(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020950
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】コイル部品、及びコイル部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20240207BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20240207BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F41/04 B
H01F27/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123526
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】神戸 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸信
(72)【発明者】
【氏名】谷本 徹也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 良太
【テーマコード(参考)】
5E043
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA01
5E043AB01
5E043BA01
5E043FA05
5E062FF01
5E070AA01
5E070AB01
5E070AB02
5E070BA03
5E070BA11
5E070CA15
5E070EA01
5E070EB03
(57)【要約】
【課題】コイル部品の巻き乱れを抑制する。
【解決手段】コイル部品10は、ドラムコア10Cと、第1ワイヤ51と、第2ワイヤ52と、を備えている。ドラムコア10Cは、巻芯部11、第1鍔部20、第2鍔部30を有している。第1ワイヤ51は、第1巻回部51Aを有している。第2ワイヤ52は、第2巻回部52Aを有している。第2ワイヤ52を第1鍔部20側の端から第2鍔部30側へと辿っていったとする。このときに、第2ワイヤ52が、第1ワイヤ51の外周面と最初に接触する箇所を特定箇所SPとし、特定箇所SPから第2鍔部30側に向かって巻回された第2ワイヤ52の1周分を特定ターンSTとする。第2巻回部52Aは、特定ターンSTの範囲内で、第1ワイヤ51に対して第2ワイヤ52が交差する交差箇所を、2つ有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、
前記巻芯部に巻回された第1ワイヤと、
前記巻芯部に巻回された第2ワイヤと、
を備え、
前記第1ワイヤは、前記中心軸を中心として巻回されている第1巻回部を有しており、
前記第2ワイヤは、前記中心軸を中心として巻回されている第2巻回部を有しており、
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、前記第2ワイヤが、前記第1ワイヤから視て前記巻芯部と反対側において前記第1ワイヤと最初に接触する箇所を特定箇所とし、前記特定箇所から前記第2鍔部側に向かって巻回された前記第2ワイヤの1周分を特定ターンとしたとき、
前記第2巻回部は、前記特定ターンの範囲内で、前記第1ワイヤに対して前記第2ワイヤが交差する交差箇所を、2つ有する
コイル部品。
【請求項2】
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第2巻回部の0ターンとし、前記第2鍔部側に向かって前記中心軸を中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとしたとき、
前記特定箇所は、前記第2巻回部の0.5ターン以上1ターン未満の範囲内に位置している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記巻芯部における前記中心軸に直交する断面は四角形状であり、
前記巻芯部は、
第1外周面と、
前記第1外周面に隣り合う第2外周面と、
前記第2外周面に隣り合い、前記第1外周面と平行な第3外周面と、
前記第3外周面及び前記第1外周面に隣り合い、前記第2外周面と平行な第4外周面と、を有し、
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第2巻回部の0ターンとしたとき、
前記第2巻回部の0ターンは、前記第2外周面と前記第3外周面との境界上に位置しており、
前記第2ワイヤは、前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へ向かって、前記第1外周面、前記第2外周面、前記第3外周面、前記第4外周面と順に向かい合うように巻回されており、
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所としたとき、
前記第1交差箇所は、前記第2外周面上に位置している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第2巻回部の0ターンとし、前記第2鍔部側に向かって前記中心軸を中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとしたとき、
前記特定箇所は、前記第2巻回部の0.5ターン以上1ターン未満の範囲内に位置しており、
前記第1ワイヤの端及び前記第2ワイヤの端が接続された外部電極をさらに備え、
前記外部電極は、前記第1鍔部及び前記第2鍔部の外面のうち、前記第1外周面と同一の方向を向く面に位置している
請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記巻芯部における前記中心軸に直交する断面は四角形状であり、
前記巻芯部は、
第1外周面と、
前記第1外周面に隣り合う第2外周面と、
前記第2外周面に隣り合い、前記第1外周面と向かい合う第3外周面と、
前記第3外周面及び前記第1外周面に隣り合い、前記第2外周面と向かい合う第4外周面と、を有し、
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第2巻回部の0ターンとしたとき、
前記第2巻回部の0ターンは、前記第2外周面と前記第3外周面との境界上に位置しており、
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第2鍔部に近い側の前記交差箇所を第2交差箇所としたとき、
前記第2交差箇所は、前記第1外周面上に位置している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記巻芯部における前記中心軸に直交する断面は四角形状であり、
前記巻芯部は、
第1外周面と、
前記第1外周面に隣り合う第2外周面と、
前記第2外周面に隣り合い、前記第1外周面と向かい合う第3外周面と、
前記第3外周面及び前記第1外周面に隣り合い、前記第2外周面と向かい合う第4外周面と、を有し、
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第2巻回部の0ターンとしたとき、
