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  • 特開-針組立体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020810
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】針組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240207BHJP
   A61M 39/06 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M39/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123276
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】中神 裕之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 辰也
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF01
4C066FF04
4C066LL09
4C066QQ15
4C267AA22
4C267AA24
4C267BB33
4C267BB40
4C267CC08
4C267HH08
4C267HH21
(57)【要約】
【課題】内部流路における空気の残留を防ぐことができる、新規な構造の針組立体を提供する。
【解決手段】内針16が中空の外針56に対して抜去可能に挿通されており、外針56の基端側には筒状の外針ハブ58が取り付けられて、外針56と外針ハブ58とを針軸方向に貫通する内部流路54が形成されていると共に、内部流路54には内部流路54の連通と遮断を切り替える弁体76が配されており、内部流路54の弁体76よりも先端側を外部空間に連通するエア抜き通路92が、弁体76の近傍で内部流路54に連通して設けられている針組立体10であって、内部流路54の周壁内面には段差状で基端側が大径とされた拡径部96が設けられていると共に、内針16は、外針56に挿入される小径先部22と、小径先部22よりも大径とされた大径基部24とを有しており、内針16の大径基部24が内部流路54の拡径部96に挿入されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内針が中空の外針に対して抜去可能に挿通されており、
該外針の基端側には筒状の外針ハブが取り付けられて、該外針と該外針ハブとを針軸方向に貫通する内部流路が形成されていると共に、
該内部流路には該内部流路の連通と遮断を切り替える弁体が配されており、
該内部流路の該弁体よりも先端側を外部空間に連通するエア抜き通路が、該弁体の近傍で該内部流路に連通して設けられている針組立体であって、
前記内部流路の周壁内面には段差状で基端側が大径の拡径部が設けられていると共に、
前記内針は、前記外針に挿入される小径先部と、該小径先部よりも大径とされた大径基部とを有しており、
該内針の該大径基部が該内部流路の該拡径部に挿入されている針組立体。
【請求項2】
前記外針ハブが前記外針に固定される針接合部と、外部流路に接続可能とされた流路接続部と、それら針接合部と流路接続部とを相対変位可能に連結する可撓性の延長チューブとを有しており、
前記内針の前記大径基部が該延長チューブに挿入されている請求項1に記載の針組立体。
【請求項3】
前記内針における前記大径基部の先端部分が、基端側へ向けて大径となるテーパー状部とされている請求項1又は2に記載の針組立体。
【請求項4】
前記内針における前記大径基部の先端が、前記内部流路の前記拡径部よりも先端側に位置している請求項1又は2に記載の針組立体。
【請求項5】
前記外針の基端部分が基端側へ向けて大径となる拡開テーパー部とされており、該拡開テーパー部の内周へ前記内針の前記大径基部が挿入されている請求項1又は2に記載の針組立体。
【請求項6】
内針が中空の外針に対して抜去可能に挿通されており、
該外針の基端側には筒状の外針ハブが取り付けられて、該外針と該外針ハブとを針軸方向に貫通する内部流路が形成されていると共に、
該内部流路には該内部流路の連通と遮断を切り替える弁体が配されており、
該内部流路の該弁体よりも先端側を外部空間に連通するエア抜き通路が、該弁体の近傍で該内部流路に連通して設けられている針組立体であって、
前記内部流路は、先端側よりも内法寸法が大きくされた流路拡大部を備えており、
前記内針は、前記外針に挿入される小径先部と、該小径先部よりも大径とされた大径基部とを有しており、
該内針の該大径基部が該内部流路の該流路拡大部に挿入されている針組立体。
【請求項7】
内針が中空の外針に対して抜去可能に挿通されており、
該外針の基端側には筒状の外針ハブが取り付けられて、該外針と該外針ハブとを針軸方向に貫通する内部流路が形成されていると共に、
該内部流路には該内部流路の連通と遮断を切り替える弁体が配されており、
該内部流路の該弁体よりも先端側を外部空間に連通するエア抜き通路が、該弁体の近傍で該内部流路に連通して設けられている針組立体であって、
