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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020815
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ウェハ搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240207BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240207BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240207BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 621
H01L21/304 622G
H01L21/304 622L
B24B41/06 A
B24B49/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123282
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】594002288
【氏名又は名称】株式会社BBS金明
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】川原 龍之介
【テーマコード(参考)】
3C034
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C034BB83
3C034BB93
3C034CA22
3C034DD10
3C034DD20
5F057AA12
5F057DA01
5F057FA13
5F057FA32
5F057FA33
5F131AA02
5F131BA32
5F131CA18
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB62
5F131DB72
5F131DB86
5F131DD03
5F131DD29
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD76
5F131EA05
5F131EA23
5F131EA24
5F131EB01
5F131EB73
5F131KA12
5F131KA33
5F131KA34
5F131KA72
5F131KB05
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】研磨ステージに対するウェハの搬送精度を高める。
【解決手段】ウェハ搬送装置は、第1アクチュエータによって第1方向に駆動される第1スライダと、第2アクチュエータによって前記第1方向に交差する第2方向に駆動される第2スライダと、を有する。前記ウェハ搬送装置は、前記第2スライダに取り付けられ、研磨ステージに搬送されるウェハを把持する搬送ハンドを有する。前記ウェハ搬送装置は、前記第1アクチュエータを制御することにより、前記搬送ハンドを前記第1方向に目標距離で移動させ、前記ウェハを前記研磨ステージに搬送する制御システムを有する。前記ウェハ搬送装置は、前記制御システムに通信可能に接続され、前記研磨ステージに搬送された前記ウェハの外縁データを測定する測定機器を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハの外縁を研磨する研磨ステージに前記ウェハを搬送するウェハ搬送装置であって、
第1方向に延びる第1ガイドレールに取り付けられ、第1アクチュエータによって前記第1方向に駆動される第1スライダと、
前記第1スライダに設けられた第2ガイドレールに取り付けられ、第2アクチュエータによって前記第1方向に交差する第2方向に駆動される第2スライダと、
前記第2スライダに取り付けられ、前記研磨ステージに搬送される前記ウェハを把持する搬送ハンドと、
前記第1アクチュエータを制御することにより、前記搬送ハンドを前記第1方向に目標距離で移動させ、前記ウェハを前記研磨ステージに搬送する制御システムと、
前記制御システムに通信可能に接続され、前記研磨ステージに搬送された前記ウェハの外縁データを測定する測定機器と、
を有し、
前記制御システムは、前記外縁データに基づいて前記ウェハの中心位置であるウェハ中心を算出し、かつ前記研磨ステージの中心位置であるステージ中心に対する前記ウェハ中心の偏心量を算出し、
前記制御システムは、前記偏心量が閾値を上回る場合に、前記偏心量に基づき前記第2アクチュエータを制御して前記搬送ハンドを前記第2方向に移動させ、かつ前記偏心量に基づきウェハ搬送時の前記目標距離を補正する、
