(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020983
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】管理装置、車両通信管理方法および車両通信管理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123581
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】山根 遼
(72)【発明者】
【氏名】泉 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 世志夫
(72)【発明者】
【氏名】小方 賢太
(72)【発明者】
【氏名】中條 充
(72)【発明者】
【氏名】菊地 慶剛
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 康広
(72)【発明者】
【氏名】大武 生祥
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033BA06
5K033DB18
5K033EA03
5K033EA07
5K033EC02
(57)【要約】
【課題】車載機能部を含む新たな構成のネットワークをより確実に構築する。
【解決手段】管理装置は、1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、前記車載機能部の機能部情報を取得し、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部の機能部情報である対象情報を前記新規機能部から取得できない場合、前記対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記各機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、
前記車載機能部の機能部情報を取得し、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部の機能部情報である対象情報を前記新規機能部から取得できない場合、前記対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記各機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部とを備える、管理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記新規機能部の前記ネットワークへの追加位置を含む前記不足情報通知を送信する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記不足情報通知を送信することにより前記対象情報が取得された前記新規機能部と前記対象情報とを対応付けた履歴情報を保存し、
前記取得部は、前記検知部によって別の新規機能部が新たに検知された場合、前記履歴情報に基づいて、前記不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得した前記車載機能部の前記機能部情報を取得する、請求項1または請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記管理装置は、さらに、
記憶装置におけるデータベースから、前記生成部によって生成された前記構成情報に対応する、前記新規ネットワークの成立性を示す成立性情報を取得する設定処理部を備える、請求項1または請求項2に記載の管理装置。
【請求項5】
管理装置における車両通信管理方法であって、
1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知するステップと、
前記車載機能部の機能部情報を取得するステップと、
追加を検知した前記機能部である新規機能部の機能部情報である対象情報を前記新規機能部から取得できない場合、前記対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得するステップと、
取得した前記各機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成するステップとを含む、車両通信管理方法。
【請求項6】
管理装置において用いられる車両通信管理プログラムであって、
コンピュータを、
1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、
前記車載機能部の機能部情報を取得し、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部の機能部情報である対象情報を前記新規機能部から取得できない場合、前記対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記各機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部、
として機能させるための、車両通信管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、車両通信管理方法および車両通信管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載ネットワークの構成の設定変更を行う技術が開発されている。たとえば、特許文献1(国際公開第2020/179124号)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、管理装置は、1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部の機能部情報、および前記車載機能部の機能部情報を取得し、取得した各前記機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部と、記憶装置におけるデータベースから、前記生成部によって生成された前記構成情報に対応する、前記新規ネットワークの成立性を示す成立性情報を取得する取得部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、新規機能部は、機能部情報を送信する機能を有する。しかしながら、たとえば車載ネットワークに追加された車載ECU(Electronic Control Unit)が当該機能を有していない場合、管理装置は、新規ネットワークの構成情報を生成することが困難となる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載機能部を含む新たな構成のネットワークをより確実に構築することが可能な管理装置、車両通信管理方法および車両通信管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の管理装置は、1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、前記車載機能部の機能部情報を取得し、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部の機能部情報である対象情報を前記新規機能部から取得できない場合、前記対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記各機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部とを備える。
【0007】
本開示の一態様は、管理装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、管理装置を含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車載機能部を含む新たな構成のネットワークをより確実に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおけるネットワーク構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係る管理部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態に係る管理部の変形例の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおけるサーバの構成を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける記憶装置が記憶している成否データベースの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける記憶装置が記憶している設定データベースの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける設定変更後の新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける管理部が新規ネットワークを構築する際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図14】
