(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020912
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】立体格子枠状遊具の構成管材
(51)【国際特許分類】
F16B 7/20 20060101AFI20240207BHJP
A63B 17/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
F16B7/20 A
A63B17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123465
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】598139793
【氏名又は名称】アイデス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】中井 範光
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA01
3J039AA07
3J039BB01
3J039BB02
3J039JA05
3J039JA11
3J039JA16
(57)【要約】
【課題】容易に組み立て、分解できる単純な構造であって、適宜組み替えも可能な立体格子枠状遊具の構成管材を提供する。
【解決手段】複数の直管部材1と、複数の継手管部材2とを具備する。直管部材1は、内周のガイド突条11と、両端部の係合孔12とを具備する。継手管部材2は、それぞれ本体部21と、そこから段部22を介して突出する嵌合管部23とを具備する。嵌合管部23は、外周のガイド溝231と、弾性舌片232と、それの先端部上に突出する係止突起233とを具備する。係止突起233は、摺動斜面233aを具備し、直管部材1への嵌合過程で弾性舌片232を内側へ撓ませ、嵌合完了時に係合孔12に係合して抜け止めする。係止突起233は、係合孔12内へ押下されると、係合孔12との係合を解除できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方形格子を立体的に接続してなる立体格子枠状遊具を構成する合成樹脂製の管材であって、複数の直管部材と当該直管部材に接続分離可能な複数の継手管部材とを具備し、
前記直管部材は、それぞれ長手方向の一端から他端まで中心軸線に沿ってまっすぐに延びる管材で、内周のガイド突条と、両端部の係合孔とを具備し、
前記ガイド突条は、各直管部材の一端から他端まで中心軸線と平行に延びるように、少なくとも1つ設けられ、
前記係合孔は、各直管部材の両端部に少なくとも1つ設けられ、かつ前記ガイド突条との相対位置が同一となるように設けられ、
前記継手管部材は、それぞれ本体部と、当該本体部から段部を介して突出し先端側が前記直管部材の一端の内側に嵌合可能な少なくとも一の嵌合管部とを具備し、
前記嵌合管部は、外周に形成されたガイド溝と、半径方向内側に弾性的に撓むように設けられた弾性舌片と、当該弾性舌片の先端部上に前記嵌合管部の外周に突出するように設けられた係止突起とを具備し、
前記ガイド溝は、前記直管部材に嵌合されるとき前記ガイド突条に嵌合して軸周りの相互嵌合位置を規定するように形成され、
前記弾性舌片は、前記嵌合管部の軸線に沿う平行一対の直線スリット部と当該直線スリット部の先端間を接続する湾曲スリット部とを有する概略U字状の切欠部の内側に形成され、
前記係止突起は、前記直管部材への嵌合過程において前記弾性舌片を半径方向内側へ撓ませることで、前記直管部材への嵌合を許容し、嵌合完了時に前記係合孔に係合して抜け止めし、かつ当該係合孔内へ押下されることにより前記係合孔との係合を解除可能に設けられることを特徴とする立体格子枠状遊具の構成管材。
【請求項2】
前記ガイド突条が、前記直管部材の管の中心角90°の相互間隔を置いて4つ設けられ、
前記係合孔が、隣接する前記各ガイド突条間の中央に位置して前記直管部材の管の中心角90°の相互間隔を置いて4つずつ設けられ、
前記ガイド溝が、前記ガイド突条に対応して前記嵌合管部の管の中心角90°の相互間隔を置いて4つ設けられ、
前記弾性舌片が、隣接する前記各ガイド溝間の中央に位置して前記嵌合管部の管の中心角180°の相互間隔を置いて2つ設けられることを特徴とする請求項1に記載の立体格子枠状遊具の構成管材。
【請求項3】
前記嵌合管部は、前記本体部から所定の相互角度を置いて複数突出し、当該各嵌合管部に接続されて立体格子を形成する複数の前記直管部材を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体格子枠状遊具の構成管材。
【請求項4】
前記直管部材は、複数の前記ガイド突条に対応する位置の外周に、条溝を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体格子枠状遊具の構成管材。
【請求項5】
