(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021072
(43)【公開日】2024-02-15
(54)【発明の名称】車両のハッチを開けようとするユーザの意図を検知するためのシステム
(51)【国際特許分類】
E05B 81/64 20140101AFI20240207BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240207BHJP
B60R 25/20 20130101ALI20240207BHJP
【FI】
E05B81/64
E05B49/00 J
B60R25/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023125678
(22)【出願日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】2208030
(32)【優先日】2022-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】516000549
【氏名又は名称】ヴァレオ、コンフォート、アンド、ドライビング、アシスタンス
【氏名又は名称原語表記】VALEO COMFORT AND DRIVING ASSISTANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】オヌル、オグズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ、ジョキッチ
(72)【発明者】
【氏名】カウター、エス-サギール
(72)【発明者】
【氏名】エロワ、デバゼイユ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クロード、グーミー
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250JJ03
2E250JJ47
2E250LL05
2E250LL14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ハッチを開けようとするユーザの意図を検知するためのシステムにおいて、誤検知や検知漏れのないシステムを提供する。
【解決手段】識別部3は、電子制御ユニット20からハッチ21を開ける意図の確認のためのリクエストを受け取って、メモリ31においてハッチ21を開ける意図を確認するコマンドの存在を検証し、コマンドが存在する場合にはコマンド信号を電子制御ユニット20に送り、コマンドが存在しない場合には、ハッチ21を開く意図を記録するための手段30を介し、ハッチ21を開く意図を確認するコマンドを開始して、ハッチ21を開ける意図を確認するコマンドに対応する信号を電子制御ユニット20に送る。電子制御ユニット20は、識別部3を認証し、ハッチ21の周囲近傍で識別部3を探し、ハッチ21を開く意図の確認のためのリクエストを識別部3に送り、ハッチ21を開く意図を確認するコマンドに対応する信号を受け取る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)のハッチ(21)を開けるユーザ(u)の意図を検知するためのシステム(Sys1)であって、前記検知システム(Sys1)は:
- (a)ハッチを開ける意図を記録するための手段(30)を含む識別部(3)であって:
- 電子制御ユニット(20)によってそれ自身を認証し、
- それが前記ハッチ(21)の周囲の近傍領域(z1)に位置する場合、前記電子制御ユニット(20)からハッチを開ける意図の確認のためのリクエスト(rq1)を受け取り、
- ハッチを開ける意図の確認のための前記リクエスト(rq1)の受け取りの後に、前記識別部(3)のメモリ(31)における、ハッチを開ける意図を確認するコマンド(cd1)の存在を検証し、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)が存在する場合、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)に対応するコマンド信号(msg1)を電子制御ユニット(20)に送り、
- 前記コマンドが存在しない場合、前記識別部(3)のユーザ(u)にデータ信号(s1)を送って、ハッチを開く意図を記録するための前記手段(30)を介し、ハッチを開く意図を確認する前記コマンド(cd1)を開始し、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)が開始される場合、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)に対応するコマンド信号(msg1)を前記電子制御ユニット(20)に送る、
ように構成される識別部(3)と、
- (b)前記車両(2)に組み込まれる前記電子制御ユニット(20)であって:
- 前記識別部(3)を認証し、
- 前記ハッチ(21)の周囲の近傍領域(z1)において前記識別部(3)を探し、
