(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021063
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】試験室及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20240207BHJP
B01L 7/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
G01N17/00
B01L7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023122504
(22)【出願日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】22188386
(32)【優先日】2022-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517381603
【氏名又は名称】バイス テヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レフラー マルク
(72)【発明者】
【氏名】ヌファー ユルゲン
【テーマコード(参考)】
2G050
4G057
【Fターム(参考)】
2G050BA05
2G050BA10
2G050EA01
4G057AD04
4G057AD07
4G057AD11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】温度条件及び気候条件を特に正確かつ連続して発生させることができる試験室、及び試験室の制御方法を提供する。
【解決手段】特に人工気候室などの空気調和用の試験室(10)及び試験室を制御するための方法に関し、試験室は、周囲に対して壁(12)で区画され、ドア要素(14)を用いて閉鎖可能で、温度制御デバイスによって-40℃から+180℃の範囲の温度を試験空間内に発生させることができ、試験空間は少なくとも1つの窓(15)を有する。窓は試験室のシールドデバイスを有するように形成され、制御デバイスはシールドデバイスを第1動作状態または第2動作状態のいずれかにするように構成され、シールドデバイスは第1動作状態において第2動作状態よりも窓の透過度を小さくすること及び/または窓の吸収度を大きくすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に人工気候室などの空気調和用の試験室(10)であって、前記試験室は、周囲に対して壁(12)で区画され、ドア要素(14)を用いて閉鎖可能であり、試験材料を受け入れる機能を有する断熱された試験空間(11)と、前記試験室の機能を制御するための制御デバイスと、前記試験空間を温度制御するための温度制御デバイスとを有し、前記温度制御デバイスは冷却装置と加熱装置とを有し、前記温度制御デバイスによって-40℃から+180℃、好ましくは-80℃から+180℃の範囲の温度を前記試験空間内に発生させることができ、前記試験空間は少なくとも1つの窓(15)を有し、
前記窓が、前記試験室のシールドデバイスを有するように形成され、前記制御デバイスが、前記シールドデバイスを第1動作状態または第2動作状態のいずれかにするように構成され、前記シールドデバイスが、前記第1動作状態において前記第2動作状態よりも前記窓の透過度を小さくすること及び/または前記窓の吸収度を大きくすることができることを特徴とする試験室。
【請求項2】
請求項1に記載の試験室において、
電磁放射、好ましくは熱放射、紫外線放射、可視光線及び/または赤外線放射を、前記第1動作状態において前記シールドデバイスで遮蔽可能であることを特徴とする試験室。
【請求項3】
請求項1または2に記載の試験室において、
前記窓(15)が前記第1動作状態で非透明であり、前記第2動作状態で透明であることを特徴とする試験室。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の試験室において、
前記シールドデバイスはシールド装置を有し、前記シールド装置は、サーモクロミック特性、エレクトロクロミック特性及び/またはフォトクロミック特性を有するガラスまたはフィルムで形成され、前記シールド装置は前記窓(15)の窓面を覆うことを特徴とする試験室。
【請求項5】
請求項4に記載の試験室において、
前記ガラスまたは前記フィルムは、液晶技術を用いて製造され、前記第1動作状態または前記第2動作状態に電気的に切り換え可能であることを特徴とする試験室。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の試験室において、
前記窓(15)は、前記ドア要素(14)または壁(12)に受け入れられ、前記窓は複数の外側ペインとその間に介在する少なくとも1つの内側ペインを有することを特徴とする試験室。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の試験室において、
