IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 今西 ゆみの特許一覧

<>
  • 特開-カーテン装置及びカーテンセット 図1
  • 特開-カーテン装置及びカーテンセット 図2
  • 特開-カーテン装置及びカーテンセット 図3
  • 特開-カーテン装置及びカーテンセット 図4
  • 特開-カーテン装置及びカーテンセット 図5
  • 特開-カーテン装置及びカーテンセット 図6
  • 特開-カーテン装置及びカーテンセット 図7
  • 特開-カーテン装置及びカーテンセット 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021030
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】カーテン装置及びカーテンセット
(51)【国際特許分類】
   A47H 1/04 20060101AFI20240207BHJP
   A47H 23/04 20060101ALI20240207BHJP
   A47H 15/02 20060101ALI20240207BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A47H1/04 D
A47H23/04
A47H15/02
A47G5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006079
(22)【出願日】2023-01-18
(62)【分割の表示】P 2022123484の分割
【原出願日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】522308819
【氏名又は名称】今西 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】今西 ゆみ
【テーマコード(参考)】
2E182
【Fターム(参考)】
2E182AA01
2E182AB01
2E182AC01
2E182BB29
2E182DE01
2E182DG01
2E182DJ23
2E182EE01
2E182EG01
2E182GG09
(57)【要約】
【課題】患者が癒し感及び安心感を得ることができるカーテン装置を提供する。
【解決手段】複数のカーテンランナー17により吊り下げられるカーテン18のうち、ベッド12に面する側に配置される表示シート19と、表示シート19を、カーテン18とともに開閉できるように複数のカーテンランナー17に接続させ、かつ、表示シート19をカーテン18の通気部22より下に位置させるタグループ25と、表示シート19に設けられてベッド12上に居る患者11から目視される印刷が施された表示部26と、を有する、カーテン装置10を構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカーテンランナーにより吊り下げられるカーテンのうち、ベッドに面する側に配置される表示シートと、
前記表示シートを、前記カーテンとともに開閉できるように複数の前記カーテンランナーに接続させ、かつ、前記表示シートを前記カーテンの通気部より下に位置させる支持要素と、
前記表示シートに設けられて前記ベッド上に居る患者から目視される印刷が施された表示部と、
を有する、カーテン装置。
【請求項2】
請求項1記載のカーテン装置において、
前記支持要素は、
前記表示シートの上縁に沿って間隔をおいて取り付けられる複数のハトメと、
複数の前記カーテンランナー、及び複数の前記ハトメにそれぞれ通される複数のタグループと、
を含む、カーテン装置。
【請求項3】
請求項2記載のカーテン装置において、
前記表示シートは、
複数の前記ハトメが取り付けられる第1構成片と、
前記第1構成片から吊り下げられ、かつ、前記表示部を有する第2構成片と、
を有し、
前記第2構成片を前記第1構成片に対して取り付け及び取り外しできるようにする着脱要素が、更に設けられている、カーテン装置。
【請求項4】
請求項1記載のカーテン装置において、
前記支持要素は、
前記カーテンと、
前記表示シートを前記カーテンに対して取り付け及び取り外しできるようにする着脱要素と、
を含む、カーテン装置。
【請求項5】
請求項4記載のカーテン装置において、
前記着脱要素は、ホックまたは面ファスナーである、カーテン装置。
