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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020827
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/32 20060101AFI20240207BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20240207BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
G10H1/32 Z
G10H1/00 Z
A63H33/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123306
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 真佐輝
(72)【発明者】
【氏名】市村 優太郎
【テーマコード(参考)】
2C150
5D478
【Fターム(参考)】
2C150BA01
5D478LL00
(57)【要約】
【課題】複数の機能ユニットを板状部材に容易に着脱可能な電子機器を提供する。
【解決手段】鍵盤楽器10は、鍵盤部材20と、鍵盤部材20と重ならない位置に係合領域A1を有する板状部材30と、を有する楽器本体50を備え、係合領域A1には、係合領域A1に係合されることができる被係合領域A2を有する機能ユニット60A~60Cであって、楽器本体50と電気的に接続可能な機能ユニット60A~60Cにおける被係合領域A2に対向する位置に係合するための貫通孔34が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置と、前記入力装置と重ならない位置に係合領域を有する板状部材と、を有する電子機器本体を備え、
前記係合領域には、前記係合領域に係合されることができる被係合領域を有する機能装置であって、前記電子機器本体と電気的に接続可能な前記機能装置における前記被係合領域に対向する位置に係合するための孔が設けられている、
電子機器。
【請求項2】
前記孔は、前記係合領域に前記機能装置を係合させるために、前記機能装置と固定部材との間に設けられた固定軸が挿入されることができ、
前記機能装置の前記被係合領域及び前記固定部材の一方に前記固定軸が設けられ、
前記機能装置の前記被係合領域及び前記固定部材の他方に前記固定軸と係合される凹状の窪みが設けられている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記窪みは、1つの前記機能装置に対して複数で且つ全てが一直線上に配置されないように設けられ、
前記固定軸は、1つの前記機能装置に対して複数で且つ前記窪み同士の間隔と略同じ間隔に設けられ、
前記孔は、1つの前記機能装置に対して複数で且つ前記固定軸同士の間隔と略同じ間隔に設けられている、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記固定軸の先端側に磁石が設けられ、
前記窪みの底面側に磁性体が設けられている、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記窪み内に前記固定軸の先端側が嵌合されるワッシャー部材が設けられる、請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記窪みの開口端がC面取り加工されている、請求項2に記載の電子機器。
【請求項7】
前記機能装置は、ある方向から見て略L字状とされ、前記板状部材の板面と対向する板面対向領域、及び前記板状部材の側端面と対向する端面対向領域を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記機能装置は、打楽器の電子音を出力するための機能を有する打楽器ユニットとされる、請求項2に記載の電子機器。
【請求項9】
前記打楽器ユニットは、互いに音色の異なる第1放音領域、及び第2放音領域を含む、請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記電子機器本体は、前記板状部材を挟み込むように設けられる上ケース及び下ケースを含み、
前記固定部材は、前記下ケースに当接する当接部材を有し、
前記当接部材は、前記固定部材が前記電子機器本体に取り付けられた場合、前記当接部材のうち前記固定軸が延びる側とは反対側の面と前記下ケースの下面とが同一平面上になるような厚さを有している、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項11】
前記機能装置は、楽曲データが内蔵されるとともに前記楽曲データを前記電子機器本体に出力可能な出力機能を有する楽曲ユニットとされる、請求項2に記載の電子機器。
【請求項12】
前記機能装置は、複数の楽曲データを前記電子機器本体の出力可能な出力機能を有する楽曲ユニットの前記複数の楽曲データのうちの任意の楽曲データを、操作によって前記電子機器本体に出力可能な選択機能を有する選択ユニットとされる、請求項2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
