(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020981
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】管理装置、機能部、車載通信システムおよび車両通信管理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/082 20220101AFI20240207BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20240207BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20240207BHJP
【FI】
H04L41/082
H04L12/28 100A
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123579
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】山根 遼
(72)【発明者】
【氏名】泉 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 世志夫
(72)【発明者】
【氏名】小方 賢太
(72)【発明者】
【氏名】中條 充
(72)【発明者】
【氏名】菊地 慶剛
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 康広
(72)【発明者】
【氏名】大武 生祥
【テーマコード(参考)】
5B376
5K033
【Fターム(参考)】
5B376AB06
5B376AB14
5B376CA16
5B376CA17
5B376CA42
5B376CA46
5B376FA11
5B376GA08
5K033BA06
5K033EC02
(57)【要約】
【課題】新たな構成の車載ネットワークにおいて、各機能部間における通信をより確実に行うことが可能な管理装置、機能部、車載通信システムおよび車両通信管理プログラムを提供する。
【解決手段】管理装置は、1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置であって、前記車載ネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部から送信された、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定された場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を、前記車載機能部と異なる外部装置へ送信する更新要求部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置であって、
前記車載ネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、
前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部から送信された、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定された場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を、前記車載機能部と異なる外部装置へ送信する更新要求部とを備える、管理装置。
【請求項2】
前記管理装置は、さらに、
前記新規機能部から前記要件情報を受信した場合、前記要件を判断するための前記車載機能部の機能部情報を前記車載機能部から取得する取得部を備え、
前記判定部は、前記要件情報および前記機能部情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記管理装置は、さらに、
前記要件を判断するための前記車載機能部の機能部情報を前記外部装置から取得する取得部を備え、
前記判定部は、前記要件情報および前記機能部情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記要件は、前記車載機能部に組み込まれたソフトウェアのバージョンと前記新規機能部に組み込まれたソフトウェアのバージョンとが同一であること、または、前記車載機能部に組み込まれたソフトウェアのバージョンが前記新規機能部に組み込まれたソフトウェアのバージョンより新しいことである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる機能部であって、
前記機能部が前記車載ネットワークに追加された場合、前記車載機能部と通信を行うために必要な要件を示す要件情報を前記車載ネットワークにおける管理装置へ送信する処理部を備える、機能部。
【請求項6】
1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置と、
機能部とを備え、
前記管理装置は、前記車載ネットワークへの前記機能部の追加を検知し、
前記車載ネットワークへの追加を検知された前記機能部である新規機能部は、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す情報である要件情報を前記管理装置へ送信し、
前記管理装置は、前記新規機能部から受信した前記要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定し、
前記管理装置は、前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定した場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を、前記車載機能部と異なる外部装置へ送信する、車載通信システム。
【請求項7】
1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置において用いられる車両通信管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記車載ネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、
前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部から送信された、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定された場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を、前記車載機能部と異なる外部装置へ送信する更新要求部、
