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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002092
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】センサ支持構造
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101079
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】390002185
【氏名又は名称】大成ロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木原 正人
(72)【発明者】
【氏名】平野 晃
(72)【発明者】
【氏名】千田 長男
(72)【発明者】
【氏名】藤木 穫
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052BD00
2D052CA01
(57)【要約】
【課題】 フレームの解体組立作業が不要であるとともに路面の形状に合わせた検出を行うことが可能なセンサ支持構造を提供する。
【解決手段】 センサ支持構造Aは、車体の車幅方向側方において前後方向に延設される主フレーム10と、主フレーム10の前後方向一端部に対して車幅方向に揺動可能に支持される関節用フレーム20と、関節用フレーム20に対して前後方向にスライド可能に設けられる伸縮用フレーム30と、関節用フレーム20から主フレーム10とは反対側で露出する伸縮用フレーム30の先端部に設けられるセンサ50と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の車幅方向側方において前後方向に延設される主フレームと、
前記主フレームの前後方向一端部に対して車幅方向に揺動可能に支持される関節用フレームと、
前記関節用フレームに対して前後方向にスライド可能に設けられる伸縮用フレームと、
前記関節用フレームから前記主フレームとは反対側で露出する前記伸縮用フレームの先端部に設けられるセンサと、
を備えることを特徴とするセンサ支持構造。
【請求項2】
前記伸縮用フレームが前記関節用フレームに対して退縮した状態で、前記伸縮用フレームを前記主フレーム又は前記関節用フレームに固定可能な第一の固定部と、
前記伸縮用フレームが前記関節用フレームに対して伸張した状態で、前記伸縮用フレームを前記関節用フレームに固定可能な第二の固定部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のセンサ支持構造。
【請求項3】
前記関節用フレームの前記主フレームに対する揺動角度を設定可能な関節設定部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ支持構造。
【請求項4】
前記関節用フレームは、
前記伸縮用フレームが前記関節用フレームに対して退縮した状態で、前記伸縮用フレーム及び前記主フレームが互いに係合することによって、前記主フレームに対して揺動不能であるとともに、
前記伸縮用フレームが前記関節用フレームに対して伸張した状態で、前記伸縮用フレーム及び前記主フレームの係合が解除されることによって、前記主フレームに対して揺動可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ支持構造。
【請求項5】
前記主フレームに対して、前後一対の前記関節用フレーム、前記伸縮用フレーム及び前記センサを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に対してセンサを支持する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、特許文献1において、折畳構造を呈するフレームでセンサを支持するアスファルトフィニッシャを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6545132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構造では、センサ不使用時においてフレームを格納したり、センサ使用時においてフレームを展開したりする際には、道具を用いたフレームの解体組立作業が必要である。