鍵盤楽器等の楽器類では、エフェクター等の様々な機器が機能装置として使用される。従来から、このような機能装置を板状部材に固定するものが知られている。例えば特許文献1には、ボードの表面に音響用のエフェクターを固定するためのエフェクター固定器具が開示されている。このエフェクター固定器具では、複数のネジ孔が穿孔されたボードに、エフェクターを支持するための複数の支持部材が着脱可能に配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-92653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のエフェクター固定器具では、複数の支持部材をネジ止めによりボードに固定し、ボード上に載置したエフェクターの四方をそれぞれ支持部材で囲むことによりエフェクターを固定する。このため、ボードに対するエフェクターの着脱が容易ではなく、手間がかかるものであった。
【0005】
本発明は、複数の機能装置を板状部材に容易に着脱可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、入力装置と、前記入力装置と重ならない位置に係合領域を有する板状部材と、を有する電子機器本体を備え、前記係合領域には、前記係合領域に係合されることができる被係合領域を有する機能装置であって、前記電子機器本体と電気的に接続可能な前記機能装置における前記被係合領域に対向する位置に係合するための孔が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の機能装置を板状部材に容易に着脱可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る鍵盤楽器を上方側から見た全体斜視図である。
図2】実施形態に係る鍵盤楽器を下方側から見た全体斜視図である。
図3】実施形態に係る鍵盤楽器の分解斜視図である。
図4】実施形態に係る鍵盤楽器から各機能ユニットを取り外した状態の平面図である。
図5】実施形態に係る鍵盤楽器から各機能ユニットを取り外した状態を後方側から見た斜視図である。
図6】実施形態に係る鍵盤楽器の機能ユニットを上方右側から見た斜視図である。
図7】実施形態に係る鍵盤楽器の機能ユニットを下方左側から見た斜視図である。
図8】実施形態に係る鍵盤楽器の固定部材を下方右側から見た斜視図である。
図9】実施形態に係る鍵盤楽器の縦断面図であって、図1におけるIX-IX断面の断面図である。
図10】実施形態に係る鍵盤楽器の一部の縦断面図であって、図1におけるX-X断面の断面図である。
図11】実施形態に係る鍵盤楽器の一部に固定部材を取り付けた状態を後方右側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1及び図2に示す鍵盤楽器10は、電子楽器(電子機器)であり、複数の白鍵と複数の黒鍵を有する鍵盤14が設けられた鍵盤部材(入力装置)20及び板状部材30で構成された楽器本体(電子機器本体)50、楽器本体50に取付自在の、例えば4つの機能ユニット(機能装置)60A~60C、及び各機能ユニット60A~60Cを板状部材30に固定するための4つの固定部材80を備えている。鍵盤部材20は、鍵盤14を含む上ケース22、及び下ケース24を有しており、上ケース22と下ケース24の間に板状部材30の一部を挟み込む形で設けられている。ここで、板状部材30は、上ケース22及び下ケース24に挟み込まれた状態で板状部材30の上面の一部及び側面が露出されている。各機能ユニット60A~60Cは、それぞれ板状部材30のうち鍵盤部材20と重ならない位置、換言すれば上ケース22及び下ケース24と重ならない位置で、露出された板状部材30の上面の一部及び側面から位置ずれがないように固定及び取り外し自在に設定されている。
【0010】
なお、各図には座標軸を示しており、以下では、各図におけるX軸方向を鍵盤楽器10の左右方向(鍵盤14における鍵の配列方向)(X軸正方向を左方向とする)とし、各図におけるY軸方向を鍵盤楽器10の前後方向(鍵盤14における鍵の延びる方向)(Y軸正方向を前方向とする)とし、各図におけるZ軸方向を鍵盤楽器10の上下方向(Z軸正方向を上方向とする)として説明する。
【0011】
図1及び図3に示すように、上ケース22は、左右方向を長手方向とする横長矩形状の厚板部材であり、合成樹脂製とされ、その前側部分に鍵盤14が設けられている。上ケース22の四隅には、上ケース22を板状部材30にネジ止めするための上ケースネジ孔22aが設けられている。各上ケースネジ孔22aの周囲には上側ネジS1の頭部が収容できるようザグリが施されている。上ケース22の上面22Uには、斜線状の凹凸模様が設けられている。上ケース22の上面22Uにおける鍵盤14の後側には、凹凸模様の凹部分に沿って複数の操作ボタン22bが設けられている。各操作ボタン23には、鍵盤楽器10の電源のオンオフや鍵盤楽器10から出力される音色を選択するための操作等、鍵盤楽器10を操作するための各種機能が割り当てられている。また、上ケース22の上面22Uにおける鍵盤14の左側には、鍵盤楽器10からの音を放音するためのスピーカ22cが設けられている。
【0012】
図2及び図3に示すように、下ケース24は、左右方向を長手方向とする横長矩形状の浅皿状部材であり、合成樹脂製とされている。下ケース24は、平面方向の大きさが上ケース22と略等しい大きさとされている。下ケース24の四隅には、下ケース24を板状部材30にネジ止めするための下ケースネジ孔24aが設けられている。各下ケースネジ孔24aの周囲には下側ネジS2の頭部が収容できるようザグリが施されている。下ケース24の下面には、上ケース22と同様に下方側から見て斜線状の凹凸模様が設けられている。下ケース24の下面の中央部に設けられた凹状部分には、鍵盤楽器10を片手で保持するためのゴム製のバンド25が伸縮から自在に設けられている。また、下ケース24の内側には、鍵盤楽器10を駆動制御するための制御回路基板26や電源としての電池が収納される電池ケース27が設けられている。
