(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021053
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ダイの剥離方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
H01L21/68 E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113224
(22)【出願日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】111129039
(32)【優先日】2022-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】515086986
【氏名又は名称】梭特科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盧▲彦▼豪
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA04
5F131BA51
5F131CA17
5F131CA46
5F131CA70
5F131DA03
5F131DA22
5F131EC74
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キャリアフィルム状に貼りついたダイを、フィルム下から突き上げてフィルムから剥離する際に、キャリアフィルムが破れないようにするダイの剥離方法を提供する。
【解決手段】方法は、ダイをキャリアフィルムに分布する工程と、キャリアフィルムを広げる工程と、ターゲットダイと隣接ダイの画像をキャプチャーする工程と、ターゲットダイと隣接ダイとの隙間が吸着装置に対して適正かどうかを判定する工程と、隙間の位置が適正な場合、第1吸着装置がターゲットエリアに、第2の吸着装置が隣接エリアに当接するまで台座を上昇させる工程と、第1の吸着装置により、ターゲットエリアを吸着保持し、第2の吸着装置により隣接エリアを吸着保持し、第2の吸着装置を下降させることでターゲットエリアと隣接エリアとの間に段差を形成し、該段差により、ターゲットダイをターゲットエリアから剥離する工程と、を含む。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にはんだボール且つ銅柱がない複数のダイをキャリアフィルムに分布する工程と;
前記複数のダイ間の隙間の幅が大きくなるようにキャリアフィルムを広げる工程と;
前記キャリアフィルムのターゲットエリアの上面に位置する少なくとも1つのターゲットダイと、前記キャリアフィルムの隣接エリアの上面に位置する少なくとも1つの隣接ダイの画像をキャプチャーする工程と;
前記画像を受信し、前記画像に基づき、前記少なくとも1つのターゲットダイと前記少なくとも1つの隣接ダイとの間の隙間が、台座における第1の吸着装置と第2の吸着装置との間の隙間に対して位置が合っているか否かを判定する工程と;
前記少なくとも1つのターゲットダイと前記少なくとも1つの隣接ダイとの間の隙間が、前記台座における第1の吸着装置と第2の吸着装置との間の隙間に対して位置が合っていると判定する場合、前記第1吸着装置が前記ターゲットエリアの底面に当接し、且つ前記第2の吸着装置が前記隣接エリアの底面に当接するまで、前記台座を上昇させる工程と;
前記第1の吸着装置により、負圧によって前記ターゲットエリアを吸着して動かないように保持し、前記第2の吸着装置により、負圧によって前記隣接エリアを吸着し、前記第2の吸着装置を駆動装置によって駆動して下降させ、前記隣接エリアを前記第2の吸着装置の負圧によって吸着して且つ下降させ、前記ターゲットエリアと前記隣接エリアとの間に段差を形成し、前記段差により、前記少なくとも1つのターゲットダイを前記ターゲットエリアの上面から剥離する工程と、を含む、
ダイの剥離方法。
【請求項2】
前記複数のダイを前記キャリアフィルムに分布する工程において、支持装置により前記キャリアフィルムを支持し、環状体により前記キャリアフィルムの底面に当接する工程をさらに含む;
前記キャリアフィルムを広げる工程において、前記キャリアフィルムを広げるように前記環状体を上昇させる工程をさらに含む、
請求項1に記載のダイの剥離方法。
【請求項3】
前記画像をキャプチャーする工程において、画像キャプチャーユニットにより前記少なくとも1つのターゲットダイと前記少なくとも1つの隣接ダイとの画像をキャプチャーする工程をさらに含み;
