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特開2024-20927プロジェクションマッピングケース及びかかるプロジェクションマッピング機器の賃貸業務ビジネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020927
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】プロジェクションマッピングケース及びかかるプロジェクションマッピング機器の賃貸業務ビジネス
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240207BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240207BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240207BHJP
   B60R 13/00 20060101ALI20240207BHJP
   G03B 21/16 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
G03B21/14 E
G03B21/00 D
H04N5/74 E
B60R13/00
G03B21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123487
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】517229763
【氏名又は名称】サヨ・エンタープライズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】七谷 知展
【テーマコード(参考)】
2K203
3D024
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA02
2K203FA75
2K203FA76
2K203FA82
2K203FA91
2K203FB07
2K203GC08
2K203HA53
2K203KA07
2K203KA83
2K203KA84
2K203LA12
2K203LA26
2K203LA27
2K203MA12
3D024BA03
3D024BA09
3D024BA13
3D024BA14
3D024BA15
5C058BA35
5C058EA02
(57)【要約】
【課題】投映準備のセッティングが容易に行えるプロジェクションマッピングケース及びかかるプロジェクションマッピング機器の賃貸業務ビジネスを提供する。
【解決手段】この発明は、側壁に外気送入窓と内気排出窓とを設けたケース本
体と、ケース本体内に収納したプロジェクターと、プロジェクターを収納したケ
ース本体の側壁においてズーム本体の前端部に設けた投映レンズに対応する位置に形成し
た光線侵入窓と、光線侵入窓に形成した光線侵入孔の内側に開閉自在に設けたシャッター
本体とよりなり、シャッター本体はケース本体の側壁内側に設けたスライドレールに沿っ
て左右摺動可能に構成すると共に、シャッター本体は電動モータとスプリングよりなるア
クチュエータにより左右に摺動可能に構成してなるプロジェクションマッピングケースの
構造とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁に外気流入窓と内気排出窓と光線侵入窓を備えた収納ケースと、
収納ケースの内部に載置固定されたプロジェクターと、
光線侵入窓に設けた光線侵入孔を開閉自在とするシャッター本体を有するシャッター機構とよりなり、
シャッター本体は電動モータおよびスプリングからなるアクチュエータにより収納ケースの側壁内側に設けたスライドレールに沿って左右移動自在に構成したことを特徴とする
プロジェクションマッピングケース。
【請求項2】
収納ケースは側壁に真空断熱層を有することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクションマッピングケース。
【請求項3】
広告関連顧客のコンテンツ情報をプロジェクターによる投映という提供手段により一般大衆に提供するプロジェクションマッピング提供システムにおいて、
収納ケースにプロジェクターを収納した請求項1に記載のプロジェクションマッピングケースと、
広告事業者が保有するシステムサーバおよびプロジェクションマッピングケースを搭載した走行車と、
データ制作会社が保有する制作データサーバと、
を備え、
プロジェクションマッピングにて提供したい広告情報や宣伝情報を公衆通信回線網を通じて広告関連顧客から聞き取りして広告事業者のシステムサーバに登録するための打合せ工程と、
打合せ工程で広告事業者のシステムサーバに登録された情報を基にプロジェクターによる投映条件・投映場所を決定するための現地調査工程と、
現地調査工程で取得した情報を基に必要機材の選定および投映データのラフ案を制作するための企画・プランニング工程と、
企画・プランニング工程で制作した情報を基に制作データサーバを用いて投映データを制作するための映像制作工程と、
映像制作工程で制作した投映データを投映面に投映しながら投映面に合致するように走行車を調整するための施工・調整工程と、
で構成したことを特徴とするプロジェクションマッピング提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物などの壁面に各種情報や模様をプロジェクターで投映するプロジェクションマッピングケース、及びかかるプロジェクションマッピング機器を利用した賃貸業務ビジネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上や建築物の壁面などにコンピュータで作成したCG映像を投映することにより、夜間における映写PRの効果を奏するプロジェクションマッピングがある。
【0003】
かかるプロジェクションマッピングを実施するためには、投映コンテンツと、投映コンテンツを投射するためのプロジェクターと、プロジェクターを収納するためのケースを必要とする。ただし、プロジェクターを収納するケースは、屋外で使用されることからプロジェクターの投映時に内部が高温となり、収納した機器を熱損傷させる虞があった。このような機器の熱損傷を回避するためには、ケースに効果的な排熱機能を必要とする。
【0004】
また、プロジェクションマッピングの投映方向を南向きとする場合、セッティングしたプロジェクターのレンズと太陽が対向することとなり、太陽光がレンズを介してプロジェクター内部で集光した結果、プロジェクターが昇温して熱変形する虞があった。このようなプロジェクターの熱変形を回避するためには、プロジェクターの不使用時において、プロジェクターのレンズを太陽光から遮蔽する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-228543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、プロジェクターを収納したケースは、プロジェクターのレンズを太陽光から保護する機能を備えていない。そのため、プロジェクターのレンズに太陽光が照射されると、プロジェクターが熱変形する虞があった。
【0007】
かかるレンズに対する太陽光の遮蔽機能としては、レンズの前面に着脱自在の保護カバーを取り付けることが最も簡易で効果的である。しかしながら、このような構成では、プロジェクターを使用する度にケース内部に収納したプロジェクターの保護カバーを着脱する操作が必要となり、プロジェクションマッピングを実施する上で操作性が悪くなるという欠点があった。
【0008】
また、このようなプロジェクターを収納したケースを利用したプロジェクションマッピングの賃貸業務においては、投映する場所の規模、展示方法(イベント/常設)、実施時期、投映する動画の長さ、音楽の有無、施工時の電源の確保、および投映面に対する投映映像の調整など、作業完了までに要する時間が不透明な要素がある。特に、投映面に対する投映映像を調整する作業時間は、映像を投映する段階になって初めて分かることであり、どの程度時間を要するかが不明確であることが多く、設置作業完了後の請求金額が見積金額から乖離する要因となっていた。このように、プロジェクションマッピングにかかる費用の不透明さがプロジェクションマッピングの普及を阻害する要因となっていた。
【0009】