として機能させるための、車両通信管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、機能部、車載通信システムおよび車両通信管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザのニーズに応じて様々な機能部を、車載ネットワークへ追加することが可能な技術が求められている。たとえば、特許文献1(特開2017-220220号公報)には、以下のような車両用電子制御装置が開示されている。すなわち、車両用電子制御装置は、車載ネットワーク(6)に接続され、搭載されているアプリケーションにより所定の機能を実行する車両用電子制御装置(1~5)であって、前記アプリケーションからの要求に応じて前記車載ネットワークに接続された他の車両用電子制御装置に搭載されている機能を利用するサービスを要求すると共に、前記他の車両用電子制御装置からサービスの要求を受けた場合はサービスを生成して応答するサービスインターフェース(8)と、前記サービスインターフェースと、前記他の車両用電子制御装置の前記サービスインターフェースとの間で所定のプロトコルによりサービスの要求及び応答に対応したメッセージを送受信するサービスバス(9)と、前記サービスの位置を管理することで前記サービスを動的に相互利用可能とするサービス管理部(11)とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、新たな機能部が追加される前の車載ネットワークにおける機能部が、追加された機能部との通信に対応していない場合、各機能部間の通信が不調または不能となる可能性がある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、新たな構成の車載ネットワークにおいて、各機能部間における通信をより確実に行うことが可能な管理装置、機能部、車載通信システムおよび車両通信管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の管理装置は、1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置であって、前記車載ネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部から送信された、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定された場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を、前記車載機能部と異なる外部装置へ送信する更新要求部とを備える。
【0007】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を含む管理装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現され得たり、管理装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。本開示の一態様は、機能部における処理をステップとする方法として実現され得たり、機能部の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、新たな構成の車載ネットワークにおいて、各機能部間における通信をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける新規ネットワークの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、比較例に係る車載ネットワークにおける機能部のバージョン情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態に係る新規機能部の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、本開示の実施の形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る管理装置は、1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置であって、前記車載ネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部から送信された、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定された場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を、前記車載機能部と異なる外部装置へ送信する更新要求部とを備える。
【0011】
このような構成により、管理装置は、車載ネットワークにおいて新規機能部の追加を検知した場合、車載機能部を新規機能部と通信可能な状態に更新することができる。したがって、新たな構成の車載ネットワークにおいて、各機能部間における通信をより確実に行うことができる。
【0012】
(2)上記(1)において、前記管理装置は、さらに、前記新規機能部から前記要件情報を受信した場合、前記要件を判断するための前記車載機能部の機能部情報を前記車載機能部から取得する取得部を備えてもよく、前記判定部は、前記要件情報および前記機能部情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定してもよい。
【0013】
このような構成により、車載機能部が新規機能部との通信に対応しているか否かを判定するにあたって、たとえば最新の機能部情報を考慮することが可能となるため、判定部による判定精度を向上させることができる。また、車載機能部の機能部情報をたとえば車載ネットワーク外の外部装置から取得する必要がないので、当該機能部情報の取得処理を簡略化することができる。
【0014】
(3)上記(1)において、前記管理装置は、さらに、前記要件を判断するための前記車載機能部の機能部情報を前記外部装置から取得する取得部を備えてもよく、前記判定部は、前記要件情報および前記機能部情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定してもよい。
【0015】