【請求項6】
カーテンレールに対して移動可能に取り付けられる複数のカーテンランナーと、
複数の前記カーテンランナーにより吊り下げられ、かつ、ベッドが配置される第1空間と、前記第1空間とは別の第2空間とを区画し、かつ、通気部を有するカーテンと、
前記第1空間で前記カーテンに重なるように配置される表示シートと、
前記表示シートを、前記カーテンとともに開閉できるように複数の前記カーテンランナーに接続させ、かつ、前記表示シートを前記通気部より下に位置させる支持要素と、
前記表示シートに設けられて前記ベッド上に居る患者から目視される印刷が施された表示部と、
を有する、カーテン装置。
【請求項7】
複数のカーテンランナーにより吊り下げられるカーテンのうち、ベッドに面する側に配置される表示シートと、
前記表示シートを、前記カーテンとともに開閉できるように複数の前記カーテンランナーに接続させ、かつ、前記表示シートを前記カーテンの通気部より下に位置させる複数のタグループと、
前記表示シートに設けられて前記ベッド上に居る患者から目視される印刷が施された表示部と、
前記タグループを切断する切断工具と、
前記表示シート及び複数の前記タグループ及び前記切断工具を収容する容器と、
を備えた、カーテンセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、病室においてベッドが配置される空間を仕切るカーテン装置及びカーテンセットに関する。
【背景技術】
【0002】
病室においてベッドが配置される空間と、ベッドの周囲の空間とを仕切る間仕切り家具(カーテン装置)の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている間仕切り家具は、隣り合うベッドを仕切る側面部と、ベッドと病室内通路とを仕切る正面部と、を有している。側面部は、折り畳みにより開放可能なアコーディオンドアから構成されている。具体的には、所定間隔をもって面状部同士が対向配置された2本の平板状の柱材と、これら柱材の間において略同一面を形成するように設けられた複数枚の板状パネルと、を有する。正面部は直線状に2枚連設されており、各正面部は所定間隔をもって対向して配置された2本の柱材と、これら柱材の上端部同士を連結するレールと、このレールに吊り下げられて柱材の間を開閉するカーテンと、を有する。
【0003】
さらに、特許文献1には、柱材の表面には色彩や模様などからなる装飾が施されている、と記載されている。さらに、特許文献1には、柱の装飾は、柱材毎に異なるデザインとされている。さらに、特許文献1には、患者が自分のベッドに戻る際の目印となるとともに、自分の場所に固有の装飾があることで、間仕切り家具で囲われている空間に自分の部屋のような感覚を持つことができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-232398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されているカーテン装置は、患者が癒し感及び安心感を得ることが困難である、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、患者が癒し感及び安心感を得ることができるカーテン装置及びカーテンセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のカーテン装置は、複数のカーテンランナーにより吊り下げられるカーテンのうち、ベッドに面する側に配置される表示シートと、前記表示シートを、前記カーテンとともに開閉できるように複数の前記カーテンランナーに接続させ、かつ、前記表示シートを前記カーテンの通気部より下に位置させる支持要素と、前記表示シートに設けられて前記ベッド上に居る患者から目視される印刷が施された表示部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のカーテン装置は、患者が表示シートの印刷を目視することにより、患者が癒し感及び安心感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のカーテン装置の使用状態を示す側面図である。
図2】(A)は、カーテン装置により囲まれるベッドの模式的な平面図、(B)は、カーテン装置全体を展開して示す側面図である。