図14は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおいて管理部の変形例が新規ネットワークを構築する際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図15】
図15は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの他の例を示す図である。
【
図17】
図17は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの他の例を示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る管理装置は、1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、前記車載機能部の機能部情報を取得し、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部の機能部情報である対象情報を前記新規機能部から取得できない場合、前記対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記各機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部とを備える。
【0011】
このような構成により、ネットワークに追加された新規機能部が機能部情報を送信する機能を有していない場合でも、不足情報通知を用いて当該機能部情報を補完し、新規ネットワークの構成情報を生成することができる。したがって、車載機能部を含む新たな構成のネットワークをより確実に構築することができる。
【0012】
(2)上記(1)において、前記取得部は、前記新規機能部の前記ネットワークへの追加位置を含む前記不足情報通知を送信してもよい。
【0013】
このような構成により、ネットワークに複数の不明な機器が新規機能部として追加された場合に、ユーザが各機器を容易に識別することができ、対象情報を入力する際のユーザの利便性を向上させることができる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)において、前記取得部は、前記不足情報通知を送信することにより前記対象情報が取得された前記新規機能部と前記対象情報とを対応付けた履歴情報を保存してもよく、前記取得部は、前記検知部によって別の新規機能部が新たに検知された場合、前記履歴情報に基づいて、前記不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得した前記車載機能部の前記機能部情報を取得してもよい。
【0015】
このような構成により、過去に新規機能部として対象情報を取得した車載機能部を認識することができるため、それぞれ異なる時期に複数の機能部がネットワークに追加された場合において新規ネットワークの構成情報をより確実に生成することができる。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記管理装置は、さらに、記憶装置におけるデータベースから、前記生成部によって生成された前記構成情報に対応する、前記新規ネットワークの成立性を示す成立性情報を取得する設定処理部を備えてもよい。
【0017】
このような構成により、予め生成された、ネットワークの成立性の検証結果を用いて、新規ネットワークを構築することができる。これにより、新規ネットワークとして、たとえば論理的構成および物理的構成を考慮して成立性が保証されたネットワークを構築することができるため、たとえばネットワークに新規機能部を追加することに起因する重要度の高い通信における遅延の発生を抑制することができる。
【0018】
(5)本開示の実施の形態に係る車両通信管理方法は、管理装置における車両通信管理方法であって、1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知するステップと、前記車載機能部の機能部情報を取得するステップと、追加を検知した前記機能部である新規機能部の機能部情報である対象情報を前記新規機能部から取得できない場合、前記対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得するステップと、取得した前記各機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成するステップとを含む。
【0019】
このような構成により、ネットワークに追加された新規機能部が機能部情報を送信する機能を有していない場合でも、不足情報通知を用いて当該機能部情報を補完し、新規ネットワークの構成情報を生成することができる。したがって、車載機能部を含む新たな構成のネットワークをより確実に構築することができる。
【0020】
(6)本開示の実施の形態に係る車両通信管理プログラムは、管理装置において用いられる車両通信管理プログラムであって、コンピュータを、1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、前記車載機能部の機能部情報を取得し、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部の機能部情報である対象情報を前記新規機能部から取得できない場合、前記対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記各機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部、として機能させるためのプログラムである。
【0021】
このような構成により、ネットワークに追加された新規機能部が機能部情報を送信する機能を有していない場合でも、不足情報通知を用いて当該機能部情報を補完し、新規ネットワークの構成情報を生成することができる。したがって、車載機能部を含む新たな構成のネットワークをより確実に構築することができる。
【0022】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0023】
[通信システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【0024】
図1を参照して、通信システム400は、サーバ180と、1または複数の車両通信システム300とを備える。車両通信システム300は、車両1に搭載される。
【0025】
図2は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムの構成の一例を示す図である。
【0026】
図2を参照して、車両通信システム300は、1または複数の車載ECU(Electronic Control Unit)111と、中継装置112とを備える。具体的には、車両通信システム300は、車載ECU111として、車載ECU111A,111B,111C,111D,111Eを備える。中継装置112は、管理部200を含む。
【0027】
車載ECU111A,111B,111C,111D,111Eおよび中継装置112は、それぞれアプリケーション100を含む。
【0028】
より詳細には、アプリケーション100として、車載ECU111Aはアプリケーション100Aを含み、車載ECU111Bはアプリケーション100Bを含み、車載ECU111Cはアプリケーション100Cを含み、車載ECU111Dはアプリケーション100Dを含み、車載ECU111Eはアプリケーション100Eを含み、中継装置112はアプリケーション100Fを含む。
【0029】
車載ECU111A,111B,111C,111D,111Eおよび中継装置112は、ネットワーク12を構成する。
【0030】
車載ECU111およびアプリケーション100は、ネットワーク12における機能部すなわちオブジェクトのうち、車両1に搭載される機能部である車載機能部の一例である。中継装置112は、管理装置の一例である。
【0031】
なお、車両通信システム300は、5つの車載ECU111を備える構成に限らず、1つ、2つ、3つ、4つまたは6つ以上の車載ECU111を備える構成であってもよい。また、1つの車載ECU111に1つのアプリケーション100が設けられる構成に限らず、1つの車載ECU111に2つ以上のアプリケーション100が設けられる構成であってもよい。
【0032】
また、車両通信システム300は、1つの中継装置112を備える構成に限らず、複数の中継装置112を備える構成であってもよい。また、1つの中継装置112に1つのアプリケーション100が設けられる構成に限らず、1つの中継装置112に2つ以上のアプリケーション100が設けられる構成であってもよい。
【0033】
また、ネットワーク12は、車両1の外部における外部装置および当該外部装置に設けられるアプリケーションを、機能部すなわちオブジェクトとして含んでいてもよい。
【0034】
車載ECU111は、たとえば、TCU(Telematics Communication Unit)、自動運転ECU、エンジンECU、センサ、ナビゲーション装置、ヒューマンマシンインタフェース、およびカメラ等である。
【0035】