また、特許文献1に記載の構造では、センサ使用時には、車体に対するセンサの位置が固定されるため、路面の形状(カーブ等)に合わせた検出が困難である。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、フレームの解体組立作業が不要であるとともに路面の形状に合わせた検出を行うことが可能なセンサ支持構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明のセンサ支持構造は、車体の車幅方向側方において前後方向に延設される主フレームと、前記主フレームの前後方向一端部に対して車幅方向に揺動可能に支持される関節用フレームと、前記関節用フレームに対して前後方向にスライド可能に設けられる伸縮用フレームと、前記関節用フレームから前記主フレームとは反対側で露出する前記伸縮用フレームの先端部に設けられるセンサと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、フレームの解体組立作業が不要であるとともに路面の形状に合わせた検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るセンサ支持構造が適用されたアスファルトフィニッシャを模式的に示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係るセンサ支持構造を模式的に示す斜視図であり、(a)は展開状態を示す図、(b)は格納状態を示す図である。
図3】伸縮用フレームを模式的に示す斜視図である。
図4】伸縮用フレームにおける第一フレームを模式的に示す斜視図である。
図5】第二の固定部を模式的に示す分解斜視図である。
図6】第二の固定部を模式的に示す断面図であり、(a)は側方から見た断面図、(b)は後方から見た断面図である。
図7】本発明の実施形態に係るセンサ支持構造を模式的に示す平面図であり、(a)は格納状態を示す図、(b)は展開状態を示す図、(c)は関節屈曲状態を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係るセンサ支持構造を模式的に示す部分拡大平面図であり、(a)は関節を内側に屈曲した状態を示す図、(b)は関節を外側に屈曲した状態を示す図である。
図9】本発明の参考形態に係るセンサ支持構造における伸縮用フレーム、横フレーム、下設フレーム及びセンサを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、本発明のセンサ支持構造を車両としてのアスファルトフィニッシャに適用した場合を例にとり、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、前後、上下、左右といった方向を表す表現は、車両及び当該車両の乗員を基準とする。
【0010】
<アスファルトフィニッシャ>
図1に示すように、本発明の実施形態に係るアスファルトフィニッシャ1は、前方から順に、ホッパ2と、エンジンルーム3と、運転台4と、スクリード5と、を備える。アスファルトフィニッシャ1は、ダンプカー等からホッパ2に投入されたアスファルト合材を、エンジンルーム3及び運転台4の下方に設けられた図示しないコンベアで後方へ搬送する。また、アスファルトフィニッシャ1は、後方に搬送されたアスファルト合材を、運転台3の下方に設けられた図示しないスクリュースプレッダによって路面に敷き拡げ、敷き拡げられたアスファルト合材をスクリード5によって敷き均す。
【0011】
アスファルトフィニッシャ1は、前方から順に、センサ50F,50R,130を備える。センサ50F,50Rは、ホッパ2の車幅方向側方において、アスファルト合材が敷き拡げられる前の路面の高さ(センサ50F,50Rのそれぞれと路面との距離)を検出する。センサ130は、スクリード5の下方において、スクリード5によって路面上に敷き均されたアスファルト合材の高さ(センサ130とアスファルト合材の上面との距離)を検出する。
【0012】
