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  • 特開-粘着剤組成物及び粘着テープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020980
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】粘着剤組成物及び粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/00 20060101AFI20240207BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240207BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240207BHJP
【FI】
C09J153/00
C09J11/08
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123573
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 永人
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】藤浦 仙敦
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA00
4J004FA08
4J040BA202
4J040DF002
4J040DM011
4J040EB022
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA26
4J040MA02
4J040MA10
4J040MB02
4J040MB04
4J040MB10
(57)【要約】
【課題】 自着性や耐端末剥がれ性に優れた粘着テープを得ることが可能なアクリル系粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】 本発明のある形態は、メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAとアクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるABA型のトリブロック共重合体(a)と、メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAとアクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるABA型のトリブロック共重合体(b)と、メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAとアクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるAB型のジブロック共重合体(c)と、軟化点が120℃以上の粘着付与樹脂(d)とを含有する。トリブロック共重合体(a)とトリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合の粘着付与樹脂(d)の含有量は、45質量部以上105質量部以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAとアクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるABA型のトリブロック共重合体(a)と、
メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAとアクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるABA型のトリブロック共重合体(b)と、
メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAとアクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるAB型のジブロック共重合体(c)と、
軟化点が120℃以上の粘着付与樹脂(d)とを含有し、
前記トリブロック共重合体(a)は、セグメントBの構成モノマーとして、アクリル酸-2-エチルヘキシルを有せず、
前記トリブロック共重合体(b)は、セグメントBの構成モノマーとして、アクリル酸-2-エチルヘキシルを有し、
前記トリブロック共重合体(a)と前記トリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合の前記トリブロック共重合体(b)の含有量が、5質量部以上55質量部以下であり、
前記トリブロック共重合体(a)と前記トリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合の前記ジブロック共重合体(c)の含有量が、60質量部以上120質量部以下であり、
前記トリブロック共重合体(a)と前記トリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合の前記粘着付与樹脂(d)の含有量が、45質量部以上105質量部以下である、粘着剤組成物。
【請求項2】