前記画像に基づいて隙間の位置が合っているか否かを判定する工程において、処理ユニットにより前記画像を受信し、前記画像に基づいて前記少なくとも1つのターゲットダイと前記少なくとも1つの隣接ダイとの間の前記隙間が前記台座における前記第1の吸着装置と前記第2の吸着装置との間の前記隙間に対して位置が合っているか否かを判定する工程をさらに含む、
請求項1に記載のダイの剥離方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのターゲットダイを剥離する工程の後に、
前記第1の吸着装置が前記負圧によって前記ターゲットエリアを吸着することを停止し、前記第2の吸着装置が前記負圧によって前記隣接エリアを吸着することを停止し、前記ターゲットエリアを前記第1の吸着装置から離脱させ、前記隣接エリアを前記第2の吸着装置から離脱させる工程と;
ダイ固定装置により前記少なくとも1つのターゲットダイを吸着し、前記少なくとも1つのターゲットダイを表面にはんだボール且つ銅柱がない基板に載置する工程と、をさらに含む、
請求項1に記載のダイの剥離方法。
【請求項5】
前記画像をキャプチャーする工程において、単一のターゲットダイと単一の隣接ダイとの画像をキャプチャーする工程をさらに含み;
前記画像に基づいて隙間の位置が合っているか否かを判定する工程において、前記画像に基づいて単一のターゲットダイと単一の隣接ダイとの間の前記隙間が前記台座における前記第1の吸着装置と前記第2の吸着装置との間の前記隙間に対して位置が合っているか否かを判定する工程をさらに含み;
前記少なくとも1つのターゲットダイを剥離する工程において、単一のターゲットダイを前記ターゲットエリアの上面から剥離する工程をさらに含む、
請求項1に記載のダイの剥離方法。
【請求項6】
前記複数のダイを前記キャリアフィルムに分布する工程において、前記複数のダイを複数列のダイの組み合わせに配列し、各列のダイの組み合わせには、複数のダイを含む工程をさらに含み;
前記画像をキャプチャーする工程において、前記複数列のダイの組み合わせのうちの1列における複数のターゲットダイ及び前記複数列のダイの組み合わせのうちの他列における複数の隣接ダイの画像をキャプチャーする工程をさらに含み;
前記画像に基づいて隙間の位置が合っているか否かを判定する工程において、前記画像に基づいて、前記複数列のダイの組み合わせのうちの1列における複数のターゲットダイと複数列のダイの組み合わせのうちの他列における複数の隣接ダイとの前記隙間が、前記台座における前記第1の吸着装置と前記第2の吸着装置との間の前記隙間に対して位置が合っているか否かを判定する工程をさらに含み;
前記少なくとも1つのターゲットダイを剥離する工程において、前記複数列のダイの組み合わせのうちの1列における複数のターゲットダイを前記ターゲットエリアの上面から剥離する工程をさらに含む、
請求項1に記載のダイの剥離方法。
【請求項7】
前記台座を上昇させる工程と、前記少なくとも1つのターゲットダイを剥離する工程において、少なくとも1つのダイ固定装置により前記少なくとも1つのターゲットダイを吸着する工程をさらに含み;
前記少なくとも1つのターゲットダイを剥離する工程の後に、
少なくとも1つのダイ固定装置により前記少なくとも1つのターゲットダイを吸着し、前記第1の吸着装置が前記負圧によって前記ターゲットエリアを吸着することを停止し、前記第2の吸着装置が前記負圧によって前記隣接エリアを吸着することを停止し、前記ターゲットエリアと前記隣接エリアの高さを揃えるまで前記第2の吸着装置を前記駆動装置により駆動して上昇させる工程と;
前記少なくとも1つのダイ固定装置により前記少なくとも1つのターゲットダイを吸着し、且つ前記台座を横方向に移動させ、若しくは前記キャリアフィルムを横方向に移動させることにより、前記第1の吸着装置と前記第2の吸着装置との間の前記隙間を少なくとも1つの前記ターゲットダイの底面位置に対応させる工程と;
前記少なくとも1つのダイ固定装置により前記少なくとも1つのターゲットダイを吸着し、前記第1の吸着装置の負圧によって前記ターゲットエリアを吸着して動かないように保持し、前記第2の吸着装置の負圧によって前記隣接エリアを吸着し、前記第2の吸着装置を前記駆動装置によって駆動して下降させ、前記第2の吸着装置の負圧によって前記隣接エリアを吸着して下降させ、前記ターゲットエリアと前記隣接エリアとの間に段差を形成し、前記段差により、少なくとも1つのターゲットダイがターゲットエリアの上面から剥離される範囲を拡大する工程と;
前記少なくとも1つのターゲットダイをターゲットエリアの上面から完全に離脱するまで、上述の工程を繰り返し実行する工程と、をさらに含む、