また、プロジェクションマッピングの賃貸業務においては、プロジェクター設置場所の設営費用、投映するためのプロジェクターのレンタル費用、および投映映像の作成費用、など、種々の費用を必要とする。特にプロジェクターを設置するための設置場所の設営費用は、高額であり、一度設置場所を固定してしまうと変更することが難しく、プロジェクションマッピングの普及を阻害する要因となっていた。
【0010】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、プロジェクターが熱変形する虞を低減するプロジェクションマッピングケース構造を提供するとともに、かかるプロジェクションマッピングケースを利用して安価で、投映映像の調整作業時間を容易に実施できるプロジェクションマッピング機器の賃貸業務ビジネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、側壁に外気送入窓と内気排出窓と光線侵入窓を備えた収納ケースと、収納ケースの内部に載置固定されたプロジェクターと、光線侵入窓に設けた光線侵入孔を開閉自在とするシャッター本体を有するシャッター機構とよりなり、シャッター本体は電動モータおよびスプリングからなるアクチュエータにより収納ケースの側壁内側に設けたスライドレールに沿って左右移動自在に構成したことを特徴とするプロジェクションマッピングケースである。
【0012】
また、本発明の第2の態様は、収納ケースは真空断熱層を有することを特徴とするプロジェクションマッピングケースである。
【0013】
また、本発明の第3の態様は、広告関連顧客のコンテンツ情報をプロジェクターによる投映という提供手段により一般大衆に提供するプロジェクションマッピング提供システムにおいて、収納ケースにプロジェクターを収納したプロジェクションマッピングケースと、広告事業者が保有するシステムサーバおよびプロジェクションマッピングケースを搭載した走行車と、データ制作会社が保有する制作データサーバと、を備え、プロジェクションマッピングにて提供したい広告情報や宣伝情報を公衆通信回線網を通じて広告関連顧客から聞き取りして広告事業者のシステムサーバに登録するための打合せ工程と、打合せ工程で広告事業者のシステムサーバに登録された情報を基にプロジェクターによる投映条件、投映場所を決定するための現地調査工程と、現地調査工程で取得した情報を基に必要機材の選定および投映データのラフ案を制作するための企画・プランニング工程と、企画・プランニング工程で制作した情報を基に制作データサーバを用いて投映データを制作するための映像制作工程と、映像制作工程で制作した投映データを投映面に投映しながら投映面に合致するように走行車を調整するための施工・調整工程と、で構成したことを特徴とするプロジェクションマッピング提供システムである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、側壁に外気送入窓と内気排出窓と光線侵入窓を備えた収納ケースと、収納ケースの内部に収納されたプロジェクターと、光線侵入窓に設けた光線侵入孔を開閉自在とするシャッター本体を有するシャッター機構とよりなり、シャッター本体は電動モータおよびスプリングからなるアクチュエータにより収納ケースの側壁内側に設けたスライドレールに沿って左右移動自在とする構成において、収納ケースの側壁に外気送入窓と内気排出窓とを備えた構成により、収納ケース内が高温になることを防止できる。これにより、投映季節、設置場所、投映方向に関係なくプロジェクターを連続駆動できる。
【0015】
また、光線侵入窓に設けた光線侵入孔を開閉自在とするシャッター本体を有するシャッター機構を備えた構成により、設置したプロジェクターに不用意に太陽光が照射されることを防止でき、プロジェクターが高温となり熱変形することを阻止できる。
【0016】
また、アクチュエータにより収納ケースの側壁に設けたスライドレールに沿ってシャッター本体を左右移動自在とする構成により、プロジェクターの投映時にだけ光線侵入窓を解放でき、プロジェクターの非投映時においてプロジェクターが高温となることを防止できる。
【0017】
かかる状態ではプロジェクションマッピングを行うまでの間、プロジェクターおよびプロジェクターのレンズ部分を太陽光から遮蔽できる。しかも、プロジェクターの設置現場において、プロジェクタションマッピングケースのシャッターを開閉操作するだけの簡易的な構成でプロジェクターを保護でき、また、プロジェクションマッピングの投映・非投映状態を容易に切り替えることができる。
【0018】
特に、ズーム本体の前端部に設けた投映レンズに対向して収納ケースの側壁に光線侵入窓を設け、シャッター本体は電動モータおよびスプリングからなるアクチュエータにより収納ケースの側壁内側に設けたスライドレールに沿って左右移動自在に構成したことにより、安価にシャッター機構を設けることができる。
【0019】
また、本発明の第2の態様によれば、収納ケースの側壁に真空断熱層を有する構成により、収納ケースの外部からの伝熱による熱伝達を規制でき、設置時における収納ケース内の温度上昇を規制してプロジェクターが高温となることを防止できる。
【0020】
また、広告関連顧客が希望するコンテンツ情報を提供するプロジェクションマッピング提供システムにおいて、ケース本体に収納してプロジェクターと一体に形成した請求項1に記載のプロジェクションマッピングケースと、広告事業者が保有するシステムサーバおよびプロジェクションマッピングケースを搭載した走行車と、データ制作会社が保有する制作データサーバと、を備え、プロジェクションマッピングにて提供したい広告情報や宣伝情報を公衆通信回線網を通じて広告関連顧客から聞き取りして広告事業者のシステムサーバに登録するための打合せ工程と、打合せ工程で広告事業者のシステムサーバに登録された情報を基にプロジェクターによる投映条件、投映場所を決定するための現地調査工程と、現地調査工程で取得した情報を基に必要機材の選定および投映データのラフ案を制作するための企画・プランニング工程と、企画・プランニング工程で制作したラフ案を基に制作データサーバを用いて投映データを制作するための映像制作工程と、映像制作工程で制作した投映データを投映面に投映しながら投映面に合致するように走行車を調整する施工・調整工程と、で構成したことにより、プロジェクションマッピングの施工現場においてプロジェクションマッピングケースを設置するための設置費用、および設置準備にかかる人件費を削減できるとともに、人件費と密接に結びつく作業時間を短縮でき、プロジェクションマッピングにかかる費用を可及的に低減できる。
【0021】
また、走行車にプロジェクションマッピングケースを搭載した構成により、プロジェクター設置場所の設営費用を必要とせず、安価にプロジェクションマッピングを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態にかかるプロジェクションマッピングケースを示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は右側面図である。
図2】本実施形態にかかるプロジェクションマッピングケースを示す斜視図である。
図3】本実施形態にかかるプロジェクションマッピングケースの収納ケースを示す図1(a)のA-A線端面図である。
図4】本実施形態にかかるプロジェクションマッピングケースのシャッター機構を示す模式図である。
図5】本実施形態にかかるプロジェクションマッピングケースのシャッターガイド部を示す図であり、(a)は光線侵入窓をシャッター本体から開放した状態を示す模式図であり、(b)はシャッター本体を光線侵入窓側に移動させる途中状態を示す模式図であり、(c)は光線侵入窓をシャッター本体で閉塞した状態を示す模式図である。
図6】本実実施形態にかかるプロジェクションマッピングケースのシャッターガイド部の内部構造を示す模式端面図である。
図7】本実施形態にかかるプロジェクションマッピングカーを示す模式図である。
図8】本実施形態にかかる調整装置を示す模式図である。
図9】本実施形態にかかるプロジェクションマッピング機器の賃貸業務ビジネスの構成を示す説明図である。
図10】本実施形態にかかるプロジェクションマッピング機器の賃貸業務ビジネスの処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の要点は、側壁に外気流入窓と内気排出窓と光線侵入窓を備えた略方形状の収納ケースと、収納ケースの内部に収納されたプロジェクターと、光線侵入窓に設けた光線侵入孔を開閉自在とするシャッター本体を有するシャッター機構とよりなり、シャッター本体は電動モータおよびスプリングからなるアクチュエータにより収納ケースの側壁内側に設けたスライドレールに沿って左右移動自在に構成したことを特徴とするプロジェクションマッピングケースとしたことにある。
【0024】
