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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002101
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】建具枠連結構造及び建具枠連結具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/60 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
E06B1/60
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101092
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小縣 剛士
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KA05
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KD26
2E011KD28
2E011KD35
2E011KE02
2E011KE04
2E011KE07
(57)【要約】
【課題】 作業性の良好な簡素な構造を得る。
【解決手段】 建具枠10と該建具枠10の周囲の建材20とを、これらの間の建具枠連結具30によって連結した建具枠連結構造において、建具枠10には、建材20に対し見付け方向に対向する基部17が設けられ、建具枠連結具30は、見込み方向の一方側から挿通される第一の止着具41により建材20に止着されるとともに、同一方側から斜めに挿通される第二の止着具42により基部17に止着されている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具枠と該建具枠の周囲の建材とを、これらの間の建具枠連結具によって連結した建具枠連結構造において、
前記建具枠には、前記建材に対し見付け方向に対向する基部が設けられ、
前記建具枠連結具は、見込み方向の一方側から挿通される第一の止着具により前記建材に止着されるとともに、同一方側から斜めに挿通される第二の止着具により前記基部に止着されていることを特徴とする建具枠連結構造。
【請求項2】
前記建具枠連結具は、前記建具枠と前記建材の間に挿入されて前記基部に接する建具枠側止着片と、前記建材における見込み方向の端面に接する建材側止着片とを一体に具備し、
前記第二の止着具は、後端側を前記建材側止着片に掛止して、傾斜する先端側を前記建具枠側止着片に貫通して前記基部に止着していることを特徴とする請求項1記載の建具枠連結構造。
【請求項3】
前記建材側止着片は、前記建材における見込み方向の端面に接する接片部と、前記接片部に対し曲げられて前記建具枠と前記建材の間へ向かう傾斜片部とを一体に有し、
前記第二の止着具は、後端側を前記傾斜片部に掛止していることを特徴とする請求項2記載の建具枠連結構造。
【請求項4】
前記建材側止着片には、前記第一の止着具を挿通し掛止するための第一の止着具挿通部が、見付け方向に複数設けられていることを特徴とする請求項2記載の建具枠連結構造。
【請求項5】
前記建材側止着片には、前記複数の第一の止着具挿通部のうち、最も建具枠側の第一の止着具挿通部を除く他の第一の止着具挿通部を含むように、見付け方向に分離することが可能な切離エリアが設けられていることを特徴とする請求項4記載の建具枠連結構造。
【請求項6】
前記建材側止着片には、該建材側止着片を部分的に見込み方向へ折り曲げ可能にする曲げ線部が、見付け方向に間隔を置いて複数設けられることを特徴とする請求項2記載の建具枠連結構造。
【請求項7】
前記建材側止着片には、前記第一の止着具を挿通し掛止するための第一の止着具挿通部が、見付け方向へ長尺な孔状又は切欠状に設けられていることを特徴とする請求項2~6何れか1項記載の建具枠連結構造。
【請求項8】
建具枠と該建具枠の周囲の建材とを連結するための建具枠連結具であって、
