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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020898
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】乗物
(51)【国際特許分類】
   B62K 23/02 20060101AFI20240207BHJP
   B62K 11/14 20060101ALI20240207BHJP
   B62J 6/16 20200101ALI20240207BHJP
【FI】
B62K23/02
B62K11/14
B62J6/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123441
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】上野 州成
(72)【発明者】
【氏名】長 凌矢
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AF04
3D011AL02
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で、グリップを出力増加側に適宜回転させた状態でも、走行時操作スイッチを容易に操作することができる乗物を提供する。
【解決手段】乗物は、グリップと、走行時操作スイッチと、を備える。前記グリップは、回転操作される。前記走行時操作スイッチは、被押圧部位を備える。前記被押圧部位は、前記グリップの回転軸線に対して垂直な方向に延びる部分を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作されるグリップと、
被押圧部位を備える走行時操作スイッチと、
を備え、
前記被押圧部位は、前記グリップの回転軸線に対して垂直な方向に延びる部分を有する、乗物。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物であって、
前記被押圧部位は、前記回転軸線を中心とする周方向に延びる部分を有する、乗物。
【請求項3】
請求項1に記載の乗物であって、
前記被押圧部位は、前記回転軸線に沿う方向での寸法に比べて、前記回転軸線に垂直な方向での寸法が大きい、乗物。
【請求項4】
請求項1に記載の乗物であって、
前記被押圧部位は、前記回転軸線よりも下方に配置される、乗物。
【請求項5】
請求項1に記載の乗物であって、
停止時に操作される、前記走行時操作スイッチとは別に設けられる停止時操作スイッチを備え、
前記被押圧部位は、前記停止時操作スイッチに対して、前記グリップの軸方向及び周方向のうち少なくとも何れかにおいて離れて配置される、乗物。
【請求項6】
請求項1に記載の乗物であって、
前記走行時操作スイッチは、支点軸を中心として揺動可能に設けられ、
前記被押圧部位を基準として、前記支点軸は、前記グリップと反対側に配置される、乗物。
【請求項7】
請求項6に記載の乗物であって、
前記走行時操作スイッチが配置されるスイッチハウジングを備え、
前記走行時操作スイッチの操作を検出するセンサは、前記被押圧部位を基準として、前記グリップと反対側に配置され、
前記スイッチハウジングにおいて前記グリップに近い側の端部に、前記グリップの回転操作を検出するためのグリップセンサが内蔵される、乗物。
【請求項8】
請求項6に記載の乗物であって、
前記走行時操作スイッチにおいて前記支点軸が配置される部分は、前記グリップの回転軸線に対して垂直な方向での前記被押圧部位の両端よりも内側に配置される、乗物。
【請求項9】
請求項2に記載の乗物であって、
前記被押圧部位は、グリップの回転角度範囲の1/3以上の角度範囲にわたって延びる、乗物。
【請求項10】
請求項1に記載の乗物であって、
前記グリップの基端側に配置されるスイッチハウジングを備え、
上下方向における前記被押圧部位の寸法は、上下方向におけるスイッチハウジングの寸法の1/3以上である、乗物。
【請求項11】
請求項1に記載の乗物であって、
前記グリップの回転軸線に対して垂直な方向における前記被押圧部位の長さが2センチメートル以上である、乗物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、走行時に操作される走行時操作スイッチを備える乗物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転者が握って回転操作されるグリップと、走行時に操作されるスイッチと、を備える乗物が知られている。特許文献1は、この種の乗物を開示する。
【0003】
特許文献1が開示するハイブリッド車両は、ステアリングのために操作されるバーハンドルと、バーハンドルに対して回転させることで推進動力源の出力を調整する出力調整グリップと、を備える。出力調整グリップは、バーハンドルの左右何れか一方に配置される。ブーストボタンが、左右のうち前記出力調整グリップと同じ側に配置され、前記出力調整グリップと一体的に回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-158061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の乗物においては、トルク操作部材が出力調整グリップと一体的に回転するため、構成が複雑になり易い。