前記内部流路における前記外針よりも基端側且つ前記弁体よりも先端側では、該内部流路の内径寸法と前記内針の外径寸法との差が1mm以上且つ1.5mm以下とされている針組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血や輸液(輸血を含む)等に用いられる針組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、透析や輸液などに用いられる針組立体が知られている。針組立体は、例えば、特開2015-136524号公報(特許文献1)に開示された留置針のように、針先を備えた針(内針)が中空のカテーテル(外針)に挿通されていると共に、カテーテルの基端側に連通状態で接続された外針ハブを有している。留置針は、カテーテルが針とともに患者の血管等へ穿刺された後、針がカテーテルから抜去されることにより、カテーテルが血管等へ留置される。そして、血管等へ留置されたカテーテルに透析回路や輸液ライン等の外部流路が接続されることにより、透析や輸液が行われる。
【0003】
また、特開2015-080707号公報(特許文献2)に開示された留置針では、外針ハブ(外針基)に弁体としてのゴム栓部が収容されており、ゴム栓部に設けられたスリット弁の開閉によって、外針基の内腔の連通と遮断が切り換えられるようになっている。即ち、内針が抜去されて留置針が血管へ留置された状態では、ゴム栓部のスリット弁が閉じて外針基の内腔が遮断されることから、血液の漏出が制限される。一方、外針基に対する外部流路の接続によってゴム栓部のスリット弁が開くことにより、外部流路が留置針の内腔を介して血管に連通される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-136524号公報
【特許文献2】特開2015-080707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2において、外針及び外針基の内腔は、ゴム栓部よりも先端側が流入する血液によって満たされる必要があり、血液の流入に際して当該内腔のゴム栓部よりも先端側に対する空気の残留が防止される必要がある。そこで、特許文献2では、血液が留置針の内腔へ流入する際に、外針基とゴム栓部の間に形成された通気路としての隙間を通じて空気が外部へ排出されるようになっている。
【0006】
しかしながら、本発明者が実験によって確認したところ、穿刺時に外針側の内腔において空気が十分に排出されずに残留してしまう場合もあることが、明らかになった。具体的には、針先を上方に向けた状態とした場合に、外針組立体における内径拡大部近傍において、空気が十分に排出されずに気泡が残留してしまう場合があることが、明らかになった。
【0007】
本発明の解決課題は、内部流路における空気の残留を防ぐことができる、新規な構造の針組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0009】
第1の態様は、内針が中空の外針に対して抜去可能に挿通されており、該外針の基端側には筒状の外針ハブが取り付けられて、該外針と該外針ハブとを針軸方向に貫通する内部流路が形成されていると共に、該内部流路には該内部流路の連通と遮断を切り替える弁体が配されており、該内部流路の該弁体よりも先端側を外部空間に連通するエア抜き通路が、該弁体の近傍で該内部流路に連通して設けられている針組立体であって、前記内部流路の周壁内面には段差状で基端側が大径の拡径部が設けられていると共に、前記内針は、前記外針に挿入される小径先部と、該小径先部よりも大径とされた大径基部とを有しており、該内針の該大径基部が該内部流路の該拡径部に挿入されているものである。
【0010】
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、内部流路の周壁内面の内径寸法が拡径部よりも基端側において大きくされていても、内部流路の拡径部に大径とされた内針の基端部分が挿入されていることにより、内部流路の内径寸法と内針の外径寸法との差が抑えられている。それゆえ、内部流路の弁体よりも先端側が外針の先端開口部から流入する血液で満たされる際に、空気が血液によって弁体近傍のエア抜き通路へより確実に押しやられて、内部流路への空気の残留が生じ難くなる。
【0011】
第2の態様は、第1の態様に記載された針組立体において、前記外針ハブが前記外針に固定される針接合部と、外部流路に接続可能とされた流路接続部と、それら針接合部と流路接続部とを相対変位可能に連結する可撓性の延長チューブとを有しており、前記内針の前記大径基部が該延長チューブに挿入されているものである。
【0012】
延長チューブを有する場合、例えば外針側を血管に穿刺した状態で留置する際に、延長チューブを変形させて、針接合部と接続部を相対変位させることができる。それゆえ、外針の穿刺状態を維持して、穿刺部分への力の作用を抑えながら、接続部を透析回路等の外部流路に容易に接続することができる。一方、延長チューブを設ける場合、拡径部ができやすく、内部流路における空気の残留が生じやすいことが確認されている。本態様に従う構造とされた針組立体によれば、延長チューブを設けつつ、内部流路への空気の残留が生じ難くなる。
【0013】
内針における延長チューブへの挿入部分が大径基部とされていることにより、例えば、穿刺時等において延長チューブの変形が内針によって効果的に制限され得る。