前記制御デバイスはスクリーン及び操作要素を有する操作装置を有し、温度及び/または空気湿度を測定するための測定デバイスを有することを特徴とする試験室。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の試験室において、
試験室(10)は、前記試験空間内の空気の相対湿度を10%から98%の範囲の湿度に設定するための加湿デバイスを有することを特徴とする試験室。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の試験室において、
前記冷却装置は、冷媒、前記試験空間(11)内に配置される熱交換器、圧縮機、凝縮器、及び膨張要素を有する冷却サイクルを有するように構成されていることを特徴とする試験室。
【請求項10】
特に人工気候室などの空気調和用の試験室(10)を制御する方法であって、試験材料が前記試験室の断熱された試験空間(11)に配置され、前記試験空間が壁によって周囲(13)に対して区画され且つドア要素(14)を用いて閉鎖可能であり、前記試験室の制御デバイスが前記試験室の機能を制御し、前記試験室の温度制御デバイスが前記試験空間の温度を制御して、前記温度制御デバイスの冷却装置及び加熱装置によって前記試験空間内を-40℃から+180℃、好ましくは-80℃から+180℃の範囲の温度にし、前記試験空間が少なくとも1つの窓(15)を有し、
前記制御デバイスが、窓(15)のシールドデバイスを第1動作状態または第2動作状態にし、前記シールドデバイスにより、前記第1動作状態において前記第2動作状態よりも窓の透過度を小さくし、及び/または窓の吸収度を大きくすることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記第1動作状態と前記第2動作状態との間の切り換えが前記制御デバイスの操作装置によって行われることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の方法において、
前記第1動作状態と前記第2動作状態との間の切り換え、及び/または前記ドア要素(14)のロック解除もしくはロックが、前記操作装置によって使用者が認識された後に前記制御デバイスによって行われることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1動作状態が基本状態として選択され、前記第2動作状態への切り換えが要求に応じて行われることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか1項に記載の方法において、
前記制御デバイスは、前記制御デバイスに記憶された時間が経過した後に前記第2動作状態から前記第1動作状態に切り換えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか1項に記載の方法において、
前記制御デバイスは、前記第2動作状態の継続時間中にのみ前記試験室(10)の前記試験空間の照明を点灯させることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項10から15のいずれか1項に記載の方法において、
前記制御デバイスは、前記第2動作状態の継続時間中にのみ前記窓(15)の窓枠加熱装置及び/または前記窓の窓領域のための窓領域加熱装置のスイッチをオンにすることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に人工気候室などの空気調和用の試験室、及び試験室を制御する方法に関する。この試験室は、周囲に対して壁で区画され、ドア要素を用いて閉鎖でき、且つ試験材料を受け入れる機能を有する断熱された試験空間と、試験室の機能を制御する制御デバイスと、試験空間の温度を制御する温度制御デバイスとを有する。温度制御デバイスは冷却装置と加熱装置とを有し、温度制御デバイスによって試験空間内に-40℃から+180℃の範囲の温度を発生させることができ、試験空間は少なくとも1つの窓を有する。
【背景技術】
【0002】
試験室は、対象物、特に装置(デバイス)の物理的特性及び/または化学的特性を試験するために使用される。そのため、-40℃から+180℃までの範囲の温度を設定できる温度試験用の入出力装置(コンソール)または気候試験用の入出力装置が知られている。気候試験用の入出力装置では、所望の気候条件をさらに設定することができ、この気候条件に装置及び/または試験材料が所定の期間にわたってさらされる。この種の試験室は、一般的に、必要な供給ラインを介してのみ建物に接続されるとともに試験材料の温度を制御するのに必要なすべての部品群を有する移動式装置として構成される。試験すべき試験材料を受け入れる試験空間の温度は、試験空間内の空気循環ダクトにおいて制御されるのが一般的であり、そこには空気循環ダクト及び/または試験空間を流れる空気を加熱または冷却するための熱交換器が配置される。特定の気候条件及び/または定められた空気の相対湿度が設定される場合、試験室は、試験空間内の空気の除湿または加湿をするための装置を特に有するようにしてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