また、収納ケースは側壁に真空断熱層を有する構成としたプロジェクションマッピングケースとしたことにも特徴を有する。
【0025】
また、広告関連顧客が希望するコンテンツ情報を提供するプロジェクションマッピング提供システムにおいて、ケース本体にプロジェクターを収納したプロジェクションマッピングケースと、広告事業者が保有するシステムサーバおよびプロジェクションマッピングケースを搭載した走行車と、データ制作会社が保有する制作データサーバと、を備え、プロジェクションマッピングにて提供したい広告情報や宣伝情報を公衆通信回線網を通じて広告関連顧客から聞き取りして広告事業者のシステムサーバに登録するための打合せ工程と、打合せ工程で広告事業者のシステムサーバに登録された情報を基にプロジェクターによる投映条件、投映場所を決定するための現地調査工程と、現地調査工程で取得した情報を基に必要機材の選定および投映データのラフ案を制作するための企画・プランニング工程と、企画・プランニング工程で制作した情報を基に制作データサーバを用いて投映データを制作するための映像制作工程と、映像制作工程で制作した投映データを投映面に投映しながら投映面に合致するように走行車を調整するための施工・調整工程と、で構成したプロジェクションマッピング提供システムを提供することにも特徴を有する。
【0026】
この発明の実施例を詳細に説明する。
図1図3は、本発明のプロジェクションマッピングケースを示し、図4図6は、プロジェクションマッピングケースのシャッター機構を示している。
【0027】
[プロジェクションマッピングケース]
本発明のプロジェクションマッピングケース100は、収納ケース10を所定の場所に設置してプロジェクター20の対向位置にある建築物等の壁面にコンテンツを投映することで宣伝・広告機能を果たすものである。プロジェクションマッピングケース100は、風雨および太陽光から収容物を守るための収納ケース10と、収納ケース10内に載置固定されたプロジェクター20と、を有する。
【0028】
収納ケース10は、図1、2に示すように、内部中空の箱状に形成されている。収納ケース10は正面壁体11、左右壁体12、14、および後面壁体13と、収納ケース10を閉塞する蓋体15と、ケース底体16と、を有する。各壁体11~14、蓋体15、およびケース底体16は、いずれも矩形板状に形成されている。
【0029】
正面壁体11は、図1(b)に示すように、収納ケース10の外部に映像を投射するための光線侵入窓部11dを有する。光線侵入窓部11dは、正面壁体11の略中央部に略方形状に穿設されている。
【0030】
左右壁体12、14は、図1(c)および図2に示すように、外気送入窓12dと内気排出窓14cを有する。外気送入窓12dおよび内気排出窓14cは、収納ケース10の内部に対角をなすように設けてられている。本実施形態においては、左壁体12の前端部近傍に外気送入窓12dを配設し、右壁体14の後端部近傍に内気排出窓14cを配設している。
【0031】
また、外気送入窓12dおよび内気排出窓14cは、収納ケース10内の空気を流動させるためのファン12d,14dを有する。ファン12d,14dは、回動方向を切り替えることができるように構成している。
なお、本実施形態においては、左壁体12に設けた外気送入窓12dを収納ケース10内への空気の流入側とし、右壁体14に設けた内気排出窓14cを収納ケース10からの空気の排出側として機能するように構成している。ただし、ファン12d,14dは、互いに回動方向を切り替えることができるように構成しており、外気送入窓12dを空気の排出口とし、内気排出窓14cを空気の流入口として機能するように構成することもできる。
【0032】
このように収納ケース10の左右壁体12,14にファン12d,14dをそれぞれ備えた外気送入窓12dおよび内気排出窓14cを設けることで収納ケース10内の空気を循環でき、収納ケース10内が高温になることを防止できる。
【0033】
また、壁体11~14は、図3に示すように、それぞれ外壁11a(12a,13a,14a)と内壁11b(12b,13b,14b)とを有する。外壁11a(12a,13a,14a)と内壁11b(12b,13b,14b)は、一定距離離間して設けられており、外壁11a(12a,13a,14a)と内壁11b(12b,13b,14b)の間に断熱層として真空空間11c(12c,13c,14c)を有する。また、いずれかの内壁11b(12b,13b,14b)には、真空空間11c(12c,13c,14c)に連通した真空弁120を収納ケース10の内側に向けて突設している。なお、本実施形態においては、左壁体12の内壁12bに真空弁120を設けている。また、図3は、図1(a)のA-A線端面図であるが収納ケース10の構造を示すために、プロジェクター20の図示を省略している。
【0034】
真空弁120は、円筒状に形成されたバルブ121と、バルブ121の周面に設けた空気逆流防止体122とを有する。バルブ121は、真空空間12cと収納ケース10の内部空間を連通する吸入口121aを周面に有する。吸入口121aは、真空空間11c(12c,13c,14c)に残溜する空気を吸引するための空気の吸出し口として機能する。バルブ121は、空気逆流防止体122により囲繞されている。
【0035】
空気逆流防止体122は、内部中空状で弾性状に形成された円筒体である。空気逆流防止体122は、内径をバルブ121の外形よりも小さく形成している。これにより、バルブ121が空気逆流防止体122を囲繞した際、吸入口121aが空気逆流防止体122で閉塞され、真空空間12c(11c,13c,14c)と収納ケース10の内部空間との空気の流通を遮断して、真空空間12c(11c,13c,14c)の真空状態を維持できる。なお、真空空間12c(11c,13c,14c)の真空状態は、空気逆流防止体122の先端部に真空ポンプを取付け、真空空間12c(11c,13c,14c)内の空気を吸引することで形成される。
【0036】
このように、収納ケース10の側壁に真空空間11c(12c,13c,14c)を形成したことにより、収納ケース10の内部空間と外部空間との間の熱伝導による熱伝達を可及的に低減して、収納ケース10の内部空間が高温状態になることを防止できる。
また、収納ケース10のいずれかの内壁11b(12b,13b,14b)に真空弁120を取付けることで、真空空間11c(12c,13c,14c)を高い真空状態に維持でき、収納ケース10の外部環境に影響を受けることなく、プロジェクター20が作動するのに適した温度に収納ケース10の内部を維持できる。
【0037】
このように構成した収納ケース10の内部には、プロジェクター20を収納している。プロジェクター20は、収納ケース10のケース底体16にビスやボルト等の固定手段により固定されている。
【0038】
プロジェクター20は、図1に示すように、投映映像の照射範囲を制御するためのズーム機能部21を有する。ズーム機能部21は、プロジェクター20の前端部に設けられており、プロジェクター20から出力する映像の照射範囲を制御するための投映レンズ22を有する。プロジェクター20は、光線侵入窓部11dの光線侵入孔11eに対向する位置に投映レンズ22が位置するよう配設されている。これにより、プロジェクター20から出力された映像は、光線侵入孔11eを通過して収納ケース10の外部に出力され、所定の場所に投映される。
【0039】
収納ケース10の正面壁体11の内側面には、光線侵入孔11eを開閉自在とするシャッター機構30を設けている。プロジェクションマッピングケース100は、シャッター機構30の開閉操作によりプロジェクター20やズーム機能部21が太陽光に曝されることを防止できるように構成している。
【0040】
具体的に説明すると、シャッター機構30は、図2、および図4~6に示すように、シャッターガイド部310と、シャッターガイド部310に固定され光線侵入孔11eを開閉するシャッター本体320と、シャッター本体320の左右方向の移動を制御する開閉制御部330と、光線侵入孔11eを開放させる方向にシャッター本体320を付勢したスプリング340とを有する。
【0041】
シャッターガイド部310は、図6に示すように、正面壁体11に固定された固定レール311と、固定レール311に沿って摺動自在のスライド補助部材312と、固定レール311とスライド補助部材312との間に介在したスライドボール313と、固定レール311とスライド補助部材312との間に介在したボールリテーナ314と、を有する。
【0042】