請求項1に記載のダイの剥離方法。
【請求項8】
前記第1の吸着装置に少なくとも1つの第1チャンネルが設けられ、前記第2の吸着装置に少なくとも1つの第2チャンネルが設けられ、前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルが真空装置に接続され;
前記真空装置によって前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルに対して同期的に抽気すると、前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルのガスが外へ排出されて真空状態を生成し、それと同時に前記負圧が提供されるので、前記第1の吸着装置は前記負圧によって前記ターゲットエリアを吸着し、前記第2の吸着装置は前記負圧によって前記隣接エリアを吸着する、
請求項1、4又は7に記載のダイの剥離方法。
【請求項9】
前記第1の吸着装置に少なくとも1つの第1チャンネルが設けられ、前記第2の吸着装置に少なくとも1つの第2チャンネルが設けられ、前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルが真空装置に接続され;
前記真空装置によって前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルに対して同期的に抽気することを停止すると、前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルが真空状態から解除され、前記真空装置が前記負圧を提供しないので、前記第1の吸着装置が前記負圧によって前記ターゲットエリアを吸着することを停止し、前記第2の吸着装置が前記負圧によって前記隣接エリアを吸着することを停止する、
請求項4又は7に記載のダイの剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイの剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、バッチ生産により、複数の工程を経て半導体ウェーハ上に作製され、ウェーハはさらに複数のダイに切断される。言い換えれば、ダイは半導体材料で作られ、パッケージされていない小さな集積回路の本体である。切断された複数のダイは、キャリアフィルムにおける複数のターゲットエリアに整然と貼り付けられる。そして、細長い頂出棒を用いてキャリアフィルムを突き破り、ターゲットダイを押圧して移動させ、ターゲットダイがキャリアフィルムのターゲットエリアから剥離される。最後に、ピックアップ装置はターゲットダイをキャリアフィルムから基板上に移転させ、後続の加工工程を行う。
【0003】
しかしながら、キャリアフィルムは破壊されてしまい、繰り返し使用することはできない。
【0004】
また、頂出棒はダイを負傷させやすく、ダイの破損のリスクを高めてしまい、ダイの生産歩留りを低下させる虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的はキャリアフィルムとダイの破損を回避できるダイの剥離方法を提供することである。
【0006】
前記した目的を達成するために、本発明は、表面にはんだボール且つ銅柱がない複数のダイをキャリアフィルムに分布する工程と;前記複数のダイ間の隙間の幅が大きくなるようにキャリアフィルムを広げる工程と;前記キャリアフィルムのターゲットエリアの上面に位置する少なくとも1つのターゲットダイと、前記キャリアフィルムの隣接エリアの上面に位置する少なくとも1つの隣接ダイの画像をキャプチャーする工程と;前記画像を受信し、前記画像に基づき、前記少なくとも1つのターゲットダイと前記少なくとも1つの隣接ダイとの間の隙間が、台座における第1の吸着装置と第2の吸着装置との間の隙間に対して位置が合っているか否かを判定する工程と;前記少なくとも1つのターゲットダイと前記少なくとも1つの隣接ダイとの間の隙間が、前記台座における第1の吸着装置と第2の吸着装置との間の隙間に対して位置が合っていると判定する場合、前記第1吸着装置が前記ターゲットエリアの底面に当接し、且つ前記第2の吸着装置が前記隣接エリアの底面に当接するまで、前記台座を上昇させる工程と;前記第1の吸着装置により、負圧によって前記ターゲットエリアを吸着して動かないように保持し、前記第2の吸着装置により、負圧によって前記隣接エリアを吸着し、前記第2の吸着装置を駆動装置によって駆動して下降させ、前記隣接エリアを前記第2の吸着装置の負圧によって吸着して且つ下降させ、前記ターゲットエリアと前記隣接エリアとの間に段差を形成し、前記段差により、前記少なくとも1つのターゲットダイを前記ターゲットエリアの上面から剥離する工程と、を含むダイの剥離方法を提供する。