【0014】
第3の態様は、第1又は第2の態様に記載された針組立体において、前記内針における前記大径基部の先端部分が、基端側へ向けて大径となるテーパー状部とされているものである。
【0015】
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、小径先部の外周面と大径基部の外周面とが段差形状とならずに連続することにより、内針の外周側を流れる血液の流れが乱され難くなって、乱流による空気の巻き込み等が抑制される。
【0016】
第4の態様は、第1~第3の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記内針における前記大径基部の先端が、前記内部流路の前記拡径部よりも先端側に位置しているものである。
【0017】
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、流路断面積が大きくされた内部流路における拡径部より基端側の全長にわたって、内針の大径基部が挿入することもできて、内部流路の内径寸法と内針の外径寸法との差が、拡径部よりも基端側において過度に大きくなるのを防ぐことができる。それゆえ、内部流路の内径寸法の変化に起因する空気の残留が抑制される。
【0018】
第5の態様は、第1~第4の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記外針の基端部分が基端側へ向けて大径となる拡開大径部とされており、該拡開大径部の内周へ前記内針の前記大径基部が挿入されているものである。
【0019】
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、外針の基端部分である拡開大径部の内周へ内針の大径基部が挿入されていることにより、拡開大径部における内部流路の内径寸法と内針の外径寸法との差が抑えられて、内部流路への空気の残留が防止される。
【0020】
第6の態様は、内針が中空の外針に対して抜去可能に挿通されており、該外針の基端側には筒状の外針ハブが取り付けられて、該外針と該外針ハブとを針軸方向に貫通する内部流路が形成されていると共に、該内部流路には該内部流路の連通と遮断を切り替える弁体が配されており、該内部流路の該弁体よりも先端側を外部空間に連通するエア抜き通路が、該弁体の近傍で該内部流路に連通して設けられている針組立体であって、前記内部流路は、先端側よりも内径寸法が大きくされた流路拡大部を備えており、前記内針は、前記外針に挿入される小径先部と、該小径先部よりも大径とされた大径基部とを有しており、該内針の該大径基部が該内部流路の該流路拡大部に挿入されているものである。
【0021】
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、内針の大径基部が内部流路の流路拡大部へ挿入されて、内針と流路拡大部との間に形成される空間(流路)の容積が小さくされる。それゆえ、内部流路の弁体よりも先端側が外針の先端開口から流入する血液で満たされる際に、空気が血液によって弁体近傍のエア抜き通路へ押しやられて、内部流路への空気の残留が生じ難くなる。
【0022】
第7の態様は、内針が中空の外針に対して抜去可能に挿通されており、該外針の基端側には筒状の外針ハブが取り付けられて、該外針と該外針ハブとを針軸方向に貫通する内部流路が形成されていると共に、該内部流路には該内部流路の連通と遮断を切り替える弁体が配されており、該内部流路の該弁体よりも先端側を外部空間に連通するエア抜き通路が、該弁体の近傍で該内部流路に連通して設けられている針組立体であって、前記内部流路における前記外針よりも基端側且つ前記弁体よりも先端側では、該内部流路の内径寸法と前記内針の外径寸法との差が1mm以上且つ1.5mm以下とされているものである。
【0023】
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、外針よりも基端側且つ弁体よりも先端側において、内部流路の内径寸法と内針の外径寸法との差が1mm以上とされることにより、内針が内部流路に挿入された状態で、内部流路への血液等の流入を有効に生じさせることができる。また、外針よりも基端側且つ弁体よりも先端側において、内部流路の内径寸法と内針の外径寸法との差が1.5mm以下とされることにより、内部流路へ先端側から流入する血液等が空気を残して基端側へ回り込み難く、空気の残留が発生し難い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、針組立体の内部流路における空気の残留を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態としての針組立体を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1には、本発明の第1の実施形態としての針組立体10が示されている。針組立体10は、内針組立体12と外針組立体14が組み合わされた構造を有している。以下の説明において、原則として、軸方向とは後述する内針16及び外針56の針軸方向である図1中の左右方向を言い、図1中の右端を先端、図1中の左端を基端とする。
