(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021064
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】試験室及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240207BHJP
C09K 5/04 20060101ALI20240207BHJP
C09K 5/10 20060101ALN20240207BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
C09K5/04 B ZAB
F25B1/00 396A
C09K5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023122507
(22)【出願日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】22188399
(32)【優先日】2022-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517381603
【氏名又は名称】バイス テヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァート ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】ディール フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】ハック クリスチャン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な手段を用いて試験室の効率的な運転を安全に確保できる試験室及び方法を提供する。
【解決手段】特に人工気候室などの空気調和のための試験室及び空気調和方法に関し、試験室は、試験空間と、試験空間を温度制御する温度制御装置とを有し、試験空間内に温度制御装置によって-40℃から+180℃の範囲の温度を生成可能であり、温度制御装置は、第1冷却サイクル(11)及び第2冷却サイクル(12)を有する冷却装置(10)を備え、第1冷却サイクルは、第1冷媒、第1熱交換器(13)、第1圧縮機(14)、第1凝縮器(15)及び第1膨張要素(16)を有し、第1冷媒は、炭化水素、または炭化水素で作られた混合冷媒である。第2冷却サイクルは、伝熱媒体、試験空間内の第2熱交換器(17)、及びポンプ(18)を有し、第2冷却サイクルは第1熱交換器によって第1冷却サイクルに接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に人工気候室などの空気調和のための試験室(48)であって、前記試験室は、周囲に対して閉鎖可能であり且つ試験材料を受け入れる機能を有する断熱された試験空間(50)と、前記試験空間を温度制御する温度制御装置とを有し、前記試験空間内に前記温度制御装置によって-40℃から+180℃の範囲の温度を発生させることが可能であり、前記温度制御装置は、第1冷却サイクル(11)及び第2冷却サイクル(12)を有する冷却装置(10,24,27,30,33,39,40,41,46,47)を備え、前記第1冷却サイクルは、第1冷媒、第1熱交換器(13)、第1圧縮機(14,55)、第1凝縮器(15,56)及び第1膨張要素(16)を有し、第1冷媒は炭化水素または炭化水素で作られた混合冷媒であり、
前記第2冷却サイクルは、伝熱媒体、前記試験空間内の第2熱交換器(17)及びポンプ(18)を有し、前記第2冷却サイクルが前記第1熱交換器によって前記第1冷却サイクルに接続されていることを特徴とする試験室。
【請求項2】
請求項1に記載の試験室において、
前記第1冷媒は可燃性であり、前記伝熱媒体は不燃性であることを特徴とする試験室。
【請求項3】
請求項1または2に記載の試験室において、
前記第1冷媒はフッ素化炭化水素を含まないことを特徴とする試験室。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の試験室において、
前記第2冷却サイクル(12)に前記伝熱媒体用の貯蔵装置(19)が配置されていることを特徴とする試験室。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の試験室において、
前記冷却装置(33,39,40,41,46,47)は、他の冷媒、他の圧縮機(35)、他の凝縮器(36)及び他の膨張要素(37)を有する他の冷却サイクル(34)を有し、前記他の冷却サイクルは、前記第1冷却サイクル(11)の第1凝縮器(15,56)に他の熱交換器(38)によって接続されることを特徴とする試験室。
【請求項6】
請求項5に記載の試験室において、
前記他の冷却サイクル(34)は、第3熱交換器(43)及び第3膨張要素(44)を有する他のバイパス(42)を有し、前記他のバイパスは、前記他の凝縮器(36)の下流側且つ前記他の膨張要素(37)の上流側と、前記他の熱交換器(38)の下流側且つ前記他の圧縮機(35)の上流側とに接続され、前記第3膨張要素を介してより多くの冷媒を前記他の熱交換器に供給することができ、前記第2冷却サイクル(12)が前記他の冷却サイクルの第3熱交換器に接続されることを特徴とする試験室。
