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▶ シンフォニアテクノロジー株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002098
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ロードポート、および、開閉方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231228BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101087
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】三浦 辰弥
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 真平
(72)【発明者】
【氏名】石原 裕揮
(72)【発明者】
【氏名】小川 建
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳志
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐貴
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA70
5F131DD43
5F131DD59
5F131DD86
5F131GA14
5F131GA33
5F131GA53
5F131GA83
5F131GA92
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F131JA04
5F131JA24
(57)【要約】
【課題】変形の原因となる無理な力がドア部にかかることを回避できる技術の提供。
【解決手段】搬送部8に接続されるロードポート1であって、搬送部8の壁部の一部を構成する板状のベース部10と、格納容器9が載置される載置部20と、載置部20をベース部10に対して近接離間する方向に移動させる載置部駆動機構30と、ベース部10に設けられた開口部13を開閉可能なドア部40と、ドア部40を開放位置と閉鎖位置との間で移動させるドア部駆動機構50と、ドア部40を開口部13に向けて押し付けて、ドア部40に保持されている蓋92を容器本体91に取り付ける際に、載置部20に突き当たって、ベース部10から離れる方向への載置部20の移動を規制する移動規制部60と、を備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送部に接続されるロードポートであって、
前記搬送部の壁部の一部を構成する板状のベース部と、
格納容器が載置される載置部と、
前記載置部を前記ベース部に対して近接離間する方向に移動させる載置部駆動機構と、
前記ベース部における前記載置部に載置された前記格納容器の蓋と対向する位置に設けられた開口部を開閉可能であるとともに、前記開口部を塞いでいる状態において前記開口部と対向配置されている蓋を保持可能な、ドア部と、
前記ドア部を、前記ドア部が前記開口部を開放する開放位置と、前記ドア部が前記開口部を塞ぐ閉鎖位置との間で移動させる、ドア部駆動機構と、
前記ドア部を前記開口部に向けて押し付けて、前記ドア部に保持されている前記蓋を容器本体に取り付ける際に、前記載置部に突き当たって、前記ベース部から離れる方向への前記載置部の移動を規制する移動規制部と、
を備えることを特徴とする、ロードポート。
【請求項2】
請求項1に記載のロードポートであって、
前記移動規制部が、平面視にて、前記載置部の移動方向と直交する方向について前記載置部の中央の位置において、前記載置部に突き当たる、
ことを特徴とする、ロードポート。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロードポートであって、
前記移動規制部が、前記載置部に突き当たって前記載置部の移動を規制する規制状態と、前記載置部の移動を規制しない解除状態との間で切り替えられる、
ことを特徴とする、ロードポート。
【請求項4】
請求項3に記載のロードポートであって、
前記移動規制部が、
前記載置部の移動方向と交差する方向に沿って延在する回動軸の周りで回動自在に設けられた回動部と、
前記回動部を回動させることによって、前記規制状態と前記解除状態とを切り替える、切り替え部と、
を備えることを特徴とする、ロードポート。
【請求項5】
請求項1または2に記載のロードポートであって、
前記ドア部を前記開口部に向けて押し付けて、前記ドア部に保持されている前記蓋を前記容器本体に取り付ける際に、前記載置部駆動機構が前記載置部を前記ベース部に向けて押し付ける力が、前記ドア部駆動機構が前記ドア部を前記開口部に向けて押し付ける力よりも、小さい、
ことを特徴とする、ロードポート。
【請求項6】
基板を格納する格納容器の開閉方法であって、
前記格納容器が載置された載置部をベース部に近づく方向に移動させて、前記ベース部における前記載置部に載置された前記格納容器の蓋と対向する位置に設けられた開口部と前記蓋とを近づける、載置部移動工程と、
前記開口部を塞いでいるドア部に、前記開口部と対向配置されている前記蓋を保持させる蓋保持工程と、
前記ドア部を、これが保持する前記蓋とともに、前記ドア部が前記開口部を塞ぐ閉鎖位置から、前記ドア部が前記開口部を開放する開放位置に移動させる開放工程と、
前記ドア部を、これが保持する前記蓋とともに、前記開放位置から前記閉鎖位置に移動させる閉鎖工程と、
前記閉鎖工程において、前記ドア部を前記開口部に向けて押し付けて、前記ドア部に保持されている前記蓋を容器本体に取り付ける際に、移動規制部が前記載置部に突き当たって、前記ベース部から離れる方向への前記載置部の移動を規制する、移動規制工程と、
を備えることを特徴とする、開閉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送する搬送部に接続され、該搬送部と基板を格納する格納容器との間で基板の出し入れを行うためのロードポート、および、基板を格納する格納容器の開閉方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程等では、高度の清浄環境(クリーン環境)が必要とされる。近年、半導体の製造工場等において清浄環境を形成するにあたって、ダウンフロー方式に代わって、ミニエンバイロメント方式が採用されることが多くなってきている。ミニエンバイロメント方式は、被処理物である基板の周囲だけに局所的な清浄環境を形成する方式であり、工場全体を清浄環境とするダウンフロー方式に比べて、低コストで高度の清浄環境を形成することができる。
【0003】
ミニエンバイロメント方式においては、基板は、外部の雰囲気よりも高い清浄度に保たれた格納容器に格納されて、搬送・保管等されるところ、この格納容器と基板に対して各種の処理を行う処理装置との間で基板の受け渡しを行うために、EFEM(Equipment Front End Module)と呼ばれるモジュールが利用される。EFEMは、搬送チャンバーおよびその内部に設置された搬送ロボットなどを含んで構成される搬送部と、これと接続されたロードポートと、を備える。ロードポートは、基板を格納する格納容器と搬送部との間での基板の出し入れを行うためのインターフェースであり、格納容器に格納された基板は、ロードポートを介することにより、外部の雰囲気に晒されることなく、格納容器と搬送部(ひいては、処理装置)との間で授受される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-178133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の一般的なロードポートについて、図18を参照しながら説明する。図18は、従来の一般的なロードポート900の構成例を模式的に示す図である。
【0006】
ロードポート900は、これと接続される搬送部800の壁部の一部を構成する板状のベース部901を備える。ベース部901の一方側には載置部902が設けられ、その上面に、基板(一例として例えば、ウエハ90)を格納した格納容器9が載置される。載置部902には、図示しないロック爪などが設けられており、格納容器9が載置部902に対して位置ずれを起こさないように固定される。また、載置部902には、これをベース部901に対して近接離間する方向に移動させる駆動機構(載置部駆動機構)903が接続される。一方、ベース部901の面内には開口部901aが形成されており、これを塞ぐようにドア部904が設けられる。ドア部904には、これを閉鎖位置(ドア部904が開口部901aを閉鎖する位置)と開放位置(ドア部904が開口部901aを開放する位置)との間で移動させる駆動機構(ドア部駆動機構)905が接続される。
【0007】
このような構成を備えるロードポート900の動作の一例は次のとおりである。まず、ウエハ90を格納した格納容器9が、AMHS、PGV、などの外部搬送ロボットによって載置部902に載置されると、載置部902が、ベース部901に近づく方向に移動されて、載置部902に載置された格納容器9とベース部901とが例えば当接される。この状態において、格納容器9の蓋92が開口部901aを塞ぐドア部904と十分に近づいており、続いて、ドア部904が蓋92と連結される。そして、ドア部904が、蓋92とともに、閉鎖位置から開放位置に移動される。これによって、格納容器9の容器本体91の内部が、開口部901aを介して、搬送部800の内部と連通した状態となる。その後、容器本体91に格納されているウエハ90(例えば未処理のウエハ90)が、搬送部800の搬送ロボットによって取り出されて、処理装置などへと搬入されていく。また、搬送ロボットは、ウエハ90(例えば処理装置で処理された処理済みのウエハ)を、容器本体91に格納していく。所定枚数のウエハ90が容器本体91に格納されると、ドア部904が、蓋92とともに、開放位置から閉鎖位置に移動される。その際に、ドア部904が、開口部901aに向けて(すなわち、載置部902に載置されている容器本体91に向けて)押し付けられることによって、ドア部904に保持されている蓋92が容器本体91に取り付けられる。蓋92が容器本体91に取り付けられると、ドア部904と蓋92との連結が解除される。その後、載置部902が、ベース部901から離れる方向に移動され、外部搬送ロボットが、載置部902に載置されている格納容器9を運び去る。
【0008】
一般的な格納容器9では、蓋92の内向き面に、容器本体91に収容されているウエハ90が位置ずれを起こさないように保持するウエハ押さえとしてのリテーナが設けられており、蓋92が容器本体91に取り付けられる際に、リテーナが弾性変形して、ウエハ90を押さえ付けるようになっている。したがって、蓋92を容器本体91に取り付けるにあたっては、少なくともリテーナの反力を上回る大きな力で、蓋92を容器本体91に押し付けなければならない。つまり、蓋92を保持しているドア部904を、少なくともリテーナの反力を上回る大きな力(ドア閉力)で、載置部902に載置されている容器本体91に向けて押し付けなければならない。