ウェハ搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェハ搬送装置において、
前記測定機器は、前記外縁データとして、前記ウェハの外縁上に設定される複数の測定点の位置を測定する、
ウェハ搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のウェハ搬送装置において、
前記測定機器は、前記研磨ステージが回転した状態のもとで、前記測定点の位置を測定する、
ウェハ搬送装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のウェハ搬送装置において、
前記測定機器は、ケースに収容される格納位置と、前記ケースから出て前記外縁データを測定する測定位置と、に移動可能である、
ウェハ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨ステージにウェハを搬送するウェハ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造過程においては、シリコンウェハ等のウェハに対して電子回路が形成される。この半導体材料であるウェハには、ウェハの表面を研磨する研磨加工が施されるだけでなく、ハンドリングに伴うチッピングを防止する観点から、ウェハの外縁を研磨する研磨加工が施されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-297842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ウェハの外縁を研磨する際には、搬送装置によってウェハを研磨ステージに搬送した後に、研磨ステージ上にウェハが吸着固定される。そして、回転する研磨ドラムに対して研磨ステージ上のウェハが押し当てられ、研磨ドラムによってウェハの外縁が研磨される。ここで、研磨ステージの中心とウェハの中心とにずれが生じていた場合には、ウェハの外縁に対して研磨ドラムを均一に当てることが困難になり、ウェハの研磨品質を低下させてしまう虞がある。そこで、研磨ステージの中心とウェハの中心とを互いに近づけるように、研磨ステージに対してウェハを搬送する際の精度を高めることが求められている。
【0005】
本発明の目的は、研磨ステージに対するウェハの搬送精度を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態のウェハ搬送装置は、ウェハの外縁を研磨する研磨ステージに前記ウェハを搬送するウェハ搬送装置であって、第1方向に延びる第1ガイドレールに取り付けられ、第1アクチュエータによって前記第1方向に駆動される第1スライダと、前記第1スライダに設けられた第2ガイドレールに取り付けられ、第2アクチュエータによって前記第1方向に交差する第2方向に駆動される第2スライダと、前記第2スライダに取り付けられ、前記研磨ステージに搬送される前記ウェハを把持する搬送ハンドと、前記第1アクチュエータを制御することにより、前記搬送ハンドを前記第1方向に目標距離で移動させ、前記ウェハを前記研磨ステージに搬送する制御システムと、前記制御システムに通信可能に接続され、前記研磨ステージに搬送された前記ウェハの外縁データを測定する測定機器と、を有し、前記制御システムは、前記外縁データに基づいて前記ウェハの中心位置であるウェハ中心を算出し、かつ前記研磨ステージの中心位置であるステージ中心に対する前記ウェハ中心の偏心量を算出し、前記制御システムは、前記偏心量が閾値を上回る場合に、前記偏心量に基づき前記第2アクチュエータを制御して前記搬送ハンドを前記第2方向に移動させ、かつ前記偏心量に基づきウェハ搬送時の前記目標距離を補正する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、制御システムは、偏心量が閾値を上回る場合に、偏心量に基づき第2アクチュエータを制御して搬送ハンドを第2方向に移動させ、かつ偏心量に基づきウェハ搬送時の目標距離を補正する。これにより、ウェハの搬送精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ウェハ製造ラインの一部を示した図である。
図2】第1研磨工程の搬送装置および研磨装置を示した図である。
図3】第1研磨工程の搬送装置および研磨装置の一部を示した図である。
図4】研磨装置を構成するステージユニットの内部構造を示した図である。
図5】(A)は図2の矢印5A方向から搬送ユニットを示した図であり、(B)は図2の矢印5B方向から搬送ユニットを示した図である。
図6】(A)~(C)は、ウェハの搬送状況を示した図である。
図7】(A)および(B)は、測定ユニットを示した図である。