この例では、車載ECU111A,111B,111C,111D,111Eは、それぞれTCU、吸気圧センサ、エンジンECU、温度センサ、水温センサである。
【0036】
以下、車載ECU111A,111B,111C,111D,111Eを、それぞれTCU111A、吸気圧センサ111B、エンジンECU111C、温度センサ111D、水温センサ111Eとも称する。
【0037】
ネットワーク12において、車載ECU111A,111B,111C,111D,111Eは、イーサネット(登録商標)ケーブル11を介して中継装置112に接続される。
【0038】
中継装置112は、たとえば、ゲートウェイ装置であり、自己に接続される複数の車載ECU111間のデータを中継可能である。
【0039】
中継装置112は、イーサネットの通信規格に従って、イーサネットフレームの中継処理を行う。具体的には、中継装置112は、たとえば、車載ECU111間でやり取りされるイーサネットフレームを中継する。イーサネットフレームには、IPパケットが格納される。
【0040】
なお、車両通信システム300では、イーサネットの通信規格に従ってイーサネットフレームの中継が行われる構成に限らず、たとえば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)、CAN FD(CAN with Flexible Data Rate)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oriented Systems Transport)(登録商標)およびLIN(Local Interconnect Network)等の通信規格に従ってデータの中継が行われる構成であってもよい。
【0041】
図1および
図2を参照して、TCU111Aは、サーバ180と通信を行うことが可能である。詳細には、TCU111Aは、たとえば、IPパケットを用いて無線基地局装置161経由でサーバ180と通信することが可能である。
【0042】
より詳細には、TCU111Aは、たとえば、LTE(Long Term Evolution)または5G等の通信規格に従って、無線基地局装置161と無線通信を行うことが可能である。
【0043】
具体的には、無線基地局装置161は、サーバ180からインターネット等の外部ネットワーク170経由でIPパケットを受信すると、受信したIPパケットを無線信号に含めてTCU111Aへ送信する。
【0044】
TCU111Aは、たとえば、サーバ180からのIPパケットを含む無線信号を無線基地局装置161から受信すると、受信した無線信号からIPパケットを取得し、取得したIPパケットをイーサネットフレームに格納して中継装置112へ送信する。
【0045】
また、TCU111Aは、中継装置112からイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームからIPパケットを取得し、取得したIPパケットを無線信号に含めて無線基地局装置161へ送信する。
【0046】
無線基地局装置161は、TCU111Aから無線信号を受信すると、受信した無線信号からIPパケットを取得し、取得したIPパケットを外部ネットワーク170経由でサーバ180へ送信する。
【0047】
吸気圧センサ111Bは、中継装置112を介して他の車載ECU111と通信を行うことが可能であり、たとえば車両1におけるエンジンの吸気圧を定期的に測定する。
【0048】
エンジンECU111Cは、中継装置112を介して他の車載ECU111と通信を行うことが可能であり、たとえば車両1におけるエンジンを制御する。
【0049】
より詳細には、エンジンECU111Cは、たとえば、エンジンの回転数、車両1の車速、エンジンの軸トルク、トランスミッションの状態、スロットルバルブの状態、および各センサの計測値等を示す情報を取得し、取得した情報に基づいてエンジンを制御する。
【0050】
また、エンジンECU111Cは、たとえば、中継装置112からの要求に応じて、取得した情報の一部または全部を中継装置112へ送信することが可能である。
【0051】
温度センサ111Dは、中継装置112を介して他の車載ECU111と通信を行うことが可能であり、たとえば車両1の外気温を定期的に測定する。
【0052】
水温センサ111Eは、中継装置112を介して他の車載ECU111と通信を行うことが可能であり、たとえば車両1におけるエンジン内を循環する冷却水の水温を定期的に測定する。
【0053】
各アプリケーション100は、たとえば、アプリケーションレイヤの処理を行うことにより、自己が設けられる車載ECU111または中継装置112において所定の処理を行う。たとえば、温度センサ111Dにおけるアプリケーション100Dは、所定周期で、車両1の外気温を示す温度情報を生成する。
【0054】
図3は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおけるネットワーク構成の一例を示す図である。
【0055】
図3を参照して、中継装置112は、通信ポート120A,120B,120Cを含む。通信ポート120A,120B,120Cの各々を、通信ポート120とも称する。通信ポート120は、たとえば、イーサネットケーブル11を接続可能な端子である。
【0056】
図3に示す例では、TCU111Aが通信ポート120Aに接続され、吸気圧センサ111BおよびエンジンECU111Cが通信ポート120Bに接続され、温度センサ111Dおよび水温センサ111Eが通信ポート120Cに接続されている。
【0057】
また、ネットワーク12において、TCU111Aは、VLAN(Virtual Local Area Network)10に属している。吸気圧センサ111BおよびエンジンECU111Cは、VLAN10とは異なるVLAN20に属している。温度センサ111Dおよび水温センサ111Eは、VLAN10およびVLAN20とは異なるVLAN30に属している。
【0058】
中継装置112は、たとえば、同じVLANに属する車載ECU111間のイーサネットフレームの中継処理を行う。具体的には、中継装置112は、受信したイーサネットフレームに含まれる送信元MAC(Media Access Control)アドレスおよび送信先MACアドレスに基づいて、当該イーサネットフレームを送信先の車載ECU111へ送信する。
【0059】
また、中継装置112は、たとえば、異なるVLANに属する車載ECU111間のIPパケットの中継処理を行う。具体的には、中継装置112は、受信したイーサネットフレームからIPパケットを取得し、取得したIPパケットの送信先IPアドレスに基づいて、当該IPパケットを送信先の車載ECU111へ送信する。
【0060】
[管理部]
図4は、本開示の実施の形態に係る管理部の構成を示す図である。
【0061】
図4を参照して、管理部200は、検知部210と、生成部220と、設定処理部230と、記憶部240と、通知部250と、取得部270とを備える。検知部210、生成部220、設定処理部230、通知部250および取得部270の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部240は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0062】
[検知部]
検知部210は、ネットワーク12に新たに追加される機能部である新規機能部を検知する。すなわち、検知部210は、ネットワーク12への新規機能部の追加を検知する。より詳細には、検知部210は、ネットワーク12への、車載ECU111、外部装置およびアプリケーション100等の追加を検知する。一例として、検知部210は、ネットワーク12に新たに追加される車載ECU111のアプリケーション100を、新規機能部として検知する。
【0063】
たとえば、新規機能部は、ネットワーク12における通信接続を要求するための接続要求情報を検知部210へ送信する。
【0064】
検知部210は、当該接続要求情報を受信して、当該接続要求情報の送信元の新規機能部を検知する。
【0065】
なお、検知部210は、たとえば定期的に、新規機能部を検知するための探索メッセージをブロードキャストする構成であってもよい。この場合、新規機能部は、上記探索メッセージを受信し、受信した探索メッセージに対する応答として、上記接続要求情報を送信する。
【0066】
以下、新規機能部を含むネットワーク12を新規ネットワークとも称し、新規機能部が追加される前のネットワーク12を既存ネットワークとも称し、既存ネットワークに含まれる機能部を既存機能部とも称する。既存ネットワークに含まれる車載ECU111は、既存機能部の一例である。
【0067】
図5は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の一例を示す図である。
【0068】
図5を参照して、ネットワーク12に、車載ECU111Gが新たに追加される場合を想定する。この例では、車載ECU111Gは、画像センサである。以下、車載ECU111Gを、画像センサ111Gとも称する。画像センサ111Gは、新規機能部であるアプリケーション100Gを含む。
【0069】
