(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020802
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】防草ブロックマット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A01M 21/00 20060101AFI20240207BHJP
E02B 3/14 20060101ALI20240207BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A01M21/00 A
E02B3/14 301
E02D17/20 103B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123264
(22)【出願日】2022-08-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和3年9月14日 防草ミニブロックマット パンフレット (2)令和3年11月5日 福井県坂井市春江町沖布目 (3)令和3年12月2日 福井県坂井市三国町加戸 (4)令和4年2月26日 福井県坂井市池見 (5)令和4年5月16日 グラセーブマット パンフレット (6)令和4年6月18日 新潟県新発田市上中山
(71)【出願人】
【識別番号】000201490
【氏名又は名称】前田工繊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】南本 政司
(72)【発明者】
【氏名】井上 和徳
(72)【発明者】
【氏名】清水 悠司
【テーマコード(参考)】
2B121
2D044
2D118
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121BB28
2B121EA21
2B121FA12
2D044DB05
2D118AA23
2D118AA28
2D118BA02
2D118BA15
2D118DA01
2D118FA06
2D118GA16
2D118HA17
2D118HA18
2D118HB08
2D118HC00
2D118HD03
(57)【要約】
【課題】従来の防草ブロックマットよりも耐候性、景観性に優れるとともに、容易に施工することができる防草ブロックマットを提供する。
【解決手段】可撓性を有する防草シートと、前記防草シートの表面に縦横方向に整列して固定する複数の矩形のブロック体と、を有し、前記防草シートはシート本体の背面に遮水シートを積層してなり、前記防草シートの隣り合うブロック体間の目地の前記シート本体表面にセメントペースト層を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する防草シートと、
前記防草シートの表面に縦横方向に整列して固定する複数の矩形のブロック体と、を有し、
前記防草シートの隣り合う前記ブロック体間の目地の表面にセメントペースト層を有する、
防草ブロックマット。
【請求項2】
前記防草シートは不織布であり、
前記ブロック体の背面及び前記セメントペースト層は、前記不織布が前記ブロック体及び前記セメントペースト層を形成するセメントペーストに食い込んで硬化していることを特徴とする、
請求項1に記載の防草ブロックマット。
【請求項3】
前記防草シートの背面に遮水シートを積層することを特徴とする、
請求項2に記載の防草ブロックマット。
【請求項4】
前記防草シートは平面視矩形であり、
前記防草シートの周縁の上縁から側縁の一方にかけて、平面視L字状の敷設しろを設けることを特徴とする、
請求項3に記載の防草ブロックマット。
【請求項5】
前記敷設しろに接する前記ブロック体の辺に、前記目地の間隔と同じ長さ突出するスペーサーを有することを特徴とする、
請求項4に記載の防草ブロックマット。
【請求項6】
前記ブロック体を形成するための型枠にモルタルを流し込み、
流し込んだ前記モルタルの上面に防草シートを敷設し、
前記モルタルを硬化することで、前記ブロック体を形成するとともに、前記防草シートと前記ブロック体とが一体となり、
前記型枠の隣合う前記ブロック体部分の間の上端は、その他の部分の上端よりも低いことを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれかに記載の防草ブロックマットの製造方法。
【請求項7】
流し込んだ前記モルタルの上面にエチレン酢酸ビニル(EVA)系のエマルションを吹き付けることを特徴とする、
請求項6に記載の防草ブロックマットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、護岸や法面を保護するためのブロックマットに関し、特に耐候性、景観性に優れるとともに、容易に施工することができる防草ブロックマット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、護岸や法面を保護し安定化を図る方法としてブロックマットが用いられている。特にため池や調整池の法面の場合、草刈りの手間を減らすために、防草機能のあるブロックマットが用いられることが多い。