このような構成により、車載機能部が新規機能部との通信に対応しているか否かを判定するにあたって、たとえば最新の機能部情報を考慮することが可能となるため、判定部による判定精度を向上させることができる。また、たとえば車載ネットワークにおける車載機能部から当該車載機能部の機能部情報を取得することができ、当該機能部情報を取得することができる。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記要件は、前記車載機能部に組み込まれたソフトウェアのバージョンと前記新規機能部に組み込まれたソフトウェアのバージョンとが同一であること、または、前記車載機能部に組み込まれたソフトウェアのバージョンが前記新規機能部に組み込まれたソフトウェアのバージョンより新しいことであってもよい。
【0017】
このような構成により、車載機能部および新規機能部が互いに通信を行う上で、車載機能部に組み込まれるソフトウェアを適切な状態に更新することができる。
【0018】
(5)本開示の実施の形態に係る機能部は、1または複数の車載機能部と管理装置とを含む車載ネットワークに用いられる機能部であって、前記機能部が前記車載ネットワークに追加された場合、前記車載機能部と通信を行うために必要な要件を示す要件情報を前記車載ネットワークにおける管理装置へ送信する処理部を備える。
【0019】
このような構成により、機能部が車載ネットワークに追加された場合、管理装置は、要件情報を当該機能部から取得できるので、車載機能部が当該要件情報に含まれる要件を満たすか否かを判断することができる。また、管理装置は、車載機能部が当該要件を満たしていない場合、追加された機能部が車載機能部と正常に通信するために必要な各種処理を行うことができる。したがって、新たな構成の車載ネットワークにおいて、各機能部間における通信をより確実に行うことができる。
【0020】
(6)本開示の実施の形態に係る車載通信システムは、1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置と、機能部とを備え、前記管理装置は、前記車載ネットワークへの前記機能部の追加を検知し、前記車載ネットワークへの追加を検知された前記機能部である新規機能部は、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す情報である要件情報を前記管理装置へ送信し、前記管理装置は、前記新規機能部から受信した前記要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定し、前記管理装置は、前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定した場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を、前記車載機能部と異なる外部装置へ送信する。
【0021】
このような構成により、管理装置は、車載ネットワークにおいて新規機能部の追加を検知した場合、車載機能部を新規機能部と通信可能な状態に更新することができる。したがって、新たな構成の車載ネットワークにおいて、各機能部間における通信をより確実に行うことができる。
【0022】
(7)本開示の実施の形態に係る車両通信管理プログラムは、1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置において用いられる車両通信管理プログラムであって、コンピュータを、前記車載ネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部から送信された、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定された場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を、前記車載機能部と異なる外部装置へ送信する更新要求部、として機能させるためのプログラムである。
【0023】
このような構成により、管理装置は、車載ネットワークにおいて新規機能部の追加を検知した場合、車載機能部を新規機能部と通信可能な状態に更新することができる。したがって、新たな構成の車載ネットワークにおいて、各機能部間における通信をより確実に行うことができる。
【0024】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0025】
[通信システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【0026】
図1を参照して、通信システム501は、サーバ180と、1または複数の車載通信システム301とを備える。車載通信システム301は、車両1に搭載される。
【0027】
[車載通信システム]
図2は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【0028】
図2を参照して、車載通信システム301は、たとえば、1または複数の車載ECU(Electonic Control Unit)202と、1または複数の中継装置101とを備える。
【0029】
図2に示す例では、車載通信システム301は、車載ECU202である車載ECU202A,202Bと、1つの中継装置101とを備える。車載ECU202および中継装置101は、車載ネットワーク401を構成する。車載ECU202は、車両1に搭載される車載機能部の一例である。中継装置101は、管理装置の一例である。
【0030】
なお、車載通信システム301は、2つの車載ECUを備える構成に限らず、1つまたは3つ以上の車載ECU202を備える構成であってもよい。また、車載通信システム301は、1つの中継装置101を備える構成に限らず、複数の中継装置101を備える構成であってもよい。
【0031】
車載ネットワーク401において、車載ECU202は、たとえばイーサネット(登録商標)ケーブル11を介して中継装置101に接続される。
【0032】
より詳細には、中継装置101は、複数の通信ポート51を含む。通信ポート51は、たとえば、イーサネットケーブル11を接続可能な端子である。中継装置101および各車載ECU202は、通信ポート51およびイーサネットケーブル11を介して他の車載ECU202に接続されている。
【0033】
中継装置101は、複数の車載ECU202を含む車載ネットワーク401に用いられる。中継装置101は、たとえばゲートウェイ装置であり、自己に接続される複数の車載ECU202間のデータを中継可能である。中継装置101は、たとえば、レイヤ2、およびレイヤ2よりも上位のレイヤ3に従って中継処理を行うことが可能である。
【0034】
より詳細には、中継装置101は、たとえばイーサネットの通信規格に従って、イーサネットケーブル11を介して接続された車載ECU202間でやり取りされるフレームの中継処理を行う。
【0035】