【0013】
板状部材30は、左右方向を長手方向とする横長矩形状であり、木製の板或いは表面に木目調のシールが貼付された板により構成されている。板状部材30は、上ケース22及び下ケース24に挟み込まれて組み立てられた場合に、左右方向の各端面が、上ケース22及び下ケース24の左右方向の各端面からそれぞれ左右方向に若干突出するよう左右方向寸法が鍵盤部材20の左右方向寸法と略等しくされている。板状部材30は、上ケース22及び下ケース24に挟み込まれて組み立てられた場合に、前方向の端面が、上ケース22及び下ケース24の各前方向の端面からそれぞれ前方向に若干突出し、且つ後ろ方向の端面が、上ケース22及び下ケース24の各後ろ方向の端面から後ろ方向に十分突出するよう、前後方向が鍵盤部材20の前後方向寸法よりも大きくされている。板状部材30の厚みは、鍵盤部材20の上ケース22と下ケース24を合わせた厚みと略等しくされている。また、板状部材30は、略等しい形状で略等しい大きさとされた互いに分離可能な5枚の薄板を上下方向に重ね合わせることによりなっている。なお、板状部材30は、1枚の厚い板からなっていてもよい。
【0014】
図3に示すように、板状部材30の前側の大部分には、左右方向を長手方向とする横長矩形状とされ、上下方向に貫通する開口孔31が設けられている。開口孔31は、上ケース22及び下ケース24よりも一回り小さなサイズで開口しており、上ケース22の下面に設けられた図示しないリブ等が収容される。開口孔31周りの部分のうち上下方向において上ケースネジ孔22a及び下ケースネジ孔24aと重なる位置にはそれぞれ図示しない挿通孔が設けられており、この挿通孔にそれぞれ筒状の筒状部材90が挿通されている。
【0015】
上ケース22及び下ケース24は板状部材30の開口孔31周りを挟み込む形で重ね合わされ、各上ケースネジ孔22aの上方から雌型の上側ネジS1が挿通され、各下ケースネジ孔24aの上方から雄型の下側ネジS2が挿通されて、各筒状部材90の内側で上側ネジS1と下側ネジS2が相互にネジ止めされて連結される。これにより、板状部材30は、その一部が鍵盤部材20と重なる形で鍵盤部材20と一体に連結される。
【0016】
板状部材30の後側、即ち鍵盤部材20と重ならない部分の左右方向略中央部には、左右方向を長手方向とする横長矩形状とされ、板状部材30を上下方向に貫通する把持孔32が設けられている。把持孔32は、人の手を入れられるサイズで設けられており、把持孔32に手を入れることで鍵盤楽器10を把持して持ち運びできるようになっている。また、図4に示すように、鍵盤楽器10を上面視して、鍵盤部材20の上ケース22から露出されている板状部材30のうち把持孔32の左右両側は、複数の機能ユニット60A~60Cが係合されて固定される係合領域A1となっている。係合領域A1には、板状部材30を貫通する小径の複数の貫通孔(孔)34が所定の間隔でマトリクス状に設けられている。具体的には、把持孔32の左右両側には、それぞれ前後方向に2行、左右方向に8列(即ち片側に計16個)の計32個の貫通孔34が設けられている。
【0017】
ここで、図5及び図11に示すように、鍵盤部材20の上ケース22の側端面のうち後面22Bには、後述する各機能ユニット60A~60CのUSB(Universal Serial Bus)端子69が挿入される横長矩形状の4つの端子挿入孔22Hが設けられている。4つの端子挿入孔22Hは、把持孔32を挟んで左右両側に2つずつ、互いに近接した形で設けられている。また、各端子挿入孔22Hは、後方側、即ち各機能ユニット60A~60Cが係合される係合領域A1側に開口するように設けられている。各端子挿入孔22Hの内側には、各機能ユニット60A~60CのUSB端子69と電気的に接続される図示しない接続端子が設けられている。
【0018】
次に、板状部材30に固定される4つの機能ユニット60A~60Cの構成について説明する。本実施形態では、4つの機能ユニット60A~60Cのうち2つの機能ユニット60Aが同一の機能を有する第1の機能ユニット60Aとされ、他の2つがそれぞれ異なる機能を有する第2の機能ユニット60B、及び第3の機能ユニット60Cとされる。第1の機能ユニット60Aは、パーカッション(打楽器)としての機能を有する打楽器ユニットとされる。第2の機能ユニット60Bは、複数の楽曲が内蔵されるとともにいずれかの楽音を鍵盤楽器10によって再生可能な機能を有する楽曲内蔵ユニットとされる。第3の機能ユニット60Cは、第2の機能ユニット60Bに内蔵された複数の楽曲のいずれかを選択操作可能な機能を有する操作子が設けられた選択ユニットとされる。
【0019】
まず、各機能ユニット60A~60Cに共通する構造について説明する。図6及び図7に示すように、各機能ユニット60A~60Cは、所定の厚みを有し、一方の方向から見たその外観形状が略L字状となるように屈曲している。各機能ユニット60A~60Cのうち、略L字状の長辺を構成する部分は板状部材30の上面(板面)30Uと対向する上面対向部(板面対向領域)62とされ、略L字状の短辺を構成する部分は板状部材30の後面(側端面)30Bと対向する後面対向部(端面対向領域)64とされる。上面対向部62と後面対向部64は、略90°の角度をなして連なっている。
【0020】
図9に示すように、各機能ユニット60A~60Cの上面対向部62の下面は略平坦面となっており、各機能ユニット60A~60Cは、楽器本体50に電気的且つ物理的に取り付けられた場合に、各機能ユニット60A~60Cが板状部材30に固定された状態で、板状部材30の上面30Uと当接している。また、後面対向部64の前面も平坦面となっており、各機能ユニット60A~60Cが板状部材30に固定された状態で、板状部材30の後面30Bと当接している。なお、上面対向部62の前端部及び後面対向部64の下端部はそれぞれR面取りされており、曲面状となっている。また、上面対向部62と後面対向部64との境界部(略L字状の屈曲箇所を構成する部分)63についても、R面取りされている。
