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特開2024-21000計測装置、計測方法及び計測プログラム
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  • 特開-計測装置、計測方法及び計測プログラム 図1
  • 特開-計測装置、計測方法及び計測プログラム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021000
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】計測装置、計測方法及び計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/7088 20220101AFI20240207BHJP
【FI】
G01F1/7088
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123619
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市毛 祐也
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035FA03
(57)【要約】
【課題】流体の流速を精度良く測定することを課題とする。
【解決手段】計測装置は、変更部と、コイルと、検出部と、計測部と、算出部とを有する。変更部は、測定対象の流体が流れる配管に設けられ、配管を流れる流体の帯電状態を変更する。コイルは、配管の変更部よりも下流側に設けられる。検出部と、計測部は、コイルの磁界の変化を検出する。計測部は、変更部により流体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部によりコイルの磁場の変化が検出されるまでの時間を計測する。算出部は、計測部により計測した時間に基づき、流体の流速を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の流体が流れる配管に設けられ、前記配管を流れる前記流体の帯電状態を変更する変更部と、
前記配管の前記変更部よりも下流側に設けられたコイルと、
前記コイルの磁界の変化を検出する検出部と、
前記変更部により前記流体の帯電状態を変化させたタイミングから前記検出部により前記コイルの磁場の変化が検出されるまでの時間を計測する計測部と、
前記計測部により計測した時間に基づき、前記流体の流速を算出する算出部と、
を有する計測装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記配管での前記変更部と前記コイルの距離を前記計測部により計測した時間を割ることで、前記流体の流速を算出する
請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記算出部は、算出した流速と前記配管の断面積を乗算することで前記流体の流量を算出する
請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記コイルに発生する誘電電流を検出し、
前記計測部は、前記流体の帯電状態を変化させたタイミングから前記検出部により検出される誘電電流が変化するまでの時間を計測する
請求項1に記載の計測装置。
【請求項5】
前記変更部は、前記配管を流れる前記流体を中和状態とした後、前記流体を帯電状態に変更し、
前記計測部は、前記流体の帯電状態を変化させたタイミングから前記検出部により誘電電流が検出するまでの時間を計測する
請求項4に記載の計測装置。
【請求項6】
前記コイルは、前記配管の外周を囲むように配置されている
請求項1に記載の計測装置。
【請求項7】
コンピュータが、
測定対象の流体が流れる配管に設けられた変更部により前記配管を流れる前記流体の帯電状態を変更し、
前記変更部により前記流体の帯電状態を変化させたタイミングから、前記配管の前記変更部よりも下流側に設けられたコイルの磁場の変化が検出部により検出されるまでの時間を計測し、
計測した時間に基づき、前記流体の流速を算出する、
処理を実行する計測方法。
【請求項8】
コンピュータに、
測定対象の流体が流れる配管に設けられた変更部により前記配管を流れる前記流体の帯電状態を変更し、
前記変更部により前記流体の帯電状態を変化させたタイミングから、前記配管の前記変更部よりも下流側に設けられたコイルの磁場の変化が検出部により検出されるまでの時間を計測し、
計測した時間に基づき、前記流体の流速を算出する、
処理を実行させる計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、計測方法及び計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
