(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020811
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】太陽電池間カバー
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20240207BHJP
【FI】
E04D13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123277
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正人
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK04
2E108LL01
2E108LL04
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】主に、屋根の形状や大きさと、使用する太陽電池パネルの形状や大きさとがうまく合っていない場合に、隣接する太陽電池パネルの間に形成される隙間に設置できるようにする。
【解決手段】
太陽電池間カバー4は、隣接する太陽電池パネル2間の隙間3に、隙間3を塞ぐように設置されるカバー部材5を有している。
カバー部材5は、少なくとも上面に太陽電池パネル2と同系色の表面皮膜6を有している。
カバー部材5は、下面に下方へ延びるリブ51を有している。
カバー部材5は、リブ51が、カバー部材5の下側に設置された取付金具28に備えられた凹部52へ挿入された状態で、取付金具28に固定されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する太陽電池パネル間の隙間に、前記隙間を塞ぐように設置されるカバー部材を有し、
前記カバー部材は、少なくとも上面に前記太陽電池パネルと同系色の表面皮膜を有すると共に、
前記カバー部材は、下面に下方へ延びるリブを有し、
前記カバー部材は、前記リブが、前記カバー部材の下側に設置された取付金具に備えられた凹部へ挿入された状態で、前記取付金具に固定されていることを特徴とする太陽電池間カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池間カバーであって、
前記カバー部材は、水下側へ向かって下り勾配に配置された前記太陽電池パネルに対し、水上側へ向かって下り勾配となる逆勾配の傾斜面を有していることを特徴とする太陽電池間カバー。
【請求項3】
請求項2に記載の太陽電池間カバーであって、
前記カバー部材は、少なくとも水下側の側縁部に、水下側の前記太陽電池パネルを上に重ねて設置可能な重複代を有していることを特徴とする太陽電池間カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池間カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建物の屋根に太陽電池パネルを設置する場合に、屋根の全面に太陽電池パネルをほぼ隙間なく敷き詰めることが行われている(例えば、特許文献1参照)。これにより、太陽電池パネルを屋根と同化させて、太陽電池パネルを屋根に見栄え良く効率的に設置することができる。この場合、太陽電池パネルは、基本的に同じ大きさのものが使用される。
【0003】
特許文献1では、屋根における、設置する太陽電池パネルの枚数を超える部分に対し、太陽電池パネルに代えて、太陽電池パネルの形状や構造を模したダミーのパネル(ダミーモジュール)を設置するようにしている。ダミーモジュールは、太陽電池パネルと同じ大きさや形状・構造のものが使用される。なお、屋根は、太陽電池パネルを設置する対象の一例である。ダミーモジュールは、太陽電池パネルと共に屋根などに設置する部材の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
屋根の全面に太陽電池パネルをほぼ隙間なく敷き詰める場合、屋根の形状や大きさと、使用する太陽電池パネルの形状や大きさとをうまく合わせる必要がある。
【0006】
これに対し、屋根の形状や大きさと、使用する太陽電池パネルの形状や大きさとがうまく合っていない場合には、隣接する太陽電池パネルの間に隙間ができてしまうため、太陽電池パネルを屋根にほぼ隙間なく敷き詰めることができない。
【0007】
そのため、屋根の形状や大きさと合っていない太陽電池パネルを使用することは行われておらず、このような場合に、太陽電池パネル間の隙間を埋めるのに適した部材も、特に存在してはいなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に対して、本発明は、
隣接する太陽電池パネル間の隙間に、前記隙間を塞ぐように設置されるカバー部材を有し、
前記カバー部材は、少なくとも上面に前記太陽電池パネルと同系色の表面皮膜を有すると共に、
前記カバー部材は、下面に下方へ延びるリブを有し、
前記カバー部材は、前記リブが、前記カバー部材の下側に設置された取付金具に備えられた凹部へ挿入された状態で、前記取付金具に固定されている太陽電池間カバーを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、屋根の形状や大きさと、使用する太陽電池パネルの形状や大きさとがうまく合っていない場合に、隣接する太陽電池パネルの間にできる隙間に設置することなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態にかかる太陽電池設置構造を備えた建物の全体斜視図である。
【
図2】太陽電池設置構造および太陽電池間カバーを示す、
図1の建物の屋根の部分拡大斜視図である。
【
図3】
図2の建物の屋根を構成する屋根パネルにおける、太陽電池間カバーおよびその取付金具の設置位置の縦断面図である。
【
図4】
図3の屋根パネルにおける、太陽電池間カバーおよびその取付金具の設置位置を側方から見た縦断面図である(重複状態)。
【
図5】
