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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020863
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】パイプ保持具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/08 20060101AFI20240207BHJP
   B21D 7/024 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
F16L3/08 C
B21D7/024 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123379
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】三觜 浩平
【テーマコード(参考)】
3H023
4E063
【Fターム(参考)】
3H023AA05
3H023AB04
3H023AD31
3H023AD54
3H023AD55
4E063AA04
4E063BA03
4E063BC19
4E063CA03
4E063DA04
4E063MA02
(57)【要約】
【課題】パイプのサイズに応じた所望の曲げ半径で当該パイプを容易に曲げることが可能な、パイプ保持具を提供する。
【解決手段】パイプ保持具1は、パイプ100を保持することによって曲げ状態を維持する。保持具1は、2つのアーム2と、2つのアーム2のうちの一方の先端部に取り付け可能であるとともにパイプ100を局所的に保持可能な第1パイプ保持部4と、2つのアーム2のうちの他方の先端部に取り付け可能であるとともにパイプ100を局所的に保持可能な第2パイプ保持部5と、保持部4と保持部5との間に配置されているとともにパイプ100を局所的に保持可能な第3パイプ保持部6と、保持具6に連なっているとともに連結部分6に向かって引っ張ることが可能な線状部材7と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプを保持することによって曲げ状態を維持するための、パイプ保持具であって、
互いに鋭角をなして延在している、2つのアームと、
前記2つのアームのうちの一方の先端部に取り付け可能であるとともに、前記パイプを局所的に保持可能な、第1パイプ保持部と、
前記2つのアームのうちの他方の先端部に取り付け可能であるとともに、前記パイプを局所的に保持可能な、第2パイプ保持部と、
前記第1パイプ保持部と前記第2パイプ保持部との間に配置されているとともに、前記パイプを局所的に保持可能な、第3パイプ保持部と、
前記第3パイプ保持部に連なっているとともに、当該第3パイプ保持部が前記2つのアームの連結部分に接近するように当該連結部分に向かって引っ張ることが可能な、線状部材と、
を備えている、パイプ保持具。
【請求項2】
前記2つのアームの前記連結部分と前記線状部材とにそれぞれ、当該線状部材の引っ張り量を互いの相対関係によって目視可能な表示部が設けられている、請求項1に記載されたパイプ保持具。
【請求項3】
前記第1パイプ保持部と前記第2パイプ保持部とはそれぞれ、前記アームに対して回転可能である、請求項1に記載されたパイプ保持具。
【請求項4】
前記アームは、前記第1パイプ保持部又は前記第2パイプ保持部を通して挿入された、前記第1パイプ保持部又は前記第2パイプ保持部を固着物に対して固定させるための締結要素を貫通させるための貫通孔を有している、請求項1に記載されたパイプ保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、住宅の給水給湯配管や空調配管等に用いられるパイプを保持することによって当該パイプの曲げ状態を維持するための技術としては、例えば、略半円状の樋形状に形成されるとともにパイプの曲げ形状に合わせて湾曲させたパイプホルダを用いることによって、パイプを所望の形状に曲げた状態を維持するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。また、前記技術としては、予め弓なりに曲げたパイプを複数の固定具を用いて局所的に支持するものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-285657号公報