【0006】
本開示は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、簡素な構成で、グリップを出力増加側に適宜回転させた状態でも、走行時操作スイッチを容易に操作することができる乗物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本開示の観点によれば、以下の構成の乗物が提供される。即ち、乗物は、グリップと、走行時操作スイッチと、を備える。前記グリップは、回転操作される。前記走行時操作スイッチは、被押圧部位を備える。前記被押圧部位は、前記グリップの回転軸線に対して垂直な方向に延びる部分を有する。
【0009】
これにより、グリップを手で握って適宜回転操作した状態でも、走行時操作スイッチの被押圧部位を親指で押すことが容易である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、出力調整グリップを出力増加側に大きく回転させた状態でも、走行時操作スイッチの操作が容易な乗物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態に係る自動二輪車の全体的な構成を示す後方斜視図。
図2】出力調整グリップ、ケース及びブーストスイッチを示す、背面側から見た斜視図。
図3】ハイブリッド駆動源を制御するための電気的な構成を示すブロック図。
図4】出力調整グリップ、ケース及びブーストスイッチの背面図。
図5】出力調整グリップ、ケース及びブーストスイッチの平面図。
図6】出力調整グリップ、ケース及びブーストスイッチを、出力調整グリップの回転軸線に沿って見た側面図。
図7】ブースト処理に関して制御ユニットが行う処理を説明するフローチャート。
図8】出力特性の変更に関する第1例を示すグラフ。
図9】出力特性の変更に関する第2例を示すグラフ。
図10】出力特性の変更に関する第3例を示すグラフ。
図11】出力特性の変更に関する第4例を示すグラフ。
図12】変形例の出力調整グリップ及びケースを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る自動二輪車1の全体的な構成を示す後方斜視図である。図2は、出力調整グリップ32、ケース31及びブーストスイッチ36を示す斜視図である。図3は、ハイブリッド駆動源50を制御するための電気的な構成を示すブロック図である。図4は、出力調整グリップ32、ケース31及びブーストスイッチ36の背面図である。
【0013】
初めに、自動二輪車(乗物)1について、図1を参照して説明する。以下の説明で、前、後、左、右というときは、特別な記載がない限り、自動二輪車1に乗車した運転者から見た向きを意味する。前後方向は車長方向に一致し、左右方向は車幅方向に一致する。また、鉛直方向(上下方向)は高さ方向に一致する。
【0014】
図1に示すように、自動二輪車1は、車体10と、前輪11と、後輪12と、を備える。
【0015】
本実施形態において、自動二輪車1は、駆動輪となる後輪12を駆動するエンジン21と駆動モータ30とを備える。エンジン21と駆動モータ30とにより、ハイブリッド駆動源(推進駆動源)50が構成されている。従って、自動二輪車1は、ハイブリッド車両である。本実施形態においては、エンジン21を停止させた状態でも駆動モータ30の駆動力のみで走行可能なハイブリッド方式が採用されている。後輪12には、状況に応じて、エンジン21及び駆動モータ30のうち何れか一方からの駆動力が単独で伝達されたり、両方の駆動力が合成されて伝達されたりする。
【0016】
エンジン21は、車体10の前後方向の中央近傍に設けられている。言い換えると、エンジン21は、前輪と後輪との前後方向間に配置される。本実施形態において、エンジン21はガソリンエンジンであり、燃料タンク28に貯留された燃料を用いて駆動力を発生させる。
【0017】
駆動モータ30は、エンジン21の近傍に配置されている。駆動モータ30は、自動二輪車1の適宜の位置に配置された図略の充電池により駆動される。充電池の構成は任意であるが、例えば、リチウムイオンを用いた電池とすることが考えられる。
【0018】
車体10の後部には、スイングアーム22が配置されている。スイングアーム22の後部には、後輪12が回転可能に取り付けられている。ハイブリッド駆動源50で発生した動力は、ドライブチェーン23を介して後輪12に伝達される。これにより、自動二輪車1を走行させることができる。
【0019】
車体10の前部には、図略のアッパーブラケット及びロアブラケット等を介して、フロントフォーク24が取り付けられている。フロントフォーク24は、正面視で前輪11を挟むように左右1対で配置されている。フロントフォークの左右間には、予め定める操舵軸線が設定される。フロントフォーク24の上端の近傍には、ステアリングのために操作されるバーハンドル25が配置されている。バーハンドル25の左右方向両端には、運転者が把持するためのグリップがそれぞれ形成される。左右のグリップを把持した運転者がバーハンドル25を操舵軸線周りに回転させると、フロントフォーク24を介して前輪11が旋回する。これにより、自動二輪車1の進行方向を変更することができる。