固定レール311は、シャッター本体320が垂直状態を維持しながら左右方向に移動するためのガイド部材である。固定レール311は、正面壁体11の内側にビスやボルトなどの固定手段で固定されている。固定レール311は、平板状の基板311aと、基板311aの上下両端部を内向きに屈曲伸延した屈曲縁部311b,311bと、を有する。固定レール311は、基板311aと屈曲縁部311b,311bとで垂直断面略コ字形状に形成されている。
【0043】
屈曲縁部311b,311bは、略中央部に円弧状に設けたボール摺動溝311c,311cを有する。ボール摺動溝311cは、固定レール311の長手方向に沿って形成されている。固定レール311に対向するようにスライド補助部材312を配設している。
【0044】
スライド補助部材312は、矩形平板状の基板312aと、基板312aの上下両端部を外向き(正面壁体11側)に屈曲伸延した屈曲縁部312b,312bと、を有する。スライド補助部材312は、基板312aと屈曲縁部312bとで断面略コ字形状に形成している。屈曲縁部312bは、略中央部に円弧状に設けたボール摺動溝312c,312cを有する。ボール摺動溝312cは、スライド補助部材312の長手方向に沿って形成されている。
基板312aは、背面側(収納ケース10の内部側)に後述するシャッター本体320をボルトやビス等の固定手段により固定している。
【0045】
固定レール311とスライド補助部材312の間には、ボールリテーナ314を配設している。ボールリテーナ314は、複数のスライドボール313、313、、、を一定間隔離間した状態に維持するための部材である。
【0046】
ボールリテーナ314は、図6に示すように、基板314aと、基板314aの上下両端部から略90度スライド補助部材312側に屈曲した屈折縁部314b、314bと、を有し、全体として断面略コ字状に形成している。屈折縁部314b、314bの長手方向には、ボール保持孔314c、314c、、、を一定間隔離間して複数穿設されている。ボール保持孔314cは、スライドボール313を回動自在に保持している。
このように、各ボール保持孔314cに保持されたスライドボール313は、隣接する他のスライドボール313と一定距離離間した状態を維持しつつ回動できるように構成している。
【0047】
ボールリテーナ314に遊嵌したスライドボール313は、固定レール311とスライド補助部材312のボール摺動溝311c,312cに係合している。
これにより、スライド補助部材312は、固定レール311に沿って左右方向に移動できる。
【0048】
シャッター本体320は、図4に示すように、正面壁体11に設けた光線侵入孔11eの開口面積と略同一またはそれよりも若干大面積に形成した金属製で略方形状に形成された板体である。シャッター本体320は、一方の長側辺の上下端部近傍にそれぞれ係合ピン321,321を突設している。係合ピン321には、後述するスプリング340の一端部を係合している。
【0049】
また、シャッター本体320のスライド方向の正面壁体11には、開閉制御部330を設けている。開閉制御部330は、図示しないモータ部と、モータ部の回動軸を延伸した枢軸部331と、枢軸部331に基端部を連結固定されシャッター本体320に向けて伸延した支持部332と、を有する。開閉制御部330は、モータ部と枢軸部331と支持部332とにより、シャッター本体320の開閉を制御するアクチュエータである。
【0050】
枢軸部331は、図4に示すように、正面壁体11に設けたモータ部の回動軸に連結固定している。支持部332は、基端部から先端部にかけて幅を略一定とした板体に形成されており、その先端部に周面に円弧状の係合溝を有するシャッター支持部333を設けている。シャッター支持部333は、シャッター本体320の一方の長側辺に当接している。
これにより支持部332は、枢軸部331の回動に伴い、枢軸部331を中心として回動できる。支持部332は、シャッター本体320が光線侵入孔11eを開放する際、枢軸部331を中心に支持部332を上方に回動することでシャッター本体320が左方向に移動できる。また、光線侵入孔11eをシャッター本体320で閉塞する際には、枢軸部331を中心に支持部332を水平位置まで回動することで閉塞できる。この際、シャッター本体320の一方の長側辺部には、シャッター支持部333が接触しており、支持部332の変位に伴いシャッター支持部333でシャッター本体320の一方の長側辺部を押圧することでスプリング340の弾性力に抗いシャッター本体320を右側に移動できる。また、光線侵入孔11eを閉塞後のシャッター本体320は、シャッター支持部333により、左方向への移動が規制され、光線侵入孔11eを閉塞した状態を維持している。
【0051】
また、シャッター本体320は、スプリング340の弾性力により光線侵入孔11eを開放する方向に常時付勢されている。
スプリング340は、一端部を正面壁体11の内側面に突設した固定ピン11f、11fに係止しており、他端部をシャッター本体320に突設した係合ピン321、321に係止している。スプリング340は、シャッター本体320を開放する方向に弾性力が生起されるように固定ピン11fと係合ピン321に架設している。
【0052】
このように構成することでシャッター本体320は、スプリング340、340の弾性力により常に光線侵入孔11eを開放する方向に付勢され、枢軸部331に連結したモータを駆動して支持部332を上方に回動させることで光線侵入孔11eを開放できる。
【0053】
また、固定レール311の左右端部には、図5に示すように、断面略円形状で中実のストッパー部315a、315bを配設している。左右のストッパー部315a、315bは上下のボール摺動溝311c,311cに架設している。これにより、スライド補助部材312は、固定レール311のボール摺動溝311cに沿って配設されたスライドボール313を回動して一定距離左右に移動すると左右のストッパー部315a、315bと接触して移動が規制される。
すなわち、シャッター本体320は、左右に素早く移動したとしても、固定レール311の左右端部に設けたストッパー部315a,315bにより移動距離が制限され、スライドボール313がボール摺動溝311cから脱落して移動できなくなる虞を可及的に低減している。
【0054】
このようにシャッター本体320を左右摺動させる開閉制御部に設けたモータ部の操作により映像投映前の待機状態において、投映レンズ22に対する太陽光を遮蔽でき、建築物壁面に投映する際には、光線侵入孔11eを開放して壁面への投映を開始できる。
【0055】
なお、本実施形態において、かかるシャッター機構30の開閉制御は、収納ケース10の外部に設置した蓄電池からの給電によりモータが作動するように構成している。ただし、モータへの給電は、これに限らず、例えば、収納ケース10の内部にペルチェ素子を貼付し、ゼーベック効果により発電した電気を利用してシャッター機構30を開閉制御することもできる。
【0056】
また、シャッター本体320による光線侵入孔11eの開閉動作も前記した方法に限らず、シャッター本体320の上縁部にヒンジを取り付け、当該ヒンジを回動軸としてシャッター本体320を上下方に回動して光線侵入孔11eを開閉できる構成としてもよい。
【0057】
すなわち、シャッター機構30は、プロジェクター20の投映レンズ22に照射される太陽光を遮蔽できればどのような構成でもよく、シャッター機構30を開閉動作するための開閉制御部330は、各種の技術を適用することができる。
【0058】
また、このように構成した収納ケース10の内部には、光線侵入孔11eの開閉状態を検知するための光センサ350を収納している。
光センサ350は、図1(a)~(c)に示すように、収納ケース10内の光量を計測することにより、シャッター本体320による光線侵入孔11eの開閉状態を検知している。光センサ350は、収納ケース10内の照度を計測する照度センサからなり、プロジェクター20の起動時において、収納ケース10の内部が設定した照度値を超過したかどうかによりシャッター本体320が光線侵入孔11eを閉塞しているか開放しているかを判断する。すなわち、光センサ350は、プロジェクター20の駆動時において、閾値以上の照度値を示す場合にはシャッター本体320により光線侵入孔11eが閉塞されていると判断し、閾値以下の照度値を示す場合には光線侵入孔11eが開放されていると判断するように構成している。なお、プロジェクター20の駆動時において、光線侵入孔11eが閉塞されていると判断した場合、プロジェクター20の動作を停止して、プロジェクションマッピングケース100を設置した者にシャッター本体320の開閉異常が生起したことを報知手段により報知する。
【0059】