【特許文献2】特開平8-270837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その一方で、パイプには、当該パイプを曲げることによって生じる、応力集中等の問題に対処するため、当該パイプのサイズごとに最小曲げ半径が決まっている。このため、施工時には通常、前記最小曲げ半径以上の大きな曲げ半径でパイプを配管して設置する必要がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術の場合、適応可能なパイプのサイズがパイプホルダによって一義的に決まってしまう。このため、特許文献1に記載された技術の場合、パイプのサイズごとに、個別のパイプホルダを用意する必要がある。また、特許文献2に記載された技術の場合、パイプを所望の曲げ半径にしたがって曲げることが容易ではない。
【0006】
本発明の目的は、パイプのサイズに応じた所望の曲げ半径にしたがって当該パイプを容易に曲げることが可能な、パイプ保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る、パイプ保持具は、パイプを保持することによって曲げ状態を維持するための、パイプ保持具であって、互いに鋭角をなして延在している、2つのアームと、前記2つのアームのうちの一方の先端部に取り付け可能であるとともに、前記パイプを局所的に保持可能な、第1パイプ保持部と、前記2つのアームのうちの他方の先端部に取り付け可能であるとともに、前記パイプを局所的に保持可能な、第2パイプ保持部と、前記第1パイプ保持部と前記第2パイプ保持部との間に配置されているとともに、前記パイプを局所的に保持可能な、第3パイプ保持部と、前記第3パイプ保持部に連なっているとともに、当該第3パイプ保持部が前記2つのアームの連結部分に接近するように当該連結部分に向かって引っ張ることが可能な、線状部材と、を備えている。本発明に係る、パイプ保持具によれば、パイプのサイズに応じた所望の曲げ半径にしたがって当該パイプを容易に曲げることが可能となる。
【0008】
(2)上記(1)に記載されたパイプ保持具は、前記2つのアームの前記連結部分と前記線状部材とにそれぞれ、当該線状部材の引っ張り量を互いの相対関係によって目視可能な表示部が設けられていることが好ましい。この場合、パイプが所望の曲げ半径にしたがって曲がっている状態かどうかを容易に判断することができる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)に記載されたパイプ保持具において、前記第1パイプ保持部と前記第2パイプ保持部とはそれぞれ、前記アームに対して回転可能である。この場合、パイプの曲げを所望の最小曲げ半径により近い曲げとすることができる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載されたパイプ保持具において、前記アームは、前記第1パイプ保持部又は前記第2パイプ保持部を通して挿入された、前記第1パイプ保持部又は前記第2パイプ保持部を固着物に対して固定させるための締結要素を貫通させるための貫通孔を有しているものとすることができる。この場合、パイプ保持具を、当該パイプ保持具が固定される固着物に対して容易に固定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パイプのサイズに応じた所望の曲げ半径にしたがって当該パイプを容易に曲げることが可能な、パイプ保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る、パイプ保持具を概略的に示す平面図であり、パイプが曲げられる前の状態が当該パイプとともに示されている。
図2図1に示すパイプが、同図のパイプ保持具を用いることによって所望の曲げ半径にしたがって曲げられた状態を概略的に示す平面図である。
図3図1のパイプ保持具に適用可能な、第1又は第2パイプ保持部及びアームの一例を締結要素とともに概略的に示す斜視図である。
図4図1のパイプ保持具に適用可能な、第3パイプ保持部の一例をパイプとともに概略的に示す斜視図である。
図5図1のパイプ保持具に適応可能な、線状部材の固定手段の一例を概略的に示す断面図である。
図6図1のパイプ保持具に適応可能な、線状部材の固定手段の他の例を概略的に示す平面図である。
図7図1のパイプ保持具に適応可能な、アームの他の例を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、パイプ保持具について説明をする。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る、パイプ保持具1を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示すパイプ100が、パイプ保持具1を用いることによって所望の曲げ半径Rで曲げられた状態を概略的に示す平面図である。