図3図1の要部を拡大して示す側面図である。
図4】(A),(B)は、カーテン装置に設けられる表示シートの他の例を示す側面図である。
図5】(A),(B)は、カーテン装置に設けられる表示シートの他の例を示す側面図である。
図6】(A),(B)は、カーテン装置に設けられる表示シートのさらに他の例を示す側面図である。
図7】カーテン装置に設けられる表示シートのさらに他の例を示す側面図である。
図8】(A),(B)は、カーテン装置の他の例を示す模式的な斜視図、(C)は、表示シート及びタグループ及び切断工具を収容したカーテン装置セットの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、カーテン装置及びカーテンセットの一実施形態を図面に基づいて説明する。カーテン装置を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。カーテン装置10は、医療施設、例えば、病院、診療所等の病室において、患者11が使用するベッド12の回りを囲むように設けられる。カーテン装置10は、ベッド12が置かれている第1空間A1と、ベッド12から所定距離をおいた第2空間A2とを仕切る装置である。ベッド12は、床13に置かれて患者11が横臥できる。なお、ベッド12は、床13の上で移動可能な車輪を備えていてもよい。
【0011】
カーテン装置10は、カーテンレール14、カーテンレール14を天井15で支える支柱16、カーテンレール14に沿って移動可能な複数のカーテンランナー17、複数のカーテンランナー17によって支持されたカーテン18及び表示シート19を有する。カーテンレール14、天井15に固定された複数の支柱16により支持されている。カーテンレール14及び複数の支柱16は、金属製、例えば、アルミニウム製である。複数の支柱16は、所定間隔をおいて設けられており、カーテンレール14は、床13及び天井15に対して略平行に配置されている。
【0012】
図2(A)のように、ベッド12を真上から平面視すると、カーテンレール14は、ベッド12の回りを囲むような所定の形状、例えば、L字形、U字形、コ字形等に屈曲されている。図2(A)に示すカーテンレール14は、ベッド12の平面視においてL字形である例を示している。つまり、カーテンレール14は、ベッド12の長手方向に沿った第1構成部14Aと、第1構成部14Aに湾曲部分14Bを介して接続されてベッド12の幅方向に沿った第2構成部14Cと、を有する。
【0013】
カーテンレール14には、長手方向に沿って溝が設けられており、複数のカーテンランナー17は、溝に沿って移動できるように、カーテンレール14に取り付けられている。複数のカーテンランナー17は、図3のように、吊り下げ部20をそれぞれ有している。吊り下げ部20は、例えばリング形状である。カーテン18の素材は、一例としてポリエステル製である。カーテン18は、第2空間A2から第1空間A1を透視できない程度に不透明である。カーテン装置10には、各種の加工、例えば、制菌加工、防汚加工、防炎加工、防臭加工、ウォッシャブル加工等のうち、単数種類、または、複数種類の加工が施されていてもよい。
【0014】
図2(A)は、便宜上、カーテン装置10の全体を側面方向に展開した状態を示す模式図である。カーテン18は、側面形状が四角形、具体的には長方形である。カーテン18の横方向(水平方向)の長さL1は、一例として2.5m乃至3.5mの範囲内である。カーテン18の縦方向(鉛直方向)の長さL2は、一例として2.0m乃至2.5mの範囲内である。カーテン18は、帯状部21、通気部22、遮蔽部23を有する。カーテン18がカーテンレール14へ吊り下げられると、カーテン18は自重で垂れ下がる。カーテン18が吊り下げられた状態において、帯状部21の下に通気部22が接続され、通気部22の下に遮蔽部23が接続されている。
【0015】
帯状部21は、カーテン18をカーテンランナー17により吊り下げるための支持部としての役割を果たす。帯状部21は、カーテン18の横方向の全域に亘って設けられている。帯状部21の側面形状は、四角形、具体的には長方形である。カーテン18の縦方向における帯状部21の幅L3は、一例として5cm乃至10cmの範囲内である。カーテン18の横方向の何れの位置においても、帯状部21の幅L3は同じである。帯状部21の横方向に所定間隔をおいて、図3に示すような複数の係止具27が取り付けられている。複数の係止具27同士が配置される所定間隔は、一例として10cm乃至20cmの範囲、具体的には15cmであり、かつ、一定である。複数の係止具27は、一例としてフックであり、複数の係止具27は、金属製、または、合成樹脂製である。複数の係止具27が、吊り下げ部20にそれぞれ引っ掛けられると、カーテン18が、カーテンランナー17を介してカーテンレール14により吊り下げられた状態になる。