前記建具枠と前記建材の間に挿入される建具枠側止着片と、前記建材における見込み方向の端面に接する建材側止着片とを一体に具備し、
前記建材側止着片には、前記建材へ向かう第一の止着具を挿通して該第一の止着具の後端側を掛止するための第一の止着具挿通部と、前記建具枠へ向かう第二の止着具を挿通して該第二の止着具の後端側を掛止するため第二の止着具挿通部とが設けられ、
前記建具枠側止着片には、前記第二の止着具挿通部に挿通される前記第二の止着具を挿通して前記建具枠へ向ける第三の止着具挿通部が設けられていることを特徴とする建具枠連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具枠を周囲の建材に連結した建具枠連結構造及び建具枠連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、間隔をあけて配設されるドア枠と壁側建材とを連結するようにした連結具がある。この連結具では、ドア枠に軸支される雄ねじ棒と、この雄ねじ棒を挿通した連結部材とを備え、雄ねじ棒を中心にして前記連結部材を回動させることで、この連結部材を壁側建材へ向け、この連結部材の先端部を結合具によって壁側建材側の部材に結合するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-7748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業性向上やコスト低減等の観点から、より簡素な構造が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
建具枠と該建具枠の周囲の建材とを、これらの間の建具枠連結具によって連結した建具枠連結構造において、前記建具枠には、前記建材に対し見付け方向に対向する基部が設けられ、前記建具枠連結具は、見込み方向の一方側から挿通される第一の止着具により前記建材に止着されるとともに、同一方側から斜めに挿通される第二の止着具により前記基部に止着されていることを特徴とする建具枠連結構造。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、作業性が良好で簡素な構造により、建具枠を建材に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る建具枠連結構造の一例を適用した建具装置を示す全体正面図である。
図2】同建具枠連結構造を示す全体正面図であり、開閉体は省略している。
図3図2の要部拡大図である。
図4図3の(IV)-(IV)線に沿う断面図である。
図5】建具枠連結具の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
図6】同建具枠連結具の六面図である。
図7図3の(IV)-(IV)線に沿う断面において、建材に対向するように建具枠を設置した状態を示す図である。
図8】同断面において、建材と建具枠の間に設置した建具枠連結具を、第一及び第二の止着具により止着しようとしている様子を示す図である。
図9】建具枠連結具の他例を示す底面図である。
図10】建具枠連結具の他例を示す底面図である。
図11】本発明に係る建具枠連結構造の他例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
本明細書中、「見付け方向」とは、建具枠10の横幅方向(図1の左右方向)を意味する。また、「見込み方向」とは、「見付け方向」に略直交する枠厚の方向を意味する。
また、「開口幅方向」とは、開閉体15により開閉される開口部10aの横幅方向を意味し、本実施態様によれば、「見付け方向」と同方向である。
また、「枠内側」とは、建具枠10の内側を示し、「枠外側」とは、建具枠10の外側を示す。
【0010】
図1は、本発明に係る建具枠連結構造Aを適用した建具装置1を示す。
建具枠連結構造Aは、全閉状態の開閉体15の周囲の建具枠10と、この建具枠10の周囲の建材20とを、これらの間の建具枠連結具30によって連結している。
【0011】
