(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020990
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】筆記具収納具及び筆記具セット
(51)【国際特許分類】
B43K 23/00 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
B43K23/00 200C
B43K23/00 200B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123591
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 悠一郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬田川 洋亮
(57)【要約】
【課題】筆記具収納具からの筆記具の取出し及び収納の作業性を向上させる。
【解決手段】筆記具収納具10は、複数の筆記具を収納可能な筆記具収納具であって、少なくとも1本の鉛筆芯13を備えた芯ホルダー12がそのペン先12Aを下にして下方に差し込まれて嵌合し、芯ホルダー12のペン先12Aが所定の高さ位置に保持される芯ホルダー収納部40と、芯ホルダー収納部40に上下位置を調整可能に設けられ、芯ホルダー12のノック棒12B(操作部)の操作によりペン先12Aから鉛筆芯13が自重で落下した際の落下限を定めるストッパ部42と、を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の筆記具を収納可能な筆記具収納具であって、
少なくとも1本の鉛筆芯を備えた芯ホルダーがそのペン先を下にして下方に差し込まれて嵌合し、前記芯ホルダーのペン先が所定の高さ位置に保持される芯ホルダー収納部と、
前記芯ホルダー収納部に上下位置を調整可能に設けられ、前記芯ホルダーの操作部の操作により前記ペン先から前記鉛筆芯が自重で落下した際の落下限を定めるストッパ部と、
を有する筆記具収納具。
【請求項2】
前記芯ホルダー収納部の底部の側面に開口部が形成されている請求項1に記載の筆記具収納具。
【請求項3】
前記複数の筆記具としてのマーキングペンが、キャップ非装着状態でそのペン先を下にして差し込まれて嵌合し、該ペン先を密閉状態で収容するマーキングペン収納部を有する請求項1に記載の筆記具収納具。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の筆記具収納具と、
操作部が軸筒の外径よりも大きい芯ホルダーと、
を有する筆記具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具収納具及び筆記具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、作業員が身に着けて工具等を収納するための作業用ケースが開示されている。
【0003】
特許文献2には、マーキングペン又はシャープペンシル又はボールペンからなる筆記具セットの本体にガイドと固定フックを設けた構造が開示されている。
【0004】
特許文献3には、筆記具の第1係合部とケースの第2係合部が係合又は係合解除することによって、ケースに対して筆記具の各々が着脱可能とされた筆記具セットが開示されている。第1係合部とケースの第2係合部の係合を操作部により解除して、筆記具を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3132786号
【特許文献2】実開平3-98096号公報
【特許文献3】特開2020-40388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、建築、建設作業用筆記具として、鉛筆芯を有する芯ホルダー、マーキングペン等が頻度高く使用されており、これらは作業者が身に着けた収納具に収納され、使用の際に取り出される。その作業環境上の都合により、片手での筆記具の操作が必要になる場合がある。
【0007】
芯ホルダーの場合、ノック棒(操作部)のワンノックで鉛筆芯を任意の一定の寸法繰り出すことが求められるが、操作部を押すと鉛筆芯がフリーになるため、芯ホルダーが収納具に収納された状態で鉛筆芯の長さを適切に調節することは難しい。また、マーキングペンの場合、使用の際にキャップの着脱動作が必要となるため、片手での操作は難しい。
【0008】
上記した特許文献1~3に記載の従来例では、これらの課題について何ら考慮されていない。
【0009】