【0016】
通気部22は、第1空間A1と第2空間A2とを、相互に空気が行き来できるように接続する通気路である。通気部22は、カーテン18の一部をメッシュ状に構成したものであり、通気部22は、カーテン18を厚さ方向に貫通する通気路を複数有する。通気部22は、カーテン18の横方向の全域に亘って設けられている。通気部22の側面形状は、四角形、具体的には長方形である。カーテン18の縦方向における通気部の幅L4は、一例として20cm乃至40cmの範囲内である。カーテン18の横方向の何れの位置においても、通気部22の幅L4は同じである。
【0017】
遮蔽部23は、第1空間A1と第2空間A2とを仕切る役割を果たす。遮蔽部23は、カーテン18の横方向の全域に亘って設けられている。遮蔽部23は、側面形状が四角形、具体的には長方形である。カーテン18の縦方向における遮蔽部23の幅L5は、一例として1.7m乃至2.3mの範囲内である。カーテン18の横方向の何れの位置においても、遮蔽部23の幅L5は同じである。図1のように、カーテン18がカーテンレール14に吊り下げられた状態で、カーテン18の下端、つまり、遮蔽部23の下縁部23Aは、床13から離間されている。遮蔽部23の下縁部23Aと床13との間に形成される隙間L6は、一例として10cm乃至20cmの範囲内である。
【0018】
表示シート19は、第1空間A1においてベッド12とカーテン18との間に配置される。表示シート19は、カーテンランナー17を介してカーテンレール14から吊り下げられる。表示シート19がカーテンレール14から吊り下げられると、表示シート19は自重で垂れ下がり、カーテン18と表示シート19とが重なるように配置される。図2(B)のように、表示シート19は、側面形状が四角形、具体的には長方形である。表示シート19の縦方向における幅L7は、一例として1.5m乃至2.0mの範囲内に設定可能である。表示シート19は、横方向の長さL8を異ならせたものを複数種類を用意することができる。表示シート19として、例えば、横方向の長さL8が2.0mであるものと、横方向の長さL8が3.0mであるものと、を用意することができる。また、表示シート19の幅L7は、遮蔽部の幅L5未満に設定される。さらに、表示シート19の長さL8は、カーテン18の長さL1未満に設定される。つまり、カーテン装置10を側面視すると、表示シート19は、カーテン18の遮蔽部23の占有領域内に収まるような形状及び寸法を有する。
【0019】
表示シート19は、相互に平行な長縁19A,19Bと、相互に平行な19C,19D短縁と、を有する。長縁19Aは、長縁19Bより上に位置する。表示シート19の長縁19Aに沿って複数のハトメ24が取り付けられている。複数のハトメ24が取り付けられる所定間隔L9は、複数の吊り下げ部20が取り付けられる所定間隔と同じである。つまり、所定間隔L9は、一例として10cm乃至20cmの範囲、具体的には15cmであり、かつ、一定である。表示シート19がカーテンレール14から吊り下げられると、帯状部21の長手方向で、複数のハトメ24のそれぞれの配置位置と、複数の係止具27のそれぞれの配置位置とが、同じである。
【0020】
各ハトメ24は、図3のように、リング状の第1構成片24A、及びリング状の第2構成片24Bを1組として構成されている。また、図示していないが、表示シート19の長縁19Aに沿って複数の取り付け孔が設けられている。その取り付け孔に、第1構成片24A及び第2構成片24Bの少なくとも一方が挿入され、かつ、第1構成片24Aと第2構成片24Bとが結合されることにより、各ハトメ24が表示シート19に固定されている。各ハトメ24の材質は、金属製、または合成樹脂製である。ハトメ24の材質が金属製である場合、例えば、第1構成片24A及び第2構成片24Bをアルミニウム製の薄板にすることができる。ハトメ24の材質をこのようにすることで軽量化を図ることができる。したがって、表示シート19がカーテンレール14に吊り下げられた状態で、カーテンレール14が支持する負荷(荷重)を軽減することができる。
