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特開2024-21018人材マッチング装置および人材マッチングプログラム
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  • 特開-人材マッチング装置および人材マッチングプログラム 図1
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  • 特開-人材マッチング装置および人材マッチングプログラム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021018
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】人材マッチング装置および人材マッチングプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20240207BHJP
【FI】
G06Q10/10 322
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022130799
(22)【出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】522278693
【氏名又は名称】株式会社WoW SPACE
(72)【発明者】
【氏名】三浦 紘勇雅
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】求職者に就職にむけた知識や技能を向上できる学習機会を提供しながら、機械学習によって得られた相関関係に基づいた人材マッチングの適性推定評価及びリスク評価通知並びに創業促進機能を提供する。
【解決手段】人材マッチングシステムは、学習プログラムの提供を通じて得られる求職者の学習特性から就職後の就業特性や能力発揮度を推定し、さらに過去の人材マッチング結果から得られた就職者と採用者のフィードバック情報から機械学習によって得られた相関関係に基づいて人材マッチングの適性推定評価やリスク評価通知を行う。さらに、事業環境データと求人情報から成長が見込める新規事業案を創出し、求職者の求めに応じて求職者むけの新規創業提案と、創業後の事業成長にむけた最適な人材候補の提案を行うとともに、創業者の創業経過情報から機械学習によって得られた相関関係に基づいて、新規創業提案と創業適性者抽出の精度向上を自律的に行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
求職者と求人者とをマッチングする人材マッチング装置であって、
前記マッチング装置と連動する求職者むけの教育プログラム提供機能が具備され、前記教育プログラムの提供を通じて求職者が学習を行う過程で得られる学習過程情報と、学習結果に係る学習結果情報と、求職者が入力する個人情報と就職条件情報のうち、いずれか1つ以上を取得する、求職者特性情報取得手段と、
求人者が求める人材の就業条件と求人者の性格または能力に係る情報のうち、いずれか1つ以上を取得して記録する、求人者の求人人材特性情報取得手段と、
前記求職者の求職者特性情報取得手段から得られた情報に基づいて、求職者の性格と能力を推定して記録する、求職者の就業特性推定手段と、
前記求職者の就業特性推定手段から得られた情報と、前記求人者の求人人材特性情報取得手段から得られた情報に基づいて、前記求職者に適した職種および業務内容と、就業後の職場適応性、勤務態度、能力発揮度、就業満足度および期待勤続年数のうち、いずれか 1つ以上を推定評価して記録する、求職者の就職適性推定評価手段と、
前記求職者の就職適性推定評価手段から得られた情報に基づいて、求人者が求める人材の就業条件に適合する就職条件を有する求職者の中から、求人者の組織における職場適応性、勤務態度、能力発揮度、就業満足度および期待勤続年数のうち、いずれか1つ以上が求人者が定める期待条件以上となる、求人者と求職者の組み合わせ情報を抽出・記録して出力する、人材マッチング情報の抽出記録および出力手段とを有することを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項2】
求職者と求人者とをマッチングする人材マッチング装置であって、
求職者が入力して登録する求職者情報と、求人者が入力して登録する求人情報のそれぞれについて、求職者および求人者が情報登録の数量と詳細度および登録情報の開示許諾範囲を設定できるとともに、求職者と求人者のそれぞれが、相手方が登録している情報の数量と詳細度および開示許諾範囲と登録・開示情報内容のいずれか1つ以上を確認できる機能を具備させるとともに、
それぞれの登録情報に基づいて求職者の求人先における就職適性を推定評価し、所定以上の適性となる組み合わせ情報を抽出・記録して出力する際に、就職適性の推定評価において利用可能な双方の情報の数量と詳細度および開示許容範囲と登録・開示情報内容のいずれか1つ以上が所定の水準に達している場合に組み合わせ情報の推定抽出を行うか、いずれか1つ以上が所定の水準に達していない状態で組み合わせ情報の推定抽出を行って結果を出力・開示する際に、結果の開示者に対して相手方の登録情報の不足や開示制限に係る注意喚起とリスク情報を分析表示させる機能のいずれかまたは両方を具備させたことを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項3】
請求項1または請求項2における求職者と求人者がそれぞれ複数であり、