- 前記識別部(3)が前記近傍領域(z1)に位置する場合、ハッチを開く意図の確認のための前記リクエスト(rq1)を前記識別部(3)に送り、
- ハッチを開く意図を確認する前記コマンド(cd1)に対応する前記コマンド信号(msg1)を受け取る、
ように構成される前記電子制御ユニット(20)と、
を備えることを特徴とする検知システム(Sys1)。
【請求項2】
前記電子制御ユニット(20)は、更に、前記コマンド信号(msg1)に応じて前記ハッチ(21)を開く又は開かないように構成される、請求項1に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項3】
ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)は、前記識別部(3)において予め記録される、請求項1又は2に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項4】
ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)は、音声メッセージ又は確認値である、請求項1~3のいずれか一項に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項5】
前記コマンド信号(msg1)は、ハッチを開く意図を確認する前記コマンド(cd1)である、請求項4に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項6】
ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)が音声メッセージである場合、前記コマンド信号(msg1)は確認値である、請求項4に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項7】
ハッチを開ける意図を記録するための前記手段(30)は、
- マイクロフォン、又は
- アプリケーション、又は
- 少なくとも1つのボタン
である、請求項1~6のいずれか一項に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項8】
前記識別部(3)が前記ハッチ(21)の周囲の前記近傍領域(z1)に入る場合、前記識別部(3)は、更に、前記識別部(3)のユーザ(u)に警告信号(s2)を送信するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項9】
前記電子制御ユニット(20)が前記識別部(3)からコマンド信号(msg1)を受け取らない場合、それは、更に、前記コマンド信号(msg1)を、ハッチを開ける意図を確認するネガティブコマンド(cd1)に対応するとみなすように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項10】
前記識別部(3)は、前記車両(2)ハンズフリーにアクセスするための及び/又は前記車両(2)ハンズフリーを開始するための前記車両(2)のハンズフリーアクセスの識別部である、請求項1~9のいずれか一項に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項11】
前記ハッチ(21)は、前記車両(2)のトランクの蓋又はテールゲート又はドアである、請求項1~10のいずれか一項に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項12】
前記識別部(3)は、キー、スマートフォン、又は接続されるオブジェクトである、請求項1~11のいずれか一項に記載の検知システム(Sys1)。
【請求項13】
車両(2)のための識別部(3)であって、前記識別部は、電子制御ユニット(20)と情報のやりとりをするように構成され、前記識別部(3)は、ハッチを開ける意図を記録するための手段(30)を含み:
- 前記電子制御ユニット(20)によってそれ自身を認証し、後者が車両(2)に組み込まれ、
- それが前記車両(2)のハッチ(21)の周囲の近傍領域(z1)に位置する場合、ハッチを開ける意図の確認のためのリクエスト(rq1)を前記電子制御ユニット(20)から受け取り、
- ハッチを開ける意図の確認のための前記リクエスト(rq1)の受け取りの後に、前記識別部(3)のメモリ(31)におけるハッチを開ける意図を確認するコマンド(cd1)の存在を検証し、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)が存在する場合、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)に対応するコマンド信号(msg1)を前記電子制御ユニット(20)に送り、
- 前記コマンドが存在しない場合、前記識別部(3)のユーザ(u)にデータ信号(s1)を送って、ハッチを開く意図を記録するための前記手段(30)を介し、ハッチを開く意図を確認する前記コマンド(cd1)を開始し、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)が開始される場合、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)に対応するコマンド信号(msg1)を前記電子制御ユニット(20)に送る、
