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特開2024-2097シミュレーションプログラム、記録媒体、シミュレーション方法、およびシミュレーション装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002097
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】シミュレーションプログラム、記録媒体、シミュレーション方法、およびシミュレーション装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20231228BHJP
   B30B 13/00 20060101ALI20231228BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20231228BHJP
【FI】
G06F30/10
B30B13/00 G
G06F30/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101086
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】明石 秀利
(72)【発明者】
【氏名】中山 茂
(72)【発明者】
【氏名】坂口 祐二
【テーマコード(参考)】
4E090
5B146
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AB01
4E090BA02
4E090EA01
4E090EB01
4E090EC04
4E090FA02
4E090GA02
4E090GA03
4E090HA01
5B146AA17
5B146BA04
5B146DE12
5B146DE16
5B146DJ11
5B146EC10
(57)【要約】
【課題】消費エネルギーの指標となる情報を確認することが可能なシミュレーションプログラムを提供すること。
【解決手段】シミュレーションプログラムは、ワークWをプレス加工するプレス装置1P~5Pを備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーションプログラムであって、ステップS1と、ステップS2、S3およびS4と、を備える。ステップS1では、プレスライン1のモーションを生成する。ステップS2、S3およびS4では、ステップS2~S4では、プレスライン1のモーションに基づいてプレスライン1の消費電力に関する情報を演算する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する第1プレス装置を備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーションプログラムであって、
前記プレスラインのモーションを生成するモーション生成ステップと、
前記プレスラインのモーションに基づいて前記プレスラインの消費電力に関する情報を演算する消費電力情報演算ステップと、をコンピュータに実行させる、
シミュレーションプログラム。
【請求項2】
演算された前記プレスラインの消費電力に関する情報を表示する表示ステップを更にコンピュータに実行させる、請求項1に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項3】
前記プレスラインは、前記ワークを前記第1プレス装置に搬入または搬出する第1搬送装置を更に備え
前記消費電力情報演算ステップは、
前記プレスラインのモーションにおける前記第1プレス装置および前記第1搬送装置の各々の仕事量を演算する第1演算ステップと、
演算された各々の仕事量に基づいて前記プレスラインの消費電力に関する情報を演算する第2演算ステップと、を有する、
シミュレーションプログラム。
【請求項4】
前記プレスラインは、前記ワークをプレス加工する第2プレス装置を更に備え、
前記消費電力情報演算ステップは、
前記プレスラインのモーションにおける前記第1プレス装置および前記第2プレス装置の各々の仕事量を演算する第1演算ステップと、
演算された各々の仕事量に基づいて前記プレスラインの消費電力に関する情報を演算する第2演算ステップと、を有する、
シミュレーションプログラム。
【請求項5】
前記第2演算ステップにおいて、前記各々の仕事量を合算して、前記プレスラインの仕事量が演算され、1つの前記ワーク当たりの消費電力に関する情報が演算される、
請求項3または4に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項6】
前記第1プレス装置は、スライドを上下動するサーボモータを有し、
前記第1搬送装置は、駆動源としてのサーボモータを有し、
前記第1演算ステップにおいて、前記プレスラインのモーションにおける前記第1プレス装置のスライドのモーションから前記サーボモータの仕事量を演算して、前記第1プレス装置の仕事量が演算され、前記プレスラインのモーションにおける前記第1搬送装置のモーションから前記サーボモータの仕事量を演算して、前記第1搬送装置の仕事量が演算される、
請求項3に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項7】
前記第1プレス装置および前記第2プレス装置の各々は、スライドを上下動するサーボモータを有し、
前記第1演算ステップにおいて、前記プレスラインのモーションにおける前記第1プレス装置のスライドのモーションから前記サーボモータの仕事量を演算して、前記第1プレス装置の仕事量が演算され、前記プレスラインのモーションにおける前記第2プレス装置のスライドのモーションから前記サーボモータの仕事量を演算して、前記第2プレス装置の仕事量が演算される、
請求項4に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項8】
前記プレスラインのモーションにおける前記第1プレス装置のスライドのモーションと前記第2プレス装置のスライドのモーションの間には、所定時刻におけるスライドの位置が異なる位相差が設けられている、
請求項4に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項9】
前記第1プレス装置および前記第2プレス装置は、同一の工場電源に接続されている、
請求項4に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項10】
請求項1に記載のシミュレーションプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体。
【請求項11】
ワークを加工する第1プレス装置を備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーション方法であって、
前記プレスラインのモーションを生成するモーション生成ステップと、
前記プレスラインのモーションに基づいて前記プレスラインの消費電力に関する情報を演算する消費電力情報演算ステップと、を備えた
シミュレーション方法。
【請求項12】
ワークを加工する第1プレス装置を備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーション装置であって、
前記プレスラインのモーションを生成するモーション生成部と、
前記プレスラインのモーションに基づいて前記プレスラインの消費電力に関する情報を演算する消費電力情報演算部と、を備えた
シミュレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーションプログラム、記録媒体、シミュレーション方法、およびシミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車のボディの成形などにタンデムプレスラインが用いられている。タンデムプレスラインでは、複数のプレス装置が並べて設置され、それぞれのプレス装置の間にワークを搬送するためのフィーダ装置(搬送装置)が設けられている。
【0003】
このようなプレスラインでは、プレス装置とフィーダ装置の干渉を回避しつつ、適切な成形モーションおよび搬送モーションを作成するためにプレスラインシミュレータが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-0161657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のプレスラインの運転においては、いかに生産性を高めるかという点に焦点が当てられていたが、近年のカーボンニュートラルの流れを受け、消費エネルギーの削減についても目が向けられている。