前記トリブロック共重合体(a)と前記トリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合の可塑剤(e)の含有量が、5質量部以下である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられた、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物及び粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリレート系モノマーを含有したアクリル系粘着剤は、耐候性、透明性、耐熱性、耐溶剤性等に優れ、また、構成するモノマーの組成を変更することにより粘着力を容易に制御できるという利点を有することから、近年、盛んに研究が行われている(例えば、特許文献1~3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-307063号公報
【特許文献2】特開2009-102467号公報
【特許文献3】特開2006-206624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術に係るアクリル系粘着剤組成物は、粘着テープとして求められる基本特性は実用レベルであったとしても、使用方法によっては十分な性能を有していない場合があった。
【0005】
特に、このようなアクリル系粘着剤組成物を、細物(例えば、ケーブルや、ドライバー、レンチ等の工具等)に巻き付ける用途等で使用されるラベル用テープに適用した場合に、自着性が十分ではなく、巻き付け時の端部に剥がれが発生する等、耐端末剥がれ性が十分ではない場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、自着性や耐端末剥がれ性に優れた粘着テープを得ることが可能なアクリル系粘着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、所定の粘着剤組成物を用いることにより、上記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のある形態は、
メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAとアクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるABA型のトリブロック共重合体(a)と、
メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAとアクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるABA型のトリブロック共重合体(b)と、
メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAとアクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるAB型のジブロック共重合体(c)と、
軟化点が120℃以上の粘着付与樹脂(d)とを含有し、
前記トリブロック共重合体(a)は、セグメントBの構成モノマーとして、アクリル酸-2-エチルヘキシルを有せず、
前記トリブロック共重合体(b)は、セグメントBの構成モノマーとして、アクリル酸-2-エチルヘキシルを有し、
前記トリブロック共重合体(a)と前記トリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合の前記トリブロック共重合体(b)の含有量が、5質量部以上55質量部以下であり、
前記トリブロック共重合体(a)と前記トリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合の前記ジブロック共重合体(c)の含有量が、60質量部以上120質量部以下であり、
前記トリブロック共重合体(a)と前記トリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合の前記粘着付与樹脂(d)の含有量が、45質量部以上105質量部以下である、粘着剤組成物である。
【0009】
前記トリブロック共重合体(a)と前記トリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合の可塑剤(e)の含有量が、5質量部以下であることが好ましい。
【0010】
本発明の別の形態は、
基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられた、前記粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える粘着テープである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自着性や耐端末剥がれ性に優れた粘着テープを得ることが可能なアクリル系粘着剤組成物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例における、耐端末剥がれ性の評価方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
なお、本開示に係る粘着剤組成物については、以下の順序で説明する。
1 粘着剤組成物の組成
1-1 トリブロック共重合体(a)
1-2 トリブロック共重合体(b)
1-3 ジブロック共重合体(c)
1-4 粘着付与樹脂(d)
1-5 任意成分
2 粘着剤組成物の形態
3 粘着剤組成物の用途
【0015】
以下、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算分子量から求めた値とする。
以下、複数の上限値と複数の下限値とが別々に記載されている場合、これらの上限値と下限値とを自由に組み合わせて設定可能な全ての数値範囲が記載されているものとする。