画像センサ111Gは、電源供給を受けるとともにたとえばイーサネットケーブル11を介して中継装置112における通信ポート120Cに接続されると、ネットワーク12における通信接続を要求するための接続要求情報を検知部210へ送信する。
【0070】
より詳細には、画像センサ111Gにおけるアプリケーション100Gは、接続要求情報、自己のID、および送信先MACアドレスとして中継装置112のMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを中継装置112へ送信する。
【0071】
中継装置112における検知部210は、アプリケーション100Gから送信された当該イーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに含まれるID等を用いて、アプリケーション100Gの認証処理を行う。
【0072】
検知部210は、アプリケーション100Gの認証に成功すると、認証が成功した旨を示す認証成功情報、および送信先MACアドレスとして画像センサ111GのMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを画像センサ111Gへ送信する。
【0073】
図6は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
【0074】
検知部210が検知する新規機能部は、新たに中継装置112に接続される車載ECU111に含まれるアプリケーション100に限定されない。たとえば、検知部210は、既存ネットワークにおける車載ECU111に新たにインストールされるアプリケーション100を新規機能部として検知する構成であってもよい。
【0075】
図6を参照して、ネットワーク12において、新規機能部として、既存機能部であるエンジンECU111Cにアプリケーション100Hが新たにインストールされる場合を想定する。
【0076】
アプリケーション100Hは、エンジンECU111Cにインストールされると、接続要求情報、自己のID、および送信先MACアドレスとして中継装置112のMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを中継装置112へ送信する。
【0077】
中継装置112における検知部210は、アプリケーション100Hから送信された当該イーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに含まれるID等を用いて、アプリケーション100Hの認証処理を行う。
【0078】
検知部210は、アプリケーション100Hの認証に成功すると、認証が成功した旨を示す認証成功情報、および送信先MACアドレスとしてエンジンECU111CのMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームをエンジンECU111Cへ送信する。
【0079】
図7は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
【0080】
検知部210が検知する新規機能部は、上述のような、新たに中継装置112に接続される車載ECU111に含まれるアプリケーション100、または車載ECU111にインストールされるアプリケーション100に限定されない。たとえば、検知部210は、車両1の外部においてネットワーク12に追加される外部装置113に含まれるアプリケーション100を新規機能部として検知する構成であってもよい。
【0081】
図7を参照して、ネットワーク12に、外部装置113が新たに追加される場合を想定する。外部装置113は、車両1の外部に設けられる装置である。外部装置113は、新規機能部であるアプリケーション100Jを含む。
【0082】
外部装置113は、TCU111Aと通信を行うことが可能である。より詳細には、外部装置113は、たとえば、IPパケットを用いて無線基地局装置161経由でTCU111Aと通信することが可能である。
【0083】
外部装置113は、ネットワーク12における通信接続を要求するための接続要求情報をTCU111A経由で検知部210へ送信する。
【0084】
より詳細には、外部装置113におけるアプリケーション100Jは、接続要求情報、自己のIDおよび中継装置112のMACアドレスを含むIPパケットを外部ネットワーク170経由で無線基地局装置161へ送信する。
【0085】
無線基地局装置161は、外部装置113から外部ネットワーク170経由でIPパケットを受信すると、受信したIPパケットを無線信号に含めてTCU111Aへ送信する。
【0086】
TCU111Aは、アプリケーション100JからのIPパケットを含む無線信号を無線基地局装置161から受信すると、受信した無線信号からIPパケットを取得し、取得したIPパケット、および送信先MACアドレスとして中継装置112のMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを中継装置112へ送信する。
【0087】
中継装置112における検知部210は、TCU111Aから当該イーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに格納されたIPパケットに含まれるID等を用いて、アプリケーション100Jの認証処理を行う。
【0088】
検知部210は、アプリケーション100Jの認証に成功すると、認証が成功した旨を示す認証成功情報、および送信先MACアドレスとして外部装置113のMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームをTCU111Aへ送信する。
【0089】
TCU111Aは、検知部210から当該イーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームからIPパケットを取得し、取得したIPパケットを無線信号に含めて無線基地局装置161経由で外部装置113へ送信する。
【0090】
検知部210は、上述のように新規機能部の認証に成功すると、当該新規機能部のIDおよび対応する通信ポート120のポート番号等を示す検知情報を取得部270へ出力する。
【0091】
なお、車両通信システム300が複数の中継装置112を備え、管理部200を備えない中継装置112に車載ECU111が新たに接続された場合、たとえば、当該中継装置112がイーサネットのリンクアップまたはLLDP(Link Layer Discovery Protocol)等により当該車載ECU111の接続を検知し、他の中継装置112における管理部200へ新規機能部についての上記検知情報を送信する構成であってもよい。
【0092】
[取得部]
取得部270は、既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報を取得する。より詳細には、取得部270は、検知部210から検知情報を受けると、既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報の取得処理を開始する。取得部270は、検知情報が示す新規機能部の機能部情報を取得するとともに、既存機能部の機能部情報を取得し、生成部220へ出力する。
【0093】
たとえば、取得部270は、機能部情報として、新規ネットワークにおける車載ECU111、中継装置112および外部装置113等のハードウェア装置のトポロジを認識可能な情報を取得する。また、たとえば、取得部270は、機能部情報として、新規ネットワークにおけるハードウェア装置へのアプリケーション100の配置に関する制約を認識可能な情報を取得する。また、たとえば、取得部270は、アプリケーション100間の通信方式の制約を認識可能な情報を取得する。
【0094】
取得部270は、ハードウェア装置のトポロジを認識可能な情報として、たとえば、車載ECU111および中継装置112が搭載される車両1のメーカおよび車種を示す車両情報、当該車両1に搭載された追加オプションを示す追加オプション情報、車載ECU111のメーカおよび製造番号等を示す識別子である車載装置ID、ハードウェア装置間の接続における通信ポートのポート番号、ならびにハードウェア装置間の通信経路の帯域幅の情報を取得する。
【0095】
取得部270は、ハードウェア装置へのアプリケーション100の配置に関する制約を認識可能な情報として、たとえば、アプリケーション100のIDを取得する。
【0096】
取得部270は、アプリケーション100間の通信方式の制約を認識可能な情報として、たとえば、イーサネットおよびCAN等の、アプリケーション100間における通信に用いられる通信規格を示す情報を取得する。
【0097】
たとえば、取得部270は、上述のような機能部情報の種類のうち、送信すべき種類を示す情報要求通知を、既存機能部および新規機能部へ送信する。
【0098】
既存機能部および新規機能部は、取得部270から受信した情報要求通知に対する応答として、たとえば情報要求通知において指定されている種類の自己の機能部情報を、取得部270へ送信する。
【0099】
取得部270は、検知部210によって追加を検知された機能部である新規機能部の機能部情報(以下、対象情報とも称する。)を当該新規機能部から取得できない場合、対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより対象情報を取得する。