開閉体15は、建具枠10内側の開口部10a(図2参照)を開閉する戸体(ドア)であり、戸尻部分が一方の側枠部材12に枢支されて回動する。図中符号16は、開閉体15を回動可能に軸支するヒンジである。このヒンジ16は、図示例によれば旗蝶番であるが、他の態様のものを適用可能である。
【0012】
建具枠10は、左右の側枠部材11,12と、これら側枠部材11,12の上端間に接続された上枠部材13と、側枠部材11,12の下端間に接続された下枠部材14(沓摺と称する場合もある)とから中央に開口部10a有する矩形枠状に構成される。
これら側枠部材11,12、上枠部材13及び下枠部材14は、予め工場や現場等で一体に接合(例えば、溶接やねじ止め、リベット止め等による)されて、建具枠10を構成する。
なお、下枠部材14を省いて、建具枠10を正面視逆凹状に構成することも可能である。この場合、建具枠10の下方側は、地面や床面となる。
【0013】
側枠部材11,12は、同一の横断面形状の部材であり、それぞれ、上下方向へわたる長尺状に形成される。上枠部材13も、側枠部材11,12と同一の横断面形状の部材であり、左右方向わたる長尺状に形成される。
なお、他例としては、これら側枠部材11,12、上枠部材13の断面形状を異ならせることも可能である。
【0014】
建具枠連結構造Aは、側枠部材11,12及び上枠部材13のそれぞれの外側に構成される。これらは、略同構成であるため、以下の説明では、右側の側枠部材12に対応する建具枠連結構造Aについて説明する。
【0015】
図4に示すように、右側の側枠部材12は、枠外側(壁側)に開口12aを有する枠状(図示例によれば、横断面略凸字状)部材であり、上下方向へわたる長尺状に連続している。
この側枠部材12の枠外側の部分には、開口12aを間にして、見込み方向に間隔を置いて対向するように、二つの突片部12b,12bが設けられる。突片部12bは、側枠部材12の上下方向の全長にわたって連続しており、リップ等と呼称される場合がある。
これら二つの突片部12b,12bには、これらを跨ぐようにして基部17が固定される。基部17は、建材20に対し見付け方向に対向する平板状の部材であり、開口12aに対し外部から挿入され、突片部12b,12bに対し溶接等の固定手段により、固定される。前記固定手段は、ねじ止めや、リベット止め、その他の止着手段とすることも可能である。
なお、他例としては、側枠部材12が基部17を一体に有する形状であってもよい。
【0016】
建材20は、建具枠10の周囲を囲むようにして、不動部位(例えば、建具装置1の設置対象である建物等)に固定される。図4に一例を示す建材20は、壁部2を内側から支持する芯材21と、この芯材21の枠内側に止着固定された補強部材22とを一体的に具備する。
【0017】
壁部2は、見込み方向に間隔を置いた2枚の板材(例えば、石膏ボードやベニヤ板、その他のパネル材等)から構成される。
【0018】
芯材21は、上下方向へ連続するC形鋼状の長尺材であり、建具枠10の左右両側、及び上側にそれぞれ立設される。この芯材21は、当該建具装置1の設置対象である躯体開口部等の不動部位に固定される。
【0019】
補強部材22は、芯材21よりも見込み方向の寸法が小さいC形鋼状の長尺材であり、各芯材21の枠内側の面に固定され、上下方向へ延設される。
なお、芯材21及び補強部材22は、その一部または全部を一体の部材から構成することが可能である。
【0020】
建具枠連結具30は、見込み方向の一方側(図4によれば、紙面の下側)から挿通される第一の止着具41により建材20の補強部材22に止着されるとともに、同一方側から斜めに挿通される第二の止着具42により基部17に止着されている(図4及び図8参照)。
なお、前記「斜めに挿通される」とは、見込み方向に対し所定の角度(図示例によれば約45度)をなして挿通されることを意味する。
【0021】
この建具枠連結具30は、建具枠10(詳細には側枠部材12)と建材20(詳細には補強部材22)との間に挿入されて基部17に接する建具枠側止着片31と、補強部材22における見込み方向の端面に接する建材側止着片32とを一体に具備し、断面略L字状に構成される。
【0022】