試験空間内の温度及び/または気候が変化すると、試験材料に水分が結露することがあり、これは試験のシーケンスによっては望ましいことがある。この種の試験では、しばしば、試験材料の表面の氷が均一に解け、それにしたがって表面が均一に温度制御されることが重要である。したがって、試験空間における一定の温度と湿度、及び/または対応する一様な分布は、試験の質にとって非常に重要である。しかしながら、試験空間内の温度が試験の合間に望ましくないように変化し、且つ/または試験空間内及び試験材料のところで空間的に温度差が生じ得ることがある。このことは、例えば、試験材料の表面の氷が部分的にしか解けないことにつながる。とりわけ、これらの望ましくない影響は、例えば試験空間の窓を通じて試験材料に照射される放射エネルギによって引き起こされることがある。建物の空間内での試験室の位置によっては、太陽光が、あるいは建物内の他の機械や設備からの熱放射でさえも、窓を通じて試験材料に照射されることがある。さらに、試験材料の種類によっては、試験材料自体が放射エネルギを放出し、逆にこの放射エネルギが試験空間から出ることもある。それにもかかわらず、試験空間が窓を有することにより使用者が簡単に試験室または試験材料の状態を監視できることが望ましい。
【0004】
したがって、本発明の目的は、温度条件及び気候条件を特に正確かつ連続して発生させることができる試験室、及び試験室の制御方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する試験室及び請求項10の特徴を有する方法によって達成される。
【0006】
特に人工気候室などの空気調和用の試験室は、周囲に対して壁で区画され、ドア要素を用いて閉鎖可能であり、試験材料を受け入れる機能を有する断熱された試験空間と、試験室の機能を制御するための制御デバイスと、試験空間を温度制御するための温度制御デバイスとを有し、温度制御デバイスは冷却装置と加熱装置とを有し、温度制御デバイスによって-40℃から+180℃、好ましくは-80℃から+180℃の範囲の温度を試験空間内に発生させることができ、試験空間は少なくとも1つの窓を有し、窓は試験室のシールドデバイスを有するように形成され、制御デバイスはシールドデバイスを第1動作状態または第2動作状態のいずれかにするように構成され、シールドデバイスにより第1動作状態において第2動作状態よりも、窓の透過度が小さくなり、及び/または窓の吸収度が大きくなる。
【0007】
本発明に係る試験室では、断熱壁により、試験空間と環境との熱交換がほとんど生じないようにすることができる。試験空間の開口部を閉鎖する機能を果たすドア要素も断熱される。このドア要素を介して、試験材料を試験空間に入れたり試験空間から取り出したりすることができる。ドア要素は試験空間をしっかりと閉じることができる。制御デバイスは、例えば温度制御デバイスを制御するなど、試験室の機能を制御する役割を果たすので、試験空間内の空気を制御デバイスで冷却及び/または加熱することにより、所定の試験シーケンスのインターバルで試験を自動的に実行することができる。制御デバイスは、例えばプログラマブルロジックコントローラまたはコンピュータにすることができる。さらに、試験空間が少なくとも1つの窓を有し、この窓を介して使用者が試験空間の内容物を確認することができる。
【0008】
本発明によれば、窓は試験室のシールドデバイスを有するように構成されるものである。シールドデバイスは、電磁放射及び/または熱放射の少なくとも一部、好ましくは全部が通過するのを阻止する役割を果たす。このことにより、試験材料を例えば太陽光や熱放射への暴露などの周囲の影響からさらに良好に遮蔽することができ、試験条件をより一定させて、さらに精密な試験を実施することが可能になる。シールドデバイスは、遮蔽を行う第1動作状態にすることも、選択的に第2動作状態にすることもできるので、試験空間を観察できなくなるように試験空間を永続的ではなく遮蔽することができる。この観察は、第2動作状態中であっても行うことができる。第1動作状態と第2動作状態とでは、第1動作状態の方が第2動作状態よりも窓の透過度が小さく、及び/または窓の吸収度が大きい点が異なる。その結果としてシールドデバイスの第2動作状態では試験空間の観察が許容され、第1動作状態では窓が遮蔽されるため試験状態には影響しないか、窓によりわずかに影響がある程度である。制御デバイスがシールドデバイスを制御することにより、試験空間の遮蔽を制御することが可能になる。全体的には冷却エネルギ及び/または加熱エネルギを節約することが可能であり、ひいては試験室の電力消費を削減することも可能である。
【0009】
シールドデバイスでは、電磁放射、好ましくは熱放射、紫外線放射、可視光線及び/または赤外線放射を第1動作状態で遮蔽することができる。熱放射とは別に、紫外線放射及び可視光線及び/または赤外線放射は、試験材料の品質によっては試験に望ましくない影響を及ぼすことがある。したがって、この放射線もシールドデバイスによって第1動作状態から遮蔽されて窓を通過できないようにシールドデバイスを構成することができる。第2動作状態では、この放射線またはその一部は、窓を介して試験材料または試験空間に到達できる。