【0020】
バーハンドル25には、サイドミラー26が左右1対で配置されている。バーハンドル25の前方であって、車幅方向の中央近傍には、メータ装置27が配置されている。メータ装置27は、エンジン回転速度、車速、変速段及びその他の情報を表示することができる。
【0021】
バーハンドル25の後方であって、エンジン21の上方には、エンジン21に供給するための燃料が貯留される燃料タンク28が配置されている。燃料タンク28の後方には、運転者が着座するためのシート29が配置されている。運転者は、シート29に着座した状態で、燃料タンク28及びその下方を、脚の膝部分で挟む。これにより、運転者は車上で身体を安定させることができる。また、運転者はこの状態で重心を左右に移動させることで、操舵を円滑にすること等を目的として車体をリーンさせることができる。
【0022】
図1及び図2に示すように、バーハンドル25の左右方向外側(具体的には、右側)寄りの部分には、ケース(スイッチハウジング)31が固定されている。言い換えると、ケース31は、グリップよりも左右方向内側に配置される。本実施形態では、前述の2つのグリップのうち一方、具体的には右側のグリップが、推進駆動源の出力を調整する出力調整グリップ32となる。従って、バーハンドル25の左右中央から見て、ケース31よりも遠い側には、出力調整グリップ(グリップ)32が設けられている。
【0023】
出力調整グリップ32は、円筒状に形成された図略のスロットルチューブの外側に固定されている。スロットルチューブの内部には、断面円形状のバーハンドル25の端部が差し込まれている。従って、運転者は、出力調整グリップ32を、バーハンドル25の長手方向に平行な回転軸線32cを中心にして回転操作することができる。言い換えると、出力調整グリップ32は、バーハンドル25の先端部の軸線まわりに角変位可能に、バーハンドル25に支持される。
【0024】
図4に示すように、本実施形態では、ケース31の内部には、スロットルチューブの操作位置を検出可能なスロットルセンサ(グリップセンサ)41が配置されている。スロットルチューブの操作位置は、出力調整グリップ32の操作位置と言い換えることもできる。スロットルセンサ41の構成は任意であるが、例えば、コイル状のセンサ、又は、出力調整グリップ32とともに角変位する角変位体の回動量を検出するホールICセンサとすることができる。
【0025】
図3に示すように、スロットルセンサ41は、制御ユニット46に電気的に接続される。制御ユニット46は、公知のコンピュータとして構成されている。制御ユニット46は、ハイブリッド駆動源50のエンジン21及び駆動モータ30の駆動をそれぞれ制御することができる。
【0026】
制御ユニット46には、スロットルモータ42と駆動モータ30が電気的に接続されている。スロットルモータ42は、エンジン21のスロットルバルブ45の弁体44を駆動するアクチュエータとして機能する。制御ユニット46は、スロットルセンサ41によって検出されたスロットルチューブ(言い換えれば、出力調整グリップ32)の操作角度に基づいて、運転者が要求するトルク(以下、要求トルクと呼ぶことがある。)を取得する。そして、制御ユニット46は、エンジン21と駆動モータ30の出力トルクの合計が要求トルクに等しくなるように、スロットルモータ42及び駆動モータ30を制御する。エンジン21においては、スロットルモータ42が、スロットルバルブ45の弁体44の開度を変更する。これにより、エンジン21に吸入される空気量を調整して、エンジン21が発生するトルクを変更することができる。駆動モータ30においては、公知のトルク制御が行われることで、発生するトルクを変更することができる。
【0027】
図1に示すように、バーハンドル25には、出力調整グリップ32を掴んだ右手で握って操作することが可能な前輪ブレーキレバー33が設けられている。
【0028】
ケース31において、出力調整グリップ32に近い側(車幅方向外側、本実施形態においては右側)の端部には、図2に示すように、ブーストスイッチ(走行時操作スイッチ)36が設けられる。ブーストスイッチ36は、ケース31の背面に配置されている。
【0029】
ブーストスイッチ36について説明する。ハイブリッド駆動源50は、所定の操作を行うことで、出力調整グリップ32の操作位置と出力トルクの関係(以下、トルク出力特性という。)を変化させることができる。このトルク出力特性の変化は、制御ユニット46が、エンジン21の駆動に対する駆動モータ30の駆動の付加の有無を切り換えることで、又は、付加の割合を切り換えることで、実現することができる。また、駆動モータ30に供給されることが可能な許容電流を、予め定める所定期間内に限って高めるように制御特性を切り換えてもよい。
【0030】