【0021】
上面対向部62の下面の略中央部には、板状部材30の係合領域A1における任意の位置に係合される被係合領域A2が設けられている。被係合領域A2には、下方に開口する4つの凹状の窪み66がマトリクス状(前後方向に2行、左右方向に2列)に設けられている。各窪み66の間隔は、係合領域A1に設けられた各貫通孔34の間隔と略等しくされている。また、各窪み66の前後方向の位置は、後面対向部64の前面が板状部材30の後面30Bに当接した状態で、各貫通孔34の前後方向の位置と略一致するように設けられている。このため、後面対向部64の前面を板状部材30の後面30Bに当接させつつ各機能ユニット60A~60Cを左右方向に移動させることにより、各機能ユニット60A~60Cの4つの窪み66が係合領域A1の任意の4つの貫通孔34と上下方向において重なり合うことができるようになっている。
【0022】
図10に示すように、各窪み66の開口径は、後述する固定部材80の貫通軸84の外径よりも一回り大きくされており、貫通軸84の先端側が入り込むようになっている。被係合領域A2の各窪み66内には、固定部材80の貫通軸84の先端側が嵌合されるワッシャー部材66Wが設けられている。各窪み66の開口端はC面取り加工されており、C面取り加工による開口端傾斜面66aが設けられている(図7参照)。さらに、上面対向部62における窪み66の底面側には、略板状の磁性体62Mが埋設されている。
【0023】
上面対向部62の前端部の左右方向略中央部からは、ケーブル67が所定の長さで延びている。なお、ケーブル67は、上面対向部62に出し入れ可能に設けられて伸縮自在にされていてもよい。ケーブル67の先端側には、鍵盤部材20の上ケース22に接続される接続部材68が設けられている。接続部材68は、その外観形状が略L字状とされており、上ケース22と接続された際に上ケース22の上面(板面)22Uと対向する第1対向部68aと、上ケース22と接続された際に上ケース22の後面(側端面)22Bと対向する第2対向部68bとを有している。第1対向部68aと第2対向部68bは、略90°の角度をなして連なっている。第1対向部68aの前端部、第2対向部68bの下端部、及び第1対向部68aと第2対向部68bとの境界部は、いずれもR面取りされている。
【0024】
接続部材68の第2対向部68bの内面側には、上ケース22の端子挿入孔22Hに挿入されるUSB端子69が設けられている。USB端子69は、第2対向部68bの内面から前方側に向けて角筒状に突出するように設けられている。各機能ユニット60A~60CのUSB端子69が上ケース22の端子挿入孔22Hに挿入されることにより、各機能ユニット60A~60Cと鍵盤部材20の間が電気的に接続され、接続された各機能ユニット60A~60Cの機能が鍵盤楽器10において有効にされる。
【0025】
なお、第1対向部68aは、USB端子69よりも大きなサイズで設けられている。即ち、第1対向部68aは、接続部材68を上方から見たときにUSB端子69の上面側が覆われるようなサイズで設けられている。図10に示すように、第1対向部68aの下面は平坦面となっており、USB端子69が端子挿入孔22Hに挿入された状態で、上ケース22の上面22Uに設けられた凹凸溝の凸部分と当接する。換言すれば、第1対向部68aは上ケース22の上面22Uに沿って設けられている。このため、第1対向部68aの下面の面積に対して、第1対向部68aの下面と接する上ケース22の上面22Uの面積が小さいので、上面22Uの面積が第1対向部68aの下面の面積と同じ場合に比べて、USB端子69が端子挿入孔22Hに挿入させるときの接触抵抗を軽減できる。また、第2対向部68bの前面も平坦面となっており、USB端子69が端子挿入孔22Hに挿入された状態で、上ケース22の後面22Bと当接する。
【0026】
また、図1に示すように、接続部材68における第1対向部68aの上面には、各機能ユニット60A~60Cの機能に応じて異なる表記が刻印されている。本実施形態では、第1の機能ユニット60Aの接続部材68の第1対向部68aに「A」という表記M1が刻印され、第2の機能ユニット60Bの接続部材68の第1対向部68aに「B」という表記M2が刻印され、第3の機能ユニット60Cの接続部材68の第1対向部68aに「C」という表記M3が刻印されている。なお、第1対向部68aの上面に刻印される表記はアルファベットに限定されず、数字やその他の記号等であってもよい。
【0027】
第1対向部68aにこのような表記M1~M3が刻印されていることにより、例えば、図1に示すように、係合領域A1のうち把持孔32の左側に2つの第1の機能ユニット60Aを配置し、把持孔32の右側に左から順に第2の機能ユニット60B、第3の機能ユニット60Cをそれぞれ配置させたい場合、左側から順に「A」、「A」、「B」、「C」と並べる旨を作業者に対して指示することにより、希望する各機能ユニット60A~60Cの配置を作業者に容易に伝えることができる。
【0028】
次に、各機能ユニット60A~60Cの固有の構造について説明する。図6及び図7に示すように、第1の機能ユニット60Aでは、上面対向部62の前面、上面対向部62の上面、及び後面対向部64の後面が、カバー状の打面カバー60A1によって覆われている。打面カバー60A1は振動可能に設けられており、第1の機能ユニット60Aが鍵盤部材20と電気的に接続された状態では、鍵盤楽器10の演奏者が打面カバー60A1を手等で叩いた際の打面カバー60A1の振動や圧力変化を制御回路基板26が検出し、スピーカ22cからパーカッションとしての音色の電子音が出力される。