【0010】
その結果、窓を、第1動作状態では非透明で、第2動作状態では透明であるようにすることができる。したがって、使用者は、シールドデバイスの状態、つまり第1動作状態または第2動作状態を容易に識別することができる。
【0011】
シールドデバイスはシールド装置を有するものであってもよく、このシールド装置は、サーモクロミック特性、エレクトロクロミック特性及び/またはフォトクロミック特性を有するガラスまたはフィルムで形成され、シールド装置で窓の窓面を覆うようにすることができる。シールド装置は、窓の窓面が全体に覆われるように構成するのが好ましい。一般的には、窓の窓面の部分的に覆って、窓面にシールドデバイスが窓に形成または配置されていない領域をなくすことも可能である。シールド装置は、サーモクロミック特性、エレクトロクロミック特性及び/またはフォトクロミック特性を有するように構成されたガラスまたはフィルムで特に容易に製造できる。一般に、シールド装置は複数のガラスまたはフィルムを有する構成にすることも可能であり、これらのガラスまたはフィルムは、必要に応じて、異なる特性、したがって異なる放射線の遮蔽効果を有するようにしてもよい。したがって、望ましくない物理的な影響を個々の必要性に合わせて遮蔽することができる。さらに、試験シーケンスを介して、例えば試験空間の温度を介して、遮蔽効果に間接的に影響を与えることも可能である。
【0012】
ガラスまたはフィルムは、液晶技術を用いて製造することができ、第1動作状態または第2動作状態に電気的に切り換え可能である。この目的のために、ガラスまたはフィルムは、窓のペインに、好ましくは周囲側に位置するペインに貼り付ける(固定する)ことができる。例えば、電圧の極を反転させることで、容易に第1動作状態と第2動作状態にすることができる。窓に当たる熱放射は、第2動作状態において反射及び/または吸収することができる。
【0013】
窓はドア要素または壁に受け入れられるようにすることができ、窓は複数の外側ペインとその間に介在する少なくとも1つの内側ペインを有する。窓は、断熱ガラス窓として知られているものであってもよいし、マルチペイン(多重ペイン)の断熱ガラスを有するものであってもよい。さらに、窓のガラスペインにはコーティングを施すこともできる。シールドデバイスは窓の外側ペインに貼り付けるのが好ましい。シールドデバイスは、1枚の外側ペインと介在するペインとの間に配置することができる。そのことにより、シールドデバイスを窓の内部に配置することができる。
【0014】
制御デバイスは、スクリーン及び操作要素を有する操作装置を有してもよく、温度及び/または空気湿度を測定するための測定デバイスを有してもよい。操作装置は、制御デバイスを手動で操作するように構成できる。操作装置のスクリーンにより、例えば最新の測定値または選択された動作状態を表示することができる。操作要素は、スイッチまたはタッチスクリーンによって形成できる。測定デバイスは、試験空間内の温度及び/または空気湿度を測定することができ、あるいはそれらを試験材料で直接測定することができる。
【0015】
試験室は、試験空間内の空気の相対空度を10%から98%の範囲に設定するために加湿デバイスを有するようにしてもよい。加湿デバイスは、有利には、試験空間内に特定の気候条件を作り出すために、温度制御デバイスとともに使用するとよい。
【0016】
冷却装置は、冷媒、試験空間内に配置される熱交換器、圧縮機、凝縮器、及び膨張要素を備えた冷却サイクルを有するように構成できる。したがって、冷却装置は圧縮式冷凍機を有するように構成できる。
【0017】
特に人工気候室などの空気調和用の試験室を制御するための本発明に係る方法では、試験室の断熱された試験空間内に試験材料が配置され、試験空間が壁によって周囲に対して区画され且つドア要素を用いて閉鎖可能であり、試験室の制御デバイスが試験室の機能を制御し、試験室の温度制御デバイスが試験空間の温度を制御して、温度制御デバイスの冷却装置及び加熱装置によって試験空間内を-40℃から+180℃、好ましくは-80℃から+180℃の範囲の温度にし、試験空間は少なくとも1つの窓を有し、制御デバイスが窓のシールドデバイスを第1動作状態または第2動作状態にし、シールドデバイスにより、第1動作状態において第2動作状態よりも、窓の透過度が小さくなり、及び/または窓の吸収度が大きくなる。本発明に係る方法の利点については、デバイスの利点の説明を参照されたい。
【0018】
第1動作状態と第2動作状態との間の切り換えは制御デバイスの操作装置によって行うことができる。例えば、使用者は、操作要素を作動させることによって、対応する動作状態間の切り換えを実行することができる。使用者は、例えば観察するのために、試験シーケンス中にシールドデバイス及び/またはそのシールド効果(遮蔽効果)を解除することができる。観察後はシールドデバイスのシールド効果を再び有効化することができ、試験シーケンスをほとんど中断せずに、または周囲からの放射線の影響を受けずに継続することができる。