前記第2巻回部の0ターンは、前記第2外周面と前記第3外周面との境界上に位置しており、
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所とし、前記第2鍔部に近い側の前記交差箇所を第2交差箇所としたとき、
前記第1交差箇所は、前記第2外周面上に位置しており、
前記第2交差箇所は、前記第1外周面上に位置している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1外周面と前記第2外周面との境界上に並ぶ前記第2ワイヤにおいて、前記中心軸に沿う方向の前記第2ワイヤのピッチはそれぞれ等しい
請求項3~6のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所とし、前記第2鍔部に近い側の前記交差箇所を第2交差箇所としたとき、
前記第1交差箇所から前記第2交差箇所までのターン数は、0.5ターン以上である
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所としたとき、
前記第1交差箇所は、前記特定箇所から0.5ターン以内に位置する
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第2鍔部に近い側の前記交差箇所を第2交差箇所としたとき、
前記第2交差箇所は、前記特定箇所から0.5ターンより大きく1ターン以内に位置する
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所とし、前記第2鍔部に近い側の前記交差箇所を第2交差箇所としたとき、
前記第1交差箇所は、前記特定箇所から0.5ターン以内に位置し、
前記第2交差箇所は、前記特定箇所から0.5ターンより大きく1ターン以内に位置する
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所としたとき、
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、
前記第2巻回部において前記特定ターンを除く部分は、前記中心軸と直交する方向、又は前記第1鍔部側から前記第2鍔部側に向かって延びており、
前記第2巻回部のうちの前記第1交差箇所を含む一部は、前記第2鍔部側から前記第1鍔部側に向かって延びている
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項13】
柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアに対して、第1ワイヤを巻回する第1工程と、
前記ドラムコアに対して、第2ワイヤを巻回する第2工程と、を有し、
前記第1工程では、前記第1ワイヤを、前記第1鍔部側から前記中心軸を中心として前記巻芯部に巻回することにより第1巻回部を形成し、
前記第2工程では、前記第2ワイヤを、前記第1鍔部側から前記中心軸を中心として前記巻芯部に巻回することにより第2巻回部を形成し、
前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、前記第2ワイヤが、前記第1ワイヤから視て前記巻芯部と反対側において前記第1ワイヤと最初に接触する箇所を特定箇所とし、前記特定箇所から前記第2鍔部側に向かって巻回された前記第2ワイヤの1周分を特定ターンとしたとき、
前記第2工程では、前記特定ターンの範囲内で、前記第1ワイヤに対して前記第2ワイヤが2回交差するように、前記第2ワイヤを巻回する
コイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル部品及びコイル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のコイル部品は、巻芯部及び2つの鍔部を備えている。巻芯部は四角柱状である。2つの鍔部は、巻芯部の両端に接続している。各鍔部は、巻芯部の中心軸線と直交する方向において、巻芯部から外側に張り出している。巻芯部及び鍔部の材質は、磁性体である。これら巻芯部及び鍔部は、コイル部品のコアを構成している。
【0003】
上記のコイル部品は、4つの外部電極、第1ワイヤ、及び第2ワイヤを備えている。第1ワイヤは、巻芯部に巻回されている。また、第1ワイヤのうちの巻芯部に巻回されている部分は、巻芯部の外周面に接触している。第1ワイヤの隣り合うターン同士は、互いに接触している。
【0004】
第2ワイヤの大部分は、巻芯部に巻回されている。第2ワイヤは、第1ワイヤと同じ方向に巻回されている。第2ワイヤのうちの巻芯部に巻回されている部分は、第1ワイヤに対して外周側に位置している。第2ワイヤの各ターンは、第1ワイヤの隣接する各ターンによって形成される溝の間に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のコイル部品では、第2ワイヤを巻芯部に巻回する際に、第2ワイヤが、第1ワイヤに向かって押し付けられる。この押し付ける力により、本来であれば、第1ワイヤに対して外周側に位置するべき第2ワイヤが、第1ワイヤの隣り合うターンの間に落ち込んでしまうことがある。このように、各ワイヤが設計とは異なる状態で巻回されると、コイル部品が設計どおりの特性を発揮できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、前記巻芯部に巻回された第1ワイヤと、前記巻芯部に巻回された第2ワイヤと、を備え、前記第1ワイヤは、前記中心軸を中心として巻回されている第1巻回部を有しており、前記第2ワイヤは、前記中心軸を中心として巻回されている第2巻回部を有しており、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、前記第2ワイヤが、前記第1ワイヤから視て前記巻芯部と反対側において前記第1ワイヤと最初に接触する箇所を特定箇所とし、前記特定箇所から前記第2鍔部側に向かって巻回された前記第2ワイヤの1周分を特定ターンとしたとき、前記第2巻回部は、前記特定ターンの範囲内で、前記第1ワイヤに対して前記第2ワイヤが交差する交差箇所を、2つ有するコイル部品である。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明は、柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアに対して、第1ワイヤを巻回する第1工程と、前記ドラムコアに対して、第2ワイヤを巻回する第2工程と、を有し、前記第1工程では、前記第1ワイヤを、前記第1鍔部側から前記中心軸を中心として前記巻芯部に巻回することにより第1巻回部を形成し、前記第2工程では、前記第2ワイヤを、前記第1鍔部側から前記中心軸を中心として前記巻芯部に巻回することにより第2巻回部を形成し、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、前記第2ワイヤが、前記第1ワイヤから視て前記巻芯部と反対側において前記第1ワイヤと最初に接触する箇所を特定箇所とし、前記特定箇所から前記第2鍔部側に向かって巻回された前記第2ワイヤの1周分を特定ターンとしたとき、前記第2工程では、前記特定ターンの範囲内で、前記第1ワイヤに対して前記第2ワイヤが2回交差するように、前記第2ワイヤを巻回するコイル部品の製造方法である。