図4と同様の縦断面図である(非重複状態)。
【
図6】太陽電池間カバーの部品図である。このうち、(a)は平面図、(b)は(a)の縦断面図である。
【
図7】取付金具の部品図である。このうち、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は端面図である。
【
図8】屋根パネルを構成する一対の屋根フレームに取付金具を取付ける状態を示す斜視図である。
【
図9】
図8の片側の取付金具に対して電食防止用絶縁材を設置する状態を示す拡大斜視図である。
【
図10】
図8の片側の屋根フレームにおける、取付金具の部分の側方から見た縦面図である。
【
図11】
図8の一対の屋根フレーム間に、太陽電池パネルを、隙間を有して取付けた状態を示す斜視図である。
【
図14】
図11の一対の屋根フレーム間における、隣接する太陽電池パネルの隙間に、太陽電池間カバーを取付ける状態を示す斜視図である。
【
図15】太陽電池間カバーを固定具で固定する状態を示す、
図14の矢視部分の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~
図15は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例0013】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0014】
(1)
図1、
図2に示すように、太陽電池設置構造1では、
太陽電池パネル2は、隙間3を有して隣接配置されている。
隣接する太陽電池パネル2間の隙間3には、隙間3を塞ぐ太陽電池間カバー4が設置される。
上記した太陽電池間カバー4は、カバー部材5と、カバー部材5の少なくとも上面に形成された、太陽電池パネル2と同系色の表面皮膜6と、を有している。
【0015】
ここで、太陽電池設置構造1は、太陽電池パネル2を設置する構造である。太陽電池設置構造1は、1個分の太陽電池パネル2よりも広い面積を有する設置対象面11に対して、複数の太陽電池パネル2を見栄え良く設置するための構造である。設置対象面11は、例えば、建物12の屋根13や壁14などの少なくとも一方とすることができる。この実施例では、太陽電池設置構造1は、建物12の屋根13に対する太陽電池パネル2の設置構造となっている。
【0016】
建物12は、木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造など、どのようなものでも良いが、例えば、ユニット建物としても良い。ユニット建物は、予め工場で製造した箱型の建物ユニット17を建築現場へ搬送して、建築現場で組み立てることによって構築される建物12である。
【0017】
建物12の屋根13は、どのようなものでも良いが、例えば、建物12の本体15の上に予め工場で製造した複数の屋根パネル16を並べて設置することで構成されるものとしても良い。このような屋根13は、ユニット建物に適している。建物12の本体15は、複数の建物ユニット17によって構成される。屋根パネル16は、最上階の建物ユニット17の上に取付けられて、そのまま建物12の屋根13の一部となる。
【0018】
太陽電池パネル2は、太陽光によって発電するパネル状の素子である。一般的な太陽電池パネル2は、平面視ほぼ矩形状をしている。なお、必要な場合には、太陽電池パネル2に代えて、太陽電池パネル2を模したダミーモジュールを用いることもできる。この場合、ダミーモジュールは、使用する太陽電池パネル2と同じ形状・構造・大きさとされる。
【0019】
太陽電池パネル2は、例えば、建物12の既設の屋根13や壁14などの設置対象面11に対し、隙間3を有して並んだ状態となるように、個別に直接取付けても良い。
【0020】
また、例えば、太陽電池パネル2は、取付パネルに隙間3を有して並べて取付けた状態にして、取付パネルごと建物12の屋根13や壁14などの設置対象面11に対して取付けるようにしても良い。太陽電池パネル2を取付けた取付パネルは、例えば、横向きまたは斜め横向きにすることで、屋根パネル16となって屋根13を直接構成する。また、例えば、取付パネルは、縦向きにすることで壁パネルとなって壁14を直接構成する。なお、取付パネルは、既設の屋根13、壁14の少なくとも一方の上に重ねて取付けるものとしても良い。
【0021】
この実施例では、太陽電池パネル2を取付ける取付パネルは、上記した屋根パネル16にしている。即ち、太陽電池パネル2が屋根パネル16に隙間3を有した状態で並べて取付けられ、この屋根パネル16が建物12の本体15の上に、横に並べて取付けられる。太陽電池パネル2を取付けた屋根パネル16がそのまま建物12の屋根13を構成することで、屋根13は、太陽電池パネル2を一体的に備えた見栄えの良いものとなる。
【0022】
なお、太陽電池パネル2を屋根パネル16に取付ける構造は、太陽電池パネル2を屋根パネル16以外の取付パネルに取付ける場合にも適用することが可能である。例えば、壁パネルは、屋根パネル16と同様の構造にすることもできる。
【0023】
図3(~
図5)に示すように、屋根パネル16は、具体的には、平行な一対の屋根フレーム18の間に屋根面材19を設置することで形成される。屋根パネル16は、屋根フレーム18と屋根面材19とによって、それ自体で防水性を有するように形成される。
【0024】
屋根フレーム18は、内向きC字状をした金属製の長尺材とされる。屋根フレーム18は、縦向きのウェブ部と、ウェブ部の上下に位置する横フランジ部とを一体に有する。なお、この実施例では、下側の横フランジ部は、上側の横フランジ部よりも長く(または幅広く)なっている。
【0025】
屋根面材19は、少なくとも、木製の屋根下地材21(例えば、下地合板)と、耐水性を有する金属製の屋根葺材22とを有する。屋根下地材21は、屋根フレーム18(のウェブ部)の内面に、取付桟20を介して取付けられ、屋根葺材22を下から支持する。屋根葺材22は、屋根下地材21および一対の屋根フレーム18を上から覆う。屋根葺材22は、主面と、立上部と、横張出部とを一体に有するハット型断面の部材とされる。主面は、屋根下地材21の上に防水シートを介して設置される。立上部は、主面の両側部から上に立ち上がる。横張出部は、各立上部の上端部から主面とは反対の側へ横に延びて、屋根フレーム18の上側の横フランジ部を上から覆う。屋根葺材22は、屋根フレーム18とほぼ同様の長さの長尺材とされる。