【0015】
図1を参照すれば、パイプ保持具1は、例えば、住宅の給水給湯配管や空調配管等に用いられるパイプ100を保持することによって、当該パイプの曲げ状態を維持するための、パイプ保持具である。パイプ保持具1は、2つのアーム2と、2つのアーム2のうちの一方の先端部2aに取り付け可能であるとともにパイプ100を局所的に保持可能な第1パイプ保持部3と、2つのアーム2のうちの他方の先端部2aに取り付け可能であるとともにパイプ100を局所的に保持可能な第2パイプ保持部4と、第1パイプ保持部3と第2パイプ保持部4との間に配置されているとともにパイプ100を局所的に保持可能な第3パイプ保持部5と、第3パイプ保持部5に連なっているとともに当該第3パイプ保持部5が2つのアーム2の連結部分6に接近するように当該連結部分6に向かって引っ張ることが可能な線状部材7と、を備えている。
【0016】
アーム2は、軸線L2に沿って延在する長尺部材である。前記長尺部材は、例えば、平らな平板部材、又は、断面形状が丸形、角形又は楕円形の棒状部材とすることができる。本開示において、アーム2は、平板部材としている。
【0017】
本開示において、アーム2と連結部分6とは一体に形成されている。本開示において、2つのアーム2は、連結部分6から先端部2a(第1パイプ保持部3又は第2パイプ保持部4)までの長さが等しい。この場合、第1パイプ保持部3と第2パイプ保持部4との間の中心を維持しつつパイプ100を均等に曲げることができる。ただし、2つのアーム2の長さは、異なっていてもよい。また、パイプ保持具1は、図1に示すように、平面視において、線状部材7の中心軸線(延在方向軸線)L7を挟んで線対称な形状である。本開示において、2つのアーム2は、連結部分6から角度αの鋭角で広がるように、アーム2の延在方向軸線(軸線L2)に沿って延在している。
【0018】
本開示において、アーム2及び連結部分6は、例えば、アルミニウム合金等の金属、エンジニアリングプラスチック等の樹脂によって形成することができる。
【0019】
第1パイプ保持部3は、パイプ100の任意の部位(位置)を局所的に保持することができる。第2パイプ保持部4は、パイプ100の任意の位置であって、第1パイプ保持部3が保持する部位(位置)と異なる部位(位置)を局所的に保持することができる。第3パイプ保持部5は、第1パイプ保持部3が保持する部位(位置)と、第2パイプ保持部4が保持する部位(位置)との間の、これらの部位(位置)と異なる部位(位置)を保持する。第3パイプ保持部5は線状部材7の動きに追従して動くため、必ずしも常に、第1パイプ保持部3と第2パイプ保持部4とを結ぶ線分(例えば、パイプ100の軸線L100)上にある必要はない。つまり、第3パイプ保持部5は、2つのアーム2のなす鋭角(α)の範囲内(具体的には、当該鋭角(α)の範囲内であって、上記の線分上(軸線L100上)にあるか、又は当該線分上(軸線L100上)よりも線状部材7の軸線L7の延在方向における外側であることが好ましい。より具体的には、第3パイプ保持部5は、鋭角(α)の範囲内であって、当該線分上(軸線L100上)よりも線状部材7の軸線L7の延在方向における、パイプ100の曲げ中心側にあることが好ましい。)にあればよい。
【0020】
線状部材7は、軸線L7に沿って延在する、ひも状の部材である。線状部材7は、引っ張られることによって、線状部材7の延在方向軸線(軸線L7)に沿って延在する。線状部材7は、例えば、金属、エンジニアリングプラスチック等の樹脂、ひも、糸等によって形成することができる。ただし、線状部材7は、引っ張られない状態で、予め軸線L2に沿って延在しているものであってもよい。
【0021】
線状部材7は、環状に巻き取ることができる、柔軟性を有していることが好ましい。この場合、線状部材7を引っ張ったときに、線状部材7のうちの引っ張り出された部分を巻き取ることができる。これによって、引っ張り出された線状部材7がパイプ保持具1の周辺と干渉しにくくなる。したがって、この場合、パイプ100の配管スペースが広く確保できないときに有効である。ただし、線状部材7は巻き取ることができない硬さ(厚さ、太さ)の材料によって形成してもよい。例えば、パイプ100の配管スペースが広く確保できるときなどの場合、引っ張り出された線状部材7は、例えば、金属ワイヤー、金属プレートとすることができる。
【0022】
