索部212は、このユーザが担当する現場を、ユーザ情報記憶部22のユーザ管理情報220を用いて特定する。
【0043】
次に、管理装置20の制御部21は、段階の特定処理を実行する(ステップS23)。具体的には、制御部21の検索部212は、この現場の進捗状況を管理情報記憶部24の施工進捗状況ファイル244を用いて特定し、進捗状況に対応した段階を特定する。
【0044】
次に、管理装置20の制御部21は、音声認識処理を実行する(ステップS24)。具体的には、制御部21の検索部212は、発話の音声認識を行なうことにより、発話テキストを取得する。
【0045】
次に、管理装置20の制御部21は、キーワードの特定処理を実行する(ステップS25)。具体的には、制御部21の検索部212は、発話テキストの形態素分析によりキーワード(名詞や動詞)を取得する。
【0046】
次に、管理装置20の制御部21は、用語辞書を用いて、目的情報の予測処理を実行する(ステップS26)。具体的には、制御部21の検索部212は、取得したキーワードにおいて、用語情報記憶部23の分類情報231に記録された検索ワード(用語)、表示管理情報232に記録された指示ワードを特定する。更に、検索部212は、取得したキーワードにおいて位置情報を特定する。これにより、発話に含まれるキーワードに応じて担当者が所望している目的情報を予測する。
【0047】
次に、管理装置20の制御部21は、目的情報の取得処理を実行する(ステップS27)。具体的には、制御部21の出力部213は、分類情報231の検索ワード(用語)に対応する項目を含むファイルを、管理情報記憶部24から抽出する。この場合、工事現場においては、現場ID、位置でフィルタリングしたファイルを取得する。なお、キーワードにおいて、位置に関するキーワードが含まれない場合には、現場全体を示すものとする。
【0048】
例えば、キーワードに位置情報が含まれず、「切羽画像」に関するキーワードが含まれる場合には、管理情報記憶部24から、この現場のすべての切羽画像を目的情報として取得する。
更に、指示ワードに応じて、目的情報を取得するために情報処理が必要な場合には、管理情報記憶部24から取得した情報を用いた演算処理を実行する。
【0049】
例えば、「A(位置)からB(位置)の天端の沈下」の場合には、キーワードとして、「A(位置)からB(位置)」、「天端」、「沈下」を取得する。次に、管理情報記憶部24から、A(位置)からB(位置)に対応する計測品質データ24cを取得する。そして、計測ファイル245において、天端の沈下量を、A(位置)からB(位置)の順番に取得し、沈下量を順番に並べたグラフを、目的情報として作成する。
【0050】
次に、管理装置20の制御部21は、目的情報の出力処理を実行する(ステップS28)。具体的には、制御部21の出力部213は、目的情報をユーザ装置10に出力する。
【0051】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、管理装置20の制御部21は、情報の取得処理(ステップS11)、情報の登録処理(ステップS13)を実行する。これにより、ユーザはデータを整理することなく、効率的に情報共有を行なうことができる。
【0052】
(2)本実施形態では、管理装置20の制御部21は、現場及び位置の特定処理を実行する(ステップS12)。これにより、工事現場の所在に応じた情報を登録することができる。
【0053】
(3)本実施形態では、管理装置20の制御部21は、音声の取得処理(ステップS21)、段階の特定処理(ステップS23)、キーワードの特定処理(ステップS25)を実行する。これにより、効率的に目的情報を取得することができる。
【0054】
(4)本実施形態では、管理装置20の制御部21は、段階の特定処理を実行する(ステップS23)。これにより、工事の進捗状況に応じた情報を取得することができる。
(5)本実施形態では、管理装置20の制御部21は、用語辞書を用いて、目的情報の予測処理を実行する(ステップS26)。これにより、多様な情報が記録された管理情報記憶部24から、検索ワードに応じた目的情報を取得することができる。例えば、工事現場で施工業者の慣習などに由来する言語表記のゆれが存在する場合にも、用語辞書を用いて、言語表記のゆれに対応することができる。
更に、ここでは、目的情報を所望する位置情報を特定する。例えば、トンネル工事では、ほとんどの現場情報は、トンネルの線形に沿った1次元の座標に関係付けられるので、位置情報に対応した目的情報を取得することができる。
【0055】
(6)本実施形態では、管理装置20の制御部21は、目的情報の取得処理を実行する(ステップS27)。これにより、指示ワードに応じて、情報の編集や加工を行なった目的情報を取得することができる。
【0056】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、管理装置20の制御部21は、情報の登録処理を実行する(ステップS13)。この場合、管理情報記憶部24に、登録者のユーザID、ユーザ装置10の位置情報を、ファイルに関連付けて、管理情報記憶部24に記録してもよい。
また、情報種別を、ファイルに関連付けて、管理情報記憶部24に記録してもよい。この場合、制御部21の登録部211が、ユーザ装置10から取得したファイルの内容をパターン認識して、情報種別を特定する。
【0057】