【0009】
特に、近年、格納容器9内へのパーティクルの混入を抑制するために、リテーナの反力が大きくされる傾向がある。また、工場間搬送で使用されることが多い格納容器9の一種であるFOSB(Front Opening Shipping Box)は、工場内での基板(例えばウエハ90)の格納容器9として用いられるFOUP(Front Opening Unified Pod)などに比べてリテーナの反力が大きいところ、このFOSBをロードポート900で開閉する需要も拡大している。これらの状況に対応するために、ドア閉力は増大される傾向がある。
【0010】
一方、ドア部904を押し付けて蓋92を容器本体91に取り付ける際には、容器本体91が押されることによってこれが固定的に載置されている載置部902が動いてしまわないように(逃げないように)、載置部902を、例えば載置部駆動機構903が備える駆動源としてのエアシリンダによって、ベース部901に向けて押し付けておく必要がある。つまり、載置部902を、ドア閉力に負けない力でベース部901に向けて押し付けておく必要がある。
【0011】
ところが、載置部902をベース部901に向けて押し付ける力(ドック力)が大きくなると、ドア部904が、載置部902に載置されている格納容器9によって大きな力で押し返されることとなり、ドア部904に変形が生じるおそれがある。例えば、ドア部904が片持状態で支持される構造の場合、格納容器9によって押されたドア部904が、支持端側から非支持端側に向けて開口部901aから離れる方向に撓む可能性がある。ドア部904にこのような変形(撓み)が生じると、例えばドア部904に保持されている蓋92が容器本体91に取り付けられずに外れてしまうおそれもある。
【0012】
ドア閉力の増大が求められる近年の状況においては、ドック力も増大せざるを得ず、ドア部904の変形が生じる可能性がますます高まってしまう。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、変形の原因となる無理な力がドア部にかかることを回避できる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0015】
すなわち、本発明は、搬送部に接続されるロードポートであって、前記搬送部の壁部の一部を構成する板状のベース部と、格納容器が載置される載置部と、前記載置部を前記ベース部に対して近接離間する方向に移動させる載置部駆動機構と、前記ベース部における前記載置部に載置された前記格納容器の蓋と対向する位置に設けられた開口部を開閉可能であるとともに、前記開口部を塞いでいる状態において前記開口部と対向配置されている蓋を保持可能な、ドア部と、前記ドア部を、前記ドア部が前記開口部を開放する開放位置と、前記ドア部が前記開口部を塞ぐ閉鎖位置との間で移動させる、ドア部駆動機構と、前記ドア部を前記開口部に向けて押し付けて、前記ドア部に保持されている前記蓋を容器本体に取り付ける際に、前記載置部に突き当たって、前記ベース部から離れる方向への前記載置部の移動を規制する移動規制部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、例えば、ドア部に保持されている蓋を容器本体に取り付ける際に、ドア部を開口部に向けて押し付ける力(ドア閉力)に対して、載置部をベース部に向けて押し付ける力(ドック力)が小さいために、載置部がベース部から離れる方向に動こうとしても、移動規制部が載置部に突き当たることで載置部の移動が規制されるので、載置部に載置されている容器本体に蓋を取り付けることができる。つまり、ドック力をドア閉力とつり合うような大きな力としなくとも、蓋を容器本体に取り付けることができる。したがって、ドック力を小さくすることが可能となり、変形の原因となる無理な力がドア部にかかることを回避できる。
【0017】
好ましくは、前記ロードポートであって、前記移動規制部が、平面視にて、前記載置部の移動方向と直交する方向について前記載置部の中央の位置において、前記載置部に突き当たる、ことを特徴とする。
【0018】
この構成によると、ベース部から離れる方向への載置部の移動を安定して規制することができる。
【0019】
好ましくは、前記ロードポートであって、前記移動規制部が、前記載置部に突き当たって前記載置部の移動を規制する規制状態と、前記載置部の移動を規制しない解除状態との間で切り替えられる、ことを特徴とする。
【0020】
この構成によると、載置部の移動の規制およびその解除を、簡易かつ確実に行うことができる。
【0021】
好ましくは、前記ロードポートであって、前記移動規制部が、前記載置部の移動方向と交差する方向に沿って延在する回動軸の周りで回動自在に設けられた回動部と、前記回動部を回動させることによって、前記規制状態と前記解除状態とを切り替える、切り替え部と、を備えることを特徴とする。
【0022】
この構成によると、載置部の移動の規制およびその解除を、簡易な構成で実現することができる。
【0023】
好ましくは、前記ロードポートであって、前記ドア部を前記開口部に向けて押し付けて、前記ドア部に保持されている前記蓋を前記容器本体に取り付ける際に、前記載置部駆動機構が前記載置部を前記ベース部に向けて押し付ける力が、前記ドア部駆動機構が前記ドア部を前記開口部に向けて押し付ける力よりも、小さい、ことを特徴とする。
【0024】
この構成によると、変形の原因となる無理な力がドア部にかかることを十分に回避できる。
【0025】
また、別の態様において、本発明は、基板を格納する格納容器の開閉方法であって、前記格納容器が載置された載置部をベース部に近づく方向に移動させて、前記ベース部における前記載置部に載置された前記格納容器の蓋と対向する位置に設けられた開口部と前記蓋とを近づける、載置部移動工程と、前記開口部を塞いでいるドア部に、前記開口部と対向配置されている前記蓋を保持させる蓋保持工程と、前記ドア部を、これが保持する前記蓋とともに、前記ドア部が前記開口部を塞ぐ閉鎖位置から、前記ドア部が前記開口部を開放する開放位置に移動させる開放工程と、前記ドア部を、これが保持する前記蓋とともに、前記開放位置から前記閉鎖位置に移動させる閉鎖工程と、前記閉鎖工程において、前記ドア部を前記開口部に向けて押し付けて、前記ドア部に保持されている前記蓋を容器本体に取り付ける際に、移動規制部が前記載置部に突き当たって、前記ベース部から離れる方向への前記載置部の移動を規制する、移動規制工程と、を備えることを特徴とする。
【0026】
この構成によると、ドア部に保持されている蓋を容器本体に取り付ける際に、移動規制部が載置部に突き当たることで載置部の移動が規制される。したがって、ドック力を小さくすることが可能となり、変形の原因となる無理な力がドア部にかかることを回避できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、変形の原因となる無理な力がドア部にかかることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施形態に係るロードポートを備えるEFFMの斜視図。
図2】EFFMの概略構成を示す側面図。
図3】ロードポートを前方の斜め上から見た図。
図4】ロードポートを前方から見た図。
図5】ロードポートを後方から見た図。
図6】ロードポートを側方から見た図。
図7】移動規制部の動作概要を説明するための図。
図8】移動規制部の構成を示す側面図。
図9】ロードポートの動作の流れを示す図。
図10】動作状態におけるロードポートを側方から見た図。
図11】動作状態におけるロードポートを側方から見た図。
図12】動作状態におけるロードポートを側方から見た図。
図13】動作状態におけるロードポートを側方から見た図。
図14】動作状態におけるロードポートを側方から見た図。
図15】ウインドウユニットの構成を示す斜視図。
図16】ウインドウユニットに設けられるシール部材を説明するための側面図。
図17】ロックユニットを説明するための模式図。
図18】従来例に係るEFEMを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
<1.EFFMの概略構成>
実施形態に係るロードポートの構成の説明に先立って、ロードポートを備えるEFFM(Equipment Front End Module)の概略構成を、図1図2を参照しながら説明する。図1は、EFFM100の斜視図である。図2は、EFFM100の概略構成を示す側面図である。
【0031】
EFFM100は、半導体の製造工程などにおいて用いられる。EFFM100は、ロードポート1と搬送部8とを併せたモジュールであり、例えば、一列に配列された複数(図の例では3個)のロードポート1が、搬送部8の一方の端部に接続された構成を備える。EFEM100は、搬送部8におけるロードポート1が設けられている側の端部と逆の端部において、基板(ここでは例えばウエハ90)に対する各種の処理を行う処理装置Mなどに接続され、処理装置Mと格納容器9との間でのウエハ90の受け渡しを行う。以下においては、搬送部8に対してロードポート1が設けられる側を「前方」とし、処理装置Mが設けられる側を「後方」とする。また、前後方向と直交する水平方向(すなわち、複数のロードポート1の配列方向)を「左右方向」とする。
【0032】
格納容器9としては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)が用いられる。格納容器9は、具体的には例えば、図2(および図6)に示されるように、一つの側面が開口した容器本体91と、容器本体91の開口を塞ぐ蓋92と、を備える。容器本体91には、外方に突出する顎部911が開口を取り囲んで設けられており、顎部911の内側に蓋92が取り付けられる。蓋92が取り付けられた状態において、蓋92の周囲に顎部911が当接して、容器本体91の内部が密閉される。一方、容器本体91の内部には、ここに収容される基板(ここでは例えばウエハ90)の周縁を支持する棚あるいは溝(図示省略)が多段に設けられており、複数のウエハ90を水平姿勢で多段に収容できるように構成されている。また、蓋92の内向き面には、容器本体91に収容されているウエハ90が位置ずれを起こさないように保持するウエハ押さえとしてのリテーナ921が設けられており、蓋92が容器本体91に押し付けられたときに、リテーナ921が弾性変形して、ウエハ90を押さえ付けるようになっている。また、蓋92には、これを容器本体91に固定するためのラッチ(図示省略)が設けられている。
【0033】