【0028】
内針組立体12は、内針16を備えている。内針16は、中空の金属針であって、先端面が傾斜した刃面18を有することで鋭角の針先20が形成されている。なお、図1において、内針16の刃面18は、図中の上側に設けられている。
【0029】
内針16は、内径寸法が軸方向において略一定とされていると共に、外径寸法が軸方向の基端側において先端側よりも大きくされており、外径寸法の小さい先端部分である小径先部22と、外径寸法の大きい基端部分である大径基部24とを備えている。本実施形態の大径基部24は、先端部分が基端側へ向けて大径となるテーパー状部26とされていると共に、テーパー状部26よりも基端側が略一定の外径寸法で延びる円筒状部28とされている。
【0030】
軸方向に対するテーパー状部26の母線の傾斜角度θは、1°≦θ≦10°であることが望ましい。円筒状部28における大径基部24の外径寸法φ1は、小径先部22の外径寸法φ2の1.5倍以上とされていることが望ましく、より好適には2倍以上とされている。円筒状部28における大径基部24の外径寸法φ1が2.35mm≦φ1≦2.85mmの範囲内とされ、小径先部22の外径寸法φ2が1.03mm≦φ2≦1.51mmの範囲内とされることが望ましい。好適には、例えば、円筒状部28における大径基部24の外径寸法φ1が2.6mmとされていると共に、小径先部22の外径寸法φ2が1.25mmとされている。なお、大径基部24の外径寸法φ1は、テーパー状部26よりも基端側において軸方向で変化していてもよい。
【0031】
内針16の基端側には、内針ハブ30が設けられている。内針ハブ30は、内針16の基端部分が挿入状態で固着される台座部32を有しており、台座部32の先端側にプロテクタ収容部34が設けられていると共に、台座部32の基端側に連結部36が設けられている。
【0032】
プロテクタ収容部34は、筒状とされている。プロテクタ収容部34の先端側には、プロテクタ収容部34よりも大径の略筒状とされた規制筒部38が設けられている。プロテクタ収容部34の外周面は、突起、凹所、シボなどの滑止めが設けられていても良い。
【0033】
連結部36は、筒状とされており、フィルタキャップ40が取外し可能に差し入れられて装着されている。フィルタキャップ40は、軸方向の中間部分に段差が設けられた略段付き円筒形状とされている。フィルタキャップ40の先端部分には、気体の通過を許容し液体の通過を阻止する性質のフィルタが設けられており、内針16を通じての逆血が外部に漏れ出さないようになっている。なお、内針ハブ30やフィルタキャップ40を透明乃至は半透明とすれば、逆血(フラッシュバック)によって血管への穿刺を容易に確認することができる。
【0034】
プロテクタ収容部34の内周側には、プロテクタハウジング42が配されている。プロテクタハウジング42は、筒状の収容筒部44と、収容筒部44の先端側の開口を閉塞する蓋体46とを備えている。また、蓋体46は、先端側の板状部と基端側の板状部が軸方向で離れて設けられており、それら板状部の間に針先プロテクタ48が配されている。
【0035】
針先プロテクタ48は、プロテクタハウジング42に収容された遮蔽部材50と固定部材52によって構成されている。遮蔽部材50と固定部材52は、軸直角方向で内針16を挟んで相互に離れて配置されている。遮蔽部材50と固定部材52は、一方が磁石とされていると共に、他方が磁石又は強磁性体とされており、それら遮蔽部材50と固定部材52の間に相互に引き合う磁気的な引力が作用している。本実施形態では、遮蔽部材50が鉄などの強磁性材料によって形成されていると共に、固定部材52が永久磁石とされている。固定部材52は、収容筒部44の先端部に固定されている。遮蔽部材50は、固定部材52に対して接近方向へ変位可能とされており、遮蔽部材50と固定部材52の間に内針16が挿通された状態において、遮蔽部材50の固定部材52側への移動が内針16によって阻止されている。そして、内針16が基端側へ引き抜かれて遮蔽部材50よりも基端側まで相対変位することによって、磁気的な引力による遮蔽部材50の固定部材52側への移動が許容されて、遮蔽部材50が内針16の針先20を覆う位置まで移動し、内針16の先端側への移動が遮蔽部材50によって阻止される。
【0036】
内針16は、外針組立体14に対して抜去可能な態様で挿通されている。外針組立体14は、軸方向に貫通する内部流路54を備えた筒状体とされており、中空の外針56と、外針56の基端側に連通状態で接続された外針ハブ58とを、有している。
【0037】
外針56は、合成樹脂などで形成された中空の小径チューブ状とされている。外針56の外周面は、先端が次第に小径となる先細形状を有している。外針56の基端部分は、基端へ向けて拡径して大径となる拡開大径部60を備えている。外針56の基端部分は、拡開大径部60を備えることによって、拡開大径部60よりも先端側に比して大径とされている。本実施形態における外針56の拡開大径部60は、拡開大径部60よりも先端側に比して厚肉とされている。外針56の内腔は、拡開大径部60で周壁を構成された基端部分において大径とされている。外針56の内周面は、軸方向及び周方向において段差等の角部が形成されることなく滑らかに連続する湾曲面によって構成されている。
【0038】