図1中、符号L100は、パイプ100の軸線(パイプ100の延在方向軸線)である。図1に示すように、パイプ保持具1は、パイプ100の延在方向(軸線L100)に間隔を置いて配置された、当該パイプ100の2つの部位を、第1パイプ保持部3と第2パイプ保持部4とによって保持し、さらに、パイプ100の前記2つの部位の間の長さ方向(延在方向)中間に位置する当該パイプ100の部位を、第3パイプ保持部5によって保持する。次いで、第3パイプ保持部5に連なる線状部材7を、図1の矢印に示すように、第3パイプ保持部5が2つのアーム2の連結部分6に接近するように当該連結部分6に向かって引っ張る。これによって、パイプ100は、図2に示すように、線状部材7の引っ張り量に応じた、所望の曲げ半径で曲げることができる。
【0023】
本開示において、パイプ100は、可撓性のある樹脂管である。ここで、「可撓性のある樹脂管」とは、外力を加えることによって曲げ変形を生じさせても破断しない樹脂管である。前記樹脂管の具体例としては、弾性率が200~900MPaであり、5%程度の材料歪があっても破断することがない材料からなる樹脂管が挙げられる。また、前記材料の具体例としては、ポリブテン又は架橋ポリエチレン(PEX)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。パイプ100は、例えば、建築物に配設される給水又は給湯用の配管構造に好適に用いられるものである。ただし、パイプ100は、水以外の流体(液体、気体)用の配管構造にも使用できる。また、パイプ100の呼び径は、例えば、10~25等である。
【0024】
その一方で、こうしたパイプにおいて、当該パイプには、そのサイズごとに最小曲げ半径が決まっている。このため、パイプは通常、当該パイプのサイズごとに予め定められた最小曲げ半径を守って曲げ変形させることによって、所望の位置に配設される。
【0025】
ここで、パイプについて「予め定められた最小曲げ半径」とは、そのパイプの製造者によって、あるいは、そのパイプに関連する協会(例えば、架橋ポリエチレン管工業会)又は規格によって、推奨又は規定される、管の配管施工時の最小曲げ半径(曲げ半径の最小値)をいう。例えば、架橋ポリエチレン管工業会では、架橋ポリエチレン製のパイプの最小曲げ半径の推奨値(目安)がパイプの呼び径毎に定められているが、いずれの呼び径においても、パイプの外径Dの約10倍に相当する最小曲げ半径が定められている(架橋ポリエチレン管工業会の技術資料 第5章 施工基準(5) 曲げ配管 1)。また、株式会社ブリヂストンにより製造販売されるポリブテン製のパイプについては、同社により、最小曲げ半径として、パイプの外径Dの10倍が推奨されている。
【0026】
これに対し、パイプ保持具1によれば、線状部材7の引っ張り量を調整しながら、当該線状部材を引っ張ることよって、パイプ100のサイズに応じた所望の曲げ半径Rにしたがって当該パイプ100を容易に曲げることが可能となる。なお、ここで、「所望の曲げ半径Rにしたがって当該パイプ100を曲げる」とは、「パイプ100の曲げ半径が半径Rに近づくように曲げる」ことを意味し、必ずしも、パイプ100の曲げ半径を半径Rに一致させることを求めるものではない。
【0027】
特に、本開示において、パイプ保持具1は、2つのアーム2の連結部分6と線状部材7とにそれぞれ、当該線状部材7の引っ張り量を互いの相対関係によって目視可能な表示部8が設けられている。この場合、パイプ100が所望の曲げ半径にしたがって曲がっている状態かどうかを容易に判断することができる。
【0028】
本開示において、表示部8には、2つのアーム2の連結部分6に設けられた基準表示部8aと、線状部材7に設けられた目盛表示部8bとが含まれる。
【0029】
基準表示部8aは、線状部材7の動きに追従して動くことのない、当該線状部材7の動きを判断するための基準となる表示部である。基準表示部8aは、例えば、図形、記号、色、模様、文字もしくは形状またはこれらの組み合わせによって構成されている。本開示において、基準表示部8aは、三角形の図形である。
【0030】
