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  • 特開-移動経路予測システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020812
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】移動経路予測システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/246 20170101AFI20240207BHJP
   G06T 7/73 20170101ALI20240207BHJP
【FI】
G06T7/246
G06T7/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123278
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生富 直孝
(72)【発明者】
【氏名】米山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】氷室 福
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA01
5L096DA02
5L096DA03
5L096FA02
5L096FA26
5L096FA69
5L096HA05
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】移動経路の予測に汎用的に適用することができる移動経路予測システムを提供する。
【解決手段】前記領域内の画像を取得する画像取得手段12と、取得した前記画像内に含まれる前記移動体を検出する移動体検出手段14と、前記画像内における前記移動体の位置座標を、前記領域内を表す2次元地図上の位置座標に投影変換して、前記移動体を前記2次元地図上に位置付けた平面地図を生成する地図生成手段16と、時系列的に連続した前記画像である連続画像群における前記移動体の特徴量に基づいて、前記平面地図上の前記移動体を追跡し、前記移動体の進行方向を予測する進行方向予測手段18とを備えるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域内に所在する移動体の移動経路を予測する移動経路予測システムであって、
前記領域内の画像を取得する画像取得手段と、取得した前記画像内に含まれる前記移動体を検出する移動体検出手段と、前記画像内における前記移動体の位置座標を、前記領域内を表す2次元地図上の位置座標に投影変換して、前記移動体を前記2次元地図上に位置付けた平面地図を生成する地図生成手段と、時系列的に連続した前記画像である連続画像群における前記移動体の特徴量に基づいて、前記平面地図上の前記移動体を追跡し、前記移動体の進行方向を予測する進行方向予測手段とを備えることを特徴とする移動経路予測システム。
【請求項2】
予測結果に基づいて、危険を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の移動経路予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動経路予測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や空港などの領域内を移動する移動体(人や車両など)の経路を予測する移動経路予測システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1の移動経路予測システムでは、領域内の出発地から目的地までの経路を移動する移動体に対して適用される。
【0003】
一方、セキュリティ意識の高まりから監視カメラを設置する街頭・施設、道路のレーンマーカ検知・速度表示などの道路標識の認識・歩行者検知のためのドライブレコーダーを搭載する車両等が増えている。カメラで撮影した画像から位置を推定する技術として、例えば特許文献2に記載のものが知られている。この特許文献2では、単眼カメラで撮影した1枚の画像から、画像認識技術等を介して対象物とその高さを認識することで、画像処理技術との組み合わせによりその物体の位置を算出することを可能にしており、画像内で重なり合う対象物を個別に検出し、平面座標上の位置を推定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-123128号公報