配管を流れる気体などの流体の流速を計測する計測装置が知られている。例えば、特許文献1では、流体が流れる配管に一対の電極を設け、電極の上流側に発生装置を設け、発生装置により負にチャージした流体により一対の電極に発生する誘導電圧から、流体の流速を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-253411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、流体がチャージされるチャージ量は、流体の種類や状態によって、異なる。このため、一対の電極に発生する誘導電圧が流体の種類や状態によって変化し、流体の流速を精度良く測定できない場合がある。
【0005】
本願はこのような課題を解決するためのものであり、流体の流速を精度良く測定することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る計測装置は、変更部と、コイルと、検出部と、計測部と、算出部とを有する。変更部は、測定対象の流体が流れる配管に設けられ、配管を流れる流体の帯電状態を変更する。コイルは、配管の変更部よりも下流側に設けられる。検出部は、コイルの磁界の変化を検出する。計測部は、変更部により流体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部によりコイルの磁場の変化が検出されるまでの時間を計測する。算出部は、計測部により計測した時間に基づき、流体の流速を算出する。
【0007】
上記計測装置において、算出部は、配管での変更部とコイルの距離を計測部により計測した時間を割ることで、流体の流速を算出してもよい。
【0008】
上記計測装置において、算出部は、算出した流速と配管の断面積を乗算することで流体の流量を算出してもよい。
【0009】
上記計測装置において、検出部は、コイルに発生する誘電電流を検出してもよい。計測部は、流体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部により検出される誘電電流が変化するまでの時間を計測してもよい。
【0010】
上記計測装置において、変更部は、配管を流れる流体を中和状態とした後、流体を帯電状態に変更してもよい。計測部は、流体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部により誘電電流が検出するまでの時間を計測してもよい。
【0011】
上記計測装置において、コイルは、配管の外周を囲むように配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
上述した計測装置によれば、流体の流速を精度良く測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態にかかる計測装置の概略構成を説明する図である。
図2図2は、実施形態にかかるコイルの配置の一例を説明する図である。
図3図3は、実施形態にかかる配管を流れる気体を帯電状態に変更した一例を示す図である。
図4図4は、実施形態にかかるコイルに発生する誘導電流を説明する図である。
図5図5は、実施例に係る計測処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、実施の形態(適宜、「実施形態」)について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、実施形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0015】
〔装置構成〕
図1は、実施形態にかかる計測装置10の概略構成を説明する図である。図1には、配管1が示されている。配管1は、測定対象の流体が内部に流れる。測定対象の流体は、気体とする。配管1を流れる気体は、ダストを含んでもよい。以下では、説明を簡略化するため、配管1を直線状として、配管1が延びる方向をX方向とし、X方向に垂直な上方向をY方向とし、X方向に垂直な水平方向をZ方向とする。気体は、配管1内をX方向に流れる。配管1を流れる気体には、粒子が含まれる。粒子は、電気的に正または負の電荷を帯電したもの、正負のバランスが取れ中和した状態のもので分けることができる。
【0016】
計測装置10は、配管1を流れる気体の流速を計測する。実施形態では、計測装置10は、配管1を流れる気体の流速を計測する。計測装置10は、変更部20と、コイル21と、検出部22と、制御部23と、表示部24とを有する。
【0017】
変更部20は、配管1に設けられている。変更部20は、配管1を流れる気体の帯電状態を変更する。例えば、変更部20は、イオナイザーとして構成されている。イオナイザーとは、電極針に高電圧を印加して、空気中の粒子に正または負の電荷を持ったイオンを放出し、中和して静電気を除去する装置である。変更部20は、信号発生部20aと、電極針20bとを有する。
【0018】
