(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020916
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ロボットシステム、ロボットおよびロボットシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123471
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】徐 天奮
(72)【発明者】
【氏名】山角 覚
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS12
3C707CS08
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT11
3C707HS27
3C707KT03
3C707KT05
3C707NS02
3C707NS19
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】ワークの載置位置が変更された場合でも、撮影部の固定位置を変更する必要が無いとともに、撮影部によるワークの撮影とハンドによるワークの移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮することが可能なロボットシステムを提供する。
【解決手段】このロボットシステム100は、台車10と、ロボットアーム21と、ロボットアーム21に配置され、ロボットアーム21の動作に合わせて回転し、JT1軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更される撮影部40と、制御部70と、を備える。制御部70は、ロボットアーム21をJT1軸線周りに回転させてハンド30に保持されたワーク2をコンベア3に載置する動作中に、次に保持する予定のワーク2を撮影するように、撮影部40の撮影領域を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、前記ベース部に対して基端が第1回転軸線周りに回転するように取り付けられ、先端にワークを保持するハンドが取り付けられるロボットアームと、を含むロボット本体部と、
前記ロボット本体部に配置され、前記ロボット本体部の動作に合わせて回転し、前記ロボットアームの前記第1回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更される撮影部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ロボットアームを前記第1回転軸線周りに回転させて前記ハンドに保持された前記ワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定の前記ワークを撮影するように、前記撮影部の撮影領域を制御する、ロボットシステム。
【請求項2】
前記第1回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に前記撮影部が移動されることにより撮影方向を変更することと、前記撮影部のズーム倍率を変更することと、のうちの少なくとも一方により、前記撮影部の撮影領域が変更される、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記ロボットアームは、前記ベース部に接続される基端アーム部と、前記基端アーム部と前記ハンドとの間に配置される先側アーム部とを有する多関節ロボットアームを含み、
前記撮影部は、前記基端アーム部または前記先側アーム部に取り付けられており、前記ロボットアームの前記第1回転軸線周りの回転とともに回転する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記基端アーム部とともに回転し、前記撮影部を前記基端アーム部に取り付けるための取り付け部材をさらに備える、請求項3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記取り付け部材に取り付けられ、前記撮影部を昇降させることと、前記第1回転軸線とは異なる第2回転軸線周りに前記撮影部を回転させることとのうちの少なくとも一方を行う撮影部移動機構をさらに備え、
前記撮影部移動機構により前記撮影部が移動されることにより、前記撮影部の撮影領域が変更される、請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記撮影部は、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を有する、請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記ワークは複数配置されており、
前記制御部は、
前記複数のワークのうちの一のワークを前記ハンドにより保持させ、
前記ロボットアームが前記第1回転軸線周りに回転されて前記ハンドに保持された前記一のワークが前記所定の載置位置に載置される動作中に、前記複数のワークのうちの次に保持する予定のワークに前記撮影部が正対するように、前記撮影部移動機構を制御する、請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記ワークは、複数配置されており、
前記撮影部は、前記先側アーム部に配置されるとともに、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を有し、
前記制御部は、
前記複数のワークのうちの一のワークを前記ハンドにより保持させ、
前記ロボットアームが前記第1回転軸線周りに回転されて前記ハンドに保持された前記一のワークが前記所定の載置位置に載置される動作中に、前記パン機能、前記チルト機能、および、前記ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を動作させて、前記複数のワークのうちの次に保持する予定のワークを撮影するように前記撮影部を制御する、請求項3に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記ワークは複数配置されており、
前記制御部は、
前記複数のワークのうちの一のワークを前記ハンドにより保持させ、
前記ロボットアームが前記第1回転軸線周りに回転されて前記ハンドに保持された前記一のワークが前記所定の載置位置に載置される動作中に、前記複数のワークの他のワークの全てを撮影せずに、前記他のワークのうちの次に保持する予定の前記ワークを撮影するように前記撮影部の撮影領域を制御する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記ベース部は、前記ロボットアームを移動させる台車を含む、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記ワークは、箱状の前記ワークを含み、
前記ハンドは、前記箱状のワークを吸着する吸着部を含む、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項12】
ベース部と、前記ベース部に対して基端が所定の回転軸線周りに回転するように取り付けられ、先端にワークを保持するハンドが取り付けられるロボットアームと、を含むロボット本体部と、