ロードポート1は、ウエハ90を格納する格納容器9の内部を、外部の雰囲気に晒すことなく、搬送部8の内部と連通させるための装置である。ロードポート1は、具体的には、格納容器9の蓋92を容器本体91から取り外して、容器本体91の内部を、搬送部8の内部空間である搬送空間Vと連通させる。容器本体91の内部が搬送空間Vと連通した状態となると、搬送空間Vに配置されている搬送ロボット82が、容器本体91に格納されているウエハ90(例えば未処理のウエハ90)を、容器本体91から取り出して、処理装置Mに搬入する。また、搬送ロボット82は、例えば、処理装置Mにて所定の処理を施されたウエハ90を、処理装置Mから搬出して、容器本体91に格納する。所定枚数のウエハ90が容器本体91に格納されると、ロードポート1は、蓋92を容器本体91に取り付けて、格納容器9を再び密閉する。ロードポート1の具体的な構成については、後に説明する。
【0034】
搬送部8は、格納容器9に格納されるウエハ90の搬送を行うための装置であり、搬送チャンバー81と、その内部に配置された搬送ロボット82と、を備える。搬送チャンバー81の前側の壁部811には、1個以上(図の例では3個)の開口812が形成されており、各開口812を塞ぐように、ロードポート1が気密に取り付けられる。また、搬送チャンバー81の後側の壁部には、処理装置M(例えば、処理装置Mのロードロック室)が例えばゲートバルブを介して気密に接続される。これによって、搬送チャンバー81の内部空間(搬送空間)Vが、略密閉された空間となる。
【0035】
搬送空間Vは、外部(すなわち、処理装置Mが設置されるクリーンルーム)よりも高い清浄度に維持される。具体的には例えば、搬送チャンバー81には、ファンフィルタユニット(FFU:Fan Filter Unit)83が設置され、ファンフィルタユニット83によって清浄化されたガスが下方に送出されることで、搬送空間Vに清浄なガスのダウンフローが形成される。好ましくは、搬送空間Vには、ケミカルフィルタ84、循環ダクト85、などがさらに設置され、搬送空間Vの下部に到達したガス流が、ケミカルフィルタ84を通過してここで汚染物質などを除去された上で、循環ダクト85を通じてファンフィルタユニット83に戻されて、再び下方に送出される(すなわち、気流の循環が形成される)。
【0036】
また、搬送チャンバー81には、ガス供給口およびガス排出口(いずれも図示省略)が設けられており、ガス供給口を通じて所定のガス(例えば、窒素ガス、乾燥空気、乾燥窒素ガス、など)をパージできるとともに、ガス排出口を通じて搬送空間Vのガスを排出できるように構成されている。ガス供給口を通じたガスの供給量およびガス排出口を通じたガスの排出量などを制御することで、搬送空間Vの圧力、ガス濃度、などを任意の値に調整することができる。ここでは、ガスの供給量および排出量などが適宜に制御されることで、搬送空間Vが、外部(すなわち、処理装置Mが設置されるクリーンルーム)に対して、僅かに高い圧力(微陽圧)に維持される。これにより、搬送チャンバー81の内外を連通させる僅かな隙間が存在する場合であっても、該隙間を通じて外部から搬送空間Vに気体が流入することがないように担保される。
【0037】
<2.ロードポートの構成>
ロードポート1の構成について、図1図2に加え、図3図6を参照しながら具体的に説明する。図3は、ロードポート1を前方の斜め上から見た図である。図4は、ロードポート1を前方から見た図である。図5は、ロードポート1を後方から見た図である。図6は、ロードポート1を側方から見た図である。
【0038】
ロードポート1は、ベース部10、載置部20、載置部駆動機構30、ドア部40、ドア部駆動機構50、および、移動規制部60を備える。また、ロードポート1は、これら各部10~60を制御する制御部70を備える。
【0039】
(ベース部10)
ベース部10は、搬送部8の前側の壁部の一部を構成する板状の部材である(図1)。具体的には、ベース部10は、搬送チャンバー81の前側の壁部811に形成された開口812(図2)よりも一回り大きな平板状の部材(パネル部材)であり、起立姿勢とされて、開口812を塞ぐように壁部811に取り付けられて、壁部811とともに搬送部8の前側の壁部を構成する。ベース部10の後面には例えばガスケット101が配設されており、ベース部10は、ガスケット101を介して壁部811に対して気密に取り付けられる。
【0040】
ベース部10の前面には、略水平姿勢で前方に突出するベース基台11が設けられる。また、ベース基台11の下方にはカバー12(図2)が設けられる(説明の便宜上、図3図6ではカバー12が取り外された状態が示されている)。また、ベース部10の面内には、ウエハ90を通過させるための開口部13が設けられるとともに、開口部13を取り囲むように、窓枠状のウインドウユニット14が取り付けられる。別の言い方をすると、ウインドウユニット14の枠によって、開口部13の周縁が規定される。開口部13は、ベース基台11上に設けられる載置部20に載置された格納容器9の蓋92と対向する位置に、形成される。開口部13の大きさ(すなわち、ウインドウユニット14の枠内の大きさ)は、格納容器9の蓋92よりも僅かに大きいサイズとされており、蓋92が開口部13を通過できるように構成される。また、ベース部10の面内には、開口部13よりも下の位置に、後述する支持フレーム51を挿通させるためのスリット15が上下に延在して設けられる。さらに、ベース部10の前面には、キャスターなどを含んで構成される脚部16が前方に突出して設けられており、この脚部16が床面に当接してベース部10を支持する。
【0041】
(載置部20)
載置部20は、平板状の部材であり、水平姿勢とされて、ベース部10の前方に突出して設けられたベース基台11上に、配設される。載置部20には、格納容器9が載置される。すなわち、載置部20の上面は、格納容器9が載置される載置面201を形成する。格納容器9は、蓋92がベース部10と対向するような向きで、載置面201に載置される。
【0042】
載置面201には、格納容器9の底面に設けられた凹部と係合して格納容器9を所定の位置に案内して位置決めする位置決めピン(ガイドピン)21が設けられる。また、載置面201には、格納容器9の底面に設けられた被固定部(例えば、フロントリテイニングフィーチャ)に引っ掛かることで格納容器9を該所定の位置に固定するロック部22が設けられる。
【0043】
また、載置面201には、1以上のガスノズル23が設けられる。各ガスノズル23は、格納容器9の底面に設けられたガス供給弁を通じて格納容器9の内部に所定のガス(例えば、窒素ガス、不活性ガス、ドライエア、など)を供給するためガス供給ノズルとして用いられてもよいし、格納容器9の底面に設けられたガス排出弁などを通じて格納容器9の内部のガスを排出するガス排出ノズルとして用いられてもよい。例えば、載置面201の四隅にガスノズル23が設けられる場合、前方側の一対のガスノズル23をガス供給ノズルとして用いるとともに、後方側の一対のガスノズル23をガス排出ノズルとして用いてもよい。各ガスノズル23は、不使用の際は載置面201よりも下方に配置されており、使用の際に上方に移動されて格納容器9のガス供給弁あるいはガス排出弁と連結される。ガス供給ノズルとしてのガスノズル23からガス供給弁を通じて格納容器9内に所定のガス(例えば、窒素ガス、乾燥空気、乾燥窒素ガス、など)をパージするとともに、ガス排出ノズルとしてのガスノズル23からガス排出弁を通じて格納容器9内のガスを排出することで、格納容器9の内部を所定のガスに置換することができる。また、ガスの供給量およびガスの排出量を制御することで、格納容器9の内部の圧力などを任意の値に調整することができる。好ましくは、ガスの供給量および排出量が適宜に制御されることで、格納容器9の内部が、外部(例えば、処理装置Mが設置されるクリーンルーム、および、搬送部8の搬送空間V)に対して、僅かに高い圧力とされる。これにより、格納容器9の蓋92が開かれた際に、容器本体91の内部に気体が流入しにくくなる。
【0044】
(載置部駆動機構30)
載置部駆動機構30は、載置部20を、水平姿勢のままで、ベース部10に対して近接離間する方向(前後方向)に移動させることによって、載置部20を、離間位置B1(図6において実線で示される位置)とドック位置B2(図6において一点鎖線で示される位置)との間で移動させる。ここで、「離間位置B1」は、載置部20がベース部10から所定距離だけ離間するような位置であり、AMHS、PGV、などの外部ロボットが載置部20に対して格納容器9の授受を行うための位置である。一方、「ドック位置B2」は、離間位置B1よりもベース部10に近い位置であり、具体的には例えば、載置部20に載置された格納容器9の顎部911が、ベース部10(具体的にはウインドウユニット14)と当接するような位置である。
【0045】
載置部駆動機構30は、具体的には例えば、水平面内において前後に延在するような姿勢で設けられたロッド(シリンダロッド)31と、ロッド31をその延在方向に沿って進退させる駆動部としてのシリンダ(エアシリンダ)32と、ロッド31と載置部20とを接続する接続部33と、を含んで構成される。エアシリンダ32は、例えばソレノイド弁(ソレノイドバルブ)の開閉によって空気圧を制御して、空気圧でロッド31を進退させる。ロッド31およびエアシリンダ32はベース基台11内に配設される。一方、接続部33は、ベース基台11の上面に設けられた前後に延在するスリット111を挿通して設けられており、ベース基台11の下方に突出した下端においてロッド31と接続されるとともに、ベース基台11の上方に突出した上端において載置部20の下面に接続される。このような構成において、エアシリンダ32の駆動を受けて、ロッド31が前後に進退すると、接続部33を介してロッド31と接続された載置部20が、ベース基台11に設けられたリニアガイド(図示省略)に案内されて、水平面内において前後に移動する。
【0046】
(ドア部40)
ドア部40は、ベース部10に形成された開口部13を開閉するための部材であり、ベース部10の後面側(すなわち、ベース部10を挟んで載置部20と逆の側)に設けられる。ドア部40は、開口部13よりも一回り大きな平板状の部材により構成されており、後述する閉鎖位置D1(図6において実線で示される位置)に配置されることによって、開口部13の全体を塞ぐ。このとき、ドア部40の前面の外周部分が、ベース部10(具体的にはウインドウユニット14)の後面と当接(あるいは、シール部材などを介して密接)することで、搬送空間Vが密閉される。一方、ドア部40が、後述する開放位置D2(図6において一点鎖線で示される位置)に配置されると、開口部13の全体が開放される。
【0047】
ドア部40には、蓋保持機構41が設けられる。蓋保持機構41は、ドア部40が開口部13を塞いでいる状態において、開口部13と対向配置されている蓋92とドア部40とを連結して一体化させることによって、ドア部40に蓋92を保持させる。また、蓋保持機構41は、容器本体91と蓋92との間のラッチがけ、および、その解除を行う。