本発明は、筆記具収納具からの筆記具の取出し及び収納の作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様に係る筆記具収納具は、複数の筆記具を収納可能な筆記具収納具であって、少なくとも1本の鉛筆芯を備えた芯ホルダーがそのペン先を下にして下方に差し込まれて嵌合し、前記芯ホルダーのペン先が所定の高さ位置に保持される芯ホルダー収納部と、前記芯ホルダー収納部に上下位置を調整可能に設けられ、前記芯ホルダーの操作部の操作により前記ペン先から前記鉛筆芯が自重で落下した際の落下限を定めるストッパ部と、を有する。
【0011】
この筆記具収納具では、芯ホルダー収納部に芯ホルダーを差し込むと、芯ホルダーが芯ホルダー収納部に嵌合する。このとき、芯ホルダーのペン先は、芯ホルダー収納部における所定の高さ位置に保持される。この状態で芯ホルダーの操作部を押すと、芯ホルダー内での鉛筆芯の保持が解除され、ペン先から鉛筆芯が自重で落下するが、その落下限はストッパ部により定められており、鉛筆芯の落下はストッパ部の位置で止まる。操作部から手を離すと鉛筆芯がその状態で芯ホルダー内において保持される。ストッパ部の上下位置は適宜調整可能である。したがって、芯ホルダーが筆記具収納具に収納された状態で、鉛筆芯の突出長さを適切に設定できる。またこれによって、芯ホルダーを使用に適した状態で片手操作により筆記具収納具から取り出すことができる。そして、鉛筆芯の突出長さを改めて調整することなく、芯ホルダーを直ちに使用できる。
【0012】
第2の態様は、第1の態様に係る筆記具収納具において、前記芯ホルダー収納部の底部の側面に開口部が形成されている。
【0013】
この筆記具収納具では、芯ホルダー収納部の底部の側面に開口部が形成されているので、該底部に落ちた鉛筆芯の破片を開口部から外部へ排出できる。このため、該底部での鉛筆芯の破片の蓄積を抑制できる。
【0014】
第3の態様は、第1の態様に係る筆記具収納具において、前記複数の筆記具としてのマーキングペンが、キャップ非装着状態でそのペン先を下にして差し込まれて嵌合し、該ペン先を密閉状態で収容するマーキングペン収納部を有する筆記具収納具。
【0015】
この筆記具収納具では、マーキングペン収納部にキャップ非装着状態のマーキングペンを差し込むと、マーキングペンがマーキングペン収納部に嵌合する。このとき、マーキングペンのペン先は密閉状態でマーキングペン収納部に収納される。したがって、ペン先の乾燥が防止される。マーキングペン収納部からマーキングペンを取り出すとペン先が露出するので、直ちに使用できる。マーキングペンをマーキングペン収納部に差し込めば、ペン先が密閉状態で収納される。したがって、マーキングペンを片手操作で筆記具収納具から取り出したり、収納したりすることができる。
【0016】
第4の態様に係る筆記具セットは、第1~第3の態様の何れか1態様に係る筆記具収納具と、操作部が軸筒の外径よりも大きい芯ホルダーと、を有する。
【0017】
この筆記具セットでは、芯ホルダーの操作部が軸筒の外径よりも大きいので、筆記具収納具に収納された芯ホルダーの操作部を容易に操作することができる。このため、作業者が手袋を装着していても、芯ホルダーが筆記具収納具に収納された状態で、鉛筆芯の突出長さを適切に設定できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、筆記具収納具からの筆記具の取出し及び収納の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る筆記具収納具を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る筆記具収納具を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る筆記具収納具を示す分解斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る筆記具収納具を示す平面図である。
【
図5】本実施形態に係る筆記具収納具を示す、
図4における5-5矢視断面図である。
【
図6】本実施形態に係る筆記具収納具を示す、
図4における6-6矢視断面図である。
【
図7】本実施形態に係る筆記具収納具の使用状態を示す斜視図である。
【
図8】本実施形態に係る筆記具収納具の使用状態を示す、
図4における5-5矢視に相当する断面図である。
【
図9】本実施形態に係る筆記具収納具の使用状態を示す、
図4における6-6矢視に相当する断面図である。
【
図10】本実施形態に係る筆記具収納具を作業者が腰に着用した使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。
【0021】
図1から