アスファルトフィニッシャ1は、センサ50F,50R,130の検出結果に基づいて、敷き拡げられたアスファルト合材の厚みを算出する。アスファルトフィニッシャ1は、かかる算出結果に基づいてスクリード5を制御し、アスファルト合材を好適な厚みに敷き均す。
【0013】
本実施形態において、スクリード5は、アスファルトフィニッシャ1の車体に設けられたレベリングシリンダ、及び、当該レベリングシリンダの先端部を支点とするレベリングアームを介して、フローティング状態で牽引されている。ここで、レベリングシリンダは、上方へ退縮することによって、スクリードの作業角度(アタック角)を大きくし、スクリード5の下面へのアスファルト合材の入り込みを増加させ、舗装厚さを増加させる。また、レベリングシリンダは、下方へ伸張することによって、スクリードの作業角度(アタック角)を小さくし、スクリード5の下面へのアスファルト合材の入り込みを減少させ、舗装厚さを減少させる。アスファルトフィニッシャ1の制御部は、センサ50F,50R,130の検出結果に基づいてレベリングシリンダを上下方向に伸縮させることによって、スクリード5の作業角度を変更し、舗装厚さを調整する。
【0014】
また、アスファルトフィニッシャ1の制御部は、アスファルト合材の舗装厚さが規定値(例えば、検測棒を用いて実測された規定の敷き均し厚さ)となったときのセンサ50F,50R,130の検出値を0(ニュートラル)に設定する。アスファルトフィニッシャ1の制御部は、センサ50F,50R,130の検出結果が0となるようにスクリード5を制御する。本実施形態において、センサ50F,50R,130は、それぞれ、5つの超音波発信(及び受信)機を備えており、5つの超音波発信機の検出値のうち、著しく異なる2つの検出値を除外した3つの検出値の平均値を、当該センサ50F,50R,130の検出値として制御部へ出力する。また、制御部は、センサ50F,50R,130の検出値の平均値を算出し、算出結果に基づいてスクリード5を制御する。
【0015】
<センサ支持構造>
図1に示すように、本発明の実施形態に係るアスファルトフィニッシャ1は、センサ50F,50Rを支持する構造として、センサ支持構造Aを備える。図2に示すように、本発明の実施形態に係るセンサ支持構造Aは、主フレーム10と、前後一対の関節用フレーム20(20F,20R)と、前後一対の伸縮用フレーム30(30F,30R)と、前後一対の下設フレーム40(40F,40R)と、センサ50(50F,50R)と、横フレーム60(図1参照)と、を備える。
【0016】
≪主フレーム及び横フレーム≫
主フレーム10は、アスファルトフィニッシャ1の車体側方において前後方向に延設される矩形筒部材である。主フレーム10は、前後方向中間部において、車幅方向に延設される横フレーム60によって、アスファルトフィニッシャ1の車体側面に支持されている。横フレーム60は、例えば、レベリングアームに取り付けられたフレームである。横フレーム60の長さ(車幅方向寸法)は、エンジンルーム3における車体側面に設けられたエンジンメンテナンス用の点検カバー3aでの作業性を確保可能に設定されている。
【0017】
主フレーム10の前後方向両端部には、それぞれ、車幅方向一対のピン挿通部11a,11b(図7参照)が形成されている。ピン挿通部11aは、主フレーム10の車幅方向内壁部に形成されており、上下方向に開口する筒部である。ピン挿通部11bは、主フレーム10の車幅方向外壁部に形成されており、上下方向に開口する筒部である。
【0018】
主フレーム10の前後方向両端部には、それぞれ、係止用突起部12aが形成されている。係止用突起部12aは、主フレーム10における上壁部の前端部から上方に延設されている。
【0019】
≪関節用フレーム≫
関節用フレーム20は、主フレーム10の前後方向端部から前後方向のいずれかに延設される矩形筒部材である。関節用フレーム20は、正面視で主フレーム10と同じサイズの枠形状を呈する。関節用フレーム20の長さ(前後方向寸法)は、主フレーム10の長さよりも短い。前の関節用フレーム20Fは、主フレーム10の前端部から前方に延設されており、後の関節用フレーム20Rは、主フレームの後端部から後方に延設されている。
【0020】