請求項1に記載の求職者の就業特性推定手段は、請求項1に記載の求職者特性情報取得手段から得られた複数の求職者から得られる学習特性情報の比較評価結果から、求職者の就業特性を推定することを特徴とし、
請求項2に記載の情報登録の数量と詳細度および登録情報の開示許諾範囲と登録・開示情報内容の適性水準は、複数の求職者から得られる求職者情報の比較評価と、複数の求人者から得られる求人者情報の比較評価によって定められることを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の人材マッチング装置に、
求職者の求人組織への就職後における就業適応度、能力発揮度、就業満足度のうち、いずれか1つ以上の情報を取得して記録する、求人者に係る求職者からの就職後フィードバック情報取得手段をさらに備えるとともに、
請求項1または請求項2に記載の求職者の就職適性の推定評価において、前記就職後のフィードバック情報取得手段から得られた求人者情報をさらに加えて就職適性の推定評価を行うことを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の人材マッチング装置に、
求人者の求職者採用後における、職場適応性、勤務態度、能力発揮度、採用満足度のうち、いずれか1つ以上の情報を取得して記録する、求職者に係る求人者からの採用後フィードバック情報取得手段をさらに備えるとともに、
請求項1または請求項2に記載の求職者の就職適性の推定評価において、前記採用後フィードバック情報取得手段から得られた就職者に係る採用満足度の情報と、前記就職者が求職時に人材マッチング装置が記録していた求職者の就職適性推定結果情報の相関関係から、他の求職者と求人者に対する就職適性の推定評価を行うことを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項6】
請求項1に記載の人材マッチング装置において、
求職者の就業特性推定が、複数の求職者の学習特性情報と、請求項5に記載の求人者からの採用後フィードバック情報との相関関係を教師データとして予め学習させた学習モデルに基づいて行われるとともに、前記の学習モデルが機械学習を繰り返すことで推定精度が高められることを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の人材マッチング装置において、
求職者と求人者に対する就職適性の推定評価が、複数の求人者の求人者特性情報と請求項4に記載の求職者からの就職後フィードバック情報との相関関係から得られる教師データと、複数の求職者の求職者特性情報と請求項5に記載の求人者からの採用後フィードバック情報との相関関係から得られる教師データを予め学習させた学習モデルに基づいて行われるとともに、前記の学習モデルが機械学習を繰り返すことで推定精度が高められることを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の人材マッチング装置に、さらに事業環境情報を入力して記録する事業環境情報入力記録手段を具備させ、前記の手段で記録された事業環境情報か、請求項1または請求項2に記載の求人者から得られる求人情報のいずれか一方または両方から、売上および利益の増加が見込まれる新規事業を推定・抽出して出力することを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項9】
請求項8に記載の人材マッチング装置に、求職者として装置に登録された人材の希望者に対し、売上および利益の増加が見込まれる新規事業の推定抽出結果と、前記新規事業の創業に対応できる希望者の適性評価情報を提供し、前記の希望者の求めに応じて、希望者自らが創業者になるとともに、新規事業に必要となる適性人材を他の希望者から推定・抽出して採用することで新たな事業体を組織し、新規事業を開始できる機能をさらに備えたことを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項10】
請求項9に記載の人材マッチング装置において、
新たに組織された新規事業と、前記新規事業を実施する事業体の売上と利益およびこれらの成長率のうち、いずれか1つ以上の情報を創業者または創業時の就職者から取得して記録する、創業後経過情報取得手段をさらに備えるとともに、
請求項9に記載の装置を通じて新規事業が創出され、新たな事業体が組織された際に、前記の創業後経過情報取得手段から得られた情報に基づいて、新規事業と新たな事業体の成長性を推定評価するとともに、成長性の向上にむけた事業上の特長と課題および解決策を抽出・記録して出力させることを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項11】
請求項10に記載の人材マッチング装置において、
新規事業と新たな事業体の成長性の推定が、新たな事業体を組織した創業者に係わる請求項1に記載された求職時の学習特性情報と、請求項10に記載の創業後経過情報との相関関係を教師データとして予め学習させた学習モデルに基づいて行われるとともに、前記の学習モデルが機械学習を繰り返すことで、売上および利益の増加が見込まれる新規事業の推定抽出と、推定抽出した新規事業に係る創業適任者の推定精度が高められることを特徴とする、人材マッチング装置
【請求項12】
