(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021016
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】社会性獲得訓練 SAT(Sociality Acqired Treaning)
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240207BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022130797
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】522328574
【氏名又は名称】西 健一
(72)【発明者】
【氏名】西 健一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発達障害児・者の社会適応に必要な社会性の獲得を、障害児・者の生活を通して行うための発達障害児・者支援方法を提供する。
【解決手段】方法は、社会性に伴う行動指標を室内に掲示し、適切な行動ができた者に対して褒めるが、その際にグリーンカードを提示する。発達障害児・者に特徴される状況判断を苦手としている者にとって、視覚情報による理解の促進は状況に応じた行動への認知能力を高める。また、支援対象となる発達障害児・者にワイヤレスマイクを装着し、その音声から状況に応じた言動の有無を評価する。また社会性の発達には他者との関わりが重要とされるが、室内設備のモニターやホワイトボードに対象者氏名と項目ごとの行動指標の達成度を緑○表示等視覚情報で示し、達成者には達成した証として賞状物を付与する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
社会性に伴う行動指標を室内に掲示し、適切な行動ができた者に対して携行型グリーンカードを提示しながら褒め、行動指標の達成度を緑○表示等の視覚情報でディスプレイに表示し、1日の生活を通して行動指標の達成者には達成した証として賞状物を付与し、また賞状物を複数回付与した者に対し、金銭的価値を有するカード状物を付与し、状況に応じた行動への認知能力向上を図る発達障害児・者支援方法。
【請求項2】
支援対象となる発達障害児・者にワイヤレスマイクを装着し、ワイヤレスマイクを介して受信機に届いた音声から、状況に応じた行動ができているかの可否を客観的に判断し、フェイススケールで明確な表示を行い、発達障害児・者が社会性を獲得することを特徴とする発達障害児・者支援システム。
【請求項3】
前記賞状物の個別的価値を利用して、賞状物の付与により社会的欲求を満たすことを特徴とする請求項1に記載の発達障害児・者支援方法。
【請求項4】
前記賞状物を複数回付与された者が、請求項1に記載の金銭的価値を有するカード状物を付与し、社会性に伴う行動の外発的動機付けと承認欲求を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の発達障害児・者支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害者支援方法に関し、特に、発達障害児・者等が社会適応に必要な社会性の獲得を行う障害者支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発達障害児・者等は対人関係や社会規範を遵守した行動といった社会生活に困難を抱いてきた。社会生活に必要な能力である社会性は、兄弟及び友人との関わり、また学校での生活を通して自然に身に着けられるものであったが、少子化や地域社会の希薄化、ゲーム機器の発展により自然に身に着ける環境が失われてきた。ソーシャルスキルは、学習によって獲得をすることができるとの考えから、ソーシャルスキルトレーニング(Social Skills Training:以下SSTとする)が開発された。SSTとは、社会適応能力を学習により獲得するため、行動を具体的に示して教えることが求められる。そしてSSTの受け手が練習することで、体験的な学習となり、ソーシャルスキルの獲得ができると考えられている。SSTを実施し、行動の形成を行うことで、ソーシャルスキルの獲得を行ってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016―81171(P2016―81171A)
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】意匠登録第1716170号(D1716170)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のような場合にあっても、SST以外の場面ではソーシャルスキルの獲得ができる環境が整備されていないため、SSTで学習して、ソーシャルスキルを獲得しようとしても、生活場面でのフィードバックができず、結果、効果的な獲得に至っていない。またSSTは実施者側の主観的評価に依存しているため、実施者の価値観に左右される問題点もある。さらに、SSTの成果は「問題が起こらない」ことであるため、効果が見えにくく、効果測定が難しいことから、実施者及び参加者の双方に混乱を招く事態も発生していた。