このようにプロジェクションマッピングケース100を構成しており、プロジェクター20を収納した収納ケース10の光線侵入孔11eをシャッター本体320で開閉自在に構成したことにより、プロジェクションマッピングケース100の設置状態において、プロジェクター20に照射される太陽光を遮蔽してプロジェクター20が高温になることを防止でき、プロジェクションマッピングの投映方向に関係なく自由に設置できる。
なお、かかるプロジェクションマッピングケース100は、寒冷地で使用する場合、プロジェクションマッピングケース100を構成するシャッター機構30が凍結して作動しない虞がある。そのため、プロジェクションマッピングケース100は、シャッター機構30が凍結して作動できなくなる虞を解消するため、内部に発熱部材を設けていてもよい。プロジェクションマッピングケース100の寒冷地仕様として、例えば、収納ケース10内部のシャッター機構30近傍に一対の熱電対を配設し、ファン12d、14dの近傍に電熱線を配設する。シャッター機構30近傍の温度を一対の熱電対で測定し、その温度が所定の温度を下回った場合、外気送入窓12dおよび内気排出窓14cの近傍に設けた電熱線に給電して発熱させるとともにファン12d、14dを駆動させる。これにより、電熱線で昇温された空気が収納ケース10内部を対流して収納ケース10内部を昇温し、シャッター機構30を確実に作動させることができる。
【0060】
[プロジェクションマッピングカー]
また、上記プロジェクションマッピングケース100は、車両に搭載することでプロジェクションマッピングを容易に実施できるプロジェクションマッピングカー200として機能させることができる。
【0061】
プロジェクションマッピングカー200は、プロジェクションマッピングを実施する場所へのプロジェクションマッピングケース100の搬送を容易にするとともに、投映場所においてプロジェクター20の投映角度、投映距離、投映方向、投映高さを容易に調整するためのものである。
【0062】
プロジェクションマッピングカー200は、図7に示すように、走行車40と、走行車40の天井面41に配設した太陽光パネル60、60と、太陽光パネル60、60で発電した電気を蓄電するための蓄電池61と、走行車40の天井面41に設けた投映方向を調整するための調整装置70と、で構成している。
【0063】
太陽光パネル60は、天井面41に車幅方向にスライド自在に重畳配設している。これにより、太陽光パネル60、60は、発電時において、天井面41に設置した太陽光パネル60、60を車幅方向にスライドして太陽光を最大限受光できるように構成し、非発電時には、走行車40の天井面41に重畳して収納することができるように構成している。また、各太陽光パネル60、60は、図示しないケーブルで蓄電池61に接続しており、太陽光パネル60で発電した電気を蓄電池61に蓄電できるように構成している。
【0064】
蓄電池61は、プロジェクションマッピングケース100の収納ケース10に収納されたプロジェクター20、およびシャッター機構30に電気的に接続している。すなわち、プロジェクター20およびシャッター機構30は、蓄電池61に充電された電気で駆動できる。これにより、走行車40の外部からプロジェクター20、シャッター機構30に給電するための電力を確保する必要がなく、どのような設置場所でも安定して電力供給してプロジェクションマッピングを実施できる。なお、本実施形態において、プロジェクター20を直流により駆動するプロジェクターで構成した場合、太陽光パネル60で発電した直流の電気を蓄電池61に蓄電し、蓄電池61に蓄電された電気を直流のままプロジェクター20に送電できる。これにより、太陽光パネル60で発電した電気を、インバーターやコンバーターを介さずに利用でき、直流から交流への変換、および交流から直流に変換する際のエネルギーロスがなく、発電した電気を無駄なくプロジェクター20で利用できる。
【0065】
また、走行車40の天井面41の略中央部には、調整装置70を配設している。
調整装置70は、プロジェクター20の照射高さ、照射角度、照射方向を調整自在とするプロジェクションマッピングケース100の支持調整装置である。
【0066】
調整装置70は、走行車40の天井面41の略中央部に配設したベース部71と、ベース部71に立設したロボットアーム部72とを有する。
【0067】
ベース部71は、平面視略円形状の土台を2段に積層した略ハット状に形成しており、内部にロボットアーム部72を制御するための制御デバイス(不図示)を収納している。
【0068】
ロボットアーム部72は、図8に示すように、複数の関節部72a、72b、72c、72d、72e、72fと、各関節部72a、72b、72c、72d、72e、72fを連結する筒状の連結パイプ部73と、を有する。
なお、図8の例では、調整装置70は6つの関節部72a、72b、72c、72d、72e、72fに回転軸を有する6軸のロボットアーム部72を例示したが、回転軸の数及び形状はこの例に限定されず、ロボットアーム部72の先端部に連結したプロジェクションマッピングケース100の照射高さ、照射角度、照射方向を自由に調整できれば、どのような形態で構成されていてもよい。
【0069】
プロジェクションマッピングケース100は、調整装置70の先端部に設けられている。プロジェクションマッピングケース100は、例えば、関節部72bの回転軸を中心とする回転動作により左右(パン方向)に向きを変えることができる。また、プロジェクションマッピングケース100は、例えば、関節部72aの回転軸を中心とする回転動作により上下(チルト方向)に向きを変えることができる。なお、プロジェクションマッピングケース100のパン方向・チルト方向の制御は、関節部72a、72bだけでなく、他の関節部72c、72d、72e、72fの回転動作によって、或いは、他の関節部72a、72b、72c、72d、72e、72fの回転動作を組合わせて実現することも可能である。また、プロジェクションマッピングケース100の高さ及び前後の位置は、関節部72a、72b、72c、72d、72e、72fの回転動作により調整装置70を変態させることにより制御される。
【0070】
調整装置70は、関節部72a、72b、72c、72d、72e、72fのそれぞれに駆動機構としてモータ(図示せず)が設けられている。例えば、関節部72aのモータを駆動させると、プロジェクションマッピングケース100のチルト操作(上下方向の調整)ができ、関節部72bのモータを駆動することでプロジェクションマッピングケース100のパン操作(左右方向の調整)ができる。また、関節部72a、72b、72c、72d、72e、72fの動きを組み合わせることで、プロジェクションマッピングケース100を様々なアングルに対応する位置及び向きに移動することができる。なお、各関節部に設けたモータの動作は、制御コンピュータから通信経路を介して伝送される制御信号に従ってベース部71に収納した図示しない制御デバイスにより制御される。
【0071】
このように構成することで、プロジェクションマッピングカー200は、走行車40の天井面41に配設した太陽光パネル60、60で発電して蓄電池61に充電し、蓄電池61に充電された電力をプロジェクションマッピングケース100内のプロジェクター20、シャッター機構30、光センサ350、および調整装置70に給電することで調整装置70を構成するロボットアーム部72を駆動させてプロジェクションマッピングケース100の投映高さ、投映角度、投映方向を自由に調整しつつ、プロジェクションマッピングを実施できる。
【0072】
これにより、プロジェクションマッピングの施工現場において、プロジェクター20の設置・調整時間を短縮するとともに、プロジェクションマッピングを実施するための電源を容易に確保しつつ、直流交流変換および交流直流変換による電力の損失を低減して効率的にプロジェクションマッピングを実施できる。
【0073】
特にかかるプロジェクションマッピングケース100の設置には設置する場所と投映方向と設置環境と天候と壁面との距離や投映面の大きさなど、プロジェクター20特有の環境条件を満たすとともに、投映条件を満たすことが必要であり、本件発明のプロジェクションマッピングケース100を搭載したプロジェクションマッピングカー200ではかかる各種条件を容易に満足することができる。
【0074】
更にはかかるプロジェクター20の設置を容易に実現しながらプロジェクションマッピングケース100を持参して行う広告ビジネスをより印象的なビジネスモデル事業とするとともに、当該ビジネスモデル事業を安価に提供できる。
【0075】
[ビジネスモデル]
本発明はかかるプロジェクションマッピングケース100およびプロジェクションマッピングカー200を伴う新たなビジネスモデルに関する提案もするものである。
【0076】