外針ハブ58は、全体として筒状とされており、針接合部68と流路接続部70とが延長チューブ72によって連結された構造を有している。
【0039】
針接合部68は、硬質の合成樹脂によって形成されている。針接合部68は、先端に向かって小径となるテーパー筒状とされている。針接合部68の内周には、外針56の拡開大径部60が挿入されている。
【0040】
流路接続部70は、全体として筒状とされており、図示しない外部流路が基端部分に接続可能とされている。流路接続部70は、本実施形態において、筒状の弁ハウジング74に対して、弁体76と、押し子78とが収容された構造を有している。
【0041】
弁ハウジング74は、筒状とされたカバー部材80の基端部分に、筒状とされた押し子ガイド82の先端部分が挿し入れられて、それらカバー部材80と押し子ガイド82が軸方向において連結されることによって構成されている。
【0042】
カバー部材80には、チューブ連結部材84が挿入状態で取り付けられている。チューブ連結部材84は、カバー部材80の先端部分の内周面に重ね合わされて固定されている。チューブ連結部材84の基端部は、カバー部材80に対して内周へ離れた位置に対向配置されている。
【0043】
押し子ガイド82は、基端部分が軸方向に延びる円筒状とされており、基端には外周へ向けて突出する雄ねじが設けられている。
【0044】
弁体76は、全体として略円板形状とされており、樹脂エラストマやゴムなどの弾性体によって形成されている。弁体76は、円板形状の中央部分に放射状の切込み88が形成されており、中央部分の弾性変形によって切込み88が開閉されるようになっている。弁体76の外周部分は、押し子ガイド82の先端と、カバー部材80の内周に配された筒状の弁支持部材90との間で軸方向に挟持されている。これにより、弁体76が弁ハウジング74によって支持されており、内部流路54における弁ハウジング74の内腔で構成された部分が弁体76によって遮断されている。
【0045】
弁支持部材90は、カバー部材80に対して内周へ僅かに離れた位置に配されており、弁支持部材90とカバー部材80の径方向間には隙間が設けられている。そして、外針組立体14の内部流路54を外部空間へ連通するエア抜き通路92が、弁支持部材90とカバー部材80の隙間を含んで構成されている。エア抜き通路92は、一方の端部がチューブ連結部材84と弁支持部材90の間を通じて外針組立体14の内部流路54に連通されていると共に、他方の端部がカバー部材80と押し子ガイド82の間を通じて外部空間に連通されている。これにより、外針組立体14の内部流路54における弁体76よりも先端側が、エア抜き通路92を通じて外部空間に連通されている。エア抜き通路92の内部流路54への開口は、弁体76よりも先端側で、且つ弁体76に近接した位置に設定されており、エア抜き通路92が弁体76の近傍において内部流路54に連通されている。また、エア抜き通路92は、断面積が小さくされて、気体の流動を許容し、液体の流動を制限することが望ましい。また、本実施形態のエア抜き通路92は、中間部分において断面積が大きくされており、仮に血液がエア抜き通路92へ入った場合に、血液が中間部分に貯留されて、血液がエア抜き通路92から外部空間へ漏出し難くなっている。本実施形態のエア抜き通路92は、外針ハブ58の軸方向の途中で外部空間に連通されているが、例えば、エア抜き通路は、内部流路54における弁体76よりも先端側を弁体76よりも基端側へ連通するように設けられていてもよく、この場合に、エア抜き通路は、内部流路54の基端開口において外部空間に連通される。
【0046】
エア抜き通路92には、通気フィルタ94が配されている。通気フィルタ94は、気体の通過を許容し、且つ血液等の液体の通過を制限するフィルタであって、円筒状乃至は円環状とされている。通気フィルタ94は、チューブ連結部材84及び弁支持部材90とカバー部材80との径方向間に配されており、径方向において圧縮された状態で保持されている。通気フィルタ94がエア抜き通路92上に配されていることにより、外針組立体14の内部流路54が血液で満たされた状態において、エア抜き通路92への血液の浸入が通気フィルタ94によって抑制されて、エア抜き通路92を通じた血液の外部への漏出が防止される。
【0047】
押し子78は、筒状とされており、押し子ガイド82の内周に挿入されている。押し子78は、基端部分が略一定の外径寸法とされていると共に、先端部分の外周面が先端側に向かって小径となるテーパー形状とされている。
【0048】
針接合部68と流路接続部70をつなぐ延長チューブ72は、樹脂エラストマやゴムなどで形成された可撓性を有する軟質チューブであって、湾曲変形可能とされていると共に、断面形状の変化も許容されている。延長チューブ72が設けられることにより、例えば、針接合部68を皮膚に固定した状態で輸液ライン等の外部流路を外針ハブ58に接続し易くなる。延長チューブ72は、先端部分が針接合部68に固定されていると共に、基端部分が流路接続部70に固定されている。これにより、針接合部68と流路接続部70が延長チューブ72で接続されており、流路接続部70の内腔が延長チューブ72の内腔に連通されている。延長チューブ72は、針接合部68と流路接続部70の何れからも外れて位置する中間部分において、曲げや潰れなどの変形が許容されている。