以下、特に断らない限り、各種測定は、環境温度を室温(例えば25℃)として実施されたものとする。
以下、特に断らない限り、各成分の含有量や配合量等は、揮発成分を除いた成分(固形分)を基準とした量を示すものとする。
以下、ある化合物が記載されている場合、その異性体も同時に記載されているものとする。
【0016】
<<<粘着剤組成物の組成>>>
本開示に係る粘着剤組成物は、少なくとも、2種類のABA型のトリブロック共重合体(トリブロック共重合体(a)、トリブロック共重合体(b))と、AB型のジブロック共重合体(c)とを含有し、更に、軟化点が120℃以上である粘着付与樹脂(d)を含有する。トリブロック共重合体(a)、トリブロック共重合体(b)、ジブロック共重合体(c)は、ベースポリマーを構成する。
【0017】
本開示に係る粘着剤組成物は、その他の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
【0018】
以下、本開示に係る粘着剤組成物中の各成分について順に説明する。
【0019】
<<トリブロック共重合体(a)>>
トリブロック共重合体(a)は、メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAと、アクリル酸エステルを主体とするセグメントBと、からなるABA型のトリブロック共重合体である。
【0020】
また、トリブロック共重合体(a)は、セグメントBの構成モノマーとして、アクリル酸-2-エチルヘキシルを有しない。
【0021】
ここで、本開示でいう「セグメント」とは、トリブロック共重合体において各ブロックを構成する構造単位のことを意味する。例えば、モノマーa由来の構造単位(ポリマー又はオリゴマー)Aと、モノマーb由来の構造単位(ポリマー又はオリゴマー)Bと、モノマーa由来の構造単位(ポリマー又はオリゴマー)Aとが順に結合したABA型のトリブロック共重合体の場合には、構造単位A、BがそれぞれセグメントA、Bとなる。後述するABA型のトリブロック共重合体(b)や、AB型のジブロック共重合体(c)においても同様の説明が当て嵌まる。
【0022】
<トリブロック共重合体(a)のセグメントA>
トリブロック共重合体(a)のセグメントAとしては、メタクリル酸エステルを構成モノマーの主体とするものであれば特に限定はされない。
【0023】
ここで、ポリマーを構成するモノマー(構成モノマー)において、あるモノマーが「構成モノマーの主体である」とは、構成モノマー全量に対する当該あるモノマーの構成比が、好ましくは、50質量%以上、80質量%以上、又は、90質量%以上であることを示す。
【0024】
セグメントAの構成モノマーであるメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸1-メチルシクロヘキシル、メタクリル酸2-メチルシクロヘキシル、メタクリル酸3-メチルシクロヘキシル、メタクリル酸4-メチルシクロヘキシル、メタクリル酸2-フェノキシエチル、メタクリル酸2-メトキシエチル、メタクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸n-ペンチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2-メトキシペンチル、メタクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)ペンチル、メタクリル酸パーフルオロペンチル、メタクリル酸2-トリメトキシシリルペンチル等が挙げられる。
【0025】
セグメントAの構成モノマーの主体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル等の、メタクリル酸と炭素数3以下のアルコール等とのエステルを使用することが好ましい。構成モノマーがこのようなモノマーを含むことで、粘着特性を向上させることができる。
【0026】
セグメントAの構成モノマーは、メタクリル酸エステル以外のモノマーを含んでいてもよい。
【0027】
セグメントAの構成モノマーとして、メタクリル酸エステル以外に使用可能なモノマーとしては、例えば、
メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド類、
アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド類、
メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系モノマー、
スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー、
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系モノマー、
エチレン、プロピレン等のオレフィン、
ε-カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン
等が挙げられる。
【0028】
セグメントAは、例えば、トリブロック共重合体(a)のハードセグメントを構成する。
【0029】
<トリブロック共重合体(a)のセグメントB>
トリブロック共重合体(a)のセグメントBとしては、アクリル酸エステルを構成モノマーの主体とするものであれば特に限定はされない。
【0030】
セグメントBの構成モノマーであるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2-メトキシエチル、アクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-メチルブチル、アクリル酸4-メチル-2-ペンチル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0031】