なお、車載通信システム301では、イーサネットの通信規格に従ってフレームの中継処理が行われる構成に限らず、たとえば、CAN(Controller Area Network)、CAN FD(CAN with Flexible Data Rate)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oritend System Transport)(登録商標)およびLIN(Local Interconnect Network)等の通信規格に従ってフレームの中継が行われる構成であってもよい。
【0036】
中継装置101および各車載ECU202は、後述する各種情報を含むフレームを生成し、他の車載ECU202または中継装置101へ送信する。
【0037】
車載ECU202は、たとえば、TCU(Telematics Communication Unit)、自動運転ECU、エンジンECU、センサ、ナビゲーション装置、ヒューマンマシンインターフェース、およびカメラ等である。
【0038】
この例では、車載ECU202Aおよび車載ECU202Bは、それぞれエンジンECUおよびTCUである。
【0039】
以下、車載ECU202Aおよび車載ECU202Bを、それぞれエンジンECU202AおよびTCU202Bとも称する。
【0040】
エンジンECU202Aは、中継装置101を介してTCU202Bと通信を行うことが可能であり、たとえば車両1におけるエンジンを制御する。
【0041】
より詳細には、エンジンECU202Aは、たとえば、エンジンの回転数、車両1の車速、エンジンの軸トルク、トランスミッションの状態、スロットルバルブの状態、および各センサの計測値等を示す情報を取得し、取得した情報に基づいてエンジンを制御する。
【0042】
また、エンジンECU202Aは、たとえば、中継装置101からの要求に応じて、取得した情報の一部または全部を中継装置101へ送信することが可能である。
【0043】
図1および
図2を参照して、TCU202Bは、サーバ180と通信を行うことが可能である。詳細には、TCU202Bは、たとえば、IPパケットを用いて無線基地局装置161経由でサーバ180と通信することが可能である。
【0044】
より詳細には、TCU202Bは、たとえば、LTE(Long Term Evolution)または5G等の通信規格に従って、無線基地局装置161と無線通信を行うことが可能である。
【0045】
具体的には、無線基地局装置161は、サーバ180からインターネット等の外部ネットワーク170経由でIPパケットを受信すると、受信したIPパケットを無線信号に含めてTCU202Bへ送信する。
【0046】
TCU202Bは、サーバ180からのIPパケットを含む無線信号を無線基地局装置161から受信すると、受信した無線信号からIPパケットを取得し、取得したIPパケットをイーサネットフレームに格納して中継装置101へ送信する。
【0047】
また、TCU202Bは、中継装置101からイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームからIPパケットを取得し、取得したIPパケットを無線信号に含めて無線基地局装置161へ送信する。
【0048】
無線基地局装置161は、TCU202Bから無線信号を受信すると、受信した無線信号からIPパケットを取得し、取得したIPパケットを外部ネットワーク170経由でサーバ180へ送信する。
【0049】
サーバ180は、たとえばOTA(Over The Air)サーバであり、車両1の外部に設けられる。サーバ180は、車載機能部と異なる外部装置の一例である。サーバ180は、車載ECU202に組み込まれたソフトウェアを更新するための更新用プログラムを保持している。後述するように、サーバ180は、中継装置101からの要求に応じて、更新用プログラムを指定された車載ECU202へ送信する。
【0050】
[中継装置]
図3は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。
【0051】
図3を参照して、中継装置101は、中継部111と、検知部112と、取得部113と、判定部114と、更新要求部115と、生成部116と、設定部117と、記憶部118とを備える。
【0052】
中継部111、検知部112、取得部113、判定部114、更新要求部115、生成部116および設定部117の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部118は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0053】
中継部111は、車載ECU202間で送受信されるフレームを中継する。より詳細には、中継部111は、ある車載ECU202からフレームを受信すると、受信したフレームを送付先の車載ECU202へ送信する。
【0054】
また、中継部111は、車載ネットワーク401に新たに追加された機能部から自己の中継装置101宛てのフレームを受信すると、受信したフレームを検知部112へ出力する。
【0055】
以下、車載ネットワーク401に新たに追加される機能部を新規機能部とも称し、新規機能部を含む車載ネットワーク401を新規ネットワークとも称し、新規機能部が追加される前の車載ネットワーク401を既存ネットワークとも称する。また、既存ネットワークに含まれる機能部を既存機能部とも称する。
【0056】
図4は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける新規ネットワークの構成を示す図である。
図4は、
図2に示される車載ネットワーク401に新たに車載ECU202Cが追加された車載ネットワーク401の構成を示している。
【0057】
図4を参照して、車載ECU202Cは、たとえば、イーサネットケーブル11を介して中継装置101における通信ポート51に接続される。この例では、車載ECU202Cは、ナビゲーション装置である。以下、車載ECU202Cをナビゲーション装置202Cとも称する。
【0058】
再び
図3を参照して、中継装置101における検知部112は、車載ネットワーク401への新規機能部の追加を検知する。ここでは、検知部112は、車載ECU202Cを検知する。
【0059】
検知部112は、車載ECU202Cからフレームを中継部111経由で受信して、当該フレームに含まれるIDおよび認証用パスワードを用いて、当該車載ECU202Cの認証処理を行う。
【0060】
検知部112は、車載ECU202Cの認証に成功すると、認証が成功した旨を示す認証成功情報を含むフレームを中継部111経由で車載ECU202Cへ送信する。