【特許文献2】特開2020-173617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1の移動経路予測システムでは、出発地と目的地があらかじめ明らかになっている必要があり、出発地と目的地が明らかでない移動体には適用できない。また、上記の特許文献2の位置推定技術では、位置を推定した対象物がその後どのように動くのかを把握することはできない。このため、事前に行動を予測した危険予知などに応用するのには限界があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、移動経路の予測に汎用的に適用することができる移動経路予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る移動経路予測システムは、所定の領域内に所在する移動体の移動経路を予測する移動経路予測システムであって、前記領域内の画像を取得する画像取得手段と、取得した前記画像内に含まれる前記移動体を検出する移動体検出手段と、前記画像内における前記移動体の位置座標を、前記領域内を表す2次元地図上の位置座標に投影変換して、前記移動体を前記2次元地図上に位置付けた平面地図を生成する地図生成手段と、時系列的に連続した前記画像である連続画像群における前記移動体の特徴量に基づいて、前記平面地図上の前記移動体を追跡し、前記移動体の進行方向を予測する進行方向予測手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の移動経路予測システムは、上述した発明において、予測結果に基づいて、危険を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る移動経路予測システムによれば、所定の領域内に所在する移動体の移動経路を予測する移動経路予測システムであって、前記領域内の画像を取得する画像取得手段と、取得した前記画像内に含まれる前記移動体を検出する移動体検出手段と、前記画像内における前記移動体の位置座標を、前記領域内を表す2次元地図上の位置座標に投影変換して、前記移動体を前記2次元地図上に位置付けた平面地図を生成する地図生成手段と、時系列的に連続した前記画像である連続画像群における前記移動体の特徴量に基づいて、前記平面地図上の前記移動体を追跡し、前記移動体の進行方向を予測する進行方向予測手段とを備えるので、移動経路の予測に汎用的に適用することができるという効果を奏する。
【0010】
また、本発明に係る他の移動経路予測システムによれば、予測結果に基づいて、危険を報知する報知手段をさらに備えるので、移動体の接触リスクの低減に貢献することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係る移動経路予測システムの実施の形態を示す概略構成図である。
図2図2は、本実施の形態の物体検出、投影変換の説明図である。
図3図3は、本実施の形態の動線予測の説明図である。
図4図4は、本実施の形態の危険報知の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る移動経路予測システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る移動経路予測システム10は、画像取得手段12と、移動体検出手段14と、地図生成手段16と、進行方向予測手段18とを備える。本システム10は、図2に示すように、物体検出と座標変換を用いてカメラ画像G内の対象物(移動体P)の座標を現実空間A(領域)に対応する平面地図Mに投影し、動画像の各フレーム間の特徴量を継承させることで、平面地図M上で対象物(移動体P)の動線(移動経路)の予測を可能にするシステムである。
【0014】
対象とする現実空間Aの領域は、例えば複数の人や車両が行き交う工事現場などを想定しているが、本発明はこれに限るものではない。また、移動体Pである対象物は、人を想定しているが、本発明はこれに限るものではなく、車両、ロボットなどの移動体であってもよい。また、人、車両、ロボットなどの異なる種類の移動体が領域内に複数混在してもよい。車両やロボットは自動運転型や自律走行型でもよい。
【0015】
画像取得手段12は、現実空間A内を撮影して画像Gを取得するものであり、例えば現実空間A内建物Bの上側などに設置され、現実空間Aを斜め上方または側方から撮影する監視カメラなどで構成することができる。この画像取得手段12は、所定の時間間隔(例えば、1~60フレーム/秒の時間間隔)で現実空間A内の画像Gを撮影する。これにより、時系列的に連続した画像Gである連続画像群(動画像)が得られる。撮影した画像Gは図示しない記録装置に記録される。
【0016】
移動体検出手段14は、取得した画像G内に含まれる移動体Pを検出するものである。画像G内に含まれる移動体Pを検出する方法としては、例えばYOLOのような人物・車両を高精度で検出できる物体検出アルゴリズムなど周知の画像認識技術を適用することができる。なお、YOLOを適用すれば、各フレームの画像Gから移動体Pとして認識された領域が矩形のバウンディングボックスで検出される。移動体検出手段14は、検出された移動体Pの領域の画像の特徴量(例えば特徴ベクトル)を計算する。そして、移動体Pの画像上の位置と特徴量から、周知のオブジェクトトラッキング手法を用いて各フレームで同じ移動体Pと推定される領域に同じ識別子を付与する。これにより、各フレームで識別子付きの移動体Pを検出することができる。なお、移動体Pの画像上の位置と特徴量、識別子などの情報は、図示しない記録装置に記録される。