【0026】
なお、隣接して設置された屋根パネル16の間には、縦カバー固定金具23(
図4)を介して縦カバー24が取付けられる。縦カバー24は、隣接する屋根パネル16の間を防水するための下向きU字断面の金属製の部材である。縦カバー24は、隣接する屋根パネル16の、隣接する屋根フレーム18の間に、屋根フレーム18(の上側の横フランジ部の間)を上から覆うように取付けられる。縦カバー24は、屋根フレーム18とほぼ同様の長さの長尺材とされる。
【0027】
この場合、太陽電池パネル2は、同じ屋根パネル16の上に、屋根フレーム18に沿って隣り合うように一列に並べて設置される。これらの太陽電池パネル2は、取付部材25(
図2)を介して屋根フレーム18に固定されて、屋根パネル16と一体化される。太陽電池パネル2は、屋根パネル16に対し、屋根面材19から浮いた状態に取付けられる。
【0028】
同じ屋根パネル16には、基本的に同じ大きさの太陽電池パネル2が取付けられる。屋根パネル16は、一対の屋根フレーム18が、間に太陽電池パネル2が丁度良く納まる幅に形成される。
【0029】
このような屋根パネル16に対し、太陽電池パネル2は、屋根フレーム18の延設方向26に沿ってほぼ均等に配置される。この実施例では、太陽電池パネル2は、同じ屋根パネル16に対し、互いに隙間3を有して並設される。なお、太陽電池パネル2(の延設方向26)の両端の位置については、隙間3は、特に必要ない。複数の屋根パネル16は、互いにほぼ同じ構成とされる。
【0030】
太陽電池パネル2の隙間3は、隣接する太陽電池パネル2の間に形成される空きスペースである。隣接するとは、屋根フレーム18の延設方向26に並べられた太陽電池パネル2が、延設方向26に対して隣り合っていることである。
【0031】
隙間3は、屋根フレーム18の長さと合わない延設方向26の長さを有する太陽電池パネル2を用いることで発生する。または、隙間3は、屋根フレーム18の長さが、太陽電池パネル2の(屋根フレーム18の延設方向26に対する)長さで割り切れない場合に生じる。
【0032】
隙間3は、使用する太陽電池パネル2の大きさに応じた大きさとなる。隙間3は、太陽電池パネル2の間がほぼ同じ大きさになるようにほぼ均等に割り振られる。なお、屋根フレーム18の延設方向26と垂直な方向に並べて設置された屋根パネル16についても、隙間3は、同じ位置に同じ大きさで形成されるようにしても良い。
【0033】
隙間3を塞ぐとは、隙間3を外部から見て分からない状態にすることである。隙間3とほぼ同じ平面形状を有する太陽電池間カバー4を、隙間3に嵌め込むことで、隙間3は塞がれる。
【0034】
(2)太陽電池間カバー4は、
隣接する太陽電池パネル2間の隙間3に、隙間3を塞ぐように設置されるカバー部材5を有している。
カバー部材5は、少なくとも上面に太陽電池パネル2と同系色の表面皮膜6を有している。
【0035】
ここで、太陽電池間カバー4は、上記した太陽電池設置構造1に使用する隙間3の閉塞用部材である。太陽電池間カバー4は、主に、カバー部材5で構成され、カバー部材5の少なくとも上面に表面皮膜6が形成される。太陽電池間カバー4は、隣接する太陽電池パネル2間の隙間3に設置されて、隙間3を埋めることで、太陽電池パネル2が全面にほぼ隙間3なく敷き詰められているような外観を演出する。これにより、太陽電池パネル2は、屋根13と同化される。
【0036】
太陽電池間カバー4の主要部を構成するカバー部材5は、例えば、アルミやアルミ合金などの軽金属製の部材で形成しても良い。カバー部材5は、長手方向27に均一な断面を有する部材で形成しても良い。これにより、カバー部材5は、押出材(アルミ押出材)で形成することが可能となる。押出材で形成されたカバー部材5は、適宜加工し得る。
【0037】
カバー部材5の上面は、隙間3への設置状態で、カバー部材5の上側となる面(表面または外表面)である。少なくとも上面は、上面以外の部分を含んでも良いという意味である。表面皮膜6は、少なくともカバー部材5の上面の全面、および、設置状態で外部から見えるカバー部材5の上面の周囲の部分などに形成される。必要な場合には、表面皮膜6は、カバー部材5の下面を含む残りの部分に形成しても良い。
【0038】
カバー部材5は、上記したように、隣接する太陽電池パネル2の間の隙間3に設置して、太陽電池パネル2の間の隙間3をほぼ埋めた外観にする部材である。この場合、カバー部材5は、外部から遠目で見て隙間3が埋まっている状態に見えれば良いものとされる。そのため、カバー部材5は、太陽電池パネル2と繋げても良いし、繋げなくても良い。この実施例では、カバー部材5は、太陽電池パネル2とは繋がずに分離状態にしている。カバー部材5は、屋根パネル16のほぼ面内に位置するように、一対の屋根フレーム18の間に設置される。
【0039】
カバー部材5は、隙間3とほぼ同じ平面形状(幅および長さ)の部分を有する。そのために、カバー部材5は、屋根フレーム18の延設方向26とほぼ直交する方向へ、屋根フレーム18にほぼ達するか僅かに達しない長さで延びるほぼ帯板状の部材とされる。
【0040】
カバー部材5は、
図6に示すように、長手方向27に沿った一対の側縁部5aと、短手方向に沿った一対の端縁部5bとを有している。カバー部材5の長手方向27は、一対の屋根フレーム18の離間方向となり、延設方向26と直交する。カバー部材5の短手方向は、屋根フレーム18の延設方向26となる。そして、長手方向27と延設方向26と上下方向29とは、互いに直交する三方向となる。
【0041】
カバー部材5は、端縁部5bの近傍が、専用の取付金具28(