【0009】
上記構成によれば、特定ターンの第2ワイヤのうち、2つの交差箇所の間の部分は、第1ワイヤに対して第1鍔部側から接するのに対して、その他の部分は第1ワイヤに対して第2鍔部側から接する。したがって、第1ワイヤのうち特定ターンの第2ワイヤに接する部分は、中心軸に沿う方向において、第2ワイヤに両側から挟まれたような状態になっている。したがって、第1ワイヤのうち、特定ターンの第2ワイヤに接する部分は、特定ターンの第2ワイヤの押し付け力によって、中心軸に沿う方向に位置ずれしにくくなる。そして、第1ワイヤのうち特定ターンの第2ワイヤに接する部分が位置ずれしにくければ、第1ワイヤにおけるその他の部分も位置ずれしにくくなる。その結果、各ワイヤを計画どおりに巻回できる可能性が高くなる。
【発明の効果】
【0010】
コイル部品の巻き乱れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は、第3負方向を向いて視たときのコイル部品の平面図である。
【
図3】
図3は、第2負方向を向いて視たときのコイル部品の側面図である。
【
図4】
図4は、第3正方向を向いて視たときのコイル部品の平面図である。
【
図5】
図5は、第2正方向を向いて視たときのコイル部品の側面図である。
【
図6】
図6は、比較例のコイル部品の一部断面図である。
【
図7】
図7は、比較例のコイル部品の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、コイル部品の一実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0013】
<全体構成について>
図1に示すように、コイル部品10は、ドラムコア10Cと、天板12と、を備えている。
【0014】
ドラムコア10Cは、巻芯部11、第1鍔部20、第2鍔部30を有している。
巻芯部11は、四角柱状である。巻芯部11の中心軸Cに直交する断面は長方形状である。なお、ここでいう「長方形状」は、4つの辺を有していて全体として長方形状であればよく、長方形の角が面取りされた形状も含む。巻芯部11の材質は、非導電性材料である。具体的には、巻芯部11の材質は、例えば、アルミナ、Ni-Zn系フェライト、樹脂、及びこれらの混合物等である。
【0015】
ここで、巻芯部11の中心軸Cに平行な特定の軸を第1軸Xとする。第1軸Xに直交する軸を第2軸Yとする。本実施形態では、第2軸Yは、第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、巻芯部11の4つの辺のうち2つと平行である。また、第1軸X及び第2軸Yの双方に直交する軸を第3軸Zとする。本実施形態では、第3軸Zは、第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、巻芯部11の4つの辺のうちの残りの2つと平行である。そして、第1軸Xに沿う方向のうちの一方を第1正方向X1とし、第1正方向X1とは反対方向を第1負方向X2とする。同様に、第2軸Yに沿う方向のうちの一方を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1とは反対方向を第2負方向Y2とする。また、第3軸Zに沿う方向のうちの一方を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1とは反対方向を第3負方向Z2とする。
【0016】
図2~
図5に示すように、巻芯部11は、第1外周面11A、第2外周面11B、第3外周面11C、第4外周面11Dを有している。本実施形態において、第1外周面11Aは、第3正方向Z1を向く面である。第2外周面11Bは、第1外周面11Aに隣り合う外周面である。第2外周面11Bは、第2正方向Y1を向く面である。第3外周面11Cは、第2外周面11Bに隣り合い、且つ第1外周面11Aと平行な面である。したがって、第3外周面11Cは、第3負方向Z2を向く面である。第4外周面11Dは、第3外周面11C及び第1外周面11Aに隣り合い、第2外周面11Bと平行な面である。したがって、第4外周面11Dは、第2負方向Y2を向く面である。なお、
図2以降において、天板12の図示を省略している。
【0017】
図1に示すように、第1鍔部20は、巻芯部11の第1正方向X1の端である第1端に接続している。第1鍔部20は、第2軸Yに沿う方向及び第3軸Zに沿う方向において、巻芯部11に対して外側に張り出している。
【0018】
第1鍔部20は、窪み部21を有している。窪み部21は、第1鍔部20の第3正方向Z1の端面に対して窪んでいる。窪み部21は、第1軸Xに沿う方向において第1鍔部20の両側に開放している。その結果として、第1鍔部20の第3正方向Z1側の端面は、窪み部21を挟んで2箇所に分かれている。なお、第1鍔部20は、第2軸Yに沿う方向において、対称形状である。
【0019】
第2鍔部30は、巻芯部11の第1負方向X2側の端である第2端に接続している。第1鍔部20及び第2鍔部30の材質は、巻芯部11と同じ非導電性材料である。また、第1鍔部20及び第2鍔部30は、巻芯部11との一体成形物である。
【0020】
第2鍔部30は、第1軸Xに沿う方向において、第1鍔部20と対称形状である。すなわち、第2鍔部30は、第2軸Yに沿う方向及び第3軸Zに沿う方向において、巻芯部11に対して外側に張り出している。また、第2鍔部30は、窪み部31を有している。
【0021】
本実施形態において、ドラムコア10Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、3.2mmである。また、ドラムコア10Cの第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、2.5mmである。また、ドラムコア10Cの第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、2.3mmである。
【0022】
天板12は、長方形の板状である。天板12は、第3軸Zに沿う方向において扁平である。天板12の長辺は、第1軸Xと平行である。天板12の短辺は、第2軸Yと平行である。天板12は、ドラムコア10Cに対して第3負方向Z2側に位置する。天板12は、第1鍔部20における第3負方向Z2を向く面、及び第2鍔部30における第3負方向Z2を向く面の双方に接続している。つまり、天板12は、第1鍔部20及び第2鍔部30の間に架け渡されている。天板12の材質は、巻芯部11と同じ非導電性材料である。
【0023】
コイル部品10は、4つの外部電極40を有している。2つの外部電極40は、第1鍔部20の第3正方向Z1側の端面に位置している。残りの2つの外部電極40は、第2鍔部30の第3正方向Z1側の端面に位置している。すなわち、各外部電極40は、第1鍔部20及び第2鍔部30の外面のうち、第1外周面11Aと同一の方向を向く面に位置している。また、具体例には、外部電極40のうちの1つは、第1鍔部20の窪み部21に対して第2正方向Y1側に位置している。外部電極40のうちの1つは、第1鍔部20の窪み部21に対して第2負方向Y2側に位置している。外部電極40のうちの1つは、第2鍔部30の窪み部31に対して第2正方向Y1側に位置している。外部電極40のうちの1つは、第2鍔部30の窪み部31に対して第2負方向Y2側に位置している。