【0021】
また、表示シート19は、複数のタグループ25を用いて吊り下げ部20から吊り下げられている。タグループ25は、糸材または線材であり、可撓性を有する。タグループ25としては、一例として、糸LOX-R、太糸LOXを用いることが可能である。タグループ25の全長は、一例として70cm乃至2.0mの範囲内、具体的には、1.5mに設定できる。タグループ25の太さ、つまり、直径は、1.5mm乃至2.0mmの範囲内である。タグループ25の両端には、第1ロック片25A及び第2ロック片25Bが設けられている。第1ロック片25Aは、係合爪を有し、第2ロック片25Bは、差し込み穴を有する。各タグループ25は、ハトメ24及び吊り下げ部20に挿入された状態で、第1ロック片25Aの係合爪を第2ロック片25Bの差し込み穴に挿入し、第1ロック片25Aと第2ロック片25Bとを「カチッ」と連結させることで、タグループ25の全体がリング状に保持されている。このように、リング状に保持された複数本のタグループ25により、表示シート19が吊り下げられている。
【0022】
図2のように、カーテン装置を側面視すると、表示シート19が複数本のタグループ25により吊り下げられた状態で、表示シート19は、カーテン18の遮蔽部23の占有領域内に収まる。具体的に説明すると、表示シート19の長縁19Aは、通気部22より下に位置し、表示シート19の長縁19Bは、遮蔽部23の下縁部23Aより上に位置する。全てのタグループ25の長さが均一であるため、表示シート19を吊り下げる位置(高さ)が安定する。タグループ25の長さは、既存のカーテン18のサイズ等に合わせて選択する。
【0023】
表示シート19としては、例えば、クロス布地が用いられている。また、表示シート19には、各種の加工、例えば、制菌加工、防汚加工、防炎加工、防臭加工、ウォッシャブル加工等のうち、単数種類、または、複数種類の加工が施されていてもよい。そして、表示シート19の2つの表面のうち、ベッド12に寝る患者11から見える側の表面、つまり、カーテン18の反対に位置する表面が、表示部26を構成している。表示部26に印刷される表示物は、風景、人物、動物、キャラクター等の何れであってもよい。図1及び図2(B)に示す表示部26は、表示物として、富士山を含む風景の写真が印刷された例である。
【0024】
本実施形態のカーテン装置10は、患者11がベッド12に寝ているまたは座っている状態で、患者11は表示シート19の表示部26を目視することができる。したがって、患者11は、心が癒され、居心地のよい気分になることができる。例えば、患者11が児童である場合、病院は淋しい、心細い、怖い、夜は不安等の気持ちになり易い。また、患者11が高齢者であると、自宅に帰ることが困難であったり、治療及びリハビリテーションのために、長期入院となり、自宅及び懐かしい場所が恋しくなったり戻りたいという気持ちが高まり、患者11のストレスになることもある。
【0025】
これに対して、表示シート19の表示部26を目視することで、患者11は、癒し感及び安心感を得ることができる。患者は、以前より少しでも楽しく笑顔になり、辛い気持ちが和らぐ。つまり、表示シート19は、第1空間A1を「癒しの空間」にすることができる。言い換えると、患者11が病院に入院しているというネガティブ意識に、表示シート19というポジティブ要素を加えることで、患者11を心理的に支援することにつながる。さらに、患者11は、表示シート19の表示部26を目視することで、第1空間A1を自分の空間または部屋として認識することもできる。さらにまた、表示シート19がカーテンレール14から吊り下げられると、帯状部21に沿った方向で、複数のハトメ24のそれぞれの配置位置と、複数の係止具27のそれぞれの配置位置とが、同じである。したがって、カーテン18及び表示シート19をカーテンレール14に沿って開閉させる場合に、カーテン18及び表示シート19が、帯状部21の長手方向の同じ位置で折り畳まれることになり、カーテン18及び表示シート19の開閉操作が安定する。
【0026】