図7)を介して設置対象面11に取付けられる。カバー部材5は、例えば、設置対象面11に設置した取付金具28に、直接取付けることができる。また、例えば、カバー部材5は、屋根パネル16などの取付パネルに設置した取付金具28に取付けて、取付パネルごと設置対象面11に(間接的に)取付けることができる。
【0042】
例えば、設置対象面11を屋根13または屋根パネル16として、太陽電池パネル2を屋根パネル16に取付ける場合、取付金具28は屋根フレーム18に設置する。これにより、カバー部材5は、取付金具28を介して屋根フレーム18に固定されて、屋根パネル16と一体化される。屋根パネル16は、それ自体で防水性を有しているので、カバー部材5は、特に屋根パネル16の防水性を考慮する必要はない。
【0043】
表面皮膜6は、カバー部材5の表面に付着形成された薄い膜である。表面皮膜6は、塗装や各種の表面処理などによって形成することができる。表面皮膜6は、耐候性の高いものが使用される。表面皮膜6は、例えば、塗装による塗膜などとしても良い。
【0044】
同系色は、太陽電池パネル2の表面とほぼ同じ系統の色である。例えば、太陽電池パネル2の表面が暗色系の色の場合、表面皮膜6は、黒や灰色などの暗色系の色などとすることができる。なお、
図2では、都合上、カバー部材5と太陽電池パネル2との間に差が出るように、太陽電池パネル2との色の差を意図的に大き目にしている。しかし、実際には、カバー部材5は、表面に太陽電池パネル2との区別がつかないような色の表面皮膜6が施される。また、特に図示しないが、太陽電池パネル2と同系色の表面皮膜6は、屋根パネル16の屋根面材19(を構成する屋根葺材22)の表面に対して形成しても良い。
【0045】
(3)太陽電池間カバー4では、
カバー部材5は、水下側へ向かって下り勾配に配置された太陽電池パネル2に対し、水上側へ向かって下り勾配となる逆勾配の傾斜面31を有しても良い。
【0046】
ここで、水下側は、水が流れる方向における、低い側である。即ち、水下側は、水の流れの先となる側(または、流れて行く側)である。水上側は、水が流れる方向における、高い側である。即ち、水上側は、水の流れの元となる側(または、流れて来る側)である。
【0047】
水下側および水上側は、屋根13に何らかの傾きを設けることによって形成される。屋根13に設けられる傾きの向きは、敷地の状況や、建物12の状況に応じて適宜設定される。屋根13に設けられる傾きは、例えば、建物12の本体15の上に、屋根パネル16を斜めに取付けて形成しても良い。また、屋根13に設けられる傾きは、例えば、建物12の本体15の上に、屋根パネル16を水平に取付け、この屋根パネル16の屋根面材19を屋根フレーム18に対して斜めに設置して、屋根面材19で形成しても良い。
【0048】
この実施例では、ユニット建物における、最上階の建物ユニット17の上に、屋根パネル16を水平に取付け、屋根パネル16の屋根面材19を屋根フレーム18に対して斜めに設置することで、屋根13は傾きを有している。傾斜した屋根面材19は、低い側が水下側となり、高い側が水上側となる。水下側は、建物12の本体15の屋外側に向けられる。以下、水下側、水上側は、特に言及しない場合には、水平な屋根パネル16における、屋根面材19の傾きの方向を基準とする。
【0049】
そして、水平な屋根パネル16に対し、各太陽電池パネル2は、屋根面材19の水下側が低くなり、屋根面材19の水上側が高くなるように、それぞれ勾配を付けた状態で水平な屋根フレーム18に個別に固定される。屋根パネル16内で屋根フレーム18に沿って隣接する太陽電池パネル2は、ほぼ同じ勾配でほぼ同じ高さに揃えて設置される。即ち、隣接する太陽電池パネル2は、水下側どうしがほぼ同じ高さとなり、水上側どうしがほぼ同じ高さとなるようにほぼ平行に設置される。
【0050】
例えば、太陽電池パネル2の水下側は、上部が、縦カバー24の上部とほぼ同じ高さ、または、屋根フレーム18の上部とほぼ同じかそれよりも若干高い高さに設置される。また、例えば、太陽電池パネル2の水上側は、下部が、縦カバー24の上部よりも若干低い高さ、または、屋根フレーム18よりも若干高い高さとなるように設置される。ただし、太陽電池パネル2の水下側と水上側の高さは、これに限るものではない。
【0051】
なお、太陽電池パネル2の傾きの角度は、屋根面材19の傾きの角度と同じでなくても良い。図では、太陽電池パネル2の傾きは、屋根面材19の傾きよりも大きくなっている。
【0052】
逆勾配の傾斜面31は、屋根面材19の水下側が高くなり、屋根面材19の水上側が低くなるような、屋根面材19とは逆の勾配を有する傾斜した面である。これにより、屋根面材19の水下側が傾斜面31にとっては水上側となり、屋根面材19の水上側が傾斜面31にとっては水下側となる。ただし、混乱を招かないように、水下側、水上側は、既に上記した通り、屋根面材19の傾きを基準とする。逆勾配の傾斜面31は、ほぼ一定の傾斜角度を有して直線状に傾斜する平坦な面とされている。
【0053】
カバー部材5は、上面のほぼ全体または大部分が逆勾配の傾斜面31となっている。そして、主に、逆勾配の傾斜面31が隙間3を塞ぐ。また、表面皮膜6は、主に、逆勾配の傾斜面31に形成される。
【0054】
カバー部材5は、屋根面材19の水下側が、水下側に位置する太陽電池パネル2(の水上側)の下部とほぼ同じかそれよりも若干高くなっている。また、カバー部材5は、屋根面材19の水上側が、水上側に位置する太陽電池パネル2(の水下側)の上部とほぼ同じかそれよりも若干低くなるように傾斜されている。
【0055】
図4では、カバー部材5は、カバー部材5にとっての水上側が、縦カバー24の上部とほぼ同じかそれよりも若干低くなっている。また、カバー部材5は、カバー部材5にとっての水下側が、屋根フレーム18の上部とほぼ同じかそれよりも若干低くなっている。屋根フレーム18の上部は、縦カバー24の上部よりも僅かに低くなっている。これにより、カバー部材5は、比較的水平に近い緩やかな逆勾配の傾斜面31となる。
【0056】
(4)太陽電池間カバー4では、
カバー部材5は、少なくとも水下側の側縁部5aに、水下側の太陽電池パネル2を上に重ねて設置可能な重複代41を有しても良い。