【0024】
各外部電極40は、金属層及びめっき層を有している。金属層の材質は、銀である。金属層は、第1鍔部20または第2鍔部30の外面に形成されている。めっき層は、3層からなる。めっき層は、金属層の表面に、銅、ニッケル、錫の順に積層されている。
図1において、金属層及びめっき層の境界の図示を省略している。なお、コイル部品10の第3正方向Z1側の端面は、コイル部品10を基板に実装する際に基板と対向する実装面である。
【0025】
<第1ワイヤ及び第2ワイヤについて>
図1に示すように、コイル部品10は、第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52を備えている。図示は省略するが、第1ワイヤ51は、銅線と、絶縁被膜と、を有している。絶縁被膜は、銅線の外面を覆っている。第1ワイヤ51は、当該第1ワイヤ51が延びる方向に直交する断面で、略円形状である。第1ワイヤ51の外径は100μm以上である。具体的には、第1ワイヤ51の外径は、約140μmである。第2ワイヤ52は、第1ワイヤ51と同じ構成である。すなわち、第2ワイヤ52は、銅線と、絶縁被膜と、を有している。第2ワイヤ52の外径は、約140μmである。なお、
図1において、第1ワイヤ51をドットで示している。
【0026】
第1ワイヤ51は、第1巻回部51A及び2つの第1引出部51Bを有している。
図2~
図5に示すように、第1巻回部51Aは、第1ワイヤ51のうち、巻芯部11の中心軸Cを中心として巻回されている部分である。また、第1巻回部51Aは、巻芯部11の外周面に対して接触している。第1ワイヤ51は、第1鍔部20側から第2鍔部30側へ向かって、巻芯部11の第1外周面11A、第2外周面11B、第3外周面11C、第4外周面11Dと順に向かい合うように巻回されている。
【0027】
図3に示すように、第1巻回部51Aの第1鍔部20側の端である第1端は、巻芯部11の第1外周面11A及び第2外周面11Bの境界上に位置している。第1巻回部51Aの第1端は、第1ワイヤ51を第1鍔部20側の端から第2鍔部30側へと辿っていったときに、最初に巻芯部11の外周面と接触する箇所である。
【0028】
なお、以下の説明では、第1巻回部51Aの第1端を第1巻回部51Aの0ターンとする。そして、第1巻回部51Aの第1端から第2鍔部30側に向かって中心軸Cを中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとする。そして、第1巻回部51Aは、第1負方向X2を向いて視たとき、ターン数が増加するにつれて時計回りで進行するように、巻芯部11に巻回されている。
【0029】
図2に示すように、第1巻回部51Aの第1ワイヤ51は、第1外周面11A上においては、第1巻回部51Aの第1端から辿っていったときに、徐々に第2鍔部30に近づくように斜めに延びている。そして、
図3~
図5に示すように、第1巻回部51Aの第1ワイヤ51は、第2外周面11B、第3外周面11C、及び第4外周面11D上においては、第1軸Xに直交する方向に延びている。
【0030】
図5に示すように、第1巻回部51Aの第2鍔部30側の端である第2端は、第3外周面11C及び第4外周面11Dの境界上に位置している。
図2に示すように、第1巻回部51Aの第2端は、第1ワイヤ51を第2鍔部30側の端から第1鍔部20側へと辿っていったときに、最初に巻芯部11の外周面と接触する箇所である。
【0031】
図2に示すように、第1引出部51Bのうちの1つは、第1巻回部51Aの第1端から第1鍔部20の第2負方向Y2側に位置する外部電極40に向かって延びている。当該第1引出部51Bの先端は、当該外部電極40に接続している。
【0032】
残りの一つの第1引出部51Bは、第1巻回部51Aの第2端から第2鍔部30の第2負方向Y2側に位置する外部電極40に向かって延びている。当該第1引出部51Bの先端は、当該外部電極40に接続している。
【0033】
第2ワイヤ52は、第2巻回部52A及び2つの第2引出部52Bを有している。
第2巻回部52Aは、第2ワイヤ52のうち、巻芯部11の中心軸Cを中心として巻回されている部分である。また、第2巻回部52Aは、巻芯部11の外周面又は第1巻回部51Aに接触している。第2ワイヤ52は第1鍔部20側から第2鍔部30側へ向かって、巻芯部11の第1外周面11A、第2外周面11B、第3外周面11C、第4外周面11Dと順に向かい合うように巻回されている。本実施形態では、第2ワイヤ52は、第2巻回部52Aの第1端を起点として、第1鍔部20側から第2鍔部30側へ向かって、第3外周面11C、第4外周面11D、第1外周面11A、第2外周面11Bと順に向かい合うように巻回されている。なお、「第1外周面11A、第2外周面11B、第3外周面11C、第4外周面11Dと順に向かい合う」とは、向かい合う巻芯部11の外周面の順番のみを示しており、本実施形態のように第1外周面11Aを開始点としないものも含まれる。
【0034】
図3に示すように、第2巻回部52Aの第1鍔部20側の端である第1端は、巻芯部11の第2外周面11B及び第3外周面11Cの境界上に位置している。第2巻回部52Aの第1端は、第2ワイヤ52を第1鍔部20側の端から第2鍔部30側へと辿っていったときに、最初に巻芯部11の外周面と接触する箇所である。
【0035】
なお、上述した第1ワイヤ51と同様に、第2巻回部52Aの第1端を第2巻回部52Aの0ターンとする。そして、第2巻回部52Aの第1端から第2鍔部30側に向かって中心軸Cを中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとする。そして、第2巻回部52Aは、第1負方向X2を向いて視たとき、ターン数が増加するにつれて時計回りで進行するように、巻芯部11に巻回されている。
【0036】
図2に示すように、第2巻回部52Aの第2鍔部30側の端である第2端は、第1外周面11A及び第4外周面11Dの境界上に位置している。第2巻回部52Aの第2端は、第2ワイヤ52を第2鍔部30側の端から第1鍔部20側へと辿っていったときに、最初に巻芯部11の外周面と接触する箇所である。
【0037】
第2引出部52Bのうちの1つは、第2巻回部52Aの第1端から第1鍔部20の第2正方向Y1側に位置する外部電極40に向かって延びている。当該第2引出部52Bの先端は、当該外部電極40に接続している。
【0038】
残りの一つの第2引出部52Bは、第2巻回部52Aの第2端から第2鍔部30の第2正方向Y1側に位置する外部電極40に向かって延びている。当該第2引出部52Bの先端は、当該外部電極40に接続している。
【0039】
ここで、第2ワイヤ52を、第1鍔部20側の端から第2鍔部30側へと辿っていったとする。このとき、
図2に示すように、第1ワイヤ51から視て、巻芯部11と反対側、すなわち外周側において第1ワイヤ51と最初に接触する箇所を特定箇所SPとする。特定箇所SPは、第2巻回部52Aの0.5ターン以上1ターン未満の範囲内に位置している。この実施形態では、特定箇所SPは、第2巻回部52Aの約0.75ターンに位置している。