建具枠側止着片31は、基部17に重なり合う平板状に形成される。この建具枠側止着片31には、第三の止着具挿通部31aが設けられる。この第三の止着具挿通部31aは、見込み方向へ向かうとともに基部17側へ傾いた貫通孔であり、第二の止着具42を斜めに挿通する(図4及び図8参照)。
【0023】
建材側止着片32は、補強部材22における見込み方向の端面に接する接片部32aと、接片部32aに対し曲げられて側枠部材12と補強部材22の間へ向かう傾斜片部32bとを一体に有する。
【0024】
接片部32aは、補強部材22の見込み方向の端面に重なり合う平板状に形成される。
この接片部32aには、第一の止着具41を挿通して、この第一の止着具41の頭部を掛止するための第一の止着具挿通部32a1が設けられる。この第一の止着具挿通部32a1は、図4図8に示す一例によれば、貫通状の丸孔であるが、長孔や切欠等とすることが可能である。
【0025】
第一の止着具挿通部32a1は、接片部32aにおいて、見付け方向(図5によれば、紙面上の左右方向)に間隔を置いて複数(図示例によれば三つ)設けられ、この見付け方向に交差する方向にも間隔を置いて複数(図示例によれば二つ)設けられる。
【0026】
また、建材側止着片32には、複数の第一の止着具挿通部32a1のうち、最も建具枠10側の第一の止着具挿通部32a1を除く他の第一の止着具挿通部32a1を含むように、見付け方向に分離することが可能な切離エリアE1,E2が設けられる(図5参照)。
【0027】
一方の切離エリアE1は、図示例よれば、建具枠側止着片31から最も離れた位置にあり、切離エリアE2は、切離エリアE1よりも建具枠側止着片31に近い。
切離エリアE2に沿う建具枠側止着片31側には、断面略V字状の溝32a2が設けられ、切離エリアE2と切離エリアE1の間にも溝32a2が設けられる。
【0028】
これらの構成によれば、溝32a2を境に切離エリアE1又はE2を折り曲げるようにすれば、切離エリアE1又はE2を容易に切離することが可能である。
【0029】
なお、溝32a2は、各切離エリアE1,E2の分離作業を容易にするものであればよく、他例としては、この溝32a2を接片部32aの側縁に設けた切欠部等に置換したり、溝32a2に加えて前記切欠部を設けたりしてもよい。
【0030】
傾斜片部32bは、図示例によれば、平板状の接片部32aに凹状に切込みを形成し、この切込みの内側部分を、側枠部材12と補強部材22の間側へ曲げるようにして形成される。
この傾斜片部32bには、第二の止着具42を挿通させて、この第二の止着具42の頭部を掛止するための第二の止着具挿通部32b1が設けられる。
【0031】
第一の止着具41は、雄ネジ部の先側にドリル刃を有するドリルネジであり、補強部材22に対し、孔開け加工しながらメネジを切って螺合する。
この第一の止着具41の他例としては、タッピンネジやボルト等とすることも可能であるが、この場合、補強部材22には予め下孔や、雌ネジ孔が設けられる。
【0032】
この第一の止着具41は、建材側止着片32の第一の止着具挿通部32a1に挿通され、後端側の頭部を第一の止着具挿通部32a1の外側に掛止し、先端側の雄ネジ部を補強部材22に螺合して締め付けられている。
【0033】
第二の止着具42は、第一の止着具41よりも長いドリルネジであり、基部17に対し、斜めに孔開け加工しながらメネジを切って螺合する。
この止着具41の他例としては、タッピンネジやボルト等とすることも可能であるが、この場合、基部17には予め下孔や、メネジ孔が設けられる。
【0034】
この第二の止着具42は、建材側止着片32の第二の止着具挿通部32b1に挿通され、後端側の頭部を建材側止着片32の傾斜片部32bに掛止して、傾斜する先端側の雄ネジ部を建具枠側止着片31に貫通して基部17に螺合し、締め付けられている。
【0035】
次に上記構成の建具枠連結具30を用いて、建具枠10を建材20に連結する具体的な手順等を詳細に説明する。
【0036】
建材20側において、補強部材22は、不動部位に固定された芯材21に対し、所定の固定手段により止着固定される。この固定手段は、溶接や、ねじ止め、リベット止め等とすればよい。
【0037】
