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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020843
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】二元冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 7/00 20060101AFI20240207BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240207BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
F25B7/00 D
F25B1/00 321C
F25B1/00 351A
F25B1/00 399Y
F25B47/02 550F
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123335
(22)【出願日】2022-08-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】兼井 一樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 将弘
(72)【発明者】
【氏名】前間 慶成
(72)【発明者】
【氏名】仲田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】織田 旺伸
(57)【要約】
【課題】二元冷凍装置において、立ち上がり運転を速やかに行うことにより、立ち上がり運転の悪化による暖房能力の低下を抑制することができる二元冷凍装置を提供する。
【解決手段】高元側冷媒が循環する高元側冷媒回路2と、カスケード熱交換器13で高元側冷媒と熱交換する第1循環路23、および、低元側熱交換器24で熱媒体と熱交換する第2循環路26とを備えて低元側冷媒が循環する低元側冷媒回路3と、高元側熱交換器11で高元側冷媒と熱交換し、低元側熱交換器24で低元側冷媒と熱交換する熱媒体が循環する熱媒体回路4とを備え、熱媒体回路4は、熱媒体が高元側熱交換器11と低元側熱交換器24を循環する第1熱媒体循環路35と、熱媒体が高元側熱交換器11を循環する第2熱媒体循環路36とを備えている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高元側圧縮機と、高元側熱交換器と、高元側減圧機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側冷媒回路と、
低元側圧縮機と、前記カスケード熱交換器と、低元側第1減圧機構と、熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する第1循環路と、
前記第1循環路における、前記低元側圧縮機と前記カスケード熱交換器との間と、前記低元側第1減圧機構と前記熱源側熱交換器との間とを、低元側熱交換器および低元側第2減圧機構が設けられた冷媒配管で接続し、前記低元側圧縮機と、前記低元側熱交換器と、前記低元側第2減圧機構と、前記熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、前記低元側冷媒が循環する第2循環路とを備える、低元側冷媒回路と、
第1循環ポンプと、利用側熱交換器と、前記低元側熱交換器と、前記高元側熱交換器とが、配管で順次接続されて熱媒体が循環し、前記高元側熱交換器で前記高元側冷媒と前記熱媒体とが熱交換し、前記低元側熱交換器で前記低元側冷媒と前記熱媒体とが熱交換する第1熱媒体循環路と、
前記第1熱媒体循環路における、前記利用側熱交換器と前記低元側熱交換器との間と、前記低元側熱交換器と前記高元側熱交換器との間とを接続する第1バイパス路を備え、前記第1循環ポンプと、前記利用側熱交換器と、前記第1バイパス路と、前記高元側熱交換器とが配管で順次接続され、前記熱媒体が循環する第2熱媒体循環路と、を備えた熱媒体回路と、
前記カスケード熱交換器で前記高元側冷媒と前記低元側冷媒とが熱交換し、
前記熱媒体回路において、前記熱媒体を第1熱媒体循環路に流すか、または、前記第2熱媒体循環路に流すかを切り換える第1切換手段と、
前記高元側冷媒回路、前記低元側冷媒回路、前記熱媒体回路を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする二元冷凍装置。
【請求項2】
前記制御部は、二元冷凍装置を起動する際に、前記高元側圧縮機、前記低元側圧縮機および前記第1循環ポンプを起動させるとともに、前記熱媒体が第1熱媒体循環路を流れるように前記第1切換手段を切り換えることを特徴とする請求項1に記載の二元冷凍装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記利用側熱交換器を通過した熱媒体の温度が第1所定温度を越えた場合、または、前記利用側熱交換器を通過した熱媒体の温度と低元側冷媒回路の前記低元側熱交換器における冷媒凝縮温度との差が、第2所定温度未満の場合は、前記熱媒体が第2熱媒体循環路を流れるように前記第1切換手段を切り換えることを特徴とする請求項2に記載の二元冷凍装置。
【請求項4】
前記低元側冷媒回路において、前記低元側圧縮機の吐出側に接続され、前記低元側圧縮機から吐出する前記低元側冷媒を前記カスケード熱交換器側および前記低元側熱交換器側に流すか、または、前記熱源側熱交換器側に流すかを切り換える四方弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二元冷凍装置。
【請求項5】
前記低元側熱交換器は、蓄熱材を備えた第1蓄熱部を備えていることを特徴とする請求項4に記載の二元冷凍装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記蓄熱材の温度が所定温度以上になった場合、前記四方弁を前記熱源側熱交換器側に切り換えて、前記蓄熱材に蓄熱された熱を用いて除霜運転を行うことを特徴とする請求項5に記載の二元冷凍装置。
【請求項7】
前記熱媒体回路において、逆止弁、第2循環ポンプ、および蓄熱材を備えた第2蓄熱部を設けた第2バイパス路を前記第1バイパス路と並列に接続し、前記第2循環ポンプと、前記逆止弁と、前記低元側熱交換器と、前記第2蓄熱部とが冷媒配管で順次接続され、前記熱媒体が循環する第3熱媒体循環路と、
前記熱媒体回路において、前記熱媒体が第1熱媒体循環路を流れるか、または、前記第3熱媒体循環路を流れるかを切り換える第2切換手段と、
前記低元側冷媒回路において、前記低元側圧縮機の吐出側に接続され、前記低元側圧縮機から吐出する前記低元側冷媒を前記カスケード熱交換器側および前記低元側熱交換器側に流すか、または、前記熱源側熱交換器側に流すかを切り換える四方弁と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の二元冷凍装置。
【請求項8】