【請求項7】
請求項6に記載の試験室において、、
前記第3熱交換器(43)が、前記第2冷却サイクル(12)において前記第1熱交換器(11)の下流側且つ前記第2熱交換器(17)の上流側に接続されている試験室。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の試験室において、
第1バイパス(31)は、前記第1冷却サイクル(11)に少なくとも1つの第1電磁弁(32)を有するように構成され、前記第1バイパスは、前記第1圧縮機(14,55)の下流側且つ前記第1凝縮器(15,56)の上流側と、前記第1膨張要素(16)の下流側且つ前記第1熱交換器(13)の上流側とに接続され、前記第1熱交換器における前記第1冷媒の温度を前記第1電磁弁により上昇させるように前記第1冷媒を供給できることを特徴とする試験室。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の試験室において、
前記温度制御装置は、ヒータと熱交換器とを有する加熱装置を備えていることを特徴とする試験室。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の試験室において、
前記温度制御装置は、前記第2冷却サイクルに少なくとも1つの温度センサを有する調節器を備え、少なくとも1つの弁装置(20,25,28)は、測定された温度の作用で前記調節器によって前記第2冷却サイクルにおいて作動することができる試験室。
【請求項11】
請求項10に記載の試験室において、
前記第2冷却サイクル(12)は、前記弁装置(20,25,28)を有する第2バイパス(21)を有し、前記第2バイパスは、前記第1熱交換器(13)の下流側且つ前記第2熱交換器(17)の上流側と、前記第2熱交換器の下流側且つ前記ポンプ(18)の上流側とに接続され、前記伝熱媒体は、前記第2バイパスで前記第2熱交換器をバイパスする
ことができるように、前記弁装置を介して供給できる試験室。
【請求項12】
請求項10または11に記載の試験室において、
前記弁装置(20,25)は、前記第1熱交換器(13)の下流側且つ前記第2熱交換器(17)の上流側に第2電磁弁(22)を有し、前記第2バイパス(21)に他の電磁弁(23)または差圧調節器(26)を有することを特徴とする請求項10または11に記載の試験室。
【請求項13】
請求項10または11に記載の試験室において、
前記弁装置(28)は、前記第2冷却サイクル(12)において前記第2熱交換器(17)の下流側且つ前記ポンプ(18)の上流側に配置される三方弁(29)を有するように形成され、前記第2バイパス(21)が前記三方弁に接続されることを特徴とする試験室。
【請求項14】
請求項1から3のいずれか1項に記載の試験室において、
前記試験室(48)は、少なくとも1つのガスセンサ(58)を有する検知器と、前記試験空間(50)から気密状態で隔てられた試験室の機関室(51)内の換気設備(59)とを備え、前記第1冷却サイクル(11)と好ましくは他の冷却サイクル(34)の全体が機関室内に配置されている試験室。
【請求項15】
特に人工気候室などの試験室(48)の断熱された試験空間(50)内の空気調和をする方法であって、前記試験空間は、周囲に対して閉鎖可能であり且つ試験材料を受け入れる機能を有し、前記試験室の温度制御装置によって前記試験空間内に-40℃から+180℃の範囲の温度が生成され、前記試験空間内の温度は第1冷却サイクル(11)及び第2冷却サイクル(12)を有する温度制御装置の冷却装置(10,24,27,30,33,39,40,41,46,47)によって生成され、前記第1冷却サイクルは、第1冷媒、第1熱交換器(13)、第1圧縮機(14,55)、第1凝縮器(15,56)及び第1膨張要素(16)を有し、第1冷媒は炭化水素または炭化水素で作られた混合冷媒であり、
前記第2冷却サイクルは、伝熱媒体、前記試験空間内の第2熱交換器(17)、及びポンプ(18)で構成され、前記第2冷却サイクルが前記第1熱交換器によって前記第1冷却サイクルに接続され、前記伝熱媒体が前記ポンプによって前記第2冷却サイクル内を循環することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記伝熱媒体は、相変化せずに前記第2冷却サイクル(12)を循環することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載の方法において、
前記第2冷却サイクルに少なくとも1つの温度センサを有する温度制御装置の調節器によって、弁装置(20,25,28)が測定温度の作用で前記第2冷却サイクル(12)において作動し、前記伝熱媒体が前記第2冷却サイクルにおいて前記弁装置によって前記第2熱交換器(17)及び/または第2バイパス(21)を通って循環することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記伝熱媒体は、前記伝熱媒体の目標温度に達するまでは前記第2バイパス(21)を通って循環し、前記伝熱媒体は目標温度に達すると前記第2熱交換器(17)を通って循環することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17または18に記載の方法において、