【0006】
本発明は、消費エネルギーの指標となる情報を確認することが可能なシミュレーションプログラム、記録媒体、シミュレーション方法、およびシミュレーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の開示にかかるシミュレーションプログラムは、ワークをプレス加工する第1プレス装置を備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーションプログラムであって、モーション生成ステップと、消費電力情報演算ステップと、をコンピュータに実行させる。モーション生成ステップは、プレスラインのモーションを生成する。消費電力情報演算ステップは、プレスラインのモーションに基づいてプレスラインの消費電力に関する情報を演算する。
【0008】
第2の開示にかかるシミュレーション方法は、ワークをプレス加工する第1プレス装置を備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーション方法であって、モーション生成ステップと、消費電力情報演算ステップと、を備える。モーション生成ステップは、プレスラインのモーションを生成する。消費電力情報演算ステップは、プレスラインのモーションに基づいてプレスラインの消費電力に関する情報を演算する。
【0009】
第3の開示にかかるシミュレーション装置は、ワークをプレス加工する第1プレス装置を備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーション装置であって、モーション生成部と、消費電力情報演算部と、を備える。モーション生成部は、プレスラインのモーションを生成する。消費電力情報演算部は、プレスラインのモーションに基づいてプレスラインの消費電力に関する情報を演算する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、消費エネルギーの指標となる情報を確認することが可能なシミュレーションプログラム、記録媒体、シミュレーション方法、およびシミュレーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示にかかる実施形態におけるプレスラインを示す図。
図2】本開示にかかる実施形態におけるプレス装置の構成を示す図。
図3】本開示にかかる実施形態における1組のサーボモータおよび伝達機構の構成を示す図。
図4】本開示にかかる実施形態におけるフィーダ装置の構成を示す斜視図。
図5】本開示にかかる実施形態におけるシミュレーション装置の構成を示すブロック図。
図6】本開示にかかる実施形態におけるシミュレーション方法を示すフロー図。
図7】(a)~(e)フィーダ装置およびプレス装置のモーションおよび仕事量を示す図、(f)フィーダ装置およびプレス装置のモーションならびにプレスラインの仕事量を示す図。
図8】本開示にかかる実施形態におけるプレス装置における仕事量の演算を示すフロー図。
図9】(a)本開示にかかる実施形態におけるプレス装置のスライドモーションを示す図、(b)図9(a)のモーションを実現するためのサーボモータのモーションを示す図。
図10】(a)サーボモータのトルクの時間変化のグラフを示す図、(b)サーボモータの仕事量の時間変化のグラフを示す図。
図11】本開示にかかる実施形態におけるシミュレーション装置の表示部に表示される表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示のシミュレーションプログラムについて図面を参照しながら以下に説明する。
はじめに、本開示のシミュレーションプログラムによってシミュレーションを行うプレスラインの構成について説明する。
【0013】
(プレスライン1)
図1は、本開示にかかる実施の形態のプレスライン1の構成を示す模式図である。
【0014】
本実施の形態のプレスライン1は、各プレス装置でプレス加工を行うとともに各プレス装置間においてフィーダ装置でワークWを搬送する。ワークWの搬送方向がXとして図示されている。
【0015】
プレスライン1は、タンデムプレスラインであって、複数のプレス装置1P、2P、3P、4P、5Pと、複数のフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULと、プレスライン制御装置4と、を備える。これら複数のプレス装置1P、2P、3P、4P、5Pと、複数のフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULと、プレスライン制御装置4とは、同一の工場電源に接続されている。
【0016】
(プレス装置2)
本実施形態のプレスライン1では、図1に示す通り、プレス装置1P、2P、3P、4P、5Pがワーク搬送方向Xに沿って並んでいる。プレス装置1P、2P、3P、4P、5Pは同じ構成である。本実施の形態のプレスライン1は、5台のプレス装置を備える。プレス装置1P、2P、3P、4P、5Pのいずれか1つが、第1プレス装置の一例に対応し、他の1つが第2プレス装置の一例に対応する。
【0017】
プレス装置1P、2P、3P、4P、5Pは同じ構成であるため、プレス装置1Pを例に挙げて構成について説明する。図2は、プレス装置1Pの構成を示す模式図である。プレス装置1Pは、主に、ベッド11と、アプライト12と、クラウン13と、スライド14と、ボルスタ15と、スライド駆動部16と、を備える。
【0018】
ベッド11は、フロアに埋め込まれており、プレス装置2の土台を構成する。アプライト12は、柱状の部材であり、ベッド11上に4本配置されている。4本のアプライト12は、平面視において矩形状の各頂点を形成するように配置されている。
【0019】
クラウン13は、4本のアプライト12によってベッド11の上方に支持されている。スライド14は、クラウン13の下側に昇降自在に吊下されている。スライド14の下面14sには、図示しないダイクランパによって上金型19aが着脱自在に取り付けられている。ボルスタ15は、スライド14の下方であってベッド11上に配置されている。ボルスタ15の上側には下金型19bが載置される。
【0020】
スライド駆動部16は、クラウン13に設けられており、クラウン13の下側に設けられたスライド14を昇降させる。
【0021】
(スライド駆動部16)
スライド駆動部16は、クラウン13に設けられており、スライド14を昇降動作させる。スライド駆動部16は、4点でスライド14を支持している。スライド駆動部16は、駆動源である4つのサーボモータ21と、それぞれのサーボモータ21の駆動をスライドに伝達する4つの伝達機構22とを有する。なお、図2では、2つのサーボモータ21と2つの伝達機構22のみが示されているが、紙面奥側に2つのサーボモータ21と2つの伝達機構22が更に設けられている。
【0022】
それぞれの伝達機構22は、各々のサーボモータ21の回転を減速する第1減速機23と及び第2減速機24と、減速された回転運動を上下方向への往復運動に変換する昇降部25と、下端がスライド14に固定されてスライド14を上下方向に移動させるプランジャ26とを有している。
【0023】
図3は、1組のサーボモータ21および伝達機構22の構成を示す図である。サーボモータ21は、その駆動軸21aが水平方向に配置されるようにクラウン13に取り付けられている。
【0024】
第1減速機23は、等速減速機であって、サーボモータ21の駆動軸21aに連結されている。第1減速機23は、大プーリ23aと、第1ピニオン23bと、第1ギヤ23cと、第2ピニオン23dと、第2ギヤ23eと、第3ピニオン23fとを有している。大プーリ23aは、サーボモータ21の駆動軸21aに固定された小プーリ28の回転がベルト29によって伝達される。第1ピニオン23bは、大プーリ23aに一体的に設けられている。第1ギヤ23cは、第1ピニオン23bに噛み合う。第2ピニオン23dは、第1ギヤ23cと一体的に設けられている。第2ギヤ23eは、第2ピニオン23dと噛み合う。第3ピニオン23fは、第2ギヤ23eと一体的に設けられている。第3ピニオン23fは、第2減速機24の外周に配置された大径のヘリカルギヤ24aに噛み合っている。
【0025】
