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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020820
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20240207BHJP
【FI】
H02K1/276
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123287
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 拓也
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA04
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622CA14
5H622CB03
5H622CB05
(57)【要約】
【課題】電磁加振力の低減効果を維持しつつ、磁極中心から離れた磁石端部での減磁を抑制できる埋込磁石形回転子を提供する。
【解決手段】埋込磁石形回転子の各々の磁極は、磁石が配置された鉄心を備えるとともに、磁極中心を隔てて磁石の端部に第1のフラックスバリアおよび第2のフラックスバリアをそれぞれ有する。第1のフラックスバリアは、第1基部と連通して第1基部から磁極中心に向けて周方向に延びる第1延伸部と、を含む。第2のフラックスバリアは、第2基部から鉄心を隔てて配置され、第2基部側から磁極中心に向けて周方向に延びる第2延伸部と、を含む。第2基部と第2延伸部の間には、回転子の外周と内周を鉄心で径方向につなぐ磁束バイパス部が形成される。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心の周方向に磁極を複数形成した埋込磁石形回転子であって、
各々の磁極は、磁石が配置された鉄心を備えるとともに、磁極中心を隔てて前記磁石の端部に第1のフラックスバリアおよび第2のフラックスバリアをそれぞれ有し、
前記第1のフラックスバリアは、前記磁石の第1の端部から径方向外側に形成される第1基部と、前記第1基部と連通して前記第1基部から磁極中心に向けて周方向に延びる第1延伸部と、を含み、
前記第2のフラックスバリアは、前記磁石の第2の端部から径方向外側に形成される第2基部と、前記第2基部から鉄心を隔てて配置され、前記第2基部側から磁極中心に向けて周方向に延びる第2延伸部と、を含み、
前記第2基部と前記第2延伸部の間には、回転子の外周と内周を鉄心で径方向につなぐ磁束バイパス部が形成される
埋込磁石形回転子。
【請求項2】
前記磁束バイパス部の幅は、前記鉄心の外周から前記第2のフラックスバリアまでの径方向幅よりも小さい
請求項1に記載の埋込磁石形回転子。
【請求項3】
固定子と、
請求項1または請求項2に記載の埋込磁石形回転子と
を備える回転電機。
【請求項4】
前記回転電機はモータであり、
各々の磁極では、正転側に前記第2のフラックスバリアおよび前記磁束バイパス部が配置され、反転側に前記第1のフラックスバリアが配置される
請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記回転電機は発電機であり、
各々の磁極では、正転側に前記第1のフラックスバリアが配置され、反転側に前記第2のフラックスバリアおよび前記磁束バイパス部が配置される
請求項3に記載の回転電機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋込磁石形回転子および回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
EV,HEV,PHEV等の電動車両では、さらなる低振動化、低騒音化が要望されている。かかる低振動化や低騒音化のためには、回転電機におけるトルクリプル等の電磁加振力の低減が重要になる。
【0003】
例えば、特許文献1では、回転電機のトルクリプル低減のため、磁石端部から磁極の中心に向けて内向きに延びる形状のフラックスバリアを有する回転子が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5696820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のフラックスバリアを有する回転子では、固定子のコイルに電流を流したときに周方向の端部側で磁束が流れにくくなる。そのため、特許文献1の回転子では、磁石を通って鉄心に流れる磁束が増えやすくなり、特に磁極中心から離れた磁石端部で減磁が発生しやすくなる。