目盛表示部8bは、線状部材7の動きに合わせて移動し、基準表示部8aとの関係でパイプ100が所望の最小曲げ半径にしたがって曲がっているかどうか判断するための表示部である。目盛表示部8bには、複数の目盛表示部が含まれる。目盛表示部8bは、線状部材7の長さ方向(延在方向)において、間隔を置いて配置されている。本開示において、目盛表示部8bには、例示的に、4つの目盛表示部(8b1~8b4)が含まれる。具体的には、目盛表示部8b1は、パイプ100が呼び径20Jであるときの目印である。図2に示すように、基準表示部8aが目盛表示部8b1を示すときには、パイプ100は、呼び径20Jのパイプの最小曲げ半径で曲がっていることを示している。より具体的に、上からの目視(平面視)で、目盛表示部8b1が基準表示部8aに隠れずに見えているときには、最小曲げ半径以上の曲げ半径で曲がっていることを示し、目盛表示部8b1が基準表示部8aにちょうど接している(すなわち、基準表示部8aが目盛表示部8b1を指し示す)ときには、最小曲げ半径で曲がっていることを示し、目盛表示部8b1が連結部分6に隠れて見えないときには、最小曲げ半径より小さい曲げ半径で曲がっていることを示す。以下、目盛表示部8b2は、パイプ100が呼び径16であるときの目印、目盛表示部8b3は、パイプ100が呼び径13であるときの目印、目盛表示部8b4は、パイプ100が呼び径10Jであるときの目印である。この場合、パイプ100が所望の曲げ半径にしたがって曲がっている状態かどうかを容易に判断することができるとともに、パイプ100を、そのサイズに応じた所望の曲げ半径で容易に曲げることができる。
【0031】
なお、目盛表示部8bもまた、例えば、図形、記号、色、模様、文字もしくは形状またはこれらの組み合わせによって構成されている。本開示において、目盛表示部8bは、例えば、緑色、青色、赤色、黄色等の、異なる色である。
【0032】
また、図2に示すように、第1パイプ保持部3と第2パイプ保持部4とはそれぞれ、アーム2に対して回転可能である。この場合、第1パイプ保持部3と第2パイプ保持部4とはそれぞれ、パイプ100の曲げに追従して回転する。このため、パイプ100は、第1パイプ保持部3で保持される部位と、第2パイプ保持部4で保持される部位とのいずれの部位でも、パイプ100が曲がることによって生じ得る、不要な応力集中を抑えることができる。したがって、この場合、パイプ100に不要な負荷を与えることなく、当該パイプ100を所望の曲げ半径Rにより近い曲げ半径で曲げることができる。本開示において、第1パイプ保持部3と第2パイプ保持部4とはそれぞれ、2つのアーム2を含むX-Y平面に対する直交するZ軸線の周りを周方向に回転可能である。この場合、第1パイプ保持部3と第2パイプ保持部4とはそれぞれ、パイプ100の曲げに追従してZ軸回りに回転する。
【0033】
ここで、図3は、パイプ保持具1に適用可能な、第1又は第2パイプ保持部3、4及びアーム2の一例を締結要素とともに概略的に示す斜視図である。
【0034】
アーム2は、第1パイプ保持部3又は第2パイプ保持部4を通して挿入された、第1パイプ保持部3又は第2パイプ保持部4を固着物に対して固定させるための締結要素9を貫通させるための貫通孔A2を有している。この場合、パイプ保持具1を、建物の床、壁等の固着物に対して容易に固定することができる。
【0035】
図3に示すように、本開示において、アーム2の先端部2aは、平らな板状である。本開示において、第1パイプ保持部3又は第2パイプ保持部4の少なくともいずれか一方には、図3に示すような、既存のパイプサドル10を採用することができる。本開示において、第1パイプ保持部3及び第2パイプ保持部4は、既存のパイプサドル10である。パイプサドル10は、例えば、パイプ100を保持するためのパイプホルダ11と、パイプホルダ11に連なっているベース12とを備えている。ベース12は、締結要素9を貫通させるための貫通孔A1を有している。これによって、パイプサドル10に形成された貫通孔A1と、アーム2の先端部2aに形成された貫通孔A2と、を通して、締結要素9を前記固着物に対して固定すれば、パイプ保持具1を前記固着物に対して容易に固定することができる。また、この場合、パイプサドル10を、締結要素9の周りを周方向に回転させることによって、第1パイプ保持部3と第2パイプ保持部4とはそれぞれ、アーム2に対して2つのアーム2を含むX-Y平面に対する直交するZ軸線の周りを周方向に回転可能となる。
【0036】
なお、締結要素9は、例えば、ねじ、ボルトとすることができる。締結要素9がボルトの場合、前記固着物に固定するほか、ナットを取り付けることができる。この場合、パイプ保持具1は、締結要素9以外の他の手段によって、前記固着物に対して固定することができる。
【0037】
第3パイプ保持部5には、第1パイプ保持部3又は第2パイプ保持部4と同様、既存のパイプサドル10を採用することができる。
【0038】
これに対し、図4は、パイプ保持具1に適用可能な、第3パイプ保持部5の一例をパイプ100とともに概略的に示す斜視図である。
【0039】