第2減速機24は、一回転中の回転速度が不等速となるように減速して動力を昇降部25のエキセン軸25aに伝達するウィットウォース減速機である。第2減速機24は、ヘリカルギヤ24aと、レバー24bと、連結部材24cとを有する。ヘリカルギヤ24aは、リング状であって、第2減速機24の外周部に配置される。レバー24bは、クラウン13のフレームから水平方向に突出して設けられたエキセン軸25aに固定されている。連結部材24cは、レバー24bとヘリカルギヤ24aの内周の間を連結する。ヘリカルギヤ24aの回転中心は、エキセン軸25aの軸心の鉛直方向上方に配置されている。
【0026】
昇降部25は、エキセン軸25aと、エキセンドラム25bと、コンロッド25cと、を有する。エキセン軸25aは、エキセンドラム25bの両側(図3において、紙面と直角方向における手前側と奥側)でクラウン13のフレームに軸支されている。エキセンドラム25bは、エキセン軸25aに対して偏心した円盤状に形成されており、エキセン軸25aの回転とともに偏心回転する。コンロッド25cは、エキセンドラム25bに接続されている。コンロッド25cの下方にはプランジャ26が接続され、プランジャ26の下方にスライド14が取り付けられている。
【0027】
クラウン13の下側には、プランジャホルダ27が固定されており、プランジャ26を上下方向にガイドする。プランジャホルダ27は、プランジャ26の水平方向の動きを規制しているともいえる。
【0028】
以上の構成の昇降部25のエキセンドラム25bが偏心回転することによってコンロッド25cが揺動してプランジャ26が上下方向に移動し、スライド14が上下方向に移動する。スライド14の上下方向の移動によって上金型19aと下金型19bによってワークWのプレス加工が行われる。
【0029】
(フィーダ装置3)
本実施形態のプレスライン1では、図1に示す通り、フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULが、ワーク搬送方向Xに沿って並んでいる。フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの構成は同じである。本実施形態のプレスライン1は、6台のフィーダ装置を備える。フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULのいずれか1つが、第1搬送装置の一例に対応する。
【0030】
フィーダ装置LDは、図1に示すように、プレス装置1Pの上流側に配置されている。フィーダ装置LDは、ワークWをプレス装置1Pに搬入する。フィーダ装置1Fは、プレス装置1Pとプレス装置2Pの間に配置されている。フィーダ装置1Fは、プレス装置1Pからプレス装置2PにワークWを搬送する。フィーダ装置2Fは、プレス装置2Pとプレス装置3Pの間に配置されている。フィーダ装置2Fは、プレス装置2Pからプレス装置3PにワークWを搬送する。フィーダ装置3Fは、プレス装置3Pとプレス装置4Pの間に配置されている。フィーダ装置3Fは、プレス装置3Pからプレス装置4PにワークWを搬送する。フィーダ装置4Fは、プレス装置4Pとプレス装置5Pの間に配置されている。フィーダ装置4Fは、プレス装置4Pからプレス装置5PにワークWを搬送する。フィーダ装置ULは、プレス装置5Pの下流側に配置されている。フィーダ装置ULは、プレス装置5PからワークWを搬出する。
【0031】
フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの構成は同じであるため、フィーダ装置1Fを例に挙げて構成について説明する。
【0032】
図4は、フィーダ装置1Fの構成を示す斜視図である。フィーダ装置1Fは、幅方向Yの一方側に配置された第1駆動装置31と、幅方向Yの他方側に配置された第2駆動装置32と、を有する。第1駆動装置31は、搬送方向Xに延びる案内レール41を有する。第2駆動装置32は、搬送方向Xに延びる案内レール41´を有する。なお、図4では、案内レール41、41´は破線で示す。案内レール41、41´は、移動不能に構成されている。フィーダ装置1Fでは、案内レール41、41´は、プレス装置1Pからプレス装置2Pに亘って配置されている。フィーダ装置LDでは、案内レール41、41´はプレス装置1Pの上流側に配置されている。フィーダ装置2F~4Fでは、フィーダ装置1Fと同様に、案内レール41、41´は、隣り合うプレス装置の間に配置されている。フィーダ装置UDでは、案内レール41、41´はプレス装置5Pの下流側に配置されている。案内レール41、41´は、たとえばプレス装置1P~5Pのアプライト12に固定されている。
【0033】
フィーダ装置1Fは、クロスバー33を更に備える。クロスバー33は、幅方向Yに延びている。クロスバー33は、案内レール41、41´の下方に配置されている。幅方向Yにおけるクロスバー33の一端は、第1駆動装置31によって支持される。幅方向Yにおけるクロスバー33の他端は、第2駆動装置32によって支持される。クロスバー33は、第1駆動装置31と第2駆動装置32との間にかけ渡されている。
【0034】
クロスバー33は、一端と他端との間の中間部においてワークW(図2参照)を保持する。クロスバー33には、ワークWを保持する搬送ツール(図示せず)が取り付けられている。搬送ツールとしては、例えば、ワークWを吸着するバキュームカップを挙げることができる。隣り合うプレス装置2において、上流側のプレス装置2でのワークのプレス加工が終了した後、クロスバー33が上金型19aと下金型19bの間に進入してワークWを保持する。クロスバー33がワークWを保持した状態で第1駆動装置31と第2駆動装置32がクロスバー33を所定の動作軌跡に沿って移動させることによって、上流側のプレス装置2から下流側のプレス装置2にワークWが搬送される。下流側のプレス装置2の上金型19aと下金型19bとの間にクロスバー33が進入してワークWの保持を解除することで下流側のプレス装置2にワークWが引き渡される。
【0035】
第1駆動装置31は、ベース部42を有している。ベース部42は、案内レール41に支持されている。ベース部42は、案内レール41の下面に取り付けられている。ベース部42は、案内レール41から吊り下げられている。なお、本実施形態では、ベース部42は、案内レール41の下面に取り付けられているが、案内レール41の上面または側面に取り付けられていてもよい。
【0036】
ベース部42は、案内レール41に沿って搬送方向Xに移動可能に構成されている。サーボモータ等の図示しない駆動源からベース部42に走行駆動力が伝達されることによって、ベース部42は案内レール41に対して相対移動する。ベース部42は、案内レール41の両端の間を往復移動する。ベース部42に走行駆動力を伝達する動力伝達装置は、ラックピニオン機構、タイミングベルト、またはボールスクリューを含んでいてもよい。また、ベース部42を移動させる駆動源はリニアモータであってもよい。
【0037】
第1駆動装置31は、パラレル機構43を有している。パラレル機構43は、ベース部42に支持されている。パラレル機構43は、互いに並列な第1アーム部44と第2アーム部45とを含む。
【0038】
第1アーム部44は、レバー441とリンク442とを含む。レバー441は、ベース部42に対して相対回転可能に、ベース部42に取り付けられている。レバー441は、ベース部42に取り付けられている基端と、基端と反対側の先端を有している。リンク442は、レバー441に対して相対回転可能に、レバー441の先端に取り付けられている。リンク442は、レバー441の先端に取り付けられている基端と、基端と反対側の先端を有する。リンク442の先端にクロスバー33の端が取り付けられている。クロスバー33は、パラレル機構43の先端部分に支持されている。
【0039】
第2アーム部45は、レバー451とリンク452とを含む。レバー451は、ベース部42に対して相対回転可能に、ベース部42に取り付けられている。レバー451は、ベース部42に取り付けられている基端と、基端と反対側の先端を有している。リンク452は、レバー451に対して相対回転可能に、レバー451の先端に取り付けられている。リンク452は、レバー451の先端に取り付けられている基端と、基端と反対側の先端を有する。リンク452の先端はクロスバー33に連結されておらず、リンク442に連結されている。リンク452の先端はクロスバー33に直接連結されていてもよい。
【0040】
第1駆動装置31は、第1モータ46と、第2モータ47と、を含む。第1モータ46と第2モータ47は、たとえばサーボモータである。第1モータ46および第2モータ47は、パラレル機構43を駆動させるための駆動力を発生する。
【0041】