【0057】
ここで、水下側の側縁部5aは、カバー部材5における、屋根面材19の水下側となる長手方向27の縁部分であり、その周辺の一定範囲の部分を含む。
【0058】
重複代41は、カバー部材5に形成された、水下側の太陽電池パネル2(の水上側の部分)を上に重ねて設置できるようにした部分である。
【0059】
重複代41の短手方向に対する大きさは、隙間3の最大値と最小値との差分程度とされる。隙間3の最大値と最小値は、使用する可能性のある複数の太陽電池パネル2の短手方向の大きさの違いによって決められる。
【0060】
重複代41は、カバー部材5の長手方向27のほぼ全域に亘って連続的に形成される。ただし、水下側の太陽電池パネル2は、重複代41と重なるように設置しなくても良い(
図5)。
【0061】
重複代41は、カバー部材5の水下側の側縁部5aを、下りの段差5cを有して一段低くすることで形成されている。段差5cによって、重複代41は、水下側の太陽電池パネル2(の水上側の部分)よりも位置が低くなっている。水下側の側縁部5aに重複代41を設けることで、段差5cを小さく抑えることができる。なお、表面皮膜6は、段差5cおよび重複代41の表面側にも形成される。
【0062】
重複代41は、ほぼ水平か、屋根面材19の水下側へ向かって僅かに下がる下り勾配となっている。なお、カバー部材5は、重複代41を有する場合には、重複代41以外の残りの部分の上面が逆勾配の傾斜面31となる。
【0063】
そして、重複代41は、水下側の太陽電池パネル2に対して非接触となる高さに形成されている。このように、重複代41を低くして水下側の太陽電池パネル2と非接触にすることで、太陽電池パネル2を重複代41の上に重ねて設置したときに、両者間に上下方向29の間隙が形成される。この上下方向29の間隙は排水スペースとなる。
【0064】
なお、排水について補足すると、カバー部材5は、屋根面材19の水上側および水下側の側縁部5aが、屋根面材19の水上側および水下側の太陽電池パネル2に接触しないようになっている。このようにすることで、カバー部材5と太陽電池パネル2との間に、排水スペースが形成される。この実施例では、水上側の側縁部5aは、水上側の太陽電池パネル2に到達しない長さとされている。また、水下側の側縁部5aは、重複代41以外の残りの部分が、水下側の太陽電池パネル2に到達しない長さとされている。そして、上記したように、水下側の側縁部5aに、水下側の太陽電池パネル2と非接触状態になるように段差5cが形成され、段差5cから重複代41が延ばされている。そして、カバー部材5の上に降った雨水は、排水スペースを通って屋根パネル16の屋根面材19の上に排水される。
図5では、重複代41を形成した水下側の側縁部5aは、水下側の太陽電池パネル2に到達する長さとなっているが、水下側の太陽電池パネル2に到達しない長さとしても良い。
【0065】
なお、重複代41は、必要な場合には、水上側の側縁部5aにも形成しても良い。また、構造的には、重複代41は、水上側の側縁部5aのみに対して形成することも可能である。
【0066】
(5)太陽電池間カバー4では、
カバー部材5は、下面に下方へ延びるリブ51を有しても良い。
カバー部材5は、リブ51が、カバー部材5の下側に設置された取付金具28に備えられた凹部52へ挿入された状態で、取付金具28に固定されても良い。
【0067】
ここで、カバー部材5の下面は、隙間3への設置状態でカバー部材5の下側となる面(裏面または内表面)である。カバー部材5の下面は、屋根面材19に対して上下方向29に離間される。
【0068】
下方は、下へ向かう方向のことである。下方は、例えば、カバー部材5の下面とほぼ面直な下向きの方向としても良いし、設置状態で鉛直下方となる方向にしても良いし、それ以外の下へ向かう方向としても良い。
【0069】
リブ51は、カバー部材5の下面から一体に突出する分岐部分である。リブ51は、カバー部材5を補強する機能を有する。リブ51は、カバー部材5の長手方向27に対し、均一な突出量を有して、カバー部材5とほぼ同じかそれよりも若干短い長さで延びる。リブ51は、連続的に延びるものとしても良いし、不連続なものとしても良い。図では、リブ51は、連続的に延びるものとなっている。
【0070】
リブ51は、カバー部材5の短手方向の中間部に形成される。この実施例では、リブ51は、カバー部材5の下面における、短手方向のほぼ中央部、重複代41を有する場合には、重複代41を除いた残りの部分の短手方向のほぼ中央部などに形成される。
【0071】
以下、カバー部材5(
図6)の詳細形状について説明する。カバー部材5は、屋根面材19の水下側となる側縁部5aが、全長に亘り下方に屈曲されて下方屈曲部5dとされる。また、カバー部材5は、屋根面材19の水上側となる側縁部5aが、全長に亘り下方に屈曲されて下方屈曲部5eとされ、下方屈曲部5eの下部が全長に亘り内方に屈曲されて内方屈曲部5fとされている。内方は、カバー部材5の短手方向の反対側(屋根面材19の水下側)へ向かう方向である。下方屈曲部5d,5eは、カバー部材5を補強すると共に、カバー部材5の水切りとなる。表面皮膜6は、下方屈曲部5d,5eおよび内方屈曲部5fにおけるカバー部材5の表面と同じ側の面に対して形成しても良い。
【0072】
屋根面材19の両側縁部5aの下方屈曲部5d,5eは、カバー部材5を、その下面を下に向けて置いたときに、カバー部材5を水平または水平に近い状態に支えると共に、リブ51を保護し得る長さに形成しても良い。例えば、水下側の下方屈曲部5d、リブ51、水上側の下方屈曲部5eは、先端(下端)が一直線上に並ぶようにしても良い。
【0073】
カバー部材5は、長手方向27の両端縁部5bの近傍に、取付金具28に対応する取付穴5gを有している。取付穴5gは、リブ51を挟んだ幅方向の両側に一対、予め貫通形成されている。
【0074】
取付金具28(
図7)は、少なくとも、屋根フレーム18に取付けるためのフレーム取付部53と、カバー部材5を取付けるカバー取付部54,55とを有している。屋根フレーム18にフレーム取付部53を取付け、カバー取付部54,55にカバー部材5を取付けることで、屋根フレーム18に取付金具28を介してカバー部材5が取付けられる。