また、表示シート19を構成するクロス布地は、表示部26の印刷を安価に製造可能である。また、表示シート19を構成するクロス布地は、印刷精度として高発色で色鮮やか、かつ、耐水性に優れている。さらに、ほつれにくく丈夫であり、写真をきれいに印刷できる。また、表示シート19及びタグループ25は軽量であるため、持ち運びが容易であり、かつ、表示シート19は皺になりにくい。また、表示シート19は破れにくくきれいに色が出て耐水性もあることから、より求めやすく鮮明な絵柄を楽しめる癒し空間を演出できる。
【0027】
また、表示部26に施される表示物は、オーダーメイドまたは既製の何れであってもよい。オーダーメイドの表示物は、患者11から指定されるパノラマ写真、自宅から見える風景または景色の写真、患者11自身にとって居心地が良く、かつ、心が安らぐ場所の写真等を含む。既製の表示物は、子供向け及び大人向けの写真、または、イラストを不空巣種類ずつ選択肢として用意することができる。また、既製の表示物として、人気のある写真、上位にランクインする写真等を用意することもできる。なお、患者11が高齢者である場合の表示物については、人物の目、動物の目、目単体等は描かないようにすることで、患者11が見られている、というような不安を与えずに済む。
【0028】
表示部26に施される印刷は、フチ無し印刷またはフチ有り印刷の何れでもよい。また、印刷の色は、単数色、または、複数色の何れでもよい。表示部26に用いられる色は、白色、青色、赤色、黄色、緑色等の何れでもよいが、患者11が表示シート19を目視した場合に、患者11の心が癒される色、患者11の心が落ち着く色等であることが望ましい。
【0029】
さらに、カーテン装置10は、元々設けられているカーテンレール14、カーテンランナー17及びカーテン18に対し、タグループ25を利用して表示シート19をカーテンランナー17から吊り下げる構成である。このため、カーテン18及び表示シート19をカーテンレール14に沿って移動させる、つまり、カーテン18及び表示シート19を開く操作を1回で行うことができ、かつ、カーテン18及び表示シート19を閉じる操作を1回で行うことができる。さらに、表示シート19は、第1空間A1で行われる医療行為、診察行為の邪魔になることが無く、かつ、第1空間A1で使用される医療機器の邪魔になることも無い。さらにまた、患者11が他の場所にあるベッドへ移動する場合、または、患者11が退院する場合は、タグループ25を切断工具、例えば、ハサミまたはカッターで切断することにより、表示シート19をカーテンレール14から取り外すことができる。
【0030】
表示部26に印刷される表示物の他の例が、図4(A),(B)、及び図5(A),(B)に示されている。図4(A)は、日本三景の1つである天橋立印の写真を表示部26に印刷した例である。図4(B)は、複数人の少女漫画キャラクターを表示部26に印刷した例である。図5(A)は、複数人の戦隊(登録商標)ヒーローが集合した写真を表示部26に印刷した例である。図5(B)は、複数人の映画キャラクターを表示部26に印刷した例である。
【0031】
図6(A)には、カーテン装置10の他の例、具体的には表示シート19のさらに他の例が示されている。表示シート19は、上部クロス19E及び下部クロス19Fを有する。上部クロス19Eは帯形状であり、上部クロス19Eに、複数のハトメ24が取り付けられている。上部クロス19Eは、タグループ25によって複数の吊り下げ部20から吊り下げられている。下部クロス19Fは四角形、一例として長方形であり、下部クロス19Fの長縁に沿って、複数のハトメ24が取り付けられている。上部クロス19Eのハトメ24の数と、下部クロス19Fのハトメ24の数とは同じである。また、上部クロス19Eのハトメ24同士の間隔と、下部クロス19Fのハトメ24同士の間隔とは同じである。さらに、上部クロス19Eのハトメ24と、下部クロス19Fのハトメ24とが、補助タグループ25Cによりそれぞれ連結されている。
【0032】
つまり、下部クロス19Fは、補助タグループ25Cにより、上部クロス19Eから吊り下げられる。補助タグループ25Cは、タグループ25と同様の材質及び構成を有しており、補助タグループ25Cの全長は、タグループ25の全長より短い。そして、下部クロス19Fに表示部26が設けられている。さらに、図4(A),(B)、図5(A),(B)に示されるように、表示部26の印刷が異なる下部クロス19Fを、予め、複数種類用意して置く。そして、上部クロス19Eのハトメ24に掛けられている補助タグループ25Cを、患者の親族等の利用者が切断することにより、下部クロス19Fを、他の下部クロス19Fと取り替えることができる。