【0100】
より詳細には、取得部270は、情報要求通知を送信してから所定時間経過しても新規機能部から対象情報が到着しない場合、当該新規機能部は機能部情報を送信する機能を有していないと判断し、対象情報を要求するための不足情報通知を入力部290へ送信する。入力部290は、たとえばIVI(In-Vehicle Infotainment)であり、一例としてナビゲーション装置である車載ECU111である。
【0101】
なお、取得部270は、情報要求通知において指定した種類を示す不足情報通知を送信する構成であってもよい。
【0102】
また、取得部270は、新規機能部のネットワーク12への追加位置を含む不足情報通知を送信する構成であってもよい。当該追加位置は、たとえば、車載ECU111が新たに接続された中継装置112の通信ポート120のポート番号等である。
【0103】
入力部290であるナビゲーション装置は、取得部270から不足情報通知を受信して、対象情報の入力を促す内容を画面に表示する処理を行う。たとえば、ナビゲーション装置は、不足情報通知の示す種類および追加位置等を画面に表示する。
【0104】
取得部270は、不足情報通知に対するユーザの操作内容に基づく対象情報を取得する。
【0105】
より詳細には、たとえば車載ECU111をネットワーク12に新たに接続したユーザは、上記画面を確認し、対象情報を入力する操作をナビゲーション装置に対して行う。
【0106】
ナビゲーション装置は、ユーザの入力操作を受け付け、当該操作内容に基づく対象情報を中継装置112へ送信する。
【0107】
このような構成により、たとえば機能部を追加したユーザからの入力内容を用いてより正確な対象情報を取得することができる。
【0108】
なお、入力部290は、ナビゲーション装置に限らず、車両1におけるユーザの携帯端末であってもよいし、車両1外のサーバ180等の装置であってもよい。
【0109】
[変形例]
図8は、本開示の実施の形態に係る管理部の変形例の構成を示す図である。管理部の変形例の動作は、以下で説明する内容以外は
図4に示す管理部200と同様である。
【0110】
図8を参照して、管理部201は、
図4に示す管理部200と比べて、取得部270の代わりに取得部271を備える。
【0111】
取得部271は、不足情報通知を送信することにより対象情報が取得された新規機能部と当該対象情報とを対応付けた履歴情報を記憶部240に保存する。取得部271は、検知部210によって別の新規機能部が新たに検知された場合、履歴情報に基づいて、不足情報通知を送信することにより対象情報を取得した車載機能部、すなわち過去の新規機能部の対象情報を取得する。
【0112】
より詳細には、たとえば、検知部210は、新規機能部Aの認証に成功すると、新規機能部AのIDおよび新規機能部Aが新たに接続された中継装置112の通信ポート120のポート番号を示す検知情報を取得部271へ出力する。
【0113】
取得部271は、不足情報通知を送信することにより新規機能部Aの対象情報を取得した場合、当該対象情報に対応する新規機能部AのIDおよび新規機能部Aが新たに接続された通信ポート120のポート番号と当該対象情報とを対応付けて記憶部240における履歴情報に登録する。なお、履歴情報は、対象情報自体が登録されてもよいし、対象情報の識別情報が登録されてもよい。
【0114】
その後、ネットワーク12に別の新規機能部Bが追加された場合、取得部271は、新規機能部BのIDおよび新規機能部Bが新たに接続された中継装置112の通信ポート120のポート番号を示す検知情報を検知部210から受けて、記憶部240における履歴情報を参照する。そして、取得部271は、登録済みの新規機能部Aの対象情報を既存機能部の機能部情報として取得し、生成部220へ出力する。
【0115】
なお、車両通信システム300が複数の中継装置112を備える構成において、管理部201を含まない中継装置112に新規機能部Aが新たに接続された場合、当該中継装置112は、新規機能部AのID、新規機能部Aが新たに接続された中継装置112の通信ポート120のポート番号、および当該中継装置112のIDを示す検知情報を、管理部201を含む中継装置112へ送信する。
【0116】
取得部271は、不足情報通知を送信することにより新規機能部Aの対象情報を取得した場合、当該対象情報に対応する新規機能部AのID、新規機能部Aが新たに接続された通信ポート120のポート番号および中継装置112のIDと当該対象情報とを対応付けて記憶部240における履歴情報に登録する。
【0117】
また、管理部201を含まない中継装置112が、ネットワーク12に新規機能部Bが追加された場合に新規機能部Aおよび新規機能部Bについての検知情報を送信する構成であってもよい。この場合も、取得部271は、当該中継装置112の通信ポート120のポート番号、および当該中継装置112のIDを参照することにより、履歴情報から新規機能部Aの対象情報を取得することができる。
【0118】
[生成部]
生成部220は、取得部270によって取得された既存機能部の機能部情報および新規機能部の機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する。生成部220は、取得部270から受けた各機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成し、設定処理部230へ出力する。
【0119】
たとえば、生成部220は、構成情報として、車両1、および新規ネットワークにおける機能部を特定可能な情報を生成する。ここでは、一例として、生成部220は、車両情報と、既存ネットワークにおけるアプリケーション100のIDと、追加されるアプリケーション100のIDとの組み合わせを示す構成情報を生成する。
【0120】
なお、取得部270は、既存ネットワークの構成情報を各既存機能部の機能部情報として取得し、生成部220へ出力する構成であってもよい。
【0121】
より詳細には、記憶部240は、既存ネットワークの構成情報を記憶している場合がある。
【0122】
取得部270は、記憶部240を参照し、記憶部240に既存ネットワークの構成情報が登録されている場合、当該構成情報を記憶部240から取得する。この場合、取得部270は、情報要求通知を、新規機能部へ送信する一方で既存機能部へは送信しない。
【0123】
生成部220は、取得部270から受けた新規機能部の機能部情報および既存ネットワークの構成情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する。具体的には、生成部220は、新規機能部の機能部情報を用いて、記憶部240から取得した既存ネットワークの構成情報を改変することにより、新規ネットワークの構成情報を生成する。生成部220は、記憶部240における構成情報を、生成した新たな構成情報に更新する。
【0124】
[設定処理部]
設定処理部230は、記憶装置におけるデータベースから、生成部220によって生成された構成情報に対応する、新規ネットワークの成立性を示す成立性情報を取得する。
【0125】
より詳細には、設定処理部230は、成立性情報として、たとえば、新規ネットワークの成否を示す成否情報、および新規ネットワークにおいて通信を行うための設定内容を示す設定情報を取得する。
【0126】
図9は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおけるサーバの構成を示す図である。
【0127】
図9を参照して、サーバ180は、記憶装置181と、データベース処理部182とを備える。データベース処理部182は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶装置181は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0128】
たとえば、記憶装置181は、ネットワーク12の構成情報と、当該ネットワーク12の成否を示す成否情報とを対応付けた成否データベースを記憶している。
【0129】
図4および
図9を参照して、設定処理部230は、生成部220から新規ネットワークの構成情報を受けると、TCU111Aを介してサーバ180と通信を行うことにより、記憶装置181における成否データベースから、当該構成情報に対応する成否情報を取得する。
【0130】
より詳細には、設定処理部230は、生成部220から受けた構成情報をサーバ180におけるデータベース処理部182へ送信する。
【0131】
データベース処理部182は、設定処理部230から受信した構成情報を検索キーとして用いることにより、成否データベースから対応の成否情報を取得する。データベース処理部182は、取得した成否情報を設定処理部230へ送信する。
【0132】
図10は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける記憶装置が記憶している成否データベースの一例を示す図である。
【0133】