前記ロボット本体部に配置され、前記ロボット本体部の動作に合わせて回転し、前記ロボットアームの前記所定の回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更される撮影部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ロボットアームを前記所定の回転軸線周りに回転させて前記ハンドに保持された前記ワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定の前記ワークを撮影するように、前記撮影部の撮影領域を制御する、ロボット。
【請求項13】
ベース部と前記ベース部に対して基端が所定の回転軸線周りに回転するように取り付けられ、先端にワークを保持するハンドが取り付けられるロボットアームとを含むロボット本体部と、前記ロボット本体部に配置され、前記ロボット本体部の動作に合わせて回転し、前記ワークを撮影する撮影部と、を備えるロボットシステムの制御方法であって、
前記ワークを前記ハンドにより保持させることと、
前記ハンドにより前記ワークが保持された状態で、前記ロボットアームを前記所定の軸線周りに回転させて、前記ワークを所定の載置位置に載置させることと、
前記ハンドに保持された前記ワークを前記所定の載置位置に載置している動作中に、前記所定の回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に前記撮影部の撮影領域を制御して、次に保持する予定の前記ワークを前記撮影部により撮影させることと、を備える、ロボットシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ロボットシステム、ロボットおよびロボットシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを保持するハンドが取り付けられるロボットアームを備えるロボットシステムが知られている。たとえば、特許文献1では、積層された複数の箱状のワークから、所望のワークをハンドにより保持するとともに、保持したワークを所定の位置に移動させるロボットシステムが開示されている。具体的には、特許文献1では、積層された複数の箱状のワークが撮影部により撮影される。ロボットシステムは、撮影部により撮影された画像に基づいて、積層された複数の箱状のワークからハンドにより保持するワークを選択する。そして、ハンドは、選択されたワークを保持する。ハンドに保持されたワークは、所定の位置に移動される。特許文献1では、撮影部は、ロボットアームとは離間した位置に固定されている。また、特許文献1では、撮影部は、ロボットアームに配置されていてもよい。また、撮影部による積層された複数の箱状のワークの撮影と、ハンドによるワークの移動とが、繰り返し行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるように、撮影部がロボットアームとは離間した位置に固定されている場合、保持対象となる箱状のワークの配置位置が変更されることにより、ワークが撮影部の視野外に位置することになった際には、撮影部が変更後のワークの載置位置方向を向くように、撮影部の固定位置を変える必要があるという問題点がある。また、特許文献1に記載されるように、撮影部がロボットアームに配置されている場合、ハンドに保持されたワークを所定の位置に移動するためにロボットアームが移動することにより、ロボットアームとともに撮影部も移動する。この際、ロボットアームに配置されている撮影部は、積層された複数の箱状のワークが配置されている方向と異なる方向を向いてしまう。このため、次に撮影部により積層された複数の箱状のワークを撮影する場合、撮影部が積層された複数の箱状のワークを向くようにロボットアームを移動させるとともに、ロボットアームを一旦停止させて撮影部により複数の箱状のワークを撮影する必要がある。すなわち、ハンドに保持されたワークを所定の位置に配置する動作とは別の期間に、撮影部によるワークの撮影のためにロボットアームを停止させる必要がある。そのため、撮影部によるワークの撮影とハンドによるワークの移動との繰り返しの作業のサイクルタイムが長くなるという問題点がある。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、ワークの載置位置が変更された場合でも、撮影部の固定位置を変更する必要が無いとともに、撮影部によるワークの撮影とハンドによるワークの移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮することが可能なロボットシステム、ロボットおよびロボットシステムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の第1の局面によるロボットシステムは、ベース部と、ベース部に対して基端が第1回転軸線周りに回転するように取り付けられ、先端にワークを保持するハンドが取り付けられるロボットアームと、を含むロボット本体部と、ロボット本体部に配置され、ロボット本体部の動作に合わせて回転し、ロボットアームの第1回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更される撮影部と、制御部と、を備え、制御部は、ロボットアームを第1回転軸線周りに回転させてハンドに保持されたワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定のワークを撮影するように、撮影部の撮影領域を制御する。なお、ロボット本体部に撮影部が配置されるとは、ロボット本体部に直接撮影部が配置されることと、何らかの部材を介してロボット本体部に撮影部が配置されることとを意味する。
【0007】
この開示の第1の局面によるロボットシステムは、上記のように、撮影部は、ロボット本体部に配置され、ロボット本体部の動作に合わせて回転し、第1回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更され、制御部は、ロボットアームを第1回転軸線周りに回転させてハンドに保持されたワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定のワークを撮影するように、撮影部の撮影領域を制御する。これにより、撮影部がロボット本体部に配置されているので、ワークの載置位置が変更された場合でも、ロボット本体部の移動によって撮影部の視野内にワークが位置するように撮影部を移動することができる。そのため、ワークの載置位置が変更された場合でも、撮影部の固定位置を変更する必要が無い。また、撮影部の撮影領域が第1回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更されるので、ロボットアームを第1回転軸線周りに回転させてハンドに保持されたワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定のワークを撮影できる。このため、ワークを所定の載置位置に載置する動作と、次に保持する予定のワークの撮影とを同時に行うことができる。そのため、ワークを所定の載置位置に載置する動作中とは別の期間中に、撮影部によるワークの撮影のためにロボットアームを停止させる必要がない。その結果、撮影部によるワークの撮影とハンドによるワークの移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮できる。このように、ワークの載置位置が変更された場合でも、撮影部の固定位置を変更する必要が無いとともに、撮影部によるワークの撮影とハンドによるワークの移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮することができる。
【0008】
この開示の第2の局面によるロボットは、ベース部と、ベース部に対して基端が所定の回転軸線周りに回転するように取り付けられ、先端にワークを保持するハンドが取り付けられるロボットアームと、を含むロボット本体部と、ロボット本体部に配置され、ロボット本体部の動作に合わせて回転し、ロボットアームの所定の回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更される撮影部と、制御部と、を備え、制御部は、ロボットアームを所定の回転軸線周りに回転させてハンドに保持されたワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定のワークを撮影するように、撮影部の撮影領域を制御する。
【0009】
この開示の第2の局面によるロボットは、上記のように、撮影部は、ロボット本体部に配置され、ロボット本体部の動作に合わせて回転し、第1回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更され、制御部は、ロボットアームを第1回転軸線周りに回転させてハンドに保持されたワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定のワークを撮影するように、撮影部の撮影領域を制御する。これにより、撮影部がロボット本体部に配置されているので、ワークの載置位置が変更された場合でも、ロボット本体部の移動によって撮影部の視野内にワークが位置するように撮影部を移動することができる。そのため、ワークの載置位置が変更された場合でも、撮影部の固定位置を変更する必要が無い。また、撮影部の撮影領域が第1回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更されるので、ロボットアームを第1回転軸線周りに回転させてハンドに保持されたワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定のワークを撮影できる。このため、ワークを所定の載置位置に載置する動作と、次に保持する予定のワークの撮影とを同時に行うことができる。そのため、ワークを所定の載置位置に載置する動作中とは別の期間中に、撮影部によるワークの撮影のためにロボットアームを停止させる必要がない。その結果、撮影部によるワークの撮影とハンドによるワークの移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮できる。このように、ワークの載置位置が変更された場合でも、撮影部の固定位置を変更する必要が無いとともに、撮影部によるワークの撮影とハンドによるワークの移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮することが可能なロボットを提供できる。
【0010】
この開示の第3の局面によるロボットシステムの制御方法は、ベース部とベース部に対して基端が所定の回転軸線周りに回転するように取り付けられ、先端にワークを保持するハンドが取り付けられるロボットアームとを含むロボット本体部と、ロボット本体部に配置され、ロボット本体部の動作に合わせて回転し、ワークを撮影する撮影部と、を備えるロボットシステムの制御方法であって、ワークをハンドにより保持させることと、ハンドによりワークが保持された状態で、ロボットアームを所定の軸線周りに回転させて、ワークを所定の載置位置に載置させることと、ハンドに保持されたワークを所定の載置位置に載置している動作中に、所定の回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影部の撮影領域を制御して、次に保持する予定のワークを撮影部により撮影させることと、を備える。
【0011】
この開示の第3の局面によるロボットシステムの制御方法は、上記のように、ハンドによりワークが保持された状態で、ロボットアームを所定の軸線周りに回転させて、ワークを所定の載置位置に載置させることと、ハンドに保持されたワークを所定の載置位置に載置している動作中に、所定の回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影部の撮影領域を制御して、次に保持する予定のワークを撮影部により撮影させることを備える。これにより、撮影部がロボット本体部に配置されているので、ワークの載置位置が変更された場合でも、ロボット本体部の移動によって撮影部の視野内にワークが位置するように撮影部を移動することができる。そのため、ワークの載置位置が変更された場合でも、撮影部の固定位置を変更する必要が無い。また、撮影部の撮影領域が第1回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更されるので、ロボットアームを第1回転軸線周りに回転させてハンドに保持されたワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定のワークを撮影できる。このため、ワークを所定の載置位置に載置する動作と、次に保持する予定のワークの撮影とを同時に行うことができる。そのため、ワークを所定の載置位置に載置する動作中とは別の期間中に、撮影部によるワークの撮影のためにロボットアームを停止させる必要がない。その結果、撮影部によるワークの撮影とハンドによるワークの移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮できる。このように、ワークの載置位置が変更された場合でも、撮影部の固定位置を変更する必要が無いとともに、撮影部によるワークの撮影とハンドによるワークの移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮することが可能なロボットシステムの制御方法を提供できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、ワークの載置位置が変更された場合でも、撮影部の固定位置を変更する必要が無いとともに、撮影部によるワークの撮影とハンドによるワークの移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態によるロボットシステムの構成を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態によるロボットシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態によるロボットの構成を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態によるハンドの構成を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態によるロボットシステムの動作を説明するためのフロー図である。