前記ポンプ(18)の回転速度が前記調節器によって調節されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか1項に記載の方法において、
前記伝熱媒体の目標温度に達すると、前記第1圧縮機(14,55)が前記調節器によってオフに切り換えられ、前記伝熱媒体が前記伝熱媒体用の貯蔵装置(19)を介して前記第2冷却サイクル(12)及び前記第2熱交換器(17)を循環し、及び/または、前記第2冷却サイクルが、他の冷却サイクル(34)の第3熱交換器(43)、他の冷媒、他の圧縮機(35)、他の凝縮器(36)、及び第3膨張要素(44)に接続され、前記伝熱媒体が前記第3熱交換器によって冷却されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項15から20のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1冷媒は、前記第1圧縮機(14,55)の下流側且つ前記第1凝縮器(15,56)の上流側と、前記第1膨張要素(16)の下流側且つ前記第1熱交換器(13)の上流側とに接続された、少なくとも1つの第1電磁弁を有する前記第1冷却サイクル(11)の第1バイパス(31)により、前記第1熱交換器において前記第1冷媒の温度が上昇するように、前記第1電磁弁(32)を通過することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和のための方法及び特に人工気候室などの空気調和のための試験室に関し、試験室は、周囲に対して閉鎖可能であり且つ試験材料を受け入れるための断熱された試験空間と、試験空間を温度制御するための温度制御装置とを備え、温度制御装置によって試験空間内に-40℃から+180℃の範囲の温度を発生させることができ、温度制御装置は、第1冷却サイクルと第2冷却サイクルとを有する冷却装置を有し、第1冷却サイクルは、第1冷媒、第1熱交換器、第1圧縮機、第1凝縮器、及び第1膨張要素を有し、第1冷媒は、炭化水素または炭化水素で作られた混合冷媒である。
【背景技術】
【0002】
この種の試験室は、一般に、対象物、特に装置(デバイス)の物理的特性及び/または化学的特性を観測するために使用される。そのため、-40℃から+180℃までの範囲の温度を設定できる温度試験用の入出力装置(コンソール)または気候試験用の入出力装置が知られている。気候試験用の入出力装置では、さらに所望の気候条件を設定でき、装置及び/または試験材料は所定の期間にわたってその条件にさらされる。試験材料を受け入れる試験空間の温度は、通常は試験空間内の循環空気流路で調整される。循環空気流路は試験空間内に空気処理空間を形成し、この空気処理空間内に、循環空気流路及び/または試験空間を流れる空気を加熱または冷却するための熱交換器が配置される。これに関し、試験空間に存在する空気をファンが吸引し、循環空気流路内で対応の熱交換器へ導く。試験材料の温度はこのようにして調整することができ、所定の温度変化をさせることもできる。試験のインターバルの間には、温度は例えば試験室の最高温度と最低温度の間で変化し得る。この種の試験室は、例えば特許文献1により知られている。
【0003】
冷却サイクルで用いる冷媒は、放出される時に冷媒によって周囲へ間接的に影響が与えられるのを避けるために、CO2量を相対的に少なくすべきであり、言い換えると相対的な温室効果の可能性ないし地球温暖化係数(GWP)を可能な限り小さくすべきである。冷媒として炭化水素を用いることも知られているが、炭化水素は引火性である点が不利である。引火性は、熱を放出しながら周囲の酸素と反応する冷媒特性であると分かっている。冷媒は、優先日において有効なバージョンの欧州規格DN2またはDIN378の分類A2,A2L、及びA3による分類Cの火災に該当する場合に、特に引火性を有する。引火性の冷媒を用いる場合、冷却サイクル及び/または試験室の中身、輸送及び運転が、維持すべき安全対策のためにより複雑になる。また、引火性の冷媒を使用することの結果として積極的な対策が必要になるため、試験室の製造に、より多くのコストを要する可能性がある。電気抵抗ヒータ及び電気的に作動する装置が試験材料として存在する試験空間内において、冷却サイクルで漏れのおそれがあることは大きな問題である。漏れが発生した場合、破裂が生じる可能性がある。
【0004】
法令の定めによれば、冷媒は大気中のオゾン層破壊または地球温暖化に大きく寄与してはならない。そのため、基本的にフッ化ガスやフッ化された物質でないものを冷媒として使用すべきであり、そのために二酸化炭素(CO2)などの自然冷媒が検討されている。低GWPの冷媒の欠点は、これらの冷媒が、冷却サイクルに関係する温度範囲において、比較的高GWPの冷媒と比べて、冷却能力が部分的には著しく低いことである。より低いGWPは、二酸化炭素の質量分率が比較的大きな混合冷媒で実現でき、これらの混合冷媒は異なる物質同士が混合されるために非共沸性を有するが、このことは殆どの冷却サイクルにおいて望ましくない。さらに、二酸化炭素の割合は十分に大きくて冷媒が不燃性でなければならない。特許文献2によれば、基本的に二酸化炭素、ペンタフルオロエタン及びジフルオロメタンからなる冷媒を用いる試験室が知られている。この場合、特に低温を実現するためには冷却サイクルの内部熱交換器による冷媒の過冷却が必要であるという不利な点がある。また、冷媒は非共沸性を有し、成分としてフッ化ガスを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0344397号明細書