【0049】
外針56の拡開大径部60は、延長チューブ72の先端部分に内挿されており、延長チューブ72の先端部分の内周面に固着されている。これにより、外針56の拡開大径部60が延長チューブ72を介して針接合部68に固定されて、針接合部68と延長チューブ72とを含む外針ハブ58が外針56に対して基端側に接続されており、外針56の内腔と外針ハブ58の内腔とが相互に連通されている。
【0050】
外針56の拡開大径部60が延長チューブ72の先端部分に内挿されていることによって、外針56の基端による段差状の拡径部96が延長チューブ72の内周側に形成されている。外針組立体14の内部流路54は、延長チューブ72で構成される部分において、拡径部96よりも基端側が先端側よりも大径の流路拡大部98とされている。内部流路54における流路拡大部98の内径寸法φ3と、内部流路54における拡径部96よりも先端側の内径寸法(拡開大径部60の基端開口部の内径寸法)φ4との差は、2mm以下であることが望ましく、例えば1.35mmとされる。内針16における大径基部24の外径寸法φ1と小径先部22の外径寸法φ2との差は、好適には、流路拡大部98の内径寸法φ3と、拡開大径部60の基端開口部の内径寸法φ4との差と略同じとされる。
【0051】
内針16を備えた内針組立体12と、外針56を備えた外針組立体14は、コネクタキャップ100によって連結されている。コネクタキャップ100は、軸直角方向に広がる底壁部102を備えている。底壁部102は、円環板状とされており、内周端部には先端側へ突出する管状突起104が一体形成されている。底壁部102の外周端部には、先端側へ延び出す周状壁部106と、基端側へ延び出す一対の弾性片108,108とが一体形成されている。
【0052】
筒状とされた周状壁部106の内周面には雌ねじが設けられており、周状壁部106の内周へ外針ハブ58を構成する押し子ガイド82の基端部分が差し入れられて、押し子ガイド82と周状壁部106が螺合されることにより、コネクタキャップ100が外針ハブ58の基端部分に取り付けられる。
【0053】
一対の弾性片108,108には、内周へ向けて突出する図示しない係止突起が設けられている。一対の弾性片108,108の内周側へ挿入されたプロテクタハウジング42の先端部分が係止突起と軸方向で係止されることにより、内針16を基端側へ引き抜く際に、プロテクタハウジング42(針先プロテクタ48)が、外針組立体14側に保持されて、内針16の針先20へ移動する。また、内針16の図示しない潰し部がプロテクタハウジング42の基端底壁に係合されて、プロテクタハウジング42が基端側へ強く引かれることにより、プロテクタハウジング42と係止突起との係合が解除されて、内針16の針先20が針先プロテクタ48で覆われた内針組立体12を、外針組立体14から分離させることができる。
【0054】
内針組立体12と外針組立体14の組付け状態において、コネクタキャップ100には、内針ハブ30の規制筒部38が外挿されている。これにより、弾性片108,108の外周側への変形が規制筒部38によって規制されて、一対の弾性片108,108に設けられた係止突起によるコネクタキャップ100とプロテクタハウジング42との連結が安定して維持される。
【0055】
外針56の内腔と外針ハブ58の内腔とを含んで構成される外針組立体14の内部流路54には、内針16が基端側から挿通されている。内針16は、外針組立体14の内部流路54に配された弁体76の切込み88を押し広げて、切込み88を貫通しており、弁体76よりも先端側において延長チューブ72と外針56に挿通されている。
【0056】
内針16は、先端部分である小径先部22が、外針組立体14の内部流路54における拡径部96よりも先端側で外針56に挿入されていると共に、基端部分である大径基部24が拡径部96に挿入されている。本実施形態では、大径基部24のテーパー状部26が内部流路54の拡径部96に挿入されていると共に、大径基部24の円筒状部28が内部流路54における拡径部96よりも基端側の流路拡大部98に挿入されている。外針組立体14の内部流路54における流路拡大部98は、延長チューブ72の内腔によって構成されており、内針16の大径基部24が延長チューブ72に挿入されている。大径基部24のテーパー状部26の先端部分が外針56に挿入されており、大径基部24の先端が拡径部96よりも先端側に位置していると共に、テーパー状部26の基端部分が外針56よりも基端側に突出しており、軸方向において拡径部96がテーパー状部26の途中に位置している。
【0057】
このように、内針16の小径先部22が外針組立体14の内部流路54における拡径部96よりも先端側の小径部分に挿通されていると共に、内針16の大径基部24が内部流路54における拡径部96及び流路拡大部98に挿通されていることにより、軸方向における内針16の外径寸法と内部流路54の周壁内面との距離の変化量が小さくされている。
【0058】
すなわち、外針組立体14の内部流路54が拡径部96よりも基端側が大径の流路拡大部98とされており、内針16の外径寸法が一定とされている場合には、流路拡大部98において内部流路54の周壁内面と内針16の外周面との距離が大きくなる。それに対して、本実施形態では、内部流路54の流路拡大部98に対する内針16の挿入部分が、小径先部22よりも外径寸法が大きい大径基部24とされていることによって、拡径部96における内部流路54の内径寸法の変化に追従して内針16の外径寸法が変化しており、内部流路54の周壁内面と内針16の外周面との距離の変化量が小さくされている。
