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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000208
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】電力量計
(51)【国際特許分類】
   G01R 11/04 20060101AFI20231225BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20231225BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20231225BHJP
   G01R 1/04 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G01R11/04 D
H05K5/02 J
H05K5/03 A
G01R1/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098860
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】311002034
【氏名又は名称】富士電機メーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 健史
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB12
4E360AB64
4E360BA01
4E360BA15
4E360BB22
4E360BC05
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA18
4E360EA24
4E360EB02
4E360ED02
4E360ED07
4E360FA02
4E360FA20
4E360GA11
4E360GA60
4E360GB99
4E360GC08
4E360GC12
4E360GC20
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、視認性を確保し、内部部品を保護することができるカバー部材を有する電力量計を提供すること。
【解決手段】少なくとも表示器6が取り付けられた回路基板5が配置されるベース部材2と、回路基板5を含むベース部材2の上部空間の前面及び側面を覆うように取り付けられるカバー部材10と、を備え、カバー部材10は、表示器6の表示内容の視認が可能な可視光透過率に低減された半透明材料を含む透明材料で一体形成される。また、可視光透過率、赤外線透過率及び紫外線透過率は、カバー部材10の表面、内面あるいは両面に微少な凹凸形状を形成するシボ加工を施して調整してもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表示器が取り付けられた回路基板が配置されるベース部材と、
前記回路基板を含む前記ベース部材の上部空間の前面及び側面を覆うように取り付けられるカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、前記表示器の表示内容の視認が可能な可視光透過率に低減された半透明材料を含む透明材料で一体形成されることを特徴とする電力量計。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記可視光透過率とともに、赤外線透過率及び紫外線透過率も低減されることを特徴とする請求項1に記載の電力量計。
【請求項3】
前記可視光透過率、前記赤外線透過率及び前記紫外線透過率は、前記カバー部材の厚さで調整されることを特徴とする請求項2に記載の電力量計。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記表示器の表示内容を視認する窓部の厚さを前記窓部以外の部分の厚さよりも薄くすることを特徴とする請求項3に記載の電力量計。
【請求項5】
前記可視光透過率、前記赤外線透過率及び前記紫外線透過率は、前記カバー部材の表面、内面あるいは両面に微少な凹凸形状を形成するシボ加工を施して調整されることを特徴とする請求項2に記載の電力量計。
【請求項6】
前記可視光透過率、前記赤外線透過率及び前記紫外線透過率は、前記凹凸形状の粗さで調整されることを特徴とする請求項5に記載の電力量計。
【請求項7】
前記可視光透過率、前記赤外線透過率及び前記紫外線透過率は、前記シボ加工が施される表面、内面あるいは両面の加工場所の組み合わせによって調整されることを特徴とする請求項5又は6に記載の電力量計。
【請求項8】
前記シボ加工は、前記表示器の表示内容を視認する窓部以外に施されることを特徴とする請求項5に記載の電力量計。
【請求項9】
前記可視光透過率は、70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の電力量計。
【請求項10】
前記透明材料は、ポリカーボネイトであることを特徴とする請求項1に記載の電力量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構成で、視認性を確保し、内部部品を保護することができるカバー部材を有する電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