【特許文献2】国際公開第2019/048250号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、試験室及び試験室による空気調和方法であって、簡単な手段を用いて試験室の効率的な運転を安全に確保できる試験室及び方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する試験室及び請求項15の特徴を有する方法によって達成される。
【0008】
特に人工気候室などの、空気調和のための本発明による試験室は、周囲に対して閉鎖可能であり且つ試験材料を受け入れる機能を有する断熱された試験空間と、試験空間を温度制御する温度制御装置とを有し、試験空間内に温度制御装置によって-40℃から+180℃、好ましくは-60℃から+180℃、特に好ましくは-80℃から+180℃の範囲の温度を発生させることが可能であり、温度制御装置は、第1冷却サイクル及び第2冷却サイクルを有する冷却装置を備え、第1冷却サイクルは、第1冷媒、第1熱交換器、第1圧縮機、第1凝縮器及び第1膨張要素を有し、第1冷媒は、炭化水素または炭化水素で作られた混合冷媒であり、第2冷却サイクルは、伝熱媒体、試験空間内の第2熱交換器及びポンプで作られ、第2冷却サイクルが第1熱交換器によって第1冷却サイクルに接続されている。
【0009】
したがって、冷却装置は2段冷却設備の態様で構成できるが、第2冷却サイクルでは冷媒の代わりに伝熱媒体が使用され、圧縮機の代わりにポンプが使用される。概して伝熱媒体はポンプによって第2冷却サイクルで循環させるものであり、これに関連して伝熱媒体は第1冷却サイクルの第1熱交換器も流れる。第1熱交換器では伝熱媒体が冷却され、このことにより、第1熱交換器で生じる冷却性能を、試験空間にある第2熱交換器に伝熱媒体を介して移すか、または伝えることができる。さらに、第1熱交換器は、炭化水素である冷媒、または炭化水素と場合によっては他の成分からなる混合冷媒を用いて運転される第1冷却サイクルにより冷却される。第1熱交換器及び/または熱交換器は、プレート熱交換器、特に二重壁のプレート熱交換器にすることができる。冷却装置のこの構造上の構成、特に第2熱交換器が試験空間内にあることにより、第1冷媒が試験空間内で漏れるのを防止できる。したがって、冷媒が第2冷却サイクルから試験空間に侵入した結果として破裂または事故が発生するのを防ぐことができる。それでもなお、第1冷却サイクルで用いる冷媒として、炭化水素または炭化水素からなる混合冷媒を使用することも可能である。このため、冷媒を共沸冷媒にすることができる。さらに、GWPが小さく、第1熱交換器、ひいては第2熱交換器において低温を実現できる冷媒を選択することができる。また、第2冷却サイクルでは、冷媒の場合に要求されるような特定の圧力が必要とされないため、第2冷却サイクルを簡単な手段で形成できる。第2冷却サイクルでは、ポンプを用いて伝熱媒体を循環させることのみが可能であればよい。全般的に見て、冷却装置及び/または試験室は、このようにして炭化水素を冷媒として用いることができ、同時に試験空間で破裂するおそれなく安全に運転することができる。
【0010】
したがって、第1冷媒を可燃性にして伝熱媒体を不燃性にすることができる。第1冷媒は、第1冷却サイクル内で気相及び/または液相で存在し得る。例えば、第1冷媒は、プロパン、エタン、エチレン、プロペン、イソブテン、ブタン等にすることができる。また、第1冷媒は、炭化水素及び/または前記の成分からなる混合冷媒、または炭化水素が大部分の混合冷媒にすることもできる。伝熱媒体は、気相または好ましくは液相で存在することができ、第2冷却サイクルを相変化せずに、及び/または圧力変化せずに循環するようにしてもよい。伝熱媒体の相変化は可能であるが、圧縮機、凝縮器及び膨張要素を有する冷凍機の場合のように、相変化は第2冷却サイクルの結果としては生じない。この相変化は、例えば、伝熱媒体の圧力とは関係なく、伝熱媒体の温度の作用で生じ得る。伝熱媒体は、-40℃から+180℃、好ましくは-70℃から+200℃、特に好ましくは-85℃から+230℃の範囲の温度で第2冷却サイクルを循環できる。伝熱媒体は、例えば、オイル、サーマルオイル、溶融塩にすることができる。この種の伝熱媒体が試験空間に入ると、伝熱媒体は結果として発火することができないため、破裂は起こり得ない。
【0011】
第1冷媒は、フッ素化炭化水素を含まないものにすることができる。このことにより、冷媒に対する今後の要求を満たることができ、フッ素化炭化水素の欠点を回避することができる。
【0012】
第2冷却サイクルには伝熱媒体の貯蔵装置を配置することができる。貯蔵装置は、例えば、ポンプのすぐ上流側に配置されるタンクにすることができる。貯蔵装置は、ポンプに伝熱媒体を常に供給することを保証できる。また、貯蔵装置は、伝熱媒体の熱膨張を補うためのある種の補正容器として機能することができる。さらに、貯蔵装置には比較的多量の伝熱媒体を貯蔵できる。このことは、-20℃から+40℃の間の温度が要求される場合に特に有利である。第1冷却サイクルにより、まず伝熱媒体が所望の温度にされ、及び/または冷却されて貯蔵装置内に貯蔵される。ポンプまたは例えば弁により、第2熱交換器を通して試験空間に所望の温度を発生させるように、伝熱媒体を貯蔵装置から供給してもよい。第1冷却サイクル及び/または第1圧縮機のスイッチをオフにすることもでき、これにより第1圧縮機の連続運転のためにエネルギを節約できる。第1圧縮機は、比較的長いインターバルでオンとオフを切り換えてもよく、それによって第1圧縮機の耐用年数を延ばすことができる。