【
図6】第2実施形態によるロボットシステムの構成を示す斜視図である。
【
図7】第3実施形態によるロボットシステムの構成を示す斜視図である。
【
図8】変形例によるロボットの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
第1実施形態によるロボットシステム100の構成について説明する。なお、本願明細書において、上下方向をZ方向とする。Z方向に直交する方向をX方向とする。Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とする。
【0016】
(ロボットシステム)
図1に示すように、ロボットシステム100は、トラック1の荷室に載置された複数のワーク2を保持するとともに、コンベア3に載置する。第1実施形態では、ワーク2は、箱状である。ワーク2は、たとえば、段ボール箱である。ワーク2は、積層されている。コンベア3は、たとえば、伸縮式のコンベア3である。コンベア3は、所定の載置位置の一例である。
【0017】
図2に示すように、ロボットシステム100は、台車10およびロボットアーム21を含むロボット20と、ハンド30と、撮影部40と、
図3に示す取り付け部材50と、撮影部移動機構60と、制御部70と、を備えている。なお、コンベア3がロボットシステム100に含まれていてもよい。台車10は、ベース部の一例である。ロボット20は、ロボット本体部の一例である。
【0018】
(台車)
本実施形態では、
図1に示すように、台車10には、ロボットアーム21が載置されている。台車10は、ロボットアーム21を移動する。台車10は、たとえば、無人搬送車(AGV)である。台車10には、モータなどの駆動部と、駆動部によって回転される車輪11とが配置されている。駆動部が制御部70により制御されることにより、台車10が移動する。台車10は、自動でロボットアーム21をトラック1の近傍に移動する。
【0019】
(ロボットアーム)
図3に示すように、ロボットアーム21の基端は、台車10に対してJT1軸線周りに回転するように台車10に取り付けられている。ロボットアーム21の先端には、ワーク2を保持する
図4に示すハンド30が取り付けられている。JT1軸線は、Z方向に沿う回転軸線である。
【0020】
第1実施形態では、ロボットアーム21は、多関節ロボットアームである。具体的には、ロボットアーム21は、垂直多関節ロボットアームである。ロボットアーム21は、台車10に接続されるアーム部22aと、アーム部22aとハンド30との間に配置されるアーム部22b、22c、22dおよび22eと、を有する。アーム部22a、22b、22c、22dおよび22e同士は、関節23により接続されている。たとえば、関節23は、6個配置されている。すなわち、ロボットアーム21は、6軸の垂直多関節ロボットからなる。6個の関節23は、各々、JT1軸線、JT2軸線、JT3軸線、JT4軸線、JT5軸線、JT6軸線周りに回転する。また、複数の関節23の各々には、モータなどの駆動部とエンコーダなどの位置検出部とが配置されている。制御部70により駆動部が制御されることにより、ロボットアーム21の移動が制御される。アーム部22aは、基端アーム部の一例である。アーム部22b、22c、22dおよび22eは、先端アーム部の一例である。JT1軸線は、第1回転軸線および所定の回転軸線の一例である。
【0021】
(ハンド)
図4に示すように、ハンド30は、箱状のワーク2を吸着する吸着部31を含む。吸着部31は、複数配置されている。ハンド30には、吸着部31をA方向沿って直線移動させる移動機構32およびB方向に沿って直線移動させる移動機構33が配置されている。移動機構32および移動機構33には、モータなどの駆動部が配置されている。制御部70により駆動部が制御されることにより、移動機構32および移動機構33によって、吸着部31が移動される。吸着部31は、たとえば、吸着パッドである。
【0022】
(撮影部)
図3に示すように、撮影部40は、ロボット20に配置されている。第1実施形態では、撮影部40は、ロボットアーム21に配置されている。撮影部40は、ロボット20の動作に合わせて回転する。具体的には、撮影部40は、ロボットアーム21のJT1軸線周りの回転とともに回転し、JT1軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更される。また、JT1軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影部40が移動されることにより撮影方向を変更することと、撮影部40のズーム倍率を変更することと、のうちの少なくとも一方により、撮影部40の撮影領域が変更される。第1実施形態では、JT1軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影部40が移動されることにより撮影方向が変更されることにより、撮影部40の撮影領域が変更される。なお、撮影部40の撮影領域とは、撮影部40によって撮影される範囲を意味している。たとえば、撮影領域は、積層された複数の箱状のワーク2の全てを含む領域、または、積層された複数の箱状のワーク2の一部のみを含む領域などである。撮影部40は、3次元カメラである。撮影部40は、2次元カメラであってもよい。撮影部40は、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能を有さない。撮影部40がロボットアーム21のJT1軸線周りの回転とともに回転するので、撮影部40がロボットアーム21のJT1軸線周りの回転とともに回転しない場合と比べて、ワーク2を撮影するための撮影部40自体の回転量を低減できる。また、撮影部40がロボットアーム21のJT1軸線周りの回転とともに回転するので、撮影部40とロボットアーム21との干渉を低減できる。
【0023】
第1実施形態では、撮影部40は、アーム部22aに取り付けられている。具体的には、撮影部40は、取り付け部材50を介してアーム部22aに取り付けられている。
【0024】
第1実施形態では、取り付け部材50は、アーム部22aとともに回転し、撮影部40をアーム部22aに取り付けるために配置されている。取り付け部材50は、アーム部22aに取り付けられている。取り付け部材50は、アーム部22aともにJT1軸線周りに回転する。取り付け部材50は、水平面であるX-Y平面に沿って配置される板形状を有する。
【0025】
第1実施形態では、撮影部移動機構60は、取り付け部材50に取り付けられている。撮影部移動機構60は、撮影部40を昇降させることと、JT1軸線とは異なるAX軸線周りに撮影部40を回転させることとのうちの少なくとも一方を行う。撮影部移動機構60により撮影部40が移動されることにより、撮影部40の撮影領域が変更される。具体的には、撮影部移動機構60は、柱部61と、昇降部62とを、含む。柱部61は、Z方向に沿うように、取り付け部材50に取り付けられている。柱部61は、ロボットアーム21から水平方向に離間するように取り付け部材50に取り付けられている。昇降部62は、柱部61に沿って昇降する。撮影部40は、昇降部62に取り付けられている。昇降部62の昇降とともに、撮影部40は昇降する。また、昇降部62は、AX軸線周りに回転する。昇降部62のAX軸線周りの回転とともに撮影部40は回転する。AX軸線は、柱部61の中心軸線である。昇降部62には、モータなどの駆動部が配置されている。駆動部が制御部70により制御されることにより、昇降部62が昇降するとともに回転する。柱部61がロボットアーム21から水平方向に離間するように取り付け部材50に取り付けられているため、撮影部40は、ロボットアーム21から水平方向に離間するように配置される。AX軸線は、第2回転軸線の一例である。