【0007】
また、前記複数のダイを前記キャリアフィルムに分布する工程において、支持装置により前記キャリアフィルムを支持し、環状体により前記キャリアフィルムの底面に当接する工程をさらに含む;前記キャリアフィルムを広げる工程において、前記キャリアフィルムを広げるように前記環状体を上昇させる工程をさらに含む。
【0008】
また、前記画像をキャプチャーする工程において、画像キャプチャーユニットにより前記少なくとも1つのターゲットダイと前記少なくとも1つの隣接ダイとの画像をキャプチャーする工程をさらに含み;前記画像に基づいて隙間の位置が合っているか否かを判定する工程において、処理ユニットにより前記画像を受信し、前記画像に基づいて前記少なくとも1つのターゲットダイと前記少なくとも1つの隣接ダイとの間の隙間が、前記台座における前記第1の吸着装置と前記第2の吸着装置との間の前記隙間に対して位置が合っているか否かを判定する工程をさらに含む。
【0009】
また、前記少なくとも1つのターゲットダイを剥離する工程の後に、前記第1の吸着装置が前記負圧によってターゲットエリアを吸着することを停止し、前記第2の吸着装置が前記負圧によって隣接エリアを吸着することを停止し、前記ターゲットエリアを前記第1の吸着装置から離脱させ、前記隣接エリアを前記第2の吸着装置から離脱させる工程と;ダイ固定装置により前記少なくとも1つのターゲットダイを吸着し、前記少なくとも1つのターゲットダイを表面にはんだボール且つ銅柱がない基板に載置する工程と、をさらに含む。
【0010】
また、画像をキャプチャーする工程において、単一のターゲットダイと単一の隣接ダイとの画像をキャプチャーする工程をさらに含み;前記画像に基づいて隙間の位置が合っているか否かを判定する工程において、前記画像に基づいて単一のターゲットダイと単一の隣接ダイとの間の隙間が、前記台座における前記第1の吸着装置と前記第2の吸着装置との間の前記隙間に対して位置が合っているか否かを判定する工程をさらに含み;前記少なくとも1つのターゲットダイを剥離する工程において、単一のターゲットダイをターゲットエリアの上面から剥離する工程をさらに含む。
【0011】
また、前記複数のダイを前記キャリアフィルムに分布する工程において、前記複数のダイを複数列のダイの組み合わせに配列し、各列のダイの組み合わせには、複数のダイを含む工程をさらに含み;前記画像をキャプチャーする工程において、前記複数列のダイの組み合わせのうちの1列における複数のターゲットダイ及び前記複数列のダイの組み合わせのうちの他列における複数の隣接ダイの画像をキャプチャーする工程をさらに含み;前記画像に基づいて隙間の位置が合っているか否かを判定する工程において、前記画像に基づいて、前記複数列のダイの組み合わせのうちの1列における複数のターゲットダイと複数列のダイの組み合わせのうちの他列における複数の隣接ダイとの前記隙間が、前記台座における前記第1の吸着装置と前記第2の吸着装置との間の前記隙間に対して位置が合っているか否かを判定する工程をさらに含み;前記少なくとも1つのターゲットダイを剥離する工程において、前記複数列のダイの組み合わせのうちの1列における複数のターゲットダイをターゲットエリアの上面から剥離する工程をさらに含む。
【0012】
また、前記台座を上昇させる工程と、前記少なくとも1つのターゲットダイを剥離する工程において、少なくとも1つのダイ固定装置により前記少なくとも1つのターゲットダイを吸着する工程をさらに含み;前記少なくとも1つのターゲットダイを剥離する工程の後に、少なくとも1つのダイ固定装置により前記少なくとも1つのターゲットダイを吸着し、前記第1の吸着装置が前記負圧によってターゲットエリアを吸着することを停止し、前記第2の吸着装置が前記負圧によって隣接エリアを吸着することを停止し、前記ターゲットエリアと前記隣接エリアの高さを揃えるまで前記第2の吸着装置を前記駆動装置により駆動して上昇させる工程と;前記少なくとも1つのダイ固定装置により前記少なくとも1つのターゲットダイを吸着し、且つ前記台座を横方向に移動させ、若しくは前記キャリアフィルムを横方向に移動させることにより、前記第1の吸着装置と前記第2の吸着装置との間の前記隙間を少なくとも前記1つのターゲットダイの底面位置に対応させる工程と;前記少なくとも1つのダイ固定装置により前記少なくとも1つのターゲットダイを吸着し、前記第1の吸着装置の負圧によって前記ターゲットエリアを吸着して動かないように保持し、前記第2の吸着装置の負圧によって前記隣接エリアを吸着し、前記第2の吸着装置を前記駆動装置により駆動して下降させ、前記第2の吸着装置の負圧によって前記隣接エリアを吸着して下降させ、前記ターゲットエリアと前記隣接エリアとの間に段差を形成し、前記段差により、少なくとも1つのターゲットダイ前記ターゲットエリアから剥離される範囲を拡大する工程と;前記少なくとも1つのターゲットダイを前記ターゲットエリアの上面から完全に離脱するまで、上述の工程を繰り返し実行する工程と、をさらに含む。