【0040】
また、ここで、第2巻回部52Aのうちの特定箇所SPからの1周分を特定ターンSTとする。つまり、特定ターンSTは、第2巻回部52Aのおよそ0.75ターン以上1.75ターン未満の範囲である。
図2及び
図3に示すように、第2巻回部52Aは、特定ターンSTの範囲内で、交差箇所CPを2つ有している。交差箇所CPは、第1ワイヤ51に対して第2ワイヤ52が交差する箇所である。この実施形態では、第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52が延びる巻芯部11の外周面に直交する方向で視たときに、第2ワイヤ52の中心線が、第1ワイヤ51の中心線に対して横切る箇所を交差箇所CPとする。
【0041】
ここで、第2ワイヤ52を第1鍔部20側の端から第2鍔部30側の端へと辿っていったときに、2つ交差箇所CPのうちの、第1鍔部20に近い側の交差箇所CPを第1交差箇所CP1とする。また、第2ワイヤ52を第1鍔部20側の端から第2鍔部30側の端へと辿っていったときに、2つ交差箇所CPのうちの、第2鍔部30に近い側の交差箇所CPを第2交差箇所CP2とする。第1交差箇所CP1は、第2外周面11B上に位置している。また、第2ワイヤ52を第1鍔部20側から第2鍔部30側へと辿っていったときに、第1交差箇所CP1は、特定箇所SPから0.5ターン以内に位置する。第2交差箇所CP2は、第1外周面11A上に位置している。第1交差箇所CP1から第2交差箇所CP2までのターン数は、0.5ターン以上である。具体的には、第1交差箇所CP1から第2交差箇所CP2までのターン数は、約0.75ターンである。また、第2ワイヤ52を第1鍔部20側から第2鍔部30側へと辿っていったときに、第2交差箇所CP2は、特定箇所SPから0.5ターンより大きく1ターン以内に位置する。
【0042】
第2巻回部52Aが2つの交差箇所CPを有している結果、第2巻回部52Aの特定ターンSTの第2ワイヤ52と、その次のターンである約1.75ターン以上約2.75ターン未満の第2ワイヤ52との間に、隙間が生じている。つまり、第2巻回部52Aの1.75ターン以上2.75ターン未満の範囲内においては、第1巻回部51Aの第1ワイヤ51が第2ワイヤ52に覆われてなく露出している。
【0043】
図2に示すように、特定ターンSTを除く第2巻回部52Aの第2ワイヤ52は、第1外周面11A上においては、第2ワイヤ52を第1鍔部20側の端から第2鍔部30側の端へと辿っていったときに、第1鍔部20側から第2鍔部30側に向かって延びている。そして、
図3~
図5に示すように、第2巻回部52Aの第2ワイヤ52は、第2外周面11B、第3外周面11C、及び第4外周面11D上においては、第1軸Xに直交する方向に延びている。ただし、第2巻回部52Aのうち、第1交差箇所CP1を含む一部分の第2ワイヤ52は、例外的に、第2ワイヤ52を第1鍔部20側の端から第2鍔部30側の端へと辿っていったときに、第2鍔部30側から第1鍔部20側に向かって延びている。具体的には、第2巻回部52Aのおよそ0.75ターンから1ターンの範囲において、第2鍔部30側から第1鍔部20側に向かって延びる部分を含んでいる。
【0044】
なお、上述したとおり、「第1鍔部20側から第2鍔部30側に向かって延びる」とは、中心軸Cと平行に延びる場合に限らず、中心軸Cに対して交差する方向に斜めに向かった延びる場合も含んでいる。つまり、「第1鍔部20側から第2鍔部30側に向かって延びる」とは、第1鍔部20側の端から第2鍔部30側の端へとワイヤを辿っていったときに、僅かでも第1負方向X2の成分を含んでいればよい。また、この点「第2鍔部30側から第1鍔部20側に向かって延びる」も同様である。
【0045】
また、巻芯部11の第1外周面11Aと第2外周面11Bとの境界上に並ぶ第2ワイヤ52において、中心軸Cに沿う方向の第2ワイヤ52のピッチPはそれぞれ等しい。本実施形態では、巻芯部11の第1外周面11Aと第2外周面11Bとの境界上において、中心軸Cに沿う方向に隣り合う第2ワイヤ52は接触している。
【0046】
<コイル部品の製造方法>
コイル部品10の製造方法は、準備工程と、第1工程と、第2工程と、を有している。
準備工程は、以下のようにして、外部電極40を取り付けたドラムコア10Cを準備する。
【0047】
先ず、準備工程では、ドラムコア10Cを形成する。先ず、フェライト粉末に、合成樹脂バインダーを混合し、プレス成形によって形成された成型体を焼成する。そして成形体を、バレルによりバリを取り除き、ドラムコア10Cを形成する。次に、ドラムコア10Cにおいて、第3正方向Z1を向く第1鍔部20の面、及び第3正方向Z1を向く第2鍔部30の面に銀を含むペーストを焼付ける。当該ペースト上に銅、ニッケル、錫の順にメッキをすることで外部電極40が形成される。
【0048】
次に、第1工程では、先ず第1ワイヤ51の第1端を、第1鍔部20における第2負方向Y2側に位置する外部電極40に熱圧着する。そして、第1ワイヤ51を、第1鍔部20側から第2鍔部30側に向かって巻芯部11に巻回する。これにより、巻芯部11の外周面に対して接触している第1巻回部51Aを形成する。そして、第1ワイヤ51の第2端を第2鍔部30における第2負方向Y2側に位置する外部電極40に熱圧着する。
【0049】
次に、第2工程では、先ず第2ワイヤ52の第1端を、第1鍔部20における第2正方向Y1側に位置する外部電極40に熱圧着する。次に、第2ワイヤ52を巻芯部11及び第1ワイヤ51の外周側に巻回する。これにより、巻芯部11の外周面又は第1巻回部51Aに接している第2巻回部52Aを形成する。また、特定ターンSTの第2ワイヤ52を巻芯部11に巻回する際、第2ワイヤ52を第1鍔部20に近づけつつ巻回することにより第2ワイヤ52を第1ワイヤ51に対して交差させる。これにより、第1交差箇所CP1が形成される。そして、その後、第2ワイヤ52を第2鍔部30に近づけつつ巻回することにより第2ワイヤ52を再び第1ワイヤ51に対して交差させる。これにより、第2交差箇所CP2が形成される。第2巻回部52Aを形成した後、第2ワイヤ52の第2端を第2鍔部30における第2正方向Y1側に位置する外部電極40に熱圧着する。
【0050】
<第2ワイヤが交差箇所有していない従来例との比較>
図6に示すように、第2ワイヤ52が交差箇所CPを有してなく、第2ワイヤ52が常に第1鍔部20側から第2鍔部30側に向かって延びている従来のコイル部品100を仮想する。また、この
図6に示す例では、第2ワイヤ52の1ターンは第1ワイヤ51の0ターンと1ターンとの間において、第1ワイヤ51の外周側に巻回されている。そして、
図6に示す例では、第2ワイヤ52の2ターン以降は順に、第1ワイヤ51の隣り合うターンの間で、第1ワイヤ51の外周側に巻回されている。
【0051】
ここで、第2ワイヤ52を巻回する際に、第2ワイヤ52は、第1ワイヤ51に向かって押し付けながら巻回される。すなわち
図6に示すように第2ワイヤ52は、巻芯部11に向かって矢印P1の方向に押し付けられる。すると、第1ワイヤ51の0ターンは、矢印P2の方向に移動しようとする。
【0052】
その結果、
図7に示すように、本来であれば、第1ワイヤ51に対して外周側に位置するべき第2ワイヤ52が、第1ワイヤ51の0ターンと1ターンとの間に落ち込んでしまうことがある。