コンピュータを、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の人材マッチング装置として機能させるための人材マッチングプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人材マッチング装置および人材マッチングプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、日本国内では人材不足の課題が深刻化している一方、国内では非正規雇用や未就労の人材が増加し、人材の豊富なアジア圏など海外では、知識や能力が高くても、日本語や 英語の知識や能力がないために就労できず求職中となっている人材がおり、国内と国際間の両面で、人材のマッチングが充分に実施できていない状況となっている。
【0003】
また日本国内では、創業に適した事業用地や多様な技術と、産業を支える多様な中小企業群が存在している一方、新たな事業を創出して事業化を目指す起業家が少ないことから、新規創業や新産業の振興が停滞しているほか、中小企業群についても後継者が不足し、高齢化した経営者の中で後継者が見つからない企業が休廃業する事態も発生しており、有効な改善策を講じなければ中小企業群による産業基盤が脆弱化するリスクが顕在化しつつある状況にもなっている。
【0004】
こうした背景の下、特に日本国内の企業において、日本国内の求職者を対象とした人材マッチングシステムが提案されており、例えば過去に勤務実績のある就労者と勤務先の組織員の性格診断結果と、当該組織の就労者の勤続年数との相関関係を学習モデルとして、採用候補となる求職者と、採用を行う求人者となる組織に属する組織員それぞれの性格診断結果から、求人者の組織において所定の勤続年数以上を勤務しうる求職者と求人者の組み合わせを推論して抽出する技術(特許文献1)が知られている。
【0005】
また、人材マッチングを行う際の参照情報として、求職者の語学力や基礎学力および心理テストの結果の少なくとも1つと、求人企業の口コミ、業績、財務状況、従業員数および 企業文化の少なくとも1つを参照し、企業と就労者の昇進スピード、昇給率および定着期間の少なくとも1つ以上との関係を教師データとする学習モデルを利用して人材マッチングの自動化に寄与する技術(特許文献2)が知られている。
【0006】
さらに、求人者と求職者とのマッチングを手軽かつ効率的に促進することが可能な人材マッチングシステムとして、求人者と求職者の双方で好意情報を送受信可能とし、一方から送信された好意情報を受信した受信者が、相手方に対して好意情報を送信し、相互から好意 情報が得られた場合に限って人材マッチングが成立する処理を行う技術(特許文献3)も 知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第7022401号公報
【特許文献2】特許第7077495号公報
【特許文献3】特開2022-26422号公報
【0008】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記の通り、特許文献1の従来技術によれば、求人組織の就労者の性格診断結果と就労者の勤続年数との相関関係と、求職者の性格診断結果から、求人者が所定の勤続年数以上勤務しうる求職者と求人者との組み合わせを抽出でき、特許文献2の従来技術によれば、求職者の語学力や基礎学力と心理テスト結果と、求人企業の業績や企業文化と就労者の勤務実績との関係から、求職者の採用適性を評価して人材マッチングを行うことが可能となり、特許文献3の従来技術によれば、求職者の就業意向と求職者の採用意向の双方の情報から人材マッチングを行うことが可能となるが、これらの技術には以下に示す6つの課題がある。
【0010】
まず、いずれの技術も求職者と求人者の人材マッチングだけに機能が限定されており、求職者の知識や能力を高める学習機会を提供する機能が備わっていないことから、求職者が求人者の求める人材条件に適合するための機会が提供されず、求職者にとっては就職機会を拡充することが困難となり、求人者にとっては採用機会を拡充することができず、結果として人材マッチングの機会を拡充することができないという課題がある。
【0011】
特に、会計技能や研究開発の技能を有しているにも関わらず、日本語や英語といった求人者が求める業務時の言語能力がないために採用できない場合に、該当する言語能力を提供する学習機会を求職者に提供して求人者が求める言語能力基準に到達できれば採用条件を満たせるようになるものの、求職者にその学習機会や学習プログラムを提供していないことから、求職者が自ら語学力を高めて求人者からの採用機会に応じられるようにすることができない状況となっている。
【0012】
また、いずれの技術も人材マッチングを行う際の求職者に係る参照データが、語学力や基礎学力と、心理テストや性格診断の結果という情報に限定されており、語学力や基礎学力のほか、求人者が求める業務上の技術や技能を習得するまでの学習プロセスに係る情報から推定される、求職者の性格や知識、能力といった就業上の特性と求人者が求める採用上の特性から人材マッチングが行われておらず、人材マッチングの精度が低いために、採用後に就職者と採用者との間で齟齬が生じて、就職者が充分な能力を発揮できずに就業成果が停滞したり、採用者が期待した成果が得られず結果的に離職に至るなど、就職者が定着しない事態に至るリスクが高くなるという課題がある。
【0013】