第1モータ46および第2モータ47は、ベース部42に搭載されている。第1モータ46および第2モータ47は、第1アーム部44および第2アーム部45に対してベース部42の反対側に配置されている。ベース部42は、第1アーム部44と第1モータ46の間、および第2アーム部45と第2モータ47との間に配置されている。
【0042】
第1モータ46は、第1アーム部44をベース部42に対して相対移動させる駆動力を、第1アーム部44に作用する。第2モータ47は、第2アーム部45をベース部42に対して相対移動させる駆動力を、第2アーム部45に作用する。
【0043】
パラレル機構43は、第1モータ46と第2モータ47の駆動力を受けて、搬送方向Xと上下方向とによって規定される平面内で動作可能である。パラレル機構43の動作によって、リンク442の先端に取り付けられているクロスバー33の、ベース部42に対する相対位置が変更される。
【0044】
第2駆動装置32は、第1駆動装置31と同じ構成を有しており、第1駆動装置31を180°反転させた配置とされている。図4に示すように、第2駆動装置32の各構成には、対応する第1駆動装置31の構成に付された参照番号に´(ダッシュ)を加えた参照番号が付されている。第2駆動装置32の構成の詳細な説明は、第1駆動装置31の説明と重複するため省略する。
【0045】
(プレスライン制御装置4)
図1に示すように、プレスライン制御装置4は、プレス装置1P、2P、3P、4P、5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULを制御する。
【0046】
プレスライン制御装置4は、プロセッサと、メモリと、を含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)である。或いは、プロセッサは、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサは、メモリに記憶されているプレスラインモーションプログラムに従ってプレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの制御のための処理を実行する。メモリは、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリおよびRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む。メモリは、HDD(Hard Disk Drive)或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでいてもよい。メモリは、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。メモリに記憶されているプレスラインモーションプログラムは、後述するシミュレーション装置5で作成されたものである。プレスライン制御装置4は、シミュレーション装置5からのデータを受信可能に、シミュレーション装置5と有線または無線によって繋がっている。
【0047】
プレスライン制御装置4は、プレス装置1P~5Pを制御する。具体的には、プレスライン制御装置4は、プレス装置1P~5Pの各々に設けられた4つのサーボモータ21に指令を送信することによりサーボモータ21を駆動させて、プレス加工の制御を行う。
【0048】
プレスライン制御装置4は、フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULを制御する。具体的には、プレスライン制御装置4は、フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々の、第1モータ46、第2モータ47および第1駆動装置31を搬送方向Xに移動するサーボモータ、ならびに第1モータ46´、第2モータ47´および第2駆動装置32を搬送方向Xに移動するサーボモータに指令を送信することによりサーボモータを駆動させてワークWの搬送を行う。
【0049】
(シミュレーション装置5)
図5は、シミュレーション装置5の構成を示すブロック図である。シミュレーション装置5は、シミュレーション部51と、入力部52と、表示部53と、通信部54と、有する。シミュレーション部51は、プレスライン1のモーションを生成し、そのモーションにおけるプレスライン1の消費電力を演算する。
【0050】
入力部52は、たとえばキーボードおよびマウスなどを含み、表示部53を見ながら作業者が各種設定を入力する。作業者は入力部52を用いて、プレスライン1のモーションを生成するためのデータを入力する。このデータとしては、金型(上金型19aおよび下金型19b)の形状データ、ワークWの形状データ、ワークの搬送ツールの形状データ、またはプレスライン1の生産速度等を挙げることができる。
【0051】
シミュレーション部51は、例えばワークステーション(コンピュータの一例)である。シミュレーション部51は、プロセッサと、メモリと、を含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)である。或いは、プロセッサは、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサは、メモリに記憶されているプログラムに従ってプレスライン1のモーションを生成し、そのモーションにおける消費電力を演算する処理を実行する。メモリは、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリおよびRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む。メモリは、HDD(Hard Disk Drive)或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでいてもよい。メモリは、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。
【0052】
シミュレーション部51は、モーション生成部51aと、消費電力演算部51b(消費電力情報演算部の一例)と、表示制御部51cを有する。プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、シミュレーション部51は、モーション生成部51a、消費電力演算部51b、および表示制御部51cの機能を実現する。
【0053】
メモリは、プレス装置2の複数のスライドモーションデータと、フィーダ装置3の複数のフィーダモーションデータを記憶する。モーション生成部51aは、入力部52に入力されたデータに基づいて、ワークWと金型の干渉を考慮し、メモリに記憶されているスライドモーションデータとフィーダモーションデータからプレスライン1のモーションを生成する。本実施形態では、モーション生成部51aは、複数のプレス装置2において位相差を設けたプレスラインモーションを生成する。後述する図7(a)~図7(e)において説明するが、位相差とは、複数のプレス装置2の間において同時刻でのスライド14の位置が異なっていることである。
【0054】
消費電力演算部51bは、モーション生成部51aで生成されたプレスラインモーションにおける消費電力を演算する。消費電力演算部51bは、第1演算部51dと、第2演算部51eと、を有する。第1演算部51dは、モーション生成部51aで生成されたプレスラインモーションにおけるプレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々の装置における仕事量を演算する。後述する図9において詳しく説明するが、第1演算部51dは、プレス装置2について、生成されたプレスラインモーションを実行するサーボモータの仕事量を算出する。プレス装置2のサーボモータとは、例えば4つのサーボモータ21である。第1演算部51dは、フィーダ装置3について、生成されたプレスラインモーションを実行するサーボモータの仕事量を算出する。フィーダ装置3のサーボモータとは、例えば、第1モータ46、第2モータ47、第1駆動装置31を搬送方向Xに沿って移動するサーボモータ、第1モータ46´、第2モータ47´、および第2駆動装置32を搬送方向Xに沿って移動するサーボモータである。
【0055】
第2演算部51eは、プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々の装置における仕事量から、プレスライン1のワーク1つ当たりの消費電力量を演算する。ここで、ワーク1つ当たりの消費電力量とは、1サイクル(1周期)あたりの消費電力量である。