図8】制御システムの一例を示した図である。
図9】研磨ステージおよびウェハを示した図である。
図10】搬送位置補正制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図11】搬送位置補正制御中の搬送装置および研磨装置を示した図である。
図12】(A)および(B)は、搬送位置補正制御中の研磨ステージユニットおよび測定ユニットを示した図である。
図13】レーザ変位計によって測定される外縁の変位の一例を示す図である。
図14】(A)および(B)は、ステージ中心に対するウェハ中心の位置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一または実質的に同一の構成や要素については、同一の符号を付して繰り返しの説明を省略する。
【0010】
[ウェハ製造ライン]
図1はシリコンウェハ等のウェハを加工するウェハ製造ライン10の一部を示した図である。図示するウェハ製造ライン10を用いることにより、半導体デバイスの材料であるウェハに対して研磨加工等が施されている。図1に示すように、ウェハ製造ライン10には、ウェハにノッチを形成する第1ノッチ工程Pn1および第2ノッチ工程Pn2が設けられており、ウェハの外縁を研磨する第1研磨工程Pp1および第2研磨工程Pp2が設けられている。
【0011】
第1ノッチ工程Pn1には、ウェハを固定する研磨ステージユニット11、およびウェハにノッチを研磨する研磨加工機12からなる研磨装置13が設けられている。また、第1ノッチ工程Pn1には、矢印a1で示すように、カセット14から研磨ステージユニット11にウェハを搬送する搬送装置15が設けられている。同様に、第2ノッチ工程Pn2には、ウェハを固定する研磨ステージユニット16、およびウェハにノッチを研磨する研磨加工機17からなる研磨装置18が設けられている。また、第2ノッチ工程Pn2には、矢印a2で示すように、前工程の研磨ステージユニット11から研磨ステージユニット16にウェハを搬送する搬送装置19が設けられている。
【0012】
第1研磨工程Pp1には、ウェハを固定する研磨ステージユニット20、およびウェハの外縁を研磨する研磨加工機21からなる研磨装置22が設けられている。また、第1研磨工程Pp1には、矢印a3で示すように、前工程の研磨ステージユニット16から研磨ステージユニット20にウェハを搬送する搬送装置23が設けられている。同様に、第2研磨工程Pp2には、ウェハを固定する研磨ステージユニット24、およびウェハの外縁を研磨する研磨加工機25からなる研磨装置26が設けられている。また、第2研磨工程Pp2には、矢印a4で示すように、前工程の研磨ステージユニット20から研磨ステージユニット24にウェハを搬送する搬送装置27が設けられている。
【0013】
なお、第2研磨工程Pp2の搬送装置27に設けられる搬送ハンド28は、ウェハの表裏を反転させる機能を有している。つまり、第1研磨工程Pp1では、ウェハの表面側から外縁が研磨されるのに対し、第2研磨工程Pp2では、ウェハの裏面側から外縁が研磨されている。また、第1および第2研磨工程Pp1,Pp2において、ウェハの表面側と裏面側との双方から同時に外縁を研磨しても良い。この場合には、搬送装置27の搬送ハンド28からウェハの反転機構が削減される。さらに、ウェハの外縁を研磨する工程としては、2つの研磨工程Pp1,Pp2に限られることはなく、1つの研磨工程によってウェハの外縁を研磨しても良く、3つ以上の研磨工程によってウェハの外縁を研磨しても良い。
【0014】
前述したように、図示するウェハ製造ライン10には、4つの搬送装置15,19,23,27が設けられている。これらの搬送装置15,19,23,27のうち、研磨工程Pp1,Pp2に設けられる搬送装置23,27が、本発明の一実施形態であるウェハ搬送装置である。なお、搬送装置23,27は、互いに同様の構成を有することから、以下の説明では、第1研磨工程Pp1の搬送装置23について説明し、第2研磨工程Pp2の搬送装置27についてはその説明を省略する。
【0015】
[第1研磨工程]
図2は第1研磨工程Pp1の搬送装置23および研磨装置22を示した図であり、図3は第1研磨工程Pp1の搬送装置23および研磨装置22の一部を示した図である。なお、各図面に矢印Xで示したX方向とは、後述するガイドレール72に沿う方向である。また、矢印Zで示したZ方向とは、X方向に対して直交する方向であり、矢印Yで示したY方向とは、X方向およびZ方向の双方に対して直交する方向である。
【0016】