【0013】
また、前記第1の吸着装置に少なくとも1つの第1チャンネルが設けられ、前記第2の吸着装置に少なくとも1つの第2チャンネルが設けられ、前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルが真空装置に接続され;前記真空装置によって前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルに対して同期的に抽気すると、前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルのガスが外へ排出されて真空状態を生成し、それと同時に負圧が提供されるので、前記第1の吸着装置は前記負圧によって前記ターゲットエリアを吸着し、前記第2の吸着装置は前記負圧によって前記隣接エリアを吸着する。
【0014】
また、前記第1の吸着装置に少なくとも1つの第1チャンネルが設けられ、前記第2の吸着装置に少なくとも1つの第2チャンネルが設けられ、前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルが前記負圧を提供して真空装置に接続され;前記真空装置によって前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルに対して同期的に抽気することを停止すると、前記少なくとも1つの第1チャンネルと前記少なくとも1つの第2チャンネルが真空状態から解除され、前記真空装置が前記負圧を提供しないので、前記第1の吸着装置が前記負圧によって前記ターゲットエリアを吸着することを停止し、第2の吸着装置が前記負圧によって前記隣接エリアを吸着することを停止する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、本発明に係る方法により、キャリアフィルムを破壊することなくターゲットダイにも接触しない状態で、ターゲットダイをキャリアフィルムから剥離させ、キャリアフィルムとターゲットダイの破損を回避することが可能となる。これにより、キャリアフィルムを繰り返して使用できるとともに、ダイの生産歩留りも向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本発明に係る方法の第1実施例のフローチャートである。
【
図1B】本発明に係る方法の第1実施例のフローチャートである。
【
図2】本発明に係る方法の第1実施例の工程S100の模式図である。
【
図3】本発明に係る方法の第1実施例の工程S110とS120の模式図である。
【
図4】本発明に係る方法の第1実施例の工程S130の模式図である。
【
図5】本発明に係る方法の第1実施例の工程S140の模式図である。
【
図6】本発明に係る方法の第1実施例の工程S150の模式図である。
【
図7】本発明に係る方法の第1実施例の工程S160の模式図である。
【
図8】本発明に係る方法の第1実施例の第1実施態様の上面図である。
【
図9】本発明に係る方法の第1実施例の第1実施態様の上面図である。
【
図10】本発明の第1の吸着装置と、第2の吸着装置及び真空装置との接続関係の模式図である。
【
図11A】本発明に係る方法の第2実施例のフローチャートである。
【
図11B】本発明に係る方法の第2実施例のフローチャートである。
【
図12】本発明に係る方法の第2実施例の工程S240の模式図である。
【
図13】本発明に係る方法の第2実施例の工程S250の模式図である。
【
図14】本発明に係る方法の第2実施例の工程S260の模式図である。
【
図15A】本発明に係る方法の第2実施例の工程S270の第1実施態様の模式図である。
【
図15B】本発明に係る方法の第1実施例の工程S270の第2実施態様の模式図である。
【
図16】本発明に係る方法の第2実施例の工程S280の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面と符号に基づいてより詳しく説明し、当業者が本明細書を研読した後に実施できるようにする。