前記制御部は、二元冷凍装置を起動する際に、前記高元側圧縮機、前記低元側圧縮機および前記第1循環ポンプを起動させるとともに、前記熱媒体が第1熱媒体循環路を流れるように前記第1切換手段および前記第2切換手段を切り換えることを特徴とする請求項7に記載の二元冷凍装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記利用側熱交換器を通過した熱媒体の温度が第1所定温度を越えた場合、または、前記利用側熱交換器を通過した熱媒体の温度と低元側冷媒回路の前記低元側熱交換器における冷媒凝縮温度との差が、第2所定温度未満の場合は、前記熱媒体が第2熱媒体循環路を流れるように前記第1切換手段を切り換え、前記熱媒体が第3熱媒体循環路を流れるように前記第2切換手段を切り換えることを特徴とする請求項8に記載の二元冷凍装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記蓄熱材の温度が所定温度以上になった場合、前記四方弁を前記熱源側熱交換器側に切り換えて、前記蓄熱材に蓄熱された熱を用いて除霜運転を行うことを特徴とする請求項9に記載の二元冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二元冷凍装置に関し、特に、暖房能力の低下を抑制することができる二元冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二元冷凍装置は、高元側冷媒回路と低元側冷媒回路を備え、高元側冷媒回路と低元側冷媒回路が、共用するカスケード熱交換器(中間熱交換器)を備え、高元側冷媒回路を循環する冷媒と低元側冷媒回路を循環する冷媒とを、カスケード熱交換器で熱交換させ、高元側冷媒回路を循環する高温側冷媒により水を加熱し、温水を生成している。
【0003】
このような二元冷凍装置は、高元側冷凍回路と低元側冷凍回路で、冷媒特性の違いや起動時の温度条件などに起因して起動から定常状態になるまでの時間にアンバランスが生じて低元側冷媒回路の圧縮機が保護停止に至る恐れがある。そのため、特許文献1に開示された二元冷凍装置では、二元冷凍装置の起動から定常運転に移行するまでの間(以下、「立ち上がり運転」とする)における低元側冷凍回路での高圧過昇による保護停止を防止するため、立ち上がり運転における高元側冷凍回路の圧縮機の回転数の低元側冷凍回路の圧縮機の回転数に対する比を、定常運転における比よりも大きく設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-213590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された二元冷凍装置では、立ち上がり運転における高元側冷凍回路の圧縮機の回転数の低元側冷凍回路の圧縮機の回転数に対する比を、定常運転における比よりも大きく設定しているので、低元側冷凍回路の圧縮機の立ち上がり運転における回転数が制限されるため、立ち上がり運転において、十分な暖房能力を発揮するまでに時間がかかるという課題がある。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、二元冷凍装置において、立ち上がり運転を速やかに行うことによる暖房能力の低下を抑制することができる二元冷凍装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、高元側圧縮機と、高元側熱交換器と、高元側減圧機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側冷媒回路と、低元側圧縮機と、カスケード熱交換器と、低元側第1減圧機構と、熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環し、カスケード熱交換器で高元側冷媒と低元側冷媒とが熱交換する第1循環路と、第1循環路における、低元側圧縮機とカスケード熱交換器との間と、低元側第1減圧機構と熱源側熱交換器との間とを、低元側熱交換器および低元側第2減圧機構が設けられた冷媒配管で接続し、低元側圧縮機と、低元側熱交換器と、低元側第2減圧機構と、熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する第2循環路とを備える、低元側冷媒回路と、第1循環ポンプと、利用側熱交換器と、低元側熱交換器と、高元側熱交換器とが、配管で順次接続されて熱媒体が循環し、高元側熱交換器で高元側冷媒と熱媒体とが熱交換し、低元側熱交換器で低元側冷媒と熱媒体とが熱交換する第1熱媒体循環路と、第1熱媒体循環路における、利用側熱交換器と前記低元側熱交換器との間と、低元側熱交換器と高元側熱交換器との間とを接続する第1バイパス路を備え、第1循環ポンプと、利用側熱交換器と、第1バイパス路と、高元側熱交換器とが配管で順次接続され、熱媒体が循環する第2熱媒体循環路と、を備えた熱媒体回路と、カスケード熱交換器で前記高元側冷媒と前記低元側冷媒とが熱交換し、熱媒体回路において、熱媒体を第1熱媒体循環路に流すか、または、第2熱媒体循環路に流すかを切り換える第1切換手段と、高元側冷媒回路、低元側冷媒回路、熱媒体回路を制御する制御部と、を備えた二元冷凍装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、二元冷凍装置において、立ち上がり運転を速やかに行うことによる暖房能力の低下を抑制することができる二元冷凍装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施形態に係る二元冷凍装置の冷媒回路図である。
図1B】本発明の実施形態に係る二元冷凍装置の第1モード運転の冷媒の流れを示す図である。
図1C】本発明の実施形態に係る二元冷凍装置の第2モード運転の冷媒の流れを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る二元冷凍装置の制御ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る二元冷凍装置の制御フロー図である。
図4A】本発明の他の実施形態に係る二元冷凍装置の冷媒回路図である。
図4B】本発明の他の実施形態に係る二元冷凍装置の第1モード運転の冷媒の流れを示す図である。
図4C】本発明の他の実施形態に係る二元冷凍装置の第2モード運転の冷媒の流れを示す図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る二元冷凍装置の制御ブロック図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る二元冷凍装置の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る二元冷凍装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
図1Aは、本実施形態の二元冷凍装置1の冷媒回路図である。図2は、本実施形態の二元冷凍装置1における制御ブロック図である。