【0053】
これに対して、上記実施形態のコイル部品10によれば、第2ワイヤ52を第1ワイヤ51の外周側に巻回する際、第2ワイヤ52は、第1ワイヤ51に向かって押し付けられる。このとき、特定ターンSTの第2ワイヤ52のうち、第1交差箇所CP1から第2交差箇所CP2までの範囲は、第1ワイヤ51に対して第1鍔部20側から接する。その一方で、特定ターンSTの第2ワイヤ52のうち、第1交差箇所CP1から第2交差箇所CP2までの範囲を除く部分は、第1ワイヤ51に対して第2鍔部30側から接する。つまり、第1ワイヤ51のうち特定ターンSTの第2ワイヤ52に接する部分は、特定ターンSTの第2ワイヤ52に両側から挟まれたような状態になっている。
【0054】
具体的には、
図8に示すように、第2ワイヤ52の1ターンは、第2ワイヤ52の0ターンと第1ワイヤ51の0ターンとの間において、第1ワイヤ51の外周側に巻回されている。したがって、第2ワイヤ52の1ターンが第1ワイヤ51の外周上に巻回される際、第1ワイヤ51の0ターンは、矢印P3の方向、すなわち第1ワイヤ51の1ターンに近づく方向へ移動しようとする。
【0055】
また、第2ワイヤ52の2ターンは、第1ワイヤ51の1ターンと2ターンとの間において、第1ワイヤ51の外周側に巻回されている。したがって、第2ワイヤ52の2ターンが第1ワイヤ51の外周上に巻回される際、第1ワイヤ51の1ターンは、矢印P4の方向、すなわち第1ワイヤ51の0ターンに近づく方向へ移動しようとする。
【0056】
このように、第1ワイヤ51の0ターンが矢印P3に向かって移動しようとする力と、第1ワイヤ51の1ターンが矢印P4に向かって移動しようとする力とが、互いに逆方向である。そのため、両者が互いに打ち消し合う。その結果、第1ワイヤ51の0ターン及び1ターンは、第2ワイヤ52からの押し付け力を受けても移動しにくい。
【0057】
<本実施形態の効果>
(1)上述したとおり、第1ワイヤ51のうち特定ターンSTの第2ワイヤ52に接する部分は、中心軸Cに沿う方向において、第2ワイヤ52に両側から挟まれたような状態になっている。したがって、第1ワイヤ51のうち特定ターンSTの第2ワイヤ52に接する部分は、特定ターンSTの第2ワイヤ52の押し付け力によって、中心軸Cに沿う方向に位置ずれしにくくなる。そして、第1ワイヤ51のうち特定ターンSTの第2ワイヤ52に接する部分が位置ずれしにくければ、第1ワイヤ51におけるその他の部分も位置ずれしにくくなる。また、第1ワイヤ51の外周側に巻回される第2ワイヤ52も位置ずれしにくくなる。その結果、各ワイヤを設計どおりに巻回すことができる可能性が高くなる。
【0058】
(2)中心軸Cに沿う方向において、第2巻回部52Aの中央近傍では、互いに密接して第2ワイヤ52が巻回されている。そのため、第2巻回部52Aの中央近傍では、第2巻回部52Aの第1端近傍よりも、第2ワイヤ52が中心軸Cに沿う方向に位置ずれしにくい。換言すると、第2巻回部52Aの第1端近傍では、第2ワイヤ52が第1ワイヤ51上から落ちる等により中心軸Cに沿う方向に位置ずれする可能性が比較的に高い。上記実施形態によれば、特定箇所SPは、第2巻回部52Aの0.5ターン以上1ターン未満の範囲内に位置している。これに伴い、第2巻回部52Aの2つの交差箇所CPも、第2巻回部52Aの比較的に初期のターンに位置している。したがって、第2巻回部52Aのうち、第1ワイヤ51上から落ちやすい箇所において(1)の効果を発揮できる。
【0059】
(3)上記実施形態によれば、第1交差箇所CP1は、巻芯部11の第2外周面11B上に位置している。このように、第1交差箇所CP1が巻芯部11の外周面上に位置していることで、隣り合う外周面の境界上に位置する場合に比較して、第1交差箇所CP1の位置がずれることを防止できる。
【0060】
(4)上記実施形態によれば、第2交差箇所CP2は、巻芯部11の第1外周面11A上に位置している。このように、第2交差箇所CP2が巻芯部11の外周面上に位置していることで、隣り合う外周面の境界上に位置する場合に比較して、第2交差箇所CP2の位置がずれることを防止できる。
【0061】
(5)第2ワイヤ52は、第1交差箇所CP1及び第2交差箇所CP2において、第1ワイヤ51上を交差するため、ワイヤを巻回する際に各交差箇所CPが位置ずれする可能性がある。特に、第1交差箇所CP1から第2交差箇所CP2までの距離が過度に近い場合には、各交差箇所CP位置ずれする可能性が高まる。
【0062】
上記実施形態によれば、第1交差箇所CP1は、巻芯部11の第2外周面11B上に位置している。また、第2交差箇所CP2は、巻芯部11の第1外周面11A上に位置している。すなわち、第1鍔部20側から第2鍔部30側へと第2ワイヤ52を辿ったとき、第1交差箇所CP1から第2交差箇所CP2に至るまで、0.5ターン以上存在する。この構成によれば、第1交差箇所CP1及び第2交差箇所CP2の間隔が、0.5ターン未満の構成と比較して、第1交差箇所CP1及び第2交差箇所CP2が位置ずれしにくい。
【0063】
(6)上記実施形態において、各外部電極40は、第1鍔部20及び第2鍔部30の外面のうち、第1外周面11Aと同一の方向を向く面に位置している。また、本実施形態では、第1交差箇所CP1は、巻芯部11の第2外周面11B上に位置している。すなわち、第2巻回部52Aの第1端は、交差した後の第2ワイヤ52に押し付けられる。これにより、第2巻回部52Aが巻芯部11から離れにくい。
【0064】
(7)上記実施形態によれば、第1外周面11Aと第2外周面11Bとの境界上に並ぶ第2ワイヤ52において、中心軸Cに沿う方向のピッチPはそれぞれ等しい。したがって、第2ワイヤ52を巻芯部11及び第1ワイヤ51の外周面に巻回する際に、巻き乱れが生じにくい。
【0065】
(8)上記実施形態において、第2ワイヤ52を第1鍔部20側から第2鍔部30側へと辿っていったときに、第1交差箇所CP1は、特定箇所SPから0.5ターン以内に位置している。同様に、第2交差箇所CP2は、特定箇所SPから0.5ターンより大きく1ターン以内に位置している。すなわち、第1交差箇所CP1は、特定ターンSTのうちの前半区間で形成されている。また、第2交差箇所CP2は、特定ターンSTのうちの後半区間で形成されている。交差箇所CPが特定ターンSTのうちの一部の箇所に集中していないため、第1交差箇所CP1及び第2交差箇所CP2のそれぞれが位置ずれしにくい。
【0066】
(9)上記実施形態において、第2巻回部52Aにおいて特定ターンSTを除く部分は、第2巻回部52Aの第1端から辿っていったときに、中心軸Cと直交する方向、又は第1鍔部20側から第2鍔部30側に向かって延びている。一方で、第2巻回部52Aにおいて、第1交差箇所CP1を含む一部は、第2巻回部52Aの第1端から辿っていったときに、第2鍔部30側から第1鍔部20側に向かって延びている。すなわち、第1交差箇所CP1を含む一部は、第2巻回部52Aにおいて特定ターンSTを除く部分に対して巻き方向が異なる。このようにあえて巻き方向を異ならしめることで、2つの交差箇所CPを容易に形成できる。
【0067】