ブーストスイッチ36は、ブーストスイッチ36が操作される前に比べて、トルク特性の増加側への変更を指示するために運転者によって操作される。図3に示すように、ブーストスイッチ36は、制御ユニット46に電気的に接続されている。
【0031】
トルク特性の増加側への変更は、様々な方法で行うことができる。例えば、ハイブリッド駆動源50のうちエンジン21だけが駆動されている場合には、エンジン21の駆動を継続しつつ、駆動モータ30を駆動することにより、トルク特性の増加側への変更を実現することができる。エンジン21と駆動モータ30の両方が駆動されている場合には、エンジン21の出力を維持しつつ、駆動モータ30への供給電流の大きさを増加させることにより、トルク特性の増加側への変更を実現することができる。また、エンジン21が停止状態で駆動モータ30が駆動している状態でも、駆動モータ30への供給電流の大きさを増加させることにより、トルク特性の増加側への変更を実現することができる。ハイブリッド駆動源50のトルク出力特性が増加側に切り換えられることにより、例えば、登り坂、向かい風、追越し等の場合に、力強い加速を得ることができる。本実施形態では、ブーストモードによる出力トルクの増加分は、出力調整グリップ32の回転角度が大きくなる程、大きくなるように制御される。
【0032】
ブーストスイッチ36が押されると、制御ユニット46は、通常モードからブーストモードに切り換えられる。ブーストモードを駆動モータ30の出力増加によって実現する場合、制御ユニット46は、所定の時間(例えば、数秒程度)が経過すると、ブーストモードから自動的に通常モードに戻り、駆動モータ30の出力増加を元に戻すことが好ましい。これにより、駆動モータ30に大電流が長時間流れることを防止して、駆動モータ30及びバッテリーを保護することができる。
【0033】
ブーストスイッチ36は、出力調整グリップ32を右手で握った状態において、親指で押すことができる位置に配置されている。ブーストスイッチ36を押すとき、親指は、径方向に関して、概ね、出力調整グリップ32の回転軸線32cに近づく向きに動く。ブーストスイッチ36は、運転者の親指で押圧される被押圧部位36bを備える。ブーストスイッチ36は、被押圧部位36bを、回転軸線32cへ近づく向きに押し込むことが可能である。言い換えると、被押圧部位36bは、回転軸線32cに対して径方向に移動可能にケース31に支持される。
【0034】
背面から見た場合、図4に示すように、ブーストスイッチ36はT字を横向きにした形状となっている。ブーストスイッチ36は、支持部位36aと、上述する被押圧部位36bと、を備える。
【0035】
背面から見た場合、支持部位36aは、出力調整グリップ32の回転軸線32cと概ね平行に細長く形成されている。被押圧部位36bは、回転軸線32cと概ね垂直に細長く形成されている。言い換えると、被押圧部位36bは、左右方向寸法に比べて回転軸線まわりの周方向寸法(上下方向寸法)が大きく形成される。支持部位36aの長手方向一端部が、被押圧部位36bにおける長手方向中途部に接続している。ブーストスイッチ36は、例えば合成樹脂から構成することができる。支持部位36a及び被押圧部位36bは一体的に形成される。背面から見た場合に、ブーストスイッチ36は、ケース31よりも内側の領域に配置される。
【0036】
支持部位36aは、支持部位36aの長手方向中途部に設けられる支点軸36cを介してケース31に支持されている。支持部位36aは、ケース31の内部に入り込む部分を有している。背面から見た場合、支点軸36cは、出力調整グリップ32の回転軸線32cに対して概ね垂直に向けられている。本実施形態では支点軸36cはケース31の内部に配置されているが、支点軸36cがケース31の外側に配置されても良い。被押圧部位36bは、支点軸36cよりも出力調整グリップ32に近い側に配置されている。運転者が被押圧部位36bを親指で押すのに伴って、ブーストスイッチ36は、支点軸36cを中心として揺動する。
【0037】
図6に示すように、操作力が加えられない状態で、被押圧部位36bとケース31とは、出力調整グリップ32の回転軸線32cの径方向で、間隔をあけて配置される。被押圧部位36bは、運転者の親指で押されることにより、ケース31に近づく方向に変位する。
【0038】
ケース31の内部には、ブーストスイッチ36の操作を検出するためのセンサ36tが配置されている。センサ36tは、例えば電気スイッチとして構成される。このセンサ36tは、図3に示す制御ユニット46と電気的に接続される。
【0039】
ブーストスイッチ36の適宜の位置(例えば、支点軸36cの近傍)には、付勢バネが配置されている。ブーストスイッチ36は、付勢バネの弾性力により、被押圧部位36bがケース31から離れる方向に付勢される。操作力が加えられない状態では、上記の付勢力により、被押圧部位36bは所定の初期位置にある。運転者の親指により付勢力に抗して押圧されると、被押圧部位36bは、初期位置から、回転軸線32cの径方向に関して、回転軸線32cに近づく向きに移動する。親指による押圧が解除されると、被押圧部位36bは、径方向に関して、回転軸線32cから離れる向きに移動して、初期位置に戻る。
【0040】