【実施例0012】
図1A~1Cを参照して、本実施形態である二元冷凍装置1について説明する。図1Aは、本実施形態の二元冷凍装置1の冷媒回路図である。二元冷凍装置1は、利用側熱交換器31を蒸発器として利用する場合には冷房運転に用いられ、利用側熱交換器31を凝縮器として利用する場合には、温水を作る運転、あるいは、暖房運転に用いられることができる冷凍装置である。以下、温水を作る運転と暖房運転をまとめて暖房運転と呼ぶことがある。本実施形態では、暖房運転に用いられる二元冷凍装置について説明する。二元冷凍装置1は、高元側冷媒回路2、低元側冷媒回路3、熱媒体回路4、制御部5を備える。制御部5は、目標温度等のデータ、制御用のソフトウェア等を記憶する記憶手段を含み、二元冷凍装置1を制御する。
【0013】
高元側冷媒回路2は、高元側圧縮機10と高元側熱交換器11と、高元側減圧機構としての高元側膨張弁12と、カスケード熱交換器13とが冷媒配管6で順次接続され、高元側冷媒が循環する。本実施形態では、高元側熱交換器11は、高元側冷媒と熱媒体回路4を流れる熱媒体とが熱交換する熱交換器である。カスケード熱交換器13は、高元側冷媒と低元側冷媒回路3を流れる低元側冷媒とが熱交換する熱交換器である。尚、高元側熱交換器11とカスケード熱交換器13は、液体同士を熱交換できる熱交換機であれば、例えば、プレート式熱交換器、二重管熱交換器で構わない。また、本実施形態では、高元側熱交換器11は、高元側冷媒と熱媒体回路4を流れる熱媒体とが熱交換する熱交換器であるが、例えば、図示しない送風機を介して熱媒体としての空気と熱交換する熱交換器であっても構わない。高元側冷媒回路2における矢印は暖房運転時の高元側冷媒の流れを示す。
【0014】
高元側冷媒回路2において、高元側圧縮機10の吐出側には、高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒を高元側熱交換器11の側に流すか、または、カスケード熱交換器13の側に流すかを切り換える高元側四方弁14が接続されている。本実施形態では、高元側四方弁14によって、高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒が高元側熱交換器11の側へ流れる場合(暖房運転)について説明する。従って、高元側冷媒回路2においては、高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒は、高元側熱交換器11、高元側膨張弁12、カスケード熱交換器13を流れて、高元側圧縮機10に吸入される。
【0015】
低元側冷媒回路3は、第1循環路23と第2循環路26を有している。第1循環路23は、低元側圧縮機20と、高元側冷媒回路2に接続されたカスケード熱交換器13と、低元側第1減圧機構としての低元側第1膨張弁21と、熱源側熱交換器22とが冷媒配管6で順次接続され、低元側冷媒が循環する。熱源側熱交換器22は、低元側冷媒と外気とが熱交換する熱交換器である。熱源側熱交換器22には、熱源側熱交換器22を流れる低元側冷媒の凝縮温度を測定する凝縮温度検出センサ22aが設けられている。また、カスケード熱交換器13は、低元側冷媒と高元側冷媒回路2を流れる高元側冷媒とが熱交換する熱交換器である。カスケード熱交換器13には、カスケード熱交換器13を流れる低元側冷媒の凝縮温度(冷媒凝縮温度)を測定する凝縮温度検出センサ13aと当該低元側冷媒の出口温度を測定する出口温度検出センサ13bとが設けられている。低元側冷媒回路3における矢印は低元側冷媒の流れを示す。
【0016】
低元側冷媒回路3は、低元側圧縮機20とカスケード熱交換器13との間と、低元側第1膨張弁21と熱源側熱交換器22との間とを、低元側熱交換器24および低元側第2減圧機構としての低元側第2膨張弁25が設けられた冷媒配管で接続し、低元側圧縮機20と、低元側熱交換器24と、低元側第2膨張弁25と、熱源側熱交換器22とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する第2循環路26を備えている。低元側熱交換器24は、蓄熱材を備えた第1蓄熱部を有し、低元側冷媒と熱媒体回路4を流れる熱媒体とが熱交換する熱交換器である。低元側熱交換器24には、低元側熱交換器24を流れる低元側冷媒の凝縮温度を測定する凝縮温度検出センサ24aと当該低元側冷媒の出口温度を測定する出口温度検出センサ24bとが設けられている。また、熱媒体回路4を流れる熱媒体が当該低元側熱交換器24に流入する際の温度である熱媒体戻り温度を測定する熱媒体戻り温度検出センサ24cも設けられている。尚、低元側熱交換器24は、液体同士を熱交換できる熱交換機であれば、例えば、プレート式熱交換器、二重管熱交換器で構わない。
【0017】
低元側冷媒回路3において、低元側圧縮機20の吐出側には、低元側圧縮機20から吐出される低元側冷媒を、カスケード熱交換器13の側および低元側熱交換器24の側に流すか、または、熱源側熱交換器22の側に流すかを切り換える低元側四方弁27が接続されている。本実施形態では、低元側四方弁27によって、低元側圧縮機20から吐出される低元側冷媒がカスケード熱交換器13の側および低元側熱交換器24の側へ流れる場合(暖房運転)について説明する。この場合、低元側冷媒回路3においては、低元側圧縮機20から吐出された低元側冷媒は、カスケード熱交換器13、低元側第1膨張弁21、熱源側熱交換器22を流れて、低元側圧縮機20に吸入され、また、低元側圧縮機20から吐出された低元側冷媒は、低元側熱交換器24、低元側第2膨張弁25、熱源側熱交換器22を流れて、低元側圧縮機20に吸入される。
【0018】
低元側冷媒回路3において、低元側圧縮機20、熱源側熱交換器22、低元側四方弁27は、第1循環路23および第2循環路26において共通に用いられる構成である。
【0019】
熱媒体回路4は、第1循環ポンプ30と、利用側熱交換器31と、低元側熱交換器24と、高元側熱交換器11とが配管32で順次接続され、熱冷媒としての水が循環する。なお、熱媒体として水の代わりに不凍液を利用しても良い。利用側熱交換器31は室内に設置された図示しない室内機に設けられており、図示しない送風ファンによって生成された気流により利用側熱交換器31に室内空気が流入する。利用側熱交換器31で、熱媒体としての水と室内機が設置された室内の空気とが熱交換し、熱媒体としての水と熱交換した空気は暖房に用いられる。高元側熱交換器11は、熱媒体としての水と高元側冷媒回路2を流れる高元側冷媒とが熱交換する熱交換器である。低元側熱交換器24は、熱媒体としての水と低元側冷媒回路3を流れる低元側冷媒とが熱交換する熱交換器である。熱媒体回路4における矢印は熱媒体としての水の流れを示す。
【0020】
また、熱媒体回路4は、一端が利用側熱交換器31と低元側熱交換器24との間の配管と接続され、他端が低元側熱交換器24と高元側熱交換器11との間の配管と接続される第1バイパス路33が設けられている。第1バイパス路33の一方には第1三方弁34(第1切換手段)が設けられ、第1三方弁34は、熱媒体としての水が、第1循環ポンプ30、利用側熱交換器31、低元側熱交換器24、高元側熱交換器11、第1循環ポンプ30と循環する第1熱媒体循環路35と、第1循環ポンプ30、利用側熱交換器31、第1バイパス路33、高元側熱交換器11、第1循環ポンプ30と循環する第2熱媒体循環路36とを切り換える。