ように構成される識別部(3)。
【請求項14】
識別部(3)と情報のやりとりをするように構成される電子制御ユニット(20)であって、前記電子制御ユニット(20)は車両(2)に組み込まれ:
- 前記識別部(3)を認証し、
- 前記車両(2)のハッチ(21)の周囲の近傍領域(z1)において前記識別部(3)を探し、
- 前記識別部(3)が前記ハッチ(21)の周囲の前記近傍領域(z1)に位置する場合、ハッチ(21)を開く意図の確認のためのリクエスト(rq1)を前記識別部(3)に送り、
- ハッチを開く意図を確認するコマンド(cd1)に関するコマンド信号(msg1)を前記識別部(3)から受け取る、
ように構成される電子制御ユニット(20)。
【請求項15】
車両(2)のハッチ(21)を開けるユーザ(u)の意図を検知するための方法(PR1)であって、前記車両(2)は、識別部(3)と情報のやりとりをするように構成される電子制御ユニット(20)を備え:
- 前記電子制御ユニット(20)が前記識別部(3)を認証し、
- 前記電子制御ユニット(20)が、前記ハッチ(21)の周囲の近傍領域(z1)において前記識別部(3)を探し、
- 前記識別部(3)が前記ハッチ(21)の周囲の前記近傍領域(z1)に位置する場合、前記電子制御ユニット(20)が、ハッチを開ける意図の確認のためのリクエスト(rq1)を前記識別部(3)に送り、前記識別部が、ハッチを開ける意図の確認のための前記リクエスト(rq1)を受け取り、
- ハッチを開ける意図の確認のための前記リクエスト(rq1)を受け取ると、前記識別部(3)が、前記識別部(3)のメモリ(31)におけるハッチを開ける意図を確認するコマンド(cd1)の存在を検証し、前記コマンドが存在する場合、対応するコマンド信号(msg1)を前記電子制御ユニット(20)に送り、
- 前記コマンドが存在しない場合、前記識別部(3)が、前記識別部(3)のユーザ(u)にデータ信号(s1)を送って、ハッチを開ける意図を記録するための前記手段(30)を介し、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)を開始し、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)が開始される場合、前記識別部(3)が、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンド(cd1)に対応するコマンド信号(msg1)を前記電子制御ユニット(20)に送り、
- 前記電子制御ユニット(20)が、前記コマンド信号(msg1)を受け取る、
ことを含む、検知方法(PR1)は。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のハッチを開けようとするユーザの意図を検知するためのシステムに関する。それは、特に、ただし非限定的に、動力車両に適用可能である。
【発明の概要】
【0002】
動力車両の分野では、当業者に知られている、車両のハッチを開けようとするユーザの意図を検知するための1つのシステムは、足の動きのセンサ又は「キックセンサ」などの1つ又は複数の専用の動きセンサを備える。
【0003】
この先行技術の1つの欠点は、そのような動きセンサは、最小の動きに対して非常に敏感であり、猫が通過するなどの誤った動きを検知しうるものであり、動力車両のトランクの蓋(boot lid)又はテールゲートなどのハッチを不必要に開かせることがある。そのため、これは、誤検知(false positives;猫が通過する場合)や検知漏れ(false negatives;足がセンサから離れ過ぎて通過した場合に足の通過が認識されない場合)の場合を発生させる。
【0004】
これに関連して、本発明は、上述の欠点を解消することを可能にする、車両のハッチを開けようとするユーザの意図を検知するためのシステムを提供することを目的とする。
【0005】
この目的のため、発明は、車両のハッチを開けようとするユーザの意図を検知するためのシステムであって、前記検知システムが:
- (a)ハッチを開ける意図を記録するための手段を含む識別部であって:
- 電子制御ユニットで自己認証し、
- それが前記ハッチの周囲の近傍領域に位置する場合に、前記電子制御ユニットからハッチを開ける意図の確認のリクエストを受信し、
- ハッチを開ける意図の確認のための前記リクエストの受信後に、識別部のメモリにおけるハッチを開ける意図を確認するコマンドの存在を検証し、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドが存在する場合、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドに対応するコマンド信号を電子制御ユニットに送信し、