【0075】
フレーム取付部53は、屋根フレーム18の上部に当接固定可能な横フランジとなっている。フレーム取付部53は、短手方向に対し、屋根フレーム18の上部と平行な水平面になっている。フレーム取付部53は、取付穴53aを有しており、取付穴53aを通してネジなどの固定具56(
図8)で、屋根フレーム18の上部に上から取付けられる。
【0076】
カバー取付部54,55は、上部にカバー部材5を当接固定可能な横フランジとなっている。カバー取付部54,55は、短手方向に対し、カバー部材5の逆勾配の傾斜面31と同じ傾斜角度を有する逆勾配の傾斜した面となっている。カバー部材5は、カバー取付部54,55の上に当接固定されることで、逆勾配の傾斜面31になる。カバー部材5は、リベットなどの固定具57(
図14)で、カバー取付部54,55に上から取付けられる。即ち、カバー取付部54,55には、カバー部材5の一対の取付穴5gと合致する位置に、取付穴54a,55aがそれぞれ予め貫通形成されている。そして、カバー部材5は、カバー取付部54,55に、取付穴54a,55aを通してリベットなどの固定具57で上から取付けられる。
【0077】
フレーム取付部53とカバー取付部54,55とは、連結部58によって一体に連結されている。
【0078】
凹部52は、取付金具28に形成された、リブ51を収容する部分である。凹部52は、取付金具28のほぼ中央部分を、リブ51の有る位置で、リブ51の突出量とほぼ同じかそれより若干大きい深さに切欠いて形成されている。
【0079】
また、凹部52は、リブ51の肉厚よりも、短手方向に広い間隔に切欠かれている。凹部52は、取付金具28のカバー取付部54,55から連結部58に掛けて形成される。これにより、カバー取付部54,55は、凹部52の上側に2つに分かれて位置される。
【0080】
(6)太陽電池設置構造1では、
取付金具28は、凹部52の下側に、太陽電池パネル2から延びる配線61(
図4)を、太陽電池パネル2が隣接する方向に沿って案内する配線案内部62を有しても良い。
【0081】
または、太陽電池間カバー4は、配線案内部62を有する取付金具28に取付けられても良い。
【0082】
ここで、配線61は、太陽電池パネル2で発電した電力を外部へ出力するための導電性の線状部材である。配線61は、各太陽電池パネル2から延びることで、複数本存在する。配線61は、太陽電池パネル2から建物12の本体15の内部へと導かれる。
【0083】
太陽電池パネル2が隣接する方向は、太陽電池パネル2を並べて設置する方向である。太陽電池パネル2を屋根パネル16に並べて取付けた場合には、隣接する方向は、屋根フレーム18の延設方向26となる。配線61は、屋根パネル16ごとにまとめられて太陽電池パネル2(の下側)と屋根面材19(の上側)との間に形成される空間を、屋根フレーム18の延設方向26に沿って外部から見えないように導かれる。
【0084】
配線案内部62は、配線61が通る位置を定めたり、配線61を案内したりする部分であり、取付金具28の連結部58に設けられる。配線案内部62は、例えば、連結部58を縦向きの面にして連結部58からフックを切起こすことで、フックの部分に設けても良い。また、配線案内部62は、例えば、連結部58を上に開いたU字形状にして、U字形状の部分の内側に設けても良い。U字形状の連結部58は、配線61を内側に収容することで、配線案内部62になる。この実施例では、配線案内部62は、U字形状の連結部58とされる。
【0085】
U字形状の連結部58は、一対の腕部58a,58bと、一対の腕部58a,58bの下端間を一体に連結する底面部58cと、を有する。連結部58をU字形状にした場合、フレーム取付部53およびカバー取付部54,55は、一対の腕部58a,58bのそれぞれの上端に一体に形成される。そして、連結部58をU字形状にすることにより、取付金具28は、ほぼハット型の断面の部材になる。
【0086】
この場合、凹部52は、カバー取付部54,55が形成される側の腕部58bに対して設けられる。U字形状の連結部58は、一対の腕部58a,58bを、凹部52の下端よりも、配線61の直径とほぼ同じかそれよりも長く下へ延ばすことで、配線案内部62になる。底面部58cは、その取付金具28に通す全ての配線61を横に並べて通し得る幅またはそれ以上の幅に形成される。そして、複数本の配線61は、配線案内部62における、底面部58cの上にほぼ平らに並べて載置保持される。底面部58cの上に並べて設置された複数本の配線61は、リブ51によって、動かないように上から接触状態で直接押さえられるか、または、整った状態が保たれるように上からほぼ非接触状態で、大きな浮きや乱れを規制される。
【0087】
(7)太陽電池設置構造1では、
取付金具28は、凹部52よりも下側に貫通穴部71(
図7)を有しても良い。
【0088】
または、太陽電池間カバー4は、凹部52よりも下側に貫通穴部71を有する取付金具28に取付けられても良い。
【0089】
ここで、貫通穴部71は、連結部58における、凹部52よりも下側の位置に設けられる横穴である。貫通穴部71は、連結部58に対し、単数または複数形成しても良い。連結部58をU字形状とした場合、貫通穴部71は、カバー取付部54,55が設けられた一方の腕部58bに設けられる。
【0090】
貫通穴部71が凹部52の真下または真下の周辺に形成される場合には、貫通穴部71は、凹部52と上下に重複しない(または繋がらない)下側の位置に形成される。貫通穴部71が凹部52の真下を避けた横の位置に形成される場合にも、貫通穴部71は、基本的に、凹部52と上下に重複しない下側の位置に形成される。しかし、貫通穴部71は、例外的に、凹部52よりも下と言える範囲内で凹部52と上下に一部重複するような位置に形成しても良い。
【0091】
貫通穴部71には、複数本の配線61を束ねる結束部材72(