【0021】
二元冷凍装置1は、熱媒体が第1熱媒体循環路35を流れる第1モード運転と、熱媒体が低元側熱交換器24を流れず第2熱媒体循環路36を流れる第2モード運転を有している。図1Bは、第1モード運転によって、熱媒体が第1熱媒体循環路35を循環する状態を示す。図1Cは、第2モード運転によって、熱媒体が第2熱媒体循環路36を循環する状態を示す。第1モード運転は、低元側冷媒回路3の熱源側熱交換器22によって外気から吸熱した熱を、高元側冷媒回路2の高元側熱交換器11と低元側冷媒回路3の低元側熱交換器24を介して室内の空気へ放熱する暖房運転である。第2モード運転は、利用側熱交換器31から流出し低元側熱交換器24に流入する熱媒体の温度である、熱媒体戻り温度検出センサ24cによって測定される熱媒体戻り温度が、凝縮温度検出センサ24aによって測定される低元側熱交換器24に流入する低元側冷媒の凝縮温度に近づいてきた場合に、熱媒体が低元側熱交換器24を流れず第2熱媒体循環路36を循環する運転である。
【0022】
二元冷凍装置1は、高元側冷媒回路2における高元側冷媒の潜熱を利用し、低元側冷媒回路3における低元側冷媒の潜熱を利用し、熱媒体回路4における熱媒体(水)の顕熱を利用する冷凍装置である。尚、本実施形態では、高元側冷媒回路2における高元側冷媒と低元側冷媒回路3における低元側冷媒は同一の冷媒であるが、必ずしも同一である必要はなく、例えば、高元側冷媒よりも低沸点である低元側冷媒としても構わない。また、熱媒体回路に潜熱変化を利用できる冷媒を利用しても良い。その場合、熱媒体回路4の第1循環ポンプ30は圧縮機に置き換えられ、利用側熱交換器31と低元側熱交換器24の間の経路に減圧機構として膨張弁等が設けられる。
【0023】
二元冷凍装置1では、低元側冷媒回路3の熱源側熱交換器22で外気から吸熱して低温低圧の気相冷媒となった低元側冷媒は低元側圧縮機20で圧縮されて高温高圧の気相冷媒にされ、カスケード熱交換器13を介して高元側冷媒回路2を循環する高元側冷媒に放熱することで高温高圧の液相冷媒になる。カスケード熱交換器13で低元側冷媒から吸熱した低圧の高元側冷媒は高元側圧縮機10で圧縮されて高温高圧の気相冷媒にされ、高元側熱交換器11を介して熱媒体回路4を循環する熱媒体である水に放熱して温水を作り出す。また、二元冷凍装置1では、低元側冷媒回路3の熱源側熱交換器22で外気から吸熱して低温低圧の気相冷媒となった低元側冷媒は低元側圧縮機20で圧縮されて高温高圧の気相冷媒にされ、低元側熱交換器24を介して熱媒体回路4を循環する熱媒体である水に放熱する。そのため、低元側冷媒回路3を循環する低元側冷媒を、熱媒体回路4を循環する熱媒体である水によって凝縮させることができる。
【0024】
従来技術の二元冷凍装置では、立ち上がり運転における高元側冷凍回路の圧縮機の回転数(R1)の低元側冷凍回路の圧縮機の回転数(R2)に対する比(R1/R2)を、定常運転における比よりも高く設定することで、低元側冷凍回路において凝縮されず高圧過昇が生じて低元側冷媒回路の圧縮機が保護停止するのを抑制している。しかし、従来技術では低元側冷凍回路の圧縮機の立ち上がり運転における回転数が制限されるため、立ち上がり運転において、十分な暖房能力を発揮するまでに時間がかかっていた。一方、本実施形態における二元冷凍装置1は、高元側冷媒回路2と第1循環路23および第2循環路26を有する低元側冷媒回路3を備えて、第1モード運転においては、高元側冷媒回路2の高元側熱交換器11、および、低元側冷媒回路3の第2循環路26における低元側熱交換器24で、熱媒体回路4を循環する熱媒体と熱交換する。そのため、低元側冷媒回路3を循環する低元側冷媒と、熱媒体回路4を循環する熱媒体とを、直接、熱交換して凝縮させることができるため、低元側冷凍回路の圧縮機の保護停止を抑制しながら立ち上がり運転を速やかに行うことができる。
【0025】
一方、第1モード運転を継続していると、利用側熱交換器31で熱媒体と熱交換した空気が暖められてくるため、やがて、利用側熱交換器31から流出し低元側熱交換器24に流入する熱媒体の温度(熱媒体戻り温度)が低元側熱交換器24に流入する低元側冷媒の凝縮温度に近づいてくる。その状態においては、低元側熱交換器24で低元側冷媒が凝縮できなくなってしまう。本来、液相状態の低元側冷媒が多く分布する低元側熱交換器24において凝縮していない気相状態の冷媒が多く分布することで、代わりに低元側冷凍回路における他の経路(例えば、低元側圧縮機20の吸入側に設けられた図示しないアキュムレータ)に液相状態の低元側冷媒が過剰に溜まってしまう。そのため、低元側圧縮機20で液圧縮が生じる可能性がある。また、低元側熱交換器24で低元側冷媒が凝縮できるようにするため、低元側圧縮機20の回転数を上げると低元側圧縮機20の信頼性が低下するおそれがある。
【0026】
しかし、本実施形態における二元冷凍装置1は、熱媒体が低元側熱交換器24に流入しないで第2熱媒体循環路36を流れる第2モード運転を有している。第2モード運転は、熱媒体の熱媒体戻り温度が高温となり低元側冷媒の凝縮温度に近づいてきた場合に、熱媒体が低元側熱交換器24を流れず第2熱媒体循環路36を循環する運転である。第2モード運転を行うことにより、高温となった熱媒体が低元側熱交換器24への流入しなくなるため、低元側冷媒が低元側熱交換器24や冷媒配管6を介して周囲の空気と熱交換する。これにより、低元側熱交換器24に流入する低元側冷媒が凝縮できなくなることを抑制することができるので、低元側圧縮機20の回転数を上げずに低元側熱交換器24を凝縮器として利用できる。尚、本実施形態における二元冷凍装置1は、第2モード運転を有しているため、低元側熱交換器24は外周側流路と内周側流路を有する二重管熱交換器であって、外周側流路に低元側冷媒が流れ、内周側流路に熱媒体である水が流れる構造であることが好ましい。これにより低元側冷媒が放熱し易くなり凝縮が容易に行える。
【0027】
次に、図2を参照して、本実施形態の二元冷凍装置1における制御ブロックについて説明する。制御部5は、第1過冷却度算出手段45と第2過冷却度算出手段46と記憶手段47とを備えている。第1過冷却度算出手段45は、カスケード熱交換器13における低元側冷媒の過冷却度を算出する。第2過冷却度算出手段46は、低元側熱交換器24における低元側冷媒の過冷却度を算出する。また、記憶手段47には、例えば、目標温度等のデータ、制御用のソフトウェアや過冷却度を算出するプログラム等が記憶されている。第1過冷却度算出手段45には、凝縮温度検出センサ13aによって測定されるカスケード熱交換器13を流れる低元側冷媒の凝縮温度と出口温度検出センサ13bで測定されるカスケード熱交換器13を流れる低元側冷媒の出口温度とが入力される。第2過冷却度算出手段46には、凝縮温度検出センサ24aで測定される低元側熱交換器24を流れる低元側冷媒の凝縮温度と出口温度検出センサ24bによって測定される低元側熱交換器24を流れる低元側冷媒の出口温度とが入力される。また、制御部5には目標熱媒体温度が入力される。目標熱媒体温度は熱媒体回路4において、第1循環ポンプ30から流出する熱媒体としての水の目標温度である。目標熱媒体温度は、例えば、利用側熱交換器31を用いた暖房運転を行っているときの空調負荷(空調空間の室温と、使用者により定められた設定温度との差)に応じて変更され、空調負荷が大きいほど目標熱媒体温度は大きい値が設定される。