【0029】
なお、打面カバー60A1の表面のうち後側寄りの部分には、打面カバー60A1を2つの領域に区画する区画線L1が設けられている。打面カバー60A1のうち区画線L1より前側の領域は第1放音領域60A11とされ、区画線L1より後側の領域は第2放音領域60A12とされている。第1放音領域60A11と第2放音領域60A12は、演奏者が打面カバー60A1を叩いた際に放音されるパーカッションの音色の電子音が異なっている。具体的には、例えば演奏者が第1放音領域60A11を叩いた際にはパーカッションの音色が反響音の電子音で出力され、第2放音領域60A12を叩いた際にはパーカッションの音色が非反響音の電子音で出力される。
【0030】
図1に示すように、第2の機能ユニット60Bの表面には、楽曲名等が表示される液晶表示画面60B1、及び楽曲の再生等を行うための複数の操作ボタン60B2が設けられている。第2の機能ユニット60Bには、複数の楽曲が内蔵されている。第2の機能ユニット60Bが鍵盤部材20と電気的に接続された状態では、演奏者が液晶表示画面60B1に表示される情報を見ながら操作ボタン60B2を操作することにより、演奏者により選択された楽曲がスピーカ22cから放音され、演奏者は楽音を楽しむことができる。また、第3の機能ユニット60Cの表面には、テンキー60C1が設けられている。第3の機能ユニット60Cが鍵盤部材20と電気的に接続された状態では、演奏者は、テンキー60C1を操作することにより、第2の機能ユニット60Bに内蔵された楽曲の選曲等を行うことができる。
【0031】
次に、各機能ユニット60A~60Cを板状部材30に固定するための固定部材80の構成について説明する。図8に示すように、固定部材80は、対応する機能ユニット60A~60Cの種別に限らず、全て同じ構造であり、板状部材30の係合領域A1に当接される当接部(当接部材)82、及び当接部82から延びる4本の固定軸84を有している。当接部82は、厚板状とされ、四隅がR面取りされた略正方形状とされている。当接部82は、段差83を介して上側部分の外形が下側部分の外形よりも一回り小さくされている。各固定軸84は、円柱状(軸状)とされ、当接部82の上面82Uの四隅から上方に向けて垂直に延びている。
【0032】
当接部82から延びる4本の固定軸84は、マトリクス状(前後方向に2行、左右方向に2列)に設けられている。各固定軸84の外径は、板状部材30の係合領域A1に設けられた貫通孔34に貫通されるような大きさとされている。各固定軸84の間隔は、係合領域A1に設けられた各貫通孔34の間隔と略等しくされている。換言すれば、各固定軸84は、各機能ユニット60A~60Cの被係合領域A2に設けられた各窪み66と対応する間隔で設けられている。このため、図11に示すように、各固定軸84は、係合領域A1に設けられた32個の貫通孔34のうち4つの貫通孔34の組であって、この4つの貫通孔34を頂点とした四辺形が、32個の貫通孔34のうちの任意の4つを頂点とした四辺形のうち、もっとも面積が小さくなるような組に貫通させることができる。すなわち、把持孔32の左右側にそれぞれ縦に八列、横に二行で並んだ16個の貫通孔34のうち、1つの機能ユニットに適用される4つの貫通孔34は、二行で且つ互いに隣接する二列の4つ貫通孔34となる。
【0033】
各固定軸84は、板状部材30の下面30L側から貫通孔34に貫通される。各固定軸84は、貫通孔34に貫通されて板状部材30の板面から突出するような長さとされている。詳しくは、各固定軸84は、貫通孔34に貫通されて当接部82が板状部材30の下面30Lに当接された状態で板状部材30の上面30Uから突出するとともに、突出する部分の長さが各機能ユニット60A~60Cに設けられた窪み66の深さ以下となるような長さとされている。なお、各固定軸84の先端はC面取り加工されており、C面取り加工による先端傾斜面84aが設けられている。また、図10に示すように、各固定軸84の先端側には、外部に露出しない形で磁石84Mが埋設されている。
【0034】
次に、各機能ユニット60A~60Cを板状部材30の係合領域A1に係合させて固定するための固定方法について説明する。各機能ユニット60A~60Cは、係合領域A1の任意の位置に固定することができる。まず、係合領域A1に係合させる機能ユニット60A~60Cの接続部材68のUSB端子69を、第1対向部68aを上ケース22の上面22Uと対向させた状態で、上ケース22の端子挿入孔22Hに挿入してUSB接続する。4つの端子挿入孔22Hのうちいずれの端子挿入孔22Hに挿入するかは、ケーブル67が届く範囲内で、機能ユニット60A~60を固定する任意の位置に応じて選択することができる。
【0035】
次に、板状部材30の上面30Uのうち機能ユニット60A~60Cを固定する係合領域A1の任意の位置に、窪み66を下側に向けた形で機能ユニット60A~60Cの上面対向部62を載置する。このとき、載置する機能ユニット60A~60Cの4つの窪み66と載置位置の4つの貫通孔34が上下方向に重なるように大まかな位置合わせを行いつつ、機能ユニット60A~60Cを載置する。なお、機能ユニット60A~60Cの後面対向部64を板状部材30の後面30Bに当接させることにより、各窪み66と各貫通孔34の前後方向の位置については、容易に位置合わせを行うことができる。
【0036】