【0048】
(ドア部駆動機構50)
ドア部駆動機構50は、ドア部40を、閉鎖位置D1と開放位置D2との間で移動させる。ここで、「閉鎖位置D1」は、ドア部40が開口部13を全体的に塞ぐ位置である。一方、「開放位置D2」は、ドア部40が開口部13を全体的に開放する位置であり、具体的には、ドア部40が開口部13の下方に退避して、開口部13と完全に重ならないような位置である。
【0049】
ドア部駆動機構50は、具体的には例えば、ドア部40を支持する支持フレーム51と、支持フレーム51を支持する昇降ブロック52と、を備える。支持フレーム51は、一方の端部においてドア部40(例えば、ドア部40の後面の下側部分)と連結され、該端部から下方に延在し、途中で前方に折れ曲がって、略水平に延在しつつ、ベース部10に設けられたスリット15を通過し、他方の端部が、ベース部10の前方において昇降ブロック52に接続される。支持フレーム51と昇降ブロック52の間には、支持フレーム51を前後に移動自在に支持するスライド支持部511が設けられており、支持フレーム51は昇降ブロック52に対して前後に移動自在に支持される。また、昇降ブロック52とベース部10の間には、昇降ブロック52を昇降動自在に支持するスライドレール521が設けられており、昇降ブロック52はベース部10に対して昇降自在に支持される。
【0050】
ドア部駆動機構50には、駆動源(例えば、駆動源としてのステッピングモータ)、駆動源から与えられる動力を昇降ブロック52の昇降動作に変換する直動機構、該動力を支持フレーム51の前後移動動作に変換する直動機構、これら2つの直動機構をリンクさせるリンク機構、などがさらに含まれている(いずれも図示省略)。各直動機構は、例えば送りネジなどを含んで構成することができる。例えば、閉鎖位置D1にあるドア部40を開放位置D2まで移動させるにあたっては、駆動源からの動力が、支持フレーム51側の直動機構に伝達された後、リンク機構を通じて昇降ブロック42側の直動機構に伝達される。これにより、閉鎖位置D1にあるドア部40が、後方に移動されてまずは動作変換位置Dt(図6において二点鎖線で示される位置)に配置され、そこから下方に移動されて開放位置D2に配置される。一方、開放位置D2にあるドア部40を閉鎖位置D1まで移動させるにあたっては、駆動源からの動力が、昇降ブロック42側の直動機構に伝達された後、リンク機構を通じて支持フレーム51側の直動機構に伝達される。これにより、開放位置D2にあるドア部40が、上方に移動されてまずは動作変換位置Dtに配置され、そこから前方に移動されて閉鎖位置D1に配置される。
【0051】
なお、ベース部10の前面には、筐体501がベース部10に対して気密に接続されて設けられており、ドア部駆動機構50が備える要素のうち、ベース部10の前面側に配置されるものは、この筐体501に収容される。これによって、スリット15を通じて筐体501に流入したガスが筐体501の外部に流出することが防止される。また、ドア部駆動機構50が備える要素のうち、摺動箇所が存在するスライド支持部511やスライドレール521が、ベース部10の前面側(すなわち、搬送空間Vの外側)に設けられて筐体501内に収容されるとともに、筐体501と搬送空間Vとの連通部分が細いスリット15により形成されることによって、摺動箇所で発生したパーティクルなどが搬送空間Vへ進入することが抑制される。
【0052】
(移動規制部60)
移動規制部60は、格納容器9の蓋92を容器本体91に取り付ける際、具体的には、ドア部40を開口部13に向けて押し付けて、ドア部40に保持されている蓋92を容器本体91に取り付ける際に、載置部20に突き当たって、ベース部10から離れる方向(前方)への載置部20の移動を規制する。この実施形態では、ベース基台11の左右方向の略中心の位置に1個の移動規制部60が設けられ(図3)、この移動規制部60が、平面視にて、載置部20の移動方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)について、載置部20の中央の位置において、載置部20に突き当たって、その移動を規制する。移動規制部60の具体的な構成については、後に説明する。
【0053】
(制御部70)
制御部70は、ロードポート1が備える各部10~60の動作を制御するとともに、各種の演算処理を行う要素であり、例えば、電気回路を有する一般的なコンピュータ、あるいは、マイクロコンピュータ、などによって構成される。制御部70は、具体的には例えば、データ処理を担う中央演算装置としてのCPU(Central Processor Unit)といったプロセッサ、基本プログラムなどが格納されるROM(Read Only Memory)、CPUが所定の処理(データ処理)を行う際の作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク装置、などの不揮発性記憶装置によって構成される記憶装置、これらを相互に接続するバスライン、などを含んで構成される。制御部70は、例えば、記憶装置に格納されたプログラムをCPUが実行することによって、該プログラムによって規定された処理を実行する。もっとも、制御部70が実行する処理の一部または全部が、専用の論理回路などのハードウェア(例えば、専用プロセッサ)によって実行されてもよい。
【0054】
ロードポート1には、適宜の位置に各種のセンサ(例えば、載置部20に格納容器9が載置されたことを検知するセンサ、載置部20がドック位置B2に配置されたことを検知するセンサ、ドア部40が閉鎖位置D1に配置されたことを検知するセンサ、など)が設けられる。制御部70は、ロードポート1に設けられた各センサと電気的に接続され、各センサから取得した検知情報に基づいて、各部10~60(例えば、載置部20に設けられたロック部22およびガスノズル23、載置部駆動機構30、ドア部40に設けられた蓋保持機構41、ドア部駆動機構50、移動規制部60が備えるソレノイド633b(後述する)、など)の動作を制御する。
【0055】
<3.移動規制部の動作概要>
移動規制部60の動作概要について、図7を参照しながら説明する。図7は、移動規制部60の動作概要を説明するための図である。
【0056】
移動規制部60は、載置部20に突き当たってベース部10から離れる方向(前方)への載置部20の移動を規制する規制状態K1と、載置部20の移動を規制しない解除状態K2との間で切り替えることができるように構成される。
【0057】
例えば、格納容器9が載置された載置部20が、離間位置B1(アンドック位置)からドック位置B2に移動される際、移動規制部60は解除状態K2とされており、載置部20の移動を規制しない(図7(a))。
【0058】
一方、載置部20がドック位置B2に配置された状態において、移動規制部60は、解除状態K2から規制状態K1に切り替わっている(図7(b))。後述するように、載置部20がドック位置B2に配置された状態において、ドア部40が格納容器9の蓋92を保持し、蓋92を保持したドア部40が閉鎖位置D1から開放位置D2に移動されることによって、格納容器9が開かれる。
【0059】
その後、後述するように、蓋92を保持したドア部40が開放位置D2から閉鎖位置D1に移動されて、蓋92が容器本体91に取り付けられることで、格納容器9が閉鎖される。蓋92を容器本体91に取り付けるにあたっては、蓋92を保持するドア部40が、開口部13に向けて(すなわち、載置部20に載置されている容器本体91に向けて)所定のドア閉力F1で押し付けられる。このとき、規制状態K1とされている移動規制部60が、載置部20に突き当たって、ベース部10から離れる方向への載置部20の移動を規制する(図7(c))。すなわち、移動規制部60が、格納容器9を介してドア閉力F1で押される載置部20が後退することがないように、載置部20の荷重(ドア閉力F1と、載置部20をベース部10に向けて押し付けるドック力F2との差に相当する荷重)を受け止める、アンチバック機構として機能する。
【0060】
その後、移動規制部60が、規制状態K1から解除状態K2に切り替えられた上で、載置部20が、ドック位置B2から離間位置B1に移動される。
【0061】
<4.移動規制部の構成>
移動規制部60の具体的な構成について、図8を参照しながら説明する。図8は、移動規制部60の構成を示す側面図である。
【0062】
移動規制部60は、基体部61と、回動部62と、切り替え部63と、を備える。
【0063】
基体部61は、回動部62を回動自在に支持する部材であり、ベース基台11の所定位置(例えば、ベース基台11に設けられた凹部内)にビスなどを用いて固定される平板状の底板611と、その左右の各端縁から立ち上がる支持片612と、を備える。一対の支持片612,612の間に、回動部62の回動軸621が回動自在に架け渡されることによって、回動部62が基体部61に対して回動自在に支持される。
【0064】
回動部62は、前後方向に延在する長尺な部材であり、前後の略中心に、左右に貫通する回動軸621が設けられる。上記のとおり、この回動軸621が、基体部61の一対の支持片612,612の間に回動自在に架け渡されることによって、回動部62が基体部61に対して回動軸621の周りで回動自在に支持される。ただし、回動部62は、回動軸621が、左右方向(すなわち、載置部20の移動方向である前後方向と交差(ここでは、直交)する方向である左右方向)に沿って延在するような姿勢で、配設される。
【0065】
回動部62における回動軸621よりも前側の部分には、基体部61の側に突出する当接部622が設けられる。また、回動部62における回動軸621よりも後側の部分には、左右に対向する一対のローラ支持片623,623が、基体部61とは逆側に突出して設けられる。一対のローラ支持片623,623の間には、ローラ624が回動自在に支持される。すなわち、ローラ624は、その回動軸6241が、一対のローラ支持片623,623の間に回動自在に架け渡されることによって、回動部62に対して回動自在に支持される。ただし、ローラ624は、回動軸6241が、左右方向に沿って(すなわち、回動部62の回動軸621の延在方向と平行に)延在するような姿勢で、配設される。
【0066】
切り替え部63は、回動部62を回動軸621の周りで回動させることによって、規制状態K1(図8において実線で示される姿勢)と、解除状態K2(図8において一点鎖線で示される姿勢)とを切り替える。切り替え部63は、具体的には例えば、弾性部材631と、ストッパ632と、押圧部633と、を含んで構成される。
【0067】