【0006】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、電磁加振力の低減効果を維持しつつ、磁極中心から離れた磁石端部での減磁を抑制できる埋込磁石形回転子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、鉄心の周方向に磁極を複数形成した埋込磁石形回転子である。各々の磁極は、磁石が配置された鉄心を備えるとともに、磁極中心を隔てて磁石の端部に第1のフラックスバリアおよび第2のフラックスバリアをそれぞれ有する。第1のフラックスバリアは、磁石の第1の端部から径方向外側に形成される第1基部と、第1基部と連通して第1基部から磁極中心に向けて周方向に延びる第1延伸部と、を含む。第2のフラックスバリアは、磁石の第2の端部から径方向外側に形成される第2基部と、第2基部から鉄心を隔てて配置され、第2基部側から磁極中心に向けて周方向に延びる第2延伸部と、を含む。第2基部と第2延伸部の間には、回転子の外周と内周を鉄心で径方向につなぐ磁束バイパス部が形成される。
上記の磁束バイパス部の幅は、鉄心の外周から第2のフラックスバリアまでの径方向幅よりも小さくてもよい。
【0008】
本発明の他の態様の回転電機は、固定子と、上記の埋込磁石形回転子とを備える。
上記の回転電機はモータであってもよく、各々の磁極では、正転側に第2のフラックスバリアおよび磁束バイパス部が配置され、反転側に第1のフラックスバリアが配置されてもよい。
上記の回転電機は発電機であってもよく、各々の磁極では、正転側に第1のフラックスバリアが配置され、反転側に第2のフラックスバリアおよび磁束バイパス部が配置されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、電磁加振力の低減効果を維持しつつ、磁極中心から離れた磁石端部での減磁を抑制できる埋込磁石形回転子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の回転電機の横断面図である。
図2】本実施形態における1磁極分のロータを示す図である。
図3】比較例のロータと本実施形態のロータでの磁束の流れを示す概要図である。
図4】WbおよびWaの比とトルクリプルの関係のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
【0012】
図1は、本実施形態の回転電機における回転軸Axに直交する方向の横断面を示す断面図である。なお、以下の説明では、回転軸Axの延長方向と平行な方向を軸方向と称し、回転軸Axを中心とする周方向を単に周方向と称し、回転軸Axを中心とする径方向を単に径方向と称する。
【0013】
図1に示す回転電機1は、インナーロータ型モータであり、埋込磁石形回転子の一例であるロータ2と、ロータ2の外周に配置される円筒形状のステータ3とを有する。図1において、回転電機1の回転軸Axの延長方向(軸方向)は紙面垂直方向である。なお、図1での回転電機1は、右回り方向を正転方向とする。
【0014】
ロータ2の外周には、エアギャップを隔ててステータ3が配置される。回転電機1においては、コイル3bの電流制御によりステータ3の磁界を順番に切り替えることで、ロータ2の磁界との吸引力または反発力により、回転軸Axを中心としてロータ2が回転する。
【0015】
ステータ3は、回転軸Axを中心とする中央の空間部分にロータ2を収容する。ステータ3の内周側には、それぞれ回転軸Axに向けて径方向内側に突出するティース3aが周方向に等間隔をおいて複数並んで設けられている。隣り合うティース3aの間には、それぞれスロットが形成される。ステータ3のスロットには、ロータ2の外周に沿ってコイル3bが装着される。
【0016】
ロータ2は、鉄心4と、シャフト5と、永久磁石6を有する。
ロータ2の鉄心4は、例えば、打ち抜き加工された珪素鋼板を軸方向に積層して形成される円筒状の部材である。鉄心4を構成する個々の珪素鋼板の間には絶縁性接着剤が介在しており、個々の珪素鋼板は互いに絶縁状態にある。そして、鉄心4の軸心部には、回転軸Axに沿ってシャフト5が嵌入されている。回転電機1において、シャフト5は軸受(不図示)により回転自在に支持されている。
【0017】
本実施形態のロータ2は8極ロータであり、ロータ2の鉄心4には、周方向に沿って等間隔に8つの磁極が構成されるように所定の配列で永久磁石6が配置される。また、ロータ2において周方向に隣り合う磁極は、それぞれ逆の極性となるように永久磁石6が配置される。