自動二輪車1の出力トルクを増加させたい場合、運転者は、付勢バネの弾性力に抗して、被押圧部位36bをケース31に近づける向きに親指で押す。これによりブーストスイッチ36が角変位するので、支持部位36aのうち、支点軸36cに関して被押圧部位36bと反対側にある部分は、ケース31から離れる方向へ移動する。センサ36tは、この移動を検知して、制御ユニット46へ電気信号を出力する。
【0041】
ブーストスイッチ36の被押圧部位36bについて詳細に説明する。図5は、出力調整グリップ32、ケース31及びブーストスイッチ36の平面図である。図6は、出力調整グリップ32、ケース31及びブーストスイッチ36を、出力調整グリップ32の回転軸線32cに沿って見た側面図である。
【0042】
例えば図6に示すように、被押圧部位36bは、出力調整グリップ32の接線方向に沿って延びる第1部分36pと、出力調整グリップ32の周方向に沿って延びる第2部分36qと、を有している。第1部分36p及び第2部分36qの何れも、延びる方向は、回転軸線32cに対して垂直である。
【0043】
図6に示すように、回転軸線32cに沿ってブーストスイッチ36を見たとき、第1部分36pは直線状に形成され、第2部分36qは曲線状に形成される。第1部分36pが延びる方向は、支点軸36cが延びる方向と実質的に平行である。第2部分36qは概ね円弧状に形成されている。第1部分36pと第2部分36qは、滑らかに接続されている。
【0044】
被押圧部位36bは主に上下方向に細長く形成されている。図6に示すように、被押圧部位36bの上下方向の寸法VL1は、ケース31の上下方向の寸法VL2の1/3以上である(VL1≧VL2/3)。また、出力調整グリップ32の回転軸線32cに関する被押圧部位36bの角度範囲A1を考えた場合、この角度範囲A1は、出力調整グリップ32の回転角度範囲の1/3以上である。角度範囲A1は、例えば30°以上とすることができる。また、本実施形態では、出力調整グリップ32の回転軸線32cに対して垂直な方向における被押圧部位36bの長さL2は、2センチメートル以上となるように形成されている。
【0045】
ブーストの指示は、出力調整グリップ32を図2の太線矢印方向にある程度回転させた状態で行われることが多い。出力調整グリップ32の回転操作に伴って、出力調整グリップ32を握っている運転者の手も、回転軸線32cを中心として回転する。ブーストスイッチ36の被押圧部位36bは、出力調整グリップ32の回転軸線32cの概ね周方向に関して、十分な長さとなるように形成されている。この結果、出力調整グリップ32を任意の角度位置に操作していても、親指を同じように動かすだけで、ブーストスイッチ36を確実に操作することができる。
【0046】
前述のとおり、被押圧部位36bは、出力調整グリップ32の回転軸線32cに対して垂直な方向に延びて形成されている。詳細に言えば、図2に示すように、被押圧部位36bに関して、回転軸線32cに沿う方向での寸法L1よりも、回転軸線32cに垂直な方向での寸法L2が大きい(L1<L2)。これにより、コンパクトな構成で、出力調整グリップ32の広い操作範囲にわたってブーストスイッチ36の容易な操作を実現することができる。
【0047】
図4に示すように、ブーストスイッチ36が有する被押圧部位36bは、出力調整グリップ32の回転軸線32cよりも下方にも配置されている。従って、被押圧部位36bを、出力調整グリップ32を握った手の親指で操作することが容易である。
【0048】
前述の支点軸36cは、被押圧部位36bよりも、出力調整グリップ32から遠い側に配置されている。これにより、被押圧部位36bを、出力調整グリップ32の近傍に、かつ、出力調整グリップ32の回転軸線32cに対して垂直な方向に細長く配置することが容易である。
【0049】
ブーストスイッチ36の操作を検出するセンサ36tは、被押圧部位36bよりも、出力調整グリップ32から遠い側に配置されている。一方で、ケース31において出力調整グリップ32に近い側の端部に、スロットルセンサ41が配置されている。従って、ケース31の内部に、センサ36t及びスロットルセンサ41をコンパクトに配置することができる。
【0050】
前述のとおり、ブーストスイッチ36が備える支持部位36aは、支点軸36cを介してケース31に支持される。図4に示すように、ブーストスイッチ36の支持部位36aは、出力調整グリップ32の回転軸線32cに対して垂直な方向で、被押圧部位36bの端部P1,P2よりも内側に配置されている。これにより、ブーストスイッチ36の支持部位36aと、被押圧部位36bの端部P1,P2の間の距離が過剰に長くならないようにすることができる。従って、被押圧部位36bの上端P1又は下端P2が運転者によって押されたとしても、支持部位36aに捩れの方向の力が加わりにくくなる。従って、ブーストスイッチ36の円滑な操作を実現でき、また、ブーストスイッチ36の耐久性を高めることができる。
【0051】
支持部位36aの位置は上端P1と下端P2の間であれば任意である。捩れの方向の力が支持部位36aに加わることを抑制するためには、細長く形成された被押圧部位36bのうちどの部位が頻繁に押されるかを考慮して定めることが好ましい。本実施形態において支持部位36aは、被押圧部位36bの長手方向の長さを2等分する位置よりも上方にやや偏って配置されているが、これに限定されない。