例えば、語学力や基礎学力、資格試験の合格といった、一時的な結果だけの情報だけでマッチングを行う場合、語学試験や資格取得試験の合格時期と、就職時期に大きな時間的な隔たりがあったり、語学力でも職種によっては読解力が必要な業務と会話力が求められる業務とで就業後のパフォーマンスが大きく異なることから、採用後の早期能力発揮ができなかったり、期待した成果が得られないといった事態を生じるほか、一時的な心理テストや性格診断の結果だけでは、こうしたテストや診断への解答対策をして受検する求職者の 真の性格や就業態度を推定することは困難であり、採用後に顕在化する真の性格や就業 態度との差異によって、期待した業務成果が得られないといった状況が生じることとなる。
【0014】
さらに、いずれの技術も人材マッチングを行う際の求職者と求人者それぞれの入力・登録情報の数量や詳細度と、登録情報の開示許諾範囲が必要以上に不足していたり制限され、双方の登録・入力情報の中で開示・共有可能な情報が全て双方で共有されていないことで、求職者と求人者の双方で情報格差や認識齟齬が生じたり、これらの不足情報や情報格差に基づいて人材マッチングが行われることで、採用後に就職者と採用者との間で認識の齟齬が生じて、就職者が充分な能力を発揮できずに就業成果が停滞したり、採用者が期待した成果が得られず結果的に離職に至るなど、就職者が定着しない事態に至るリスクが高くなるという課題がある。
【0015】
また、いずれの技術も求職者が求人者の就業先に就職した後の職場環境や能力発揮度といった就職後の満足度に対するフィードバック情報を収集して記録し、人材マッチング時の適性評価や改善にむけた機械学習をさせていないことから、求職者の就職後の満足度を高めて定着率を高めるための人材マッチングの適性推定評価の精度が高められておらず、多様で多量なフィードバック情報に基づく機械学習によって、自律的に人材マッチング提案の推定評価精度を高められるようにもなっていないという課題がある。
【0016】
同様に、いずれの技術も求職者が求人者の就業先に就職した後における、求人者からみた就職者の職場適応度や能力発揮度、業務成績や勤続期間、定着率といった、採用後の満足度に対するフィードバック情報を収集して記録し、人材マッチング時の適性評価や改善に むけた機械学習をさせていないことから、求人者の採用後の満足度を高めるための人材 マッチングの適性評価精度が高められておらず、多様で多量なフィードバック情報に基づく機械学習によって、自律的に人材マッチング提案の適性精度を高められるようにもなっていないという課題がある。
【0017】
また、いずれの技術も求職者と求人者の人材マッチングだけに機能が限定されており、求職者が自身の能力を発揮できる新規創業の事業提案や新規事業に係る就業機会の提案を受けたり、求職者が前記の創業提案に基づいて創業する際に、最適な人材の求人情報を発信したり、創業時の最適人材に関する採用提案を受けるような機能が備わっていないことから、求職者が創業者となって新規事業を創業したり、求職者が新規事業の創業事業者の職員として就職できる機会を得ることができなかったという課題がある。
【0018】
このように、人材マッチングシステムが、単に求職者と求人者との適合性評価を行い、新たな就業機会の創出を行うことに限定されず、人材マッチングシステムを起点として求職者が自ら創業者となって新規事業を創業できるようにするとともに、創業者が創業時に直面する大きな課題の一つである、新規創業に適した人材の確保において、創業者の能力や性格といった創業者の就業特性をふまえ、新規事業の内容に基づいて有効となる人材候補の提案を受け、必要となる人材を採用することができれば、新規創業を促進できるとともに、創業後の迅速かつ効率的で効果的な事業成長を促進することが可能となるものの、従来の人材マッチングシステムには、いずれにおいてもこのような機能は備わっていない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、求職者に就職にむけた知識や技能を向上できる学習機会を提供しながら、この学習プロセスを通じて推定評価される求職者の就業特性情報と、求職者と求人者から入力された個々の特性情報と、過去の人材マッチング結果から得られた就職者と採用者のフィードバック情報を参照し、機械学習によって得られた相関関係に基づいて人材マッチングの適性推定評価とリスク評価通知を行うほか、求職者の求めに応じて求職者むけの新規創業提案と、創業後の事業成長にむけた人材の提案を行う創業促進機能も備えた、新たな人材マッチング装置と、前記装置を機能させるために必要となる人材マッチングプログラムを提供することである。
【0020】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
求職者と求人者とをマッチングする人材マッチング装置であって、
前記マッチング装置と連動する求職者むけの教育プログラム提供機能が具備され、前記教育プログラムの提供を通じて求職者が学習を行う過程で得られる学習過程情報と、学習結果に係る学習結果情報と、求職者が入力する個人情報と就職条件情報のうち、いずれか1つ以上を取得する、求職者特性情報取得手段と、
求人者が求める人材の就業条件と求人者の性格または能力に係る情報のうち、いずれか1つ以上を取得して記録する、求人者の求人人材特性情報取得手段と、
前記求職者の求職者特性情報取得手段から得られた情報に基づいて、求職者の性格と能力を推定して記録する、求職者の就業特性推定手段と、
前記求職者の就業特性推定手段から得られた情報と、前記求人者の求人人材特性情報取得手段から得られた情報に基づいて、前記求職者に適した職種および業務内容と、就業後の職場適応性、勤務態度、能力発揮度、就業満足度および期待勤続年数のうち、いずれか 1つ以上を推定評価して記録する、求職者の就職適性推定評価手段と、