セグメントBの構成モノマーとして、アクリル酸エステル以外に使用可能なモノマーとしては、例えば、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルや、前述したセグメントAの構成モノマーであるメタクリル酸エステル類等を含むメタクリル酸アルキルエステル、
メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド類、
アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド類、
メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系モノマー、
スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー、
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系モノマー、
エチレン、プロピレン等のオレフィン、
ε-カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン
等が挙げられる。
【0032】
セグメントBは、例えば、トリブロック共重合体(a)のソフトセグメントを構成する。
【0033】
<トリブロック共重合体(a)の重量平均分子量>
トリブロック共重合体(a)の重量平均分子量は、60,000以上、80,000以上、100,000以上、又は、150,000以上であることが好ましく、また、1,000,000以下、800,000以下、600,000以下であることが好ましい。トリブロック共重合体(a)の重量平均分子量をこのような範囲とすることで、粘着剤組成物の粘着特性を向上させることができる。
【0034】
<トリブロック共重合体(a)のセグメントAの含有量>
トリブロック共重合体(a)におけるセグメントAの含有量は、トリブロック共重合体(a)の全質量を基準として、5~30質量%であることが好ましく、5~25質量%であることがより好ましく、10~20質量%であることが特に好ましい。
【0035】
<トリブロック共重合体(a)の合成方法/入手方法>
本開示に係るトリブロック共重合体(a)は、各構成モノマーを重合することにより合成してもよいし、市販品を用いてもよい。
【0036】
トリブロック共重合体(a)の重合方法としては特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができ、例えば、アニオン重合法、原子移動ラジカル重合法(ATRP)等を用いることができる。
【0037】
アニオン重合法としては、例えば、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩等の鉱酸塩の存在下でアニオン重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてアニオン重合する方法等が挙げられる。
ATRPとしては、例えば、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として、遷移金属化合物、含窒素化合物の存在下で重合する方法等が挙げられる。
【0038】
トリブロック共重合体(a)の市販品としては、例えば、株式会社クラレ製の「クラリティ(登録商標)シリーズ」等が挙げられる。
【0039】
<<トリブロック共重合体(b)>>
トリブロック共重合体(b)は、トリブロック共重合体(a)と同様に、メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAと、アクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるABA型のトリブロック共重合体である。
【0040】
ただし、トリブロック共重合体(b)は、セグメントBの構成モノマーとして、アクリル酸-2-エチルヘキシルを有する。
【0041】
このように、トリブロック共重合体(a)はセグメントBの構成モノマーとしてアクリル酸-2-エチルヘキシルを有さず、トリブロック共重合体(b)はセグメントBの構成モノマーとしてアクリル酸-2-エチルヘキシルを有する点で、トリブロック共重合体(a)とトリブロック共重合体(b)とは異なる構造を有する。
【0042】
<トリブロック共重合体(b)のセグメントA>
トリブロック共重合体(b)のセグメントAは、前述したトリブロック共重合体(a)のセグメントAと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
トリブロック共重合体(a)のセグメントAとトリブロック共重合体(b)のセグメントAとは、同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。トリブロック共重合体(a)とトリブロック共重合体(b)との相溶性を考慮すると、両者のセグメントAは同一であることが好適である。
【0044】
セグメントAは、例えば、トリブロック共重合体(b)のハードセグメントを構成する。
【0045】
<トリブロック共重合体(b)のセグメントB>
トリブロック共重合体(b)のセグメントBは、前述したように、構成モノマーとして、アクリル酸-2-エチルヘキシルを有する。
【0046】
トリブロック共重合体(b)のセグメントBは、アクリル酸-2-エチルヘキシル以外の構成モノマーを有していてもよい。