- 前記コマンドが存在しない場合、前記識別部のユーザにデータ信号を送信して、ハッチを開ける意図を記録するための前記手段を介し、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドを開始し、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドが開始された場合、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドに対応するコマンド信号を前記電子制御ユニットに送信する、
ように構成される識別部と、
- (b)前記電子制御ユニットは、前記車両に組み込まれ:
- 前記識別部を認証し、
- 前記ハッチの周囲の近傍領域において前記識別部を探し、
- 前記識別部が前記近傍領域に位置する場合、ハッチを開ける意図の確認のための前記リクエストを前記識別部に送信し、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドに対応する前記コマンド信号を受信する、
ように前記電子制御ユニットと、
を備えることを特徴とするシステムを提供する。
【0006】
したがって、以下に詳述するように、移動検知を、識別部のメモリに記録されたハッチを開ける意図を確認するコマンドの存在の検知、又は、ハッチを開ける意図を記録するための手段を介して前記識別部のユーザによるそのようなコマンドの開始による検知に置き換えることによって、ユーザの意図を100%確認することができ、それによって誤検知及び検知漏れのケースを防止する。更に、1つ又は複数の動きセンサを取り除くことで、検知システムのコストを低減することができる。
【0007】
非限定的な実施形態によれば、車両のハッチを開けるユーザの意図を検知するための前記システムは、単独で又は技術的に可能な任意の組み合わせで実装される以下の追加機能のうちの1つ又は複数を更に含んでもよい。
【0008】
非限定的な一実施形態によれば、前記電子制御ユニットは、前記コマンド信号に応じて前記ハッチを開くように又は開かないように更に構成される。
【0009】
非限定的な一実施形態によれば、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドは、識別部に予め記録される。特に、それは識別部の前記メモリに予め記録される。
【0010】
非限定的な一実施形態によれば、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドは、音声メッセージ又は確認値である。
【0011】
非限定的な一実施形態によれば、前記コマンド信号は、ハッチを開く意図を確認する前記コマンドである。
【0012】
非限定的な一実施形態によれば、ハッチを開ける意図を確認するコマンドが音声メッセージである場合、前記コマンド信号は確認値である。
【0013】
非限定的な一実施形態によれば、ハッチを開く意図を記録するための前記手段は:
- マイクロフォン、又は
- アプリケーション、又は
- 少なくとも1つのボタン
である。
【0014】
非限定的な一実施形態によれば、前記識別部が前記ハッチの周囲の近傍領域に入ると、前記識別部は、前記識別部のユーザに警告信号を送信するように更に構成される。
【0015】
非限定的な一実施形態によれば、前記電子制御ユニットが前記識別部からコマンド信号を受信しない場合、コマンド信号を、ハッチを開く意図を確認するネガティブコマンド(a negative command)に対応するものとみなすように更に構成される。
【0016】
非限定的な一実施形態によれば、前記識別部は、前記車両のハンズフリーアクセスの識別部であって、前記車両ハンズフリーにアクセスするため及び/又は前記車両ハンズフリーを開始するための識別部である。
【0017】
非限定的な一実施形態によれば、前記ハッチは、前記車両のトランクの蓋又はテールゲート又はドアである。
【0018】
非限定的な一実施形態によれば、前記識別部は、キー、スマートフォン、又は、接続されたオブジェクトである。
【0019】
非限定的な一実施形態によれば、確認コマンドは、ポジティブ又はネガティブである。それがポジティブである場合、それはハッチを開けようとするユーザの意図を確認する。それがネガティブである場合、それはそれを開けないとする彼女又は彼の意図を確認する。
【0020】
非限定的な一実施形態によれば、近傍領域は、前記対応するハッチの周囲約1.5メートルを占める。
【0021】
非限定的な一実施形態によれば、前記データ信号は、前記識別部のインターフェースに送信される。
【0022】
非限定的な一実施形態によれば、前記電子制御ユニットは、ハッチを開ける意図の確認のためのリクエストを既に前記識別部に送信したか否かを確認するように更に構成される。
【0023】
非限定的な一実施形態によれば、前記電子制御ユニットは、更に、前記識別部をロック解除領域において探すように構成される。
【0024】
非限定的な一実施形態によれば、前記識別部が前記ロック解除領域に位置する場合、前記電子制御ユニットは、前記ハッチがロックされている場合、前記ハッチのロックを解除するように更に構成される。これにより、それはその後に開けられることができる。