関節用フレーム20の主フレーム10側端部(前の関節用フレーム20Fの後端部、後の関節用フレーム20Rの前端部)には、車幅方向一対のピン挿通部21a,21b(図7参照)が形成されている。ピン挿通部21aは、関節用フレーム20の車幅方向内壁部に形成されており、上下方向に開口する筒部である。ピン挿通部21aは、平面視でピン挿通部11aと重なることが可能な位置に設けられている。ピン挿通部21bは、関節用フレーム20の車幅方向外壁部に形成されており、上下方向に開口する筒部である。ピン挿通部21bは、平面視でピン挿通部11bと重なることが可能な位置に設けられている。
【0021】
関節用フレーム20の主フレーム10側端部(前の関節用フレーム20Fの後端部、後の関節用フレーム20Rの前端部)には、車幅方向一対の係止用突起部22a,22bが形成されている。係止用突起部22aは、関節用フレーム20の上壁部の車幅方向内部から上方に延設されている。係止用突起部22bは、関節用フレーム20の上壁部の車幅方向外部から上方に延設されている。係止用突起部22a,22bは、周面に雄ネジ部が形成されたボルト等によって構成されている。なお、係止用突起部22a,22bは、一本のボルト等を必要に応じて移動させて設置することによって、当該係止用突起部22a,22bのいずれかが実現される構成であってもよい。
【0022】
関節用フレーム20の車幅方向外壁部には、孔部23が形成されている。
【0023】
≪伸縮用フレーム≫
伸縮用フレーム30は、主フレーム10及び関節用フレーム20に挿通された状態で前後方向にスライド可能な矩形筒部材である。伸縮用フレーム30は、正面視で主フレーム10及び関節用フレーム20よりも小さい枠形状を呈する。前の伸縮用フレーム30Fは、主フレーム10及び前の関節用フレーム20Fに挿通されており、後の伸縮用フレーム30Rは、主フレーム10及び後の関節用フレーム20Rに挿通されている。
【0024】
図3及び図4に示すように、伸縮用フレーム30は、第一フレーム31と、第二フレーム32と、複数の調整板33と、を備える。
【0025】
第一フレーム31は、側面視で横に倒したT字形状を呈しており、上下方向に大きい基端部31aと、基端部31aから延設されており、上下方向に小さい延伸部31bと、を一体的に備える。基端部31aの長さ(前後方向寸法)は、関節用フレーム20の長さよりも短く、より詳細には、関節用フレーム20の長さから後記するスペーサ82,83の長さ(前後方向寸法)を引いた寸法よりも短い。
【0026】
第二フレーム32の一端部(第一フレーム31側端部)は、延伸部31bに外嵌されており、ボルト等によって延伸部31bに固定されている。
【0027】
調整板33は、第一フレーム31における基端部31aの車幅方向側壁部に取り付けられている。調整板33は、第一フレーム31の基端部31a部分の車幅方向寸法を、第二フレーム32の車幅方向寸法に合わせるためのものである。
【0028】
伸縮用フレーム30の主フレーム10側端部、本実施形態では、第一フレーム31における基端部31aの車幅方向外面には、孔部30aが形成されている。伸縮用フレーム30の先端部、本実施形態では、第二フレーム32の車幅方向外面には、孔部30bが形成されている。
【0029】
≪下設フレーム≫
図2に示すように、下設フレーム40は、伸縮用フレーム30の先端部から下方に延設されている棒状部材又は筒状部材である。前の下設フレーム40Fは、前の伸縮用フレーム30Fの前端部から下方に延設されており、後の下設フレーム40Rは、後の伸縮用フレーム30Rの後端部から下方に延設されている。
【0030】
≪センサ≫
センサ50は、下設フレーム40の下端部に設けられており、当該センサ50の下方の路面までの距離を検出する。前のセンサ50Fは、前の下設フレーム40Fの下端部に設けられており、後のセンサ50Rは、後の下設フレーム40Rの下端部に設けられている。センサ50は、所定大きさの円の範囲内で路面までの距離を検出する。
【0031】
≪第一の固定部≫
センサ支持構造Aは、伸縮用フレーム30が主フレーム10及び関節用フレーム20内に退縮した状態で、伸縮用フレーム30を主フレーム10及び/又は関節用フレーム20に固定するための第一の固定部として、ピン71(71F,71R)を備える。
【0032】
前のピン71Fは、前の伸縮用フレーム30Fが主フレーム10及び前の関節用フレーム20F内に退縮した状態で、孔部23,30bに挿通されることによって、伸縮用フレーム30Fを関節用フレーム20Fに固定する。後のピン71Rは、後の伸縮用フレーム30Rが主フレーム10及び後の関節用フレーム20R内に退縮した状態で、孔部23,30bに挿通されることによって、伸縮用フレーム30Rを関節用フレーム20Rに固定する。