(10)上記実施形態によれば、コイル部品10は、製造において、第1ワイヤ51を巻芯部11に巻回する第1工程と、第1工程後に第2ワイヤ52を巻回する第2工程と、を有している。第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52を同時に巻回する製造方法よりも、第2巻回部52Aに2つの交差箇所CPを形成しやすい。
【0068】
(11)第2ワイヤ52の外径が大きいほど、第2ワイヤ52を成形するのに大きな力が必要なため、第2ワイヤ52を巻回する際に第1ワイヤ51を押し付ける力が大きくなる。そのため、第2ワイヤ52の外径が大きいほど、第1ワイヤ51が中心軸Cに沿う方向に位置ずれする可能性が高い。上記実施形態では、第2ワイヤ52の外径は、140μmである。このような外径を有するワイヤに、上記実施形態の技術を適用することは、特に好適である。
【0069】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0070】
・上記実施形態において、コイル部品10の構成は限定されない。例えば、コイル部品10は、天板12を省略可能である。また、第1鍔部20の形状は、上記実施形態の形状に限定されない。例えば、第1鍔部20は、窪み部21を省略可能である。
【0071】
・上記実施形態において、巻芯部11は四角柱状でなくてもよい。例えば、巻芯部11の断面形状は、円形、楕円形、又は四角形以外の多角形状であってもよい。すなわち、巻芯部11は、第1外周面11A~第4外周面11Dを備えていなくてもよい。
【0072】
・上記実施形態において、巻芯部11の稜線は、面取りされていてもよい。すなわち、各外周面の境界は、例えば、隣り合う平面を形成される角をR面取り加工することで形成される曲面を含んでいる。
【0073】
・上記実施形態において、ドラムコア10Cの形状、及び寸法は上記実施形態の例に限定されない。
・上記実施形態において、外部電極40の材質は上記実施形態の例に限定されない。例えば、外部電極40におけるめっき層の材質は、ニッケル合金などでもよい。また、外部電極40は、めっき層を有さず、導電性を有する金属層が露出していてもよい。また、外部電極40は板状の金属端子であってもよい。
【0074】
・上記実施形態において、第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52の外径は上記実施形態の例に限定されない。
・上記実施形態において、特定箇所SPの位置は、上記実施形態に限定されない。例えば、特定箇所SPは、第2巻回部52Aの0.5ターン未満の箇所に位置していてもよいし、第2巻回部52Aの1ターン以上の箇所に位置していてもよい。
【0075】
・上記実施形態において、第2巻回部52Aの0ターンの位置は、第1外周面11Aと第2外周面11Bとの境界上に位置していなくてもよい。例えば、第2巻回部52Aの0ターンは、第2外周面11B上に位置していてもよいし、上記実施形態と異なる外周面同士の境界上に位置していてもよい。
【0076】
・上記実施形態において、第1巻回部51Aは、巻芯部11上及び第2ワイヤ52上のどちらに巻回されていてもよい。この点、第2巻回部52Aも同様であり、第2巻回部52Aは、巻芯部11上及び第1ワイヤ51上のどちらに巻回されていてもよい。
【0077】
・上記実施形態において、第1交差箇所CP1及び第2交差箇所CP2の位置は、上記実施形態の例に限定されない。すなわち、第1交差箇所CP1は、巻芯部11の第2外周面11B上に位置していなくてもよい。また、第2交差箇所CP2は、巻芯部11の第1外周面11A上に位置していなくてもよい。また、各交差箇所CPの位置を変更した結果、第1交差箇所CP1から第2交差箇所CP2までのターン数は、0.5ターン未満になってもよい。
【0078】
・上記実施形態において、第2ワイヤ52を第1鍔部20側から第2鍔部30側へと辿っていったときに、第1交差箇所CP1は、特定箇所SPから0.5ターンより大きく1ターン以内に位置していてもよい。また、第2交差箇所CP2は、特定箇所SPから0.5ターン以内に位置していてもよい。
【0079】
・上記実施形態において、第1外周面11Aと第2外周面11Bとの境界上において、中心軸Cに沿う方向の第2ワイヤ52のピッチPは、等しくなくてもよい。また、別の箇所で、第2ワイヤ52の中心軸Cに沿う方向のピッチPが等しくてもよい。なお、コイル部品10において、第2ワイヤ52の中心軸Cに沿う方向のピッチPが等しくなくても、(1)の効果は得られる。また、中心軸Cに沿う方向において隣り合う第2ワイヤ52の間に、第1ワイヤ51が位置していてもよい。
【0080】
・上記実施形態において、第2巻回部52Aのうちの第1交差箇所CP1を含む一部において、第1鍔部20側から第2鍔部30側に向かって延びていてもよい。すなわち、第1交差箇所CP1において、第2ワイヤ52が第1ワイヤ51を第1鍔部20側から第2鍔部30側へと交差していてもよい。
【0081】
・上記実施形態において、第1工程及び第2工程を同時に実施してもよい。
・上記実施形態において、準備工程において準備するドラムコア10Cの製造方法は、上記実施形態の例に限定されない、例えば、ドラムコア10Cは、直方体状のフェライトコアを研削することにより形成してもよい。
【0082】
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、前記巻芯部に巻回された第1ワイヤと、前記巻芯部に巻回された第2ワイヤと、を備え、前記第1ワイヤは、前記中心軸を中心として巻回されている第1巻回部を有しており、前記第2ワイヤは、前記中心軸を中心として巻回されている第2巻回部を有しており、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、前記第2ワイヤが、前記第1ワイヤから視て前記巻芯部と反対側において前記第1ワイヤと最初に接触する箇所を特定箇所とし、前記特定箇所から前記第2鍔部側に向かって巻回された前記第2ワイヤの1周分を特定ターンとしたとき、前記第2巻回部は、前記特定ターンの範囲内で、前記第1ワイヤに対して前記第2ワイヤが交差する交差箇所を、2つ有するコイル部品。
【0083】
[2]前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第2巻回部の0ターンとし、前記第2鍔部側に向かって前記中心軸を中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとしたとき、前記特定箇所は、前記第2巻回部の0.5ターン以上1ターン未満の範囲内に位置している[1]に記載のコイル部品。
【0084】
[3]前記巻芯部における前記中心軸に直交する断面は四角形状であり、前記巻芯部は、第1外周面と、前記第1外周面に隣り合う第2外周面と、前記第2外周面に隣り合い、前記第1外周面と平行な第3外周面と、前記第3外周面及び前記第1外周面に隣り合い、前記第2外周面と平行な第4外周面と、を有し、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第2巻回部の0ターンとしたとき、前記第2巻回部の0ターンは、前記第2外周面と前記第3外周面との境界上に位置しており、前記第2ワイヤは、前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へ向かって、前記第1外周面、前記第2外周面、前記第3外周面、前記第4外周面と順に向かい合うように巻回されており、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所としたとき、前記第1交差箇所は、前記第2外周面上に位置している[1]又は[2]に記載のコイル部品。