【0059】
そして、外針組立体14の内部流路54の周壁内面と内針16の外周面との距離の変化量が小さくされていることにより、血管への穿刺によって空気で満たされた内部流路54へ先端側から血液が流入する際に、空気の残留が発生し難くなる。
【0060】
すなわち、針組立体10は、内針16が外針56に挿通された状態で図示しない患者の腕や脚などの血管に穿刺される。内針16及び外針56が患者の血管に穿刺されると、内針16と外針56の間へ血液が入り込んで、外針組立体14の内部流路54へ血液が先端側から流入する。内部流路54へ流入した血液は、重力の作用や血圧によって、内部流路54内の空気を基端側へ押し退けながら、内部流路54を基端側へ流れる。血液によって基端側へ押し退けられた空気は、弁体76の先端側に開口するエア抜き通路92を通じて外部へ排出されることから、血液の基端側へ向けた流動が許容される。
【0061】
血液は内針16の外周面と外針組立体14の内部流路54の周壁内面との間を流れることから、それら内針16の外周面と内部流路54の周壁内面との離隔距離が大きく変化しなければ、血液は空気を基端側へ押し退けながら内部流路54内を先端側から基端側へ向けて充填していく。ところが、内針16の外周面と外針組立体14の内部流路54の周壁内面との離隔距離が拡径部96において大きくなる場合には、拡径部96において血液が空気を残したままで基端側へ回り込むように流れていくおそれがあり、内部流路54に空気が残留しやすくなる。特に、外針56が血管に穿刺された状態において、外針組立体14の先端が基端よりも上側に位置する傾斜状態となった場合には、血液の回り込みによる空気の残留が発生し易い。
【0062】
そこで、本実施形態では、内針16における内部流路54の拡径部96及び流路拡大部98に挿入される部分が、外径寸法を小径先部22よりも大きくされた大径基部24とされている。これにより、内部流路54の拡径部96及び流路拡大部98において、内針16の外周面と外針組立体14の内部流路54の周壁内面との離隔距離が過度に大きくなるのを防ぐようにした。その結果、血液が先端側から拡径部96及び流路拡大部98へ流入する際に、血液が空気を残して基端側へ回り込むように流れるのを防ぐことができて、拡径部96及び流路拡大部98における空気の残留を防止することができる。
【0063】
内部流路54における流路拡大部98の内径寸法φ3と、内針16における流路拡大部98への挿通部分である大径基部24の外径寸法φ1との差は、1mm以上とされている。これにより、内針16が挿入された内部流路54に対して、血液の流入が有効に発生する。また、内部流路54における流路拡大部98の内径寸法φ3と、内針16における流路拡大部98への挿通部分である大径基部24の外径寸法φ1との差は、1.5mm以下とされている。これにより、内針16が挿入された内部流路54へ先端側から流入する血液が、空気を残して基端側へ回り込み難く、空気が血液によってエア抜き通路92側へ押し込まれることから、空気の残留が発生し難い。なお、本実施形態において、内部流路54における流路拡大部98は、外針56よりも基端側且つ弁体76よりも先端側に設けられている。また、本実施形態では、内部流路54が弁体76に対して先端側に隣接する領域でより大径となっていると共に、内針16の大径基部24が先端部分で小径となっており、それら内部流路54の大径領域と大径基部24の小径部分(テーパー状部26)とにおいても、それぞれ内部流路54の内径寸法と内針16の外径寸法との差が1.5mm以下とされることが望ましい。尤も、少なくとも内部流路54の周壁が延長チューブ72で構成された部分において、内部流路54の内径寸法と内針16の外径寸法との差が1mm以上且つ1.5mm以下とされていれば、上記のような効果を期待することができる。
【0064】
内針16における大径基部24の先端部分が、基端側へ向けて大径となるテーパー状部26とされていることにより、小径先部22の外周面と大径基部24の外周面とが段差形状となることなく連続している。その結果、内針16の外周側を流れる血液の流れが、小径先部22と大径基部24の接続部分で乱され難く、乱流による空気の巻き込みや血球へのダメージ等が抑制される。
【0065】
内針16は、大径基部24の先端部分であるテーパー状部26が、外針組立体14の内部流路54における拡径部96よりも先端側に挿入されている。これにより、流路断面積が大きくされた内部流路54の流路拡大部98の全長にわたって、内針16の大径基部24が挿入されており、内部流路54の内径寸法と内針16の外径寸法との差が、拡径部96よりも基端側において過度に大きくなるのを防ぐことができて、内部流路54への空気の残留が効果的に抑制される。
【0066】
内針16の大径基部24の先端部分であるテーパー状部26は、外針56の基端部分を構成する拡開大径部60に挿入されている。これにより、拡径部96よりも先端側に位置する外針56の拡開大径部60においても、内部流路54の周壁内面と内針16の外周面との径方向距離の変化が抑えられており、内部流路54への空気の残留が抑えられる。