【0033】
≪第二の固定部≫
図5及び図6に示すように、センサ支持構造Aは、伸縮用フレーム30が主フレーム10及び関節用フレーム20から伸張した状態で、伸縮用フレーム30を関節用フレーム20に固定するための第二の固定部として、ピン71と、枠部81と、下部スペーサ82と、上部スペーサ83と、軸部84と、レバー部85と、ナット部86と、を前後一対に備える。
【0034】
前のピン71Fは、前の伸縮用フレーム30Fが主フレーム10及び前の関節用フレーム20Fから前方に伸張して主フレーム10内には残らない状態で、孔部23,30aに挿通されることによって、伸縮用フレーム30Fを関節用フレーム20Fに固定する。後のピン71Rは、後の伸縮用フレーム30Rが主フレーム10及び後の関節用フレーム20Rから後方に伸張して主フレーム10内には残らない状態で、孔部23,30aに挿通されることによって、伸縮用フレーム30Rを関節用フレーム20Rに固定する。
【0035】
枠部81は、関節用フレーム20の前後方向端部に外嵌されている。前の枠部81は、主フレーム10の前端部に外嵌されており、後の枠部81は、主フレーム10の後端部に外嵌されている。下部スペーサ82は、枠部81内において、主フレーム10の下壁部の上側に設けられて固定される板状部材である。上部スペーサ83は、枠部81内において、主フレーム10の上壁部の下側に設けられる板状部材である。上部スペーサ83は、上下方向に移動可能であるとともに、前後方向及び車幅方向に移動不能であるように構成されている。軸部84は、主フレーム10及び枠部81の上壁部に挿通されて上部スペーサ83を下方へ押圧可能に構成されている。軸部84の外周面に形成された雄ネジ部は、枠部81の上壁部に形成された雌ネジ部に螺合している。レバー部85は、軸部84の上端部に取り付けられている。ナット部86は、軸部84のうち、枠部81及びレバー部85の間となる部位に螺合している。
【0036】
≪関節設定部≫
図2及び図7に示すように、センサ支持構造Aは、伸縮用フレーム30が主フレーム10及び関節用フレーム20から伸張した状態で、関節用フレーム20を主フレーム10に対して上下軸周りに揺動させるとともに揺動角度を設定して固定するための関節設定部として、ピン91(91F,91R)と、ターンバックル92(92F,92R)と、を備える。
【0037】
ピン91は、平面視で重なるように配置されたピン挿通部11a,21a又はピン挿通部11b,21bに挿通される棒状部材である。前のピン91Fは、主フレーム10のピン挿通部11a(又は11b)及び前の関節用フレーム21a(又は21b)に挿通可能であり、後のピン91Rは、主フレーム10のピン挿通部11a(又は11b)及び後の関節用フレーム21a(又は21b)に挿通可能である。
【0038】
ターンバックル92は、内周面に雌ネジ部が形成された円筒形状の筒部92aと、一対の軸部92b,92cと、を備える。
【0039】
一方の軸部92bの外周面には、筒部92aの雌ネジ部と螺合する雄ネジ部が形成されている。軸部92bの先端部(前のターンバックル92Fでは後端部、後のターンバックル92Rでは前端部)は、筒部92aから露出しており、係止用突起部12aを挿通可能な孔部を有する。
【0040】
他方の軸部92cの外周面には、筒部92aの雌ネジ部と螺合する雄ネジ部が形成されている。軸部92cの先端部(前のターンバックル92Fでは前端部、後のターンバックル92Rでは後端部)は、筒部92aから露出しており、係止用突起22a,22bのいずれかを挿通可能な孔部を有する。
【0041】
<第二のセンサ支持構造>
図1に示すように、本発明の実施形態に係るアスファルトフィニッシャ1は、センサ130を支持する構造として、第二のセンサ支持構造Bを備える。第二のセンサ支持構造Bは、主フレーム110と、下設フレーム120と、センサ130と、を備える。
【0042】
≪主フレーム≫
主フレーム110は、アスファルトフィニッシャ1の車体の後端部かつ車幅方向端部から、斜め後方に延設される部材である。主フレーム110の基端部は、アスファルトフィニッシャ1の車体に対して上下軸周りに回動可能に支持されている。主フレーム110は、複数のフレームを連結することによって、伸張/退縮、又は、進展/折り畳み可能に構成されている。