【0061】
検知部112は、上記のように新規機能部の認証に成功すると、たとえば新規機能部のIDを示す検知情報を含むフレームを取得部113へ出力する。
【0062】
なお、検知部112は、たとえば定期的に、新規機能部を検知するための探索メッセージを中継部111経由でブロードキャストする構成であってもよい。この場合、新規機能部は、上記探索メッセージを受信し、受信した探索メッセージに対する応答として上記接続要求情報を送信する。
【0063】
また、検知部112は、車載ネットワーク401における既存の車載ECU202にインストールされるアプリケーションを新規機能部として追加する構成であってもよい。すなわち、新規機能部は、ハードウェアであってもよいし、ソフトウェアであってもよい。
【0064】
以下、車載ECU202におけるアプリケーションを実現するソフトウェアを、単に「ソフトウェア」とも称する。
【0065】
[課題]
ところで、新規ネットワークにおいて、既存機能部が新規機能部との通信に対応していない場合、各機能部間の通信を正常に行えない可能性がある。
【0066】
たとえば、
図4において、既存機能部の一例である車載ECU202B、に組み込まれたソフトウェア(以下、「既存ソフトウェア」とも称する。)が、新規機能部である車載ECU202C、に組み込まれたソフトウェア(以下、「新規ソフトウェア」とも称する。)との通信に対応していない場合、車載ECU202Cと車載ECU202Bとの間の通信が、不調または不能となる可能性がある。
【0067】
図5は、比較例に係る車載ネットワークにおける車載ECUに組み込まれたソフトウェアのバージョン情報の一例を示す図である。
【0068】
図5の例では、既存ソフトウェアのバージョンが「Ver.1」であり、新規ソフトウェアのバージョンが「Ver.2」である。このように、既存ソフトウェアのバージョンが新規ソフトウェアのバージョンより古い場合、新規ネットワークにおいて、正常な通信を確保することができない可能性がある。
【0069】
これに対して、本開示の実施の形態に係る車載通信システムでは、以下のような構成および動作により、上記課題を解決する。
【0070】
[新規機能部]
図6は、本開示の実施の形態に係る新規機能部の構成を示す図である。
図6は、
図4に示される車載ECU202Cの構成を示している。
【0071】
図6を参照して、車載ECU202Cは、通信部211と、処理部212と、記憶部213とを備える。通信部211および処理部212の一方または両方は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。記憶部213は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0072】
通信部211は、中継装置101または他の車載ECU202から自己の車載ECU202C宛てのフレームを受信すると、受信したフレームを処理部212へ出力する。
【0073】
処理部212は、通信部211から受けたフレームに含まれる情報に基づいて各種処理を行う。処理部212は、たとえば、中継装置101から認証成功情報を受信すると、他の機能部と通信を行うために必要な要件を示す要件情報を当該中継装置101へ送信する。
【0074】
より詳細には、処理部212は、既存機能部と通信を行うための要件情報を含むフレームを通信部211経由で中継装置101へ送信する。ここでは、処理部212は、車載ECU202Bと通信を行うための要件情報を含むフレームを中継装置101へ送信することとする。
【0075】
要件情報は、たとえば、既存機能部と新規機能部との通信の要件となる既存ソフトウェアのバージョン情報および新規ソフトウェアのバージョン情報を含む。
【0076】
要件情報に含まれる要件(以下、「要件R」とも称する。)は、たとえば、既存ソフトウェアのバージョンと新規ソフトウェアのバージョンとが同一であることである。具体的には、要件Rは、たとえば、車載ECU202Bに組み込まれたソフトウェアのバージョンと車載ECU202Cに組み込まれたソフトウェアのバージョンとが同一であることである。
【0077】
なお、要件Rは、既存ソフトウェアのバージョンが、新規ソフトウェアのバージョンより新しいことであってもよい。
【0078】
また、要件Rは、既存機能部に要求される通信動作の設定内容を示す要件であってもよい。たとえば、要件Rは、既存機能部における通信帯域についての要件、および既存機能部が新規機能部へ送信する情報の送信周期についての要件等であってもよい。
【0079】
また、要件情報は、新規機能部の仕様を示す情報であってもよい。より詳細には、要件情報は、新規機能部が提供するサービスの内容を示す情報であってもよい。
【0080】
また、要件情報が、新規機能部が要求するサービスの内容を示す情報である場合、要件Rは、当該サービスを提供可能である旨の情報を含むフレームを新規機能部が所定時間内に既存機能部から受信することであってもよい。
【0081】
[取得部]
図1および
図3を参照して、中継装置101における取得部113は、新規機能部の要件情報および既存機能部の機能部情報を取得する。
【0082】
より詳細には、取得部113は、検知部112によって追加を検知された新規機能部から要件情報を受信した場合、要件Rを判断するための既存機能部の機能部情報を当該既存機能部から取得する。取得部113は、検知部112から検知情報を受けると、要件情報を要求するための情報要求通知を中継部111経由で新規機能部へ送信する。取得部113は、新規機能部から要件情報を中継部111経由で受信すると、機能部情報を要求するための情報要求通知を中継部111経由で既存機能部へ送信する。
【0083】
取得部113は、既存機能部の機能部情報として、たとえば、既存ソフトウェアのバージョン情報を取得する。取得部113は、新規機能部から受信した要件情報および既存機能部から受信した機能部情報を判定部114へ出力する。なお、取得部113は、新規機能部から要件情報を受信した場合、既存機能部の機能部情報をサーバ180から取得してもよい。
【0084】
[判定部]
判定部114は、新規機能部から送信された要件情報に基づいて、既存機能部が要件Rを満たしているか否かを判定する。
【0085】
より詳細には、判定部114は、取得部113から受けた要件情報および機能部情報に基づいて、既存機能部が要件Rを満たしているか否かを判定する。たとえば、判定部114は、上述の
図5に示されるように、既存ソフトウェアのバージョンが新規ソフトウェアのバージョンより古い場合、既存機能部が要件Rを満たしていないと判定する。判定部114は、既存機能部が要件Rを満たしていないと判定した場合、判定結果が否定的であることを示す情報(以下、「判定否定情報」とも称する。)を更新要求部115へ出力する。