プロジェクションマッピングの賃貸業務ビジネス1の概要は図9に示す構成からなるものであり、以下図面に基づき賃貸業務ビジネス1を構成する構成要件を詳細に説明する。
【0077】
[1.プロジェクションマッピング提供システム概要]
本実施例におけるプロジェクションマッピングの賃貸業務ビジネス1は、プロジェクションマッピングの賃貸業務ビジネス1を提供する広告事業者Aと、投映する映像の制作および投映作業を広告事業者Aに依頼する広告関連顧客Bと、広告事業者Aからの指示により映像を制作するデータ制作会社Cと、で構成している。
【0078】
広告事業者Aは、プロジェクションマッピングケース100と、プロジェクションマッピングケース100のプロジェクター20で投映する映像情報を保存した情報保存サーバA1とを搭載した走行車40と、プロジェクションマッピングケース100のPRおよび広告事業者Aが広告関連顧客Bおよびデータ制作会社Cと情報を共有するための公衆通信回線網50と、情報の保存および情報を共有するためのシステムサーバA2と、システムサーバA2で受付けた情報をシステムサーバA2に保存するためのコンピュータA3と、を有している。
なお、本実施形態においては、投映データを保存した情報保存サーバA1を走行車40に搭載した形態について説明しているが、投映データは、広告事業者Aに設置したシステムサーバA2に保存していて、投映する際、公衆通信回線網50を介してプロジェクター20に投映データを送信するように構成されていてもよい。
【0079】
広告事業者Aは、プロジェクションマッピングケース100および情報保存サーバA1を搭載した走行車40を利用したプロジェクションマッピングの実施例を公衆通信回線網50を通じてネットワーク上にアップロードし、プロジェクションマッピングによってどのような映像の投映が可能であるかをPR(情報提供)している。
【0080】
広告事業者Aに設置されたシステムサーバA2には、公衆通信回線網50を介して、広告関連顧客Bが有するコンピュータB1およびデータ制作会社Cが有するコンピュータC1が接続されている。データ制作会社CのコンピュータC1には、制作した投映データを記録するための制作データサーバC2が接続されている。なお、公衆通信回線網50は、周知の携帯電話通信回線、インターネット回線などである。
【0081】
広告事業者Aが有する情報保存サーバA1とシステムサーバA2とコンピュータA3、広告関連顧客Bが有するコンピュータB1、およびデータ制作会社Cが有するコンピュータC1と制作データサーバC2としては、周知のコンピュータ(デスクトップ型、ノート型等のパソコンと称される汎用コンピュータや携帯に適した周知のタブレット端末等)が好適に用いられる。
【0082】
そして、詳細は後述するが、広告関連顧客BがコンピュータB1により公衆通信回線網50(例えば、インターネット回線)を介してシステムサーバA2にアクセスしてプロジェクションマッピングの実施を依頼することによりシステムサーバA2に依頼情報が登録される。
【0083】
システムサーバA2に登録された依頼情報は、広告関連顧客Bからの実施依頼情報(実施日時・場所・投映する場所)で構成されている。システムサーバA2は、この実施依頼情報に基づいて、後述する、打合せ工程E1、現地調査工程E2、企画・プランニング工程E3、映像制作工程E4、施工・調整工程E5など、プロジェクションマッピングを実施する上で必要な各工程の主要な日取りをそれぞれ決定する。
【0084】
広告事業者Aは、システムサーバA2が決定した大まかな日取りに応じて、広告関連顧客Bとの打合せ工程E1の日を決定する。広告事業者Aは、広告関連顧客Bとの打合せ工程E1で得た情報(実施日時・実施場所・投映面情報、等)に従い、プロジェクションマッピングを実施する現地調査工程E2を実施する。現地調査工程E2は、広告関連顧客Bと同行して実施する。広告関連顧客Bは、打合せ工程E1と現地調査工程E2で得た情報を基に投映する映像のラフ案を制作するための企画・プランニング工程E3を実施する。広告事業者Aは、企画・プランニング工程E3で制作され、広告関連顧客BからOKをもらったラフ案をシステムサーバA2に保存し、公衆通信回線網50を通じてデータ制作会社Cに提供する。データ制作会社Cは、提供されたラフ案を制作データサーバC2に記録し、記録されたラフ案に応じて投映する映像を制作する。データ制作会社Cにより制作され制作データサーバC2に記録された投映データは、公衆通信回線網50を通じて広告事業者Aに納品され、システムサーバA2に記録される。広告事業者Aは、システムサーバA2に記録された投映データを情報保存サーバA1に記録する。広告事業者Aは、プロジェクションマッピングケース100および投映データを記録した情報保存サーバA1を走行車40に搭載し、プロジェクションマッピングを実施する施工現場まで搬送する。
広告事業者Aは、プロジェクションマッピングケース100に収納されたプロジェクター20を駆動して投映面に投映データを投射しつつ、調整装置70により投映する映像の投射角度、および投映距離を微調整して投映面に正確に投映データを投射できるようにする。
広告事業者Aは、プロジェクションマッピングの投映が終了するとプロジェクションマッピングケース100および情報保存サーバA1を搭載した走行車40を所定の場所に返却する。広告事業者Aは、所定の場所に返却された走行車40をプロジェクションマッピングケース100および情報保存サーバA1が搭載された状態で保管する。
【0085】
これらの工程を経由することでプロジェクションマッピングの賃貸業務ビジネス1は成立しており、従来、見積りの算出を難しくしていた広告事業者Aによる施工・調整工程E5における、プロジェクター20と情報保存サーバA1への電源確保・供給作業およびプロジェクター20と情報保存サーバA1の設置作業に伴う人件費、プロジェクションマッピングを実施する現場でのプロジェクター20の微調整などの変動する費用をできる限り排除し、プロジェクションマッピングを依頼する初期の段階から正確な見積り金額を算出できるとともに、施工業者による作業を省略することで安価に効果的な広告を提供することができる。
【0086】
[2.打合せ工程]
以下、図9および図10を参照して、本実施例のプロジェクションマッピングの賃貸業務ビジネス1における、打合せ工程E1を説明する。
【0087】
図9に示すように、広告事業者Aは、プロジェクションマッピングにて広告や宣伝を実施したい広告関連顧客Bから公衆通信回線網50を通じて実施依頼を受け付けてシステムサーバA2に登録する。
【0088】
この広告関連顧客Bからの実施依頼で提供される情報は、広告事業者Aがプロジェクションマッピングを実施する日時、場所、モニターとなる投映面、投映する内容、規模、投映場所におけるお客様の動線などである。ここで、本実施例におけるプロジェクションマッピングを所望する広告関連顧客Bは、基本的には商品情報を提供する広告代理店であるが、これに限らず個人の顧客であってもよい。
【0089】
広告関連顧客Bから依頼されるプロジェクションマッピングの受付の一例を具体的に説明すると、広告関連顧客Bは、コンピュータB1により公衆通信回線網50を介して広告事業者AのシステムサーバA2にアクセスして、プロジェクションマッピングの依頼を入力できる所定フォーマットのプロジェクションマッピング依頼入力フォームをシステムサーバA2からコンピュータB1にダウンロードする。そして、コンピュータB1にダウンロードしたプロジェクションマッピング依頼入力フォームに必要事項(例えば、プロジェクションマッピングの実施日時、実施場所、モニターとなる投映面、規模等の情報)を入力した後に、プロジェクションマッピング依頼入力フォームをコンピュータB1からシステムサーバA2にアップロードする。システムサーバA2にアップロードされたプロジェクションマッピング依頼入力フォームに入力された必要事項(例えば、プロジェクションマッピングの実施日時、実施場所、モニターとなる投映面、実施規模等の情報)は、システムサーバA2にプロジェクションマッピングの実施依頼として登録される。このように、プロジェクションマッピングを依頼する広告関連顧客BがコンピュータB1を介してシステムサーバA2にアクセスすることで、システムサーバA2にプロジェクションマッピング依頼情報として自動で登録できるようにすることができる。
【0090】
なお、広告関連顧客Bによるプロジェクションマッピングの実施依頼は、上記に限らず、プロジェクションマッピングを所望する広告関連顧客Bが電話又はFAXなどの連絡手段から電話回線を介して、広告事業者Aの電話およびFAXなどの連絡手段に直接プロジェクションマッピングの実施依頼をすることもできる。この場合は、広告事業者Aで応対した人がプロジェクションマッピングの実施依頼を受付け、システムサーバA2にデータを入力して記憶させる。