【0018】
図1Aと
図1Bは本発明に係る方法の第1実施例のフローチャートであり、
図2は本発明に係る方法の第1実施例の工程S100の模式図であり、
図3は本発明に係る方法の第1実施例の工程S110とS120の模式図であり、
図4は本発明に係る方法の第1実施例の工程S130の模式図であり、
図5は本発明に係る方法の第1実施例の工程S140の模式図であり、
図6は本発明に係る方法の第1実施例の工程S150の模式図であり、
図7は本発明に係る方法の第1実施例の工程S160の模式図である。本発明は、ダイの剥離方法を提供し、後述した工程を含む。
【0019】
工程S100では、
図1Aと
図2に示すように、支持装置10はキャリアフィルム20を支持し、環状体30はキャリアフィルム20に当接し、表面にはんだボール且つ銅柱がない複数のダイ40をキャリアフィルム20の複数のターゲットエリアの上面に分布する。
【0020】
工程S110では、
図1Aと
図3に示すように、環状体30を上昇させ、キャリアフィルム20を広げることにより、前記複数のダイ40間の隙間41の幅を大きくする。
【0021】
工程S120では、
図1A及び
図3に示すように、
図4を参照して、画像キャプチャーユニット50により、少なくとも1つのターゲットダイ42と少なくとも1つの隣接ダイ43の画像51をキャプチャーする。少なくとも1つのターゲットダイ42はキャリアフィルム20のターゲットエリア21の上面に位置され、少なくとも1つの隣接ダイ43はキャリアフィルム20の隣接エリア22の上面に位置される。
【0022】
工程S130では、
図1A及び
図4に示すように、
図3を参照して、処理ユニット60により、画像51を受信し、画像51に基づいて少なくとも1つのターゲットダイ42と少なくとも1つの隣接ダイ43との間の隙間41が台座70の第1の吸着装置71と第2の吸着装置72との間の隙間73に対して位置が合っているか否かを判定する。処理ユニット60により、画像51に基づいて隙間41が隙間73に対して位置が合っていると判定する場合、次の工程に進み、処理ユニット60は、画像51に基づいて隙間41が隙間73に対して位置が合っていないと判定する場合、そのまま終了する。
【0023】
工程S140では、
図1B及び
図5に示すように、
図4を参照して、処理ユニット60により、画像51に基づいて少なくとも1つのターゲットダイ42と少なくとも1つの隣接ダイ43との間の隙間41が台座70の第1の吸着装置71と第2の吸着装置72との間の隙間73に対して位置が合っていると判定する場合、第1吸着装置71がターゲットエリア21の底面に当接し、第2の吸着装置72が隣接エリア22の底面に当接するまで、台座70を上昇させる。
【0024】
工程S150では、
図1B及び
図6に示すように、第1の吸着装置71により、負圧74を発生させ、ターゲットエリア21を吸着して動かないように保持し、第2の吸着装置72により、負圧74によって隣接エリア22を吸着し、第2の吸着装置72を駆動装置75によって駆動して下降させ、隣接エリア22を第2の吸着装置72の負圧74によって吸着して且つ下降させ、それにより、ターゲットエリア21と隣接エリア22との間に段差23を形成し、段差23により、少なくとも1つのターゲットダイ42をターゲットエリア21の上面から剥離する。
【0025】
工程S160では、
図1B及び
図7に示すように、第1の吸着装置71が負圧74によってターゲットエリア21を吸着することを停止し、第2の吸着装置72が負圧74によって隣接エリア22を吸着することを停止し、ターゲットエリア21を第1の吸着装置71から離脱させ、隣接エリア22を第2の吸着装置72から離脱させ;ダイ固定装置80により少なくとも1つのターゲットダイ42を吸着し、少なくとも1つのターゲットダイ42を表面にはんだボール且つ銅柱がない基板90に載置する。
【0026】
以下、本発明に係る方法の第1実施例の二つの態様を図面に参照して説明する。
【0027】
図8は本発明に係る方法の第1実施例の第1実施態様の上面図である。
図8に示すように、第1実施態様については、前記少なくとも1つのターゲットダイ42が単一のターゲットダイ42であり、前記少なくとも1つの隣接ダイ43が単一の隣接ダイ43である。より明確には、工程S120では、画像キャプチャーユニット50により単一のターゲットダイ42と単一の隣接ダイ43との画像51をキャプチャーし;工程S130では、処理ユニット60によって、画像51を受信し、画像51に基づいて単一のターゲットダイ42と単一の隣接ダイ43との間の隙間41が台座70における第1の吸着装置71と第2の吸着装置72との間の隙間73に対して位置が合っているか否かを判定し;工程S150では、単一のターゲットダイ42をターゲットエリア21の上面から剥離する。