図2および図3に示すように、第1研磨工程Pp1には、研磨ステージユニット20(以下、ステージユニット20と記載する。)および研磨加工機21からなる研磨装置22が設けられている。ステージユニット20には、ウェハWを固定する研磨ステージ30が設けられており、研磨加工機21には、ウェハWの外縁Eを研磨する研磨ドラム31が設けられている。また、第1研磨工程Pp1には、搬送ユニット33および測定ユニット35からなる搬送装置23が設けられている。搬送ユニット33には、ウェハWを把持する搬送ハンド32が設けられており、測定ユニット35には、ウェハWの外縁データを測定するレーザ変位計34が設けられている。
【0017】
[研磨装置]
図4は研磨装置22を構成するステージユニット20の内部構造を示した図である。図4に示すように、ステージユニット20は、ステージ昇降モータ39を備えたベースフレーム40と、ステージ回転モータ41を備えた昇降部42と、昇降部42に対して回転可能に取り付けられる研磨ステージ30と、を有している。また、研磨ステージ30には、従動ギア43を備えた中空軸44が連結されている。さらに、ステージ回転モータ41には減速機構45が連結されており、この減速機構45には従動ギア43に噛み合う駆動ギア46が設けられている。つまり、研磨ステージ30とステージ回転モータ41とは互いに連結されており、ステージ回転モータ41によって研磨ステージ30を回転させることができる。また、昇降部42には、中空軸44を回転可能に支持するスリーブ47を備えた支持プレート48が設けられている。この支持プレート48には連結ロッド49を介して軸受部50が設けられており、軸受部50にはZ方向に延びる中空のネジ軸51が設けられている。
【0018】
ステージユニット20のベースフレーム40には、ネジ軸51に係合するナット52が回転可能に設けられている。なお、ネジ軸51とナット52との間には図示しない鋼球が挿入されており、ネジ軸51およびナット52によってボールネジが形成されている。ベースフレーム40に対して回転可能に設けられるナット52には従動ギア53が固定されており、ステージ昇降モータ39には従動ギア53に噛み合う駆動ギア54が設けられている。ステージ昇降モータ39を回転させることにより、ベースフレーム40のナット52を回転させることができ、昇降部42のネジ軸51をZ方向に上下動させることができる。つまり、ステージ昇降モータ39を回転させることにより、昇降部42およびこれに支持される研磨ステージ30をZ方向に上下動させることができる。
【0019】
また、研磨ステージ30および中空軸44には貫通流路55が形成されており、この貫通流路55には負圧配管56が接続されている。負圧配管56には電磁バルブ57を介して負圧チャンバ58が接続されており、負圧チャンバ58には負圧ポンプ59が接続されている。電磁バルブ57は、貫通流路55と負圧チャンバ58とを互いに接続する吸着状態と、貫通流路55を大気開放ポート60に接続する解放状態と、に動作可能である。電磁バルブ57を吸着状態に制御することにより、貫通流路55と負圧チャンバ58とを接続することができ、貫通流路55内の圧力を低下させて研磨ステージ30上にウェハWを吸着させることができる。一方、電磁バルブ57を解放状態に制御することにより、貫通流路55と大気開放ポート60とを接続することができ、貫通流路55内の圧力を上昇させてウェハWの吸着を解除することができる。
【0020】
図2に示すように、研磨装置22は、円形であるウェハWの外縁Eを研磨する研磨加工機21を有している。研磨加工機21には、研磨ステージ30の上方に配置される研磨ドラム31が設けられるとともに、研磨ドラム31にベルト機構61を介して連結されるドラム回転モータ62が設けられている。研磨ステージ30に載せられたウェハWの外縁Eを研磨する際には、ドラム回転モータ62によって研磨ドラム31を回転させるとともに、研磨ステージ30を所定位置までZ方向に上昇させる。これにより、研磨ドラム31に設けられた研磨パッド31aに対して、ウェハWの外縁Eを接触させるができ、研磨ドラム31によってウェハWの外縁Eを研磨することができる。なお、研磨ドラム31によってウェハWを研磨する際には、ウェハWの外縁Eを均一に研磨するため、ステージ回転モータ41を駆動して研磨ステージ30つまりウェハWを回転させている。また、研磨ステージ30の回転中心と研磨ドラム31の回転中心とは互いに一致している。
【0021】
[搬送装置]
図5(A)は図2の矢印5A方向から搬送ユニット33を示した図であり、図5(B)は図2の矢印5B方向から搬送ユニット33を示した図である。なお、図5(A)および(B)には、搬送ユニット33の内部構造を示すため、搬送ユニット33の部分断面図が示されている。
【0022】