弾性部材631は、回動軸621よりも後側の位置において、回動部62と基体部61の間に設けられる。弾性部材631は、例えばバネにより構成されており、縮短状態とされて、上端が回動部62に、下端が基体部61(具体的には底板611)に、それぞれ接続される。したがって、弾性部材631は、回動部62における回動軸621よりも後側の位置を、基体部61から離れる方向に付勢する。いま、回動軸621の周りでこれよりも後側の位置が基体部61から離れるような回動方向を「第1回動方向R1」とすると、弾性部材631は、回動部62を、第1回動方向R1に付勢することになる。
【0068】
ストッパ632は、基体部61(具体的には底板611)に立設された棒状の部材であり、回動部62の当接部622と対向するような位置に設けられる。ストッパ632は、回動部62の第1回動方向R1への回動を規制する。
【0069】
押圧部633は、回動軸621よりも前側の位置において、回動部62と基体部61の間に設けられる。押圧部633は、具体的には例えば、基体部61(具体的には底板611)の法線方向に延在するような姿勢で設けられたロッド(シリンダロッド)633aと、ロッド633aをその延在方向に沿って進退させる駆動部としてのソレノイド(直動型ソレノイド)633bと、を含んで構成される。ソレノイド633bは、制御部70と電気的に接続されており、制御部70からの指示に応じてロッド633aを駆動する。ソレノイド633bの駆動を受けて、ロッド633aが上昇(基体部61から離れる方向に移動)すると、ロッド633aの先端が当接部622に当接してこれを押し上げる。すなわち、押圧部633は、回動部62における回動軸621よりも前側の位置を、基体部61から離れる方向に押圧する。これによって、回動部62は、第1回動方向R1と逆の回動方向(以下「第2回動方向R2」という)に回動する。
【0070】
例えば、ストッパ632と当接部622とが離間している状態(図8において一点鎖線で示される状態)から、弾性部材631に付勢されることによって回動部62が第1回動方向R1に回動した場合、回動が進んでストッパ632が当接部622に当接することで、回動部62の回動が停止される(図8において実線で示される状態)。回動部62が、当接部622においてストッパ632と当接するような回動姿勢にあるとき、ローラ624が、載置部20の少なくとも一部と重なる高さに配置される。別の言い方をすると、ローラ624の上端が、載置部20の前端面24の下端よりも上方に配置される。回動部62がこのような回動姿勢にあるとき、載置部20が前方に移動しようとしても、その前端面24に回動部62のローラ624が突き当たると、それ以上は移動することができない。つまり、回動部62がこのような回動姿勢にあるとき、移動規制部60は、載置部20の前端面24に突き当たって載置部20の移動を規制する規制状態K1となる。
【0071】
一方、移動規制部60が規制状態K1となっている状態(図8において実線で示される状態)において、回動部62の当接部622がロッド633aによって押し上げられて、回動部62が第2回動方向R2に回動すると、回動が進むにつれてローラ624が下降し、回動角度がある角度を超えると、ローラ624は、載置部20と重ならない高さに配置される(図8において一点鎖線で示される状態)。別の言い方をすると、ローラ624の上端が、載置部20の前端面24の下端と同じ高さかそれよりも下方に配置される。回動部62がこのような回動姿勢にあるとき、載置部20は、回動部62に妨げられることなく前後に移動することができる。つまり、回動部62がこのような回動姿勢にあるとき、移動規制部60は、載置部20の移動を規制しない解除状態K2となる。
【0072】
このように、移動規制部60は、弾性部材631に付勢されて回動部62が第1回動方向R1に回動することによって、解除状態K2から規制状態K1へと切り替わり、押圧部633に押圧されて回動部62が第2回動方向R2に回動することによって、規制状態K1から解除状態K2へと切り替わる。
【0073】
<5.ロードポートの動作>
ロードポート1の動作について、図9、および、図10図14を参照しながら具体的に説明する。図9は、ロードポート1の動作の流れを示す図である。図10図14には、各動作状態におけるロードポート1の側面図と、該ロードポート1における移動規制部60を拡大して示す側面図と、が示されている。以下に説明する一連の処理は、制御部70が、ロードポート1が備える各部10~60(具体的には、載置部20に設けられたロック部22およびガスノズル23、載置部駆動機構30、ドア部40に設けられた蓋保持機構41、ドア部駆動機構50、移動規制部60が備えるソレノイド633b、など)を制御することによって行われる。
【0074】
ステップS1:格納容器搬入工程
まず、載置部20が離間位置B1に配置されるとともに、ドア部40が閉鎖位置D1に配置されている状態において、格納容器9(例えば、未処理のウエハ90を格納した格納容器9)が、AMHS、PGV、などの外部ロボットによって搬送されてきて、載置部20上に載置される(図10(a))。載置部20に載置された格納容器9は、載置部20上に設けられた位置決めピン21によって案内されて所定の位置に位置決めされる。また、格納容器9の底面に設けられた被固定部に、載置部20上に設けられたロック部22が引っ掛かることで、格納容器9が、該所定の位置において、載置部20に対して固定される。その後、必要に応じて、ガスノズル23からガス供給弁を通じて格納容器9内に所定のガスがパージされるとともに、別のガスノズル23からガス排出弁を通じて格納容器9内のガスが排出されて、格納容器9の内部が所定のガスに置換されるとともに、格納容器9の内部の圧力が所定の値に調整される。
【0075】
載置部20が離間位置B1に配置されている状態において、移動規制部60は、平面視にて載置部20と重なる位置にあり、回動部62が弾性部材631によって第1回動方向R1に付勢されることで、ローラ624が載置部20の下面に突き当たった状態となっている(図10(b))。すなわち、移動規制部60は、ローラ624の上端が載置部20の下端面と同じ高さにあって、載置部20の移動を妨げない解除状態K2となっている。
【0076】
ステップS2:載置部移動工程
格納容器9が載置部20に載置されると、載置部駆動機構30が、載置部20を離間位置B1からドック位置B2に移動させる(図11(a))。すなわち、載置部駆動機構30が、載置部20をベース部10に近づく方向(後方)に移動させて、ベース部10に設けられた開口部13(ひいては、これを塞いでいるドア部40)と蓋92とを近づける。載置部20がドック位置B2に配置された状態において、載置部20に載置されている格納容器9の顎部911が、ベース部10(具体的にはウインドウユニット14)と当接する(ドッキング)。
【0077】
ここで、ステップS2の動作が行われる際の移動規制部60の状態について説明する。載置部駆動機構30が、離間位置B1に配置されている載置部20を後方に移動開始させてからしばらくの間は、載置部20の前端面24は、依然として移動規制部60のローラ624よりも前方にある(図11(b)において一点鎖線で示される状態)。このような状態において、移動規制部60は、解除状態K2となっており、載置部20が後方に移動すると、ローラ624が載置部20の下面に突き当たりながら転動して、載置部20に対して相対的に前方に移動する。したがって、載置部20の移動が移動規制部60によって妨げられることがない。
【0078】
載置部20の後方への移動が進んで、載置部20の前端面24がローラ624の位置に到達すると(図11(b)において二点鎖線で示される状態)、それ以後はローラ624を上から押さえていた載置部20の下面がなくなるため、回動部62は弾性部材631の付勢力によって第1回動方向R1に回動する。この回動は、ストッパ632が当接部622に当接することで停止される。これによって、回動部62は、ローラ624の上端が、載置部20の前端面24の下端よりも上方に配置された姿勢となる(図11(b)において実線で示される状態)。すなわち、移動規制部60は、載置部20の移動を規制することができる規制状態K1となる。つまり、載置部20の前端面24がローラ624の位置に到達すると、弾性部材631に付勢されることによって回動部62が第1回動方向R1に回動して、移動規制部60は、解除状態K2から規制状態K1に切り替わる。
【0079】
その後、載置部20は、さらに僅かな距離だけ後方に移動されて、ドック位置B2に配置される(図11(b)において実線で示される状態)。移動規制部60が規制状態K1に切り替わった後、載置部20がさらに僅かな距離だけ後方に移動してドック位置B2に配置されるので、ドック位置B2に配置された載置部20の前端面24とローラ624との間には、僅かな隙間Gが設けられることになる。つまり、移動規制部60は、ドック位置B2に配置されている載置部20よりも前方の位置(より具体的には、ローラ624が、ドック位置B2に配置されている載置部20の前端面24との間に僅かな隙間Gを設けつつ、前端面24よりも前方に配置されるような位置)に、設けられる。
【0080】
ステップS3:蓋保持工程
載置部20がドック位置B2に配置されると、続いて、蓋保持機構41が、ドア部40に蓋92を保持させる。すなわち、載置部20がドック位置B2に配置されて、載置部20に載置された格納容器9の顎部911がウインドウユニット14と当接している状態において、該格納容器9の蓋92が、開口部13を塞いでいる(すなわち、閉鎖位置D1に配置されている)ドア部40と、当接あるいは十分に近接(少なくとも、蓋保持機構41が、ドア部40に蓋92を保持させることができる程度に近接)した状態となるところ、このような状態において、蓋保持機構41が、蓋92とドア部40とを連結して一体化させることによって、ドア部40に蓋92を保持させる。また、蓋保持機構41は、格納容器9の容器本体91と蓋92との間のラッチを解除する。
【0081】
ステップS4:開放工程
続いて、ドア部駆動機構50が、ドア部40を、これが保持している蓋92とともに、閉鎖位置D1から開放位置D2に移動させる(図12(a))。具体的には、ドア部駆動機構50は、閉鎖位置D1にあるドア部40を後方に移動させて動作変換位置Dtに配置し、そこから下降させて開放位置D2まで移動させる。これによって、開口部13が開放され、容器本体91の内部が、開口部13を介して、搬送空間Vと連通する。このような状態が形成されると、搬送空間Vに配置されている搬送ロボット82が、容器本体91に格納されているウエハ90を取り出して、処理装置Mに搬入する。また、搬送ロボット82は、処理装置Mで所定の処理を施されたウエハ90を、処理装置Mから搬出して、容器本体91に格納する。
【0082】
ステップS5:閉鎖工程
容器本体91に所定枚数のウエハ90が格納されるなどすると、ドア部駆動機構50が、ドア部40を、これが保持している蓋92とともに、開放位置D2から閉鎖位置D1に移動させる(図13(a))。具体的には、ドア部駆動機構50は、開放位置D2にあるドア部40を上昇させて動作変換位置Dtに配置し、そこから前方に移動させて閉鎖位置D1まで移動させる。ドア部40が前方に移動される際に、ドア部40が開口部13に向けて押し付けられる。これによって、蓋92の内向き面に設けられているリテーナ921(図6)が弾性変形しつつウエハ90を押さえ込みながら、ドア部40に保持されている蓋92が容器本体91に取り付けられる。