【0052】
図2等に示すように、支持部位36aは、被押圧部位36bと比較して後方に突出するように配置されている。
【0053】
図2に示すように、ケース31には、トルク出力特性の変化以外の動作を指示するために、キルスイッチ(停止時操作スイッチ)37が設けられている。
【0054】
ブーストスイッチ36及びキルスイッチ37は、車体10の左右のうち、出力調整グリップ32と同じ側に配置されている。ブーストスイッチ36及びキルスイッチ37は、自動二輪車1に対して指示するために運転者によって操作される操作部材に相当する。
【0055】
キルスイッチ37は、エンジン21の強制停止を指示するために操作される。ブーストスイッチ36及びキルスイッチ37が配置されるケース31は、バーハンドル25に固定されている。キルスイッチ37は、ケース31の上面に配置されている。
【0056】
ブーストスイッチ36が有する被押圧部位36bは、キルスイッチ37に対し、出力調整グリップ32の回転軸線32cに沿う方向でも、周方向でも、離れて配置されている。従って、例えばブーストスイッチ36を操作すべきなのにキルスイッチ37を操作してしまう操作ミスを少なくすることができる。
【0057】
上下方向に関して、被押圧部位36bの上端部は、出力調整グリップ32の回転軸線32cと同じ位置まで延びている。従って、出力調整グリップ32を回動させていない状態でも、親指による被押圧部位36bの押圧操作が容易である。
【0058】
被押圧部位36bの長手方向中途部であって、支持部位36aとの接続箇所に対応する部分は、他の部分よりも厚みが大きく形成される。これによって剛性を高めることができ、被押圧部位36bの変形を抑制することができる。厚みの大きい部分と小さい部分との間の境界において、被押圧部位36bには適宜の段差が形成されている。
【0059】
ブーストスイッチ36の色は、ケース31と異なっている。本実施形態では、ケース31が黒色に着色されるのに対して、ブーストスイッチ36は有彩色、例えば緑色に着色される。これにより、ブーストスイッチ36が視覚的に目立ち易くなり、運転者の操作が容易になる。
【0060】
キルスイッチ37は、ブーストスイッチ36の支持部位36aと、出力調整グリップ32の回転軸線32cの方向で重複している。これにより、ケース31の大型化を防ぐことができる。
【0061】
次に、図7を参照して、制御ユニット46が行うブースト処理の例について説明する。図7は、ブースト処理に関して制御ユニット46が行う処理を説明するフローチャートである。
【0062】
処理が開始されると、制御ユニット46は、ブーストスイッチ36が操作されたか否かを、センサ36tの検出結果に基づいて判断する(ステップS101)。
【0063】
ステップS101の判断で、ブーストスイッチ36の操作がされていなかった場合、制御ユニット46は、通常の出力特性である出力特性Aに従って、エンジン21及び駆動モータ30を制御する(ステップS102)。
【0064】
その後、制御ユニット46は、図示しないイグニッションスイッチの状態を調べる(ステップS103)。イグニッションスイッチがオフである場合、処理は終了する。イグニッションスイッチがオンである場合、処理はステップS101に戻る。
【0065】
ステップS101の判断で、ブーストスイッチ36の操作がされていた場合、制御ユニット46は、トルク特性の増加側への変更(以下、ブーストと呼ぶことがある)が可能であるかを判断する(ステップS104)。この判断は、例えば、バッテリーの温度、充電残量、駆動モータ30の温度に基づいて行うことができるが、これに限定されない。上記の判断基準に、各種機器に異常が発生しているか否かが含められても良い。ステップS104の判断でブーストが可能でないと判断された場合、処理はステップS102に移行する。
【0066】
ステップS104の判断で、ブーストが可能であると判断された場合、制御ユニット46は、出力特性Aとは異なる出力特性Bに従って、エンジン21及び駆動モータ30を制御する(ステップS105)。2つの出力特性の例が図8に示されている。図8に示すように、出力特性Bは出力特性Aと比較して、出力トルクが増加側へ変更されたものとなっている。図8の例では、グリップ回転角度に対するトルクの傾きに関して、出力特性Bが出力特性Aと比較して大きくなっている。
【0067】
出力特性Bは、図9で示すように、グリップ回転角度範囲の一部においてだけ、出力特性Aと比較して出力トルクが増加側へ変更されたものでも良い。図10で示すように、グリップ回転角度に対するトルクの傾きを示す直線に関して、出力特性Bは出力特性Aと比較してトルク増加側に平行にオフセットされても良い。図11で示すように、出力特性A及び出力特性Bのうち少なくとも何れかが、非線形であっても良い。
【0068】
続いて、制御ユニット46は、現在がブーストモードである旨の表示を、メータ装置27に表示する(図7のステップS106)。
【0069】