前記求職者の就職適性推定評価手段から得られた情報に基づいて、求人者が求める人材の就業条件に適合する就職条件を有する求職者の中から、求人者の組織における職場適応性、勤務態度、能力発揮度、就業満足度および期待勤続年数のうち、いずれか1つ以上が求人者が定める期待条件以上となる、求人者と求職者の組み合わせ情報を抽出・記録して出力する、人材マッチング情報の抽出記録および出力手段とを有することを特徴とする。
【0021】
請求項2に記載の発明は、
求職者と求人者とをマッチングする人材マッチング装置であって、
求職者が入力して登録する求職者情報と、求人者が入力して登録する求人情報のそれぞれについて、求職者および求人者が情報登録の数量と詳細度および登録情報の開示許諾範囲を設定できるとともに、求職者と求人者のそれぞれが、相手方が登録している情報の数量と詳細度および開示許諾範囲と登録・開示情報内容のいずれか1つ以上を確認できる機能を具備させるとともに、
それぞれの登録情報に基づいて求職者の求人先における就職適性を推定評価し、所定以上の適性となる組み合わせ情報を抽出・記録して出力する際に、就職適性の推定評価において利用可能な双方の情報の数量と詳細度および開示許容範囲と登録・開示情報内容のいずれか1つ以上が所定の水準に達している場合に組み合わせ情報の推定抽出を行うか、いずれか1つ以上が所定の水準に達していない状態で組み合わせ情報の推定抽出を行って結果を出力・開示する際に、結果の開示者に対して相手方の登録情報の不足や開示制限に係る注意喚起とリスク情報を分析表示させる機能のいずれかまたは両方を具備させたことを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明は、
請求項1または請求項2における求職者と求人者がそれぞれ複数であり、
請求項1に記載の求職者の就業特性推定手段は、請求項1に記載の求職者特性情報取得手段から得られた複数の求職者から得られる学習特性情報の比較評価結果から、求職者の就業特性を推定することを特徴とし、
請求項2に記載の情報登録の数量と詳細度および登録情報の開示許諾範囲と登録・開示情報内容の適性水準は、複数の求職者から得られる求職者情報の比較評価と、複数の求人者から得られる求人者情報の比較評価によって定められることを特徴とする。
【0023】
請求項4に記載の発明は、
請求項1または請求項2に記載の人材マッチング装置に、
求職者の求人組織への就職後における就業適応度、能力発揮度、就業満足度のうち、いずれか1つ以上の情報を取得して記録する、求人者に係る求職者からの就職後フィードバック情報取得手段をさらに備えるとともに、
請求項1または請求項2に記載の求職者の就職適性の推定評価において、前記就職後のフィードバック情報取得手段から得られた求人者情報をさらに加えて就職適性の推定評価を行うことを特徴とする。
【0024】
請求項5に記載の発明は、
請求項1または請求項2に記載の人材マッチング装置に、
求人者の求職者採用後における、職場適応性、勤務態度、能力発揮度、採用満足度のうち、いずれか1つ以上の情報を取得して記録する、求職者に係る求人者からの採用後フィードバック情報取得手段をさらに備えるとともに、
請求項1または請求項2に記載の求職者の就職適性の推定評価において、前記採用後フィードバック情報取得手段から得られた就職者に係る採用満足度の情報と、前記就職者が求職時に人材マッチング装置が記録していた求職者の就職適性推定結果情報の相関関係から、他の求職者と求人者に対する就職適性の推定評価を行うことを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の発明は、
請求項1に記載の人材マッチング装置において、
求職者の就業特性推定が、複数の求職者の学習特性情報と、請求項5に記載の求人者からの採用後フィードバック情報との相関関係を教師データとして予め学習させた学習モデルに基づいて行われるとともに、前記の学習モデルが機械学習を繰り返すことで推定精度が高められることを特徴とする。
【0026】
請求項7に記載の発明は、
請求項1または請求項2に記載の人材マッチング装置において、
求職者と求人者に対する就職適性の推定評価が、複数の求人者の求人者特性情報と請求項4に記載の求職者からの就職後フィードバック情報との相関関係から得られる教師データと、複数の求職者の求職者特性情報と請求項5に記載の求人者からの採用後フィードバック情報との相関関係から得られる教師データを予め学習させた学習モデルに基づいて行われるとともに、前記の学習モデルが機械学習を繰り返すことで推定精度が高められることを特徴とする。
【0027】
請求項8に記載の発明は、
請求項1または請求項2に記載の人材マッチング装置に、さらに事業環境情報を入力して記録する事業環境情報入力記録手段を具備させ、前記の手段で記録された事業環境情報か、請求項1または請求項2に記載の求人者から得られる求人情報のいずれか一方または両方から、売上および利益の増加が見込まれる新規事業を推定・抽出して出力することを特徴とする。
【0028】
請求項9に記載の発明は、
請求項8に記載の人材マッチング装置に、求職者として装置に登録された人材の希望者に対し、売上および利益の増加が見込まれる新規事業の推定抽出結果と、前記新規事業の創業に対応できる希望者の適性評価情報を提供し、前記の希望者の求めに応じて、希望者自らが創業者になるとともに、新規事業に必要となる適性人材を他の希望者から推定・抽出して採用することで新たな事業体を組織し、新規事業を開始できる機能をさらに備えたことを特徴とする、人材マッチング装置
【0029】
請求項10に記載の発明は、
請求項9に記載の人材マッチング装置において、