【0056】
表示制御部51cは、シミュレーション部51において算出されたプレスライン1の消費電力量を表示部53に表示させる。
【0057】
表示部53は、たとえばモニター等である。表示部53は、表示制御部51cからの制御信号に基づいてシミュレーション部51において算出されたプレスライン1の消費電力量を表示する。表示部53は、プレスライン1の消費電力量とともに、プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々の消費電力量を表示してもよい。
【0058】
通信部54は、生成されたプレスラインモーションおよび消費電力量をプレスライン制御装置4に送信する。通信部54は、プレスライン制御装置4と有線または無線によって繋がっている。あるいは、USBメモリなどの記憶媒体を介して、シミュレーション装置5によって生成されたプレスラインモーションをプレスライン制御装置4に転送するようにしても良い。
【0059】
(シミュレーション方法)
次に、シミュレーション方法について説明する。本開示のプログラムは、次のシミュレーション方法の全部または一部のステップの動作をコンピュータにより実行されるプログラムである。
【0060】
図6は、シミュレーション方法を示すフロー図である。
【0061】
はじめに、ステップS1(モーション生成ステップの一例)において、モーション生成部51aが、プレスライン1のモーションを生成する。モーション生成部51aは、入力部52に入力されたデータに基づいて、ワークWと金型の干渉を考慮し、メモリに記憶されているスライドモーションデータとフィーダモーションデータからプレスライン1のモーションを生成する。
【0062】
図7(a)~(e)は、フィーダ装置LD、プレス装置1P、フィーダ装置1F、プレス装置2Pおよびフィーダ装置2Fのモーションを示す図である。説明を分かり易くするため、フィーダ装置3F、4F、ULおよびプレス装置3P、4P、5Pのモーションは省略する。
【0063】
図7(a)は、生成されたプレスラインモーションにおけるフィーダ装置LDのモーションのグラフ61aを示す図である。グラフ61aは、実線で示されている。グラフ61aの下側には、フィーダ装置LDの仕事量の時間変化のグラフ61bが実線で示されている。図7(b)は、生成されたプレスラインモーションにおけるプレス装置1Pのモーションのグラフ62aを示す図である。グラフ62aは、破線で示されている。グラフ62aの下側には、プレス装置1Pの仕事量の時間変化のグラフ62bが実線で示されている。図7(c)は、生成されたプレスラインモーションにおけるフィーダ装置1Fのモーションのグラフ63aを示す図である。グラフ63aは、一点鎖線で示されている。グラフ63aの下側に、フィーダ装置1Fの仕事量の時間変化のグラフ63bが実線で示されている。図7(d)は、生成されたプレスラインモーションにおけるプレス装置2Pのモーションのグラフ64aを示す図である。グラフ64aは、二点鎖線で示されている。グラフ64aの下側には、プレス装置2Pの仕事量の時間変化のグラフ64bが実線で示されている。図7(e)は、生成されたプレスラインモーションにおけるフィーダ装置2Fのモーションのグラフ65aを示す図である。グラフ65aは、二点鎖線で示されている。グラフ65aの下側には、フィーダ装置2Fの仕事量の時間変化のグラフ65bが実線で示されている。
【0064】
図7(a)、図7(c)および図7(e)に示すフィーダ装置LD、1F、2Fのモーションを示す図では、縦軸がクロスバー33の搬送方向Xにおける位置を示し、横軸が時刻を示している。なお、フィーダ装置では、クロスバー33を搬送方向Xだけではなく上下方向にも移動させるが、搬送方向への移動に比べて上下方向への移動量は少なく、後述する装置の仕事量への影響が小さい。図7(b)および図7(d)に示すプレス装置1P、2Pのモーションを示す図では、縦軸がスライド14の上下位置を示し、横軸が時刻を示している。
【0065】
プレス装置1P~5Pは、1周期ごとに所定のモーションを繰り返す。フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULは、1周期ごとに所定のモーションを繰り返す。
【0066】
図7(a)~(e)の時刻について説明する。フィーダ装置LDの1周期目のモーションが始まる時刻をt1とすると、フィーダ装置LDのモーションが開始した後、時刻t2においてフィーダ装置1Fの1周期目のモーションが開始する。時刻t2の後に、時刻t3においてプレス装置1Pの1周期目のモーションが開始する。時刻t3の後に時刻t4においてフィーダ装置2Fの1周期目のモーションが開始する。時刻t4の後に時刻t5においてプレス装置2Pの1周期目のモーションが開始する。
【0067】
また、フィーダ装置LDは時刻t11において1周期目のモーションが終了し、2周期目のモーションが開始する。時刻t11の後に時刻t21においてフィーダ装置1Fの1周期目のモーションが終了し、2周期目のモーションを開始する。時刻t21の後に、時刻t31においてプレス装置1Pの1周期目のモーションが終了し、2周期目のモーションが開始する。時刻t31の後に時刻t41においてフィーダ装置2Fの1周期目のモーションが終了し、2周期目のモーションが開始する。時刻t41の後に時刻t51においてプレス装置2Pの1周期目のモーションが終了し、2周期目のモーションが開始する。プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々の1周期の時間は同じである。図7(a)~図7(e)では、時刻t1~時刻t11と、時刻t2~時刻t21と、時刻t3~時刻t31と、時刻t4~時刻t41と、時刻t5~時刻t51が同じ時間ΔTとなる。
【0068】
プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々が周期ΔTで所定のモーションを繰り返すことによって、ワークWは、プレス装置1P~5Pで順次加工されながらフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULによって搬送方向Xに搬送される。
【0069】
図7の(b)、(d)からわかる通り、プレス装置1Pのモーションの周期が開始するタイミングとプレス装置2Pのモーションの周期が開始するタイミングが異なっている。すなわち、プレス装置1Pのモーションとプレス装置2Pのモーションとは位相差を設けられている。位相差とは、上述したように、プレス装置1P~5Pの間において同時刻でのスライド14の位置が異なっていることである。図7(b)および図7(d)に示すように、プレス装置1Pのスライド14が上死点から下方に下がる途中の時刻で、プレス装置2Pのスライド14が上死点から下がり始めている。このように、本実施形態では、複数のプレス装置1P~5Pの間において位相差が設けられている。なお、全てのプレス装置1P~5Pの間に位相差が設けられていなくてもよく、少なくとも2台のプレス装置の間において位相差が設けられていてもよい。また、高い生産性を確保するためには、このようにプレス間に位相差を設けて運転するのが一般的であるが、必ずしも位相差を設ける必要はない。
【0070】
図6に戻り、ステップS2(第1演算ステップの一例)において、第1演算部51dが、プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各装置における仕事量を演算する。図8は、プレス装置2における仕事量の演算を示すフロー図である。
【0071】
仕事量演算において、はじめにステップS11において逆キネマティクスが行われる。逆キネマティクスでは、モーションから仕事量が演算される。シミュレーション部51は、プレス装置1P~5Pの機構の緒元情報を記憶している。緒元情報は、サーボモータ21の減速比、リンク、コンロッドの長さ、およびドラム偏心軸等を含む。
【0072】
第1演算部51dは、プレス装置の機構の緒元情報に基づいて、モーション生成部51aで生成されたプレスラインモーションにおけるスライドモーションを実行するためのサーボモータのモーションを演算する。
【0073】
図9(a)は、プレス装置1Pのスライドモーションを示す図である。具体的には、図9(a)には、プレス装置1Pのスライド位置の時間に対する変化を示すグラフ61a(太実線)、スライド速度の時間に対する変化を示すグラフ61c(破線)、スライド加速度の時間に対する変化を示すグラフ61d(細実線)が示されている。図9(a)のグラフの横軸は時間を示す。図9(a)の縦軸は、グラフ61aに対してはスライドの上下位置を示し、グラフ61cに対してはスライドの速度を示し、グラフ61dに対してはスライドの加速度を示す。なお、グラフ61cおよびグラフ61dは、グラフ61aから算出することができる。