【0047】
アクリル酸-2-エチルヘキシル以外の構成モノマーとしては、トリブロック共重合体(a)のセグメントBの構成モノマーとして使用可能なものを用いることができる。
【0048】
アクリル酸-2-エチルヘキシル以外の構成モノマーとしては、トリブロック共重合体(a)との相溶性を向上可能な点から、アクリル酸-n-ブチルを用いることが好ましい。具体的には、トリブロック共重合体(b)のセグメントBの構成モノマーは、アクリル酸-n-ブチル及びアクリル酸-2-エチルヘキシルであることが好ましい。
【0049】
トリブロック共重合体(b)のセグメントBにおける、アクリル酸-n-ブチル(BA)とアクリル酸-2-エチルヘキシル(2EHA)との配合比は、BA:2EHA(質量比)が、95:5~0:100であることが好ましく、75:25~5:95であることがより好ましく、60:40~5:95であることが更に好ましい。BAと2EHAとの配合比をこのような範囲とすることで、粘着剤組成物の粘着特性を向上させることができる。
【0050】
トリブロック共重合体(b)のセグメントBにおけるアクリル酸-2-エチルヘキシル以外の構成モノマーと、トリブロック共重合体(a)のセグメントBの構成モノマーとは、同一でもよく、異なっていてもよい。トリブロック共重合体(a)とトリブロック共重合体(b)との相溶性を考慮すると、両者の構成モノマーは同一であることが好適である。
【0051】
セグメントBは、例えば、トリブロック共重合体(b)のソフトセグメントを構成する。
【0052】
<トリブロック共重合体(b)の重量平均分子量>
トリブロック共重合体(b)の重量平均分子量は、30,000以上、又は、50,000以上であることが好ましく、また、800,000以下、600,000以下であることが好ましい。トリブロック共重合体(b)の重量平均分子量をこのような範囲とすることで、粘着剤組成物の粘着特性を向上させることができる。
【0053】
<トリブロック共重合体(b)のセグメントAの含有量>
トリブロック共重合体(b)におけるセグメントAの含有量は、トリブロック共重合体(b)の全質量を基準として、10~40質量%であることが好ましく、15~30質量%であることがより好ましい。
【0054】
<トリブロック共重合体(b)の合成方法/入手方法>
本開示に係るトリブロック共重合体(b)としては、各構成モノマーを重合することにより合成してもよいし、市販品を用いてもよい。
【0055】
トリブロック共重合体(b)の重合方法としては特に制限されるものではなく、トリブロック共重合体(a)と同様の方法を適用可能である。
【0056】
トリブロック共重合体(b)の市販品としては、例えば、株式会社クラレ製の「クラリティ(登録商標)シリーズ」等が挙げられる。
【0057】
<<ジブロック共重合体(c)>>
ジブロック共重合体(c)は、メタクリル酸エステルを主体とするセグメントAと、アクリル酸エステルを主体とするセグメントBとからなるAB型のジブロック共重合体である。
【0058】
このようなジブロック共重合体を用いることで、トリブロック共重合体(a)やトリブロック共重合体(b)との相溶性が向上する等し、粘着剤組成物の自着性や耐端末剥がれ性等を向上させることができる。
【0059】
<ジブロック共重合体(c)のセグメントA>
ジブロック共重合体(c)のセグメントAの構成モノマーとしては、トリブロック共重合体(a)におけるセグメントAの構成モノマーとして開示されたものを使用することができる。
【0060】
ジブロック共重合体(c)のセグメントAの構成モノマーと、トリブロック共重合体(a)におけるセグメントAの構成モノマーとは、同一であっても異なっていてもよい。これらの構成モノマーを同一のものとすることで、各成分の相溶性をより高めることができる。
【0061】
セグメントAは、例えば、トリブロック共重合体(c)のハードセグメントを構成する。
【0062】
<ジブロック共重合体(c)のセグメントB>
ジブロック共重合体(c)のセグメントBの構成モノマーとしては、トリブロック共重合体(a)におけるセグメントBの構成モノマーとして開示されたものを使用することができる。
【0063】
ジブロック共重合体(c)のセグメントBの構成モノマーと、トリブロック共重合体(a)におけるセグメントBの構成モノマーとは、同一であっても異なっていてもよい。これらの構成モノマーを同一のものとすることで、各成分の相溶性をより高めることができる。
【0064】
セグメントBは、例えば、トリブロック共重合体(c)のソフトセグメントを構成する。
【0065】
<ジブロック共重合体(c)の重量平均分子量>
ジブロック共重合体(c)の重量平均分子量は、30,000以上、40,000以上、又は、50,000以上であること好ましく、また、1,000,000以下、800,000以下、600,000以下であることが好ましい。ジブロック共重合体(c)の重量平均分子量をこのような範囲とすることで、粘着剤組成物の粘着特性を向上させることができる。
【0066】
<ジブロック共重合体(c)のセグメントAの含有量>
ジブロック共重合体(c)におけるセグメントAの含有量は、ジブロック共重合体(c)の全質量を基準として、5~30質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましく、5~15質量%であることが特に好ましい。
【0067】
<ジブロック共重合体(c)の合成方法/入手方法>
本開示に係るジブロック共重合体(c)としては、各構成モノマーを重合することにより合成してもよいし、市販品を用いてもよい。
【0068】