【0013】
冷却装置は、他の冷媒、他の圧縮機、他の凝縮器、及び他の膨張要素を有する他の冷却サイクルを有するようにしてもよく、この他の冷却サイクルは、第1冷却サイクルの第1凝縮器に他の熱交換器によって接続することができる。そうすると、他の冷却サイクルは第1凝縮器を冷却することができる。その結果、冷却装置は、カスケード冷却サイクルを有する2段冷却装置として構成できる。他の冷媒は、第1冷媒と一致するものでもよいし、第1冷媒とは異なるものでもよい。それであっても、他の冷媒は炭化水素または炭化水素からなる混合冷媒にすることができる。したがって、試験空間において特に低い温度を発生させることも可能である。他の圧縮機は第1圧縮機と同様の圧縮機にすることができる。
【0014】
他方の冷却サイクルは、第3熱交換器及び第3膨張要素を有する他のバイパスを有するようにすることができ、この他のバイパスは、他の凝縮器の下流側且つ他の膨張要素の上流側と、他の熱交換器の下流側且つ他の圧縮機の上流側とに接続され、第3膨張要素を介してより多くの冷媒を他の熱交換器に供給することができ、第2冷却サイクルは他の冷却サイクルの第3熱交換器に接続することができる。この他のバイパスにより、他の冷却サイクルを第3熱交換器を介して第2冷却サイクルに直接接続できる。これにより、試験空間の要求温度に応じて、第1冷却サイクル及び/または第1圧縮機を、他の冷却サイクル及び他の圧縮機と共に作動させるか、または他の冷却サイクルを他の圧縮機のみと共に作動させて他のバイパスを介して伝熱媒体を冷却することが可能になる。このことは他の冷却サイクルを用いて実現可能な温度を試験空間で発生させる場合に特に有利である。したがって、第1圧縮機を運転するためのエネルギを節約することができる。試験空間においてより低い温度が必要な場合は第3膨張要素を閉じることができ、そうすると他のバイパスを介して冷媒が流れることはない。それにもかかわらず、他の膨張要素は、第1圧縮機の運転が継続されている間に、他の伝熱媒体を介して第1冷却サイクルの第1凝縮器を冷却するのに用いることができる。第1熱交換器では、著しく低い温度を発生させることができる。有利には、他方のバイパス、好ましくは第3熱交換器の下流側且つ他の圧縮機及び/または他の熱交換器の上流側に逆止弁を配置することができる。このことにより、他の冷却サイクルが他の膨張要素を介して運転されるときに、さらなる冷媒が第3熱交換器に戻るのを防止できる。
【0015】
第3熱交換器は、第2冷却サイクルにおいて第1熱交換器の下流側且つ第2熱交換器の上流側に接続してもよい。しかしながら、通常には第3熱交換器を第2冷却サイクルにおいて第1熱交換器の上流側且つポンプの下流側に接続することも可能である。
【0016】
第1バイパスは、第1冷却サイクルに少なくとも1つの第1電磁弁を有するように構成することができ、第1バイパスは、第1圧縮機の下流側且つ第1凝縮器の上流側と、第1膨張要素の下流側且つ第1熱交換器の上流側とに接続することができ、第1熱交換器における第1冷媒の温度を第1電磁弁により上昇させるように第1冷媒を供給することができる。この第1バイパスにより、第1熱交換器により伝熱媒体を加熱することが可能となり、必要なときに試験空間の温度を上昇させることができる。第1圧縮機の運転時には、第1圧縮機の下流側の第1熱交換器に第1電磁弁を介してホットガスを直接導入することができる。例えば伝熱媒体を+90℃に加熱することができる。このことにより、例えば+50℃から+80℃での定常運転時のような低負荷の範囲で、第2熱交換器において温度の均一性をより高めるとともに時間的な調節精度をより高めることができる。
【0017】
さらに、温度制御装置は、ヒータと熱交換器とを有する加熱装置を有してもよい。そして、この熱交換器は試験空間内に配置することができる。例えば、この熱交換器は電気加熱要素を有することができる。こうすることにより、試験空間内に+180℃またはそれより高い温度を発生させることが可能となる。
【0018】
温度制御装置は、第2冷却サイクルに少なくとも1つの温度センサを有する調節器を備えるようにすることができ、少なくとも1つの弁装置は、測定された温度の作用で調節器によって第2冷却サイクルにおいて作動することができる。弁装置は、試験空間において所望の温度が達成されるように、または目標温度が達成されるように、第2冷却サイクルにおける伝熱媒体の循環を調節するために用いることができる。温度センサは試験空間に配置することができる。同様に、伝熱媒体及び冷媒の温度を測定可能にする追加の温度センサを設けてもよい。
【0019】