電極針20bは、配管1の壁面に設けられ、先端が配管1内に到達している。電極針20bには、信号発生部20aが接続されている。
【0019】
信号発生部20aは、制御部23に接続され、制御部23の制御に応じて所定の周波数の信号を電極針20bに供給する。また、信号発生部20aは、制御部23の制御に応じて電極針20bに供給する信号の電圧を変更可能とされている。
【0020】
変更部20は、制御部23の制御の基、信号発生部20aから信号を供給して電極針20bでコロナ放電を起こすことにより生成されるイオンを配管1内に照射することで、配管1を流れる気体の帯電状態を変更する。例えば、変更部20は、配管1を流れる気体に正または負の電荷を持ったイオンを放出し、気体中の粒子を電気的に中和状態とする。また、変更部20は、制御部23の制御に応じて、電極針20bに印加する電圧を変えることで、配管1を流れる気体中の粒子を正または負に帯電させる。
【0021】
コイル21は、配管1の気体の流れに対して変更部20よりも下流側に設けられている。図2は、実施形態にかかるコイル21の配置の一例を説明する図である。図2には、配管1のYZ平面での断面が示されている。コイル21は、配管1の外周を囲むように配置されている。例えば、コイル21は、配管1の円周と直交するように巻線が巻かれている。また、コイル21のまかれた巻線は、配管1の外周に沿って大きく巻き付くように配置している。コイル21は、配管1を流れる気体により発生する磁界を検出する。例えば、コイル21は、配管1を流れる気体により発生する磁界が変化することにより誘電電流が発生する。
【0022】
図1に戻る。コイル21は、検出部22に接続されている。検出部22は、コイル21の磁界の変化を検出する。例えば、検出部22は、コイル21に発生する誘電電流を検出する。検出部22は、制御部23に接続されている。検出部22は、検出結果を制御部23に出力する。
【0023】
制御部23は、計測装置10を制御するデバイスである。制御部23は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を有する。制御部23は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、電子回路や集積回路によって種々の処理を実行する。制御部23は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。例えば、制御部23は、計測部23aと、算出部23bと、出力制御部23cとを有する。本実施形態では、制御部23が本開示のコンピュータに対応する。
【0024】
制御部23は、変更部20を制御し、配管1を流れる気体の帯電状態を変更する。例えば、制御部23は、配管1を流れる気体に正または負の電荷を持ったイオンを放出して除電し、気体中の粒子を電気的に中和状態とする。その後、制御部23は、変更部20により配管1を流れる気体を帯電状態に変更する。
【0025】
計測部23aは、変更部20により気体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部22によりコイル21の磁場の変化が検出されるまでの時間を計測する。例えば、計測部23aは、変更部20により気体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部22により検出される誘電電流が変化するまでの時間を計測する。例えば、計測部23aは、配管1を流れる気体を一旦中和状態とした後、気体を帯電状態に変更したタイミングから、検出部22により誘電電流が検出されるまでの時間を計測する。
【0026】
算出部23bは、計測部23aにより計測した時間に基づき、気体の流速を算出する。例えば、算出部23bは、配管1での変更部20とコイル21の距離を計測部23aにより計測した時間を割ることで、気体の流速を算出する。また、算出部23bは、算出した流速と配管1の断面積を乗算することで気体の流量を算出する。
【0027】
出力制御部23cは、算出部23bの算出結果の出力を制御する。例えば、出力制御部23cは、算出された気体の流速及び気体の流量を表示部24に出力して表示させる。なお、出力制御部23cは、算出された気体の流速及び気体の流量のデータを外部装置に出力してもよい。また、出力制御部23cは、算出された気体の流速及び気体の流量のデータを記憶装置に出力して記憶させてもよい。
【0028】
ここで、計測の具体的な一例を説明する。
【0029】
図1には、計測を行う際の配管1を流れる気体中の粒子の帯電状態の一例が示されている。制御部23は、配管1を流れる気体に正または負の電荷を持ったイオンを放出して除電し、気体中の粒子を電気的に中和状態とする。図1では、電極針20bの位置より上流側では、配管1を流れる気体に+に帯電した粒子、-に帯電した粒子、中和している粒子があるが、電極針20bの位置より下流側では、中和されることにより、各粒子が中和された粒子となっている。中和された粒子は、周りに電界や磁界がほとんど発生せず、それらがコイル21を通過してもコイル21に誘導電流は発生しない。