【0025】
非限定的な一実施形態によれば、前記検知方法は、前記電子制御ユニットが、それが、ハッチを開ける意図の確認のための前記リクエストを前記識別部に既に送信したか否かをチェックすることを更に含む。
【0026】
車両のための識別部が更に提供され、前記識別部は、電子制御ユニットと情報のやりとりをするように構成され、前記識別部は、ハッチを開ける意図を記録するための手段を含み、前記識別部は:
- 前記電子制御ユニットによってそれ自身を認証し、後者が車両に組み込まれ、
- それが前記車両のハッチの周囲の近傍領域に位置する場合、前記電子制御ユニットから、ハッチを開ける意図の確認のためのリクエストを受信し、
- ハッチを開ける意図を確認するための前記リクエストの受信後に、前記識別部のメモリにおけるハッチを開ける意図を確認するコマンドの存在を検証し、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドが存在する場合、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドに対応するコマンド信号を電子制御ユニットに送信し、
- 前記コマンドが存在しない場合、前記識別部のユーザにデータ信号を送信して、ハッチを開ける意図を記録するための前記手段を介してハッチを開ける意図を確認する前記コマンドを開始させ、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドが開始された場合、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドに対応するコマンド信号を前記電子制御ユニットに送信する、
ように構成される。
【0027】
識別部と情報のやりとりをするように構成された電子制御ユニットが更に提供され、前記電子制御ユニットは、車両に組み込まれ:
- 前記識別部を認証し、
- 前記識別部を、前記車両のハッチの周囲の近傍領域において探し、
- 前記識別部が前記ハッチの周囲の前記近傍領域に位置する場合、前記識別部に、ハッチを開ける意図の確認のためのリクエストを送信し、
- 前記識別部から、ハッチを開ける意図を確認するコマンドに関するコマンド信号を受信する、
ように構成される。
【0028】
車両のハッチを開けるユーザの意図を検知するための方法が更に提供され、前記車両は、識別部と情報のやりとりをするように構成された電子制御ユニットを含み、前記検知方法は:
- 前記電子制御ユニットが前記識別部を認証することと、
- 前記電子制御ユニットが、前記ハッチの周囲の近傍領域において前記識別部を探すことと、
- 前記識別部が前記ハッチの周囲の前記近傍領域に位置する場合、前記電子制御ユニットが、前記識別部に、ハッチを開ける意図の確認のためのリクエストを送信し、前記識別部が、ハッチを開ける意図の確認のための前記リクエストを受信することと、
- ハッチを開ける意図の確認のための前記リクエストを受信した場合、前記識別部が、前記識別部のメモリにおけるハッチを開ける意図を確認するコマンドの存在を検証し、前記コマンドが存在する場合、対応するコマンド信号を前記電子制御ユニットに送信することと、
- 前記コマンドが存在しない場合、前記識別部が、前記識別部のユーザに対して、ハッチを開ける意図を記録するための前記手段を介して、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドを開始するためのデータ信号を送信することと、
- ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドが開始された場合、前記識別部が、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドに対応するコマンド信号を、前記電子制御ユニットに送信することと、
- 前記電子制御ユニットが前記コマンド信号を受信することと、
を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
発明及びその様々な応用は、以下の説明を読んで添付の図面を検討することで、よりよく理解され、当該添付の図面において:
【
図1】
図1は、発明の非限定的な一実施形態による、車両のハッチを開けるユーザの意図を検知するためのシステムの概略図であり、前記検知システムは、前記車両に組み込まれた電子制御ユニット及び識別部を含む。
【
図2】
図2は、非限定的な一実施形態による、
図1の前記識別部を装着/着用するユーザが車両に接近して、前記車両のハッチの周囲の近傍領域に進入することを示す。
【
図3】
図3は、非限定的な一実施形態による、音声メッセージであるハッチを開ける意図を確認するコマンドを送信する前記ユーザを示し、前記音声メッセージは、
図2の前記識別部のマイクロフォンによって受信される。
【
図4】
図4は、非限定的な一実施形態による、
図1の前記識別部とその機能、及び
図1の前記電子制御ユニットとその機能を示す。
【
図5】
図5は、非限定的な一実施形態による、車両のハッチを開けるユーザの意図を検知するための方法のフローチャートであり、前記検知方法は、