【0018】
図1の例では、鉄心4の外周に近づくにつれて互いの間隔が広がるテーパー状のパターンで、1磁極につき一対の永久磁石6が配置されている。各々の永久磁石6は、軸方向と交差する断面形状が矩形状であり、回転軸Axと直交する平面において長辺と直交する方向に磁化されている。そして、同一磁極における各々の永久磁石6は、外周側に臨む磁極面がいずれも同一の磁気極性(S極またはN極)に揃えられている。
【0019】
図2は、本実施形態における1磁極分のロータ2を示す図である。ロータ2の1磁極では、図1のロータ2の軸心(回転軸Ax)と、マグネットトルクを生成する磁極中心を結ぶ軸がd-q軸座標のd軸となる。また、上記のd軸と電気角で直交する軸がd-q軸座標のq軸となる。ロータ2のうち、互いに隣り合う一対のq軸の間の部分は、リアクタンストルクを生成する補助磁極部となる。
【0020】
ロータ2の鉄心4には、磁石を嵌入するための2つの磁石孔7が鉄心4を軸方向に貫通して形成されている。磁石孔7は、鉄心4の外周に近づくにつれて互いの間隔が広がるテーパー状のパターンで、磁極中心から線対称をなすように形成されている。
【0021】
鉄心4の永久磁石6よりも外周側には、第1のフラックスバリア8および第2のフラックスバリア9がそれぞれ形成されている。第1のフラックスバリア8および第2のフラックスバリア9は、d軸に対して略線対称であり、いずれも鉄心4を軸方向に貫通するように形成されている。また、回転電機1がモータの場合、第1のフラックスバリア8は、d軸よりも反転側(図中左側)に配置され、第2のフラックスバリア9は、d軸よりも正転側(図中右側)に配置されている。
【0022】
第1のフラックスバリア8は、第1基部8aおよび第1延伸部8bを有している。第1のフラックスバリア8の第1基部8aは、反転側の磁石孔7と連通し、永久磁石6の端部から径方向外側に延びている。また、第1のフラックスバリア8の第1延伸部8bは、第1基部8aと連通して第1基部8aからd軸側に向けて周方向内向きに延びている。
【0023】
第2のフラックスバリア9は、第2基部9aおよび第2延伸部9bを有している。第2のフラックスバリア9の第2基部9aは、正転側の磁石孔7と連通し、永久磁石6の端部から径方向外側に延びている。また、第2のフラックスバリア9の第2延伸部9bは、周方向において第1延伸部8bと第2基部9aの間に形成され、第2基部9aとは鉄心(後述の磁束バイパス部10)を隔てている。
【0024】
第2延伸部9bは、第2基部9a側からd軸側に向けて周方向内向きに延びており、第2延伸部9bの先端はd軸を隔てて第1延伸部8bの先端と対向している。ここで、第1延伸部8bおよび第2延伸部9bは、それぞれロータ2の外周から径方向にwaの幅を空けて形成されている。
【0025】
また、第2基部9aと第2延伸部9bの間には、ロータ2の外周と内周を鉄心4で径方向につなぐ磁束バイパス部10が形成されている。磁束バイパス部10の幅Wb(第2基部9aから第2延伸部9bまでの間隔)は、好ましくは、ロータ2の外周から第2のフラックスバリア9までの鉄心4の径方向幅Waよりも小さく形成されている(Wa>Wb)。
【0026】
第1のフラックスバリア8および第2のフラックスバリア9はいずれも孔(空間)であり、鉄心4に比べて透磁率が極めて小さく磁束が通り難くなるので、磁気的な遮断部として機能する。なお、第1のフラックスバリア8および第2のフラックスバリア9を形成する孔(空間)内に、非磁性で透磁率の低い金属(例えば、アルミニウムや真鍮など)や、接着剤、ワニス、樹脂等を充填した場合も、それぞれ磁気的な遮断部として機能する。
【0027】
また、ロータ2のd軸とq軸の間に第1のフラックスバリア8および第2のフラックスバリア9が形成されることで、磁束密度の波形に含まれる高調波成分が抑制される。これにより、永久磁石6によってロータ2の外周面に発生する磁束密度の分布が変化し、特に磁極の周方向の両端部分での磁束密度分布が正弦波に近づく。その結果として、ロータ2においてトルクリプルなどの電磁加振力が効果的に低減される。
【0028】
また、本実施形態では、第2のフラックスバリア9側に磁束バイパス部10が形成されることで、永久磁石6での減磁が抑制される。以下、磁束バイパス部10での減磁抑制作用について説明する。
【0029】
図3(a)は、比較例のロータ2’での磁束の流れを示す概要図であり、図3(b)は、本実施形態のロータ2での磁束の流れを示す概要図である。なお、図3(a)に示す比較例は、第2のフラックスバリア9’に磁束バイパス部10が形成されず、第2基部9aと第2延伸部9bが連通している点で本実施形態と相違する。なお、図3(a)、(b)にて磁束の流れを矢印で示す。