【0033】
図6(B)には、カーテン装置10の他の例、具体的には表示シート19のさらに他の例が示されている。表示シート19は、上部クロス19E及び下部クロス19Fを有する。上部クロス19Eは帯形状であり、上部クロス19Eに、複数のハトメ24が取り付けられている。上部クロス19Eは、タグループ25によって複数の吊り下げ部20から吊り下げられている。下部クロス19Fは四角形、一例として長方形である。そして、上部クロス19Eの長縁と下部クロス19Fの長縁とが、ファスナー43によって連結されている。
【0034】
つまり、下部クロス19Fは、ファスナー43を介して、上部クロス19Eから吊り下げられる。そして、下部クロス19Fに表示部26が設けられている。さらに、表示部26の印刷が異なる下部クロス19Fを、予め、複数種類用意して置く。そして、利用者がファスナー43開閉することにより、下部クロス19Fを、他の下部クロス19Fと取り替えることができる。ファスナー43は、表示部26の印刷を際立たせるために、エレメント及び縫い目が表地に出ないような樹脂製のファスナー、例えば、コンシールファスナー、ポリエステルファスナーを用いることが可能である。また、エレメントは、コイル状に連続しており、かつ、柔軟性のあるスタンダードコイルを使用可能である。
【0035】
図7は、カーテン装置10の他の例、具体的には表示シート19のさらに他の例が示されている。表示シート19は、上部クロス19E及び下部クロス19Fを有する。下部クロス19Fは、複数のホック44により、上部クロス19Eに対し取り付け及び取り外しできるように構成されている。複数のホック44は、上部クロス19Eの長手方向に所定の間隔おきに配置されている。複数のホック44が配置されている位置及び間隔は、複数のハトメ24が配置されている位置及び間隔と同じである。
【0036】
下部クロス19Fが、複数のホック44により上部クロス19Eから吊り下げられると、下部クロス19Fの上端と、上部クロス19Eの下端とが重なる。複数のホック44は、下部クロス19Fの上端に沿って所定の間隔をおいて配置されている。複数のホック44が取り付けられる所定間隔は、上部クロス19Eにハトメ24が取り付けられている所定間隔と同じである。そして、下部クロス19Fに表示部26が設けられている。さらに、表示部26の印刷が異なる下部クロス19Fを、予め、複数種類用意して置く。そして、利用者がホック44を着脱することにより、下部クロス19Fを、他の下部クロス19Fと取り替えることができる。
【0037】
図8(A)には、カーテン装置10の他の例が示されている。カーテン18は、通気部22に接続された遮蔽部28を有する。遮蔽部28は、袋状に構成されており、かつ、側面形状が略四角形、具体的には長方形である。遮蔽部28は、第1構成片29及び第2構成片30を有し、かつ、開口部31を有する。開口部31は、第1構成片29の側縁と第2構成片30の側縁との間に設けられている。第1構成片29は透明であり、第1構成片29が、図1の第1空間A1に面して配置され、第2構成片30が、第2空間A2に面して配置される。表示シート19は、開口部31を通して遮蔽部28の内部へ出し入れできる。表示シート19は、第1構成片29と第2構成片30との間に配置される。つまり、第1構成片29及び表示シート19及び第2構成片30が、重なるように配置される。
【0038】
表示シート19は、複数のホック32により、第2構成片30に取り付け及び取り外しできるように構成されている。複数のホック32は、遮蔽部28の上縁に沿って所定の間隔をおいて配置されている。複数のホック32が取り付けられる所定間隔は、図3に示す複数の吊り下げ部20が取り付けられる所定間隔と同じである。つまり、所定間隔は、一例として10cm乃至20cmの範囲、具体的には15cmであり、かつ、一定である。また、表示シー複数のホック32により表示シート19が遮蔽部28に取り付けられたカーテン18がカーテンレール14から吊り下げられると、表示シート19の長縁に沿った方向で、複数のホック32のそれぞれの配置位置と、カーテン18に取り付けられる複数の係止具27のそれぞれの配置位置とが、同じである。ホック32は、表示シート19に固定された第1係合片と、第2構成片30に固定され、かつ、第1係合片に係合される第2係合片と、を有する。図8(A)に示すカーテン装置10は、表示部26の種類が異なる表示シート19を複数用意しておき、ホック32を取り外すことにより、カーテン18に取り付ける表示シート19を取り替えることができる。