【0083】
ここで、容器本体91に蓋92を取り付ける際に、ドア部駆動機構50がドア部40を開口部13に向けて(すなわち前方に)押し付ける力(ドア閉力)F1は、少なくともリテーナ921の反力を上回る大きさに設定される。その一方で、容器本体91に蓋92を取り付ける際に、載置部駆動機構30が載置部20をベース部10に向けて(すなわち後方に)押し付ける力(ドック力)F2は、ドア閉力F1よりも小さいものとされる(F2<F1)。
【0084】
このため、容器本体91に蓋92を取り付ける際に、ドア部40に保持されている蓋92によって容器本体91が前方に押されて、容器本体91が固定されている載置部20が前方(すなわち、ベース部10から離れる方向)に動こうとする。しかしながら、ここでは、移動規制部60(すなわち、規制状態K1となっている移動規制部60)が、前方に動こうとした載置部20に突き当たって、前方への載置部20の移動を規制する(ステップS51:移動規制工程)。具体的には、載置部20が隙間Gに相当する僅かな距離だけ前方に動くと、回動部62のローラ624が、載置部20の前端面24に突き当たる(図13(b))。すると、載置部20は、それ以上は前方に移動できず(移動を規制されて)、停止する。すなわち、載置部20は隙間Gに相当する僅かな距離だけ前方に動くものの、それ以上は動かない。したがって、載置部20に載置されている容器本体91に蓋92が難なく取り付けられる。
【0085】
ステップS6:蓋保持解除工程
蓋92が容器本体91に取り付けられると、蓋保持機構41が、容器本体91と蓋92との間にラッチをかける。また、蓋保持機構41は、ドア部40と蓋92との連結を解除して、ドア部40と蓋92を分離(保持状態を解除)する。蓋92が容器本体91に取り付けられた後、ドア閉力F1が消失あるいは低減されると、ドック位置B2から僅かに前方の位置に押されていた載置部20が、載置部駆動機構30のドック力F2などによって、再びドック位置B2に戻る。
【0086】
ステップS7:載置部移動工程
続いて、載置部駆動機構30が、載置部20をドック位置B2から離間位置B1に移動させる(図14(a))。
【0087】
ここで、ステップS7の動作が行われる際の移動規制部60の状態について説明する。移動規制部60は、載置部20の移動が開始される前に、規制状態K1から解除状態K2に切り替えられる。具体的には、例えば、蓋92が容器本体91に取り付けられたことなどがセンサ(図示省略)によって検知されると、制御部70が、押圧部633のソレノイド633bに所定の指示を送出し、該所定の指示に応じて、ソレノイド633bがロッド633aを上昇(基体部61から離れる方向に移動)させる。すると、当接部622がロッド633aによって押し上げられて、回動部62が、第2回動方向R2に回動する。ドック位置B2に配置された載置部20の前端面24とローラ624との間には、僅かな隙間Gが設けられているため、回動部62は載置部20と干渉することなく回動することができる。回動部62が第2回動方向R2に回動することで、ローラ624の上端が、載置部20の前端面24の下端よりも下方に配置される。これによって、移動規制部60は、載置部20の移動を規制しない解除状態K2となる。すなわち、移動規制部60は、規制状態K1(図14(b)において一点鎖線で示される状態)から、解除状態K2(図14(b)において実線で示される状態)に切り替わる。
【0088】
その後、載置部駆動機構30が、ドック位置B2に配置されている載置部20を前方に移動開始させる。このとき、移動規制部60は解除状態K2となっているので、載置部20が後方に移動しても、ローラ624は載置部20と干渉しない。したがって、載置部20の移動が移動規制部60によって妨げられることがない。
【0089】
載置部20が前方に移動開始された後の適宜のタイミングで、押圧部633が、回動部62の押圧を解除する。具体的には、制御部70がソレノイド633bに所定の指示を送出し、該所定の指示に応じて、ソレノイド633bがロッド633aを下降(基体部61に近づく方向に移動)させる。すると、回動部62は弾性部材631の付勢力によって第1回動方向R1に僅かに回動し、ローラ624が載置部20の下面に突き当たった状態となる(図10(b)参照)。つまり、押圧部633による回動部62の押圧が解除されても、移動規制部60は、解除状態K2に維持される。いうまでもなく、押圧部633による回動部62の押圧が解除された後は、載置部20が前方に移動すると、ローラ624が載置部20の下面に突き当たりながら転動して、載置部20に対して相対的に後方に移動する。したがって、載置部20の移動が移動規制部60によって妨げられることがない。
【0090】
ステップS8:格納容器搬出工程
載置部20が離間位置B1に配置されると、載置部20に設けられたロック部22の引っ掛かりが解除されて、載置部20に対する格納容器9の固定が解除される。その後、格納容器9が、外部ロボットによって搬出される。
【0091】
<6.効果>
上記の実施形態に係るロードポート1は、搬送部8の壁部の一部を構成する板状のベース部10と、格納容器9が載置される載置部20と、載置部20をベース部10に対して近接離間する方向に移動させる載置部駆動機構30と、ベース部10における載置部20に載置された格納容器9の蓋92と対向する位置に設けられた開口部13を開閉可能であるとともに、開口部13を塞いでいる状態において開口部13と対向配置されている蓋92を保持可能な、ドア部40と、ドア部40を、ドア部40が開口部13を開放する開放位置D2と、ドア部40が開口部13を塞ぐ閉鎖位置D1との間で移動させる、ドア部駆動機構50と、ドア部40を開口部13に向けて押し付けて、ドア部40に保持されている蓋92を容器本体91に取り付ける際に、載置部20に突き当たって、ベース部10から離れる方向への載置部20の移動を規制する移動規制部60と、を備える。
【0092】
この構成によると、例えば、ドア部40に保持されている蓋92を容器本体91に取り付ける際に、ドア部40を開口部13に向けて押し付ける力(ドア閉力)F1に対して、載置部20をベース部10に向けて押し付ける力(ドック力)F2が小さいために、載置部20がベース部10から離れる方向に動こうとしても、移動規制部60が載置部20に突き当たることで載置部20の移動が規制されるので、載置部20に載置されている容器本体91に蓋92を取り付けることができる。つまり、ドック力F2をドア閉力F1とつり合うような大きな力としなくとも、蓋92を容器本体91に取り付けることができる。したがって、ドック力F2を小さくすることが可能となり、変形の原因となる無理な力がドア部40にかかることを回避できる。ひいては、ドア部40に変形が生じることを回避できる。また、ドア部40に変形が生じたために蓋92が容器本体91に取り付けられずに外れてしまう、といった事態も回避できる。
【0093】
仮に、ドック力F2をドア閉力F1とつり合わせることで、格納容器9の開閉を実現しようとする場合、ドア部40に保持された蓋92を容器本体91に取り付ける際に、載置部20に載置される格納容器9とドア部40とが、前後に多少なりともオーバラップした位置関係となるように、2つの力F1,F2が規定される。例えば、ドア閉力F1は、ドア部40を中間位置よりも前方に押し込むような大きさに規定され、ドック力F2は、載置部20を、ここに載置された格納容器9がドア部40を該中間位置よりも後方に押し込むような大きさに規定される。このため、格納容器9およびドア部40の一方あるいは両方に撓みが生じやすい。これに対し、移動規制部60が設けられる構成の場合、上記のとおり、ドック力F2をドア閉力F1よりも小さくすることが可能となるので、格納容器9およびドア部40にこのような撓みが発生しにくい。また、ドック力F2をドア閉力F1とつり合わせるためには、各駆動機構の調整を厳密に行う必要があるが、移動規制部60が設けられる場合、このような厳密な調整も不要となる。
【0094】
また、ドック力F2が十分に小さなものとされる場合、ドック位置B2に配置されている載置部20に載置された格納容器9とベース部10との間(具体的には、顎部911とウインドウユニット14との間)の当接力が十分に小さなものとなるので、これらの間に異物などが挟まれても、大きな問題が生じにくい。したがって、挟み込みを防止あるいは検知するためのセンサなどを省略することが可能となる。また、ドック力F2が十分に小さなものとされて、ドア部40の変形が生じないことが担保される場合、ドア部40に変形が生じていることを検知するためのセンサ(あるいは、これを検知するための動作)を省略することが可能となる。また、蓋92が容器本体91に取り付けられずに外れてしまっていることを検知するためのセンサ(あるいは、これを検知するための動作)を省略することも可能となる。
【0095】
なお、ドック力F2が比較的小さなものとされる場合には、搬送空間Vが外部に対して僅かに高い圧力に維持されることが好ましい。すなわち、ドック力F2が比較的小さなものとされる場合、載置部20がドック位置B2に配置されている状態において、格納容器9とベース部10との間(具体的には、顎部911とウインドウユニット14との間)の気密性が保たれにくくなるところ、搬送空間Vが外部に対して僅かに高い圧力に維持されていれば、格納容器9とベース部10に隙間が形成されたとしても、該隙間から外気が流入することがない。したがって、搬送空間Vの清浄度が低下することが回避される。同様の理由で、容器本体91の内部が外部に対して僅かに高い圧力に維持されることも好ましい。
【0096】
また、上記の実施形態に係るロードポート1は、移動規制部60が、平面視にて、載置部20の移動方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)について載置部20の中央の位置において、載置部20に突き当たる。この構成によると、載置部20にこれを左右に回転させるような力が作用しにくいので、ベース部10から離れる方向への載置部20の移動を安定して規制することができる。
【0097】
また、上記の実施形態に係るロードポート1は、移動規制部60が、載置部20に突き当たって載置部20の移動を規制する規制状態K1と、載置部20の移動を規制しない解除状態K2との間で切り替えられる。この構成によると、載置部20の移動の規制およびその解除を、簡易かつ確実に行うことができる。
【0098】