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、発達障害児・者がソ-シャルスキルの獲得に必要な環境を整え、発達障害児・者のソーシャルスキルの効果的な獲得に応えることができ、発達障害児・者の福祉活動の一環となる、発達障害児・者支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、発達障害児・者支援方法であって、社会性に伴う行動指標を室内に掲示し、適切な行動ができた者に対して褒めるが、その際にグリーンカードを提示する。そして、室内設備のモニターやホワイトボードに対象者氏名と項目ごとの行動指標の達成度を緑○表示等で示し、達成者には達成した証として賞状物を付与し、金銭的価値を有するカード状物を付与することで、発達障害児・者にとって有益であり、また外発的動機付けとなり、効果的な社会性の獲得が期待できる。
【0008】
そして、本発明によれば、支援対象となる発達障害児・者にワイヤレスマイクを装着し、状況に応じた言動の有無について、受信機を通じ聞き取った音声から客観的評価をし、実施者の主観性を排除できる。
【0009】
前記、発達障害児・者支援方法において、適切な行動ができた者に対して、グリーンカードを提示しながら褒めることで、視覚情報による明確な提示による「強化の原理」が働き、さらに、賞状物を付与することで社会的欲求を満たすため、社会性のある行動頻度が増加することができる。
【0010】
前記、発達障害児・者支援方法において、認知能力を高める視覚情報をモニターやホワイドボードに記した表に提示することにより、ソーシャルスキルの獲得状況を、発達障害児・者自身が社会性の獲得状況を認知することができ、行動改善に繋げる支援をすることができる。
【0011】
前記、発達障害児・者支援方法において、ワイヤレスマイクを装着し、状況に応じた言動の有無について、受信機を通じ聞き取った音声から判断し、落ち着き度の評価は、音響機器や既製アプリケーションを通して行うことで実施者の主観性を排除し、客観性のあるものにすることで、社会性が獲得できる。
【0012】
前記、発達障害児・者支援方法において、前記カード状物の金銭的価値を利用することで、社会性獲得過程における外発的動機付けとすることができる。
【0013】
前記カード状物を図書カードやQUOカード等とすることができる。これにより、発達障害児・者の買い物支援に用いることで、日常生活動作の訓練にすることができる。また、当該地域のビジネスの活性化にも寄与することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発達障害児・者の社会性を効果的に獲得できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明にかかる発達障害児・者支援方法を実施する際に使用する、社会性の獲得のための評価規準が記載された社会性獲得シート1の一例を示す。この社会性獲得シート1には、16項目の社会性の行動指標が示されている。
【0017】
図2は、上記、社会性獲得シート1とともに使用され、グリーンカードと社会性の獲得を示す表2の一例を示し、社会性の獲得状況が記載されている。
図2(a)のように、発達障害児・者が社会性のある行動ができた場合、支援者が発達障害児・者の目前にグリーンカードを提示しながら褒める。そして
図2(b)のように、社会性の獲得状況を社会性の獲得を示す表2に表示して、発達障害児・者が自ら自身の行動を認知することができる。
【0018】
図3は、上記社会性の獲得を示す表1及び社会性獲得シート2とともに使用され、発達障害児・者の社会性の有無についての判断状況の一例を示し、客観性のある評価ができることが記されている。
図3(a)に示すように、発達障害児・者の襟元にワイヤレスマイクを装着する。そして
図3(b)に示すように、受信機を通じ聞き取った音声から社会性の有無を判断できる。落ち着き度の評価は、音響機器や既製アプリケーションにある騒音計を用いる。
【0019】
社会性の獲得を示す表1により、発達障害児・者が、社会性の獲得項目16項目すべてを満たした場合、社会性の獲得に向けて努力した発達障害児・者を称賛するため、賞状物4を付与する。そして賞状物4を複数枚付与された発達障害児・者に対し、褒賞として図書カードやQUOカード等を付与する。
【0020】
そして、発達障害児・者が、例えば、商業施設で買い物をする際に、図書カードやQUOカード等を提示し、商品の購入を行う。発達障害児・者は、日常生活動作の機能訓練を通して、生活能力を身に着けつつ、自立心を育てる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明にかかる発達障害児・者支援方法に用いる社会性獲得状況を示す掲示物の評価基準
【
図2】本発明にかかる発達障害児・者支援方法に用いる社会性獲得状況を示す掲示物の一例を示す図である。
【
図3】本発明にかかる発達障害児・者支援方法に用いる社会性の有無を音声機器によって判断することを示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 評価規準
2a 社会性獲得シート
2b グリーンカード
3a ワイヤレスマイク装着状況
3b 受信設備
4 賞状物