【0017】
地図生成手段16は、画像G内における移動体Pの位置座標を、現実空間A内を表す2次元地図上の位置座標に投影変換して、移動体Pを2次元地図上に位置付けた平面地図Mを生成するものである。具体的には、移動体検出手段14により検出された移動体Pの画像座標系における位置座標を移動体Pの位置とみなして、事前に準備した2次元地図上の位置座標に投影変換する。そして、2次元地図上の対応する位置に移動体Pを投影した平面地図Mを生成する。画像座標系における位置座標は、例えば、バウンディングボックスの下辺の中点の座標を用いてもよい。この場合、各フレームで得られる識別子付きの移動体Pを投影変換し、2次元地図上に移動体Pをマッピングした平面地図Mを生成してもよい。なお、生成した平面地図Mなどの情報は、図示しない記録装置に記録されるとともに、図示しないディスプレイなどの出力装置に出力可能である。
【0018】
進行方向予測手段18は、連続画像群(動画像)における移動体Pの特徴量に基づいて、平面地図M上の移動体Pの動きを追跡し、移動体Pの進行方向を予測するものである。例えば、図3に示すように、現実空間Aに対する画像Gおよび平面地図Mが、各時刻(t=0(s)、t=1(s)、・・・、t=n(s))においてフレームとして得られたものとする。各フレームで移動体検出手段14により検出された移動体Pの特徴量は、識別子を介して画像間で継承される。
【0019】
進行方向予測手段18は、図示しない記録装置から、平面地図Mの各フレームにおける同一識別子の移動体Pの位置座標を随時読み込み、その位置座標から平面地図M上の移動体Pの動き(移動経路R)を追跡する。また、追跡した動線(例えば、動線の向き、角度など)に応じて、所定時間後の移動体Pの進行方向および動線を予測する。追跡した動線や予測した進行方向などの情報は、平面地図上に描画する。なお、これらの情報は、図示しない記録装置に記録されるとともに、図示しないディスプレイなどの出力装置に出力可能である。図4に出力例を示す。図の例では、人物を示す移動体PがそれぞれP0から移動経路Rに沿って移動した例を示している。また、一部の移動体Pについて予測した進行方向および動線Sを示している。
【0020】
本実施の形態によれば、カメラ画像G内の移動体Pの位置座標を取得することで、移動体Pの動線の追跡と、進行方向および動線の予測が可能になる。また、移動経路の予測に汎用的に適用することができる。
【0021】
なお、上記の実施の形態において、予測結果に基づいて、危険を報知する報知手段をさらに備えてもよい。予測結果を用いて、敷地内を走行する人や車両、ロボットに対して死角などから接近する別の移動体があることを事前に報知することにより、接触などによる事故発生リスクを大きく低減することができる。例えば、図4に示すように、移動体Pについて予測した進行方向および動線Sが、車両のような別の移動体P1の進行方向(動線S1)に重なる場合には、歩行者側にはスピーカ20(報知手段)から音声で、車両には無線通信装置(報知手段)からの直接通信により接触リスクを伝達する。このようにすれば、移動体の接触リスクの低減に貢献することができる。
【0022】
以上説明したように、本発明に係る移動経路予測システムによれば、所定の領域内に所在する移動体の移動経路を予測する移動経路予測システムであって、前記領域内の画像を取得する画像取得手段と、取得した前記画像内に含まれる前記移動体を検出する移動体検出手段と、前記画像内における前記移動体の位置座標を、前記領域内を表す2次元地図上の位置座標に投影変換して、前記移動体を前記2次元地図上に位置付けた平面地図を生成する地図生成手段と、時系列的に連続した前記画像である連続画像群における前記移動体の特徴量に基づいて、前記平面地図上の前記移動体を追跡し、前記移動体の進行方向を予測する進行方向予測手段とを備えるので、移動経路の予測に汎用的に適用することができる。
【0023】
また、本発明に係る他の移動経路予測システムによれば、予測結果に基づいて、危険を報知する報知手段をさらに備えるので、移動体の接触リスクの低減に貢献することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明に係る移動経路予測システムは、移動体の移動経路を予測するのに有用であり、特に、移動経路の予測に汎用的に適用するのに適している。
【符号の説明】
【0025】
10 移動経路予測システム
12 画像取得手段
14 移動体検出手段
16 地図生成手段
18 進行方向予測手段
A 現実空間(領域)
G 画像
M 平面地図
P 移動体
R 移動経路
図1
図2
図3
図4