【0086】
一方、判定部114は、既存機能部が要件Rを満たしていると判定した場合、判定結果が肯定的であることを示す情報(以下、「判定肯定情報」とも称する。)を生成部116へ出力する。
【0087】
[更新要求部]
図1、
図2および
図3を参照して、更新要求部115は、判定部114によって既存機能部が要件Rを満たしていないと判定された場合、既存機能部の更新を要求する更新要求情報を、中継部111およびTCU202Bを介して外部装置へ送信する。より詳細には、更新要求部115は、判定部114から判定否定情報を受けると、更新要求情報を中継部111へ出力する。中継部111は、更新要求部115から更新要求情報を受けると、当該更新要求情報が格納されたイーサネットフレームを通信ポート51経由でTCU202Bへ送信する。
【0088】
TCU202Bは、中継部111から当該イーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームからIPパケットを取得し、取得したIPパケットを無線信号に含めて無線基地局装置161経由でサーバ180へ送信する。
【0089】
なお、更新要求情報は、新規機能部の機能部情報を含んでもよい。たとえば、更新要求情報が格納されたイーサネットフレームは、既存ソフトウェアの更新後のバージョンを指定する情報を含んでもよい。当該イーサネットフレームは、更新後の既存ソフトウェアのバージョンを指定する情報として、新規ソフトウェアのバージョンと同一のバージョンを示す情報または新規ソフトウェアのバージョンより新しいバージョンを示す情報を含んでもよい。
【0090】
サーバ180は、TCU202BからIPパケットを含む無線信号を受信すると、既存ソフトウェアの更新用プログラム、自己のIDおよび更新対象の既存機能部のMAC(Media Access Control)アドレスを含むIPパケットを外部ネットワーク170経由で無線基地局装置161へ送信する。ここでは、IPパケットに含まれる更新対象の既存機能部のMACアドレスは、TCU202BのMACアドレスとする。
【0091】
無線基地局装置161は、サーバ180から外部ネットワーク170経由でIPパケットを受信すると、受信したIPパケットを無線信号に含めてTCU202Bへ送信する。
【0092】
TCU202Bは、IPパケットを含む無線信号を無線基地局装置161から受信すると、受信した無線信号からIPパケットを取得し、当該IPパケットに含まれる更新用プログラムをインストールする。これにより、TCU202Bに組み込まれた既存ソフトウェアを更新することができる。
【0093】
TCU202Bは、ソフトウェアの更新が完了した場合、通信システム501における他の装置に所定の通知を行う。具体的には、TCU202Bは、ソフトウェアの更新が完了した旨を示す更新完了通知を含むIPパケットを無線基地局装置161経由でサーバ180へ送信する。また、TCU202Bは、更新完了通知を中継装置101へ送信する。
【0094】
なお、通信システム501における上記外部装置は、車載ネットワーク401の外部におけるサーバ180に限らず、たとえば、既存機能部に組み込まれたプログラムなどをリプログラミングする装置(以下、「リプログラミング装置」とも称する。)であってもよい。中継装置101は、リプログラミング装置と通信ケーブルを介して通信を行うことが可能である。すなわち、中継装置101は、無線回線に限らず、有線回線によって車載ネットワーク401内における外部装置に接続されてもよい。
【0095】
[生成部]
再び
図3を参照して、中継装置101における生成部116は、判定部114から判定肯定情報を受けるか、または既存機能部から更新完了通知を受信すると、既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報を取得する。生成部116は、既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する。
【0096】
より詳細には、生成部116は、既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報を中継部111経由で取得する。
【0097】
生成部116は、取得した既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する。
【0098】
たとえば、生成部116は、機能部情報として、新規ネットワークにおける車載ECU202および中継装置101等のハードウェア装置のトポロジを認識可能な情報を取得する。また、たとえば、生成部116は、新規ネットワークにおけるハードウェア装置へのアプリケーションの配置に関する制約を認識可能な情報を取得する。また、たとえば、生成部116は、新規ネットワークにおける通信方式の制約を認識可能な情報を取得する。
【0099】
生成部116は、ハードウェア装置のトポロジを認識可能な情報として、たとえば、車載ECU202および中継装置101が搭載される車両1のメーカおよび車種を示す車両情報、当該車両1に搭載された追加オプションを示す追加オプション情報、車載ECU202のメーカおよび製造番号等を示す識別子である車載装置ID、ハードウェア装置間の接続における通信ポートのポート番号、ならびにハードウェア装置間の通信経路の帯域幅の情報を取得する。
【0100】
生成部116は、ハードウェア装置へのアプリケーションの配置に関する制約を認識可能な情報として、たとえば、車載ECU202におけるアプリケーションの、実行に必要な演算速度、メモリ使用量、OS(Operating System)環境の制約、ならびにTCP(Transmission Control Protocol)およびUDP(User datagram Protocol)等の通信プロトコルの制約に関する情報のうち、少なくともいずれか1種類の情報を取得する。
【0101】
生成部116は、新規ネットワークにおける通信方式の制約を認識可能な情報として、車載ECU202におけるアプリケーションの、通信データサイズ、通信頻度、バースト送信の要否、許容される遅延時間、許容される損失量、必要とするセキュリティのレベル、動作タイミング、たとえば周期的通信か不定期通信かを示す通信タイプ、通信相手となるアプリケーションの識別子、および要求応答型または出版購読型等を示すメッセージング方式、ならびにアプリケーションによる通信の優先度に関する情報のうち、少なくともいずれか1種類の情報を取得する。
【0102】
たとえば、生成部116は、上述のような機能部情報の種類のうち、新規ネットワークの設定情報に必要な1または複数の種類の機能部情報を特定する。