図2および図5に示すように、架台70にはX方向(第1方向)に延びるガイドレール(第1ガイドレール)72が設けられており、ガイドレール72には第1スライダ71が移動可能に取り付けられている。また、架台70にはX方向に延びるネジ軸73が設けられており、第1スライダ71にはネジ軸73に係合するナット74が設けられている。なお、ネジ軸73とナット74との間には図示しない鋼球が挿入されており、ネジ軸73およびナット74によってボールネジが形成されている。また、第1スライダ71には、ナット駆動用の電動モータである搬送モータ(第1アクチュエータ)75が設けられている。ナット74と搬送モータ75とは、ベルト機構76を介して互いに連結されている。搬送モータ75を駆動してナット74を回転させることにより、第1スライダ71をネジ軸73およびガイドレール72に沿って移動させることができる。つまり、搬送ユニット33には、搬送モータ75によってX方向に駆動される第1スライダ71が設けられている。
【0023】
また、第1スライダ71にはY方向(第2方向)に延びるガイドレール(第2ガイドレール)81が設けられており、ガイドレール81には第2スライダ82が移動可能に取り付けられている。さらに、図5(A)に示すように、第1スライダ71には伸縮ロッドを備えた調整アクチュエータ(第2アクチュエータ)83が設けられており、調整アクチュエータ83の伸縮ロッド83aにはブラケット84を介して第2スライダ82が連結されている。図示する調整アクチュエータ83は、図示しない電動モータによって伸縮ロッド83aを伸縮させる電動アクチュエータである。調整アクチュエータ83の伸縮ロッド83aを伸縮させることにより、第2スライダ82をガイドレール81に沿って移動させることができる。つまり、搬送ユニット33には、調整アクチュエータ83によってY方向に駆動される第2スライダ82が設けられている。
【0024】
また、第2スライダ82には、Z方向に延びる昇降ロッド85が設けられている。昇降ロッド85の上端部には、伸縮ロッド86aを備えた昇降アクチュエータ86がアダプタ87を介して連結されている。図示する昇降アクチュエータ86は、電動モータ88によって伸縮ロッド86aを伸縮させる電動アクチュエータである。さらに、昇降ロッド85の下端部には、ウェハWを把持する搬送ハンド32が連結されている。搬送ハンド32は、ウェハWを把持する第1アーム部89および第2アーム部90を有している。なお、図示しないアクチュエータを用いて、第1アーム部89をY方向に移動させることが可能であり、第2アーム部90をY方向に移動させることが可能である。このように、搬送ユニット33には、第2スライダ82に取り付けられた搬送ハンド32が設けられている。
【0025】
このような搬送ユニット33を用いることにより、ウェハWを研磨ステージ30に搬送することが可能である。ここで、図6(A)~(C)はウェハWの搬送状況を示した図である。図6(A)、図6(B)、図6(C)順に、ウェハWが研磨ステージ30に向けて搬送される状況が示されている。
【0026】
図6(A)に示すように、図示しない研磨ステージユニット16上のウェハWが搬送ハンド32によって保持されると、搬送モータ75および昇降アクチュエータ86が制御され、矢印b1で示すように、搬送ハンド32が研磨ステージ30に向けて移動する。つまり、図1に矢印D1で示すように、搬送モータ75を所定の目標回転角度で制御することにより、搬送ハンド32をX方向に所定の目標移動距離(目標距離)D1で移動させる。
【0027】
続いて、図6(B)に矢印b2で示すように、ウェハWが研磨ステージ30まで搬送されると、矢印b3で示すように、第1アーム部89および第2アーム部90が移動し、搬送ハンド32からウェハWが離される。なお、図6(B)においては、研磨ステージ30の貫通流路55に負圧が供給されることから、ウェハWが研磨ステージ30上に吸着固定された状態となる。そして、研磨ステージ30上のウェハWから第1アーム部89および第2アーム部90が離れると、図6(C)に矢印b4で示すように、搬送モータ75および昇降アクチュエータ86が制御され、搬送ハンド32が所定の待機位置に向けて移動する。
【0028】
前述したように、搬送装置23には、ウェハWの外縁データを測定する測定ユニット35が設けられている。ここで、図7(A)および(B)は測定ユニット35を示した図である。なお、図7(A)および(B)には、測定ユニット35の内部構造を示すため、測定ユニット35の部分断面図が示されている。
【0029】
図7(A)に示すように、測定ユニット35は、収容ケース(ケース)93およびエアシリンダ94が取り付けられたベースプレート95と、エアシリンダ94の伸縮ロッド94aに連結された昇降テーブル96と、を有している。昇降テーブル96には、レーザ変位計(測定機器)34が設置される設置台97と、レーザ変位計34を覆う防水カバー98と、が設けられている。また、昇降テーブル96に連結されたエアシリンダ94を駆動するため、エアシリンダ94には2つの給排配管99,100が接続されている。これらの給排配管99,100には電磁バルブ101を介してエアチャンバ102が接続されており、エアチャンバ102にはエアポンプ103が接続されている。