図10において、本実施形態に係る筆記具収納具10は、複数の筆記具を収納可能な例えばペンケースである。ここで、筆記具とは、例えば芯ホルダー12、マーキングペン14,15、及びボールペン16であるが、これら以外の筆記具であってもよい。
【0022】
筆記具収納具10の背面に、係止具24が取り付けられていてもよい。作業者18の腰ベルト22(
図10)には、取付金具(図示せず)が予め取り付けられている。係止具24は、この取付金具に筆記具収納具10を着脱可能とするための装置である。
図2、
図3に示されるように、係止具24は、例えば板状の取付け部26において、筆記具収納具10における収納具本体50の背面11にねじ28で固定されている。取付け部26には、ねじ28が通される貫通孔26Aが形成されている。
【0023】
取付け部26の上方には、筆記具収納具の上方に突出する板状の基部30が一体的に形成されている。基部30には、腰ベルト22側に突出すると共に下方に垂下した形状の引掛け部30が、例えばリベット31を用いて取り付けられている。基部30と引掛け部32の間には、ロック部材34が設けられている。このロック部材34は、係止具24が腰ベルト22の取付金具から外れることを抑制する部材であり、例えば板ばねを用いて構成されている。ロック部材34を変形させて、引掛け部32とロック部材34との間に一時的に隙間を作ることで、係止具24を取付金具に着脱できるようになっている。
【0024】
筆記具収納具10は、例えば、芯ホルダー収納部40と、ストッパ部42と、マーキングペン収納部44と、ボールペン収納部46とを有している。
【0025】
芯ホルダー収納部40は、芯ホルダー12がそのペン先12Aを下にして下方に差し込まれて嵌合する部位であり、例えば収納具本体50に設けられ、上方が開口した有底の円筒状の穴である。芯ホルダー収納部40の内径は、下方側が上方側に比べて小径となっており、内径が変化する部位に段部40Cが形成されている。これは、芯ホルダー12の軸筒12Dの形状に対応している。
【0026】
図8に示されるように、芯ホルダー12の軸筒12Dの外径は、ペン先12A側がノック棒12B側と比較して小径とされており、外径が変化する部位に段部12Cが形成されている。
【0027】
芯ホルダー収納部40に芯ホルダー12を差し込んだとき、芯ホルダー12の段部12Cが芯ホルダー収納部40の段部40Cに係合するようになっている。これにより、それ以上の芯ホルダー12の差し込みが制限され、芯ホルダー収納部40において芯ホルダー12のペン先12Aが所定の高さ位置に保持されるようになっている。
【0028】
芯ホルダー収納部40の底部の側面に、開口部40Aが形成されていてもよい。一例として、開口部40Aは、芯ホルダー収納部40の径方向の両側に形成されている。開口部40Aの形状は、芯ホルダー収納部40の軸方向に長い略四角形とされている。開口部40Aを通じて、芯ホルダー12のペン先12A及び鉛筆芯13の状態が見えるようになっている。
【0029】
図8に示されるように、芯ホルダー12は、少なくとも1本の鉛筆芯13を備えている。複数の爪を有するペン先12Aにより鉛筆芯13が保持され、操作部としてのノック棒12Bを軸方向に押し込むことにより、ペン先12Aが開き鉛筆芯13の保持が解除されるようになっている。芯ホルダー12におけるノック棒12Bの上端12Eは、例えばフランジ状に形成され、上端12Eの外径は軸筒12Dの外径よりも大きく設定されている。
【0030】
また、
図7に示されるように、芯ホルダー12の軸筒12Dには、クリップ12Fが設けられている。筆記具収納具10における芯ホルダー収納部40の外面には、例えば該クリップ12Fが嵌合する凹部36が設けられている。芯ホルダー12は、ノック棒12Bが上方に突出した状態で芯ホルダー収納部40に収納されるようになっている。
【0031】
ストッパ部42は、芯ホルダー収納部40に上下位置を調整可能に設けられ、芯ホルダー12のノック棒12Bの操作によりペン先12Aから鉛筆芯13が自重で落下した際の落下限を定める部材である。ストッパ部42は、雄ねじを有する部材、例えばイモねじであり、芯ホルダー収納部40の底部に設けられたねじ穴40Bに螺合している。ストッパ部42をねじ穴40Bと螺合した状態で回転させることで、落下限の位置を調整可能とされている。落下限の調整は、換言すれば、芯ホルダー収納部40の底部からのストッパ部42の上方への突出量の調整に相当する。
【0032】