電力量計は、屋外に配置されることが多いため、外観及び耐候性に優れた筐体とすることが望まれる。このため、特許文献1には、電子回路基板が配置される下側ケースと、前記電子回路基板を覆うように前記下側ケースに固定される上側ケースと、を備え、前記上側ケースは、全体に透明であり、さらに上側ケースを部分的に覆うカバー部材を備え、前記カバー部材は全体に不透明である電子式電力量計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-18765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の電子式電力量計は、カバー部材と、液晶表示板を視認できる窓部とが別体で構成されており、構成が複雑であるとともに装置の組立性が悪いという課題がある。
【0005】
なお、カバー部材は、表示器の表示内容の視認性を確保しつつ電子回路基板などの内部部品に対して窓部以外からの遮蔽性を持たせる必要があるとともに、太陽光による内部部品の温度上昇や紫外線による内部部品の劣化防止を含む内部部品の保護機能を持たせる必要がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、視認性を確保し、内部部品を保護することができるカバー部材を有する電力量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、少なくとも表示器が取り付けられた回路基板が配置されるベース部材と、前記回路基板を含む前記ベース部材の上部空間の前面及び側面を覆うように取り付けられるカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記表示器の表示内容の視認が可能な可視光透過率に低減された半透明材料を含む透明材料で一体形成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記の発明において、前記カバー部材は、前記可視光透過率とともに、赤外線透過率及び紫外線透過率も低減されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記可視光透過率、前記赤外線透過率及び前記紫外線透過率は、前記カバー部材の厚さで調整されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記カバー部材は、前記表示器の表示内容を視認する窓部の厚さを前記窓部以外の部分の厚さよりも薄くすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記可視光透過率、前記赤外線透過率及び前記紫外線透過率は、前記カバー部材の表面、内面あるいは両面に微少な凹凸形状を形成するシボ加工を施して調整されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記可視光透過率、前記赤外線透過率及び前記紫外線透過率は、前記凹凸形状の粗さで調整されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記可視光透過率、前記赤外線透過率及び前記紫外線透過率は、前記シボ加工が施される表面、内面あるいは両面の加工場所の組み合わせによって調整されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記シボ加工は、前記表示器の表示内容を視認する窓部以外に施されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記可視光透過率は、70%以上であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記透明材料は、ポリカーボネイトであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡易な構成で、視認性を確保し、内部部品を保護することができるカバー部材を有する電力量計を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態である電力量計の外観構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した電力量計の分解斜視図である。
図3図3は、可視光透過率が異なる透明材料に対する視認性を判定した結果を示す図である。
図4図4は、透明材料の厚さを変化させた場合における透過率の変化を示す図である。
図5図5は、シボの粗さによる透過率の変化を示す図である。
図6図6は、シボ加工が施されるカバー部材の場所である表面、内面あるいは両面の違いによる透過率の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態である電力量計1の外観構成を示す斜視図である。図2は、図1に示した電力量計1の分解斜視図である。図1及び図2に示すように、電力量計1は、ベース部材2とカバー部材10とを筐体としている。ベース部材2は、背面部3と支持部4とを有する。支持部4は、前面(+X方向)に突き出した板状をなし、立設する回路基板5などの内部部品を支持する。内部部品には、支持部4の下部(-Z方向)から挿入して接続される配電線を接続する電流バー、電流バーに流れる電流量を測定する電流センサなどである。回路基板5には、電流量、電圧、電力量を演算する信号処理部、累積電力量などを記憶し表示器6に表示する処理などを行う回路を有する。回路基板5には、磁気センサなどの電流センサを配置してもよい。