【0019】
第1動作状態から第2動作状態への切り換え、及び/または、ドア要素のロックもしくはロック解除は、操作装置による使用者の認識後に制御デバイスによって行うことができる。操作装置による使用者の認識により、許可された使用者のみがドア要素をロック解除及びロックすることと、第1操作状態と第2操作状態とを切り換え可能であることが保証される。また、制御デバイスは、許可された使用者のみが制御デバイスで変更できるように構成してもよい。したがって、ほぼ確実に、許可された使用者だけが試験シーケンスに干渉できるようになる。しかしながら、識別の機能は記録にも使用でき、すなわち、どの使用者が試験シーケンスに干渉できるかを記録するために制御デバイスを使用することもできる。
【0020】
第1動作状態は基本状態として選択することができ、第2動作状態への切り換えは要求に応じて行うことができる。したがって、制御デバイスは、シールドデバイスが常にまず第1動作状態になるように構成することができる。要求に応じて、例えば制御デバイスの操作装置によって第2動作状態への切り換えを行うことができる。したがって、基本状態のシールドデバイスを用いて、窓及び/または試験空間を可能な限り遮蔽することが保証される。そのため、第2動作状態中に試験シーケンスの不測の実行を防止することができる。
【0021】
制御デバイスは、制御デバイスに記憶された時間が経過した後に第2動作状態から第1動作状態に切り換えることができる。この時間は、制御デバイスにプリセットされた時間により予め特定しておくか、または時計のタイマーを用いて設定することができる。したがって、第2動作状態の時間は、その第2動作状態において切り換えが行われるときに制御デバイスによって登録でき、第1動作状態への切り換えは、記憶された時間またはプリセット時間が切れた後に行うことができる。時間は、例えば30秒、1分、2分、5分等にすることができる。この結果、シールドデバイスが第2動作状態である時間が長くなりすぎたり、または使用者が誤って第2動作状態に切り換えたり、もしくは第2動作状態から第1動作状態に誤って切り換えたりしないようにすることができる。
【0022】
制御デバイスは、第2動作状態の継続時間中にのみ試験室の試験空間の照明を点灯させることができる。第2動作状態が試験シーケンスの観察に使用される場合、観察中に試験空間が照らされることは都合がよい。試験空間の照明は、試験シーケンスに影響し得る放射エネルギをほぼ確実に放出するので、試験空間の照明を第2動作状態と組み合わせて使用または作動させることができる。これにより、試験室の操作がさらに簡単になる。
【0023】
制御デバイスは、第2動作状態の継続時間中にのみ、窓の窓枠加熱装置及び/または窓の窓領域のための窓領域加熱装置のスイッチをオンにすることができる。特に、試験シーケンスの範囲内で窓面の氷を解かすことに関して、試験シーケンスを支障なく観察できるようにするために、窓枠加熱装置及び/または窓領域加熱装置によって窓面の氷を解かすことは有利である。氷を溶かすのは第2動作状態がオンに切り換えられたときだけに必要であるため、この機能は、第2動作状態と連動して切り換えることができる。特に窓枠加熱装置及び窓領域加熱装置は熱エネルギ及び/または熱放射を放出するので、この機能及び/または装置を試験シーケンス中に実際に必要なときのみ使用すれば、試験シーケンスをさらに正確に実施することができる。
【0024】
装置の請求項1を引用する従属請求項の特徴の説明から、この方法のさらに有利な実施形態を導き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、試験空間を温度制御する温度制御デバイスを有する試験室の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、図を参照して本発明の好ましい実施形態をさらに詳細に説明する。
【0027】
図は、試験室10の試験空間11を温度制御するための温度制御デバイス(図示せず)を有する試験室10の斜視図である。試験空間11は、周囲13に対して壁12で区画され、ドア要素14を用いて閉鎖される。試験空間11の窓15はドア要素14に配置されている。窓15はシールドデバイス(図示せず)を有するように形成されている。試験室10の制御デバイス(図示せず)は、シールドデバイスを第1動作状態または第2動作状態のいずれかにするように構成され、シールドデバイスによって、第1動作状態では第2動作状態よりも、窓15の透過度が小さくなり、且つ/または窓15の吸収度が大きくなる。その結果、周囲13から窓15を通じて試験空間11に入射し得る放射エネルギを、シールドデバイスによって第1動作状態で遮蔽することができる。逆に、試験空間11から周囲13へ窓15を通じて入る可能性のある放射エネルギも遮蔽できる。第2動作状態では、この放射エネルギが少なくとも部分的に窓15を通過することが可能である限りにおいて、シールドデバイスのシールド効果を無効にできる。その後、使用者が試験空間11で試験シーケンスを観察することが可能になる。
【外国語明細書】