【0067】
なお、本実施形態では、内針16における延長チューブ72への挿入部分が大径基部24とされており、延長チューブ72の内周面と内針16の外周面との離隔距離が小さくされていることから、例えば、穿刺時に外針56側に穿刺抵抗力などが作用しても、延長チューブ72の変形が内針16によって制限されて、安定した穿刺が可能になる。また、穿刺は内針ハブ30を持って行われるが、仮に外針ハブ58を持って穿刺を行ったとしても、延長チューブ72の変形量が制限されていることから、比較的に穿刺し易い。
【0068】
ところで、内針16及び外針56が患者の血管に穿刺された後、外針56から内針16が抜去されることにより、外針56が患者の血管に挿入された状態で外針組立体14が留置される。そして、留置された外針組立体14からコネクタキャップ100が取り外されて、輸液ラインやシリンジ等の外部流路が外針ハブ58の流路接続部70に接続される。外部流路の流路接続部70への接続に際して、押し子78が先端側へ押し込まれて弁体76の切込み88に挿通されることにより、弁体76による内部流路54の遮断状態が解除されて、外部流路が内部流路54を通じて患者の血管に連通される。
【0069】
外針ハブ58が延長チューブ72を備えていることにより、例えば、外針56を血管に穿刺した状態で留置する際に、延長チューブ72を変形させて、針接合部68と流路接続部70とを相対変位させることができる。それゆえ、外針56の穿刺状態を維持して、穿刺部分への力の作用を抑えながら、流路接続部70を透析回路等の外部流路に容易に接続することができる。また、延長チューブ72をクランプすることによって、内部流路54の連通と遮断を切り替えることもできる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、内針16の内径寸法は、軸方向において変化していてもよい。即ち、例えば、外径寸法が大きい大径基部24において、外径寸法が小さい小径先部22よりも内径寸法が大きくされていてもよい。
【0071】
前記実施形態では、内針16において、大径基部24の先端部分がテーパー状部26とされた例を示したが、小径先部22と大径基部24は、例えば段差をなしてつながる構造とすることもできる。また、テーパー状部26の外径寸法の軸方向での変化率は、略一定であってもよいし、変化していてもよい。また、例えば、複数の拡径部96が軸方向の複数箇所に設けられて、内部流路54の内径寸法が基端へ向けて多段階に大きくなる場合に、内針16の外径寸法は、基端へ向けて多段階に大きくなっていてもよい。
【0072】
大径基部24は、必ずしも内針16の基端まで設けられている必要はなく、例えば、内部流路54が軸方向の途中で部分的に拡径するように流路拡大部98を備えている場合には、内針16が当該流路拡大部98へ挿入される基端までは達しない軸方向の一部において大径基部24を備え得る。より具体的には、例えば、前記実施形態において、内針16の延長チューブ72への挿入部分が大径基部24とされて、延長チューブ72への挿入部分よりも基端側は、大径基部24より小径とされて大径基部24ではないようにされていてもよい。
【0073】
内針16の大径基部24は、前記実施形態のように先端部分がテーパー形状をもって内部流路54における拡径部96よりも先端側の小径部分に挿入されていることが望ましいが、かかる態様に限定されない。例えば、大径基部24は、内部流路54の小径部分に挿入されることなく、拡径部96から基端側へ僅かに離れていてもよい。
【0074】
第7の態様に係る発明において、内部流路54の拡径部96や流路拡大部98は必須ではなく、内針16の大径基部24も必須ではない。具体的には、例えば、外針ハブの先端部分において内周面及び先端面に開口する凹部を形成し、外針の基端部分を当該凹部に挿入することによって、外針ハブの内周面と外針の内周面とを、段差状の拡径部を形成することなく、略同一径で設けることもできる。
【0075】
前記実施形態では、内部流路54の流路拡大部98が柔軟な延長チューブ72の内腔によって構成される例を示したが、流路拡大部98は、例えば、硬質の針ハブに設けることもできる。延長チューブ72は、必須ではなく、延長チューブ72を備えていない針ハブであっても、本発明は適用され得る。
【符号の説明】
【0076】
10 針組立体
12 内針組立体
14 外針組立体
16 内針
18 刃面
20 針先
22 小径先部
24 大径基部
26 テーパー状部
28 円筒状部
30 内針ハブ
32 台座部
34 プロテクタ収容部
36 連結部
38 規制筒部
40 フィルタキャップ
42 プロテクタハウジング
44 収容筒部
46 蓋体
48 針先プロテクタ
50 遮蔽部材
52 固定部材
54 内部流路
56 外針
58 外針ハブ
60 拡開大径部
68 針接合部
70 流路接続部
72 延長チューブ
74 弁ハウジング
76 弁体
78 押し子
80 カバー部材
82 押し子ガイド
84 チューブ連結部材
88 切込み
90 弁支持部材
92 エア抜き通路
94 通気フィルタ
96 拡径部
98 流路拡大部
100 コネクタキャップ
102 底壁部
104 管状突起
106 周状壁部
108 弾性片
図1