【0028】
また、制御部5には熱媒体戻り温度検出センサ24cによって測定される熱媒体戻り温度、凝縮温度検出センサ22aによって測定される低元側熱交換器22の凝縮温度が入力される。制御部5に入力された熱媒体戻り温度、低元側熱交換器22の凝縮温度に基づき、第1三方弁34の制御を行う。
【0029】
制御部5は、目標熱媒体温度に基づき、高元側圧縮機10と低元側圧縮機20の回転数を決定する。また、第1過冷却度算出手段45により算出されたカスケード熱交換器13における低元側冷媒の過冷却度に基づいて低元側第1膨張弁21の制御を行う。また、第2過冷却度算出手段46により算出された低元側熱交換器24における低元側冷媒の過冷却度に基づいて低元側第2膨張弁25の制御を行う。
【0030】
次に、図3に示す制御フロー図を参照して、本実施形態に係る二元冷凍装置1の制御について説明する。
【0031】
制御部は、まず、第1運転モードを開始する(ST1)。第1運転モードは第1三方弁34を熱媒体が第1熱媒体循環路35を流れるように切換える。次に第1循環ポンプ30を起動させる(ST2)。次に、立ち上がり運転を行う(ST3)。立ち上がり運転は、高元側圧縮機10、低元側圧縮機20を起動させ、高元側膨張弁12、低元側第1膨張弁21および低元側第2膨張弁25の開度を所定の初期開度に維持して、高元側冷媒回路2に高元側冷媒を循環させ、低元側冷媒回路3の第1循環路23および第2循環路26に低元側冷媒を循環させる。初期開度は、二元冷凍装置1が運転を開始してから、高元側冷媒回路2および低元側冷媒回路3が安定するまでの高元側膨張弁12、低元側第1膨張弁21および低元側第2膨張弁25の開度であり、高元側圧縮機10、低元側圧縮機20の性能によって決められ、予め設定される。
【0032】
次に、所定時間を経過したら、立ち上がり運転を終了する(ST4)。所定時間は例えば、10分である。所定時間は、二元冷凍装置1が負荷に応じて収束した安定な運転状態になるまで最低限必要な時間であり実験等により予め決定される。立ち上がり運転終了後、通常運転に切り換える(ST5)。通常運転は、カスケード熱交換器13の出口における低元側冷媒および低元側熱交換器24の出口における低元側冷媒が夫々所定の過冷却度(予め設定された固定値であって、各膨張弁に二相状態の低元側冷媒が流入しないように少なくとも1deg以上の値)になるよう低元側第1膨張弁21および低元側第2膨張弁25を制御する。また、高元側膨張弁12は高元側圧縮機10の吸入過熱度を目標値(予め設定された固定値であって、高元側圧縮機10に吸入される高元側冷媒が適切な冷媒状態となるように1deg以上の値)に制御する吸入過熱度制御を行う。尚、高元側膨張弁12は吸入過熱度制御ではなく目標吐出温度制御や過冷却度制御を行っても構わない。次に、利用側熱交換器31から流失した後の熱媒体戻り温度が所定値(第1所定温度)より低いかどうかを判断する(ST6)。所定値(第1所定温度)は変数であり、例えば、低元側冷媒の凝縮温度よりも2℃低い温度である。ST6の条件は、利用側熱交換器31から流出した後の熱媒体戻り温度と低元側冷媒回路3の凝縮温度検出センサ24aによって測定される低元側熱交換器24に流入する低元側冷媒の凝縮温度との差が、第2所定温度以上であるかどうかで判断してもよい。第2所定温度は、それを下回ると低元側熱交換器24において低元側冷媒が凝縮しなくなり、低元側圧縮機20で液圧縮が生じる可能性が有る値である。熱媒体戻り温度が所定値より低くない場合(ST6のNo)は、第2運転モードを開始する(ST7)。第2運転モードは熱媒体が第2熱媒体循環路36を流れるように第1三方弁34を切換える。熱媒体戻り温度が所定値より低くない場合は、低元側熱交換器24を通過する高温高圧の気相状態の低元側冷媒は放熱することができないが、第2運転モードを行うことにより高温の熱媒体が低元側熱交換器24への流入しなくなる。そのため、低元側熱交換器24に流入する低元側冷媒が低元側熱交換器24や冷媒配管6を介して周囲の空気と熱交換し放熱するので、低元側冷媒が凝縮できなくなることを抑制することができる。次に、低元側熱交換器24の出口における低元側冷媒の過冷却度が目標過冷却度となるように目標過冷却度制御を行う(ST8)。目標過冷却度制御を行うと、低元側第2膨張弁25は過冷却が取れるように閉じる方向に開度が制御され、最終的には閉じられる、もしくは、微開となる。目標過冷却度制御は第2過冷却度算出手段46を介して行う低元側第2膨張弁25の制御である。
【0033】
次に、除霜開始条件が成立したかどうかを判断する(ST9)。除霜開始条件は、例えば外気温が5℃以下で暖房運転を3時間継続させた場合や、熱源側熱交換器22の凝縮温度検出センサ22aによって検出された温度が-15℃以下になった場合である。除霜開始条件が成立した場合(ST9のYes)は、低元側四方弁27を、いわゆる冷房サイクル側に切換えて除霜運転を開始し(ST14)、所定時間経過後に除霜運転を終了する(ST15)。所定時間は、予め設定された時間であり、除霜運転によって熱源側熱交換器22に付着した霜を融解させるのに十分な時間(例えば10分)である。一方、除霜開始条件が成立してない場合(ST9のNo)は、熱媒体戻り温度が所定値より低いかどうかを判断する(ST10)。熱媒体戻り温度が所定値より低くない場合(ST10のNo)は、ST9の前に戻り目標過冷却度制御を継続する。熱媒体戻り温度が所定値より低い場合(ST10のYes)は、第1運転モードに切り換える(ST11)。第1運転モードは熱媒体が第1熱媒体循環路35を流れるように第1三方弁34を切換える。その結果、低元側第2膨張弁25は目標過冷却度制御によって閉若しくは微開状態から開く方向に開度が制御される(ST12)。第1運転モードに切り換えた後、目標過冷却度制御を行うと、低元側熱交換器24を通過する高温高圧の気相状態の低元側冷媒は放熱することができ、凝縮できるので、低元側熱交換器24を通過した後の低元側冷媒の過冷却度が目標過冷却度となるように低元側第2膨張弁25を開く方向に開度が制御される。目標過冷却度制御は第2過冷却度算出手段46を介して行う低元側第2膨張弁25の制御である。目標過冷却度制御を継続してST6の前に戻る。
【0034】
熱媒体戻り温度が所定値より低い場合(ST6のYes)は、除霜開始条件が成立したかどうかを判断する(ST13)。除霜開始条件は、外気温や熱源側熱交換器22の凝縮温度検出センサ22aによって検出された温度に基づき判断する。除霜開始条件が成立した場合(ST13のYes)は、除霜運転を開始し(ST14)、所定時間経過後に除霜運転を終了する(ST15)。一方、除霜開始条件が成立してない場合(ST13のNo)は、ST6の前に戻り熱媒体戻り温度が所定値より低いかどうかを判断する(ST6)。