以下では、アプリケーション100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G,100H,100JのIDがそれぞれ「ID-A」「ID-B」「ID-C」「ID-D」「ID-E」「ID-F」「ID-G」「ID-H」「ID-J」であるものとする。
【0134】
図10を参照して、記憶装置181における成否データベースには、構成IDと、車両情報ならびに既存ネットワークにおけるアプリケーション100のIDおよび追加されるアプリケーション100のIDの組み合わせを示す構成情報と、当該構成情報により表される新規ネットワークの成否情報とが対応付けて登録されている。
【0135】
なお、この例では、便宜上、車両情報およびアプリケーション100のIDに基づいて、ハードウェア装置のトポロジおよびハードウェア装置間の通信経路の帯域幅等を特定可能であるとする。
【0136】
成否データベースにおいて、成否情報は、たとえば、「成立」または「不成立」を示す。
【0137】
成否データベースにおいて、新規ネットワークの構成情報に対応する成否情報が「成立」を示す場合、当該新規ネットワークが成立することを意味し、成否情報が「不成立」を示す場合、当該新規ネットワークが成立しないことを意味し、また、成否データベースにおける「未検証」は、当該新規ネットワークの成否は検証されておらず成否情報が存在しないことを意味する。
【0138】
たとえば、データベース処理部182は、車両1のメーカが「A社」であり、車種が「aaaa」であり、既存ネットワークにおけるアプリケーション100のIDが「ID-A」、「ID-B」および「ID-C」であり、追加されるアプリケーション100のIDが「ID-G」であることを示す構成情報を設定処理部230から受信する。そして、データベース処理部182は、受信した構成情報を検索キーとして用いることにより、成否データベースから「成立」を示す成否情報を取得し、取得した成否情報を設定処理部230へ送信する。
【0139】
たとえば、管理部200における設定処理部230は、上述のように記憶装置181におけるデータベースから成立性情報を取得すると、生成部220によって生成された構成情報および当該構成情報に対応する当該成立性情報を記憶部240に登録する。
【0140】
また、たとえば、設定処理部230は、新規ネットワークにおいて通信を行うための設定内容を示す設定情報をさらに取得する。
【0141】
より詳細には、設定処理部230は、新規ネットワークにおいて各機能部がOSI(Open Systems Interconnection)参照モデルにおけるレイヤ4以下の通信を行うための各機能部の設定内容を示す設定情報を取得する。
【0142】
たとえば、サーバ180における記憶装置181は、ネットワーク12の構成情報と、当該ネットワーク12における機能部の設定内容とを対応付けた設定データベースを記憶している。
【0143】
図11は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける記憶装置が記憶している設定データベースの一例を示す図である。
【0144】
以下では、便宜上、中継装置112の通信ポート120A,120B,120Cのポート番号を、それぞれ、「1」,「2」,「3」とする。また、車載ECU111は、1つの通信ポートを含むものとし、当該通信ポートのポート番号を「1」とする。
【0145】
図11を参照して、記憶装置181における設定データベースには、たとえば、構成IDと、構成IDが示すネットワーク12における各機能部の設定内容たとえば通信ポート120ごとのVLANのIDとが登録されている。以下、VLANのIDを「VID」とも称する。
【0146】
図10および
図11を参照して、データベース処理部182は、構成IDが「00001」である構成情報に対応する成否情報として、「成立」を示す成否情報を成否データベースから取得すると、構成IDが「00001」である設定情報として、各機能部のVIDを設定データベースから取得する。
【0147】
たとえば、成否データベースにおける成否情報および設定データベースにおける設定情報は、各構成情報が示すネットワークの論理的構成および物理的構成を考慮して予め検証された結果に基づいて生成される。
【0148】
データベース処理部182は、取得した設定情報を管理部200における設定処理部230へ送信する。
【0149】
(動作例1)
設定処理部230は、成立性情報として、「成立」を示す成否情報および設定情報を取得すると、取得した成否情報および設定情報を通知部250へ出力する。
【0150】
通知部250は、設定処理部230から成立性情報を受けると、受けた成立性情報に基づいて、新規ネットワークにおける機能部のうちの少なくともいずれか1つに、新規ネットワークにおいて通信を行うための設定内容を通知する。
【0151】
より詳細には、通知部250は、既存ネットワークに含まれる1または複数の既存機能部、および新規機能部の中から、新規ネットワークにおいて通信を行うために設定内容を変更する必要がある機能部を特定し、特定した機能部へ設定内容を通知する。
【0152】
たとえば、通知部250は、設定処理部230から設定情報を受けると、既存ネットワークにおける各機能部の設定内容を示す設定情報を記憶部240から取得する。そして、通知部250は、設定処理部230から受けた設定情報と記憶部240から取得した設定情報とを比較することにより、新規ネットワークにおいて通信を行うために設定内容を変更する必要がある1または複数の機能部を特定する。通知部250は、設定処理部230から受けた設定情報を、特定した機能部へ送信する。
【0153】
たとえば、通知部250は、新規ネットワークにおいて設定変更の必要がある機能部が存在しない場合、設定情報を機能部へ送信しない。
【0154】
新規ネットワークにおける1または複数の機能部は、通知部250から設定情報を受信すると、受信した設定情報に基づいて設定変更を行う。新規ネットワークにおける各機能部は、変更後の設定内容に従って互いに通信を行う。
【0155】
たとえば、
図11に示す例では、設定処理部230は、新規機能部であるアプリケーション100Gを含む画像センサ111Gの属するVLANのIDが「VLAN20」であり、アプリケーション100Fを含む中継装置112の通信ポート120Cに対応するVLANのIDが「VLAN20,VLAN30」である内容を示す設定情報を取得する。
【0156】
設定処理部230は、取得した設定情報を通知部250へ出力する。通知部250は、設定処理部230から受けた設定情報に基づいて、画像センサ111G、および中継装置112における図示しない他のユニットへ設定内容を通知する。
【0157】
図12は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける設定変更後の新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
【0158】
図12を参照して、
図5に示す新規ネットワークにおいて、画像センサ111Gおよび中継装置112は、通知部250から通知された設定内容に基づいて設定変更を行う。これにより、画像センサ111Gは、VLAN20における通信を行うことが可能となる。
【0159】
(動作例2)
設定処理部230は、成立性情報として「不成立」を示す成否情報を取得すると、取得した成否情報を生成部220へ出力する。
【0160】
生成部220は、成立性情報として「不成立」を示す成否情報を設定処理部230から受けると、受けた成立性情報に基づいて生成条件を変更し、変更後の生成条件に従って構成情報を新たに生成する。
【0161】
たとえば、生成部220は、現在の生成条件を、複数の新規機能部のうちの一部をネットワーク12に追加しない内容の生成条件に変更し、変更後の生成条件に従って新規ネットワークの構成情報を新たに生成する。
【0162】
また、たとえば、生成部220は、現在の生成条件における各機能部間の機能配置を変更することにより生成条件に変更し、変更後の生成条件に従って新規ネットワークの構成情報を新たに生成する。
【0163】
生成部220は、新たに生成した新規ネットワークの構成情報を設定処理部230へ出力する。
【0164】
設定処理部230は、生成部220によって新たに生成された構成情報を受けると、受けた構成情報に対応する成否情報を記憶装置181における成否データベースから取得する。
【0165】
[動作の流れ]
図13は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける管理部が新規ネットワークを構築する際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0166】
図13を参照して、まず、管理部200は、ネットワーク12への新規機能部の追加を待ち受け(ステップS102でNO)、新規機能部を検知すると(ステップS102でYES)、検知した新規機能部の機能部情報および既存機能部の機能部情報の取得処理を開始する(ステップS104)。
【0167】
次に、管理部200は、情報要求通知を送信することにより既存機能部の機能部情報を取得し(ステップS106)、また、情報要求通知を送信してから所定時間以内に新規機能部から機能部情報を受信できた場合(ステップS108でYES)、取得した新規機能部および既存機能部の各機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する(ステップS114)。