新たに組織された新規事業と、前記新規事業を実施する事業体の売上と利益およびこれらの成長率のうち、いずれか1つ以上の情報を創業者または創業時の就職者から取得して記録する、創業後経過情報取得手段をさらに備えるとともに、
請求項9に記載の装置を通じて新規事業が創出され、新たな事業体が組織された際に、前記の創業後経過情報取得手段から得られた情報に基づいて、新規事業と新たな事業体の成長性を推定評価するとともに、成長性の向上にむけた事業上の特長と課題および解決策を抽出・記録して出力させることを特徴とする、人材マッチング装置
【0030】
請求項11に記載の発明は、
請求項10に記載の人材マッチング装置において、
新規事業と新たな事業体の成長性の推定が、新たな事業体を組織した創業者に係わる請求項1に記載された求職時の学習特性情報と、請求項10に記載の創業後経過情報との相関関係を教師データとして予め学習させた学習モデルに基づいて行われるとともに、前記の学習モデルが機械学習を繰り返すことで、売上および利益の増加が見込まれる新規事業の推定抽出と、推定抽出した新規事業に係る創業適任者の推定精度が高められることを特徴とする。
【0031】
請求項12に記載の発明は、
コンピュータを、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の人材マッチング装置として機能させるための人材マッチングプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、求職者に就職にむけた知識や技能を向上できる学習機会を提供しながら、この学習プロセスの提供を通じて得られる求職者の特性を把握推定し、さらに把握した求職者の特性情報と求人者の特性情報を参照して、双方の情報開示状況を確認し、認識齟齬による採用後または就職後のリスクを低減させながら、過去の人材マッチング結果から 得られた就職者と採用者のフィードバック情報から機械学習によって得られた相関関係に基づいて人材マッチングの適性推定を行えるようになるほか、求職者の求めに応じて求職者むけの新規創業提案と、新規創業後の事業成長にむけた最適な人材候補の提案を行う 創業促進機能も備えた、新たな人材マッチング装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施形態に係る人材マッチングシステムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る人材マッチングサーバのハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係る人材マッチングシステムのソフトウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、本実施形態に限定されるものではない。
【0035】
まず図1に、本発明の実施形態に係る人材マッチングシステムの構成例を示す。
【0036】
<システム構成>
(ネットワーク構成)
図1は、本実施形態に係る人材マッチングシステムの構成を示す図である。図1の人材マッチングシステム1は、求職者むけの教育(学習)プログラムと、求職者および求人者むけの情報開示確認および適性評価リスク分析機能つきの就職適性推定評価による人材マッチング表示機能と、求職者むけの新規事業提案と、新規事業の事業化にむけた人材提案機能を備えた人材マッチングサーバ2と、求職者群3がそれぞれで所有して利用する端末群3-A~Dと、求人者群4がそれぞれで所有して利用する端末群4-A~Dとを含む。
【0037】
人材マッチングサーバ2は、就職先を探している求職者と、語学力や業務技能等の採用条件を満たし、かつ所定の採用希望に沿う人材を採用したい求人者とをマッチングした人材紹介を行うとともに、希望する求職者については、求人者が求める語学力や基礎学力の教育プログラムの提供だけでなく、求職者からの希望情報の入力に応じて、将来の成長が 見込まれる事業の創業者となり得る創業機会の提案や、新規事業の事業化と事業成長に むけた創業支援による就業機会の提案紹介も含めたサービスを提供しながら、求職者と 求人者との人材マッチングを行う装置であり、当該サーバは、例えば人材紹介サービス提供事業者等によって運営される。
【0038】
求職者群の端末群3-A~Dは、例えばスマートフォン、タブレット端末またはパーソナルコンピュータなどであり、各求職者が人材マッチングサーバ2にアクセスするための情報端末である。求職者は、それぞれが所有して利用する端末3-A~Dを用い、人材マッチングサーバ2による求人ウェブサイトにアクセス・ログインし、ウェブサイト上で求職者の個人情報の登録や求人者の紹介サービスを受けることができるほか、求職者が求人者の求める語学力や技能に係わる採用基準を満たさない場合に、これらの採用基準を満たすための学習プログラムの提供や資格認定試験の機会を得ることや、就職後の就職先での職場適応度や就職満足度等の就職後フィードバック情報を送信できることに加え、求職者が予め希望設定しておくことで、求職者が創業者となって新規創業を行えるようになるための創業提案や、新規創業に適した人材の求職者群からの提案紹介を受けることもできる。
【0039】
また、求人者の端末群4-A~Dも、例えばスマートフォン、タブレット端末またはパーソナルコンピュータなどであり、求人者の採用担当者等が人材マッチングサーバ2にアクセスするための情報端末である。求人者の担当者は、それぞれが所有して利用する端末求人者の端末群4-A~Dを用いて、人材マッチングサーバ2による求人ウェブサイトにアクセス・ログインし、ウェブサイト上で求人情報の登録や求職者の紹介サービスを受けることができるほか、採用後の人材に係る職場適応度や採用後の就業成果、採用満足度等の採用後 フィードバック情報を送信することができる。