図13)が通される。結束部材72には、例えば、樹脂製の結束用バンド部材などが使用される。これにより、貫通穴部71は、結束部材挿通穴となる。結束部材72の両端部は、例えば、貫通穴部71と凹部52の上とを通して取付金具28の外側(腕部58bの面外)へ導かれ、取付金具28の外側で互いに結束されてループ状になる。また、結束部材72の両端部は、例えば、貫通穴部71と腕部58bの側部とを通して取付金具28の外側へ導かれ、取付金具28の外側で互いに結束されてループ状になる。配線61は、ループ状に結束された結束部材72の内側に束ねた状態でまとめられる。
【0092】
(8)太陽電池設置構造1では、
取付金具28とカバー部材5との間には、電食防止用絶縁材81(
図9)を介在させても良い。
【0093】
または、太陽電池間カバー4は、電食防止用絶縁材81を介して取付金具28に取付けられても良い。
【0094】
ここで、電食防止用絶縁材81は、異種金属間の接触による電食を防止するための絶縁性の部材である。電食防止用絶縁材81は、例えば、薄いシート状にして、カバー取付部54,55の上面に設置しても良い。また、例えば、電食防止用絶縁材81は、シート状の粘着テープにして、カバー取付部54,55の上面に貼付けても良い。
【0095】
電食防止用絶縁材81は、カバー取付部54,55のそれぞれに対して、各カバー取付部54,55の全面を覆う大きさおよび形状に設けられる。電食防止用絶縁材81には、カバー取付部54,55の取付穴5gと合致する位置に、リベットなどの固定具57を通す貫通穴81aがそれぞれ予め貫通形成されている。
【0096】
なお、電食防止用絶縁材81は、カバー部材5の下面に予め取付けても良い。
【0097】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0098】
太陽電池パネル2の屋根13に対する設置の仕方について説明する。
【0099】
まず、工場で屋根パネル16を製造する(屋根パネル製造工程)。屋根パネル16は、平行な一対の屋根フレーム18の間に屋根面材19を設置して、一対の屋根フレーム18の間を屋根面材19で塞ぐことによって製造される。屋根パネル16は、屋根面材19によって防水性が得られる。
【0100】
次に、
図8(~
図10)に示すように、屋根パネル16における、太陽電池間カバー4を設置する隙間3の位置に、取付金具28を取付ける(取付金具設置工程)。取付金具28は、屋根パネル16の一対の屋根フレーム18のそれぞれに取付けられる。取付金具28は、フレーム取付部53が屋根フレーム18に固定される。フレーム取付部53は、屋根パネル16の一対の屋根フレーム18の上部(上側の横フランジ部の上)に当接されて、ネジなどの固定具56で上から屋根フレーム18の上部に固定される。
【0101】
これにより、カバー取付部54,55は、一対の屋根フレーム18の内側に位置して、一対の屋根フレーム18の離間方向に並ぶように設置される。このカバー取付部54,55の上に、電食防止用絶縁材81を設置する(絶縁材設置工程、
図9)。
【0102】
次に、
図11に示すように、屋根パネル16の一対の屋根フレーム18の間に、屋根フレーム18に沿って複数の太陽電池パネル2を並べる(太陽電池パネル設置工程)。太陽電池パネル2は、取付金具28を避けた屋根フレーム18の延設方向26の両側の位置に、隙間3を有して並べられて、屋根フレーム18に取付けられる。太陽電池パネル2は、太陽電池パネル2に備えられた取付部材25が屋根フレーム18に固定される。取付部材25は、屋根フレーム18の上部に当接されて、屋根フレーム18の上部に上からネジなどで固定される。
【0103】
同時に、
図12、
図13に示すように、太陽電池パネル2から延びる複数本の配線61を、屋根パネル16の下と太陽電池パネル2の上との間の空間内に配索する(配線設置工程)。配線61は、屋根フレーム18に沿って延設されると共に、まとめられて取付金具28の配線案内部62に通される。
【0104】
この際、配線61は、取付金具28のU字形状の連結部58を構成する底面部58cの上に横に並べて平面的に設置されても良い。
【0105】
そして、配線61は、横に並んだ状態のまま、結束部材72で結束されて取付金具28に固定されても良い。例えば、結束部材72は、両端部が、貫通穴部71と凹部52の上とを通して取付金具28の外側(面外)へ導かれて、取付金具28の外側で互いに結束されてループ状になる。配線61はループ状の結束部材72によって束ねた状態にまとめられる。
【0106】
そして、
図14(
図15)に示すように、取付金具28に太陽電池間カバー4を取付けて、隣接する太陽電池パネル2の隙間3をカバー部材5で埋める(カバー設置工程)。カバー部材5は、隙間3の大きさに応じて重複代41を使用する。重複代41は、水下側の太陽電池パネル2の下側へ所要量潜り込ませるようにして重複させる。太陽電池間カバー4は、取付穴5gを通して上からリベットなどの固定具57で取付金具28のカバー取付部54,55に取付けられる。
【0107】
この際、カバー部材5の下面に形成されたリブ51を、取付金具28の凹部52へ上から挿入して、取付金具28のU字形状の連結部58内の配線61をリブ51で上から直接押さえるか、または、配線61が浮いたときに押さえられるようにする。
【0108】
これにより、屋根パネル16に、カバー部材5が取付けられ、隣接する太陽電池パネル2の隙間3がカバー部材5で埋められる。このとき、屋根パネル16は、屋根フレーム18に沿って、太陽電池パネル2と太陽電池間カバー4とが整然と交互に設置された状態になる。
【0109】
更に、屋根パネル16を建物12の本体15の上に複数設置して屋根13を形成する(屋根パネル設置工程)。屋根パネル16は、向きを揃えて、屋根フレーム18どうしを近接させた状態で、屋根フレーム18の延設方向26と直交する方向に並設される。
【0110】
隣接する屋根パネル16の間には、U字断面の縦カバー24(
図3)を取付ける(縦カバー設置工程)。縦カバー24は、隣接する屋根パネル16の、隣接する屋根フレーム18の間を上から覆うように取付けられる。そして、縦カバー24は、隣接する屋根パネル16の間を防水する。