【0021】
カバー部材10は、下部(-Z方向)及び背面(-X方向)が開口し、支持部4の上部であって背面部に囲まれ、内部部品が配置される内部部品空間の前面(+X方向)及び両側面(±Y方向)を塞いで、内部部品空間を覆う。カバー部材10のベース部材2の固定は、接着剤でもよいし、ネジ締結でもよいし、爪による係合であってもよい。
【0022】
カバー部材10は、表示器6の表示内容が前面から視認可能な可視光透過率に低減された半透明材料を含む透明材料で一体形成されている。この透明材料は、例えば、ポリカーボネイトである。なお、カバー部材10の前面には、表示器6の表示内容が少なくとも視認可能な領域である窓部11をもつが、ここでは、窓部11及び窓部11以外の部分は同じ可視光透過率に設定されている。
【0023】
図3は、可視光透過率が異なる透明材料A~Eに対する視認性を判定した結果を示す図である。図3に示すように、可視光透過率が89.5%の透明材料Aと可視光透過率が77.4%の透明材料Bとに対する視認性は良好であった。なお、透明材料C~Eの可視光透過率は、平均が70%未満であり、視認性は不良であった。このことから、可視光透過率は、70%以上であることが求められる。
【0024】
図4は、透明材料の厚さを変化させた場合における透過率の変化を示す図である。図4では、厚さ2mmの透明材料(特性曲線L1)、厚さ1mmの半透明材料(特性曲線L2)、厚さ2mmの半透明材料(特性曲線L3)、厚さ4mmの半透明材料(特性曲線L4)の順に、可視光透過率、赤外線透過率、紫外線透過率が減少している。この結果から、厚さが大きくなるごとに透過率が低下することがわかる。視認性を確保するためには、可視光領域Eの可視光透過率が70%以上となる厚さ2mmの透明材料、または厚さ1mmの半透明材料が好ましいが、より赤外線透過率及び紫外線透過率が低い、厚さ1mmの半透明材料が最適である。赤外線領域E2の赤外線透過率が低いと太陽光による内部部品の温度上昇を抑えることができる。紫外線領域E1の紫外線透過率が低いと、紫外線による内部部品の劣化を抑えることができる。なお、透過率は着色によっても調整することができる。
【0025】
なお、透過率は、微少な凹凸形状であるシボを形成するシボ加工を施すことによっても調整することができる。シボ加工をカバー部材10の表面、内面あるいは両面に施すことによって、太陽光などの外来光が乱反射するからである。
【0026】
図5は、シボの粗さによる透過率の変化を示す図である。図5において、特性曲線L11は、シボの粗さが細かく、特性曲線L12は、シボの粗さが並みであり、特性曲線L13は、シボの粗さが粗である。図5の結果からシボの粗さを粗くするにしたがって透過率が低下することがわかる。上記のように、可視光透過率が70%以上で、赤外線透過率及び紫外線透過率が低い、特性曲線L12のシボの粗さが最適であると言える。
【0027】
図6は、シボ加工が施されるカバー部材10の場所である表面、内面あるいは両面の違いによる透過率の変化を示す図である。図6では、シボ加工なし(特性曲線L21)、表面のみのシボ加工(特性曲線L22)、内面のみのシボ加工(特性曲線L23)、両面のシボ加工(特性曲線L24)の順に、可視光透過率、赤外線透過率、紫外線透過率が減少している。この条件では、上記のように、可視光透過率が70%以上で、赤外線透過率及び紫外線透過率が低い、特性曲線L24の両面のシボ加工が最適であると言える。
【0028】
なお、材料、着色、厚さ、シボの粗さ、シボ加工の加工面などによる透過率の調整は、適宜組み合わせることが可能である。いずれにしても、可視光透過率が70%以上で、赤外線透過率及び紫外線透過率が低いものを選択するとよい。
【0029】
また、シボ加工は、カバー部材10の表面、内面、両面の全面に施すことが可能であるが、部分的な面に施すようにしてもよい。例えば、カバー部材10の前であって、表示器6の表示に対応する窓部11以外の面にシボ加工するようにしてもよい。あるいは、窓部11の透過率が窓部11以外の面に比して高くなるようにしてもよい。
【0030】
さらに、同様にして、カバー部材10の窓部11の厚さを、窓部11以外の部分の厚さよりも薄くして窓部11の可視光透過率を高めて表示器6の表示の視認性を確保するとともに、表示器6を含む内部部品に対する窓部11以外の部分からの遮蔽性を持たせるようにしてもよい。すなわち、上記のシボ加工及び厚さを調整することにより、同一材料で、窓部11の透過率を窓部11以外の部分の透過率よりも高くするようにしてもよい。
【0031】
本実施の形態では、可視光透過率が70%以上で、赤外線透過率及び紫外線透過率が低くなる透明材料を選択し、さらにシボ加工を施した一体形成のカバー部材10とすることにより、簡易な構成で、表示器6の表示内容を視認することができるとともに、太陽光による内部部品の温度上昇や紫外線による内部部品の劣化を防止することができる電力量計1の筐体を実現できる。
【0032】
なお、上記の実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 電力量計
2 ベース部材
3 背面部
4 支持部
5 回路基板
6 表示器
10 カバー部材
11 窓部
E 可視光領域
E1 紫外線領域
E2 赤外線領域
L1~L4,L11~L13,L21~L24 特性曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6