【0091】
システムサーバA2は、記憶された実施依頼情報に基づき、プロジェクションマッピングを実施するための各工程における主要な日取りを算出してシステムサーバA2と接続した広告事業者AのコンピュータA3に表示させる。
【0092】
広告事業者Aは、コンピュータA3に表示された主要な日取りに応じて広告関連顧客Bとの打ち合わせ日を決定する。決定した打ち合わせ日において、広告事業者Aは、プロジェクションマッピングを実施する際の条件(実施日時、実施場所、実施規模、投映内容、投映建築物、音楽の有無、プロジェクションマッピングを見る人の動線)を広告関連顧客Bに確認し、その確認情報をコンピュータA3を介してシステムサーバA2に登録する。この際、システムサーバA2には、依頼した広告関連顧客Bの専用ページが開設されており、公衆通信回線網50を介して広告関連顧客Bが登録内容を確認できるように構成している。このようにシステムサーバA2に登録された情報に基づいて、広告事業者Aは、現地調査工程E2の実施日を正式に決定する。
【0093】
[3.現地調査工程]
以下、図9を参照して、本実施例のプロジェクションマッピングの賃貸業務ビジネス1における、現地調査工程E2を説明する。なお、この現地調査工程E2は、上述した打合せ工程E1においてシステムサーバA2に登録された情報(実施日時、実施場所、実施規模、投映内容、モニターとしての投映面、音楽の有無、プロジェクションマッピングを見る人の動線などの情報)に基づきプロジェクター20による投映条件、投映場所を決定するための工程である。
【0094】
広告事業者Aは、公衆通信回線網50を介して携行可能な端末からシステムサーバA2に接続して、システムサーバA2に登録された条件(実施日時、実施場所、実施規模など)を参照しながら、プロジェクションマッピングを実施する際の周囲の明るさおよびプロジェクターの設置場所について確認する。確認された情報は、広告事業者Aが有する携行可能な端末から公衆通信回線網50を通じてシステムサーバA2に入力保存される。
なお、従来は、プロジェクションマッピングを実施する際に情報保存サーバA1やプロジェクター20に給電するための電源の確認と電源容量が十分であるかを現地調査工程E2にて検討を必要としていた。本実施例では、走行車40に搭載した蓄電池61からインバーター62を介して情報保存サーバA1やプロジェクター20に給電するため、現地調査工程E2において上記給電に関連する項目についての検討を必要としない。そのため、本実施例では、現地調査工程E2において、検討する時間を短縮することができる。
【0095】
現地調査工程E2で確認した情報(投映条件、投映場所などの情報)は、公衆通信回線網50を介して携行可能な端末からシステムサーバA2に入力保存される。現地調査工程E2でシステムサーバA2に保存された情報は、プロジェクションマッピングを実施する上で必要となる機材について企画・プランニング工程E3での検討材料として使用される。
【0096】
[4.企画・プランニング工程]
以下、図9を参照して、本実施例のプロジェクションマッピングの賃貸業務ビジネス1における、企画・プランニング工程E3を説明する。なお、この企画・プランニング工程E3は、上述した現地調査工程E2においてシステムサーバA2に登録された情報(プロジェクションマッピングを実施する際の周囲の明るさ、プロジェクターの設置場所、プロジェクターから投映面までの投映距離、プロジェクターの投映方向、プロジェクターの投映角度)に基づき必要機材の選定、および投映する映像のラフ案を制作する工程である。
【0097】
広告事業者Aは、現地調査工程E2でシステムサーバA2に記録した情報に基づいて必要な機材を選定する。具体的には、広告事業者Aは、使用するプロジェクター20のスペック(投映可能な明るさ、投映画像の解像度、投映可能な角度など)から設置必要台数を設置場所、投映時の明るさに応じて算出し、算出したプロジェクター20の台数及び設置場所の情報をコンピュータA3でシステムサーバA2に記録する。この際、プロジェクターの設置場所に応じて必要な走行車40の台数についても算出する。なお、1台の走行車40につき1台のプロジェクター20と情報保存サーバA1を搭載する構成とする必要はなく、複数のプロジェクター20と複数の情報保存サーバA1を1台の走行車40に搭載できる構成としていてもよい。
【0098】
また、広告事業者Aは、打合せ工程E1および現地調査工程E2でシステムサーバA2に記録された情報(実施日時、実施場所、投映面、投映内容、実施規模、お客様の動線、投映条件、投映場所)に基づき投映する情報のラフ案を広告事業者AのコンピュータA3で制作する。このラフ案は、全体の投映時間に対して放映する時間(タイムスケジュール)ごとに投映する情報案を制作しており、制作されたラフ案はシステムサーバA2に保存される。
【0099】
なお、従来は、プロジェクションマッピングを実施する際のプロジェクターの設置方法、屋外施工における雨対策、プロジェクター20と情報保存サーバA1を連結するケーブル、プロジェクター20と情報保存サーバA1に給電するためのケーブル、およびプロジェクションマッピングを実施する際のオペレーションに必要なテーブルやイスなどを準備する必要があった。しかしながら、本実施例では、予めプロジェクター20を収納したプロジェクションマッピングケース100と情報保存サーバA1を走行車40に搭載し、プロジェクションマッピングケース100と情報保存サーバA1とを図示しないケーブルで接続して情報保存サーバA1に記録された投映データをプロジェクター20で投映できるように構成するとともに、走行車40に搭載した蓄電池61からインバーターを介してプロジェクター20に給電可能としたことにより、従来必要であった上記のプロジェクターの設置方法や雨対策、投映データを保存した情報保存サーバA1とプロジェクターを接続するケーブル、および給電ケーブルなどを準備する必要がない。また、走行車40(プロジェクションマッピングカー200)には、太陽光パネル60を搭載しているため、プロジェクター20の投映高さ、投映角度、投映方向を調整装置70で微調整した後には、太陽光パネル60を使用して蓄電池61に蓄電できる。
【0100】
このように制作されたラフ案および設置するプロジェクター20の設置台数、設置場所の情報は、広告事業者AのコンピュータA3でシステムサーバA2に記録される。広告関連顧客Bは、公衆通信回線網50を通じてシステムサーバA2にアクセスし、記録されたラフ案を確認する。広告関連顧客Bは、システムサーバA2に記録されたラフ案にて投映する映像の制作を進めてもよいかどうかについて広告事業者Aに連絡する。この際の連絡手段は、広告関連顧客Bが有するコンピュータB1を利用して公衆通信回線網50を経由してシステムサーバA2に接続して連絡するか、広告関連顧客Bが有する電話やFAXなどの連絡手段を介して、広告事業者Aの電話やFAXなどの連絡手段に接続して連絡してもよい。
【0101】
このように企画・プランニング工程E3で広告関連顧客BからOKをもらったラフ案は、システムサーバA2に記憶され、公衆通信回線網50を通じてデータ制作会社Cに伝達される。
【0102】
[5.映像制作工程]
以下、図9を参照して、本実施例のプロジェクションマッピングの賃貸業務ビジネス1における、映像制作工程E4を説明する。なお、この映像制作工程E4は、上述した企画・プランニング工程E3においてシステムサーバA2に登録された情報(ラフ案、プロジェクションマッピングを実施する際の周囲の明るさ、プロジェクターの設置場所、プロジェクターの投映角度)に基づき投映する映像を制作する工程である。
【0103】
データ制作会社Cは、公衆通信回線網50を通じて広告事業者AのシステムサーバA2に記録された情報(ラフ案、プロジェクションマッピングを実施する際の周囲の明るさ、プロジェクターの設置場所、プロジェクターの投映角度、プロジェクターの投映面の形態)を取得し、制作データサーバC2に保存する。
【0104】
データ制作会社Cは、制作データサーバC2に保存したラフ案に基づき必要な素材を準備する。データ制作会社Cは、制作イメージ・制作テーマに合わせてプロジェクションマッピングで投映する投映データをデータ制作会社CのコンピュータC1にて制作する。なお、プロジェクションマッピングで投映する映像に併せて音楽を流す場合には、映像制作の進行と並行して制作イメージ・制作テーマに即した音源を準備し、制作が完了した映像のタイミングに合わせて音源のタイミングを調整する。
【0105】
なお、映像制作工程E4にて投映データを制作するのに必要な費用は、データ制作会社Cが既に制作した素材を組合わせて制作する場合と、素材がなく1から制作する場合で異なり、また、投映する情報が2次元映像、3次元映像でも異なる。