次に、機能ユニット60A~60Cの位置合わせを行った4つの貫通孔34に対して板状部材30の下面30L側から固定部材80の各固定軸84を圧入して貫通させ、さらに機能ユニット60A~60Cの各窪み66内に各固定軸84を挿し込んで固定部材80の当接部82を板状部材30の下面30Lに当接させる。このとき、上記の位置合わせが多少ずれていたとしても、窪み66の開口端に設けられた開口端傾斜面66a及び固定軸84の先端に設けられた先端傾斜面84aにより、固定軸84が窪み66内にガイドされるため、各固定軸84を各窪み66内へ円滑に挿し込むことができる。
【0037】
当接部82が板状部材30に当接するまで各固定軸84を各窪み66内へ挿し込むと、各固定軸84に埋設された磁石84Mと機能ユニット60A~60Cに埋設された磁性体62Mが磁力により引かれ合い、板状部材30を挟み込む形で機能ユニット60A~60Cと固定部材80が係合領域A1に固定される。また、各固定軸84が各窪み66内へ入り込むことにより、各固定軸84の先端が各窪み66内のワッシャー部材66Wに嵌合されるため、各固定軸84が各窪み66内から容易に外れ難いものとされる。このようにして、機能ユニット60A~60Cを板状部材30の係合領域A1に対して容易に固定することができる。また、機能ユニット60A~60Cを係合領域A1から取り外す場合、上記と逆の手順により機能ユニット60A~60Cを容易に取り外すことができる。
【0038】
なお、図11に示すように、係合領域A1に機能ユニット60A~60Cを載置するより前に固定部材80の各固定軸84を各貫通孔34に貫通させ、その後に機能ユニット60A~60Cの各窪み66内に各固定軸84の先端を挿し込んでもよい。この手順によっても機能ユニット60A~60Cを係合領域A1に固定することができる。また、機能ユニット60A~60Cの接続部材68をUSB接続させた状態のまま機能ユニット60A~60Cを一旦取り外し、機能ユニット60A~60Cを左右方向にずらして係合領域A1内の異なる位置に再度係合させることもできる。
【0039】
また、図9に示すように、板状部材30を挟み込む形で機能ユニット60A~60Cと固定部材80が係合領域A1に固定された状態では、固定部材80の当接部82の下面(固定軸84が延びる側とは反対側の板面)と下ケース24の下面とが同一平面上に設けられる(破線L2参照)。換言すれば、固定部材80の当接部82は、固定軸84が貫通孔34に貫通された状態でその下面が下ケース24の下面と略一致するような厚みとされている。
【0040】
以上説明したように本実施形態に係る鍵盤楽器10は、鍵盤部材20と、鍵盤部材20と重ならない位置に係合領域A1を有する板状部材30と、を有する楽器本体50を備え、係合領域A1には、係合領域A1に係合されることができる被係合領域A2を有する機能ユニット60A~60Cであって、楽器本体50と電気的に接続可能な機能ユニット60A~60Cにおける被係合領域A2に対向する位置に係合するための貫通孔34が設けられている。
【0041】
本実施形態の鍵盤楽器10によれば、いずれかの機能ユニット60A~60Cの被係合領域A2を楽器本体50のうち鍵盤部材20と重ならない位置に設けられた係合領域A1のいずれかの位置に載置して係合領域A1に係合させることにより、選択した機能ユニット60A~60Cを楽器本体50に対して容易に組付けることができ、かつ板状部材30から容易に取り外すことができる。そして、楽器本体50に組付けて電気的に接続された機能ユニット60A~60Cにより鍵盤楽器10の機能を実現することができる。このように、複数の機能ユニット60A~60Cを板状部材30に対して容易に着脱可能な鍵盤楽器10を実現することができる。
【0042】
さらに、複数の機能ユニット60A~60Cの中からいずれかの機能ユニット60A~60Cを選択し、選択した機能ユニット60A~60Cを板状部材30の係合領域A1のうちいずれかの位置に組付け、組付けた機能ユニット60A~60Cによって鍵盤楽器10の機能を実現させる一連の手順は、児童にとって考察力や判断力等が要求されることから、本実施形態に係る鍵盤楽器10は、児童向けの知育玩具としても用いることができる。
【0043】
また、本実施形態の鍵盤楽器10は、貫通孔34は、係合領域A1に機能ユニット60A~60Cを係合させるために、機能ユニット60A~60Cと固定部材80との間に設けられた固定軸84が挿入されることができ、機能ユニット60A~60Cの被係合領域A2及び固定部材80の一方に固定軸84が設けられ、機能ユニット60A~60Cの被係合領域A2及び固定部材80の他方に固定軸84と係合される凹状の窪み66が設けられている。
【0044】
この構成によれば、例えば各機能ユニット60A~60Cの被係合領域A2に設けられた窪み66を係合領域A1に設けられた各貫通孔34のいずれかに位置合わせし、位置合わせした貫通孔34に対して固定部材80の固定軸84を機能ユニット60A~60Cとは反対側から貫通させることにより、貫通孔34に貫通された固定軸84が窪み66に係合される。これにより、板状部材30(係合領域A1)を挟み込む形で機能ユニット60A~60Cと固定部材80が係合領域A1に固定される。このように、各機能ユニット60A~60Cを係合領域A1に対して容易に着脱可能とするための具体的な構成を提供することができる。
【0045】
また、本実施形態の鍵盤楽器10では、窪み66は、1つの機能ユニット60A~60Cに対して複数で且つ全てが一直線上に配置されないように設けられ、固定軸84は、1つの機能ユニット60A~60Cに対して複数で且つ固定軸84同士の間隔と略同じ間隔に設けられている。この構成によれば、各固定軸84を係合領域A1の任意の貫通孔34に貫通させることができ、各固定軸84の先端を各窪み66に係合させることができる。これにより、各機能ユニット60A~60Cを係合領域A1の任意の位置に着脱可能とするための具体的な構成を提供することができる。さらに、貫通孔34に貫通された複数の固定軸84が複数の窪み66に係合されることにより、機能ユニット60A~60Cを係合領域A1に対して強固に固定することができる。