【0030】
その後、制御部23は、変更部20により配管1を流れる気体を帯電状態に変更する。例えば、制御部23は、変更部20を制御し、電極針20bに印加する電圧を変えることで、配管1を流れる気体中の粒子を正または負に帯電させる。例えば、制御部23は、変更部20を制御し、正の電荷を持ったイオンを放出させて配管1を流れる気体中の粒子を正に帯電させる。
【0031】
図3は、実施形態にかかる配管1を流れる気体を帯電状態に変更した一例を示す図である。図3では、電極針20bの位置より下流側では、電極針20bから正に帯電させることにより、各粒子が+に帯電した粒子となっている。なお、制御部23は、変更部20を制御し、負の電荷を持ったイオンを放出させて配管1を流れる気体中の粒子を負に帯電させてもよい。
【0032】
電荷をもつ物体が、例えば、配管1に沿ってX方向に移動したとき、その電荷のYZ平面に磁界が発生する。図4は、実施形態にかかるコイル21に発生する誘導電流を説明する図である。図4には、配管1の断面が示されている。正の電荷を持った粒子がX方向に移動してコイル21を通過する際、コイル21内部を通る磁束が変化する。これによりコイル21には誘導電流が発生する。
【0033】
計測部23aは、変更部20により気体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部22によりコイル21の磁場の変化が検出されるまでの時間を計測する。例えば、計測部23aは、制御部23は、変更部20を制御して変更部20から正または負のイオンを放出した時間T1を記憶し、検出部22により検出される誘電電流が変化を検出した時間T2(ただしT2>T1)を記憶する。計測部23aは、時間T2-時間T1を演算することにより、時間を計測する。
【0034】
算出部23bは、計測部23aにより計測した時間(T2-T1)に基づき、気体の流速を算出する。変更部20とコイル21の距離をLとすると、気体の流速Uは、以下の式(1)から算出できる。
【0035】
U = L/(T2-T1) (1)
【0036】
算出部23bは、(1)式に示すように、配管1での変更部20とコイル21の距離Lを計測部23aにより計測した時間(T2-T1)を割ることで、気体の流速Uを算出する。距離Lの値は、事前に制御部23に事前に設定する。
【0037】
配管1の断面積をSとすると、気体の流量FLは、以下の式(2)から算出できる。
【0038】
FL = S × U (2)
【0039】
算出部23bは、(2)式に示すように、算出した流速Uと配管1の断面積Sを乗算することで気体の流量FLを算出する。断面積Sの値は、事前に制御部23に事前に設定する。
【0040】
出力制御部23cは、算出部23bの算出結果の出力を制御する。例えば、出力制御部23cは、算出された気体の流速及び気体の流量を表示部24に出力して表示させる。
【0041】
ここで、従来の計測装置は、配管を通過する気体に含まれる帯電粒子による微弱な起電力の変化から流量を検出するものであり、気体の導電性分布の不均一などにより、起電力が変化し誤差が生じ、気体の流速を精度良く測定できない。
【0042】
一方、実施形態にかかる計測装置10は、変更部20により配管1を流れる気体を帯電状態に変更し、コイル21の磁場の変化から、帯電状態を変更した粒子がコイル21部分を通過するまでの時間(T2-T1)を計測する。計測装置10は、コイル21で磁場の変化があったタイミングを検出するため、気体の導電性分布の不均一であっても、時間(T2-T1)を安定して計測でき、気体の流速を精度良く測定できる。配管1を流れる気体は、ダストを含んでもよい。ダストを含む気体は、変更部20による帯電量が大きくなると予想されるため、コイル21の磁場の変化の検出に有利となる。ダストとは、煤塵、粉塵などを含み、例えば、粒子径が1μm~100μmの粒子状物質全般を想定する。
【0043】
〔計測処理の流れ〕
次に、計測装置10が気体の流速及び気体の流量を計測する計測処理の流れについて説明する。図5は、実施例に係る計測処理の手順の一例を示すフローチャートである。この計測処理は、所定のタイミング、例えば、流速及び流量を計測するタイミングで実行される。
【0044】
制御部23は、変更部20を制御し、配管1を流れる気体の帯電状態を変更する(ステップS10)。例えば、制御部23は、配管1を流れる気体に正または負の電荷を持ったイオンを放出し、気体中の粒子を電気的に中和状態とする。その後、制御部23は、変更部20により配管1を流れる気体を帯電状態に変更する。
【0045】
計測部23aは、変更部20により気体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部22によりコイル21の磁場の変化が検出されるまでの時間を計測する(ステップS11)。例えば、計測部23aは、配管1を流れる気体を一旦中和状態とした後、気体を帯電状態に変更したタイミングから、検出部22により誘電電流が検出されるまでの時間を計測する。