【0026】
(ロボットシステムの動作)
第1実施形態では、制御部70は、ロボットアーム21をJT1軸線周りに回転させてハンド30に保持されたワーク2をコンベア3に載置する動作中に、次に保持する予定のワーク2を撮影するように、撮影部40の撮影領域を制御する。制御部70は、たとえば、台車10内に配置されている。また、制御部70が台車10以外の場所に配置されていてもよい。また、制御部70は、台車10、ロボットアーム21、ハンド30、撮影部40および撮影部移動機構60の動作を制御する。なお、1つの制御部70によって、ロボットアーム21、ハンド30、撮影部40および撮影部移動機構60の動作の全てを制御してもよいし、複数の制御部70の連携によって、ロボットアーム21、ハンド30、撮影部40および撮影部移動機構60の動作が制御されてもよい。また、ワーク2をコンベア3に載置する動作中とは、ロボットアーム21のJT1軸線周りの回転が停止されてから、ハンド30によって保持されたワーク2がコンベア3に載置された後、再びロボットアーム21のJT1軸線周りの回転が開始されるまでの間の期間を意味する。以下、ロボットシステム100の動作を具体的に説明する。以下の動作は、制御部70によって制御される。
【0027】
図5に示すように、ステップS1において、台車10が移動することにより、ロボットアーム21は、トラック1の近傍に移動する。また、台車10とともにコンベア3もトラック1の近傍に移動する。たとえば、台車10とコンベア3とが互いに接続されていることにより、台車10とともにコンベア3も移動する。なお、台車10とコンベア3とが接続されていなくてもよい。この場合、コンベア3は、予めトラック1の近傍に配置されている。
【0028】
ステップS2において、撮影部40がトラック1に積層された複数のワーク2に正対するように、ロボットアーム21がJT1軸線周りに回転される。また、撮影部40によって、トラック1に積層された複数のワーク2が撮影される。なお、制御部70は、撮影部40がトラック1に積層された複数のワーク2の全てを撮影できるように、台車10の移動、撮影部移動機構60の昇降部62の昇降および回転を制御する。
【0029】
第1実施形態では、ステップS3において、制御部70は、複数のワーク2のうちの一のワーク2をハンド30により保持させる。具体的には、撮影部40により撮影された画像に基づいて、トラック1に積層された複数のワーク2のうち、最初にハンド30により保持されるワーク2が選択される。そして、選択されたワーク2がハンド30により保持される。たとえば、制御部70は、撮影部40により撮影された画像を画像解析し、複数のワーク2を認識する。制御部70は、複数のワーク2のうち、ハンド30によって比較的保持し易いワーク2を最初に保持するワーク2として選択する。たとえば、制御部70は、積層されたワーク2のうち、最上段のワーク2を最初に保持するワーク2として選択する。
【0030】
第1実施形態では、ステップS4において、制御部70は、ロボットアーム21がJT1軸線周りに回転されてハンド30に保持された一のワーク2がコンベア3に載置される動作中に、複数のワーク2のうちの次に保持する予定のワーク2に撮影部40が正対するように、撮影部移動機構60を制御する。具体的には、選択されたワーク2がハンド30により保持された状態で、ロボットアーム21がJT1軸線周りに
図1に示すC1方向に回転される。そして、ハンド30によって、ワーク2がコンベア3に載置される。ロボットアーム21がJT1軸線周りにC1方向に回転されることにより、撮影部40は、トラック1に積層されたワーク2側を向く。制御部70は、ステップS2において撮影部40により撮影された複数のワーク2の全てが写る画像から、次に保持する予定のワーク2を選択する。そして、次に保持する予定のワーク2に撮影部40が正対するように、撮影部移動機構60の昇降部62の昇降および回転を制御する。なお、ハンド30によって保持されたワーク2が落下した場合、制御部70は、撮影部移動機構60の昇降部62の昇降および回転を制御して、落下したワーク2を撮影するように撮影部40を制御する。そして、落下したワーク2は、ハンド30により保持されるとともに、コンベア3に載置される。また、ワーク2に撮影部40が正対するとは、撮影部40の撮影方向の延長線上に、次に保持する予定のワーク2が存在することを意味する。
【0031】
第1実施形態では、ステップS4において、制御部70は、ロボットアーム21がJT1軸線周りに回転されてハンド30に保持された一のワーク2がコンベア3に載置される動作中に、複数のワーク2の他のワーク2の全てを撮影せずに、他のワーク2のうちの次に保持する予定のワーク2を撮影するように撮影部40の撮影領域を制御する。たとえば、次に保持する予定のワーク2は、最初にハンド30により保持されるとともにコンベア3に載置されたワーク2の近傍のワーク2である。また、撮影部40は、次に保持する予定のワーク2と、次に保持する予定のワーク2の周囲に配置されているワーク2とを撮影する。そして、ロボットアーム21がJT1軸線周りにC2方向に回転されることにより、ステップS3の動作が実行される。
【0032】
ステップS3およびステップS4の動作は、ステップS5において、コンベア3に載置されたワーク2が所定の個数に達すると判断されるまで繰り返し行われる。所定の個数とは、たとえば、トラック1に載置されている全てのワーク2の個数である。また、撮影部40に撮影された画像に基づいて、ユーザは、ワーク2の搬送状況を遠隔で確認してもよい。
【0033】
[第1実施形態の効果]
撮影部40は、ロボットアーム21に配置され、ロボット20の動作に合わせて回転し、JT1軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更され、制御部70は、ロボットアーム21をJT1軸線周りに回転させてハンド30に保持されたワーク2をコンベア3に載置する動作中に、次に保持する予定のワーク2を撮影するように、撮影部40の撮影領域を制御する。これにより、撮影部40がロボットアーム21に配置されているので、ワーク2の載置位置が変更された場合でも、ロボットアーム21の移動によって撮影部40の視野内にワーク2が位置するように撮影部40を移動することができる。そのため、ワーク2の載置位置が変更された場合でも、撮影部40の固定位置を変更する必要が無い。また、撮影部40の撮影領域がJT1軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に変更されるので、ロボットアーム21をJT1軸線周りに回転させてハンド30に保持されたワーク2をコンベア3に載置する動作中に、次に保持する予定のワーク2を撮影できる。このため、ワーク2をコンベア3に載置する動作と、次に保持する予定のワーク2の撮影とを同時に行うことができる。そのため、ワーク2をコンベア3に載置する動作中とは別の期間中に、撮影部40によるワーク2の撮影のためにロボットアーム21を停止させる必要がない。その結果、撮影部40によるワーク2の撮影とハンド30によるワーク2の移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮できる。このように、ワーク2の載置位置が変更された場合でも、撮影部40の固定位置を変更する必要が無いとともに、撮影部40によるワーク2の撮影とハンド30によるワーク2の移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮することができる。
【0034】
JT1軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影部40が移動されることにより撮影方向を変更することにより、撮影部40の撮影領域が変更される。これにより、撮影部40の撮影領域を容易に変更できる。また、ロボットアーム21の移動のみによって撮影部40の視野内にワーク2が位置しない場合でも、JT1軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影部40が移動されることにより、撮影部40の視野内にワーク2を位置させることができる。
【0035】
ロボットアーム21は、ベース部に接続されるアーム部22aと、アーム部22aとハンド30との間に配置されるアーム部22b、22c、22dおよび22eと、を有する多関節ロボットアームを含み、撮影部40は、アーム部22aに取り付けられており、ロボットアーム21のJT1軸線周りの回転とともに回転する。これにより、撮影部40を、ロボットアーム21のJT1軸線周りの回転とともに容易に回転させることができる。
【0036】
ロボットシステム100は、アーム部22aとともに回転し、撮影部40をアーム部22aに取り付けるための取り付け部材50をさらに備える。これにより、撮影部40をアーム部22aに直接取り付ける場合と異なり、撮影部40とアーム部22aとの干渉を抑制しながら、撮影部40をアーム部22aに取り付けることができる。
【0037】
ロボットシステム100は、取り付け部材50に取り付けられ、撮影部40を昇降させることと、JT1軸線とは異なるAX軸線周りに撮影部40を回転させることとのうちの少なくとも一方を行う撮影部移動機構60をさらに備える。そして、撮影部移動機構60により撮影部40が移動されることにより、撮影部40の撮影領域が変更される。これにより、ロボットアーム21がJT1軸線周りに回転されてハンド30に保持されたワーク2がコンベア3に載置されている動作中に、撮影部40を昇降することと、撮影部40をAX軸線周りに回転させることとのうちの少なくとも一方により、撮影したいワーク2を撮影できる位置に撮影部40を容易に移動させることができる。また、ワーク2が鉛直方向に積層されている場合において、撮影部40の位置が固定されていると、積層されたワーク2のうちの上方のワーク2と下方のワーク2とを各々撮影するために複数の撮影部40を配置する必要がある。一方、撮影部40が昇降されることにより、1つの撮影部40によって、積層されたワーク2のうちの上方のワーク2と下方のワーク2とのいずれも撮影することができるので、ロボットシステム100の構成が複雑になることを抑制できる。また、撮影部移動機構60により撮影部40を移動させることにより、1つの撮影部40によって広範囲の画像を撮影することができる。
【0038】
ワーク2は複数配置されており、制御部70は、複数のワーク2のうちの一のワーク2をハンド30により保持させ、ロボットアーム21がJT1軸線周りに回転されてハンド30に保持された一のワーク2がコンベア3に載置される動作中に、複数のワーク2のうちの次に保持する予定のワーク2に撮影部40が正対するように、撮影部移動機構60を制御する。これにより、ハンド30に保持された一のワーク2がコンベア3に載置される動作と同時に、容易に、撮影部40により次に保持する予定のワーク2を撮影することができる。
【0039】
ワーク2は複数配置されており、制御部70は、複数のワーク2のうちの一のワーク2をハンド30により保持させ、ロボットアーム21がJT1軸線周りに回転されてハンド30に保持された一のワーク2がコンベア3に載置される動作中に、複数のワーク2の他のワーク2の全てを撮影せずに、他のワーク2のうちの次に保持する予定のワーク2を撮影するように撮影部40の撮影領域を制御する。これにより、複数のワーク2の他のワーク2の全てを撮影する場合と異なり、撮影部40に撮影された画像の処理の負荷を軽減することができる。
【0040】
ロボットシステム100は、ロボットアーム21を移動させる台車10を備える。これにより、ワーク2が載置されている場所まで、台車10によりロボットアーム21を移動させることができる。また、ワーク2の載置位置が変更された場合でも、台車10によりロボットアーム21を変更後のワーク2の載置位置の近傍まで移動させることができる。
【0041】
ワーク2は、箱状のワーク2を含み、ハンド30は、箱状のワーク2を吸着する吸着部31を含む。これにより、吸着部31によって箱状のワーク2を吸着してコンベア3にワーク2を載置するロボットシステム100において、撮影部40によるワーク2の撮影とハンド30によるワーク2の移動との繰り返しの作業のサイクルタイムを短縮できる。
【0042】
[第2実施形態]
図6を参照して、第2実施形態によるロボットシステム200の構成について説明する。第2実施形態では、撮影部140は、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を有する。具体的には、撮影部140は、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能の全てを有する。また、パンとは、撮影部140のレンズの向きを左右に動かすことを意味する。また、チルトとは、撮影部140のレンズの向きを上下に動かすことを意味する。また、ズームとは、ズームインおよびズームアウトすることを意味する。撮影部140には、モータなどの駆動部が配置されている。駆動部が制御部70により制御されることにより、撮影部140がパンの動作、チルトの動作、および、ズームの動作を行う。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0043】
また、第2実施形態のロボットシステム200の動作では、
図5のステップS3において、制御部70は、次に保持する予定のワーク2に撮影部140が正対するように、撮影部移動機構60の昇降部62の昇降および回転、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能を制御する。なお、第2実施形態のロボットシステム200のその他の動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0044】
[第2実施形態の効果]