【0046】
また、本実施形態の鍵盤楽器10では、固定軸84の先端側に磁石84Mが設けられ、窪み66の底面側に磁性体62Mが設けられている。これにより、固定軸84の先端が窪み66内に挿し込まれた状態では、固定軸84の磁石84Mと機能ユニット60A~60Cの磁性体62Mが磁力により引かれ合う。このため、機能ユニット60A~60Cを係合領域A1に対して強固に固定することができる。
【0047】
また、本実施形態の鍵盤楽器10では、窪み66内に固定軸84の先端側が嵌合されるワッシャー部材66Wが設けられる。これにより、固定軸84の先端が窪み66内に挿し込まれた状態では、固定軸84の先端側がワッシャー部材66Wに嵌合される。このため、機能ユニット60A~60Cを係合領域A1に対して一層強固に固定することができる。
【0048】
また、本実施形態の鍵盤楽器10では、窪み66の開口端がC面取り加工されている。これにより、貫通孔34に貫通された固定軸84の先端が窪み66の開口端から窪み66内へとガイドされる。このため、各固定軸84を各窪み66内へ円滑に挿し込むことができる。
【0049】
また、本実施形態の鍵盤楽器10では、複数の機能ユニット60A~60Cは、ある方向から見て略L字状とされ、板状部材30の上面30Uと対向する上面対向部62、及び板状部材30の後面30Bと対向する後面対向部64を有する。このため、各機能ユニット60A~60Cの後面対向部64を板状部材30の後面30Bと当接させつつ上面対向部62を板状部材30の上面30U(係合領域A1)に載置することにより、各機能ユニット60A~60Cの前後方向の位置決めを容易に行うことができる。また、後面対向部64が板状部材30の後面30Bに当接された状態で上面対向部62の窪み66の位置が係合領域A1の貫通孔34の位置と前後方向において略一致するように各窪み66を設けることで、各機能ユニット60A~60Cを係合領域A1に係合させる際に、窪み66と貫通孔34の位置合わせを容易に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態の鍵盤楽器10では、第1の機能ユニット60Aは、打楽器の電子音を出力するための機能を有する打楽器ユニットとされる。これにより、係合領域A1に第1の機能ユニット60Aが固定された鍵盤楽器10において、パーカッション機能を実現することができる。
【0051】
また、本実施形態の鍵盤楽器10では、打楽器ユニットとされる第1の機能ユニット60Aは、互いに音色の異なる第1放音領域60A11、及び第2放音領域60A12を含む。これにより、第1の機能ユニット60Aが固定された鍵盤楽器10において、第1の機能ユニット60Aを叩く位置に応じて音色を変えることができ、パーカッション機能を一層楽しむことができる。
【0052】
また、本実施形態の鍵盤楽器10では、楽器本体50は、板状部材30を挟み込むように設けられる上ケース22及び下ケース24を含み、固定部材80は、下ケース24に当接する当接部82を有し、当接部82は、固定部材80が楽器本体50に取り付けられた場合、当接部82のうち固定軸84が延びる側とは反対側の面と下ケース24の下面とが同一平面上になるような厚さを有している。これにより、例えば第1の機能ユニット60Aが鍵盤楽器10に固定された状態では、第1の機能ユニット60Aを叩いたとしても、当接部82の下面と下ケース24の下面とが同一平面上となっていることから、叩いた際の第1の機能ユニット60Aのグラつきやブレ等が抑制される。このため、鍵盤楽器10に固定された各機能ユニット60A~60Cの安定性を高めることができる。
【0053】
また、本実施形態の鍵盤楽器10では、第2の機能ユニット60Bは、複数の楽曲データが内蔵されるとともに楽曲データを楽器本体50に出力可能な出力機能を有する楽曲ユニットとされる。これにより、係合領域A1に第2の機能ユニット60Bが固定された鍵盤楽器10において、任意の楽曲を再生する機能を実現することができる。
【0054】
また、本実施形態の鍵盤楽器10では、第3の機能ユニット60Cは、複数の楽曲データを楽器本体50の出力可能な出力機能を有する楽曲ユニットの複数の楽曲データのうちの任意の楽曲データを、操作によって楽器本体50に出力可能な選択機能を有する選択ユニットとされる。これにより、係合領域A1に第3の機能ユニット60Cが固定された鍵盤楽器10において、再生するための任意の楽曲を選択可能な機能を実現することができる。
【0055】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
例えば上記の実施形態では、固定軸を有する固定部材を備え、各機能ユニットの被係合領域に窪みが設けられ、係合領域に貫通孔が設けられた構成を例示したが、各機能ユニットを係合領域に係合するための構成はこれに限定されない。例えば、係合領域に複数の貫通孔又は複数の凹状の窪みが設けられ、被係合領域に、貫通孔又は窪みに係合される凸状の突起が設けられていてもよい。この場合、固定軸84の先端は下向きになり、磁石84Mは固定軸84の下端近傍に設けられ、ワッシャー部材66Wは固定部材80の当接部82内に設けられていることになる。このように、各機能ユニットの突起を係合領域の複数の貫通孔又は複数の凹状の窪みに係合させることにより、各機能ユニットを係合領域に係合させることができる。
【0057】