特許文献1には、特に防草機能に優れたブロックマットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたブロックマットは、フィルターシートの表面に平面視の一辺約200mmの正方形のブロック体を並べて形成する。
このため、次の問題点を有する。
<1>一辺約200mmのブロック体を多数並べているため、一枚のブロックマットの重量が大きく、取扱性や運搬性が低く、施工にも重機が必要となる。
<2>ブロック体の一辺が約200mmと大きく、施工面の起伏に対応することが困難であり、施工面を平滑に仕上げる作業が必要となる。
<3>ブロック体間の目地はフィルターシートが露出しており、紫外線等によりフィルターシートが劣化し、長期的には破れるおそれがある。
<4>複数のブロックマットを敷設する際に、隣り合うブロックマットの継ぎ目が大きくなり、景観的に統一性がなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、従来の防草ブロックマットよりも耐候性、景観性に優れるとともに、容易に施工することができる防草ブロックマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の防草ブロックマットは、可撓性を有する防草シートと、前記防草シートの表面に縦横方向に整列して固定する複数の矩形のブロック体と、を有し、前記防草シートの隣り合う前記ブロック体間の目地の表面にセメントペースト層を有する。
前記防草シートは不織布であり 前記ブロック体の背面及び前記セメントペースト層は、前記不織布が前記ブロック体及び前記セメントペースト層を形成するセメントペーストに食い込んで硬化していてもよい。
前記防草シートの背面に遮水シートを積層してもよい。
前記防草シートは平面視矩形であり、前記防草シートの周縁の上縁から側縁の一方にかけて、平面視L字状の敷設しろを設けてもよい。
前記敷設しろに接する前記ブロック体の辺に、前記目地の間隔と同じ長さ突出するスペーサーを有してもよい。
【0007】
また、本願発明の防草ブロックマットの製造方法は、前記ブロック体を形成するための型枠にモルタルを流し込み、流し込んだ前記モルタルの上面に防草シートを敷設し、前記モルタルを硬化することで、前記ブロック体を形成するとともに、前記防草シートと前記ブロック体とが一体となり、前記型枠の隣合う前記ブロック体部分の間の上端は、その他の部分の上端よりも低いことを特徴とする。
流し込んだ前記モルタルの上面にエチレン酢酸ビニル(EVA)系のエマルションを吹き付けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は以上の構成により、次の効果のうち少なくとも一つを備える。
<1>一辺90mmのブロック体を多数並べた一辺約1mの防草ブロックマットとすることで、一枚の防草ブロックマットの重量は小さく、人力による取扱や運搬、施工が可能である。
<2>ブロック体の一辺が90mmと小さいため、施工面の起伏に対応することができ、施工面を平滑に仕上げる作業が不要である。
<3>目地にセメントペースト層を形成することで、防草シートが紫外線等により劣化し、破れることを防ぐことができる。
<4>防草シートが不織布であるため、不織布がブロック体及びセメントペースト層を形成するセメントペーストに食い込んで硬化し、ブロック体と防草シートが一体となる。
<5>複数のブロックマットを敷設する際に、隣り合う防草ブロックマットの継ぎ目がスペーサーにより目地の間隔と同じとなり、景観的に統一性が保たれる。
<6>硬化する前のモルタルにエマルションを吹き付けることで、防草シートとブロック体が強固に一体となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】本発明の防草ブロックマットの敷設方法を示す参考図(1)
【
図5】本発明の防草ブロックマットの敷設方法を示す参考図(2)
【
図6】本発明の防草ブロックマットの製造方法を示す参考図(1)
【
図7】本発明の防草ブロックマットの製造方法を示す参考図(2)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の防草ブロックマットについて詳細に説明する。
【実施例0011】
<1>防草ブロックマットの構成(
図1~
図3)
本発明の防草ブロックマット1は、防草シート2の表面に、複数のブロック体3を縦横に配列して固定して構成する。
【0012】
<2>防草シート
防草シート2は施工面の起伏に追従する可撓性を有するシート材であり、表面にブロック体を配列することで、護岸や法面の保護機能を備える。
本例の防草シート2は、不織布からなる。
【0013】
<2.1>防草シートの敷設しろ
防草シート2は平面視矩形であり、外周縁の上縁から側縁の一方にかけて、平面視L字状の敷設しろ21を設ける。
【0014】
<3>ブロック体