【0030】
図3(a)に示す比較例のロータ2’の場合、モータの正転時にロータ2’に生じる磁束はステータ側から内周側の永久磁石6に向かう。その後、磁束の一部は第2延伸部9bよりも外周側の鉄心を通過して隣の磁極に向かうが、第2延伸部9bよりも内周側を通過する磁束は、第2延伸部9bを通過しにくいことから永久磁石6を通って鉄心に流れやすい。これにより、比較例では永久磁石6での減磁が生じやすくなる。
【0031】
一方、図3(b)に示す本実施形態のロータ2の場合、第2延伸部9bよりも内周側を通過する磁束の一部は、磁束バイパス部10の鉄心を通過して第2基部9aの外周側から隣の磁極に向かう。これにより、本実施形態では、第2延伸部9bよりも内周側を通過する磁束の一部が永久磁石6の端部近傍でロータの外周側にバイパスされ、永久磁石6を通って鉄心に流れる磁束が比較例よりも減少するので、永久磁石6での減磁が抑制される。
【0032】
なお、本実施形態の構成では、永久磁石6の減磁を抑制するために、保磁力の高い永久磁石6の採用や永久磁石6の厚さを厚くする等の対策が不要となるので、永久磁石6のコストを抑制することもできる。
【0033】
また、本実施形態では、磁束バイパス部10の幅Wbをロータ2の外周から第2のフラックスバリア9までの径方向幅Waよりも小さくすることで、トルクリプルを効果的に抑制することが可能となる。
【0034】
図4は、WbおよびWaの比とトルクリプルの関係のシミュレーション結果を示すグラフである。図4の横軸はWb/Waであり、Wb=Waのときに1となる。図4の縦軸は、Wb=Waのときのトルクリプルを1として正規化したトルクリプルの大きさを示している。
【0035】
図4に示すように、WbがWaより大きい領域(Wb>Wa)では、Wb=Waのときと比べてトルクリプルが増加し、フラックスバリアによるトルクリプルの抑制効果が低減してしまう。一方、WbがWaより小さい領域(Wb<Wa)では、Wb=Waのときと比べてトルクリプルが低減する傾向を示す。したがって、磁束バイパス部10の幅WbをWaより小さくすることで、フラックスバリアによってトルクリプルがより効果的に抑制できる。
【0036】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
【0037】
上記実施形態では、回転電機1がモータである場合について説明したが、本発明の埋込磁石形回転子は発電機に適用されてもよい。なお、本発明の埋込磁石形回転子を発電機に適用する場合には正転方向と反転方向の構成が逆となり、第1のフラックスバリアが正転側に配置され、磁束バイパス部を有する第2のフラックスバリアが反転側に配置されることとなる。
【0038】
また、上記実施形態では、一対の永久磁石6がテーパー状のパターンで配置される構成例を説明したが永久磁石6の配置は上記に限定されない。例えば、1つの磁極につき、d軸と直交方向に延在する1つの永久磁石が配置される構成であってもよい。
【0039】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
1…回転電機、2…ロータ、3…ステータ、3a…ティース、3b…コイル、4…鉄心、5…シャフト、6…永久磁石、7…磁石孔、8…第1のフラックスバリア、8a…第1基部、8b…第1延伸部、9…第2のフラックスバリア、9a…第2基部、9b…第2延伸部、10…磁束バイパス部

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と、
鉄心の周方向に磁極を複数形成した埋込磁石形回転子と、を備える回転電機であって、
前記回転電機はモータであり、
前記埋込磁石形回転子の各々の磁極は、磁石が配置された鉄心を備えるとともに、磁極中心を隔てて前記磁石の端部に第1のフラックスバリアおよび第2のフラックスバリアをそれぞれ有し、
前記第1のフラックスバリアは、前記磁石の第1の端部から径方向外側に形成される第1基部と、前記第1基部と連通して前記第1基部から磁極中心に向けて周方向に延びる第1延伸部と、を含み、
前記第2のフラックスバリアは、前記磁石の第2の端部から径方向外側に形成される第2基部と、前記第2基部から鉄心を隔てて配置され、前記第2基部側から磁極中心に向けて周方向に延びる第2延伸部と、を含み、
前記第2基部と前記第2延伸部の間には、回転子の外周と内周を鉄心で径方向につなぐ磁束バイパス部が形成され