ジブロック共重合体(c)の重合方法としては特に制限されるものではなく、トリブロック共重合体(a)と同様の方法を適用可能である。
【0069】
ジブロック共重合体(c)の市販品としては、例えば、株式会社クラレ製の「クラリティ(登録商標)シリーズ」等が挙げられる。
【0070】
<<粘着付与樹脂(d)>>
本開示に係る粘着剤組成物は、軟化点が120℃以上の粘着付与樹脂(d)を含有することが好ましい。
【0071】
粘着付与樹脂(d)は、特に限定されないが、トリブロック共重合体(a)及びトリブロック共重合体(b)とポリマーブレンドを形成できるように、トリブロック共重合体(a)及びトリブロック共重合体(b)と相溶性を有する樹脂であることが好ましい。より具体的には、粘着付与樹脂(d)は、ロジン系樹脂又はテルペン系樹脂であることが好ましく、ロジン系樹脂であることがより好ましい。
【0072】
ロジン系樹脂としては、例えば、ロジンエステル、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル、ガムロジン、トール油ロジン、マレイン化ロジン、マレイン酸変性ロジン等が挙げられる。
【0073】
テルペン系樹脂としては、例えば、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂、α-ピネン、β-ピネン、リモネン等を主体とするものが挙げられる。
【0074】
粘着付与樹脂(d)の軟化点は、125℃以上であることが好ましく、また、200℃以下、又は、180℃以下であることが好ましい。粘着付与樹脂(d)の軟化点がこのような範囲であることで、粘着剤組成物の粘着特性を向上させることができる。
【0075】
粘着付与樹脂(d)(軟化点が120℃以上である粘着付与樹脂)は、粘着剤組成物中の全粘着付与樹脂(軟化点が120℃以上である粘着付与樹脂及び軟化点が120℃未満である粘着付与樹脂)の合計量を基準として、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、又は、99質量%以上であることが好ましい。
【0076】
<<任意成分>>
任意成分としては、軟化剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、染色剤等の公知の添加剤が挙げられる。
【0077】
ここで、軟化剤としては、石油系軟化剤、植物油系軟化剤、液状ゴム、可塑剤等が挙げられるが、粘着剤組成物は、後述するように、可塑剤(可塑剤(e))を含まないか、又は、可塑剤(e)を低含有量とすることが好ましい。
【0078】
可塑剤(e)としては、例えば、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸誘導体、ジメチルイソフタレート、ジイソオクチルフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ-(2-エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸誘導体;ジ-n-ブチルアジペート、ジ-(2-エチルヘキシル)アジペート等のアジピン酸誘導体;ジイソオクチルアゼレート等のアゼライン誘導体;ジ-n-ブチルセバケート等のセバシン酸誘導体;ジメチルマレート等のマレイン酸誘導体;ジ-n-ブチルフマレート等のフマル酸誘導体;トリイソオクチル・トリメリテート等のトリメリット酸誘導体;トリエチル・シトレート等のクエン酸誘導体;ジエチル・イタコネート等のイタコン酸誘導体;グリセリル・モノオレート等のオレイン酸誘導体;ブチル・アセチル・リシノレート等のリシノール誘導体;n-ブチル・ステアレート等のステアリン酸誘導体;ジエチレングリコール・モノウラレート等の脂肪酸誘導体;ベンゼンスルホン・ブチルアミド等のスルホン酸誘導体;トリメチル・ホスフェート等のリン酸誘導体;テトラ-2-エチルヘキシル・ピロメリテ-ト等のモノエステル系可塑剤、ジエチレングリコール・ジベンゾエート等のグリコール誘導体;グリセロール・モノアセテート等のグリセリン誘導体;塩素化パラフィン等のパラフィン誘導体;エポキシ誘導体、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤等が挙げられる。
【0079】
<<粘着剤組成物中の各成分の含有量>>
<トリブロック共重合体(a)とトリブロック共重合体(b)との含有量比>
粘着剤組成物中のトリブロック共重合体(b)の含有量は、トリブロック共重合体(a)とトリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合に、1質量部以上、5質量部以上、又は、10質量部以上であることが好ましく、また、70質量部以下、55質量部以下、又は、50質量部以下であることが好ましい。トリブロック共重合体(b)の配合量をこのような範囲とすることで、粘着剤組成物の粘着特性を向上させることができる。
【0080】
<ジブロック共重合体(c)の含有量>
粘着剤組成物中のジブロック共重合体(c)の含有量は、トリブロック共重合体(a)とトリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合に、20質量部以上、40質量部以上、60質量部以上、又は、65質量部以上であることが好ましく、また、200質量部以下、150質量部以下、120質量部以下、又は、100質量部以下であることが好ましい。ジブロック共重合体(c)の配合量をこのような範囲とすることで、粘着剤組成物の自着性や耐端末剥がれ性等を向上させることができる。
【0081】
<粘着付与樹脂(d)の含有量>