【0030】
電磁バルブ101は、昇降テーブル96を下降させる下降状態と、昇降テーブル96を上昇させる上昇状態と、に動作可能である。電磁バルブ101を下降状態に制御することにより、給排配管99とエアチャンバ102とが互いに接続され、給排配管100と排気ポート104とが互いに接続される。これにより、図7(A)に示すように、エアシリンダ94の伸縮ロッド94aを縮めることができ、収容ケース93にレーザ変位計34が収容されるように、昇降テーブル96を下げることができる。一方、電磁バルブ101を上昇状態に制御することにより、給排配管99と排気ポート105とが互いに接続され、給排配管100とエアチャンバ102とが互いに接続される。これにより、図7(B)に示すように、エアシリンダ94の伸縮ロッド94aを伸ばすことができるため、収容ケース93からレーザ変位計34が出るように、昇降テーブル96を上げることができる。
【0031】
このように、測定ユニット35に設けられたレーザ変位計34は、収容ケース93に収容される格納位置と、収容ケース93から出される測定位置と、に移動可能である。図7(B)に示すように、レーザ変位計34を測定位置に移動させることにより、レーザ変位計34は研磨ステージ30上のウェハWの径方向外方に配置される。これにより、レーザ変位計34からウェハWの外縁Eに向けてレーザ光を照射することができ、レーザ変位計34によってウェハWの外縁Eの位置を測定することが可能である。また、レーザ変位計34は、後述する制御システム120を構成する制御ユニット116に対して通信可能に接続されている。
【0032】
[制御システム]
図1に示すように、ウェハ製造ライン10には、研磨装置13,18,22,26および搬送装置15,19,23,27等を制御するため、複数の制御ユニット110~118が設けられている。ウェハ製造ライン10の制御ユニットとして、各研磨装置13,18,22,26を制御する制御ユニット110~113があり、各搬送装置15,19,23,27を制御する制御ユニット114~117がある。また、ウェハ製造ライン10の制御ユニットとして、これらの制御ユニットを統合制御するメイン制御ユニット118が設けられている。なお、各制御ユニット110~118は、有線や無線の通信ネットワーク119を介して互いに通信可能に接続されている。また、ウェハ製造ライン10に設けられる各制御ユニット110~118は、プロセッサおよびメインメモリ等が組み込まれたマイクロコントローラを有している。メインメモリには所定のプログラムが格納されており、プロセッサによってプログラムの命令セットが実行される。さらに、制御ユニット110~118には、入力回路、駆動回路および外部メモリ等が設けられている。
【0033】
また、本発明の一実施形態であるウェハ搬送装置23を制御するため、2つの制御ユニット112,116によって制御システム120が構成されている。ここで、図8は制御システム120の一例を示した図である。図8に示すように、制御システム120は、研磨装置22を制御する制御ユニット112、および搬送装置23を制御する制御ユニット116によって構成されている。制御ユニット112は、ステージ回転モータ41、ステージ昇降モータ39、電磁バルブ57およびドラム回転モータ62等を制御可能である。また、制御ユニット116は、搬送モータ75、調整アクチュエータ83、昇降アクチュエータ86、第1アーム部89、第2アーム部90、レーザ変位計34および電磁バルブ等を制御可能である。
【0034】
[搬送位置補正制御]
図9は研磨ステージ30およびウェハWを示した図である。前述したように、第1研磨工程Pp1においては、研磨ステージ30上にウェハWが搬送されるとともに、研磨ドラム31によってウェハWの外縁Eが研磨される。ここで、図9の拡大部分に示すように、ウェハWの中心位置であるウェハ中心Cwが、研磨ステージ30の中心位置であるステージ中心Csから外れていた場合には、ウェハWの外縁Eを均一に研磨することが困難である。そこで、制御システム120は、ウェハ中心Cwがステージ中心Csから外れていた場合に、搬送ユニット33によるウェハWの搬送位置を補正する搬送位置補正制御を実行する。
【0035】