建具枠10側において、基部17は、建具枠10が、左右及び上側の建材20の内側に挿入される前(例えば、工場における製造段階や、現場搬入された段階等)に、建具枠10の側枠部材11,12及び上枠部材13に対し、溶接等によって止着固定される。
【0038】
建具枠10は、図7に示すように、建材20との間隔を適宜に調整されて、建材20に対向するように配設される。
【0039】
建具枠連結具30は、建具枠10と建材20の間隔により、必要に応じて、切離エリアE1,E2が切離される。
この建具枠連結具30は、建具枠側止着片31を基部17に重ね合わせるとともに、建材側止着片32を補強部材22の手前側の端面に重ね合わせるようにして、建具枠10と建材20の間に設置される。そして、建具枠連結具30には、手前側から第一の止着具41及び第二の止着具42が挿通される。
【0040】
第一の止着具41は、建材側止着片32の接片部32aに挿通されて補強部材22に止着される(図8参照)。
また、第二の止着具42は、建材側止着片32の傾斜片部32bに挿通され、さらに建具枠側止着片31にも挿通されて、基部17に止着される。
【0041】
よって、本実施の形態の建具枠連結構造Aによれば、建具枠10と建材20間に建具枠連結具30をセットする作業、この建具枠連結具30を第一の止着具41及び第二の止着具42によって止着固定する作業を、見込み方向の一方側(図8によれば、紙面上の下側)から行うことができ、その作業性が良好である。
そして、簡素な構造の建具枠連結具30によって、建具枠10と建材20を、適宜な間隔に保持した状態で頑強に接続することができる。
【0042】
<建具枠連結具の変形例>
上記建具枠連結構造Aにおいて、建具枠連結具30は、図9に示す建具枠連結具30’や、図10に示す建具枠連結具30”に置換することが可能である。
【0043】
図9に示す建具枠連結具30’は、上記建具枠連結具30において、見付け方向に複数(図示例によれば三つ)並ぶ第一の止着具挿通部32a1を、見付け方向へ長尺な孔状の第一の止着具挿通部32a1’に置換したものである。
この建具枠連結具30’においては、切離エリアE1,E2を区切っている各溝32a2が、第一の止着具挿通部32a1’によって分断される。
【0044】
図9の建具枠連結具30’によれば、長孔状の第一の止着具挿通部32a1’によって、第一の止着具41による止着位置を、見付け方向に適宜に調整することができる。また、必要に応じて、切離エリアE1,E2を選択的に切離して用いることが可能である。
【0045】
図10に示す建具枠連結具30”は、上記建具枠連結具30において、見付け方向に複数(図示例によれば三つ)並ぶ第一の止着具挿通部32a1を、見付け方向へ長尺な切欠状の第一の止着具挿通部32a1”に置換したものである。
この建具枠連結具30”においては、切離エリアE1,E2を区切っている各溝32a2が、第一の止着具挿通部32a1”によって分断される。
【0046】
図10の建具枠連結具30”によれば、長尺な切欠状の第一の止着具挿通部32a1”によって、第一の止着具41による止着位置を、見付け方向に適宜に調整することができる。また、必要に応じて、切離エリアE1,E2を選択的に切離して用いることが可能である。
また、先に仮止めされた第一の止着具41に対し、第一の止着具挿通部32a1”を係合するという作業手順も可能になる。
【0047】
<その他の変形例>
【0048】
なお、図5及び図6に示す建具枠連結具30では、複数の切離エリアE1,E2をそれぞれ容易に切離できるように複数の溝32a2を設けたが、他例としては、これら複数の溝32a2を、建材側止着片32を部分的に見込み方向へ折り曲げ可能にする曲げ線部として用いることが可能である。
すなわち、各溝32a2(曲げ線部)は、他の部分よりも肉厚が小さい(薄い)。このため、建材側止着片32において溝32a2に隣接する部分は、見込み方向へ容易に折り曲げることができる。
そこで、例えば、図11に示すように、見付け方向に間隔を置いた複数の接片部32aを適宜に折り曲げて、建具枠連結具30と建材20の位置関係や、建具枠連結具30と基部17との位置関係等を、容易に調整することができる。