【0168】
一方、管理部200は、情報要求通知を送信してから所定時間経過しても新規機能部から機能部情報を受信できない場合(ステップS108でNO)、不足情報通知を入力部290へ送信し(ステップS110)、入力部290から対象情報を受信し(ステップS112)、受信した対象情報および既存機能部の機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する(ステップS114)。
【0169】
次に、管理部200は、サーバ180の記憶装置181における成否データベースから、生成した構成情報に対応する成否情報を取得する(ステップS116)。
【0170】
次に、管理部200は、取得した成否情報が「成立」を示す場合(ステップS118でYES)、サーバ180の記憶装置181における設定データベースから、新規ネットワークにおいて通信を行うための設定内容を示す設定情報を取得する(ステップS120)。
【0171】
次に、管理部200は、取得した設定情報を新規ネットワークにおける1または複数の機能部へ送信する(ステップS122)。
【0172】
次に、管理部200は、新規ネットワークへの新規機能部の追加を待ち受ける(ステップS102でNO)。
【0173】
一方、管理部200は、取得した成否情報が「不成立」を示す場合(ステップS118でNO)、構成情報の生成条件を変更し、変更後の生成条件に従って構成情報を新たに生成する(ステップS124)。
【0174】
次に、管理部200は、サーバ180の記憶装置181における成否データベースから、新たに生成した構成情報に対応する成否情報を取得する(ステップS116)。
【0175】
図14は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおいて管理部の変形例が新規ネットワークを構築する際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0176】
図14を参照して、まず、管理部201は、ネットワーク12への新規機能部の追加を待ち受け(ステップS602でNO)、新規機能部を検知すると(ステップS602でYES)、検知した新規機能部の機能部情報および既存機能部の機能部情報の取得処理を開始する(ステップS604)。
【0177】
次に、管理部201は、既存機能部へ情報要求通知を送信するか、または履歴情報に基づいて既存機能部の機能部情報を取得し(ステップS606)、また、情報要求通知を送信してから所定時間以内に新規機能部から機能部情報を受信できた場合(ステップS608でYES)、取得した新規機能部および既存機能部の各機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する(ステップS614)。
【0178】
一方、管理部201は、情報要求通知を送信してから所定時間経過しても新規機能部から機能部情報を受信できない場合(ステップS608でNO)、不足情報通知を入力部290へ送信し(ステップS610)、入力部290から対象情報を受信し(ステップS612)、当該対象情報に対応する新規機能部のIDおよび当該新規機能部が新たに接続された通信ポート120等と当該対象情報とを対応付けて記憶部240における履歴情報に登録する。
【0179】
次に、管理部201は、取得した対象情報および既存機能部の機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する(ステップS614)。
【0180】
ステップS616からステップS624の処理は、
図13におけるステップS116からステップS124と同様である。
【0181】
図15は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの一例を示す図である。
図15は、上述の動作例1に対応する処理を示している。
【0182】
図15を参照して、まず、ネットワーク12に新たに追加された新規機能部は、接続要求情報を管理部200へ送信する(ステップS202)。
【0183】
次に、管理部200は、新規機能部から接続要求情報を受信すると、当該新規機能部を検知し、当該新規機能部の認証処理を行う(ステップS204)。
【0184】
次に、管理部200は、新規機能部の認証に成功すると、機能部情報を要求するための情報要求通知を既存機能部および新規機能部へ送信する(ステップS206)。
【0185】
次に、既存機能部は、情報要求通知に対する応答として、情報要求通知において指定されている種類の自己の機能部情報を管理部200へ送信する。一方、新規機能部は、機能部情報を管理部200へ送信する機能を有していないため、機能部情報を送信しない(ステップS208)。
【0186】
次に、管理部200は、情報要求通知を送信してから所定時間経過しても新規機能部から機能部情報を受信できないため、不足情報通知を入力部290へ送信する(ステップS210)。
【0187】
次に、入力部290は、たとえば上述のような画面を確認したユーザによる対象情報の入力操作を受け付け(ステップS212)、当該操作内容に基づく対象情報を管理部200へ送信する(ステップS214)。
【0188】
次に、管理部200は、既存機能部および入力部290から受信した各機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する(ステップS216)。
【0189】
次に、管理部200は、生成した構成情報をサーバ180へ送信する(ステップS218)。
【0190】
次に、サーバ180は、管理部200から受信した構成情報に対応する、新規ネットワークの成立性を示す成立性情報をデータベースから取得し、取得した成立性情報を管理部200へ送信する(ステップS220)。
【0191】
次に、管理部200は、生成した構成情報およびサーバ180から受信した成立性情報を記憶部240に登録する(ステップS222)。
【0192】
次に、管理部200は、「成立」を示す成否情報および設定情報を成立性情報として受信した場合、設定情報を既存機能部および新規機能部へ送信する(ステップS224)。
【0193】
次に、新規機能部は、管理部200から受信した設定情報に基づいて設定変更を行う(ステップS226)。また、既存機能部は、管理部200から受信した設定情報に基づいて設定変更を行う(ステップS228)。
【0194】
次に、新規ネットワークにおける新規機能部および既存機能部は、変更後の設定内容に従って互いに通信を行う(ステップS230)。
【0195】
図16は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの他の例を示す図である。
図16は、上述の動作例1に対応する処理を示している。
【0196】
図16を参照して、まず、ネットワーク12に新たに追加された新規機能部は、接続要求情報を管理部200へ送信する(ステップS302)。
【0197】
次に、管理部200は、新規機能部から接続要求情報を受信すると、当該新規機能部を検知し、当該新規機能部の認証処理を行う(ステップS304)。
【0198】
次に、管理部200は、新規機能部の認証に成功すると、機能部情報を要求するための情報要求通知を新規機能部へ送信する(ステップS306)。
【0199】
次に、新規機能部は、機能部情報を管理部200へ送信する機能を有していないため、機能部情報を送信しない(ステップS308)。
【0200】
次に、管理部200は、情報要求通知を送信してから所定時間経過しても新規機能部から機能部情報を受信できないため、不足情報通知を入力部290へ送信する(ステップS310)。
【0201】
次に、入力部290は、たとえば上述のような画面を確認したユーザによる対象情報の入力操作を受け付け(ステップS312)、当該操作内容に基づく対象情報を管理部200へ送信する(ステップS314)。
【0202】
次に、管理部200は、既存ネットワークの構成情報を記憶部240から取得する(ステップS316)。
【0203】
次に、管理部200は、入力部290から受信した対象情報および記憶部240から取得した構成情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する(ステップS318)。
【0204】
ステップS320からステップS332の処理は、
図15におけるステップS218からステップS230と同様である。
【0205】
図17は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの他の例を示す図である。
図17は、上述の動作例2に対応する処理を示している。
【0206】
図17におけるステップS402からステップS420の処理は、
図15におけるステップS202からステップS220の処理と同様である。
【0207】
次に、管理部200は、「不成立」を示す成否情報を成立性情報が含む場合、構成情報の生成条件を変更し、変更後の生成条件に従って構成情報を新たに生成する(ステップS422)。
【0208】
次に、管理部200は、新たに生成した構成情報を無線基地局装置161経由でサーバ180へ送信する(ステップS424)。