次に、制御ユニット46は、ブースト終了条件について判断する(ステップS107)。この判断は、例えば、ブーストスイッチ36の操作開始からの経過時間、バッテリーの温度、充電残量、駆動モータ30の温度、及び電流量のうち少なくとも何れかに基づいて行うことができるが、これに限定されない。上記の判断基準に、各種機器に異常が発生しているか否かが含められても良い。
【0070】
ステップS107の判断で、ブースト終了条件が満たされたと判断された場合、処理はステップS103に移行する。ブースト終了条件が満たされないと判断された場合、処理はステップS105に戻る。
【0071】
以上に説明したように、本実施形態の自動二輪車1は、出力調整グリップ32と、ブーストスイッチ36と、を備える。出力調整グリップ32は、回転操作される。ブーストスイッチ36は、被押圧部位36bを備える。被押圧部位36bは、出力調整グリップ32の回転軸線32cに対して垂直な方向に延びる部分を有する。
【0072】
これにより、出力調整グリップ32を手で握ってどの回転位置に操作した状態でも、ブーストスイッチ36の被押圧部位36bを親指で押すことが容易である。
【0073】
本実施形態の自動二輪車1において、被押圧部位36bは、回転軸線32cを実質的に中心とする周方向に延びる、湾曲状の第2部分36qを有する。
【0074】
これにより、出力調整グリップ32の回転位置が変化しても、被押圧部位36bを親指で押すときの操作感が変化しにくい構成とすることができる。
【0075】
本実施形態の自動二輪車1において、被押圧部位36bは、回転軸線32cに沿う方向での寸法L1に比べて、回転軸線32cに垂直な方向での寸法L2が大きい(L1<L2)。
【0076】
これにより、ブーストスイッチ36のコンパクト性を大きく損なわずに、出力調整グリップ32の幅広い回転操作範囲に対してブーストスイッチ36の操作の容易さを実現することができる。
【0077】
本実施形態の自動二輪車1において、被押圧部位36bは、回転軸線32cよりも下方に配置される。
【0078】
これにより、操作のために出力調整グリップ32を回転させた状態において、親指による被押圧部位36bの操作が容易である。
【0079】
本実施形態の自動二輪車1は、ブーストスイッチ36とは別に設けられるキルスイッチ37を備える。キルスイッチ37は、自動二輪車1の停止時に操作される。被押圧部位36bは、キルスイッチ37に対して、軸方向及び周方向の両方において離れて配置される。
【0080】
これにより、ブーストスイッチ36及びキルスイッチ37の操作ミスを少なくすることができる。
【0081】
本実施形態の自動二輪車1において、ブーストスイッチ36は、支点軸36cを中心として揺動可能に設けられる。被押圧部位36bを基準として、支点軸36cは、出力調整グリップ32と反対側に配置される。
【0082】
これにより、シーソー状に動作するブーストスイッチ36をコンパクトに配置することができる。支点軸36cの位置を適宜定めることにより、被押圧部位36bの操作力を小さくすることができる。
【0083】
本実施形態の自動二輪車1は、ブーストスイッチ36が配置されるケース31を備える。ブーストスイッチ36の操作を検出するセンサ36tは、被押圧部位36bを基準として、出力調整グリップ32と反対側に配置される。図4に示すように、ケース31において出力調整グリップ32に近い側の端部に、出力調整グリップ32の回転操作を検出するためのスロットルセンサ41が内蔵される。
【0084】
これにより、ケース31内のスペースを有効に利用して、ブーストスイッチ36のセンサ36tと、スロットルセンサ41と、を配置することができる。
【0085】
本実施形態の自動二輪車1において、ブーストスイッチ36において支点軸36cが配置される支持部位36aは、出力調整グリップ32の回転軸線32cに対して垂直な方向での被押圧部位36bの両側の端部P1,P2よりも内側に配置される。
【0086】
これにより、ブーストスイッチ36において支点軸36cが配置される位置と、被押圧部位36bの両端部と、の間の距離を短くすることができる。従って、被押圧部位36bの上端又は下端を親指で押したとしても、支点軸36cの部分に捩れの方向の力が加わりにくくなるので、ブーストスイッチ36の耐久性を高めることができる。
【0087】
本実施形態の自動二輪車1において、被押圧部位36bが延びる角度範囲(図2に示す角度範囲A1)は、出力調整グリップ32の回転角度範囲の1/3以上である。
【0088】
これにより、出力調整グリップ32の幅広い回転操作範囲に対して、ブーストスイッチ36の操作の容易さを実現することができる。
【0089】
本実施形態の自動二輪車1は、出力調整グリップ32の基端側に配置されるケース31を備える。上下方向における被押圧部位36bの寸法VL1は、上下方向におけるケース31の寸法VL2の1/3以上である(VL1≧VL2/3)。
【0090】
これにより、出力調整グリップ32の幅広い回転操作範囲に対して、ブーストスイッチ36の操作の容易さを実現することができる。
【0091】
本実施形態の自動二輪車1において、出力調整グリップ32の回転軸線32cに対して垂直な方向における被押圧部位36bの長さ(図2及び図6に示す寸法L2)が2センチメートル以上である。