前記磁極では、正転側に前記第2のフラックスバリアおよび前記磁束バイパス部が配置され、反転側に前記第1のフラックスバリアが配置され、
前記第2のフラックスバリアは、前記磁束バイパス部の形成により、前記第1のフラックスバリアと比べて軸方向と直交する平面での開口面積が小さい
回転電機。
【請求項2】
固定子と、
鉄心の周方向に磁極を複数形成した埋込磁石形回転子と、を備える回転電機であって、
前記回転電機は発電機であり、
前記埋込磁石形回転子の各々の磁極は、磁石が配置された鉄心を備えるとともに、磁極中心を隔てて前記磁石の端部に第1のフラックスバリアおよび第2のフラックスバリアをそれぞれ有し、
前記第1のフラックスバリアは、前記磁石の第1の端部から径方向外側に形成される第1基部と、前記第1基部と連通して前記第1基部から磁極中心に向けて周方向に延びる第1延伸部と、を含み、
前記第2のフラックスバリアは、前記磁石の第2の端部から径方向外側に形成される第2基部と、前記第2基部から鉄心を隔てて配置され、前記第2基部側から磁極中心に向けて周方向に延びる第2延伸部と、を含み、
前記第2基部と前記第2延伸部の間には、回転子の外周と内周を鉄心で径方向につなぐ磁束バイパス部が形成され
前記磁極では、正転側に前記第1のフラックスバリアが配置され、反転側に前記第2のフラックスバリアおよび前記磁束バイパス部が配置され、
前記第2のフラックスバリアは、前記磁束バイパス部の形成により、前記第1のフラックスバリアと比べて軸方向と直交する平面での開口面積が小さい
回転電機。
【請求項3】
前記磁束バイパス部の幅は、前記鉄心の外周から前記第2のフラックスバリアまでの径方向幅よりも小さい
請求項1または請求項2に記載の回転電機
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、電磁加振力の低減効果を維持しつつ、磁極中心から離れた磁石端部での減磁を抑制できる回転電機を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一態様の回転電機はモータであり、固定子と、鉄心の周方向に磁極を複数形成した埋込磁石形回転子と、を備える。埋込磁石形回転子の各々の磁極は、磁石が配置された鉄心を備えるとともに、磁極中心を隔てて磁石の端部に第1のフラックスバリアおよび第2のフラックスバリアをそれぞれ有する。第1のフラックスバリアは、磁石の第1の端部から径方向外側に形成される第1基部と、第1基部と連通して第1基部から磁極中心に向けて周方向に延びる第1延伸部と、を含む。第2のフラックスバリアは、磁石の第2の端部から径方向外側に形成される第2基部と、第2基部から鉄心を隔てて配置され、第2基部側から磁極中心に向けて周方向に延びる第2延伸部と、を含む。第2基部と第2延伸部の間には、回転子の外周と内周を鉄心で径方向につなぐ磁束バイパス部が形成される。磁極では、正転側に第2のフラックスバリアおよび磁束バイパス部が配置され、反転側に第1のフラックスバリアが配置される。また、第2のフラックスバリアは、磁束バイパス部の形成により、第1のフラックスバリアと比べて軸方向と直交する平面での開口面積が小さい。
また、本発明の他の態様の回転電機は発電機であり、固定子と、鉄心の周方向に磁極を複数形成した埋込磁石形回転子と、を備える。埋込磁石形回転子の各々の磁極は、磁石が配置された鉄心を備えるとともに、磁極中心を隔てて磁石の端部に第1のフラックスバリアおよび第2のフラックスバリアをそれぞれ有する。第1のフラックスバリアは、磁石の第1の端部から径方向外側に形成される第1基部と、第1基部と連通して第1基部から磁極中心に向けて周方向に延びる第1延伸部と、を含む。第2のフラックスバリアは、磁石の第2の端部から径方向外側に形成される第2基部と、第2基部から鉄心を隔てて配置され、第2基部側から磁極中心に向けて周方向に延びる第2延伸部と、を含む。第2基部と第2延伸部の間には、回転子の外周と内周を鉄心で径方向につなぐ磁束バイパス部が形成される。磁極では、正転側に第1のフラックスバリアが配置され、反転側に第2のフラックスバリアおよび磁束バイパス部が配置される。また、第2のフラックスバリアは、磁束バイパス部の形成により、第1のフラックスバリアと比べて軸方向と直交する平面での開口面積が小さい。
上記の一態様または他の態様において、磁束バイパス部の幅は、鉄心の外周から第2のフラックスバリアまでの径方向幅よりも小さくてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一態様または他の態様によれば、電磁加振力の低減効果を維持しつつ、磁極中心から離れた磁石端部での減磁を抑制できる回転電機を提供できる。