図10は搬送位置補正制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。図11は搬送位置補正制御中の搬送装置23および研磨装置22を示した図であり、図12(A)および(B)は搬送位置補正制御中のステージユニット20および測定ユニット35を示した図である。なお、図12(A)には、ステージユニット20の平面図とともに、防水カバー98が取り外された測定ユニット35の平面図が示されている。また、図12(B)には、ステージユニット20の側面図とともに、防水カバー98が取り付けられた測定ユニット35の側面図が示されている。
【0036】
図10に示すように、ステップS10では、搬送ユニット33によって研磨ステージ30にウェハWが搬送されたか否かが判定される。ステップS10において、研磨ステージ30にウェハWが搬送されたと判定されると、ステップS11に進み、搬送回数C1のカウント処理が実行され、ステップS12進み、搬送回数C1が所定回数X1を上回るか否かが判定される。ステップS12において、搬送回数C1が所定回数X1を上回ると判定された場合には、ステップS13に進み、搬送回数C1のリセット処理が実行され、ステップS14に進み、レーザ変位計34を測定位置に移動させる。つまり、図11および図12に示すように、測定ユニット35の昇降テーブル96を上昇させることにより、レーザ変位計34は収容ケース93から出てウェハWの径方向外方に位置する測定位置に移動する。なお、図12に示された矢印r1は、ウェハWの径方向を示している。
【0037】
このように、レーザ変位計34を測定位置に移動させると、ステップS15に進み、研磨ステージ30を360°回転させながら、レーザ変位計34によってウェハWの外縁Eの位置(外縁データ)が測定される。つまり、図12(A)に示すように、ステージ回転モータ41を用いて、研磨ステージ30つまりウェハWを矢印r2方向に回転させる。また、図12(A)に一点鎖線Lで示すように、レーザ変位計34から外縁Eに向けてレーザ光を照射させ、外縁Eから反射したレーザ光がレーザ変位計34に取り込まれる。これにより、図12(A)の拡大部分に示すように、ウェハ外縁E上に設定される複数の測定点Pmの位置が、レーザ変位計34によって測定される。
【0038】
ここで、図13はレーザ変位計34によって測定される外縁Eの変位の一例を示す図である。ウェハ中心Cwがステージ中心Csから外れていると、図13に示すように、レーザ変位計34は、研磨ステージ30の回転角度に応じて変化する外縁Eの位置つまり変位を検出する。なお、レーザ変位計34は、所定の回転角度毎に外縁Eの位置を測定しても良く、外縁Eの位置を連続的に測定しても良い。つまり、ウェハ外縁E上に設定される測定点Pmは、周方向に所定間隔で設定されていても良く、周方向に連続的に設定されていても良い。図10に示すように、ステップS15において、レーザ変位計34によってウェハ外縁Eの位置が測定されると、ステップS16に進み、測定ユニット35の昇降テーブル96を下降させることにより、レーザ変位計34を収容ケース93内の格納位置に移動させる。
【0039】
次いで、ステップS17では、レーザ変位計34によって測定されたウェハ外縁Eの位置に基づいて、研磨ステージ30の中心座標を原点とした場合におけるウェハWの中心座標(Xa,Ya)を算出する。つまり、ウェハ外縁Eの位置データからウェハWの輪郭データが生成され、ウェハWの輪郭データからウェハWの中心座標(Xa,Ya)が算出される。また、ステップS17では、図9に示すように、ステージ中心Csとウェハ中心Cwとの距離α、つまりステージ中心Csに対するウェハ中心Cwの偏心量αを算出する。なお、換言すれば、ステージ中心Csに対するウェハ中心Cwの偏心量αとは、ステージ中心Csを通過する中心軸とウェハ中心Cwを通過する中心軸とのXY平面における距離である。また、XY平面とは、Z方向に対して直交する平面である。
【0040】
続くステップS18では、偏心量αが所定の閾値X2を上回るか否かが判定される。ステップS18において、偏心量αが閾値X2を上回ると判定された場合には、ステップS19に進み、ウェハ中心Cwがステージ中心Csに近づくように、搬送ユニット33の調整アクチュエータ83が制御される。つまり、ウェハ中心CwのY座標が「0」になるように、調整アクチュエータ83によって第2スライダ82をY方向に所定距離で移動させる。続く、ステップS20では、ウェハ中心Cwがステージ中心Csに一致するように、ウェハ搬送時に用いられる第1スライダ71の目標移動距離D1を補正する。つまり、ウェハ中心CwのX座標が「0」になるように、搬送モータ75による第1スライダ71の目標移動距離D1が補正される。
【0041】
なお、ステップS10において、研磨ステージ30にウェハWが搬送されていないと判定された場合、またはステップS12において、搬送回数C1が所定回数X1以下であると判定された場合には、調整アクチュエータ83の制御や目標移動距離D1の補正を行うことなくルーチンを抜ける。また、ステップS18において、偏心量αが閾値X2以下であると判定された場合には、調整アクチュエータ83の制御や目標移動距離D1の補正を行うことなくルーチンを抜ける。