【0043】
≪下設フレーム≫
下設フレーム120は、主フレーム110の先端部から下方に延設されている棒状部材又は筒状部材である。
【0044】
≪センサ≫
センサ130は、下設フレーム120の下端部に設けられており、当該センサ130の下方のアスファルト合材までの距離(アスファルト合材の高さ)を検出する。センサ130は、所定大きさの円の範囲内で路面までの距離を検出する。
【0045】
<動作例>
続いて、本発明の実施形態に係るセンサ支持構造Aの動作例について、長さ変更、角度変更の順に説明する。
【0046】
≪長さ変更(伸張)≫
図2(b)及び図7(a)に示すように、初期状態として、関節用フレーム20は、主フレーム10に対して角度0°で前方に延設されている。伸縮用フレーム30の基端部側は、主フレーム10及び関節用フレーム20に収容されており、伸縮用フレーム30の先端部側は、関節用フレーム20から露出している。伸縮用フレーム30F,30Rの長さは、かかる収容状態で、主フレーム10内で互いに離間する(当接しない)ように設定されている。
【0047】
まず、利用者は、主フレーム10及び伸縮用フレーム30を固定するピン71を主フレーム10及び伸縮用フレーム30から抜き出すとともに、レバー部85及びナット部86を操作し、軸部84による伸縮用フレーム30の押圧を解除する。続いて、図2(a)及び図7(b)に示すように、利用者は、伸縮用フレーム30を主フレーム10及び関節用フレーム20から引き出して伸張させる。ここで、伸縮用フレーム30の基端部は、主フレーム10から離脱して関節用フレーム20内に位置する。また、センサ支持構造Aは、伸縮用フレーム30における基端部31aの下端部及び上端部がそれぞれ下部スペーサ82及び上部スペーサ83に当接することによって、伸縮用フレーム30が関節用フレーム20から離脱することを防止する。
【0048】
続いて、利用者は、ピン71を関節用フレーム20の孔部23及び伸張用フレーム30の孔部30aに挿通させるとともに、レバー部85及びナット部86を操作し、軸部84によって伸縮用フレーム30を押圧する。これにより、伸縮用フレーム30が関節用フレーム20に固定される。
【0049】
ここで、図2(a)及び図7(a)に示すように、伸縮用フレーム30が主フレーム10及び関節用フレーム20内に収容されている状態では、伸縮用フレーム30が主フレーム10と係合する(重なり合って互いの屈曲方向への姿勢変化を阻害する)ことによって、関節用フレーム20が主フレーム10に対して揺動不能となっている。また、図2(b)及び図7(b)に示すように、伸縮用フレーム30が主フレーム10から離脱するとともに関節用フレーム20内に収容されている状態では、伸縮用フレーム30及び主フレーム10の係合が解除されることによって、関節用フレーム20が主フレーム10に対して揺動可能となっている。
【0050】
利用者は、ピン71を用いずに軸部84による押圧によって伸縮用フレーム30を関節用フレーム20に固定する場合には、伸縮用フレーム30が主フレーム10から離脱している範囲で、伸縮用フレーム30が関節用フレーム20から露出する長さを適宜変更可能である。なお、ピン71を用いて伸縮用フレーム30を関節用フレーム20に固定する場合においても、関節用フレーム20の孔部23及び/又は伸縮用フレーム10の孔部30aを前後方向に複数形成することによって、孔部23,30aの組み合わせによって、伸縮用フレーム30が関節用フレーム20から露出する長さを複数段階で適宜変更可能である。
【0051】
≪長さ変更(退縮)≫
利用者は、伸縮用フレーム30を主フレーム10及び関節用フレーム20に収容させる場合には、前記した動作と逆順の動作を行う。
【0052】
≪角度変更(屈曲)≫
続いて、関節用フレーム20を車幅方向内方に揺動させる場合には、図7(c)及び図8(a)に示すように、利用者は、ピン91を主フレーム10のピン挿通部11a及び関節用フレーム20のピン挿通部21aに挿通させ、主フレーム10及び関節用フレーム20の車幅方向内側に揺動軸を実現させる。また、利用者は、ターンバックル92の軸部92cの先端部を車幅方向外部の係止用突起部22bに係止させる。続いて、利用者は、ターンバックル92の筒部92aを回転させることによって、軸部92b,92cを筒部92aから引き出す。これにより、関節用フレーム20、伸縮用フレーム30、下設フレーム40及びセンサ50が主フレーム10に対して車幅方向内方に揺動し、所定角度で固定される。