【0103】
生成部116は、特定した種類の機能部情報を要求するための情報要求通知を、中継部111経由で既存機能部および新規機能部へ送信する。
【0104】
既存機能部および新規機能部は、生成部116から受信した情報要求通知に対する応答として、たとえば情報要求通知において指定されている種類の自己の機能部情報を、生成部116へ送信する。
【0105】
生成部116は、既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報を中継部111経由で受信すると、受信した各機能部情報に基づいて、新規ネットワークの設定情報を生成する。
【0106】
より詳細には、生成部116は、設定情報として、車両1および新規ネットワークにおける機能部を特定可能な情報を生成する。
【0107】
より詳細には、生成部116は、新規ネットワークにおいて通信を行うための中継装置101の設定内容を示す設定情報を生成する。
【0108】
たとえば、生成部116は、取得した既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報に基づいて、中継装置101におけるフィルタリング、通信帯域幅およびVLAN(Virtual Local Area Network)設定等、新規ネットワークにおいて各機能部および中継装置101が通信を行うための中継装置101の設定内容を示す設定情報を生成する。生成部116は、当該設定情報を設定部117へ出力する。なお、取得部113は、要件Rを判断するための機能部情報として、既存ソフトウェアのバージョン情報を取得する構成に限らず、上述のような機能部情報を取得する構成であってもよい。
【0109】
[設定部]
設定部117は、生成部116から設定内容を通知されると、通知された設定内容に従って各種設定変更を行う。
【0110】
なお、生成部116は、既存機能部および新規機能部の設定内容をさらに示す設定情報を生成し、当該設定情報に基づいて、新規ネットワークにおいて通信を行うための設定内容を既存機能部および新規機能部に通知する構成であってもよい。
【0111】
新規ネットワークにおける各機能部および中継装置101は、変更後の設定内容に従って互いに通信を行う。
【0112】
なお、中継装置101は、更新要求情報をサーバ180へ送信する構成に限らず、当該更新要求情報を、車載ネットワーク401内における表示装置等の外部装置へ送信する構成であってもよい。たとえば、中継装置101は、更新要求情報を
図4に示す車載ネットワーク401内におけるナビゲーション装置202Cへ送信してもよい。ナビゲーション装置202Cは、更新要求情報を受信すると、たとえば既存機能部の更新を促す旨を画面に表示する。
【0113】
[動作の流れ]
図7は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0114】
図7を参照して、まず、新規機能部は、接続要求情報を中継装置101へ送信する(ステップS11)。
【0115】
次に、中継装置101は、接続要求情報を受信すると、新規機能部を検知し、当該新規機能部の認証処理を行う(ステップS12)。
【0116】
次に、中継装置101は、新規機能部の認証に成功すると、認証成功情報を新規機能部へ送信する(ステップS13)。
【0117】
また、中継装置101は、新規機能部の認証に成功すると、要件情報を要求するための情報要求通知を新規機能部へ送信する(ステップS14)。
【0118】
次に、新規機能部は、情報要求通知に対する応答として、要件情報を中継装置101へ送信する(ステップS15)。
【0119】
次に、中継装置101は、新規機能部から要件情報を受信すると、既存機能部の機能部情報を要求するための情報要求通知を既存機能部へ送信する(ステップS16)。
【0120】
次に、既存機能部は、情報要求通知に対する応答して、自己の機能部情報を中継装置101へ送信する。ここでは、既存機能部は、自己の機能部情報として、既存ソフトウェアのバージョン情報を中継装置101へ送信する(ステップS17)。
【0121】
次に、中継装置101は、要件情報および機能部情報に基づいて、既存機能部が要件Rを満たしているか否かを判定する(ステップS18)。
【0122】
次に、中継装置101は、既存機能部が要件Rを満たしていないと判定した場合(ステップS18において「NO」)、既存ソフトウェアの更新を要求する更新要求情報をサーバ180へ送信する(ステップS19)。
【0123】
次に、サーバ180は、中継装置101からの更新要求情報において指定されているバージョンを含む更新用プログラムを既存機能部へ送信する(ステップS20)。
【0124】
次に、既存機能部は、サーバ180から受信した更新用プログラムをインストールすることで、既存ソフトウェアの更新を行い(ステップS21)、当該更新が完了すると、更新完了通知をサーバ180へ送信する(ステップS22)。
【0125】
また、既存機能部は、既存ソフトウェアの更新が完了すると、更新完了通知を中継装置101へ送信する(ステップS23)。
【0126】
次に、中継装置101は、既存機能部から更新完了通知を受信すると、既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報に基づいて、新規ネットワークの設定情報を生成する(ステップS24)。
【0127】
次に、中継装置101は、生成した設定情報に基づいて、自己の各種設定変更を行う(ステップS25)。
【0128】
次に、新規ネットワークにおける中継装置101、新規機能部および既存機能部は、変更後の設定内容に従って互いに通信を行う(ステップS26)。
【0129】
一方、中継装置101は、既存機能部が要件Rを満たしていると判定した場合(ステップS18において「YES」)、ステップS24からステップS26までの処理を行う。
【0130】
<変形例>
上述の例では、中継装置101における取得部113は、検知部112によって追加を検知された新規機能部から要件情報を受信した場合に、既存機能部の機能部情報を当該既存機能部から取得する。以下の例では、サーバ180は、既存ネットワークにおける既存機能部の機能部情報を保持し、当該機能部情報を中継装置101へ送信する。言い換えれば、以下の例では、中継装置101は、既存機能部の機能部情報をサーバ180から取得する。
【0131】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの他の例を示す図である。
【0132】
図3および