【0028】
図9は本発明に係る方法の第1実施例の第2実施態様の上面図である。
図9に示すように、第2実施態様については、前記少なくとも1つのターゲットダイ42は複数列のダイの組み合わせ44のうちの1列における複数のターゲットダイ42であり、前記少なくとも1つの隣接ダイ43は複数列のダイの組み合わせ44のうちの他列における複数の隣接ダイ43である。
【0029】
より明確には、工程S100では、前記複数のダイ40を複数列のダイの組み合わせ44に配列し、各列のダイの組み合わせ44には、複数のダイ40を含み;工程S120では、画像キャプチャーユニット50により複数列のダイの組み合わせ44のうちの1列の複数のターゲットダイ42と複数列のダイの組み合わせ44のうちの他列における複数の隣接ダイ43の画像51をキャプチャーし;工程S130では、処理ユニット60により、画像51を受信し、画像51に基づいて複数列のダイの組み合わせ44のうちにおける1列の複数のターゲットダイ42と複数列のダイの組み合わせ44のうちの他列における複数の隣接ダイ43の隙間41が台座70における第1の吸着装置71と第2の吸着装置72との間の隙間73に対して位置が合っているか否かを判定し;工程S150では、複数列のダイの組み合わせ44のうちの1列における複数のターゲットダイ42をターゲットエリア21の上面から剥離する。
【0030】
明らかに、第2実施態様の一回で処理可能なダイ40の数は第1実施態様の数より多く、効率が高い。
【0031】
図10は本発明における第1の吸着装置71と、第2の吸着装置72及び真空装置100との接続関係の模式図である。
図2と
図10に示すように、好ましくは第1の吸着装置71に複数の第1チャンネル711が設けられ、第2の吸着装置72に複数の第2チャンネル721が設けられ、前記複数の第1チャンネル711と前記複数の第2チャンネル721が真空装置100に接続される。
【0032】
工程S150では、
図6及び
図10に示すように、真空装置100によって前記複数の第1チャンネル711と前記複数の第2チャンネル721に対して同期的に抽気すると、前記複数の第1チャンネル711と前記複数の第2チャンネル721のガスが外へ排出されて真空状態を生成し、それと同時に負圧が提供されるので、第1の吸着装置71は前記負圧74によってターゲットエリア21を吸着し、第2の吸着装置72は負圧に74よって隣接エリア22を吸着する。
【0033】
工程S160では、
図7及び
図10に示すように、真空装置100により前記複数の第1チャンネル711と前記複数の第2チャンネル721に対して同期的に抽気することを停止すると、前記複数の第1チャンネル711と前記複数の第2チャンネル721が真空状態から解除され、真空装置100が負圧74を提供しないので、第1の吸着装置71が負圧74によってターゲットエリア21を吸着することを停止し、第2の吸着装置72が負圧74によって隣接エリア22を吸着することを停止する。
【0034】
図11Aと
図11Bは本発明に係る方法の第2実施例のフローチャートであり、
図12は本発明に係る方法の第2実施例の工程S240の模式図であり、
図13は本発明に係る方法の第2実施例の工程S250の模式図であり、
図14は本発明に係る方法の第2実施例の工程S260の模式図であり、
図15Aと
図15Bはそれぞれ本発明に係る方法の第2実施例の工程S270の第1実施態様と第2実施態様の模式図であり、
図16は本発明に係る方法の第2実施例の工程S280の模式図である。
【0035】
図11Aに示すように、第2実施例の工程S200~S230は、第1実施例の工程S100~S130と全く同じである。
図11B、
図12及び
図13に示すように、第2実施形態の工程S240~S250と第1実施形態の工程S140~S150との違いは、ダイ固定装置80により少なくとも1つのターゲットダイ42を吸着することにある。第2実施例の工程S250の後、後述の工程をさらに含む。
【0036】
具体的に、
図10、
図11B及び
図14に示すように、ダイ固定装置80により少なくとも1つのターゲットダイ42を吸着し、真空装置100により前記複数の第1チャンネル711と前記複数の第2チャンネル721に対して同期的に抽気することを停止すると、前記複数の第1チャンネル711と前記複数の第2チャンネル721が真空状態から解除され、真空装置100が負圧74を提供しないので、第1の吸着装置71が負圧74によってターゲットエリア21を吸着することを停止し、第2の吸着装置72が負圧74によって隣接エリア22を吸着することを停止し、ターゲットエリア21と隣接エリア22の高さを揃えるまで第2の吸着装置72を駆動装置75により駆動して上に上昇させる工程S260と、