第2冷却サイクルは、弁装置を有する第2バイパスを有するようにすることができ、第2バイパスは、第1熱交換器の下流側且つ第2熱交換器の上流側と、第2熱交換器の下流側且つポンプの上流側とに接続することができ、伝熱媒体は、第2バイパスで第2熱交換器をバイパスする(橋渡しする)ことができるように弁装置を介して供給できる。伝熱媒体は、第2バイパスを流れるときには第2熱交換器を流れることができない。したがって、伝熱媒体が所望の温度になるように、まず伝熱媒体を第1冷却サイクルにより十分に冷却することができる。その後、伝熱媒体を弁装置により第2熱交換器に供給し、そのときにだけ試験空間を冷却できるようにすることができる。
【0020】
この目的のために、弁装置は、第1熱交換器の下流側且つ第2熱交換器の上流側に第2電磁弁を有し、第2バイパスに他の電磁弁または差圧調節器を有するようにすることができる。第2電磁弁と他の電磁弁は、時計方式で作動させることができ、第2熱交換器で常に所望の温度を発生させることができる。あるいは、他の電磁弁の代わりに固定して設けられた差圧調節器を第2バイパスに用いることもできる。差圧調節器は、この差圧調節器による圧力降下が、第2熱交換器による圧力降下よりも大きくなるように設けることができる。このことにより、第2電磁弁が閉じている場合は大部分が差圧調節器を通って流れる。したがって、有利なことに、他の電磁弁またはその制御はもはや必要でなくなる。
【0021】
あるいは、弁装置は、第2冷却サイクルにおいて第2熱交換器の下流側且つポンプの上流側に配置される三方弁を有するように形成することができ、第2バイパスをその三方弁に接続することができる。この三方弁により、第2熱交換器は供給を最適化でき、三方弁が完全に閉鎖されないために高い調節精度を実現できる。三方弁は、ステッピングモータ弁により制御でき、その結果、負荷状態に応じて第2バイパスと第2熱交換器との質量流量の関係を最適に調節することができる。
【0022】
試験室は、少なくとも1つのガスセンサを有する検知器と、試験空間から気密状態で隔てられた試験室の機関室内の換気設備とを備えるようにすることができ、第1冷却サイクルと好ましくは他の冷却サイクルの全体を機関室に配置することができる。検知器を使用すると、第1冷却サイクル及び/または他の冷却サイクルに漏れが発生した場合に、ガスセンサにより漏れを特定し、換気設備によって機関室を換気することが可能になる。第1冷却サイクル及び選択的に他の冷却サイクルの全体を機関室内に配置できるため、第1冷媒または他の冷媒を機関室だけに入れることができる。ガスセンサを機関室内で可能な限り低い位置に配置でき、生じる可能性のある炭化水素または冷媒の漏洩を可能な限り早く検出できる。機関室内の漏洩冷媒の蒸発を阻止するために、機関室に設けることのできる開口部をガスセンサの上方に、例えばガスセンサの10cm上方に形成することができる。このことにより、密度が大きいために機関室の底部に自然に溜まる漏洩炭化水素を、ガスセンサで安全に検出できる。さらに、換気設備を機関室の底部に直接配置することもできる。換気設備は、ATEX(欧州の防爆規格)認証ファンで形成することができる。ガスセンサが炭化水素を検出するとファンを作動させることができる。ファンの通気管は、試験室の機関室の外に延ばすことができる。
【0023】
特に人工気候室などの断熱された試験空間内の空気調和をする方法において、試験空間は、周囲に対して閉鎖可能であり且つ試験材料を受け入れる機能を有し、試験室の温度制御装置によって試験空間内に-40℃から+180℃の範囲の温度が生成され、試験空間内の温度は第1冷却サイクル及び第2冷却サイクルを有する温度制御装置の冷却装置によって生成され、第1冷却サイクルは、第1冷媒、第1熱交換器、第1圧縮機、第1凝縮器、及び第1膨張要素を有し、第1冷媒は、炭化水素または炭化水素で作られた混合冷媒であり、第2冷却サイクルは、伝熱媒体、試験空間内の第2熱交換器、及びポンプで構成され、第2冷却サイクルが第1熱交換器によって第1冷却サイクルに接続され、伝熱媒体がポンプによって第2冷却サイクル内で循環する。本発明に係る方法の有利な効果については、本発明に係る試験室の効果の説明を参照されたい。
【0024】
伝熱媒体は、相変化せずに第2冷却サイクルを循環することができる。したがって、伝熱媒体の圧力は、第2冷却サイクル内で基本的に一定であり、第2冷却サイクルにおいて流動抵抗及び/または熱膨張によってのみ変化し得る。
【0025】
第2冷却サイクルに少なくとも1つの温度センサを用いる温度制御装置の調節器によって、弁装置が測定温度の作用で第2冷却サイクルにおいて作動し、伝熱媒体が第2冷却サイクルにおいて弁装置によって第2熱交換器及び/または第2バイパスを通って循環することができる。伝熱媒体は、試験空間及び/または第2熱交換器の所望の温度に応じて、第2バイパスを介して、第2熱交換器を介して、または第2バイパス及び第2熱交換器を介して、流れるかまたは循環することができる。
【0026】
伝熱媒体は、伝熱媒体の目標温度に達するまで第2バイパスを通って循環することができ、伝熱媒体は目標温度に達すると第2熱交換器を通って循環することができる。したがって、伝熱媒体が第1熱交換器と選択的に第3熱交換器を通って目標温度に達するまで、熱媒体をまずは第2バイパスを介して循環させることができる。伝熱媒体は、その後は第2熱交換器により試験空間の温度を制御するのに用いることができる。第2の段階で試験空間の温度を調整する前に、まず第1の段階で伝熱媒体の温度を調整することが必要である。そうでなければ、試験空間の温度を下げることが望まれるにもかかわらず、比較的暖かい伝熱媒体が第2熱交換器を通って流れて、最初に試験空間の温度が上昇することが起こり得る。