また、上記の実施形態では、4つの機能ユニット60A~60Cを取り付けることを例示したが、必要に応じ3つ以下の機能ユニットを取り付けてもいいし、5つ以上の機能ユニットを取り付けてもよい。このように、電子機器を利用するユーザの年齢や習熟度に応じて任意の機能ユニットを取り付けたり、取り替えたりすることができる。
【0058】
また、板状部材30では、1つの機能ユニットに対向するように4つの貫通孔34を設けたが、機能ユニットを前後方向、左右方向に位置ずれすることなく固定させるために、3つ或いは5つ以上の貫通孔34を1つの機能ユニットに対向するように配置させてもよい。この場合、1つの機能ユニットに必要な固定部材80の固定軸84の数も同数とすればよい。いずれの場合においても、1つの機能ユニットに必要な複数の貫通孔は、全てが一直線上に配置されないようなレイアウトが必要であり、1つの機能ユニットに必要な複数の固定軸は、全てが一直線上に配置されないようなレイアウトが必要である。
【0059】
また、例えば上記の実施形態では、鍵盤楽器が3種類の機能ユニットを備える構成を例示したが、鍵盤楽器が備える機能ユニットはこれに限定されない。鍵盤楽器が上記とは異なる機能を実現することができる他の種類の機能ユニットを備えてもよい。
【0060】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]入力装置と、前記入力装置と重ならない位置に係合領域を有する板状部材と、を有する電子機器本体を備え、
前記係合領域には、前記係合領域に係合されることができる被係合領域を有する機能装置であって、前記電子機器本体と電気的に接続可能な前記機能装置における前記被係合領域に対向する位置に係合するための孔が設けられている、
電子機器。
[2]前記孔は、前記係合領域に前記機能装置を係合させるために、前記機能装置と固定部材との間に設けられた固定軸が挿入されることができ、
前記機能装置の前記被係合領域及び前記固定部材の一方に前記固定軸が設けられ、
前記機能装置の前記被係合領域及び前記固定部材の他方に前記固定軸と係合される凹状の窪みが設けられている、
前記[1]に記載の電子機器。
[3]前記窪みは、1つの前記機能装置に対して複数で且つ全てが一直線上に配置されないように設けられ、
前記固定軸は、1つの前記機能装置に対して複数で且つ前記窪み同士の間隔と略同じ間隔に設けられ、
前記孔は、1つの前記機能装置に対して複数で且つ前記固定軸同士の間隔と略同じ間隔に設けられている、
前記[2]に記載の電子機器。
[4]前記固定軸の先端側に磁石が設けられ、
前記窪みの底面側に磁性体が設けられている、
前記[2]に記載の電子機器。
[5]前記窪み内に前記固定軸の先端側が嵌合されるワッシャー部材が設けられる、前記[2]に記載の電子機器。
[6]前記窪みの開口端がC面取り加工されている、前記[2]に記載の電子機器。
[7]前記機能装置は、ある方向から見て略L字状とされ、前記板状部材の板面と対向する板面対向領域、及び前記板状部材の側端面と対向する端面対向領域を有する、前記[1]から[6]のいずれかに記載の電子機器。
[8]前記機能装置は、打楽器の電子音を出力するための機能を有する打楽器ユニットとされる、前記[2]に記載の電子機器。
[9]前記打楽器ユニットは、互いに音色の異なる第1放音領域、及び第2放音領域を含む、前記[8]に記載の電子機器。
[10]前記電子機器本体は、前記板状部材を挟み込むように設けられる上ケース及び下ケースを含み、
前記固定部材は、前記下ケースに当接する当接部材を有し、
前記当接部材は、前記固定部材が前記電子機器本体に取り付けられた場合、前記当接部材のうち前記固定軸が延びる側とは反対側の面と前記下ケースの下面とが同一平面上になるような厚さを有している、
前記[2]に記載の電子機器。
[11]前記機能装置は、楽曲データが内蔵されるとともに前記楽曲データを前記電子機器本体に出力可能な出力機能を有する楽曲ユニットとされる、前記[2]に記載の電子機器。
[12]前記機能装置は、複数の楽曲データを前記電子機器本体の出力可能な出力機能を有する楽曲ユニットの前記複数の楽曲データのうちの任意の楽曲データを、操作によって前記電子機器本体に出力可能な選択機能を有する選択ユニットとされる、前記[2]に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0061】
10 鍵盤楽器 14 鍵盤
20 鍵盤部材 22 上ケース
22B 後面 22H 端子挿入孔
22U 上面 22a 上ケースネジ孔
22b 操作ボタン 22c スピーカ
23 操作ボタン 24 下ケース
24a 下ケースネジ孔 25 バンド
26 制御回路基板 27 電池ケース
30 板状部材 30B 後面
30L 下面 30U 上面
31 開口孔 32 把持孔
34 貫通孔 50 楽器本体
60A 第1の機能ユニット 60A1 打面カバー
60A11 第1放音領域 60A12 第2放音領域
60B 第2の機能ユニット 60B1 液晶表示画面
60B2 操作ボタン 60C 第3の機能ユニット
60C1 テンキー 62 上面対向部
62M 磁性体 64 後面対向部
66 窪み 66W ワッシャー部材
66a 開口端傾斜面 67 ケーブル
68 接続部材 68a 第1対向部
68b 第2対向部 69 USB端子
80 固定部材 82 当接部
82U 上面 83 段差
84 固定軸 84M 磁石
84a 先端傾斜面 90 筒状部材
A1 係合領域 A2 被係合領域
L1 区画線 L2 破線
M1 表記 M2 表記
M3 表記 S1 上側ネジ
S2 下側ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11