【0074】
図9(b)は、図9(a)のモーションを実現するためのサーボモータ21のモーションを示す図である。第1演算部51dは、図9(a)に示されているスライドモーションから、プレス装置の機構の緒元情報に基づいて、サーボモータのモーションを演算する。図9(b)には、サーボモータ21の角度の時間に対する変化を示すグラフ61e(太実線)、サーボモータ21の角速度の時間に対する変化を示すグラフ61f(破線)およびサーボモータ21の角加速度(細実線)の時間に対する変化を示すグラフ61gが示されている。
【0075】
図8の仕事量演算に戻り、ステップS12において、第1演算部51dは、演算したサーボモータのモーションを実行する際のサーボモータのトルクを演算する。第1演算部51dは、サーボモータのモーション、装置パラメータ、金型パラメータおよび成型負荷条件に基づいて、サーボモータのトルクを演算する。装置パラメータは、伝達機構22に用いられるギヤおよびドラムの慣性モーメントを含む。金型パラメータは、上金型19aの質量や、バランサの圧力を含む。成型負荷条件は、成型荷重、ダイクッション荷重およびダイクッションストロークを含む。図10(a)は、サーボモータのトルクの時間変化のグラフ61hを示す図である。図10(a)の縦軸はトルクを示し、横軸は時間を示す。
【0076】
次に、ステップS13において、第1演算部51dは、サーボモータの仕事量を演算する。サーボモータの仕事量は、トルクと各速度の積によって求めることができる。図10(b)は、サーボモータの仕事量の時間変化のグラフ61iを示す図である。図10(b)の縦軸は仕事量を示し、横軸は時間を示す。サーボモータでは、回生運転と力行運転が行われており、図10(a)および図10(b)では、力行運転時のトルクが正の値となり、回生運転時のトルクが負の値となる。なお、後述する図11に示す各装置の消費電力を表示するために各装置の仕事力から消費電力を演算する際、本実施形態では力行運転における消費電力のみが演算されており、回生運転時における仕事量は0であるものとみなして考慮しない。蓄電装置を備える場合には、回生運転時の蓄電も考慮してもよい。
【0077】
本実施形態のプレス装置1Pには、例えば4つのサーボモータ21が設けられているため、4つのサーボモータ21についてステップS11~S13が行われ、全てのサーボモータの仕事量を合計することによって、プレス装置1Pの仕事量を演算することができる。プレス装置1Pと同様に、プレス装置2P~5Pの仕事量も演算される。
【0078】
また、フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々についても仕事量が演算される。フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々には、第1モータ46、第2モータ47および第1駆動装置31を搬送方向Xに移動するサーボモータ(図示せず)、ならびに第1モータ46´、第2モータ47´および第2駆動装置32を搬送方向Xに移動するサーボモータ(図示せず)が設けられている。このため、これらサーボモータの各々について仕事量を演算し、全てのサーボモータの仕事量を合計することによって、フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々における仕事量を演算することができる。なお、上述したようにクロスバー33を上下動させる第1モータ46と第2モータ47の仕事量は、第1駆動装置31を搬送方向Xに移動するサーボモータと、第2駆動装置32を搬送方向Xに移動するサーボモータの仕事量に比べて小さいためここでは無視している。
【0079】
上述したように、図7(a)には、フィーダ装置LDの仕事量の時間変化のグラフ61bが示されている。図7(b)には、プレス装置1Pの仕事量の時間変化のグラフ62bが示されている。図7(c)には、フィーダ装置1Fの仕事量の時間変化のグラフ63bが示されている。図7(d)には、プレス装置2Pの仕事量の時間変化のグラフ64bが示されている。図7(e)には、フィーダ装置2Fの仕事量の時間変化のグラフ65bが示されている。
【0080】
以上のように、ステップS2において、プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各装置における仕事量が演算される。
【0081】
図6のシミュレーション方法に戻り、ステップS3において、第2演算部51eは、プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々の仕事量を合計することによって、プレスライン1の仕事量を演算する。図7(f)は、プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々の装置の仕事量(グラフ61b~65b)を合計した仕事量の時間変化のグラフ66bを示す図である。図7(f)には、グラフ61a~65aも示されている。
【0082】
プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULは、同一の工場電源に接続されているため、いずれかの装置で回生している電力は、同時刻に力行している他の機器に充てることができる。例えば、各装置の仕事量のグラフ(例えば、図7(a)~図7(e)に示す仕事量のグラフ61b~65b)を足し合わせることにより、いずれかの装置で発生している回生の仕事量で他の装置の力行の仕事量を相殺して合計の仕事量を算出することができる。
【0083】
ステップS4において、第2演算部51eは、プレスライン1の1周期分の仕事量を演算することによって製品(ワークW)の1枚当たりの消費電力を演算する。具体的には、第2演算部51eは、合計した仕事量から1周期の時間ΔTの区間における仕事量を算出し、消費電力を求める。図7(f)では、時刻t4~t41の区間が示されているが、この時刻に限らず時間ΔTとなる任意の区間であればプレスライン1の1周期分の仕事量は同じである。なお、足し合わせた仕事量(グラフ66)では、力行運転のトルクが正の値となり、回生運転時のトルクが負の値となる。本実施形態では、足し合わせた仕事量から消費電力を演算する際、力行運転における消費電力のみが演算されており、回生運転時における仕事量は0であるものとみなして考慮しない。蓄電装置を備える場合には、回生運転時の蓄電も考慮してもよい。また、図6に示すシミュレーション方法において、ステップS2、S3およびS4は、消費電力情報演算ステップの一例に対応する。ステップS3およびS4は、第2演算ステップの一例に対応する。
【0084】
次に、ステップS5(表示ステップの一例)において、表示制御部51cが、表示部53に製品(ワークW)1枚当たりの消費電力量を表示させる。
【0085】
図11は、表示部53に表示される表示画面70の一例を示す図である。表示画面70には、表示部分70aに、製品1枚当たりのプレスライン1全体での消費電力(プレスラインの表示電力の一例)が表示されている。図11では、表示部分70aには、例えば1100W/shotと示されている。
【0086】
図11では、フィーダ装置LDの1周期当たりの消費電力が表示部分70bに示されている。フィーダ装置1Fの1周期当たりの消費電力が表示部分70cに示されている。フィーダ装置2Fの1周期当たりの消費電力が表示部分70dにおいて示されている。フィーダ装置3Fの1周期当たりの消費電力が表示部分70eに示されている。フィーダ装置4Fの1周期当たりの消費電力が表示部分70fに示されている。フィーダ装置ULの1周期当たりの消費電力が表示部分70gに示されている。なお、1周期当たりの消費電力も製品1枚当たりの消費電力もどちらもW/shotで表わされる。
【0087】
また、図11において、プレス装置1Pの1周期当たりの消費電力が表示部分70hに示されている。プレス装置2Pの1周期当たりの消費電力が表示部分70iに示されている。プレス装置3Pの1周期当たりの消費電力が表示部分70jに示されている。プレス装置4Pの1周期当たりの消費電力が表示部分70kに示されている。プレス装置5Pの1周期当たりの消費電力が表示部分70lに示されている。
【0088】