図8を参照して、まず、サーバ180は、定期的または不定期に、既存機能部の機能部情報を中継装置101へ送信する。より詳細には、サーバ180は、機能部情報として、既存ソフトウェアのバージョン情報を保持している。サーバ180は、既存ネットワークにおける既存ソフトウェアの更新時等に、当該バージョン情報を中継装置101へ送信する。サーバ180は、たとえば、既存ネットワークが複数の既存機能部を含む場合、各既存機能部の機能部情報を中継装置101へ送信する(ステップS31)。
【0133】
次に、中継装置101は、サーバ180から受信した既存機能部の機能部情報を記憶部118に記憶する(ステップS32)。
【0134】
次に、新規機能部は、接続要求情報を中継装置101へ送信する(ステップS33)。
【0135】
次に、中継装置101は、接続要求情報を受信すると、新規機能部を検知し、当該新規機能部の認証処理を行う(ステップS34)。
【0136】
次に、中継装置101は、新規機能部の認証に成功すると、認証成功情報を新規機能部へ送信する(ステップS35)。
【0137】
また、中継装置101は、新規機能部の認証に成功すると、要件情報を要求するための情報要求通知を新規機能部へ送信する(ステップS36)。
【0138】
次に、新規機能部は、情報要求通知に対する応答として、要件情報を中継装置101へ送信する(ステップS37)。
【0139】
図8に示すステップS38からステップS46までの処理は、
図7に示すステップS18からステップS26までの処理とそれぞれ同様である。
【0140】
なお、本開示の実施の形態に係る管理装置は、車載通信システム301における中継装置101に含まれる構成であるとしたが、これに限定するものではない。中継装置101における中継部111以外の各ユニットの一部または全部が、車載通信システム301における中継装置101以外の装置に含まれてもよいし、車載通信システム301の外部に設けられてもよい。
【0141】
また、本開示の実施の形態に係る管理装置は、車載通信システム301と通信可能な図示しないサーバによって実現されてもよい。この場合、本開示の実施の形態に係る管理装置の機能の一部または全部が、クラウドコンピューティングによって提供されてもよい。すなわち、本開示の実施の形態に係る管理装置が、複数のクラウドサーバ等によって構成されてもよい。
【0142】
上述の実施の形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0143】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0144】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置であって、
前記車載ネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、
前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部から送信された、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定された場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を外部装置へ送信する更新要求部とを備え、
前記更新要求情報は、前記新規機能部の機能部情報を含む、管理装置。
【0145】
[付記2]
1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
車載ネットワークへの機能部の追加を検知し、
前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部から送信された、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定し、
前記判定部によって前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定された場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を外部装置へ送信する、管理装置。
【0146】
[付記3]
1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる機能部であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記機能部が前記車載ネットワークに追加された場合、前記車載機能部と通信を行うために必要な要件を示す要件情報を前記車載ネットワークにおける管理装置へ送信する、機能部。
【0147】
[付記4]
1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる管理装置における管理方法であって、
前記車載ネットワークへの機能部の追加を検知するステップと、
追加を検知された前記機能部である新規機能部から送信された、前記車載機能部と前記新規機能部とが通信を行うために必要な要件を示す要件情報に基づいて、前記車載機能部が前記要件を満たしているか否かを判定するステップと、
前記車載機能部が前記要件を満たしていないと判定された場合、前記車載機能部の更新を要求する更新要求情報を外部装置へ送信するステップとを含む、管理方法。
【0148】
[付記5]
1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる機能部における通信制御方法であって、
前記機能部が前記車載ネットワークに追加された場合、前記車載機能部と通信を行うために必要な要件を示す要件情報を前記車載ネットワークにおける管理装置へ送信するステップを備える、通信制御方法。
【0149】
[付記6]
1または複数の車載機能部を含む車載ネットワークに用いられる機能部において用いられる通信制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記機能部が前記車載ネットワークに追加された場合、前記車載機能部と通信を行うために必要な要件を示す要件情報を前記車載ネットワークにおける管理装置へ送信する処理部、
として機能させるための、通信制御プログラム。
【符号の説明】
【0150】
1 車両
11 イーサネットケーブル
51 通信ポート
101 中継装置
111 中継部
112 検知部
113 取得部
114 判定部
115 更新要求部
116 生成部
117 設定部
118,213 記憶部
161 無線基地局装置
170 外部ネットワーク
180 サーバ
202A,202B,202C 車載ECU
211 通信部
212 処理部
301 車載通信システム
401 車載ネットワーク
501 通信システム