粘着剤組成物中の粘着付与樹脂(d)の含有量は、トリブロック共重合体(a)とトリブロック共重合体(b)の合計を100質量部としたときに、45質量部以上、50質量部以上、60質量部以上、70質量部以上、又は、80質量部以上であることが好ましく、また、105質量部以下、又は、100質量部以下であることが好ましい。
【0082】
粘着剤組成物がトリブロック共重合体(a)、トリブロック共重合体(b)、ジブロック共重合体(c)、及び、粘着付与樹脂(d)を含み、且つ、粘着付与樹脂(d)の含有量が前述のような範囲(高配合量)となることで、粘着剤組成物の粘着性が適切な範囲となり、且つ、粘着剤組成物全体の相溶性等のバランスが適切なものになる等の結果、粘着剤組成物の自着性や耐端末剥がれ性等を顕著に向上させることができる。
【0083】
更に、別の観点から、粘着剤組成物の自着性や耐端末剥がれ性等を顕著に向上させるため、ジブロック共重合体(c)の含有量に対する粘着付与樹脂(d)の含有量[(d)/(c)]は、0.60以上、0.65以上、0.70以上、又は、0.75以上であることが好ましく、また、1.80以下、1.70以下、1.60以下、1.50以下、又は、1.40以下であることが好ましい。
【0084】
<任意成分の配合量>
粘着剤組成物中の任意成分の含有量は、前述した各成分の残余分とすればよく、例えば、粘着剤組成物全量を基準として、25質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、又は、1質量%以下等とすることができる。
【0085】
ここで、トリブロック共重合体(a)とトリブロック共重合体(b)との合計量を100質量部とした場合の可塑剤(e)の含有量は、5質量部以下であることが好ましい。即ち、粘着剤組成物は、可塑剤(e)を含まないか、又は、可塑剤(e)を低含有量とすることが好ましい。可塑剤の含有量をこのような範囲とすることで、粘着剤組成物の粘着特性を向上させることができる。
【0086】
<<<粘着剤組成物の形態>>>
本開示に係る粘着剤組成物は、各成分を溶融させて混練して得られる、ホットメルト型(無溶剤型ともいわれる。)の粘着剤組成物であることが好ましい。
【0087】
本開示に係る粘着剤組成物は、各成分を所定の溶媒に溶解させた溶液型の粘着剤組成物とすることも可能である。本開示に係る粘着剤組成物を溶液型とする場合に用いる溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル等の有機溶媒が挙げられる。
【0088】
<<<粘着剤組成物の用途>>>
本開示に係る粘着剤組成物は、粘着テープの粘着剤層を形成するために用いることができる。
【0089】
以下に、本開示に係る粘着剤組成物の用途の一例として、基材の片面に前述した粘着剤組成物を塗布してなる片面粘着テープについて主に説明する。なお、本開示に係る粘着剤組成物を用いて両面粘着テープを形成する場合も、粘着剤が基材の両面に塗布されていること以外は、同様の説明を当て嵌めることができる。
【0090】
本開示に係る粘着テープは、基材と、基材の少なくとも一方の面に設けられた、粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える。
【0091】
さらに、粘着剤層の表面には、必要に応じて他の層(例えば、剥離紙等の剥離層)が積層されてもよい。
【0092】
基材の形状は、特に限定されず、フィルム状やシート状のものを使用可能である。また、基材の材質は、特に限定されず、粘着剤組成物を塗布可能なものを使用可能である。
【0093】
基材としては、より具体的には、クラフト紙、和紙、クレープ紙等の紙や、レーヨン、綿、アセテート、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等からなる不織布や、セロハン、塩化ビニル、PE、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、四フッ化エチレン、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)等の樹脂フィルムや、ポリウレタン、PE、ブチルゴム等の樹脂発泡体や、アルミニウム、銅等の金属箔や、天然ゴム、SBR、ブチルゴム等のゴムシート等を用いることができる。
【0094】
粘着剤組成物を基材に塗布する方法は、特に限定はされないが、粘着剤原料を熱溶融させて塗布する方法(ホットメルト法)、複数の熱ロールで薄出しして塗布する方法(キャレンダー法)、原料を有機溶剤に溶解させて塗布する方法(溶展法)等の公知の方法を用いることができる。
【0095】
粘着テープは、長尺に形成されていてもよく、また、ロール状に巻き取られたものであってもよい。
【0096】
本開示に係る粘着テープは、種々の用途に用いることが可能であり、ラベル用テープとして好ましく使用される。
【0097】
また、本開示に係る粘着テープは、自着性及び耐端末剥がれ性に優れることから、細物(ワイヤー、ケーブル、ロープ等をはじめ、ドライバー、レンチ等の工具等)に巻き付けて使用されるラベル用テープとして特に好ましく使用される。この場合、細物の直径(最大径)は、例えば、0.5~50mm等である。
【実施例0098】
次に、本開示を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本開示は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
【0099】
<<原材料>>
<トリブロック共重合体(a)>
[トリブロック共重合体(a-1)]
クラリティLA2330(株式会社クラレ製)