前記係止突起は、先端下がりの摺動斜面を具備し、前記直管部材への嵌合過程において当該直管部材の端部内周に摺接することで、前記弾性舌片を半径方向内側へ撓ませるように設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体格子枠状遊具の構成管材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後左右上下方向に管部材を連結して形成されるジャングルジムのような立体格子枠状遊具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、幼児が屋内で遊ぶことのできるジャングルジムが提案されている。このような屋内用ジャングルジムにおいて、継手を介して接続された多数の管材で構成され、不使用時にコンパクトに畳んで収納できるように、管材間を屈折できるものが知られている。
特許文献1に記載されたジャングルジム用継手は、複数のパイプが接続される継手軸を有する継手本体と、一端側にパイプが接続される短尺棒状の回動部材とを有する。回動部材の二股状部には、継手本体の平板状部が挟み込まれ、屈折部が形成される。屈折部の外周に、軸心回り回動自在のカバー部材が設けられる。カバー部材は、周壁が回動部材の二股状部又は継手本体の平板状部と当接することによりパイプの屈折を規制する規制壁部と屈折を許容する切欠部を備える。カバー部材を軸周りに所定位置まで回転させて切欠部を屈折部に対応させるとパイプの屈折が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来のジャングルジム用継手のような複雑な構造を採用することなく、構成管材を容易に組み立て、分解できる単純な構造であって、適宜組み替えも可能な立体格子枠状遊具の構成管材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明において添付図面の符号を参照するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の立体格子枠状遊具101の構成管材は、合成樹脂製の管材であって、複数の直管部材1と、当該直管部材1に接続分離可能な複数の継手管部材2とを具備する。直管部材1は、長手方向の一端から他端まで、まっすぐに延びる管材で、内周のガイド突条11と、両端部の係合孔12とを具備する。各直管部材1のガイド突条11は一端から他端まで中心軸線と平行に延びるように、少なくとも1つ設けられる。各直管部材1の係合孔12は、両端部に少なくとも1つ、ガイド突条11との相対位置が同一となるように設けられる。継手管部材2は、それぞれ本体部21と、当該本体部21から段部22を介して突出し先端側が直管部材1の一端の内側に嵌合可能な少なくとも一の嵌合管部23とを具備する。嵌合管部23は、外周に形成されたガイド溝231と、半径方向内側に弾性的に撓むように設けられた弾性舌片232と、当該弾性舌片232の先端部上に嵌合管部23の外周に突出するように設けられた係止突起233とを具備する。ガイド溝231は、直管部材1に嵌合されるときガイド突条11に嵌合して直管部材1との軸周りの相互嵌合位置を規定するように形成される。弾性舌片232は、嵌合管部23の軸線に沿う平行一対の直線スリット部234aと当該直線スリット部234aの先端間を接続する湾曲スリット部234bとを有する概略U字状の切欠部234の内側に形成される。係止突起233は、直管部材1への嵌合時に弾性舌片132を半径方向内側へ撓ませることで、直管部材1への嵌合を許容し、嵌合完了時に係合孔12に係合して抜け止めし、かつ係合孔内21へ押下されることにより係合孔21との係合を解除可能に設けられる。好ましくは、係止突起233は、先端下がりの摺動斜面233aを具備することにより、弾性舌片232を半径方向内側へ撓ませる操作なくして、直管部材1への嵌合を可能とするように設けられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、継手管部材2のガイド溝231を直管部材1のガイド突条11に合わせて嵌合管部23を直管部材1の一端側に直線的に押し込むだけで、係止突起233が自動的に係合孔12に係合して継手管部材2と直管部材1とが抜け止めされると共に、軸周りにも固定されるから、立体格子枠状遊具101の組み立てが容易であり、また係止突起233を係合孔12内に押し下げて嵌合管部23を引き抜くだけで継手管部材2と直管部材1と分離できるから、立体格子枠状遊具101の分解も容易である。組み立てられた立体格子枠状遊具1は、幼児が遊戯時に直管部材1に手や足をかけても、軸周りに回転することがないので安全に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の直管部材と継手管部材とを用いた立体格子枠状遊具の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1のII部における本発明の直管部材と継手管部材の組み合わせの例を示す斜視図である。
【
図3】
図2の直管部材を示すもので(A)は平面図、(B)は側面図、(C)はc-c断面図である。
【
図4】
図2の継手管部材の一部を示すもので(A)は平面図、(B)は側面図、(C)はc-c断面図である。
【
図5】
図2の直管部材と継手管部材の接続状態を示すもので(A)は軸線に沿った断面図、(B)はb-b断面図である。
【
図6】
図1のVI部における本発明の直管部材と継手管部材の組み合わせの例を示す斜視図である。
【
図7】