【0085】
[4]前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第2巻回部の0ターンとし、前記第2鍔部側に向かって前記中心軸を中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとしたとき、前記特定箇所は、前記第2巻回部の0.5ターン以上1ターン未満の範囲内に位置しており、前記第1ワイヤの端及び前記第2ワイヤの端が接続された外部電極をさらに備え、前記外部電極は、前記第1鍔部及び前記第2鍔部の外面のうち、前記第1外周面と同一の方向を向く面に位置している[3]に記載のコイル部品。
【0086】
[5]前記巻芯部における前記中心軸に直交する断面は四角形状であり、前記巻芯部は、第1外周面と、前記第1外周面に隣り合う第2外周面と、前記第2外周面に隣り合い、前記第1外周面と向かい合う第3外周面と、前記第3外周面及び前記第1外周面に隣り合い、前記第2外周面と向かい合う第4外周面と、を有し、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第2巻回部の0ターンとしたとき、前記第2巻回部の0ターンは、前記第2外周面と前記第3外周面との境界上に位置しており、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第2鍔部に近い側の前記交差箇所を第2交差箇所としたとき、前記第2交差箇所は、前記第1外周面上に位置している[1]~[4]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0087】
[6]前記巻芯部における前記中心軸に直交する断面は四角形状であり、前記巻芯部は、第1外周面と、前記第1外周面に隣り合う第2外周面と、前記第2外周面に隣り合い、前記第1外周面と向かい合う第3外周面と、前記第3外周面及び前記第1外周面に隣り合い、前記第2外周面と向かい合う第4外周面と、を有し、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第2巻回部の0ターンとしたとき、前記第2巻回部の0ターンは、前記第2外周面と前記第3外周面との境界上に位置しており、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所とし、前記第2鍔部に近い側の前記交差箇所を第2交差箇所としたとき、前記第1交差箇所は、前記第2外周面上に位置しており、前記第2交差箇所は、前記第1外周面上に位置している[1]~[5]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0088】
[7]前記第1外周面と前記第2外周面との境界上に並ぶ前記第2ワイヤにおいて、前記中心軸に沿う方向の前記第2ワイヤのピッチはそれぞれ等しい[3]~[6]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0089】
[8]前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所とし、前記第2鍔部に近い側の前記交差箇所を第2交差箇所としたとき、前記第1交差箇所から前記第2交差箇所までのターン数は、0.5ターン以上である[1]~[7]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0090】
[9]前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所としたとき、前記第1交差箇所は、前記特定箇所から0.5ターン以内に位置する[1]~[8]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0091】
[10]前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第2鍔部に近い側の前記交差箇所を第2交差箇所としたとき、前記第2交差箇所は、前記特定箇所から0.5ターンより大きく1ターン以内に位置する[1]~[9]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0092】
[11]前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所とし、前記第2鍔部に近い側の前記交差箇所を第2交差箇所としたとき、前記第1交差箇所は、前記特定箇所から0.5ターン以内に位置し、前記第2交差箇所は、前記特定箇所から0.5ターンより大きく1ターン以内に位置する[1]~[10]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0093】
[12]前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、2つの前記交差箇所のうちの、前記第1鍔部に近い側の前記交差箇所を第1交差箇所としたとき、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、前記第2巻回部において前記特定ターンを除く部分は、前記中心軸と直交する方向、又は前記第1鍔部側から前記第2鍔部側に向かって延びており、前記第2巻回部のうちの前記第1交差箇所を含む一部は、前記第2鍔部側から前記第1鍔部側に向かって延びている[1]~[11]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0094】
[13]柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアに対して、第1ワイヤを巻回する第1工程と、前記ドラムコアに対して、第2ワイヤを巻回する第2工程と、を有し、前記第1工程では、前記第1ワイヤを、前記第1鍔部側から前記中心軸を中心として前記巻芯部に巻回することにより第1巻回部を形成し、前記第2工程では、前記第2ワイヤを、前記第1鍔部側から前記中心軸を中心として前記巻芯部に巻回することにより第2巻回部を形成し、前記第2ワイヤを前記第1鍔部側の端から前記第2鍔部側へと辿っていったときに、前記第2ワイヤが、前記第1ワイヤから視て前記巻芯部と反対側において前記第1ワイヤと最初に接触する箇所を特定箇所とし、前記特定箇所から前記第2鍔部側に向かって巻回された前記第2ワイヤの1周分を特定ターンとしたとき、前記第2工程では、前記特定ターンの範囲内で、前記第1ワイヤに対して前記第2ワイヤが2回交差するように、前記第2ワイヤを巻回するコイル部品の製造方法。
【符号の説明】
【0095】
C…中心軸
CP1…第1交差箇所
CP2…第2交差箇所
SP…特定箇所
ST…特定ターン
10…コイル部品
10C…ドラムコア
11…巻芯部
20…第1鍔部
30…第2鍔部
51…第1ワイヤ
51A…第1巻回部
52…第2ワイヤ
52A…第2巻回部