【0035】
次に、図4A~4Cを参照して、他の実施形態である二元冷凍装置50について説明する。図4Aは、他の実施形態の二元冷凍装置50の冷媒回路図である。図4Bは、本発明の他の実施形態に係る二元冷凍装置50の第1モード運転の冷媒の流れを示す図である。また、図4Cは、本発明の他の実施形態に係る二元冷凍装置50の第2モード運転の冷媒の流れを示す図である。最初の実施形態の二元冷凍装置1と他の実施形態の二元冷凍装置50の相違は、一端が第1三方弁34と低元側熱交換器24との間の配管32に接続され、他端が低元側熱交換器24と第1バイパス路33の他端との間の配管32に接続される第2バイパス路37が設けられている点であり、他の構成は同一である、そのため、最初の実施形態の二元冷凍装置1の構成と同一の構成についての詳細な説明は省略する。また、同一の構成については同一の符号を用いる。
【0036】
二元冷凍装置50は、利用側熱交換器31を蒸発器として利用する場合には冷房運転に用いられ、利用側熱交換器31を凝縮器として利用する場合には、温水を作る運転、あるいは、暖房運転に用いられることができる冷凍装置である。以下、温水を作る運転と暖房運転をまとめて暖房運転と呼ぶことがある。本実施形態では、暖房運転に用いられる二元冷凍装置について説明する。
【0037】
二元冷凍装置50は、高元側冷媒回路2、低元側冷媒回路3、熱媒体回路4、制御部5を備え、制御部5は二元冷凍装置50を制御する。熱媒体回路4は第1バイパス路33と第2バイパス路37を備えている。第1バイパス路33は、一端が利用側熱交換器31と低元側熱交換器24との間の配管32と接続され、他端が低元側熱交換器24と高元側熱交換器11との間の配管と接続される。第2バイパス路37は、一端が第1三方弁34と低元側熱交換器24との間の配管32に接続され、他端が低元側熱交換器24と第1バイパス路33の他端との間の配管32に接続される。
【0038】
第2バイパス路37においては、第2バイパス路37の他端には第2切換手段である第2三方弁38が設けられ、第2バイパス路37の他端から一端に向けて、蓄熱材を有する蓄熱部39(第2蓄熱部に該当する)、第2循環ポンプ40、逆止弁41が設けられている。第2三方弁38は、熱媒体としての水が第1熱媒体循環路35を流れるのと第3熱媒体循環路42を流れるのとで切り換える。蓄熱部39は、低元側熱交換器24によって低元側冷媒から吸熱した熱を熱媒体としての水を介して蓄熱する。また、蓄熱部39には、蓄熱部39の温度を測定する温度検出センサ39aが設けられている。第2循環ポンプ40は熱媒体としての水を第2バイパス路37の他端から一端に向けて流す。逆止弁41は、熱媒体としての水が第2バイパス路37の他端から一端に向けて流れるが、一端から他端に向けては流れないようにする弁である。
【0039】
二元冷凍装置50は、熱媒体が第1熱媒体循環路35を流れる第1モード運転と、熱媒体が第2熱媒体循環路36および第3熱媒体循環路42を流れる第2モード運転を有している。第1モード運転は、低元側冷媒回路3の熱源側熱交換器22で外気から吸熱し、外気から吸熱した熱を高元側冷媒回路2の高元側熱交換器11および低元側冷媒回路3の低元側熱交換器24を介して熱媒体回路4の熱媒体に放熱し、吸熱した熱媒体回路4の熱媒体から室内の空気に放熱する運転である。第2モード運転は、低元側冷媒回路3の熱源側熱交換器22で外気から吸熱し、高元側冷媒回路2を介して熱媒体回路4の熱媒体から室内の空気に放熱する運転と、低元側冷媒回路3の熱源側熱交換器22で外気から吸熱し、外気から吸熱した熱を熱媒体回路4の蓄熱部39に蓄熱する運転とを行う。
【0040】
第1熱媒体循環路35は、熱媒体が、第1循環ポンプ30、利用側熱交換器31、低元側熱交換器24、高元側熱交換器11、第1循環ポンプ30と循環する循環路である。第2熱媒体循環路36は、熱媒体が、第1循環ポンプ30、利用側熱交換器31、第1バイパス路33、高元側熱交換器11、第1循環ポンプ30と循環する循環路である。第3熱媒体循環路42は、熱媒体が、第2バイパス路37の第2循環ポンプ40、逆止弁41、低元側熱交換器24、第2循環ポンプ40と循環する循環路である。
【0041】
次に、図5を参照して、本実施形態の二元冷凍装置50における制御ブロックについて説明する。制御部5は、第1過冷却度算出手段45と第2過冷却度算出手段46と記憶手段47とを備えている。第1過冷却度算出手段45は、カスケード熱交換器13における低元側冷媒の過冷却度を算出する。第2過冷却度算出手段46は、低元側熱交換器24における低元側冷媒の過冷却度を算出する。また、記憶手段47には、例えば、目標温度等のデータ、制御用のソフトウェアや過冷却度を算出するプログラム等が記憶されている。第1過冷却度算出手段45には、上述したように、凝縮温度検出センサ13aによって測定されるカスケード熱交換器13を流れる低元側冷媒の凝縮温度と出口温度検出センサ13bで測定されるカスケード熱交換器13を流れる低元側冷媒の出口温度とが入力される。第2過冷却度算出手段46には、凝縮温度検出センサ24aで測定される低元側熱交換器24を流れる低元側冷媒の凝縮温度と出口温度検出センサ24bで測定される低元側熱交換器24を流れる低元側冷媒の出口温度とが入力される。また、制御部5には目標熱媒体温度が入力される。目標熱媒体温度は熱媒体回路4において、第1循環ポンプ30から流出する熱媒体としての水の目標温度である。目標熱媒体温度は、例えば、利用側熱交換器31を用いた暖房運転行っているときの空調負荷(空調空間の室温と、使用者により定められた設定温度との差)に応じて変更され、空調負荷が大きいほど目標熱媒体温度は大きい値が設定される。
【0042】
また、制御部5には熱媒体戻り温度検出センサ24cによって測定される熱媒体戻り温度、凝縮温度検出センサ22aによって測定される低元側熱交換器24の凝縮温度、温度検出センサ39aで測定される蓄熱部39の温度が入力される。制御部5に入力された熱媒体戻り温度、低元側熱交換器24の温度、蓄熱部39の温度に基づき、第1三方弁34、第2三方弁38、第2循環ポンプ40の制御を行う。すなわち、熱媒体戻り温度が低元側熱交換器24に流入する低元側冷媒の凝縮温度よりも高くなることを防止するため、熱媒体を蓄熱部39で放熱させる。
【0043】
制御部5は、目標熱媒体温度に基づき、高元側圧縮機10と低元側圧縮機20の回転数を決定する。また、カスケード熱交換器13を流れる高元側冷媒の凝縮温度およびカスケード熱交換器13を流れる高元側冷媒の出口温度に基づき、第1過冷却度算出手段45を介して低元側第1膨張弁21の制御を行う。また、低元側熱交換器24を流れる低元側冷媒の凝縮温度および低元側熱交換器24を流れる低元側冷媒の出口温度に基づき、第2過冷却度算出手段46を介して低元側第2膨張弁25の制御を行う。
【0044】