・上記実施形態では、トンネル工事に関する情報の管理に用いる情報管理システムCS1として説明した。管理する情報は、トンネル工事に関する情報に限定されるものではない。現場の状況情報に応じて、検索ワードや、目的情報が変わる場合に用いることができる。
・上記実施形態では、管理情報記憶部24には、地山データ24a、トンネルデータ24b、計測品質データ24c等が記録される。管理情報記憶部24に記録される情報は、これらに限定されるものではない。
【0058】
・上記実施形態では、用語情報記憶部23には、ユーザが用いる用語についての分類情報231、表示管理情報232が記録される。ここで、分類情報231の用語や、表示管理情報232をユーザ毎に記録してもよい。この場合には、情報種別の予測処理(ステップS26)において、ユーザ装置10のユーザIDに対応した分類情報231、表示管理情報232を用いる。これにより、目的情報をユーザ毎にカスタマイズすることができる。分類情報231の用語や、表示管理情報232を現場毎に記録してもよい。この場合には、情報種別の予測処理(ステップS26)において、現場IDに対応した分類情報231、表示管理情報232を用いる。これにより、目的情報をユーザ毎や現場毎にカスタマイズすることができる。
【0059】
・上記実施形態では、管理装置20の制御部21は、段階の特定処理を実行する(ステップS23)。ここでは、この現場の進捗状況を管理情報記憶部24の施工進捗状況ファイル244を用いて特定し、進捗状況に対応した段階を特定する。段階の特定方法は、これに限定されるものではない。例えば、音声の取得処理(ステップS21)において、ユーザ装置10から取得した音声に含まれる環境音を用いてもよい。環境音は段階によって異なるので、環境音のパターン認識により、各段階を特定する。
・上記実施形態では、管理装置20の制御部21は、音声の取得処理(ステップS21)、現場の特定処理(ステップS22)~キーワードの特定処理(ステップS25)を実行する。これらの処理の実行主体は、管理装置20に限定されない。例えば、一部や全部の処理、ユーザ装置10で行なってもよい。また、ユーザ装置10が、目的情報の取得処理(ステップS27)を実行してもよい。この場合には、用語情報記憶部23を各ユーザ装置10に設けておく。
【0060】
・上記実施形態では、用語情報記憶部23には、ユーザが用いる用語についての分類情報231、表示管理情報232が記録される。ここで、管理装置20が、用語情報記憶部23に用語を登録する辞書作成処理を実行してもよい。
・上記実施形態では、管理装置20の制御部21は、目的情報の取得処理を実行する(ステップS27)。ここでは、発話に含まれるキーワードにおいて、目的情報の位置を特定する。目的情報の位置の特定方法は、これに限定されるものではない、例えば、ユーザ装置10の現在位置特定手段を用いて所在位置を特定し、この所在位置に対応して、目的情報の位置を特定してもよい。この場合には、所在位置に応じて、目的情報を取得する範囲を定めた範囲設定情報を用いることができる。
【0061】
図9を用いて、辞書作成処理を説明する。
まず、管理装置20の制御部21は、ステップS21~S25と同様に、音声の取得処理(ステップS31)~キーワードの特定処理(ステップS35)を実行する。
【0062】
次に、管理装置20の制御部21は、ユーザが作成した目的情報の取得処理を実行する(ステップS36)。具体的には、ユーザは、ユーザ装置10を用いて、管理情報記憶部24において所望のファイルを検索する。そして、ユーザ装置10を用いて、管理情報記憶部24から抽出したファイルに含まれる項目を用いて、目的情報を作成する。この場合、制御部21の登録部211は、ユーザ装置10から、抽出されたファイルに含まれる項目を特定する。
【0063】
次に、管理装置20の制御部21は、教師情報の生成処理を実行する(ステップS36)。具体的には、制御部21の学習部は、キーワードの特定処理(ステップS35)において特定したキーワードと、抽出されたファイルに含まれる項目とを、相互に関連付けられた組み合わせ(教師情報)を生成し、教師情報記憶部に記録する。
【0064】
所定量以上の教師情報が記録された場合、管理装置20の制御部21は、学習処理を実行する(ステップS37)。具体的には、制御部21の学習部は、ファイルに含まれる項目と、発話に含まれるキーワードとの対応関係を学習する。例えば、学習部は、相互に関連付けられた項目とキーワードとの組み合わせの出現頻度を算出し、出現頻度が高い組み合わせを特定する。
【0065】
次に、管理装置20の制御部21は、用語辞書の登録処理を実行する(ステップS38)。具体的には、制御部21の学習部は、学習したキーワードを用語として、分類情報231の段階、大項目、中項目に関連付けて記録する。
【0066】
これにより、効率的に用語情報記憶部23を作成することができる。
更に、ユーザ装置10において、目的情報を作成するための編集加工手順を特定し、表示管理情報232の指示ワードとして記録してもよい。
【符号の説明】
【0067】
CS1…情報管理システム、10…ユーザ装置、20…管理装置、21…制御部、211…登録部、212…検索部、213…出力部、22…ユーザ情報記憶部、23…用語情報記憶部、24…管理情報記憶部。
図1
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図9