【0040】
なお、求職者端末と求人者端末のそれぞれには、人材マッチングサーバ2にアクセスするために、予め所定のアプリケーションプログラム(汎用ウェブブラウザや専用アプリ)が インストールされる。
【0041】
(ハードウェア構成)
図2は、本実施形態に係る人材マッチングサーバのハードウェア構成例を示す図である。図2に示されるように、人材マッチングサーバ2は、CPU(Central Processing Unit)5、ROM(Read Only Memory)6、RAM(Ra ndom Access Memory)7、HDD(Hard Disk Drive)8と、機械学習(AI)計算のために利用するGPU(Graphics Processing Unit)9と通信装置10、および表示装置11を有する。
【0042】
CPU5は各種プログラムの実行や演算処理を行い、ROM6には、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM7は、CPU5での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD8は、各種データおよびプログラムを格納 する。GPU9は、教師データおよび参照データと学習モデルに基づく機械学習に係る演算処理を行う。通信装置10は各端末との通信を行い、表示装置11はディスプレイである。
【0043】
(ソフトウェア構成)
図3は、本実施形態に係る人材マッチングサーバに保存されて運用されるソフトウェアの構成例を示す図である。本実施形態に係る人材マッチングサーバ2は、主な機能部として、求職者情報入力取得部 12、求人者情報入力取得部13、教育プログラムデータベース 14、求職者の学習特性 情報取得部15,求職者の就業特性推定機械学習処理部16、 就職適性推定評価機械学習 処理部17、求職者むけ情報出力部18、求人者むけ情報出力部19、新規事業創出用事業環境情報入力部20、新規事業創業提案および創業者提案・ 創業時採用候補者データベース21、新規事業創出および成長性推定機械学習処理部22、創業者むけ創業提案出力部23と創業者創業経過入力部24を有する。
【0044】
ここで求職者情報入力取得部12は、求職者端末群3を通じ、それぞれの求職者から求職者の知識や技能情報、勤務先希望や就業希望時間、希望処遇条件といった求職者情報のほか、希望者が新規創業者となれる創業提案の情報提供希望の設定や、本システムを活用して 就職した後に、就職後の職場適応度や就職満足度等に関する就職後の就職先に対するフィードバック情報が入力された際に、これらの情報を取得して整理し、求職者情報のデータ ベースに保存する機能を有している。
【0045】
また、求人者情報入力取得部13は、求人者端末群4を通じ、それぞれの求人者から求人者の事業や経営に関する情報、勤務地や希望就業時間、提案処遇条件といった求人者情報のほか、本システムを活用して求職者を採用した後に、採用後の求職者の職場適応度や能力 発揮度といった採用満足度等に関するフィードバック情報が入力された際に、これらの 情報を取得して整理し、求人者情報のデータベースに保存する機能を有している。
【0046】
さらに、教育プログラムデータベース14は、求職者が求人者の採用条件を満たすために不足する語学力や基礎学力または必要資格や必要技能を学習または習得するために必要となる求職者むけの教育(学習)プログラムの教材コンテンツのほか、資格認定試験や技能 検定の試験コンテンツが保存されている。
【0047】
また、求職者の学習特性情報取得部15は、求職者が教育(学習)プログラムを受講する際に、個々の求職者の受講過程で得られる学習頻度や予め設定した学習計画や目標の履行・達成状況といった学習態度に係る情報から、各求職者の積極性や計画性、完遂力やチャレンジ精神といった求職者の就業態度に関係する個人特性を推定評価するための基礎データを得るとともに、資格試験や技能検定を受験した際には試験や検定の結果保存に加えて、 各求職者の受験時状況から一定のプレッシャー環境下における試験回答や技能実演時の パフォーマンス情報を取得して保存したり、受講就学開始から修了試験合格までの期間や、学習期間に対する試験結果成績との関係から、各求職者の学習能力や技能習熟力といった、求職者の就業能力に関係する個人特性を推定評価するための基礎データを取得し、個々の求職者の個人情報に関連させた求職者特性情報として、求職者データベースに保存させる機能を有している。
【0048】
さらに求職者の就業特性推定機械学習処理部16は、求職者が教育(学習)プログラムを受講したり、資格試験や技能検定を受験する際の学習態度や学習能力と、求職者が就職した際の就職後の勤務態度や業務習熟度および能力・成果発揮度との関係性をモデル化した 就業特性推定学習モデルに基づき、求職者データベースに保存された複数者の求職者情報と、採用後フィードバック情報データベースに保存された就職者の採用後フィードバック情報とを教師データとして機械学習を行い、求職者の学習特性から求職者の就職後および求人者の採用後の職場適応性や能力発揮に係わる就業特性を推定し、その推定精度を自ら高める機能を有している。
【0049】