図11B、
図15A及び
図15Bに示すように、ダイ固定装置80により少なくとも1つのターゲットダイ42を吸着し、台座70を横方向に移動させ(
図15Aを参照し、第1実施態様である)、若しくははキャリアフィルム20を横方向に移動させる(
図15Bを参照し、第2実施態様である)ことにより、第1の吸着装置71と第2の吸着装置72との間の隙間73を少なくとも1つのターゲットダイ42の底面位置に対応させる工程S270と、
図10、
図11B及び
図16に示すように、ダイ固定装置80により少なくとも1つのターゲットダイ42を吸着し、真空装置100は前記複数の第1チャンネル711と前記複数の第2チャンネル721に対して同期的に抽気すると、前記複数の第1チャンネル711と前記複数の第2チャンネル721のガスが外へ排出されて真空状態を生成し、それと同時に負圧74が提供されるので、第1の吸着装置71は負圧74によってターゲットエリア21を吸着し、第2の吸着装置72は負圧74によって隣接エリア22を吸着して、第2の吸着装置72を駆動装置75により駆動して下降させ、隣接エリア22を第2の吸着装置72の負圧74によって吸着して下降させ、それによりターゲットエリア21と隣接エリア22との間に段差23を形成し、段差23により、少なくとも1つのターゲットダイ42をターゲットエリア21から剥離される範囲を拡大する工程S280と、少なくとも1つのターゲットダイ42をターゲットエリア21の上面から完全に離脱するまで、上述の工程を繰り返し実行する工程と、をさらに含む。
【0037】
図10Bに示すように、第2実施例の工程S290は、第1実施例の工程S160と全く同じである。
【0038】
工程S240から工程S280までの5つの工程において、ダイ固定装置80により少なくとも1つのターゲットダイ42を吸着し続けるので、少なくとも1つのターゲットダイ42に対する位置合わせを維持し続けることができ、台座70の横方向への移動による影響を受けて変位することがない。したがって、少なくとも1つのターゲットダイ42がターゲットエリア21から剥離される範囲を徐々に拡大することができる。
【0039】
少なくとも1つのターゲットダイ42の底面をターゲットエリア21の上面から完全に離脱するので、ダイ固定装置80により少なくとも1つのターゲットダイ42を基板90に容易に移設することができる。
【0040】
第2実施例の第1実施態様と第1実施例の第1実施態様との違いとして、工程S240から工程S290までの6つの工程において、単一のダイ固定装置80により単一のターゲットダイ42を吸着し続けることにある。第2実施例の第2実施態様と第1実施例の第2実施態様との違いは、工程S240から工程S290までの6つの工程において、複数のダイ固定装置80を一列に配列し、複数列のダイの組み合わせ44のうちの1列における複数のターゲットダイ42をそれぞれ吸着し続けることにある。
【0041】
以上のように、本発明に係る方法により、キャリアフィルム20を破壊することなくターゲットダイ42にも接触しない状態で、ターゲットダイ42をキャリアフィルム20からは剥離させ、キャリアフィルム20とターゲットダイ42の破損を回避することが可能となる。これにより、キャリアフィルム20を繰り返して使用できるとともに、ダイ40の生産歩留りも向上できる。
【0042】
上述したものは、本発明を説明するための好ましい実施例にすぎず、これにより本発明に対するいかなる形式上の制限をすることは意図していなく、同じ発明の主旨の下でなされた本発明に関するいかなる修飾又は変更は、いずれも本発明の意図的な保護の範疇に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0043】
10 支持装置
20 キャリアフィルム
21 ターゲットエリア
22 隣接エリア
23 段差
30 環状体
40 ダイ
41 隙間
42 ターゲットダイ
43 隣接ダイ
44 ダイの組み合わせ
50 画像キャプチャーユニット
51 画像
60 処理ユニット
70 台座
71 第1の吸着装置
711 第1チャンネル
72 第2の吸着装置
721 第2チャンネル
73 隙間
74 負圧
75 駆動装置
80 ダイ固定装置
90 基板
100 真空装置
S100~S160、S200~S290 工程