【0049】
上記実施形態によれば、建具枠10と建材20の間において、建具枠連結具30を見込み方向の一方側のみに設けたが、他例としては、建具枠連結具30を見込み方向の一方側と他方側の二か所に設けることも可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、上記建具枠連結構造Aを扉装置である建具装置1の建具枠10と建材20の連結に適用したが、上記建具枠連結構造Aは、窓装置や、折戸装置、バランスドア装置等において、その枠体と該枠体周囲の建材との連結に適用することが可能である。
【0051】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0052】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
建具枠と該建具枠の周囲の建材とを、これらの間の建具枠連結具によって連結した建具枠連結構造において、前記建具枠には、前記建材に対し見付け方向に対向する基部が設けられ、前記建具枠連結具は、見込み方向の一方側から挿通される第一の止着具により前記建材に止着されるとともに、同一方側から斜めに挿通される第二の止着具により前記基部に止着されていることを特徴とする建具枠連結構造(図1図10参照)。
(2)
前記建具枠連結具は、前記建具枠と前記建材の間に挿入されて前記基部に接する建具枠側止着片と、前記建材における見込み方向の端面に接する建材側止着片とを一体に具備し、前記第二の止着具は、後端側を前記建材側止着片に掛止して、傾斜する先端側を前記建具枠側止着片に貫通して前記基部に止着していることを特徴とする(1)に記載の建具枠連結構造(図4参照)。
(3)
前記建材側止着片は、前記建材における見込み方向の端面に接する接片部と、前記接片部に対し曲げられて前記建具枠と前記建材の間へ向かう傾斜片部とを一体に有し、前記第二の止着具は、後端側を前記傾斜片部に掛止していることを特徴とする(2)に記載の建具枠連結構造(図4及び図5等参照)。
(4)
前記建材側止着片には、前記第一の止着具を挿通し掛止するための第一の止着具挿通部が、見付け方向に複数設けられていることを特徴とする(2)又は(3)に記載の建具枠連結構造(図5及び図6参照)。
(5)
前記建材側止着片には、前記複数の第一の止着具挿通部のうち、最も建具枠側の第一の止着具挿通部を除く他の第一の止着具挿通部を含むように、見付け方向に分離することが可能な切離エリアが設けられていることを特徴とする(4)に記載の建具枠連結構造(図5図9及び図10参照)。
(6)
前記建材側止着片には、該建材側止着片を部分的に見込み方向へ折り曲げ可能にする曲げ線部が、見付け方向に間隔を置いて複数設けられることを特徴とする(2)~(4)のいずれかに記載の建具枠連結構造(図11参照)。
(7)
前記建材側止着片には、前記第一の止着具を挿通し掛止するための第一の止着具挿通部が、見付け方向へ長尺な孔状又は切欠状に設けられていることを特徴とする(2)~(6)いずれかに記載の建具枠連結構造(図9及び図10参照)。
(8)
建具枠と該建具枠の周囲の建材とを連結するための建具枠連結具であって、前記建具枠と前記建材の間に挿入される建具枠側止着片と、前記建材における見込み方向の端面に接する建材側止着片とを一体に具備し、前記建材側止着片には、前記建材へ向かう第一の止着具を挿通して該第一の止着具の後端側を掛止するための第一の止着具挿通部と、前記建具枠へ向かう第二の止着具を挿通して該第二の止着具の後端側を掛止するため第二の止着具挿通部とが設けられ、前記建具枠側止着片には、前記第二の止着具挿通部に挿通される前記第二の止着具を挿通して前記建具枠へ向ける第三の止着具挿通部が設けられていることを特徴とする建具枠連結具(図4図10等参照)。
【符号の説明】
【0053】
1:建具装置
10:建具枠
12:側枠部材
17:基部
20:建材
30:建具枠連結具
31:建具枠側止着片
31a:第三の止着具挿通部
32:建材側止着片
32a:接片部
32a1:第一の止着具挿通部
32a2:溝(曲げ線部)
32b:傾斜片部
32b1:第二の止着具挿通部
41:第一の止着具