【0092】
これにより、出力調整グリップ32の幅広い回転操作範囲に対して、ブーストスイッチ36の操作の容易さを実現することができる。
【0093】
以上に本開示の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0094】
ブーストスイッチ36の被押圧部位36bの形状は適宜変更することができる。例えば、図12の変形例に示すように、被押圧部位36bの下端が尖るように形成することができる。
【0095】
ブーストスイッチ36は、横向きT字状とすることに代えて、例えばL字状に形成したり、矩形の平板状に形成したりすることができる。
【0096】
上記の実施形態では、被押圧部位36bは図6に示すように、直線状に延びる第1部分36pと曲線状に延びる第2部分36qの組合せとなっている。これに代えて、被押圧部位36bの全体が直線状となるように変更することができる。被押圧部位36bの全体が曲線状(円弧状)となるように変更することもできる。
【0097】
被押圧部位36bの少なくとも一部が、出力調整グリップ32の回転軸線32cよりも上方に配置されても良い。また、被押圧部位36bの上端が、回転軸線32cに対して上下方向に間隔をあけて配置されても良い。例えば、被押圧部位36bの上端が、回転軸線32cに対して下方に配置されていてもよい。
【0098】
被押圧部位36bが、キルスイッチ37に対して、出力調整グリップ32の軸方向及び周方向のうち何れかにおいて重複するように配置されても良い。
【0099】
支点軸36cの位置は任意である。例えば、支点軸36cが、被押圧部位36bよりも出力調整グリップ32に近い側に配置されても良い。
【0100】
センサ36tの位置は任意である。例えば、センサ36tが、支点軸36cよりも出力調整グリップ32に近い側に配置されても良い。センサ36tが、被押圧部位36bよりも出力調整グリップ32に近い側に配置されても良い。
【0101】
ブーストスイッチ36を、走行時に他の目的で操作される操作スイッチに変更しても良い。例えば、ブーストスイッチ36に代えて、スポーツモード(出力優先)とエコノミーモード(燃料抑制)との間で切り換える操作スイッチを設けることができる。また、操作スイッチが、スリップ抑制、ウィリー抑制、ABS制御等の運転支援モードのオン/オフを切り換えるためのものであっても良い。また、乗物がエンジン/モータ等の複数の駆動源を備える場合には、操作スイッチが駆動源を切り換えるためのものであっても良い。このように、ブーストスイッチを、走行中であって、速度域や出力域に拘らず操作される操作スイッチに変更しても良い。また、ブーストスイッチとして出力特性を異ならせる場合であっても、上述の実施形態の出力特性変化は一例であって、他の出力特性変化に切り換える場合も、本開示に含まれる。ブーストスイッチに代えて用いられる操作スイッチは、出力調整グリップに近接して配置されることから、駆動源の制御に関する操作に用いられることが好ましい。なお、操作スイッチは、駆動源の制御以外の指示を与えるために用いられても良い。キルスイッチ37を、停止時に他の目的で操作される操作スイッチに変更しても良い。キルスイッチ37を省略しても良い。
【0102】
ハイブリッド駆動源としては、上述のハイブリッド方式に代えて、エンジンを主要動力源として、モータでエンジンの駆動をアシストするハイブリッド方式とすることもできる。この方式のハイブリッドを採用する場合、例えば、エンジン21の駆動に対して駆動モータ30の駆動の付加(駆動アシスト)の有無を切り換えることで、トルク出力特性の変更を実現することができる。
【0103】
推進駆動源は、ハイブリッド駆動源に代えて、エンジンのみ、又は電動モータのみで構成されても良い。推進駆動源がエンジンのみで構成される場合、出力調整グリップ32の操作位置に対するスロットルバルブの開度を通常よりも大きくすることで、トルク出力特性の変更を実現できる。推進駆動源が電動モータのみで構成される場合、出力調整グリップ32の操作位置に対する電動モータへの供給電流の大きさを通常よりも大きくすることで、トルク出力特性の変更を実現できる。
【0104】
スロットルチューブに図略のスロットルワイヤを取り付け、スロットルバルブ45の弁体44の角度を機械的に変更しても良い。
【0105】
乗物は、自動二輪車に限らず、例えば、三輪や四輪の乗物であっても良い。また、本開示を水上バイク(パーソナルウォータークラフト)等に適用しても良い。本開示は、バーハンドルに対して回転させることで推進動力源の出力を調整できるグリップを備える乗物に対し、特に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 自動二輪車(乗物)
31 ケース(スイッチハウジング)
32 出力調整グリップ(グリップ)
32c 回転軸線
36 ブーストスイッチ(走行時操作スイッチ)
36b 被押圧部位
36c 支点軸
36t センサ
37 キルスイッチ(停止時操作スイッチ)
41 スロットルセンサ(グリップセンサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12