撮影部140は、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を有する。これにより、パン機能およびチルト機能によって、撮影部140の撮影範囲を変更できる。また、ズーム機能によって、撮影部140の画角を変更することができる。すなわち、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能によって、容易に、撮影部140の撮影領域を変更できる。また、撮影部移動機構60による撮影部140の移動に加えて、撮影部140は、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を有するので、撮影部140の撮影領域をより大きく変更することができる。
【0045】
[第3実施形態]
図7を参照して、第3実施形態によるロボットシステム300の構成について説明する。第3実施形態では、撮影部240は、アーム部22dに配置されている。たとえば、撮影部240は、アーム部22dの外表面に配置されている。なお、撮影部240が、アーム部22b、22cまたは22eに配置されていてもよい。また、アーム部22b、22c、22dおよび22eのうちの複数のアーム部に各々撮影部240が配置されていてもよい。すなわち、複数の撮影部240が配置されていてもよい。そして、第3実施形態のロボットシステム300の動作では、
図5のステップS1において、制御部70は、撮影部240がトラック1に積層された複数のワーク2の全てを撮影できるように、台車10の移動、撮影部240のパン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を制御する。撮影部240には、モータなどの駆動部が配置されている。駆動部が制御部70により制御されることにより、撮影部240がパンの動作、チルトの動作、および、ズームの動作を行う。
【0046】
また、第3実施形態のロボットシステム300の動作では、
図5のステップS3において、制御部70は、ロボットアーム21がJT1軸線周りに回転されてハンド30に保持された一のワーク2がコンベア3に載置される動作中に、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を動作させて、複数のワーク2のうちの次に保持する予定のワーク2を撮影するように撮影部240を制御する。なお、ハンド30によって保持されたワーク2が落下した場合、制御部70は、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を動作させて、落下したワーク2を撮影するように撮影部240を制御する。そして、落下したワーク2は、ハンド30により保持されるとともに、コンベア3に載置される。なお、第3実施形態のロボットシステム300のその他の構成および動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0047】
[第3実施形態の効果]
ワーク2は、複数配置されており、撮影部240は、アーム部22eに配置されるとともに、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を有する。制御部70は、複数のワーク2のうちの一のワーク2をハンド30により保持させ、ロボットアーム21がJT1軸線周りに回転されてハンド30に保持された一のワーク2がコンベア3に載置される動作中に、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を動作させて、複数のワーク2のうちの次に保持する予定のワーク2を撮影するように撮影部240を制御する。これにより、撮影部240自身が、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を有することによって、撮影部240を移動させるための移動機構を別途配置する必要がないので、ロボットシステム300の構成が複雑になることを抑制できる。
【0048】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0049】
上記第1、第2および第3実施形態では、ロボットアーム21が垂直多関節ロボットアームからなる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ロボットアーム21が水平多関節ロボットアームでもよい。
【0050】
上記第1、第2および第3実施形態では、ワーク2がコンベア3に載置される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ワーク2がコンベア3以外の載置位置に載置されてもよい。
【0051】
上記第1および第2実施形態では、取り付け部材50が板形状を有する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、取り付け部材50が棒形状でもよい。
【0052】
上記第2および第3実施形態では、撮影部140および撮影部240は、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能の全てを有する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、撮影部140および撮影部240が、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの1つ、または、2つの機能のみを有していてもよい。
【0053】
上記第1、第2および第3実施形態では、ロボットアーム21が台車10に載置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ロボットアーム21が移動しないように床などに固定されていてもよい。
【0054】
上記第1、第2および第3実施形態では、ワーク2が箱状のワーク2である例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ワーク2が箱状のワーク2以外でもよい。たとえば、ワーク2がバラ積みされた機械部品などであってもよい。
【0055】
上記第1、第2および第3実施形態では、ハンド30は、吸着部31を含む例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ハンド30がワーク2を把持するチャックを含んでいてもよい。
【0056】
上記第1、第2および第3実施形態では、ロボットアーム21と、撮影部40、撮影部140または撮影部240とが別体である例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、
図8に示す変形例のロボット320に示すように、ハンド30に保持されたワーク2をコンベア3に載置している動作中に、次に保持する予定のワーク2を、ロボットアーム21に内蔵されている撮影部340を用いて撮影してもよい。この場合、撮影部340は、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を有していてもよい。なお、制御部70は、ロボット320に含まれている。
【0057】
上記第1、第2および第3実施形態では、撮影部40、撮影部140および撮影部240が、ロボットアーム21に取り付けられている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、撮影部が、台車10に取り付けられていてもよい。この場合、撮影部は、ロボットアーム21をJT1軸線周りに回転させる駆動機構とは別個の駆動機構により回転される。また、制御部70は、ロボットアーム21のJT1軸線周りの回転と同期させて、撮影部を回転させる制御を行う。