42:第二の止着具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具枠と該建具枠の周囲の建材とを、これらの間の建具枠連結具によって連結した建具枠連結構造において、
前記建具枠には、前記建材に対し見付け方向に対向する基部が設けられ、
前記建具枠連結具は、見込み方向の一方側から挿通される第一の止着具により前記建材に止着されるとともに、同一方側から斜めに挿通される第二の止着具により前記基部に止着され
前記建具枠連結具は、前記建具枠と前記建材の間に挿入されて前記基部に接する建具枠側止着片と、前記建材における見込み方向の端面に接する建材側止着片とを一体に具備し、
前記第二の止着具は、後端側を前記建材側止着片に掛止して、傾斜する先端側を前記建具枠側止着片に貫通して前記基部に止着し、
前記建具枠側止着片には、止着具挿通部が設けられ、この止着具挿通部は、見込み方向へ向かうとともに前記基部側へ傾いた貫通孔であり、前記第二の止着具を斜めに挿通することを特徴とする建具枠連結構造。
【請求項2】
前記建材側止着片は、前記建材における見込み方向の端面に接する接片部と、前記接片部に対し曲げられて前記建具枠と前記建材の間へ向かう傾斜片部とを一体に有し、
前記第二の止着具は、後端側を前記傾斜片部に掛止していることを特徴とする請求項記載の建具枠連結構造。
【請求項3】
前記建材側止着片には、前記第一の止着具を挿通し掛止するための第一の止着具挿通部が、見付け方向に複数設けられていることを特徴とする請求項記載の建具枠連結構造。
【請求項4】
前記建材側止着片には、前記複数の第一の止着具挿通部のうち、最も建具枠側の第一の止着具挿通部を除く他の第一の止着具挿通部を含むように、見付け方向に分離することが可能な切離エリアが設けられていることを特徴とする請求項記載の建具枠連結構造。
【請求項5】
前記建材側止着片には、該建材側止着片を部分的に見込み方向へ折り曲げ可能にする曲げ線部が、見付け方向に間隔を置いて複数設けられることを特徴とする請求項記載の建具枠連結構造。
【請求項6】
前記建材側止着片には、前記第一の止着具を挿通し掛止するための第一の止着具挿通部が、見付け方向へ長尺な孔状又は切欠状に設けられていることを特徴とする請求項何れか1項記載の建具枠連結構造。
【請求項7】
建具枠と該建具枠の周囲の建材とを連結するための建具枠連結具であって、
前記建具枠と前記建材の間に挿入される建具枠側止着片と、前記建材における見込み方向の端面に接する建材側止着片とを一体に具備し、
前記建材側止着片には、前記建材へ向かう第一の止着具を挿通して該第一の止着具の後端側を掛止するための第一の止着具挿通部と、前記建具枠へ向かう第二の止着具を挿通して該第二の止着具の後端側を掛止するため第二の止着具挿通部とが設けられ、
前記建具枠側止着片には、前記第二の止着具挿通部に挿通される前記第二の止着具を挿通して前記建具枠へ向ける第三の止着具挿通部が設けられ
前記第三の止着具挿通部は、見込み方向へ向かうとともに、前記建具枠に設けられた基部側へ傾いた貫通孔であり、前記第二の止着具を斜めに挿通することを特徴とする建具枠連結具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
建具枠と該建具枠の周囲の建材とを、これらの間の建具枠連結具によって連結した建具枠連結構造において、前記建具枠には、前記建材に対し見付け方向に対向する基部が設けられ、前記建具枠連結具は、見込み方向の一方側から挿通される第一の止着具により前記建材に止着されるとともに、同一方側から斜めに挿通される第二の止着具により前記基部に止着され、前記建具枠連結具は、前記建具枠と前記建材の間に挿入されて前記基部に接する建具枠側止着片と、前記建材における見込み方向の端面に接する建材側止着片とを一体に具備し、前記第二の止着具は、後端側を前記建材側止着片に掛止して、傾斜する先端側を前記建具枠側止着片に貫通して前記基部に止着し、建具枠側止着片には、止着具挿通部が設けられ、この止着具挿通部は、見込み方向へ向かうとともに前記基部側へ傾いた貫通孔であり、前記第二の止着具を斜めに挿通することを特徴とする建具枠連結構造。