マーキングペン収納部44は、収納具本体50に設けられた、例えば上方が開口した有底の円筒状の穴である。マーキングペン収納部44は、マーキングペン14,15が、キャップ非装着状態でそのペン先14A,15Aを下にして差し込まれて嵌合し、該ペン先14A,15Aを密閉状態で収容することが可能となっている。マーキングペン収納部44の深さは、マーキングペン14,15の長さよりも短い。したがって、マーキングペン14,15をマーキングペン収納部44に収納した状態で、マーキングペン14,15の軸筒が上方に突出するようになっている。
【0033】
マーキングペン収納部44は例えば2箇所設けられている。マーキングペン収納部44の側面には、マーキングペン14,15の差込み状態を確認できるようにするための開口部44Aが形成されている。開口部40Aは、1箇所でもよく、2箇所以上に形成されていてもよい。
【0034】
ここで、マーキングペン14,15は、フェルトのペン先14A,15Aを有する筆記具であり、通常はペン先14A,15Aの乾燥防止のためキャップが用いられる。マーキングペン収納部44では、キャップを用いることなくペン先14A,15Aの乾燥を防止できるようになっている。
【0035】
マーキングペン14,15は、ペイントマーカー等であってもよい。図示の例では、マーキングペン15の軸筒が、マーキングペン14の軸筒よりも大径とされている。2箇所のマーキングペン収納部44の内径は、互いに等しいので、マーキングペン14が差し込まれるマーキングペン収納部44には、隙間を埋めるためのスペーサ48が用いられている。
【0036】
スペーサ48は、円筒部48Aと、例えば円筒部48Aの軸方向に延びるリブ48B,48Cとを有して構成されている。リブ48Bは、円筒部48Aの径方向外側における周方向の例えば3箇所配置されている。リブ48Cは、円筒部48Aの径方向内側における周方向の例えば3箇所に配置されている。円筒部48Aの周方向におけるリブ48B,48Cの位置は、例えば一致している。スペーサ48の径方向におけるリブ48B,48Cの厚さは、マーキングペン14の軸筒の外径と、マーキングペン収納部44の内径との半径差に対応している。
【0037】
図6、
図9に示されるように、開口部44Aの下方には、上方に開口した有底のペン先密閉部44Bが設けられている。ペン先密閉部44Bの内径は、マーキングペン14,15におけるペン先14A,15Aの保持部14B,15Bの内径に対応しており、ペン先密閉部44Bに、保持部14B,15Bが嵌合するようになっている。保持部14B,15Bによりペン先密閉部44Bの開口が閉塞されることで、ペン先14A,15Aがペン先密閉部44Bに密閉されるようになっている。
【0038】
図3、
図6、
図7、
図9に示されるように、ボールペン収納部46は、ボールペン16がそのペン先を下にして下方に差し込まれて収納される部位である。ボールペン収納部46の深さは、ボールペン16の長さよりも短く設定されている。つまり、ボールペン16は、ボールペン収納部46から上方に突出した状態で収納される。
【0039】
このボールペン収納部46は、例えば収納具本体50に設けられた貫通孔52と、収納具本体50とは別体の有底の筒状体54とを組み合わせて構成されている。貫通孔52の下端部は、該下端部以外の部位(下端部より上方側の部位)と比較して小径とされ、内径が変化する部位に段部52Cが形成されている。
【0040】
筒状体54の上端部は、上端部以外の部位(上端部より下方側の部位)と比較して大径とされ、外径が変化する部位に段部54Cが形成されている。筒状体54の上端部の外径は、貫通孔52の下端部より上方側の部位の内径よりもわずかに小さい。また、筒状体54の下端部より上方側の部位の外径は、貫通孔52の下端部の内径よりもわずかに小さい。したがって、筒状体54を貫通孔52に上方から差し込むと、筒状体54の段部54Cが貫通孔52の段部52Cに係止される。これにより、筒状体54が貫通孔52に取り付けられ、ボールペン収納部46が構成される。筒状体54の底部の側面には、開口部54Aが形成されている。一例として、開口部54Aは、筒状体54の径方向の両側に形成されている。
【0041】
(筆記具セット)
図7から
図10において、筆記具セット20は、例えば筆記具収納具10と、芯ホルダー12とを有している。この筆記具セット20は、更にマーキングペン14,15と、ボールペン16とを有していてもよい。なお、筆記具収納具10に組み合わされる筆記具は、適宜選択可能である。一例として、マーキングペン14,15の差込み位置が、
図7から
図9に示される例とは逆になっている。
【0042】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。
図8において、本実施形態に係る筆記具収納具10では、芯ホルダー収納部40に芯ホルダー12を差し込むと、芯ホルダー12が芯ホルダー収納部40に嵌合する。このとき、芯ホルダー12のペン先12Aは、芯ホルダー収納部40における所定の高さ位置に保持される。