ブロック体3は、防草シート2の表面を被覆するものでありモルタルからなり、背面側のモルタルと防草シート2が結合して一体となっている。防草シート2が不織布であれば、モルタル表面のセメントペーストが浸潤することで硬化時にブロック体3背面に不織布が食い込み、強固に一体となる。また、防草シート2の不織布が短繊維であれば、セメントペーストが短繊維に食い込むことで、より強固となる。
本例のブロック体3の形状は、平面視において矩形状、断面視において台形状であり、表面を自然石様に形成している。
隣り合うブロック体3間には均等に目地31を設ける。
ブロック体3を連続して付設して防草シート2の表面を被覆することで、ブロック体3により日光遮断し、防草機能を発揮する。
【0015】
<3.1>目地の処理
目地31は防草シート2の表面をそのまま露出させず、表面にセメントペースト層311を形成する。セメントペースト層311の背面は防草シート2と結合して一体となっている。防草シート2が不織布であれば、セメントペースト層311に不織布が食い込み、強固に一体となる。
セメントペースト層311は防草シート2が施工面の起伏に追従できるように、薄く形成する。
目地31にセメントペースト層311を形成することで耐候性が高く、防草シート2が紫外線等により劣化し、破れることを防ぐことができる。
【0016】
<4>防草ブロックマットの各寸法
本実施例の防草ブロックマット1は、正方形状の防草シート2の表面に、一辺が90mmの正方形状のブロック体3を目地31の間隔を10mmで縦横に10列並べる。これにより、一辺1mの正方形状内にブロック体3が配列される。
防草シート2は上縁と一方の側縁は配列したブロック体3から突出し平面視L字状の敷設しろ21を設けるが、敷設しろ21の幅は目地31の間隔である10mm以上とする。敷設しろ21を100mm~150mmとすると、敷設しろ21が施工時の持ち手となり、施工性が高くなる。防草シート2の下縁と他方の側縁は配列したブロック体3の端辺と同一とし、上縁と一方の側縁の敷設しろ21の幅を均一とすることで、平面視1m以上の正方形状となる。
特許文献1のブロックマットよりも小さな、一辺が90mmの平方形のブロック体3からなる一辺1mの防草ブロックマット1のため、一枚の防草ブロックマット1の重量は小さく、人力による取扱や運搬、施工が可能である。
【0017】
<5>スペーサー
敷設しろ21に接するブロック体3の少なくとも一部には、ブロック体3の辺から敷設しろ21へ目地31の間隔と同じ長さ突出するスペーサー4を設けてもよい。
複数の防草ブロックマット1を並べて敷設する際に、隣り合う防草ブロックマット1の継ぎ目がスペーサー4により目地31の間隔と同じとなり、景観的に統一性が保たれる。
【0018】
<6>敷設方法
次に、本発明の防草ブロックマット1の敷設方法について説明する。
図4の実施例では、本発明の防草ブロックマット1aを、左隅を基準として配置し、その後、
図5のように順に右方に並べると共に、上方へと積層配置して構成する。上方から右側に敷設しろ21a側を配置することで防草ブロックマット1aの左側のブロック体3を設置位置の基準に合わせて敷設できる。
本発明の防草ブロックマット1aは重量が小さく、人力により敷設が可能である。
また、ブロック体3の一辺が90mmと小さいため、施工面の起伏に追従することができ、施工面を平滑に仕上げる作業が不要である。
そして、敷設した防草ブロックマット1aの隣に、新たな防草ブロックマット1bを敷設していく。このとき、敷設済みのブロックマット1aの敷設しろ21aと新たな防草ブロックマット1bとが重なるように敷設していくことで、全体として一体となる。
敷設済みのブロックマット1aの敷設しろ21aにはスペーサー4aが突設しており、新たな防草ブロックマット1bの端部のブロック体3をスペーサー4aの突出端に合わせて敷設することで、隣り合う防草ブロックマット1a、1bのブロック体3の間隔が目地31の間隔と同じとなる。
【0019】
<7>製造方法
<7.1>モルタルの流し込み
次に、本発明の防草フロックマット1の製造方法について説明する。
まず、ブロック体3を形成するための型枠5にモルタル6を流し込む(
図6)。
型枠5は、ブロック体3の表面形状を呈するブロック体部51、ブロック体部51間に設ける目地部52、ブロック体部51の端部に設けるスペーサー部53及び敷設しろ部54を有する。目地部52はブロック体部51の端部及びスペーサー部53等となる周囲の端部より上端が低くなっている。
そして、流し込んだモルタル6の表面にはエチレン酢酸ビニル(EVA)系のエマルション7を吹き付ける。
【0020】
<7.2>ブロック体の形成
エマルション7を吹き付けたモルタル6の上面に、防草シート2を敷設する。
ブロック体部51のモルタル6が硬化してブロック体3を形成する。このとき、防草シート2にモルタル6表層のセメントペースト61が浸潤して不織布がブロック体及びセメントペースト層を形成するセメントペースト61に食い込んで硬化し、防草シート2とブロック体3が一体となる。ブロック体部51間の目地部52は上端が低くなっているため、ブロック体3間の目地31にセメントペースト層311が形成される。敷設しろ21は、敷設しろ部54に防草シート2を張り出しておくことで形成される。
硬化する前のモルタル6にエマルション7を吹き付けることで、防草シート2とブロック体3が強固に一体となる。