メタクリル酸メチル(MMA)/アクリル酸n-ブチル(n-BA)共重合体(トリブロック体)
セグメントA(ハードセグメント):MMA
セグメントB(ソフトセグメント):n-BA
重量平均分子量:98,000
[トリブロック共重合体(a-2)]
クラリティLA3320(株式会社クラレ製)
メタクリル酸メチル(MMA)/アクリル酸n-ブチル(n-BA)共重合体(トリブロック体)
セグメントA(ハードセグメント):MMA
セグメントB(ソフトセグメント):n-BA
重量平均分子量:155,000
[トリブロック共重合体(a-3)]
クラリティLA3710(株式会社クラレ製)
メタクリル酸メチル(MMA)/アクリル酸n-ブチル(n-BA)共重合体(トリブロック体)
セグメントA(ハードセグメント):MMA
セグメントB(ソフトセグメント):n-BA
重量平均分子量:216,000
【0100】
<トリブロック共重合体(b)>
[トリブロック共重合体(b-1)]
クラリティLK9243(株式会社クラレ製)
メタクリル酸メチル/アクリル酸n-ブチル/アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)共重合体(トリブロック体)
セグメントA(ハードセグメント):MMA
セグメントB(ソフトセグメント):n-BA、2EHA
重量平均分子量:74,000
【0101】
<ジブロック共重合体(c)>
[ジブロック共重合体(c-1)]
クラリティLA2114(株式会社クラレ製)
メタクリル酸メチル/アクリル酸n-ブチル共重合体(ジブロック体)
セグメントA(ハードセグメント):MMA
セグメントB(ソフトセグメント):n-BA
重量平均分子量68,000
【0102】
<粘着付与樹脂(d)>
[粘着付与樹脂(d-1)]
タマノル901(荒川化学工業株式会社製)
ロジンフェノール樹脂
軟化点130℃
[粘着付与樹脂(d-2)]
ペンセルD-125(荒川化学工業株式会社製)
重合ロジンエステル
軟化点125℃
[粘着付与樹脂(d-3)]
ペンセルD-153(荒川化学工業株式会社製)
重合ロジンエステル
軟化点153℃
[粘着付与樹脂(d-4)]
YSポリスターT115(ヤスハラケミカル株式会社製)
テルペンフェノール樹脂
軟化点115度
[粘着付与樹脂(d-5)]
スーパーエステルA115(荒川化学工業株式会社製)
ロジンエステル
軟化点115℃
[粘着付与樹脂(d-6)]
KE311(荒川化学工業株式会社製)
ロジンエステル
軟化点95℃
【0103】
<可塑剤(e)>
[可塑剤(e-1)]
アルフォン(登録商標)UP-1010(東亞合成株式会社製)
無官能基タイプのアクリルポリマー
【0104】
<<粘着テープの製造>>
各原料を表1に示す配合量(単位は質量部)にて含む混合物を、二軸混練機にて溶融混練し、粘着剤組成物とした。
混練後、粘着剤層の厚みが0.018mmとなるように、基材(PET38μm)上に粘着剤組成物を塗工し、実施例1~12及び比較例1~18の粘着テープとした。
【0105】
<<評価>>
実施例1~12及び比較例1~18の粘着テープに関し、以下の方法で各特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0106】
<自着性(ワイヤーマーク)>
直径2mmのワイヤーに、幅20mmの粘着テープを巻き付け、粘着テープ同士を合掌貼りして固着した。
合掌貼り部分の長さが10mmとなるように、余分な粘着テープを切除し、評価サンプルとした。
評価サンプルを、温度40℃の条件で、3日間保持した。
3日間保持した後において、評価サンプルの、合掌貼り部分が残存した長さを測定し、以下の評価基準に基づき評点を行った。
1種類の粘着テープに対して10回の測定を行い、その平均値を算出し、自着性の評価とした。
3点以上を合格ラインとする。
【0107】
(評価基準)
5点:合掌貼り部分の長さが5mm以上である
4点:合掌貼り部分の長さが2mm以上5mm未満である
3点:合掌貼り部分の長さが1mm以上2mm未満である
2点:合掌貼り部分の長さが1mm未満である(テープ端のみで接着)
1点:粘着テープが剥がれ落ちた
【0108】
<耐端末剥がれ性>
対辺寸法10mmの六角レンチ(六角柱の金属棒)に幅12mm×長さ34mmの粘着テープを巻き付け、テープを指で圧着し、評価サンプルとした。
この際、粘着テープが金属棒の全周を覆わず(粘着テープの巻き数が1周未満であり)、且つ、六角柱の6つの側辺全てに跨って粘着テープが貼付された状態とした(図1(1)に示すように、評価基準で5点の状態)。
評価サンプルを、温度40℃の条件で、3日間保持した。
3日間保持した後において、評価サンプルの粘着テープの状態を確認し、以下の評価基準に基づき評点を行った。
1種類の粘着テープに対して10回の測定を行い、その平均値を算出し、耐端末剥がれ性の評価とした。
3点以上を合格ラインとする。
【0109】
(評価基準)
5点:図1(1)に示すように、粘着テープに剥がれがほぼ発生しなかった
4点:図1(2)に示すように、粘着テープの端部の一部に剥がれが発生した
3点:図1(3)に示すように、粘着テープの両端部の一部に剥がれが発生した
2点:図1(4)に示すように、粘着テープに大きな剥がれが発生した
1点:図1(5)に示すように、一部のみ粘着テープが固着している状態となった
【0110】
【表1】
【0111】
以上、本開示の好適な実施の形態について説明したが、本開示は上述した形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で当業者が想到し得る他の形態または各種の変更例についても本開示の技術的範囲に属するものと理解される。
図1