【0043】
具体的には、芯ホルダー収納部40に芯ホルダー12を差し込んだとき、芯ホルダー12の段部12Cが芯ホルダー収納部40の段部40Cに係合する。これにより、それ以上の芯ホルダー12の差し込みが制限され、芯ホルダー収納部40において芯ホルダー12のペン先12Aが所定の高さ位置に保持される。
【0044】
この状態で芯ホルダー12のノック棒12Bを押すと、芯ホルダー12内でのペン先12Aによる鉛筆芯13の保持が解除され、ペン先12Aから鉛筆芯13が自重で落下する。しかしながら、その落下限はストッパ部42により定められており、鉛筆芯13の落下はストッパ部42の位置で止まる。ノック棒12Bから手を離すと鉛筆芯13がその状態で芯ホルダー12内において保持される。ストッパ部42は例えばイモねじであり、上下位置を適宜調整可能である。したがって、芯ホルダー12が筆記具収納具10に収納された状態で、鉛筆芯13の突出長さを適切に設定できる。
【0045】
特に、芯ホルダー12のノック棒12Bの上端12Eが軸筒12Dの外径よりも大きいので、筆記具収納具10に収納された芯ホルダー12のノック棒12Bを容易に操作することができる。このため、作業者18(
図10)が手袋を装着していても、芯ホルダー12が筆記具収納具10に収納された状態で、鉛筆芯13の突出長さを適切に設定できる。 またこれによって、
図10に示されるように、芯ホルダー12を使用に適した状態で片手操作により筆記具収納具10から取り出すことができる。そして、鉛筆芯13の突出長さを改めて調整することなく、芯ホルダー12を直ちに使用できる。
【0046】
また、芯ホルダー収納部40の底部の側面に開口部40Aが形成されているので、該底部に落ちた鉛筆芯13の破片を開口部40Aから外部へ排出できる。このため、該底部での鉛筆芯13の破片の蓄積を抑制できる。
【0047】
更に、
図9に示されるように、マーキングペン収納部44にキャップ非装着状態のマーキングペン14,15を差し込むと、マーキングペン14,15がマーキングペン収納部44に嵌合する。このとき、マーキングペン14,15のペン先14A,15Aはペン先密閉部44Bに密閉状態で収納される。したがって、ペン先14A,15Aの乾燥が防止される。マーキングペン収納部44からマーキングペン14,15を取り出すとペン先14A,15Aが露出するので、直ちに使用できる。マーキングペン14,15をマーキングペン収納部44に差し込めば、ペン先14A,15Aが密閉状態で収納される。したがって、マーキングペン14,15を片手操作で筆記具収納具10から取り出したり、収納したりすることができる。
【0048】
このように、本実施形態では、筆記具収納具10からの芯ホルダー12等の筆記具の取出し及び収納の作業性を向上させることができる。これにより、改善された筆記具収納具10及び筆記具セット20を提供できる。
【0049】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0050】
例えば、筆記具収納具10がマーキングペン収納部44及びボールペン収納部46を有するものとしたが、これらの何れか又は双方を有しない構成であってもよい。
【0051】
[付記]
以下、本開示の態様を付記する。
【0052】
(付記1)
【0053】
複数の筆記具を収納可能な筆記具収納具であって、
少なくとも1本の鉛筆芯を備えた芯ホルダーがそのペン先を下にして下方に差し込まれて嵌合し、前記芯ホルダーのペン先が所定の高さ位置に保持される芯ホルダー収納部と、
前記芯ホルダー収納部に上下位置を調整可能に設けられ、前記芯ホルダーの操作部の操作により前記ペン先から前記鉛筆芯が自重で落下した際の落下限を定めるストッパ部と、
を有する筆記具収納具。
【0054】
(付記2)
前記芯ホルダー収納部の底部の側面に開口部が形成されている付記1に記載の筆記具収納具。
【0055】
(付記3)
前記複数の筆記具としてのマーキングペンが、キャップ非装着状態でそのペン先を下にして差し込まれて嵌合し、該ペン先を密閉状態で収容するマーキングペン収納部を有する付記1又は2に記載の筆記具収納具。
【0056】
(付記4)
付記1~3の何れかに記載の筆記具収納具と、
操作部が軸筒の外径よりも大きい芯ホルダーと、
を有する筆記具セット。
【符号の説明】
【0057】
10 筆記具収納具
12 芯ホルダー
12A ペン先
12B ノック棒(操作部)
12D 軸筒
13 鉛筆芯
14 マーキングペン
14A ペン先
15 マーキングペン
15A ペン先
20 筆記具セット
40 芯ホルダー収納部
40A 開口部
42 ストッパ部
44 マーキングペン収納部