なお、本実施形態ではプレス装置2の間において位相差があるため、各装置の消費電力(70b~70l)を単純に足した値よりも製品1枚当たりのプレスライン1の消費電力(70a)は低くなっている。プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々の装置では、仕事量から消費電力を求める際に、回生による電力をゼロとして消費電力を算出している。一方、プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULは、同一の工場電源に接続されているため、いずれかの装置で回生している電力を同時刻に力行している他の装置に充てることができる。このように、プレスライン1では、いずれかの装置で発生している回生電力で他の装置の力行を相殺して消費電力量を算出しているため、各装置の消費電力を単純に足した値よりも製品1枚当たりのプレスライン1の消費電力は低くなる。
【0089】
なお、仮にプレス装置1P~5Pの間に位相差が設けられていない場合、フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの回生電力がプレス装置に充てられることも考えられるが、フィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの消費電力はプレス装置1P~5Pに対して小さいため、プレス装置1P~5Pに位相差を設けた方が、消費電力を下げることができる。
【0090】
以上のように、本実施形態のシミュレーション装置は、生成したプレスラインモーションにおけるプレスラインの消費電力を表示できるため、作業者は消費電力を確認しながら、プレスラインモーションを再度生成することや、調整することが可能となる。
【0091】
(特徴等)
本実施形態のシミュレーションプログラムは、ワークWをプレス加工するプレス装置1P~5Pを備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーションプログラムであって、ステップS1と、ステップS2~S4と、をコンピュータに実行させる。ステップS1では、プレスライン1のモーションを生成する。ステップS2~S4では、プレスライン1のモーションに基づいてプレスライン1の消費電力に関する情報を演算する。
【0092】
このため、消費電力を抑えたプレスラインのモーションを生成することができる。
【0093】
本実施形態のシミュレーションプログラムでは、演算されたプレスラインの消費電力に関する情報を表示するステップS5(表示ステップの一例)を更に備える。
【0094】
これにより、作業者は表示された消費電力に関する情報を確認しながら、プレスライン1のモーションを生成することができ、消費電力を低減したプレスラインのモーションを生成することができる。なお、消費電力に関する情報は、消費電力、電気代、最大運転速度に対する消費電力の削減量、および最大運転速度に対する電気代の削減量を含む。
【0095】
本実施形態のシミュレーションプログラムにおいて、ステップS2では、プレスライン1のモーションにおけるプレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々の仕事量を演算する。ステップS3およびS4では、演算された各々の仕事量に基づいてプレスライン1の消費電力を演算する。
【0096】
このように、プレス装置1P~5Pおよびフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULの各々の仕事量を演算することによって、プレスライン1の消費電力に関する情報を演算することができる。
【0097】
本実施形態のシミュレーションプログラムにおいて、ステップS2では、プレスライン1のモーションにおけるプレス装置1P~5Pの各々の仕事量を演算する。ステップS3およびS4では、演算された各々の仕事量に基づいてプレスライン1の消費電力を演算する。
【0098】
このように、プレス装置1P~5Pの各々の仕事量を演算することによって、プレスライン1の消費電力に関する情報を演算することができる。なお、プレス装置の方が搬送装置によりも消費電力量が大きいため、プレス装置だけの消費電力を演算することで、プレスライン1の概略の消費電力を求めることができる。
【0099】
本実施形態のシミュレーションプログラムでは、ステップS3およびS4において、演算された各々の装置の仕事量を合算して、プレスライン1の仕事量が演算され、1つのワークW当たりの消費電力に関する情報が演算される。
【0100】
これにより、作業者は、1つのワークWを製造する際の消費電力を確認することができる。なお、電力の単価がわかる場合には、消費電力に代えて、あるいは消費電力に加えて、1つのワークW当たりの生産コストを表示させても良い。生産コストは、消費電力に関する情報の一例に対応する。
【0101】
本実施形態のシミュレーションプログラムでは、ステップS2において、プレスライン1のモーションにおけるプレス装置1P~5Pのスライド14のモーションからサーボモータ21の仕事量を演算して、プレス装置1P~5Pの仕事量が演算され、プレスライン1のモーションにおけるフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULのモーションから、第1モータ46、第2モータ47および第1駆動装置31を搬送方向Xに移動するサーボモータ(図示せず)、ならびに第1モータ46´、第2モータ47´および第2駆動装置32を搬送方向Xに移動するサーボモータ(図示せず)の仕事量を演算して、プレスライン1の仕事量が演算される。
【0102】
これにより、プレス装置およびフィーダ装置の仕事量を演算することができる。
【0103】
本実施形態のシミュレーションプログラムでは、プレス装置1P~5Pは、スライド14を上下動するサーボモータ21を有する。ステップS2において、プレスライン1のモーションにおけるプレス装置1P~5Pのスライド14のモーションからサーボモータ21の仕事量を演算して、プレス装置1P~5Pの仕事量が演算される。
【0104】
これにより、プレス装置の仕事量を演算することができる。
【0105】
本実施形態のシミュレーションプログラムでは、プレスライン1において、プレス装置1Pのスライド14のモーションとプレス装置2Pのスライドのモーションの間には、所定時刻におけるスライドの位置が異なる位相差が設けられている。
【0106】
これにより、複数のプレス装置1P~5Pのうち少なくとも2つのプレス装置の間において位相差を設けて昇降駆動するプレスラインにおいて、プレスラインの消費電力を演算することができる。
【0107】
本実施形態のシミュレーションプログラムでは、プレス装置1P~5Pは、同一の工場電源に接続されている。
【0108】
これにより、同一の工場電源から供給される消費電力を確認することができる。また、プレス装置1P~5Pのうちいずれかの装置で回生している電力を同時刻に力行している他の装置に充てることができる。このため、プレス装置1P~5Pを含むプレスライン1における消費電力を抑えることができる。
【0109】
本実施形態の記録媒体は、シミュレーションプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータによる処理可能である。
【0110】
本実施形態のシミュレーション方法は、ワークWをプレス加工するプレス装置1P~5Pを備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーション方法であって、ステップS1(モーション生成ステップの一例)と、ステップS2~S4(消費電力情報演算ステップの一例)と、を備える。ステップS1では、プレスライン1のモーションを生成する。ステップS2~S4では、プレスライン1のモーションに基づいてプレスライン1の消費電力に関する情報を演算する。
【0111】
このため、消費電力を抑えたプレスラインのモーションを生成することができる。
【0112】
本実施形態のシミュレーション装置5は、ワークWをプレス加工するプレス装置1P~5Pを備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーション装置であって、モーション生成部51aと、消費電力演算部51bと、を備える。モーション生成部51aは、プレスライン1のモーションを生成する。消費電力演算部51bは、プレスライン1のモーションに基づいてプレスライン1の消費電力に関する情報を演算する。
【0113】
このため、消費電力を抑えたプレスラインのモーションを生成することができる。
【0114】
<4.他の実施の形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0115】