図1のVII部における本発明の直管部材と継手管部材の組み合わせの例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1において、複数の方形格子を立体的に接続してなる立体格子枠状遊具101は、多数の合成樹脂製の管材を接続して構成され、複数の直管部材1と、当該直管部材1に接続分離可能な複数の継手管部材2を含んでいる。代表的に、継手管部材2は、立体的に直交する4方向に4つの直管部材1を接続するもの(図中II部)と、3方向に3つの直管部材1を接続するもの(図中VI、VII部)とを有するが、これに限定されない。
図1におけるII部の継手管部材2とこれに接続される直管部材1を例にとって、
図2ないし
図5について説明する。
【0009】
直管部材1は、長手方向の一端から他端まで、中心軸線に沿ってまっすぐに延びる管材であり、内周の4つのガイド突条11と、両端部の4つの係合孔12とを具備する。
【0010】
ガイド突条11は、直管部材1の一端から他端まで中心軸線と平行に延びるように、管の中心角90度の相互間隔を置いて4つ設けられる。
【0011】
係合孔12は、直管部材1の両端部において各ガイド突条11間の中央に位置して4つずつ設けられる。
【0012】
直管部材1の外周には、ガイド突条11と対応する位置に、肉抜きと使用時の摩擦付与のための条溝13が設けられる。
【0013】
継手管部材2は、本体部21と、当該本体部21から段部22を介して突出し、先端側が直管部材1の一端の内側に嵌合可能な嵌合管部23とを具備する。
図2に示す実施例において嵌合管部23は、本体部21から立体的に直交する4方向に4つ突出する。
【0014】
嵌合管部23は、外周に形成されたガイド溝231と、半径方向内側に弾性的に撓むように設けられた弾性舌片232と、当該弾性舌片232の先端部上に、嵌合管部23の外周に突出するように設けられた係止突起233とを具備する。
【0015】
ガイド溝231は、直管部材1に嵌合されるとき、ガイド突条11に嵌合して直管部材1との軸周りの相互嵌合位置を規定するように形成される。したがって、ガイド溝231は、嵌合管部23の中心軸線に沿って、管の中心角90度の相互間隔を置いて4つ設けられる。
【0016】
弾性舌片232は、嵌合管部23の管の中心角180度の相互間隔を置いて2つ、各ガイド溝231の中央位置に設けられる。
図4によく示すように、弾性舌片232は、嵌合管部23の軸線に沿う平行一対の直線スリット部234aと当該直線スリット部234aの先端間を接続する湾曲スリット部234bとを有する概略U字状の切欠部134の内側に形成され、先端側を嵌合管部23の半径方向内側へ弾性的に撓ませることができる。
【0017】
係止突起233は、係合孔12に対応する円形断面で、嵌合管部23の外周から突出した基端から先端へ下がって外周に収束する摺動斜面233aを具備する。
【0018】
したがって、係止突起233は、嵌合管部23を直管部材1へ嵌合する過程において、直管部材1の端部内周に摺接しつつ、弾性舌片232を半径方向内側へ撓ませ、段部22が直管部材1に当接する嵌合完了時に係合孔12に係合して嵌合管部23を抜け止めする。係止突起233に摺動斜面233がなくても、弾性舌片232を半径方向内側へ撓ませる操作を行えば、嵌合操作に支障はない。また、係止突起233は、係合孔12への係合状態において、指や工具等で係合孔12内へ押下されると、弾性舌片232を半径方向内側へ撓ませて係合孔12との係合を解除し、嵌合管部23の直管部材1からの引き抜きを許容する。
【0019】
図6、
図7に示す他の実施形態は、
図1の立体格子枠状遊具101においてそれぞれ符号VI、符号VIIで示す部位に使用されもので、継手管部材2の3方向に3つの直管部材1が接続される。各部の具体的構造については、
図2ないし
図5に示す実施形態と同等であるから、対応する構造部に同一の符号を付して説明を省略する。
【0020】
なお、本発明において、直管部材1のガイド突条11,係合孔12及び継手管部材2のガイド溝231、弾性舌片232の数は、いずれも前記実施形態のものに限定されず、単一又は2以上であってよい。係合孔12の形状は問わないが、断面円形又は楕円形が好ましい。
【0021】
継手管部材2のガイド溝231を直管部材1のガイド突条11に合わせて嵌合管部23を直管部材1の一端側に直線的に押し込むと、係止突起233が自動的に係合孔12に係合して継手管部材2と直管部材1とが抜け止めされると共に、軸周りにも相互に固定される。立体格子枠状遊具101の組み立てに当たって、継手管部材2と直管部材1との接続は容易である。立体格子枠状遊具101の使用時に、幼児が直管部材1を握ったり、これに足を掛けたりしても、直管部材1が継手管部材2に対して軸周り回転しないから、安全に体を支えて遊ぶことができる。直管部材1の外周に条溝13が形成される場合には、直管部材1を握ったり手足を掛けたりする際の摩擦力が増大し、使用時の一層の安全性が期待できる。
【0022】
立体格子枠状遊具101の不使用時に、これを分解する際には、係止突起233を係合孔12内に押し下げて嵌合管部23を引き抜くだけで継手管部材2と直管部材1と分離できるから、作業が容易である。保管に適した任意の分解状態を適宜選択できるから、使用者の保管環境に柔軟に対応できる。
【符号の説明】
【0023】
101 立体格子枠状遊具
1 直管部材
11 ガイド突条
12 係合孔
13 条溝
2 継手管部材
21 本体部
22 段部
23 嵌合管部
231 ガイド溝
232 弾性舌片
233 係止突起
234 切欠部
234a 直線スリット部
234b 湾曲スリット部
233 係止突起
233a 摺動斜面