また、就職適性推定評価機械学習処理部17は、求職者情報入力取得部から得られた求職者情報と、求人者情報入力取得部から得られた求人者情報だけでなく、前記の就業特性推定機械学習処理部から得られた個々人の就業特性情報と、就職後フィードバック情報データベースから得られる求人者特性データと、採用後フィードバック情報データベースから 得られる求職者の採用後の就業特性データとの関係性をモデル化した、就職適性推定評価学習モデルに基づき、求職者データベースに保存された求職者に対する就業特性データと、求人者データベースに保存された求人データとを教師データとして機械学習を行い、求職者の学習特性から推定された就業特性情報も加味した就職候補先の適性に関する推定評価を行い、その推定評価精度を自ら高める機能を有している。
【0050】
ここで、前記の推定評価に基づき、求職者と求人者それぞれについて、所定の適性が推定評価された場合には、求職者むけ情報出力部18には適性評価された求人者情報が表示され、求人者むけ情報出力部19には適性評価された求職者が表示される機能が備わっているが、それぞれの出力部には、適性評価の際に、相手方の入力情報に不足があったり、開示情報に制限がかけられている場合には、適性評価でのリスク情報として抽出評価し、就職応募前または採用決定前におけるリスク情報とともに出力し、事前通知する機能も有している。
【0051】
加えて、新規事業創出用事業環境情報入力部20は、本システムの運用によって取得保存される多様な人材データから成長性の見込める新規事業の創出ができるよう、様々な産業や事業に係る事業者の売上・利益の状況や増加率、物品やサービスの市況情報や統計データ、国勢データやマーケット情報といった事業環境に関する情報を入力して新規事業の創業 提案を行うデータベース21に保存する機能を有している。
【0052】
また、新規事業創業提案および創業者提案・創業時採用候補者データベース21には、新規事業創出および成長性推定機械学習処理部22が接続され、この機械学習処理部は、新規事業創出用事業環境情報入力部から得られた事業環境情報だけでなく、前記の求人者情報入力取得部から得られてデータベースに保存された求人者情報から、例えば求人が増加している事業者が多く含まれる業種や市場は成長中であるとか、今後の成長が見込まれると推定評価するなど、事業環境データと求人データとの関係性をモデル化した、新規事業創出学習モデルに基づいて、機械学習を通じて新規事業の創出力とその創業後の成長精度を自律的に高める機能を有している。
【0053】
なお、新規事業創出および成長性推定機械学習処理部22には、事業環境情報から成長が見込まれる事業を抽出するだけでなく、求職者データベースの中から、求職者特性データに基づいて、創出した新規事業に係る創業者や創業時の新規事業支援者として適任と推定評価された求職者に対して、新規事業の内容とその適性を出力して創業提案を行う、創業者むけ創業提案出力部23が接続されているとともに、提案事業を開始した創業者から、創業後の経過報告情報が入力される創業者創業経過入力部24から入力されたデータも教師 データとして新規事業の創出と、新規事業に適した求職者への創業提案を行い、創業と創業企業の成長精度を自ら高める機能も有している。
【0054】
以上のような構成とすることで、求職者が求人者の採用条件を満たすために必要な知識や技能が不足している場合に、本システムを通じて採用条件を満たしながら、適切な職場環境や能力発揮が期待できる就職先を得ることができたり、求人者も一時的な資格試験の結果だけでなく、求職者が学習プログラムの受講を通じて推定される勤務態度や技能習熟力に基づいて、求人者の職場環境や勤務要件に対して、より的確な人材の抽出提案を受けて採用することが可能となるほか、従来の人材マッチングシステムでは実現できなかった新規事業の創出と、新規事業の事業化にむけた創業者の輩出と創業時採用を通じた求職者に対する新たな就業機会の創出を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
なお本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、例えば図示した求職者むけの教育(学習)システムや新規事業創出システムは、人材マッチングサーバ内に統合されていなくてもよく、これらは外部の既存システムと情報通信網で相互通信によって連携運用 する形態としても良い。
【0056】
このように前記の実施形態は例示であり、本発明の特許請求範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0057】
1・・・・人材マッチングシステム
2・・・・人材マッチングサーバ
3・・・・求職者群
4・・・・求人者群
5・・・・CPU(Central Proce ssing Unit)
6・・・・ROM(Read Only Memory)
7・・・・RAM(Ra ndom Access Memory)
8・・・・HDD(Hard Disk Drive)
9・・・・GPU(Graphics Processing Unit)
10・・・通信装置
11・・・表示装置
12・・・求職者情報入力取得部
13・・・求人者情報入力取得部
14・・・教育プログラムデータベース
15・・・求職者の学習特性情報取得部
16・・・求職者の就業特性推定機械学習処理部
17・・・就職適性推定評価機械学習処理部
18・・・求職者むけ情報出力部
19・・・求人者むけ情報出力部
20・・・新規事業創出用事業環境情報入力部
21・・・新規事業創業提案および創業者提案・創業時採用候補者データベース
22・・・新規事業創出および成長性推定機械学習処理部
23・・・創業者むけ創業提案出力部
24・・・創業者創業経過入力部
図1
図2
図3