また、上記の実施形態に係るロードポート1は、移動規制部60が、載置部20の移動方向と交差する方向に沿って延在する回動軸621の周りで回動自在に設けられた回動部62と、回動部62を回動させることによって、規制状態K1と解除状態K2とを切り替える、切り替え部63と、を備える。この構成によると、載置部20の移動の規制およびその解除を、簡易な構成で実現することができる。
【0099】
また、上記の実施形態に係るロードポート1は、切り替え部63が、回動部62を第1回動方向R1に付勢する弾性部材631と、制御部70からの指示に応じて回動部62を押圧して、回動部62を第1回動方向R1と逆の第2回動方向R2に回動させる押圧部633と、を備え、弾性部材631に付勢されて回動部62が第1回動方向R1に回動することによって、解除状態K2から規制状態K1へと切り替わり、押圧部633に押圧されて回動部62が第2回動方向R2に回動することによって、規制状態K1から解除状態K2へと切り替わる。この構成によると、解除状態K2から規制状態K1への切り替えは、弾性部材631の付勢力を利用してなされるので、制御部70の処理負担を低減することができる。
【0100】
また、上記の実施形態に係るロードポート1は、回動部62と、ドック位置B2に配置されている載置部20の前端面24との間に、僅かな隙間Gが設けられる。この構成によると、回動部62が回動して規制状態K1から解除状態K2に切り替わる際に、回動部62が載置部20と干渉する、といった事態が生じにくい。また、サイズが異なる格納容器9に対応することも可能となる。
【0101】
また、上記の実施形態に係るロードポート1は、ドア部40を開口部13に向けて押し付けて、ドア部40に保持されている蓋92を容器本体91に取り付ける際に、載置部駆動機構30が載置部20をベース部10に向けて押し付ける力(ドック力)F2が、ドア部駆動機構50がドア部40を開口部13に向けて押し付ける力(ドア閉力)F1よりも、小さい。この構成によると、変形の原因となる無理な力がドア部40にかかることを十分に回避できる。
【0102】
また、上記の実施形態に係る格納容器9の開閉方法は、ウエハ90などの基板が格納された格納容器9が載置された載置部20をベース部10に近づく方向に移動させて、ベース部10における載置部20に載置された格納容器9の蓋92と対向する位置に設けられた開口部13と蓋92とを近づける、載置部移動工程(ステップS2)と、開口部13を塞いでいるドア部40に、開口部13と対向配置されている蓋92を保持させる、蓋保持工程(ステップS3)と、ドア部40を、これが保持する蓋92とともに、ドア部40が開口部13を塞ぐ閉鎖位置D1から、ドア部40が開口部13を開放する開放位置D2に移動させる開放工程(ステップS4)と、ドア部40を、これが保持する蓋92とともに、開放位置D2から閉鎖位置D1に移動させる閉鎖工程(ステップS5)と、閉鎖工程において、ドア部40を開口部13に向けて押し付けて、ドア部40に保持されている蓋92を容器本体91に取り付ける際に、移動規制部60が載置部20に突き当たって、ベース部10から離れる方向への載置部20の移動を規制する移動規制工程(ステップS51)と、を備える。
【0103】
この構成によると、ドア部40に保持されている蓋92を容器本体91に取り付ける際に、移動規制部60が載置部20に突き当たることで載置部20の移動が規制される。したがって、ドック力F2を小さくすることが可能となり、変形の原因となる無理な力がドア部40にかかることを回避できる。
【0104】
<7.他の実施形態>
<7-1.シール部材>
上記の実施形態に係るロードポート1において、ベース部10には、開口部13を取り囲むように、窓枠状のウインドウユニット14が取り付けられるものとし、載置部20がドック位置B2に配置された状態において、ウインドウユニット14と載置部20に載置された格納容器9とが当接するものとした。ここにおいて、図15に示されるように、ウインドウユニット14の前面に、開口部13の周囲を囲むようにシール部材141を配設してもよい。この構成によると、載置部20がドック位置B2に配置された状態において、載置部20に載置された格納容器9(具体的には顎部911)とウインドウユニット14とが、シール部材141を介して気密に接続される。同様のシール部材141を、ウインドウユニット14の後面にも配設してもよい。
【0105】
なお、ウインドウユニット14にシール部材141が設けられる場合、図16に示されるように、シール部材141として、弾性部材によって形成された中空状のシール部材(中空弾性シール部材)141aが用いられることも好ましい。この場合、ウインドウユニット14の前面に、開口部13の周囲を囲むように溝が設けられ、中空弾性シール部材141aは、周方向の一部分が溝に収容されるとともに残りの部分が溝から露出するような格好で、溝に沿って取り付けられる。中空弾性シール部材141aが設けられる場合、ウインドウユニット14には、中空弾性シール部材141aの中空部に連通する流路142が穿設されるとともに、流路142に所定の流体(例えば、窒素ガス、乾燥空気、乾燥窒素ガス、など)を供給する流体供給部143、および、流路142から流体を排出する流体排出部144が設けられる。流体供給部143は、所定の流体を供給する供給源と接続された配管、該配管に介挿された開閉弁、などを含んで構成することができる。また、流体排出部144は、ポンプと接続された配管、該配管に介挿された開閉弁、などを含んで構成することができる。
【0106】
このような構成において、中空弾性シール部材141aの中空部にある流体が、流路142を通じて流体排出部144から排出されると、中空部の圧力が低下して中空弾性シール部材141aが収縮状態C1となる(図16(a))。一方、流体供給部143から流路142を通じて中空弾性シール部材141aの中空部に流体が供給されると、中空部の圧力が高まって中空弾性シール部材141aが膨張状態C2となる(例えば図16(b))。このように、中空弾性シール部材141aは、中空部に対する流体の供給および排出を制御することによって、体積(径方向の寸法)を変化させることができる。
【0107】
例えば、中空弾性シール部材141aの中空部に流体が供給され、中空弾性シール部材141aが収縮状態C1から膨張状態C2とされることで、ドック位置B2に配置された載置部20に載置されている格納容器9の顎部911に、中空弾性シール部材141aが弾接する(図16(b))。これによって、載置部20に載置された格納容器9とウインドウユニット14とが、中空弾性シール部材141aを介して気密に接続される。
【0108】
上記の実施形態のように、移動規制部60が、ドック位置B2から隙間Gに相当する距離だけ前方の位置において、載置部20の移動を規制する場合、載置部20に載置されている格納容器9が、隙間Gに相当する僅かな距離だけ、ウインドウユニット14から離れる可能性がある。この点、シール部材141として中空弾性シール部材141aが用いられる場合、適宜のタイミングで中空部に流体を追加すれば(あるいは、中空部の圧力を予め十分に高めておけば)、格納容器9がウインドウユニット14から僅かに離れた場合に、これに追従して中空弾性シール部材141aがさらに膨張して追従膨張状態C2’となり、格納容器9の顎部911に弾接し続ける(図16(c))。つまり、格納容器9が隙間Gに相当する僅かな距離だけウインドウユニット14から離れても、ウインドウユニット14と格納容器9とが気密に接続された状態が維持される。
【0109】
通常は、ウインドウユニット14と格納容器9との間における、シール部材141を介した気密性を担保するために、格納容器9がウインドウユニット14から離れないように、格納容器9をウインドウユニット14に向けて引き込んで保持するクランプ部材が設けられる。しかしながら、移動規制部60が設けられる場合、これによって載置部20が前方に移動しないように規制されるので、格納容器9がウインドウユニット14からある程度以上(隙間Gに相当する僅かな距離を超えて)離間しないように担保される。したがって、このようなクランプ部材を設けなくとも、シール部材141を介した気密性を担保することができる。
【0110】
<7-2.ロックユニット>
上記の実施形態に係るロードポート1において、載置部20に設けられるロック部22として、ロックユニット22Uが設けられてもよい。ロックユニット22Uの構成について、図17を参照しながら具体的に説明する。図17は、載置部20に設けられたロックユニット22Uの動作を説明するための模式図である。
【0111】
格納容器9の底面には、互いに形状が異なる複数種類のリテーニング部が設けられる。一方のリテーニング部(第1リテーニング部)93は、フロントリテイニングフィーチャとも呼ばれ、格納容器9の底面における相対的に蓋92に近い側に設けられる。第1リテーニング部93は、格納容器9の底面に設けられた凹部93aと、凹部93aにおける、蓋92から遠い側の端縁から蓋92に近づく方向に突出して形成された係合突起93bと、を含んで構成される。他方のリテーニング部(第2リテーニング部)94は、センターリテイニングフィーチャとも呼ばれ、格納容器9の底面の略中央であって、第1リテーニング部93を挟んで蓋92と逆側の位置に設けられる。第2リテーニング部94は、凹部94aを含んで構成される。
【0112】
ロックユニット22Uは、第1リテーニング部93に引っ掛かって、載置部20の所定位置(位置決めピン21によって位置決めされる位置)に載置された格納容器9を該所定位置に固定する第1ロック部22aと、第2リテーニング部94に挿入されて、第1ロック部22aの第1リテーニング部93に対する引っ掛かりが解除されることを防止する第2ロック部22bと、を備える。
【0113】
(第1ロック部22a)
第1ロック部22aは、いわゆるボトムクランプであり、載置部20に設けられるクランプ部221と、クランプ部221を駆動してその姿勢をクランプ姿勢と解除姿勢との間で切り替える駆動部222と、を含んで構成される。駆動部222は、シリンダなどを含む適宜の駆動機構によって実現される。ここで、「クランプ姿勢」は、クランプ部221が、載置部20の所定位置に載置された格納容器9の第1リテーニング部93の係合突起93bをクランプするような姿勢であり、より具体的には、クランプ部221の先端に設けられたフック状の部分221aが係合突起93bに引っ掛かるような姿勢である(図17に示される姿勢)。一方、「解除姿勢」は、クランプ部221クランプ状態が解除され、クランプ部221の全体が、凹部93aの外部(格納容器9の底面よりも下側)に配置されるような姿勢である(図示省略)。
【0114】
クランプ部221がクランプ姿勢とされると、クランプ部221が係合突起93bに引っ掛かり、フック状の部分221aの下面と係合突起93bの上面とが当接するとともに、フック状の部分221aの前端面と係合突起93bの後端面とが当接した状態となる。これによって、載置部20の所定位置に載置された格納容器9が、該所定位置において載置部20に対して固定される。
【0115】
(第2ロック部22b)