【0046】
算出部23bは、計測部23aにより計測した時間に基づき、気体の流速を算出する。例えば、算出部23bは、配管1での変更部20とコイル21の距離を計測部23aにより計測した時間を割ることで、気体の流速を算出する。また、算出部23bは、算出した流速と配管1の断面積を乗算することで気体の流量を算出する(ステップS12)。
【0047】
出力制御部23cは、算出された気体の流速及び気体の流量を表示部24に出力して表示させ(ステップS13)、処理を終了する。
【0048】
なお、上記の実施形態では、配管1を流れる気体を一旦中和状態とした後、気体を帯電状態に変更したタイミングから、検出部22により誘電電流が検出されるまでの時間を計測する場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではない。例えば、変更部20により配管1を流れる気体を一旦帯電状態とした後、気体を中和状態に変更してもよい計測部23aは、中和状態に変更したタイミングから、検出部22により誘電電流が検出されなくなるまでの時間を計測してもよい。また、例えば、変更部20により配管1を流れる気体を正、負の何れか一方の帯電状態とした後、気体を他方の帯電状態に変更してもよい。計測部23aは、他方の帯電状態に変更したタイミングから、検出部22により誘電電流の流れが逆向き、又は、誘電電流が一時的にゼロとなるまでの時間を計測してもよい。
【0049】
また、上記の実施形態では、測定対象の流体を気体とした場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではない。測定対象の流体は、帯電状態を変更可能であれば液体であってもよい。
【0050】
〔効果〕
上述したように、実施形態にかかる計測装置10は、変更部20と、コイル21と、検出部22と、計測部23aと、算出部23bとを有する。変更部20は、測定対象の流体が流れる配管1に設けられ、配管1を流れる流体の帯電状態を変更する。コイル21は、配管1の変更部20よりも下流側に設けられている。検出部22は、コイル21の磁界の変化を検出する。計測部23aは、変更部20により流体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部22によりコイル21の磁場の変化が検出されるまでの時間を計測する。算出部23bは、計測部23aにより計測した時間に基づき、流体の流速を算出する。これにより、実施形態にかかる計測装置10は、流体の流速を精度良く測定できる。
【0051】
また、算出部23bは、配管1での変更部20とコイル21の距離を計測部23aにより計測した時間を割ることで、流体の流速を算出する。これにより、実施形態にかかる計測装置10は、流体の流速を精度良く測定できる。
【0052】
また、算出部23bは、算出した流速と配管1の断面積を乗算することで流体の流量を算出する。これにより、実施形態にかかる計測装置10は、流体の流量を精度良く測定できる。
【0053】
また、検出部22は、コイル21に発生する誘電電流を検出する。計測部23aは、流体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部22により検出される誘電電流が変化するまでの時間を計測する。これにより、実施形態にかかる計測装置10は、帯電状態を変化させた流体の粒子がコイル21部分に到達するまでの時間を計測できる。
【0054】
また、変更部20は、配管1を流れる流体を中和状態とした後、流体を帯電状態に変更する。計測部23aは、流体の帯電状態を変化させたタイミングから検出部22により誘電電流が検出するまでの時間を計測する。これにより、実施形態にかかる計測装置10は、帯電状態を変化させた流体の粒子がコイル21部分に到達するまでの時間を計測できる。
【0055】
また、コイル21は、配管1の外周を囲むように配置されている。これにより、実施形態にかかる計測装置10は、帯電状態を変化させた流体の粒子がコイル21部分を通過したことを精度良く検出できる。
【0056】
〔その他の実施形態〕
さて、これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、実施形態の構成や詳細は、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で実施することができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 配管
10 計測装置
20 変更部
20a 信号発生部
20b 電極針
21 コイル
22 検出部
23 制御部
23a 計測部
23b 算出部
23c 出力制御部
24 表示部
図1
図2
図3
図4
図5