本実施形態の二元冷凍装置50では、第2モード運転において蓄熱部39に蓄熱された熱を、熱源側熱交換器22に着霜した霜を除霜するための除霜運転に用いる。除霜運転は次のように行われる。高元側冷媒回路2の高元側圧縮機10は停止させ、低元側冷媒回路3においては、低元側四方弁27を、いわゆる冷房サイクル側に切換える。すなわち、低元側圧縮機20から吐出される低元側冷媒を、熱源側熱交換器22の側に流れるように切り換え、熱源側熱交換器22を凝縮器として機能させ、カスケード熱交換器13の側および低元側熱交換器24を蒸発器として機能させる。低元側第1膨張弁21および低元側第2膨張弁25は全開に近い開度にする。低元側圧縮機20から吐出された低元側冷媒は熱源側熱交換器22に流入し霜を融かす。熱源側熱交換器22から流出した一部の低元側冷媒は低元側熱交換器24に流入し、蓄熱部39が設けられた第3熱媒体循環路42を循環する熱媒体から吸熱する。熱源側熱交換器22から流出した残りの低元側冷媒はカスケード熱交換器13に流入し、高元側圧縮機10が停止した高元側冷媒回路2に残った熱を吸熱する。吸熱した低元側冷媒は低元側圧縮機20を経由して、再度、熱源側熱交換器22に流入し霜を融かす。
【0045】
図6に示す制御フロー図を参照して、本実施形態に係る二元冷凍装置50の制御について説明する。
【0046】
制御部は、まず、第1運転モードを開始する(ST21)。第1運転モードは第1三方弁34を熱媒体が第1熱媒体循環路35を流れるように切換える。次に第1循環ポンプ30を起動させる(ST22)。次に、立ち上がり運転を行う(ST23)。立ち上がり運転は、高元側圧縮機10、低元側圧縮機20を起動させ、高元側膨張弁12、低元側第1膨張弁21および低元側第2膨張弁25の開度を所定の初期開度に維持して、高元側冷媒回路2に高元側冷媒を循環させ、低元側冷媒回路3の第1循環路23および第2循環路26に低元側冷媒を循環させる。初期開度は、二元冷凍装置1が運転を開始してから、高元側冷媒回路2および低元側冷媒回路3が安定するまでの高元側膨張弁12、低元側第1膨張弁21および低元側第2膨張弁25の開度であり、高元側圧縮機10、低元側圧縮機20の性能によって決められ、予め設定される。
【0047】
次に、所定時間を経過したら、立ち上がり運転を終了する(ST24)。所定時間は例えば、10分である。所定時間は、二元冷凍装置1が負荷に応じて収束した安定な運転状態になるまで最低限必要な時間であり実験等により予め決定される。立ち上がり運転終了後、通常運転に切り換える(ST25)。通常運転は、カスケード熱交換器13の出口における低元側冷媒および低元側熱交換器24の出口における低元側冷媒が所定の過冷却度(予め設定された固定値であって、各膨張弁に二相状態の低元側冷媒が流入しないように少なくとも1deg以上の値)になるよう低元側第1膨張弁21および低元側第2膨張弁25を制御する。また、高元側膨張弁12は高元側圧縮機10の吸入過熱度を目標値(予め設定された固定値であって、高元側圧縮機10に吸入される高元側冷媒が適切な冷媒状態となるように1deg以上の値)に制御する吸入過熱度制御を行う。尚、高元側膨張弁12は吸入過熱度制御ではなく目標吐出温度制御や過冷却度制御を行っても構わない。次に、利用側熱交換器31から流失した後の熱媒体戻り温度が所定値(第1所定温度)より低いかどうかを判断する(ST26)。所定値(第1所定温度)は変数であり、例えば、低元側冷媒の凝縮温度よりも2℃低い温度である。ST26の条件は、利用側熱交換器31から流出した後の熱媒体戻り温度と低元側冷媒回路3の凝縮温度検出センサ24aによって測定される低元側熱交換器24に流入する低元側冷媒の凝縮温度との差が、第2所定温度以上であるかどうかで判断してもよい。第2所定温度は、それを下回ると低元側熱交換器24において低元側冷媒が凝縮しなくなり、低元側圧縮機20で液圧縮が生じる可能性が有る値である。熱媒体戻り温度が所定値より低くない場合(ST26のNo)は、第2運転モードを開始する(ST27)。第2運転モードは熱媒体が第2熱媒体循環路36を流れるように第1三方弁34を切換え、外気から吸熱した熱を熱媒体回路4の蓄熱部39に蓄熱する運転である。第2運転モードを所定時間行って蓄熱部39への蓄熱を完了する(ST28)。次に、低元側熱交換器24の出口における低元側冷媒の過冷却度が目標過冷却度となるように目標過冷却度制御を行う(ST29)。目標過冷却度制御を行うと、低元側第2膨張弁25は過冷却が取れるように閉じる方向に開度が制御され、最終的には閉じられる、もしくは、微開となる。目標過冷却度制御は第2過冷却度算出手段46を介して行う低元側第2膨張弁25の制御である。
【0048】
次に、除霜開始条件が成立したかどうかを判断する(ST30)。除霜開始条件は、例えば、外気温が5℃以下で暖房運転を3時間継続させた場合や熱源側熱交換器22の凝縮温度検出センサ22aに基づき検出された温度が-15℃以下になった場合である。除霜開始条件が成立した場合(ST30のYes)は、低元側四方弁27を、いわゆる冷房サイクル側に切替えて除霜運転を開始し(ST35)、所定時間経過後に除霜運転を終了する(ST36)。所定時間は、予め設定された時間であり、除霜運転によって熱源側熱交換器22に付着した霜を融解させるのに十分な時間(例えば10分)である。一方、除霜開始条件が成立してない場合(ST30のNo)は、熱媒体戻り温度が所定値より低いかどうかを判断する(ST31)。熱媒体戻り温度が所定値より低くない場合(ST31のNo)は、ST30の前に戻り目標過冷却度制御を継続する。熱媒体戻り温度が所定値より低い場合(ST31のYes)は、第1運転モードに切り換える(ST32)。第1運転モードは熱媒体が第1熱媒体循環路35を流れるように第1三方弁34を切換える。その結果、低元側第2膨張弁25は目標過冷却度制御によって、閉若しくは微開状態から開く方向に開度が制御される(ST33)。第1運転モードに切り換えた後、目標過冷却度制御を行うと、低元側熱交換器24を通過する高温高圧の気相状態の低元側冷媒は放熱することができ、凝縮できるので、低元側熱交換器24を通過した後の低元側冷媒の過冷却度が目標過冷却度となるように低元側第2膨張弁25を開く方向に開度が制御される。目標過冷却度制御は第2過冷却度算出手段46を介して行う低元側第2膨張弁25の制御である。目標過冷却度制御を継続してST26の前に戻る。
【0049】
熱媒体戻り温度が所定値より低い場合(ST26のYes)は、除霜開始条件が成立したかどうかを判断する(ST34)。除霜開始条件は、上述したような外気温や熱源側熱交換器22の凝縮温度検出センサ22aに基づき検出された温度に関する条件である。除霜開始条件が成立した場合(ST34のYes)は、蓄熱部39の蓄熱温度が所定値より高いかどうかを判断する(ST37)。所定値は、予め試験等により定められ、除霜運転に利用できる十分な蓄熱量が得られていると判断できる温度である。蓄熱部39の蓄熱温度が所定値より高い場合は(ST37のYes)、除霜運転を開始し(ST35)、所定時間経過後に除霜運転を終了する(ST36)。一方、蓄熱部39の蓄熱温度が所定値より高くない場合は(ST37のNo)、第2運転モードを開始する(ST38)。第2運転モードは熱媒体が第2熱媒体循環路を流れるように第1三方弁34を切換え、外気から吸熱した熱を熱媒体回路4の蓄熱部39に蓄熱する運転である。第2運転モードを所定時間行って蓄熱部39への蓄熱を完了する(ST39)。次に、除霜運転を開始し(ST35)、所定時間経過後に除霜運転を終了する(ST36)。