第2ロック部22bは、載置部20に設けられる容器取り外し防止ピン223と、ベース基台11に設けられる押上ブロック224と、を含んで構成される。
【0116】
容器取り外し防止ピン223は、挿入部223aと、その下側に設けられた軸部223bと、を含んで構成されており、軸部223bが、載置部20に設けられた貫通孔に挿入されている。軸部223bと挿入部223aの連結部分には、径方向に張り出したフランジ部223cが設けられており、このフランジ部223cが載置面201における該貫通孔の周囲に引っ掛かることで、軸部223bが脱落しないようになっている。また、軸部223bの下側部分(載置部20の内部空間に突出した部分)には、バネ部材223dが、縮短状態で設けられている。このバネ部材223dによって下方に付勢されることで、容器取り外し防止ピン223は、フランジ部223cが載置面201に当接するような下方位置に配設され、このとき、挿入部223aの上端が、載置部20に載置されている格納容器9の底面よりも低い位置に配置される(図17(a))。以下において、このような容器取り外し防止ピン223の位置を「解除位置Q1」ともいう。
【0117】
また、容器取り外し防止ピン223は、後述する押上ブロック224で押し上げられることで、フランジ部223cが載置面201から離間するような上方位置に配設され、このとき、挿入部223aの一部あるいは全部が、載置部20の所定位置に載置されている格納容器9における第2リテーニング部94の凹部94a内に、挿入される(図17(b))。以下において、このような容器取り外し防止ピン223の位置を「挿入位置Q2」ともいう。なお、容器取り外し防止ピン223が解除位置Q1と挿入位置Q2との間でスムースに昇降するように、容器取り外し防止ピン223に、その昇降を案内するガイド部223eが設けられてもよい。具体的には例えば、フランジ部223cの下方から軸部223bと平行に延在するガイド部223eを設け、これが載置部20に設けられたガイド孔に挿通される構成としてもよい。この構成によると、ガイド部223eがガイド孔に案内されつつ昇降することで、容器取り外し防止ピン223が軸ブレすることなくスムースに昇降する。
【0118】
押上ブロック224は、略直方体状の部材であり、前端面が、上方に近づくにつれて後方に傾斜する傾斜面224aとして構成されている。押上ブロック224は、ベース基台11の上面、具体的には例えば、ベース基台11の上面に設けられたリニアガイド(載置部駆動機構30によって移動される載置部20を案内するためのリニアガイド)301に、設けられる。
【0119】
押上ブロック224は、載置部20が離間位置B1に配置されている状態では、容器取り外し防止ピン223から離間してこれよりも後方の位置に配置される(図17(a))。このとき、容器取り外し防止ピン223は、バネ部材223dによって下方に付勢されることで、解除位置Q1に配置される。一方、載置部20が離間位置B1から後方に移動されると、ベース基台11に設けられた押上ブロック224が、載置部20に対して相対的に前方に移動して容器取り外し防止ピン223に近づき、その下端(具体的には、軸部223bの下端)と押上ブロック224の傾斜面224aとが接触する。載置部20がさらに後方に移動されると、容器取り外し防止ピン223が傾斜面224aに案内されて上方に押し上げられる。そして、載置部20がドック位置B2に配置されたとき、容器取り外し防止ピン223は押上ブロック224の上面と当接した状態となり、このとき、容器取り外し防止ピン223は挿入位置Q2に配置される(図17(b))。
【0120】
このように、載置部20が離間位置B1からドック位置B2に移動されると、ベース基台11に設けられた押上ブロック224が、載置部20に設けられた容器取り外し防止ピン223を押し上げる。これによって、容器取り外し防止ピン223の位置が、解除位置Q1から挿入位置Q2へと切り替えられる。逆に、載置部20がドック位置B2から離間位置B1に移動されると、押上ブロック224は容器取り外し防止ピン223から離間し、容器取り外し防止ピン223は、バネ部材223dによって下方に付勢されることで、挿入位置Q2から解除位置Q1へと切り替わる。
【0121】
このような構成を備えるロックユニット22Uにおいては、上記のとおり、第1ロック部22aのクランプ部221がクランプ姿勢とされることで、載置部20の所定位置に載置された格納容器9が、該所定位値において載置部20に対して固定される。ただし、クランプ部221は係合突起93bに対して上側および後側から当接するものであるため、前方向への引っ張りに対しては、クランプ部221と係合突起93bの間の摩擦によって固定がなされるのみとなる。したがって、第1ロック部22aだけであると、例えば、格納容器9を前方向に引っ張るような力が作業者によって意図的に加えられるなどした場合、格納容器9が載置部20に対して前方向に移動して、係合突起93bがクランプ部221から外れてしまい(すなわち、載置部20に対する格納容器9の固定が解除されてしまい)、格納容器9が取り外されてしまうおそれがある。しかしながら、ロックユニット22Uにおいては、載置部20がドック位置B2に配置されると、第2ロック部22bの容器取り外し防止ピン223が第2リテーニング部94の凹部94aに挿入され、これによって、格納容器9は前後方向について載置部20に対して動かないように固定される。したがって、例えば、作業者が意図的に格納容器9を前方向に引っ張っても、格納容器9を取り外すことができない。すなわち、ロックユニット22Uによると、作業者による格納容器9の意図的な格納容器9の取り外しなどを防止することができる。
【0122】
また、ロックユニット22Uによると、第2ロック部22bの容器取り外し防止ピン223を移動させるための固有の駆動機構(アクチュエータ)を設ける必要がないので、製造コストを低減することができる。もっとも、場合によっては、押上ブロック224に代えて、容器取り外し防止ピン223を移動させるための駆動機構を設けてもよい。この場合、駆動機構は、単純な直動動作を実現するものであれば足り、具体的には例えば、ソレノイド、シリンダ(エアシリンダ)、モータを駆動源として送りネジなどを含んで構成される直動機構、などによって実現することができる。
【0123】
例えば、T字状のフックで第2リテーニング部94をクランプして格納容器9を載置部20に対して固定する機構(いわゆる、センタークランプ機構)は従来から存在するが、この機構は、上昇、回転、下降、といった複合動作によって第2リテーニング部94をクランプするものであるため、高価である。また、狭い空間で複合動作を行うために駆動機構が小型化されているため、壊れやすいという欠点もある。これに対し、ロックユニット22Uでは、このような複雑な動作を行うための駆動機構を設ける必要がないので、低価格化、小型化、高い耐久性、などを実現することができる。
【0124】
<8.変形例>
上記の実施形態において、移動規制部60の切り替え部63は、押圧部633を駆動する駆動部としてソレノイド(電磁ソレノイド)633bを備えるものとしたが、押圧部633を駆動する駆動部の構成はどのようなものであってもよい。例えば、押圧部633を駆動する駆動部は、シリンダ(エア(空気圧)シリンダ)であってもよいし、モータを駆動源として送りネジなどを含んで構成される直動機構であってもよい。
【0125】
上記の実施形態において、移動規制部60は切り替え部63を備えるものとしたが、その具体的な構成は、上記の実施形態において例示したものに限らない。例えば、押圧部633が備えるロッド633aの先端が、回動部62に対して固定される構成としてもよい。この場合、制御部70からの指示に応じて、ソレノイド633bがロッド633aを下降させると、回動部62が第1回動方向R1に回動し、解除状態K2から規制状態K1へと切り替わり、制御部70からの指示に応じて、ソレノイド633bがロッド633aを上昇させると、回動部62が第2回動方向R2に回動し、規制状態K1から解除状態K2へと切り替わる。いうまでもなく、このような構成によると、弾性部材631およびストッパ632を省略することができる。
【0126】
上記の実施形態において、移動規制部60は、回動部62が回動することによって解除状態K2と規制状態K1との間の切り替えがなされるものとしたが、移動規制部60の構成はこれに限られるものではない。例えば、移動規制部60は、ブロック状の規制部材が、載置部20の移動方向と交差する方向(例えば、左右方向、上下方向、など)に移動することによって、解除状態K2と規制状態K1との間の切り替えがなされるものであってもよい。この場合、規制部材を移動させる駆動機構は、単純な直動動作を実現するものであれば足り、具体的には例えば、ソレノイド、シリンダ(エアシリンダ)、モータを駆動源として送りネジなどを含んで構成される直動機構、などによって実現することができる。
【0127】
上記の実施形態においては、移動規制部60は、ドック位置B2から隙間Gに相当する距離だけ前方の位置において、載置部20の移動を規制するものとしたが、このような隙間Gは必須ではない。すなわち、移動規制部60は、ドック位置B2に配置されている載置部20に突き当たって、ベース部10から離れる方向への載置部20の移動を規制するものであってもよい。
【0128】
上記の実施形態においては、移動規制部60(具体的には、ローラ624)が、載置部20の前端面24に突き当たって、前方への載置部20の移動を規制するものとしたが、移動規制部60は必ずしも載置部20の前端面24に突き当たるものでなくともよい。例えば、載置部20の底面あるいは側面に凹部を設けておき、移動規制部60が該凹部の内壁面に突き当たって、載置部20の移動を規制するものであってもよい。
【0129】
上記の実施形態において、移動規制部60は1個だけ設けられるものであったが、移動規制部60は複数設けられてもよい。例えば、複数の移動規制部60が、ベース基台11の前端付近において、ベース基台11の左右方向に一列に配列されて、設けられてもよい。
【0130】
上記の実施形態において、格納容器9に格納される基板は、必ずしもウエハ90である必要はなく、例えば、テープフレームに保持されたウエハ(テープフレームウエハ)、矩形基板、などであってもよい。また、格納容器9は、必ずしもFOUPである必要はなく、例えば、FOSB、カセット、などであってもよい。
【0131】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0132】
100 EFEM
1 ロードポート
10 ベース部
20 載置部
30 載置部駆動機構
40 ドア部
50 ドア部駆動機構
60 移動規制部
61 基体部
62 回動部
63 切り替え部
631 弾性部材
632 ストッパ
633 押圧部
633b ソレノイド
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