【0058】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0059】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0060】
(項目1)
ベース部と、前記ベース部に対して基端が第1回転軸線周りに回転するように取り付けられ、先端にワークを保持するハンドが取り付けられるロボットアームと、を含むロボット本体部と、
前記ロボット本体部に配置され、前記ロボット本体部の動作に合わせて回転し、前記ロボットアームの前記第1回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更される撮影部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ロボットアームを前記第1回転軸線周りに回転させて前記ハンドに保持された前記ワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定の前記ワークを撮影するように、前記撮影部の撮影領域を制御する、ロボットシステム。
【0061】
(項目2)
前記第1回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に前記撮影部が移動されることにより撮影方向を変更することと、前記撮影部のズーム倍率を変更することと、のうちの少なくとも一方により、前記撮影部の撮影領域が変更される、項目1に記載のロボットシステム。
【0062】
(項目3)
前記ロボットアームは、前記ベース部に接続される基端アーム部と、前記基端アーム部と前記ハンドとの間に配置される先側アーム部とを有する多関節ロボットアームを含み、
前記撮影部は、前記基端アーム部または前記先側アーム部に取り付けられており、前記ロボットアームの前記第1回転軸線周りの回転とともに回転する、項目1または項目2に記載のロボットシステム。
【0063】
(項目4)
前記基端アーム部とともに回転し、前記撮影部を前記基端アーム部に取り付けるための取り付け部材をさらに備える、項目3に記載のロボットシステム。
【0064】
(項目5)
前記取り付け部材に取り付けられ、前記撮影部を昇降させることと、前記第1回転軸線とは異なる第2回転軸線周りに前記撮影部を回転させることとのうちの少なくとも一方を行う撮影部移動機構をさらに備え、
前記撮影部移動機構により前記撮影部が移動されることにより、前記撮影部の撮影領域が変更される、項目4に記載のロボットシステム。
【0065】
(項目6)
前記撮影部は、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を有する、項目5に記載のロボットシステム。
【0066】
(項目7)
前記ワークは複数配置されており、
前記制御部は、
前記複数のワークのうちの一のワークを前記ハンドにより保持させ、
前記ロボットアームが前記第1回転軸線周りに回転されて前記ハンドに保持された前記一のワークが前記所定の載置位置に載置される動作中に、前記複数のワークのうちの次に保持する予定のワークに前記撮影部が正対するように、前記撮影部移動機構を制御する、項目5または項目6に記載のロボットシステム。
【0067】
(項目8)
前記ワークは、複数配置されており、
前記撮影部は、前記先側アーム部に配置されるとともに、パン機能、チルト機能、および、ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を有し、
前記制御部は、
前記複数のワークのうちの一のワークを前記ハンドにより保持させ、
前記ロボットアームが前記第1回転軸線周りに回転されて前記ハンドに保持された前記一のワークが前記所定の載置位置に載置される動作中に、前記パン機能、前記チルト機能、および、前記ズーム機能のうちの少なくとも1つの機能を動作させて、前記複数のワークのうちの次に保持する予定のワークを撮影するように前記撮影部を制御する、項目3から項目7までのいずれか1項に記載のロボットシステム。
【0068】
(項目9)
前記ワークは複数配置されており、
前記制御部は、
前記複数のワークのうちの一のワークを前記ハンドにより保持させ、
前記ロボットアームが前記第1回転軸線周りに回転されて前記ハンドに保持された前記一のワークが前記所定の載置位置に載置される動作中に、前記複数のワークの他のワークの全てを撮影せずに、前記他のワークのうちの次に保持する予定の前記ワークを撮影するように前記撮影部の撮影領域を制御する、項目1から項目8までのいずれか1項に記載のロボットシステム。
【0069】
(項目10)
前記ベース部は、前記ロボットアームを移動させる台車を含む、項目1から項目9までのいずれか1項に記載のロボットシステム。
【0070】
(項目11)
前記ワークは、箱状の前記ワークを含み、
前記ハンドは、前記箱状のワークを吸着する吸着部を含む、項目1から項目10までのいずれか1項に記載のロボットシステム。
【0071】
(項目12)
ベース部と、前記ベース部に対して基端が所定の回転軸線周りに回転するように取り付けられ、先端にワークを保持するハンドが取り付けられるロボットアームと、を含むロボット本体部と、
前記ロボット本体部に配置され、前記ロボット本体部の動作に合わせて回転し、前記ロボットアームの前記所定の回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に撮影領域が変更される撮影部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ロボットアームを前記所定の回転軸線周りに回転させて前記ハンドに保持された前記ワークを所定の載置位置に載置する動作中に、次に保持する予定の前記ワークを撮影するように、前記撮影部の撮影領域を制御する、ロボット。
【0072】
(項目13)
ベース部と前記ベース部に対して基端が所定の回転軸線周りに回転するように取り付けられ、先端にワークを保持するハンドが取り付けられるロボットアームとを含むロボット本体部と、前記ロボット本体部に配置され、前記ロボット本体部の動作に合わせて回転し、前記ワークを撮影する撮影部と、を備えるロボットシステムの制御方法であって、
前記ワークを前記ハンドにより保持させることと、
前記ハンドにより前記ワークが保持された状態で、前記ロボットアームを前記所定の軸線周りに回転させて、前記ワークを所定の載置位置に載置させることと、
前記ハンドに保持された前記ワークを前記所定の載置位置に載置している動作中に、前記所定の回転軸線周りの回転による撮影領域の変更とは別個に前記撮影部の撮影領域を制御して、次に保持する予定の前記ワークを前記撮影部により撮影させることと、を備える、ロボットシステムの制御方法。
【符号の説明】
【0073】
2 ワーク
3 コンベア(所定の載置位置)
10 台車(ベース部)
20 ロボット
21 ロボットアーム
22a アーム部(基端アーム部)
22b、22c、22d、22e アーム部(先側アーム部)
30 ハンド
31 吸着部
40、140、240、340 撮影部
50 取り付け部材
60 撮影部移動機構
70 制御部
100、200、300 ロボットシステム
320 ロボット
AX 軸線(第2回転軸線)
JT1 軸線(第1回転軸線、所定の回転軸線)