【0106】
データ制作会社Cで制作され制作データサーバC2に記録された投映データは、公衆通信回線網50を通じて広告事業者AのシステムサーバA2に保存される。広告関連顧客Bは、公衆通信回線網50を通じてシステムサーバA2にアクセスし、システムサーバA2に記録された投映データを確認する。
広告関連顧客Bは、公衆通信回線網50を通じて投映データの良否を判断し、その判断した情報を広告事業者Aに連絡する。この際の連絡手段は、企画・プランニング工程E3で記載された手段と同様である。
【0107】
このように映像制作工程E4で制作されてシステムサーバA2に記録された投映データは、走行車40に搭載された情報保存サーバA1に保存される。
投映データが制作された段階において走行車40には、内部に収納したプロジェクター20への直接光を遮蔽する機能を有したプロジェクションマッピングケース100と、プロジェクションマッピングする際の投映データを保存した情報保存サーバA1とを搭載しており、プロジェクションマッピングケース100と情報保存サーバA1とは接続ケーブルで接続されている。
【0108】
このようにプロジェクションマッピングケース100と情報保存サーバA1とを搭載した走行車40は、広告事業者Aによってプロジェクションマッピングを実施する日にその実施場所まで移動される。
【0109】
[6.施工・調整工程]
以下、図9を参照して、本実施例のプロジェクションマッピングの賃貸業務ビジネス1における、施工・調整工程E5を説明する。なお、この施工・調整工程E5は、上述した映像制作工程E4において情報保存サーバA1に記録された投映データおよび現地調査工程E2においてシステムサーバA2に記録された情報(投映場所、投映角度、投映面までの距離、投映方向)に基づいて走行車40を所定位置まで搬送し、投映開始までの間に投映面までの距離、投映高さ、投映角度、投映方向の微調整を行い、所定の時刻にプロジェクションマッピングの投映を開始できるようにする工程である。
【0110】
施工・調整工程E5において、広告事業者Aは、プロジェクションマッピングケース100と情報保存サーバA1を搭載した走行車40を所定の場所まで搬送する。広告事業者Aは、走行車40を所定の場所まで搬送後、投映面に実際に投射して投映データとのズレ(投映画像の大小、および投映角度のズレ)を確認する。この際、投映データが投映面からはみ出している場合、または、投映面よりも小さい場合には、走行車40を投映面に対して前後移動させるか、プロジェクター20の投映レンズ22の絞り機能により投映画像の大きさを調整するか、調整装置70のロボットアーム部72でプロジェクションマッピングケース100を前後移動させることで調整できる。
【0111】
また、投映データの投映面に対する調整が上述した内容で調整できない場合、投映面に対する投映角度のズレが想定されるため、投映データが正しく投映面に投射されるようにプロジェクションマッピングケース100の設置角度を調整する。この際、プロジェクションマッピングケース100は、調整装置70の先端部に連結しているため、調整装置70の関節部72a、72bを調整することでパン・チルト方向の角度を調整して正しく照射できるように調整する。
【0112】
このように施工・調整工程E5において、広告事業者Aは、プロジェクションマッピングケース100と情報保存サーバA1に走行車40に搭載した蓄電池61から給電しつつ、走行車40を前後に移動して投光距離を微調整する、または、走行車40内からプロジェクションマッピングケース100の設置角度を調整する、ことにより天候に左右されることなく現地での設置作業が容易に実施できる。また、広告事業者Aは、プロジェクションマッピングケース100と情報保存サーバA1を走行車40に搭載しているため、従来プロジェクションマッピングのオペレーションに必要とされていたテーブルやイスなどを準備することなくプロジェクターの設置作業が完了できる。
【0113】
また、プロジェクションマッピングの投映が終了した後には、広告事業者Aはプロジェクションマッピングケース100と情報保存サーバA1を搭載した走行車40を投映場所から走行車40の保管場所に移動させるだけで撤去作業が終了できる。
【0114】
かかるビジネスモデル構造により、プロジェクションマッピング事業の普及が迅速に行え、簡便に従来の視覚的な広告表示の形態を大きく変化させて安価で効果的な広告を望む希望者の需要に対応することができることになり、従来の広告概念を払拭して新たな視覚的な有効性の高い広告を広範囲に、しかも安価に行うことができ、特に夜間の時間を有効に使った広告と、スクリーンとして建築物の壁面を利用して有益な広告アピールが行える。
【0115】
[走行車40にデータを搭載しない場合]
なお、本ビジネスモデルの実施例において、走行車40に情報保存サーバA1を搭載した構成態様について説明したが、情報保存サーバA1を走行車40に搭載することなく、プロジェクションマッピングを実施することもできる。
すなわち、本プロジェクションマッピングシステムにおいて、データ制作会社Cで制作され制作データサーバC2に記録された投映データは、公衆通信回線網50を通じて広告事業者AのシステムサーバA2に保存される。
このシステムサーバA2に保存された投映データは、施工・調整工程E5において、公衆通信回線網50を通じてプロジェクションマッピングケース100のプロジェクター20に情報を提供する。
【0116】
広告事業者Aは、プロジェクションマッピングケース100を搭載したプロジェクションマッピングカー200(走行車40)を所定の場所まで搬送する。広告事業者Aは、走行車40を所定の場所まで搬送後、システムサーバA2に保存した投映データを公衆通信回線網50を通じてプロジェクター20に送信して投映面に投射し、投映データの投映面とのズレ(投映画像の大小、および投映角度のズレ)を確認できる。
【0117】
この際、投映データのズレ(投映画像の大小、および投映角度のズレ)は、公衆通信回線網50を通じて広告事業者AのシステムサーバA2にフィードバックすることができる。広告事業者Aは、システムサーバA2に保存されたデータと施工現場からフィードバックされた画像情報を照合して、投映データのズレ量を算出する。その後、算出されたズレ量を補正値として投映データに反映する。
【0118】
補正値を反映した投映データは、再度システムサーバA2に保存され、再度、公衆通信回線網50を通じて、プロジェクター20に送信される。
プロジェクター20は、公衆通信回線網50を通じて受信した投映データを投映面に投映する。
【0119】
これにより、プロジェクションマッピングケース100の位置を大まかに決定するだけでプロジェクションマッピングケース100の投映高さ、投映角度を調整装置70で調整することなくプロジェクター20で投映する映像を投映面に合わせることができる。
【0120】
このように広告事業者Aが施工現場で実施する投映データの調整作業を短縮することにより、施工現場での調整作業に費やす時間を短縮、場合によっては、なくすことができ、従来、調整作業にかかる人件費および時間を短縮でき、安価にプロジェクションマッピングを提供できる。
【0121】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0122】
1 賃貸業務ビジネス
10 収納ケース
11 正面壁体
11a,12a,13a,14a 外壁
11b,12b,13b,14b 内壁
11c,12c,13c,14c 真空空間
11d 光線侵入窓部
11e 光線侵入孔
11f 固定ピン
12 左壁体
12c 外気送入窓
13 後面壁体
14 右壁体
14a 内気排出窓
15 蓋体
16 ケース底体
20 プロジェクター
21 ズーム機能部
22 投映レンズ
30 シャッター本体
310 シャッターガイド部
320 シャッター本体
330 開閉制御部
340 スプリング
40 走行車
50 公衆通信回線網
70 調整装置
100 プロジェクションマッピングケース
120 真空弁
121 バルブ
122 空気逆流防止体
200 プロジェクションマッピングカー
A 広告事業者
A1 情報保存サーバ
A2 システムサーバ
A3 連絡手段
A3 コンピュータ
B 広告関連顧客
B1 コンピュータ
B2 連絡手段
C データ制作会社
C1 コンピュータ
C2 制作データサーバ
D 施工業者
E1 打合せ工程
E2 現地調査工程
E3 企画・プランニング工程
E4 映像制作工程
E5 施工・調整工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10