【0209】
次に、サーバ180は、管理部200から受信した構成情報に対応する、新規ネットワークの成立性を示す成立性情報をデータベースから取得し、取得した成立性情報を無線基地局装置161経由で管理部200へ送信する(ステップS426)。
【0210】
ステップS428からステップS436の処理は、
図13におけるステップS222からステップS230と同様である。
【0211】
図18は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの一例を示す図である。
図18は、管理部201の、上述の動作例1に対応する処理を示している。
【0212】
図18を参照して、まず、ネットワーク12に新たに追加された新規機能部は、接続要求情報を管理部201へ送信する(ステップS502)。
【0213】
次に、管理部201は、新規機能部から接続要求情報を受信すると、当該新規機能部を検知し、当該新規機能部の認証処理を行う(ステップS504)。
【0214】
次に、管理部201は、新規機能部の認証に成功すると、機能部情報を要求するための情報要求通知を既存機能部および新規機能部へ送信する。ここで、管理部201は、記憶部240における履歴情報を参照し、履歴情報に登録されている既存機能部へは情報要求通知を送信しない(ステップS506)。
【0215】
次に、管理部201は、記憶部240における履歴情報を参照し、登録されている対象情報を既存機能部の機能部情報として取得する(ステップS507)。
【0216】
ステップS508からステップS530の処理は、
図15におけるステップS208からステップS230と同様である。
【0217】
なお、本開示の実施の形態に係る管理部200では、検知部210は、ネットワーク12に車載ECU111または外部装置が追加された場合に、当該車載ECU111または当該外部装置に含まれるアプリケーション100を新規機能部として検知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部210は、ネットワーク12に追加される、アプリケーション100を搭載していない車載ECU111または外部装置を新規機能部として検知する構成であってもよい。
【0218】
また、本開示の実施の形態に係る管理部200では、生成部220は、「不成立」を示す成否情報を設定処理部230から受けると、構成情報の生成条件を変更し、変更後の生成条件に従って構成情報を新たに生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。生成部220は、「不成立」を示す成否情報を受けても、構成情報を新たに生成しない構成であってもよい。この場合、たとえば、通知部250は、新規機能部をネットワーク12に追加しない旨を当該新規機能部へ通知する。
【0219】
また、本開示の実施の形態に係る管理部200では、生成部220は、既存ネットワークの構成情報を記憶部240から取得した場合、新規機能部の機能部情報、および取得した既存ネットワークの構成情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。生成部220は、既存ネットワークの構成情報を記憶部240から取得した場合であっても、新規機能部の機能部情報の内容に応じて、1または複数の既存機能部から機能部情報を取得し、新規機能部の機能部情報、既存機能部の機能部情報および取得した既存ネットワークの構成情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する構成であってもよい。
【0220】
また、本開示の実施の形態に係る管理部200では、通知部250は、既存ネットワークに含まれる1または複数の既存機能部、および新規機能部の中から、設定内容を変更する必要がある機能部を特定し、特定した機能部へ設定内容を通知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。通知部250は、設定内容を変更する必要がある機能部を特定することなく、新規ネットワークにおけるすべての機能部へ設定内容を通知する構成であってもよい。
【0221】
また、本開示の実施の形態に係る通信システム400では、管理部200は、ネットワーク12における中継装置112に含まれる構成であるとしたが、これに限定するものではない。管理部200における各ユニットの一部または全部が、ネットワーク12における中継装置112以外の装置に含まれてもよいし、ネットワーク12の外部に設けられてもよい。なお、管理部200が、たとえば
図2に示すようなスター型トポロジにおける中継装置112に含まれる構成により、管理部200による上記各処理をより効率良く行うことができる。
【0222】
また、管理部200は、設定処理部230および通知部250を備えない構成であってもよい。また、記憶部240は、管理装置の一例である中継装置112の外部に設けられる構成であってもよい。
【0223】
また、管理部200は、サーバ180によって実現されてもよい。この場合、本開示の実施の形態に係る管理部200の機能の一部または全部が、クラウドコンピューティングによって提供されてもよい。すなわち、本開示の実施の形態に係る管理部200が、複数のクラウドサーバ等によって構成されてもよい。
【0224】
ところで、ネットワークにおける安定した動作を維持しながら新たな構成のネットワークを柔軟に構築することが可能な技術が望まれる。
【0225】
たとえば、ネットワークに新たに機能部を追加して新規ネットワークを構築する際に、下位レイヤのネットワーク構成および制約を受けて、上位レイヤにより要求される通信を実現できない場合がある。
【0226】
このような下位レイヤのネットワーク構成および制約の一例として、物理層の通信帯域の制約が挙げられる。特に、車載ECU等の車載機能部を含むネットワーク等の、低コスト化が求められるネットワークにおいては、上述のような通信帯域の制約を受けるため、ネットワークにおける安定した動作を維持しながらネットワークに新たな機能部を追加することが困難となる場合がある。
【0227】
これに対して、本開示の実施の形態に係る中継装置では、上記のような構成により、予め生成された、ネットワークの成立性の検証結果を用いて、新規ネットワークを構築することができる。これにより、新規ネットワークとして、たとえば論理的構成および物理的構成を考慮して成立性が保証されたネットワークを構築することができるため、たとえばネットワークに新規機能部を追加することに起因する重要度の高い通信における遅延の発生を抑制することができる。
【0228】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0229】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0230】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知する検知部と、
前記車載機能部の機能部情報を取得し、前記検知部によって追加を検知された前記機能部である新規機能部の機能部情報である対象情報を前記新規機能部から取得できない場合、前記対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記各機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部とを備え、
前記取得部は、前記不足情報通知に対するユーザの操作内容に基づく前記対象情報を取得し、
前記取得部は、前記ネットワークにおけるナビゲーション装置へ前記不足情報通知を送信し、前記ナビゲーション装置に対するユーザの操作内容に基づく前記対象情報を取得する、管理装置。
【0231】
[付記2]
処理回路を備え、
前記処理回路は、
1または複数の車載機能部を含むネットワークへの機能部の追加を検知し、
前記車載機能部の機能部情報を取得し、追加を検知した前記機能部である新規機能部の機能部情報である対象情報を前記新規機能部から取得できない場合、前記対象情報をユーザに要求するための不足情報通知を送信することにより前記対象情報を取得し、
取得した前記各機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する、管理装置。
【符号の説明】
【0232】
1 車両
11 イーサネットケーブル
12 ネットワーク
100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G,100H,100J アプリケーション
111,111A 車載ECU
111B 車載ECU(吸気圧センサ)
111C 車載ECU(エンジンECU)
111D 車載ECU(温度センサ)
111E 車載ECU(水温センサ)
111G 車載ECU(画像センサ)
112 中継装置
113 外部装置
120,120A,120B,120C 通信ポート
161 無線基地局装置
170 外部ネットワーク
180 サーバ
181 記憶装置
182 データベース処理部
200,201 管理部
210 検知部
220 生成部
230 設定処理部
240 記憶部
250 通知部
270,271 取得部
290 入力部
300 車両通信システム
400 通信システム