(A)
上記実施形態では、プレスライン制御装置4とシミュレーション装置5は、有線または無線によって繋がっているが、繋がっていなくてもよい。例えば、シミュレーション装置5で生成されたプレスラインモーションプログラムをSDカード等の記録媒体に記録させ、プレスライン制御装置4が記録媒体を読み込むことによって、プレスラインモーションプログラムを取得してもよい。
【0116】
(B)
上記実施形態では、表示部53の表示部分70aにプレスライン1の消費電力を表示しているが、消費電力そのものに限らなくてもよく、消費電力に関する情報を表示すればよい。消費電力に関する情報としては、CO排出量、電力代、生産コスト、最大運転速度における消費電力からの削減量、最大運転速度におけるCO排出量からの削減量、最大運転速度における電力代からの削減量、または最大運転速度における生産コストからの削減量を挙げることができる。
【0117】
(C)
上記実施形態のプレスライン1は、6台のフィーダ装置LD、1F、2F、3F、4F、ULと、5台のプレス装置1P~5Pと、を備えているが、これに限らなくてもよい。
【0118】
(D)
上記実施形態では、シミュレーション装置5は、プレスライン1とは別に配置されているが、プレスライン1に組み込まれていてもよい。
【0119】
(E)
上記実施形態では、1製品当たりの消費電力を表示させているが、表示させずに、音声等で作業者に伝えてもよい。
【0120】
(G)
上記実施形態では、複数のプレス装置2において位相差が設けられているが、位相差が設けられていなくてもよい。
【0121】
(H)
また、本開示の記録媒体は、上述した本開示のシミュレーション方法の全部または一部のステップの動作をコンピュータにより実行されるプログラムを記録した記録媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協働して前記動作を実行する記録媒体である。本発明のプログラムの一つの利用形態は、コンピュータによって読み取り可能なROM等の記憶媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であってもよい。また、本発明のプログラムの一つの利用形態は、インターネット等の伝送媒体、光・電波等の伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読み取られ、コンピュータと協働して動作する態様であってもよい。また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。さらに、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本開示のシミュレーションプログラムは、消費エネルギーの指標となる情報を確認することが可能なシミュレーションプログラム、記録媒体、シミュレーション方法、およびシミュレーション装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0123】
1 :プレスライン
2 :プレス装置
1P~5P :プレス装置
3 :フィーダ装置
LD、1F、2F、3F、4F、UL :フィーダ装置
4 :プレスライン制御装置
5 :シミュレーション装置
51 :シミュレーション部
51a :モーション生成部
51b :消費電力演算部
51c :表示制御部
51d :第1演算部
51e :第2演算部
52 :入力部
53 :表示部
54 :通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する第1プレス装置を備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーションプログラムであって、
前記プレスラインのモーションを生成するモーション生成ステップと、
前記プレスラインのモーションに基づいて前記プレスラインの消費電力に関する情報を演算する消費電力情報演算ステップと、をコンピュータに実行させる、
シミュレーションプログラム。
【請求項2】
演算された前記プレスラインの消費電力に関する情報を表示する表示ステップを更にコンピュータに実行させる、請求項1に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項3】
前記プレスラインは、前記ワークを前記第1プレス装置に搬入または搬出する第1搬送装置を更に備え
前記消費電力情報演算ステップは、
前記プレスラインのモーションにおける前記第1プレス装置および前記第1搬送装置の各々の仕事量を演算する第1演算ステップと、
演算された各々の仕事量に基づいて前記プレスラインの消費電力に関する情報を演算する第2演算ステップと、を有する、
請求項1に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項4】
前記プレスラインは、前記ワークをプレス加工する第2プレス装置を更に備え、
前記消費電力情報演算ステップは、
前記プレスラインのモーションにおける前記第1プレス装置および前記第2プレス装置の各々の仕事量を演算する第1演算ステップと、
演算された各々の仕事量に基づいて前記プレスラインの消費電力に関する情報を演算する第2演算ステップと、を有する、
請求項1に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項5】
前記第2演算ステップにおいて、前記各々の仕事量を合算して、前記プレスラインの仕事量が演算され、1つの前記ワーク当たりの消費電力に関する情報が演算される、
請求項3または4に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項6】
前記第1プレス装置は、スライドを上下動するサーボモータを有し、
前記第1搬送装置は、駆動源としてのサーボモータを有し、
前記第1演算ステップにおいて、前記プレスラインのモーションにおける前記第1プレス装置のスライドのモーションから前記サーボモータの仕事量を演算して、前記第1プレス装置の仕事量が演算され、前記プレスラインのモーションにおける前記第1搬送装置のモーションから前記サーボモータの仕事量を演算して、前記第1搬送装置の仕事量が演算される、
請求項3に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項7】
前記第1プレス装置および前記第2プレス装置の各々は、スライドを上下動するサーボモータを有し、
前記第1演算ステップにおいて、前記プレスラインのモーションにおける前記第1プレス装置のスライドのモーションから前記サーボモータの仕事量を演算して、前記第1プレス装置の仕事量が演算され、前記プレスラインのモーションにおける前記第2プレス装置のスライドのモーションから前記サーボモータの仕事量を演算して、前記第2プレス装置の仕事量が演算される、
請求項4に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項8】
前記プレスラインのモーションにおける前記第1プレス装置のスライドのモーションと前記第2プレス装置のスライドのモーションの間には、所定時刻におけるスライドの位置が異なる位相差が設けられている、
請求項4に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項9】
前記第1プレス装置および前記第2プレス装置は、同一の工場電源に接続されている、
請求項4に記載のシミュレーションプログラム。
【請求項10】
請求項1に記載のシミュレーションプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータにより処理可能な記録媒体。
【請求項11】
ワークを加工する第1プレス装置を備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーション方法であって、
前記プレスラインのモーションを生成するモーション生成ステップと、
前記プレスラインのモーションに基づいて前記プレスラインの消費電力に関する情報を演算する消費電力情報演算ステップと、を備えた
シミュレーション方法。
【請求項12】
ワークを加工する第1プレス装置を備えたプレスラインのモーションをシミュレーションするシミュレーション装置であって、
前記プレスラインのモーションを生成するモーション生成部と、
前記プレスラインのモーションに基づいて前記プレスラインの消費電力に関する情報を演算する消費電力情報演算部と、を備えた
シミュレーション装置。