【0042】
ここで、図14(A)および(B)は、ステージ中心Csに対するウェハ中心Cwの位置を示した図である。図14(A)には、搬送位置を補正する前の状況が示されており、図14(B)には、搬送位置を補正した後の状況が示されている。図14(A)に示すように、ステージ中心Csに対するウェハ中心Cwの偏心量αが閾値X2を上回る場合には、ステージ中心Csに対するウェハ中心Cwの座標(Xa,Ya)が算出される。そして、ウェハ中心CwのY座標が「0」になるように、調整アクチュエータ83によって第2スライダ82をY方向に所定距離で移動させる。また、ウェハ中心CwのX座標が「0」になるように、搬送モータ75による第1スライダ71の目標移動距離D1が補正される。
【0043】
これにより、図14(B)に示すように、次回搬送時においてはステージ中心Csに対してウェハ中心Cwを一致させるように、搬送ユニット33を用いてウェハWを搬送することができる。すなわち、研磨ステージ30に対するウェハWの搬送精度を高めることができ、研磨ステージ30とウェハWとの中心を互いに一致させることができるため、ウェハWの外縁Eの研磨精度を高めることができる。しかも、ウェハ製造ライン10において、定期的にステージ中心Csに対するウェハ中心Cwの偏心量αを判定することから、ウェハWの位置ズレによる研磨不良を大幅に削減することができる。
【0044】
また、レーザ変位計34によってウェハWの外縁データを測定することにより、ウェハWに接触することなく外縁データを測定することができる。これにより、ウェハWの品質を損なうことなく外縁データを取得することができる。さらに、測定機器であるレーザ変位計34は、収容ケース93に収容される格納位置と、収容ケース93から出される測定位置と、に移動可能である。これにより、研磨ドラム31によってウェハWを研磨する際には、レーザ変位計34を格納位置に移動させることできるため、研磨加工時に飛散する研磨液からレーザ変位計34を適切に保護することができる。
【0045】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前述の説明では、2つの制御ユニット112,116によって制御システム120を構成しているが、これに限られることはなく、1つの制御ユニットによって制御システム120を構成しても良く、3つ以上の制御ユニットによって制御システム120を構成しても良い。また、図示する例では、第1スライダ71が移動するX方向と第2スライダ82が移動するY方向とが互いに直交しているが、これに限られることはなく、X方向とY方向とは互いに交差していれば良い。例えば、X方向とY方向とのなす角度が90°を下回っていても良く、X方向とY方向とのなす角度が90°を上回っていても良い。また、第1スライダ71を駆動する搬送モータ75としてサーボモータを用いることができ、第2スライダ82を駆動する調整アクチュエータ83に組み込まれる電動モータとしてサーボモータを用いることができる。
【0046】
前述の説明では、測定機器としてレーザ光を用いたレーザ変位計34を用いているが、これに限られることはなく、非接触でウェハWの外縁データを取得可能であれば如何なる機器であっても良い。例えば、測定機器として、超音波式変位計を用いても良く、静電容量式変位計を用いても良く、渦電流式変位計を用いても良い。また、例えば、測定機器としてウェハ外縁Eの輪郭を撮像する撮像カメラを用いても良い。測定機器として撮像カメラを用いた場合であっても、ウェハWの外縁データとしてウェハWの輪郭データを検出することができ、ウェハWの輪郭データからウェハ中心Cwを算出することが可能である。また、前述の説明では、ウェハWにノッチが形成されているが、これに限られることはなく、ウェハWにオリエンテーションフラットが形成されていても良い。
【符号の説明】
【0047】
23 搬送装置(ウェハ搬送装置)
27 搬送装置(ウェハ搬送装置)
28 搬送ハンド
30 研磨ステージ
32 搬送ハンド
34 レーザ変位計(測定機器)
71 第1スライダ
72 ガイドレール(第1ガイドレール)
75 搬送モータ(第1アクチュエータ)
81 ガイドレール(第2ガイドレール)
82 第2スライダ
83 調整アクチュエータ(第2アクチュエータ)
93 収容ケース(ケース)
120 制御システム
W ウェハ
E 外縁
X X方向(第1方向)
Y Y方向(第2方向)
D1 目標移動距離(目標距離)
Cw ウェハ中心
Cs ステージ中心
α 偏心量
X2 閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14