【0111】
以上により、屋根13は、太陽電池パネル2がほぼ隙間3なく敷き詰められているような外観に形成される(
図1)。そのため、屋根13に対して、屋根13または屋根パネル16と合わない大きさの太陽電池パネル2を用いることが可能となる。そして、屋根13または屋根パネル16に対し、合わない大きさの太陽電池パネル2が、屋根13と同化した状態で、より見栄え良く効率的に設置される。
【0112】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果が得られる。
【0113】
(効果 1)太陽電池設置構造1は、隣接する太陽電池パネル2間の隙間3に、太陽電池パネル2と同系色の表面皮膜6を少なくとも上面に有するカバー部材5を、隙間3を塞ぐように設置しても良い。
【0114】
これにより、カバー部材5によって、隣接する太陽電池パネル2間の隙間3が埋められる。即ち、屋根13の形状や大きさと、使用する太陽電池パネル2の形状や大きさとがうまく合っていない場合に、隣接する太陽電池パネル2の間に形成される隙間3をカバー部材5で簡単に埋めることが可能になる。
【0115】
カバー部材5は、少なくとも上面に太陽電池パネル2と同系色の表面皮膜6を有しているので、隙間3を違和感なく埋めることができる。そして、設置対象面11(以下、分かり易いように屋根13と言う)は、カバー部材5によって、全面に太陽電池パネル2をほぼ隙間3なく敷き詰めたのに近い状態の外観が得られる。
【0116】
カバー部材5は、少なくとも上面に太陽電池パネル2と同系色の表面皮膜6を有していれば良いので、低コストで実現できる。しかも、カバー部材5は、例えば、太陽電池パネル2を模したダミーモジュールのような、複雑な形状や構造を有していなくても良いので、構造が簡単であり、太陽電池パネル2間の隙間3の大きさや形状に対応させ易い。よって、カバー部材5を用いることで、屋根13の形状や大きさに合わない形状や大きさの太陽電池パネル2でも使用可能になる。また、カバー部材5は、ダミーモジュールと比べて取扱いも容易である。
【0117】
カバー部材5は、屋根13そのものとは別の構成にすることで、損傷時には、屋根13に影響を与えることなく単体での交換が可能となり、メンテナンスが容易となる。
【0118】
(効果 2)太陽電池間カバー4では、隣接する太陽電池パネル2間の隙間3を塞ぐように隙間3に設置されるカバー部材5は、少なくとも上面に太陽電池パネル2と同系色の表面皮膜6を有しても良い。これにより、太陽電池間カバー4は、太陽電池パネル2の間の隙間3に違和感なく設置することができ、上記太陽電池設置構造1と同様の作用効果を得ることができる。
【0119】
(効果 3)太陽電池間カバー4では、カバー部材5は、水下側へ向かって下り勾配に配置された太陽電池パネル2に対し、水上側へ向かって下り勾配となる逆勾配の傾斜面31を有しても良い。これにより、個々に勾配を有して離間した状態に設置される太陽電池パネル2の間を、逆勾配の傾斜面31を有するカバー部材5で見栄え良く繋ぐことができる。そして、屋根13の外観を、比較的変化の少ない緩やかな表面形状に整えることができる。
【0120】
(効果 4)太陽電池間カバー4では、カバー部材5は、少なくとも水下側の側縁部5aに、水下側の太陽電池パネル2を上に重ねて設置可能な重複代41を有しても良い。これにより、水下側の太陽電池パネル2は、重複代41の上に水下側の太陽電池パネル2(の水上側の部分)を重ねたり(
図4)、重複代41の上に水下側の太陽電池パネル2を重ねなかったりするなど(
図5)、比較的自由に設置できるようになる。また、水下側の太陽電池パネル2は、重複代41に対する重ね量を調整して設置することもできる。そのため、1つのカバー部材5で、太陽電池パネル2の間の様々な大きさの隙間3に柔軟に対応することができる。そのため、コストを削減しつつ、屋根13の生産性を向上することができる。
【0121】
(効果 5)太陽電池間カバー4では、カバー部材5は、下面に形成された下方へ延びるリブ51が、カバー部材5の下側に設置された取付金具28に備えられた凹部52へ挿入された状態で、取付金具28に固定されても良い。これにより、カバー部材5は、取付金具28に対応したものになる。よって、カバー部材5の取付ミスを防ぐことができる。そして、カバー部材5のリブ51を取付金具28の凹部52へ挿入することで、カバー部材5を取付金具28に対し正しく位置決めして固定できる。また、リブ51によって、カバー部材5は、補強効果も得られる。
【0122】
(効果 6)太陽電池設置構造1では、取付金具28は、凹部52の下側に、太陽電池パネル2から延びる配線61を、太陽電池パネル2が隣接する方向に沿って案内する配線案内部62を有しても良い。これにより、取付金具28は、太陽電池パネル2から延びる配線61を、配線案内部62を使って、太陽電池パネル2が隣接する方向に沿って整然と設置することができる。取付金具28は、凹部52の下側に配線案内部62を有することで、配線案内部62を別に設ける必要をなくすことができる。また、凹部52へ挿入されたカバー部材5のリブ51によって、配線案内部62に設置された配線61を上から押えることが可能になる。そのため、配線61は、配線案内部62の内側で整った状態に保たれるので、配線61が乱れてカバー部材5のリブ51以外の部分に接触するのを防止できる。
【0123】
(効果 7)太陽電池設置構造1では、取付金具28は、凹部52よりも下側に貫通穴部71を有しても良い。これにより、配線61を凹部52の下側の位置で結束部材72を用いて束ねると共に、配線61を束ねた結束部材72を、凹部52と貫通穴部71とを通して取付金具28に固定することができる。
【0124】
(効果 8)太陽電池設置構造1では、取付金具28とカバー部材5との間に、電食防止用絶縁材81を介在させても良い。これにより、取付金具28とカバー部材5との接触によるカバー部材5の電食を電食防止用絶縁材81によって防止することができる。よって、カバー部材5を長期間にわたって良好な状態に保つことができる。