【0053】
一方、関節用フレーム20を車幅方向外方に揺動させる場合には、図8(b)に示すように、利用者は、ピン91を主フレーム10のピン挿通部11b及び関節用フレーム20のピン挿通部21bに挿通させ、主フレーム10及び関節用フレーム20の車幅方向外側に揺動軸を実現させる。また、利用者は、ターンバックル92の軸部92cの先端部を車幅方向内部の係止用突起部22aに係止させる。続いて、利用者は、ターンバックル92の筒部92aを回転させることによって、軸部92b,92cを筒部92aから引き出す。これにより、関節用フレーム20、伸縮用フレーム30、下設フレーム40及びセンサ50が主フレーム10に対して車幅方向外方に揺動し、所定角度で固定される。
【0054】
利用者は、前の関節用フレーム20Fの主フレーム10に対する揺動角度と、後の関節用フレーム20Rの主フレーム10に対する揺動角度と、をそれぞれ独立して同一角度又は別角度に設定することが可能である。
【0055】
≪角度変更(進展)≫
利用者は、関節用フレーム20を主フレーム10に対して真っ直ぐに戻す場合には、前記した動作と逆順の動作を行う。
【0056】
作業者は、アスファルトフィニッシャ1が走行する路面のカーブに応じて、伸縮用フレーム30を伸張させるとともに関節用フレーム20の主フレーム10に対する揺動角度を適宜設定する。センサ50F,50R,130(の検知軌跡)は、かかる角度変更によって路面端部X1のカーブに沿う位置、すなわち、路面端部X1から所定距離内側のセンサ検知軌跡X2に配置される。アスファルトフィニッシャ1は、かかる状態で路面を走行軌跡X3に沿って走行することによって、路面の高さ及びアスファルト合材の高さを好適な位置で検出することができ、かかる検出結果に基づいてアスファルト合材を好適に敷き均すことができる。
【0057】
なお、センサ50F,50R,130は、アスファルトフィニッシャ1の輸送時、施工作業終了から次の施工作業開始までの間等といった当該センサ50F,50R,130の不使用時には、フレームから取り外されて別途保管される。
【0058】
本発明の実施形態に係るセンサ支持構造Aは、車体の車幅方向側方において前後方向に延設される主フレーム10と、前記主フレーム10の前後方向一端部に対して車幅方向に揺動可能に支持される関節用フレーム20と、前記関節用フレーム20に対して前後方向にスライド可能に設けられる伸縮用フレーム30と、前記関節用フレーム20から前記主フレーム10とは反対側で露出する前記伸縮用フレーム30の先端部に設けられるセンサ50と、を備える。
したがって、センサ支持構造Aは、センサの不使用時には伸縮用フレーム30を主フレーム10及び関節用フレーム20に対してスライドさせて格納することができるので、フレームの解体組立作業を不要とすることができる。また、センサ支持構造Aは、関節用フレーム20によって車体に対するセンサ50の車幅方向の距離を変更することができるので、路面の形状に合わせた検出を行うことができる。また、センサ支持構造Aは、伸縮及び揺動によって、車体に対するセンサ50の前後方向位置及び車幅方向位置を変更することができるので、路面の形状に合わせた検出を行うことができる。
また、センサ支持構造Aは、従来のフレームを折り畳む構造と比較して、格納状態においてフレームが車幅方向から見て車体と重なる面積を小さくすることができるので、機械整備用の点検蓋、給油口等との干渉を防止し、作業性(メンテナンス等)を向上することができる。
かかるセンサ支持構造Aは、大型のアスファルトフィニッシャだけでなく、中型のアスファルトフィニッシャにも好適に適用可能である。
【0059】
また、センサ支持構造Aは、前記伸縮用フレーム30が前記関節用フレーム20に対して退縮した状態で、前記伸縮用フレーム30を前記主フレーム10又は前記関節用フレーム20に固定可能な第一の固定部と、前記伸縮用フレーム30が前記関節用フレーム20に対して伸張した状態で、前記伸縮用フレーム30を前記関節用フレーム20に固定可能な第二の固定部と、を備える。