【0039】
さらにまた、表示シート19が遮蔽部28の内部に収容されると、カーテン18の帯状部に沿った方向で、複数のホック32のそれぞれの配置位置と、カーテン18に取り付けられている複数の係止具のそれぞれの配置位置とが、同じである。したがって、カーテン18及び表示シート19をカーテンレール14に沿って開閉させる場合に、カーテン18及び表示シート19が、帯状部21の長手方向の同じ位置で折り畳まれることになり、カーテン18及び表示シート19の開閉操作が安定する。
【0040】
図8(B)には、カーテン装置10の他の例が示されている。カーテン18は、通気部22に接続された遮蔽部23を有する。表示シート19は、面ファスナー(マジックテープ(登録商標))33を用いてカーテン18に取り付けられている。表示シート19は、自重で垂れ下がり、カーテン18と表示シート19とが、重なるように配置される。表示シート19は、複数の面ファスナー33により、カーテン18の表面に取り付け及び取り外しできるように構成されている。複数の面ファスナー33は、遮蔽部23の上縁に沿って所定の間隔をおいて配置されている。複数の面ファスナー33が取り付けられる所定間隔は、図3に示す複数の吊り下げ部20が取り付けられる所定間隔と同じである。つまり、所定間隔は、一例として10cm乃至20cmの範囲、具体的には15cmであり、かつ、一定である。図8(B)に示すカーテン装置10は、表示部26の種類が異なる表示シート19を複数用意しておき、全ての面ファスナー33を剥がすことにより、カーテン18に取り付ける表示シート19を取り替えることができる。
【0041】
さらにまた、カーテン18の帯状部に沿った方向で、複数の面ファスナー33のそれぞれの配置位置と、カーテン18に取り付けられている複数の係止具のそれぞれの配置位置とが、同じである。したがって、カーテン18及び表示シート19をカーテンレール14に沿って開閉させる場合に、カーテン18及び表示シート19が、帯状部21の長手方向の同じ位置で折り畳まれることになり、カーテン18及び表示シート19の開閉操作が安定する。
【0042】
図8(C)には、カーテンセット40の一例が示されている。カーテンセット40は、容器41と、容器41に収容された表示シート19と、容器41に収容された複数本のタグループ25と、容器41に収容された切断工具42と、を有する。容器41は、例えば、軟質合成樹脂製の袋である。表示シート19は、折り畳まれた状態で、容器41内に収容されている。切断工具42は、一例として安全紐切である。利用者は、カーテンセット40を購入して医療施設の病室へ持参し、表示シート19をカーテンレール14から吊り下げることができる。
【0043】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。ハトメ24及びタグループ25は、支持要素の一例である。上部クロス19Eは、第1構成片の一例であり、下部クロス19Fは、第2構成片の一例である。補助タグループ25C、ファスナー43、ホック32,44及び面ファスナー33は、着脱要素の一例である。本実施形態は、図面を用いて開示されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図7に示す複数のホック44に代えて、面ファスナー(マジックテープ(登録商標))を用いてもよい。図8(A)のホック32に代えて面ファスナーを用いてもよい。また、図8(B)の面ファスナー33に代えてホックを用いてもよい。さらに、図8(C)に示すカーテンセット40の容器41は、紙製の箱でもよい。さらに、印刷が施される表示シートの生地は、綿、麻、シルク、ポリエステル、レーヨン等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
10…カーテン装置、17…カーテンランナー、18…カーテン、19…表示シート、19E…上部クロス、19F…下部クロス、22…通気部、24…ハトメ、25…タグループ、25C…補助タグループ、26…表示部、32,44…ホック、33…面ファスナー、40…カーテンセット、41…容器、42…切断工具、43…ファスナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8