【0027】
ポンプの回転速度は調節器によって調節することができる。ポンプの回転速度の調節は、ポンプの定常運転における伝熱媒体の供給量を調節するために使用することができる。このことにより、試験空間の温度をより正確に調節することができる。さらに、ポンプの回転速度を低下させると、ポンプの運転に必要なエネルギも節約できる。ポンプの回転速度は、調節器によって弁装置と連動して調節することができる。例えば、弁装置により、及び/または回転速度の調節により、供給量の限界を設定できる。
【0028】
伝熱媒体の目標温度に達すると、第1圧縮機を調節器によってオフに切り換えることができ、伝熱媒体は伝熱媒体用の貯蔵装置を介して第2冷却サイクル及び第2熱交換器を循環することができ、及び/または、第2冷却サイクルを、他の冷却サイクルの第3熱交換器、他の冷媒、他の圧縮機、他の凝縮器、及び第3膨張要素に接続することができ、伝熱媒体を第3熱交換器によって冷却することができる。貯蔵装置では、より多量の伝熱流体、ひいては熱エネルギを蓄えることができる。このようにして、第1冷却サイクルと第2冷却サイクルは、伝熱媒体が比較的低い温度に達するまで、試験空間の温度要求とは無関係に長い間運転することができる。このために、第2冷却サイクルは、第2バイパスを介して伝熱媒体を循環させることができる。目標温度に達した後は、第1冷却サイクルと第2冷却サイクル、及び/または圧縮機とポンプのスイッチをオフに切り換えることができる。試験空間を新たに冷却する必要がある場合、及び/または試験空間を低温に維持する必要がある場合には、第1冷却サイクルを使用せずに第2冷却サイクルを作動させることもできる。このために、比較的低温の伝熱媒体を、ポンプによって貯蔵装置から第2熱交換器を通って循環させることができる。伝熱媒体が大きく再加熱された場合は、第2冷却サイクル及び/または伝熱媒体を新たに冷却するために、第1冷却サイクルを再び作動させることができる。それに加えて、またはその代わりに、第3熱交換器を用いる他の冷却サイクルにより伝熱媒体を冷却してもよい。このために、他の冷却サイクルを、他の熱交換器を介して第1冷却サイクルの第1凝縮器に接続することができる。有利なことに、貯蔵装置及び/または他の冷却サイクルは、試験空間内の温度が-20℃から-40℃の試験室の運転に用いることができる。第1冷却サイクルの運転は必ずしも常に必要ではないため、第1冷却サイクルの運転に必要なエネルギを節約することができる。
【0029】
第1冷媒は、第1圧縮機の下流側且つ第1凝縮器の上流側と、第1膨張要素の下流側且つ第1熱交換器の上流側とに接続された、少なくとも1つの第1電磁弁を有する第1冷却サイクルの第1バイパスにより、第1熱交換器において第1冷媒の温度が上昇するように第1電磁弁を通過させることができる。その後、伝熱媒体が第1熱交換器により加熱されるように、第1圧縮機のすぐ下流側にある第1バイパス及び第1電磁弁を介して、第1熱交換器にホットガスを供給することができる。このようにして、試験空間の温度をさらに迅速に高くすることができる。特に、この方法は、試験空間内の温度が50℃から80℃のときに効果的に用いることができる。
【0030】
この方法のさらに有利な実施形態は、方法発明の請求項1を引用する従属請求項の特徴の説明から導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、冷却装置の第1実施形態の回路図である。
【
図2】
図2は、冷却装置の第2実施形態の回路図である。
【
図3】
図3は、冷却装置の第3実施形態の回路図である。
【
図4】
図4は、冷却装置の第4実施形態の回路図である。
【
図5】
図5は、冷却装置の第5の実施形態の回路図である。
【
図6】
図6は、冷却装置の第6の実施形態の回路図である。
【
図7】
図7は、冷却装置の第7の実施形態の回路図である。
【
図8】
図8は、冷却装置の第8の実施形態の回路図である。
【
図9】
図9は、冷却装置の第9の実施形態の回路図である。
【
図10】
図10は、冷却装置の第10の実施形態の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態をさらに詳細に説明する。
【0033】
図1は、試験室(図示せず)を概略の回路図で示す。冷却装置10は、第1冷却サイクル11と第2冷却サイクル12とを有する。第1冷却サイクルは、第1冷媒と、第1熱交換器13と、第1圧縮機14と、第1凝縮器15と、第1膨張要素16とを有する。第1冷媒は、炭化水素、及び/または炭化水素で作られた混合冷媒である。第2冷却サイクル12は、伝熱媒体と、試験空間(図示せず)に配置される第2熱交換器17と、ポンプ18とを有する。さらに、第2冷却サイクル12は、貯蔵装置19と、弁装置20とを有する。弁装置20は、この例では第2バイパス21を有するように構成されている。第2バイパス21は、第1熱交換器13の下流側且つ第2熱交換器17の上流側と、第2熱交換器17の下流側且つポンプ18の上流側とで、第2冷却サイクル12に接続されている。弁装置20は、第1熱交換器13及び第2バイパス21の接続部の下流側の第2電磁弁22と、第2バイパス21にある他の電磁弁23とを有する。第1冷却サイクル11によれば、第1冷媒は、第1圧縮機14と第1凝縮器15によって、圧縮され、搬送され、冷却される。そして、第1冷媒は、第1膨張要素16によって膨張して第1熱交換器13に入り、第1熱交換器13で伝熱媒体が冷却される。この伝熱媒体は、第2冷却サイクル12においてポンプ18で搬送及び/または循環されて、試験室の調節器(図示せず)の温度の必要条件に応じて、伝熱媒体が第2熱交換器17を通って流れ、試験空間内の温度は、第2電磁弁22及び他の電磁弁23により操作及び/または低下させることができる。