【0050】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0051】
1…二元冷凍装置、2…高元側冷媒回路、3…低元側冷媒回路、4…熱媒体回路、5…制御部、6…冷媒配管、10…高元側圧縮機、11…高元側熱交換器、12…高元側膨張弁、13…カスケード熱交換器、13a…凝縮温度検出センサ、13b…出口温度検出センサ、14…高元側四方弁、20…低元側圧縮機、21…低元側第1膨張弁、22…熱源側熱交換器、22a…凝縮温度検出センサ、23…第1循環路、24…低元側熱交換器、24a…凝縮温度検出センサ、24b…出口温度検出センサ、24c…熱媒体戻り温度検出センサ、25…低元側第2膨張弁、26…第2循環路、27…低元側四方弁、30…第1循環ポンプ、31…利用側熱交換器、32…配管、33…第1バイパス路、34…第1三方弁、35…第1熱媒体循環路、36…第2熱媒体循環路、37…第2バイパス路、38…第2三方弁、39…蓄熱部、39a…温度検出センサ、40…第2循環ポンプ、41…逆止弁、42…第3熱媒体循環路、45…第1過冷却度算出手段、46…第2過冷却度算出手段、47…記憶手段、50…二元冷凍装置
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高元側圧縮機と、高元側熱交換器と、高元側減圧機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側冷媒回路と、
低元側圧縮機と、前記カスケード熱交換器と、低元側第1減圧機構と、熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する第1循環路と、
前記第1循環路における、前記低元側圧縮機と前記カスケード熱交換器との間と、前記低元側第1減圧機構と前記熱源側熱交換器との間とを、低元側熱交換器および低元側第2減圧機構が設けられた冷媒配管で接続し、前記低元側圧縮機と、前記低元側熱交換器と、前記低元側第2減圧機構と、前記熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、前記低元側冷媒が循環する第2循環路とを備える、低元側冷媒回路と、
第1循環ポンプと、利用側熱交換器と、前記低元側熱交換器と、前記高元側熱交換器とが、配管で順次接続されて熱媒体が循環し、前記高元側熱交換器で前記高元側冷媒と前記熱媒体とが熱交換し、前記低元側熱交換器で前記低元側冷媒と前記熱媒体とが熱交換する第1熱媒体循環路と、
前記第1熱媒体循環路における、前記利用側熱交換器と前記低元側熱交換器との間と、前記低元側熱交換器と前記高元側熱交換器との間とを接続する第1バイパス路を備え、前記第1循環ポンプと、前記利用側熱交換器と、前記第1バイパス路と、前記高元側熱交換器とが配管で順次接続され、前記熱媒体が循環する第2熱媒体循環路と、を備えた熱媒体回路と、
前記カスケード熱交換器で前記高元側冷媒と前記低元側冷媒とが熱交換し、
前記熱媒体回路において、前記熱媒体を第1熱媒体循環路に流すか、または、前記第2熱媒体循環路に流すかを切り換える第1切換手段と、
前記高元側冷媒回路、前記低元側冷媒回路、前記熱媒体回路を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする二元冷凍装置。
【請求項2】
前記制御部は、二元冷凍装置を起動する際に、前記高元側圧縮機、前記低元側圧縮機および前記第1循環ポンプを起動させるとともに、前記熱媒体が第1熱媒体循環路を流れるように前記第1切換手段を切り換えることを特徴とする請求項1に記載の二元冷凍装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記利用側熱交換器を通過した熱媒体の温度が第1所定温度を越えた場合、または、前記利用側熱交換器を通過した熱媒体の温度と低元側冷媒回路の前記低元側熱交換器における冷媒凝縮温度との差が、第2所定温度未満の場合は、前記熱媒体が第2熱媒体循環路を流れるように前記第1切換手段を切り換えることを特徴とする請求項2に記載の二元冷凍装置。
【請求項4】
前記低元側冷媒回路において、前記低元側圧縮機の吐出側に接続され、前記低元側圧縮機から吐出する前記低元側冷媒を前記カスケード熱交換器側および前記低元側熱交換器側に流すか、または、前記熱源側熱交換器側に流すかを切り換える四方弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二元冷凍装置。
【請求項5】
前記低元側熱交換器は、蓄熱材を備えた第1蓄熱部を備えていることを特徴とする請求項4に記載の二元冷凍装置。
【請求項6】
前記熱媒体回路において、逆止弁、第2循環ポンプ、および蓄熱材を備えた第2蓄熱部を設けた第2バイパス路を前記第1バイパス路と並列に接続し、前記第2循環ポンプと、前記逆止弁と、前記低元側熱交換器と、前記第2蓄熱部とが冷媒配管で順次接続され、前記熱媒体が循環する第3熱媒体循環路と、
前記熱媒体回路において、前記熱媒体が第1熱媒体循環路を流れるか、または、前記第3熱媒体循環路を流れるかを切り換える第2切換手段と、
前記低元側冷媒回路において、前記低元側圧縮機の吐出側に接続され、前記低元側圧縮機から吐出する前記低元側冷媒を前記カスケード熱交換器側および前記低元側熱交換器側に流すか、または、前記熱源側熱交換器側に流すかを切り換える四方弁と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の二元冷凍装置。
【請求項7】
前記制御部は、二元冷凍装置を起動する際に、前記高元側圧縮機、前記低元側圧縮機および前記第1循環ポンプを起動させるとともに、前記熱媒体が第1熱媒体循環路を流れるように前記第1切換手段および前記第2切換手段を切り換えることを特徴とする請求項6に記載の二元冷凍装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記利用側熱交換器を通過した熱媒体の温度が第1所定温度を越えた場合、または、前記利用側熱交換器を通過した熱媒体の温度と低元側冷媒回路の前記低元側熱交換器における冷媒凝縮温度との差が、第2所定温度未満の場合は、前記熱媒体が第2熱媒体循環路を流れるように前記第1切換手段を切り換え、前記熱媒体が第3熱媒体循環路を流れるように前記第2切換手段を切り換えることを特徴とする請求項7に記載の二元冷凍装置。
【請求項9】
前記制御部は、除霜開始条件が成立したことをもって、前記蓄熱材の温度が所定温度以上になった場合、前記四方弁を前記熱源側熱交換器側に切り換えて、前記蓄熱材に蓄熱された熱を用いて前記熱源側熱交換器に着霜した霜を除霜するための除霜運転を行うことを特徴とする請求項8に記載の二元冷凍装置。