したがって、センサ支持構造Aは、センサ50の不使用状態及び使用状態のそれぞれにおいて、伸縮用フレーム30をスライド不能に固定することができる。
【0060】
また、センサ支持構造Aは、前記関節用フレーム20の前記主フレーム10に対する揺動角度を設定可能な関節設定部を備える。
したがって、センサ支持構造Aは、センサ50の使用状態において、車体に対するセンサ50の距離を好適に設定し、路面の形状に応じた検出を行うことができる。
【0061】
また、センサ支持構造Aにおいて、前記関節用フレーム20は、前記伸縮用フレーム30が前記関節用フレーム20に対して退縮した状態で、前記伸縮用フレーム30及び前記主フレーム10が互いに係合することによって、前記主フレーム10に対して揺動不能であるとともに、前記伸縮用フレーム30が前記関節用フレーム20に対して伸張した状態で、前記伸縮用フレーム30及び前記主フレーム10の係合が解除されることによって、前記主フレーム10に対して揺動可能に構成されている。
したがって、センサ支持構造Aは、簡易な構造で関節用フレーム20が揺動可能な状態と揺動不能な状態とを切り替えることができ、伸縮用フレーム30が退縮した状態で関節用フレーム20の揺動を防止することができる。
【0062】
また、センサ支持構造Aは、前記主フレーム10に対して、前後一対の前記関節用フレーム20、前記伸縮用フレーム30及び前記センサ50を備える。
したがって、センサ支持構造Aは、一つの主フレーム10に対して前後にセンサ50等を設けることによって、2つのセンサ50を簡易な構造で脱着作業が不要かつ車体に対する距離を可変に支持することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第一の固定部は、伸縮用フレーム30が主フレーム10及び関節用フレーム20内に退縮した状態で、伸縮用フレーム30を主フレーム10に固定する構造(ピン等)であってもよい。
【0064】
また、参考形態として、センサ支持構造は、車体の車幅方向側方において前後方向に延設される主フレームと、前記主フレームに対して前後方向にスライド可能に設けられる伸縮用フレームと、前記伸縮用フレームの前記主フレームとは反対側となる端部に対して車幅方向に揺動可能に支持される関節用フレームと、前記関節用フレームの先端部に設けられるセンサと、を備える構成であってもよい。かかるセンサ支持構造は、主フレームではなく伸縮用フレームが関節を有する構造を呈する。
【0065】
また、図9に示すように、本発明の他の参考形態に係るセンサ支持構造Cは、横フレーム210を備える。なお、図示は省略するが、センサ支持構造Cにおいて、主フレーム10及び関節用フレーム20は一体化されており、主フレーム10及び関節用フレーム20の間の関節は省略されている。
【0066】
横フレーム210は、左右方向に延びるパイプ状のフレームであり、上下一対の押さえプレート221,221及び左右一対のU型ボルト222,222等によって、伸縮用フレーム30の先端部に着脱可能に取り付けられる。
【0067】
本参考形態において、下設フレーム40は、クランプ(直交クランプ)223を介して横フレーム210の車幅方向外端部側に取り付けられる。クランプ223は、横フレーム210に対して左右方向にスライド可能に取り付けられており、下設フレーム40は、直交クランプ223に対して上下方向にスライド可能に取り付けられている。すなわち、下設フレーム40及びセンサ50は、伸縮用フレーム30に対して左右方向及び上下方向に位置変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
A センサ支持構造
1 アスファルトフィニッシャ(車両、車体)
10 主フレーム
20,20F,20R 関節用フレーム
30,30F,30R 伸縮用フレーム
40,40F,40R 下設フレーム
50,50F,50R センサ
60 横フレーム
71,71F,71R ピン
81 枠部
82 下部スペーサ
83 上部スペーサ
84 軸部
85 レバー部
86 ナット部
91,91F,92R ピン
92,92F,92R ターンバックル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9