図4の例において、第3パイプ保持部5は、帯状部材(バンド)51によって形成されている。この例では、帯状部材51の2つの端部51aのうちの一方を、パイプ100の前から後に回した後に再び前に回すことによって、当該パイプ100に帯状部材51を引っ掛けたのち、当該帯状部材51の2つの端部51aを固定している。線状部材7は、帯状部材51の2つの端部51aの少なくともいずれか一方に取り付ける。これによって、線状部材7を引っ張れば、パイプ100を曲げることができる。
【0040】
ところで、線状部材7の引っ張りには、釣り具に使用されるリールのような巻き上げ装置を採用することができる。こうした巻き上げ装置は、線状部材7の固定手段として機能を発揮する。具体的には、こうした巻き上げ装置は、線状部材7の引っ張りと、引っ張られた線状部材7の固定と、線状部材7の引っ張りの解除と、を容易に行うことができる。
【0041】
図5には、パイプ保持具1に適用可能な、線状部材7の固定手段の一例が概略的に断面で示されている。この例では、線状部材7は、連結部分6に形成された貫通孔A6を貫通している。線状部材7には、係止突起7aが形成されている。同様に、連結部分6の内側には、貫通孔A6を形作る部分に係止突起6aが形成されている。線状部材7の係止突起7aは、線状部材7の引っ張りによって、連結部分6の内側に形成された係止突起6aに乗り上げた後、図5に示すように、当該係止突起6aに引っ掛かって係止される。これによって、パイプ100が所望の曲げ状態となる位置を維持するように線状部材7を固定することができる。この場合、係止突起7aは、目盛表示部として機能させることもできる。
【0042】
図6は、パイプ保持具1に適用可能な、線状部材7の固定手段の他の例を概略的に示す平面図である。
【0043】
図6を参照すれば、線状部材7は、連結部分6を貫通させることなく、連結部分6の外側に設けられた部材(部位)に通すことができる。この例では、連結部分6の外面には、円筒部61が設けられている。円筒部61の内部には、線状部材7を貫通させることができる。また、この例では、連結部分6の外面には、フック部62が設けられている。連結部分6に向かって引っ張られた線状部材7は、フック部62に巻き付けることによって固定することができる。
【0044】
図7は、パイプ保持具1に適用可能な、アーム2の他の例を概略的に示す斜視図である。図7に示すように、アーム2は、丸棒状のアームとすることができる。この場合、アーム2の先端部2aは、アーム2の延在方向軸線(軸線L2)の周りを周方向に回転させることができる。この場合、アーム2の先端部2aが回転することによって、X-Y平面以外の平面においても、パイプ保持具1を固定することができる。
【0045】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。例えば、第3パイプ保持部5は、パイプ100の延在方向(軸線L100)に沿ってスライドさせることができるように構成することが好ましい。また、パイプ100は、本開示のような、外表面が滑らかなストレートのパイプの他に、蛇腹形状のパイプであってもよい。また、第1パイプ保持部3、第2パイプ保持部4及び第3パイプ保持部5をそれぞれ、アーム2及び線状部材7に対して取り外し可能とするとともに、ビス等を用いて床等に固定することができるものとすることができる。この場合、パイプ100が所定の曲げ状態になったときに、第1パイプ保持部3、第2パイプ保持部4及び第3パイプ保持部5の3か所を床等に固定し、さらに、その後、線状部材7を連結部分6で連結されたアーム2ごと、第1パイプ保持部3、第2パイプ保持部4及び第3パイプ保持部5から取り外すことができる。こうした構成とすれば、線状部材7を引き戻したのち、新たに第1パイプ保持部3、第2パイプ保持部4及び第3パイプ保持部5を取り付けたパイプ保持具1として、また別の場所で使用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1:パイプ保持具, 2:アーム, 3:第1パイプ保持部, 4:第2パイプ保持部, 5:第3パイプ保持部, 6:連結部分, 7:線状部材, 8:表示部, 8a:基準表示部, 8b:目盛表示部, 8b1:目盛表示部, 8b2:目盛表示部, 8b3:目盛表示部, 8b4:目盛表示部, 9:締結要素, 10:パイプサドル, 11:パイプホルダ, 12:ベース, 100:パイプ, L2:軸線(アームの延在方向軸線), L7:軸線(線状部材の延在方向軸線), L100:軸線(パイプの延在方向軸線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7