【0034】
図2は冷却装置24を示し、
図1の冷却装置とは異なり、差圧調節器26を有する弁装置25が第2バイパス21に形成されている。伝熱媒体は、第2電磁弁22の開度の状態に応じて、差圧調節器26を通って、及び/または第2バイパス21を通って流れることができる。したがって、弁装置26を特に安価に製造することができる。
【0035】
図3は、
図1の冷却装置とは異なり、弁装置28を有するように構成された冷却装置27を示す。弁装置28は、三方弁29を有するように構成され、この三方弁29は、第2熱交換器17の下流側且つポンプ18及び/または貯蔵装置19の上流側で第2バイパス21に接続されている。この三方弁29により、第2熱交換器17に伝熱媒体を最適に供給できる。
【0036】
図4は、
図1の冷却装置とは異なり、第1電磁弁32を有する第1バイパス31が第1冷却サイクル11に形成された冷却装置30を示す。第1バイパス31は、圧縮機14の下流側且つ凝縮器15の上流側と、第1膨張要素16の下流側且つ第1熱交換器13の上流側とに接続されている。第1電磁弁32によって、第1熱交換器13における第1冷媒の温度が上昇するように、第1冷媒を供給できる。この目的のために、第1膨張要素16は閉鎖される。したがって、ホットガス及び/または第1冷媒は、第1圧縮機14から第1バイパス31を通って第1熱交換器13に入り、そこから再び第1圧縮機14に戻ることができる。これにより、例えば、第1熱交換器13の温度が90℃にまで達しうる。このことによって、効果的である場合には第1熱交換器14で伝熱媒体を加熱できる。
【0037】
図5は、
図1の冷却装置とは異なり、追加の冷却サイクル34を有する冷却装置33を示す。追加の冷却サイクル34は、他の冷媒、他の圧縮機35,他の圧縮機36,及び他の膨張要素37を有するように構成されている。この例において、追加の冷却サイクル34は、他の熱交換器38を介して第1冷却サイクル11に接続されている。このように、追加の熱交換器34は、第1冷却サイクル11の第1凝縮器に対応し、及び/またはその第1凝縮器の機能を満たす。冷却サイクル11と冷却サイクル34とを接続することにより、第1熱交換器13でさらに低い温度を生成することができる。
【0038】
図6は、
図5の冷却装置とは異なり、
図2の冷却装置の弁装置を有する冷却装置33を示す。
【0039】
図7は、
図5の冷却装置とは異なり、
図3の冷却装置の弁装置を有する冷却装置40を示す。
【0040】
図8は、
図5の冷却装置とは異なり、他のバイパス42を有する冷却装置41を示す。追加のバイパス42は、第3熱交換器43及び第3膨張要素44を有するように形成されている。さらに、追加のバイパス42には逆止弁42が配置されている。追加のバイパス42は、追加の凝縮器36の下流側且つ追加の膨張要素37の上流側と、追加の熱交換器38の下流側且つ追加の圧縮機35の上流側とで、追加の冷却サイクル34に接続されている。追加の膨張要素37を閉鎖すると、第3膨張要素44によって追加の熱交換器43における追加の冷媒の供給を調節できる。第3膨張要素44を閉じて追加の膨張要素37を開いたとき、第3熱交換器43における追加の冷媒の逆流を、逆止弁45によって防止できる。さらに、第2冷却サイクル12が第3熱交換器43を介して追加の冷却サイクル34に接続されている。この第3熱交換器43は、第2冷却サイクル12において、第1熱交換器13の下流側且つ第2熱交換器17の上流側に接続されている。第2熱交換器17において非常に低い温度が求められない場合、追加のバイパス42によって第1冷却サイクル11を回避して、伝熱媒体を追加の冷却サイクル34及び/または追加のバイパス42によってのみ冷却できる。
【0041】
図9は、
図8の冷却装置とは異なり、
図2に示された弁装置を有する冷却装置46を示す。
【0042】
図10は、
図8の冷却装置とは異なり、
図3に示された弁装置を有する冷却装置47を示す。
【0043】
図11及び
図12は、ケーシング49を有する試験室48の概略図であり、試験室の内部には試験空間50及び機関室51が形成されている。冷却サイクル(図示せず)の第2熱交換器52は試験空間50に配置されている。機関室51には、機関室51の換気をするための開口53,54が形成されている。さらに、第1冷却サイクル(図示せず)の第1圧縮機55及び第1凝縮器56が機関室51内に配置されている(概略的に示す)。機関室51の底部57には、検知器(図示せず)のガスセンサ58が配置されている。また、機関室51には換気設備59が設けられている。換気設備59は、ファンモータ60,ファン61及び排気管62を有する。このために、排気管62はケーシング49の外側に延びている。ガスセンサ58が機関室51内で炭化水素の漏れを検知した場合、換気設備59が作動して機関室51が換気される。
【外国語明細書】