図1の検知システムによって実施される。
【
図6】
図6は、非限定的な一実施形態による、
図5の検知方法のフローチャートの残りの部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
構造上又は機能上同一であり且つ複数の図面に現れる要素は、特に断りのない限り、同一の参照符号によって示される。
【0031】
発明による、車両のハッチを開けようとするユーザの意図を検知するためのシステムSys1が、
図1~
図4を参照して説明される。それは、検知システムSys1とも呼ばれる。非限定的な一実施形態において、車両2は、動力車両である。動力車両によって意味するものは、あらゆるタイプの原動機付車両である。この実施形態は、明細書の残りの部分を通して、非限定的な例として取り上げられる。明細書の残りの部分を通じて、車両2は、したがって、動力車両2とも呼ばれる。
【0032】
動力車両2は、複数のハッチ21を含む。いくつかの非限定的な実施形態において、ハッチ21は、前記動力車両2のトランクの蓋又はテールゲート又はドアである。そのドアは横開きであってもよいし、スライドドアであってもよいし、垂直に開くサイドドアであってもよい。各ハッチ21には、当該ハッチ21に関する近傍領域z1が関連付けられている。非限定的な一実施形態において、近傍領域z1は、前記対応するハッチ21の周囲で約1.5メートルを占める。明確さのために、
図2では、トランクの蓋/テールゲートに対応する近傍領域z1のみが示される。各ハッチ21は、開かれている(
図6の参照OPN)又は閉じられている(
図6の参照CLSD)基準状態(
図2のst)を有する。
【0033】
図1に示すように、検知システムSys1は:
- 識別部3、及び
- 動力車両2に組み込まれる電子制御ユニット20、を備える。
【0034】
非限定的な一実施形態において、識別部3は、前記動力車両2ハンズフリーにアクセスするため及び/又は始動するためのハンズフリーアクセスの識別部である。したがって、識別部3はPEPSアプリケーション(PEPSはPassive Entry Passive Startの略)に使用されてもよく、PEPSアプリケーションは、動力車両2のユーザuが、前記識別部3を前記動力車両2のロック内に物理的に挿入してアンロック/ロックすることなく又は前記動力車両2のイグニッションスイッチ内に挿入してそれを始動したりすることなく、この識別部3によって動力車両2のアンロック/ロック及び始動することを可能とする。したがって、それが動力車両2に近接して位置する場合、ハッチ21はロック解除されてもよく、それが動力車両2の内側に位置する場合、動力車両2のエンジン又はモータが始動されてもよい。
【0035】
非限定的な実施形態において、前記識別部3は、スマートフォン又はキー又はワイヤレスイヤホンや更にはスマートウォッチなどの接続されたオブジェクトである。このように、スマートフォン又は接続されたオブジェクトは、動力車両2へのアクセス及び/又は動力車両2の始動のためのキーとして使用される。
【0036】
非限定的な一実施形態において、電子制御ユニット20は、すなわちECUは、BLE通信プロトコル(BLEはBluetooth Low Energyの略)を介して識別部3と通信するように構成される。この目的のために、それは、識別部3の対応するBLE通信モジュールと通信して当該識別部3の認証を行い、後述の確認リクエストrq1、確認コマンドcd1、コマンド信号msg1を通信するためのBLE通信モジュールを備える。もちろん、他の通信プロトコルが使用されてもよい。
【0037】
非限定的な一実施形態において、電子制御ユニット20は、更に:
- 前記車両2の周囲全体に設置されて前記識別部3を探す電波(RF)センサ(
図1の参照番号22)、
と情報のやりとりをするように構成される。
【0038】
非限定的な一実施形態において、これらのセンサはUWBセンサ又はBLEセンサ(UWBはUltra-Wide Bandの略)である。
【0039】
したがって非限定的な一実施形態によれば、前記識別部3は:
- 前記識別部3がスマートフォン又は接続されたオブジェクトである場合又は識別部3がキーである場合、UWB通信又はBLE通信によって、又は
- 前記識別部3がキーである場合、そして当該キーがLFトランスミッターを含む場合、低周波(LF)の無線(RF)通信によって、
によって探される。
【0040】
もちろん、他の通信プロトコルが使用されてもよい。
【0041】
無線(RF)通信は、30MHz~300GHzに含まれる周波数帯域で実施されることが思い出される。UWB通信は、3.2GHz~8.3GHzに含まれる周波数帯域で、500MHzの帯域幅で実施されることが思い出される。BLEは2.4GHzで実施されることが思い出される。
【0042】
UWBセンサは、UWB通信モジュール及びUWBアンテナを含むことに留意される。同様に、RFセンサは、RF通信モジュール及びRFアンテナを含む。UWBセンサの非限定的な例は、明細書の残りの部分を通じて、例として取り上げられる。
【0043】
様々なUWB通信プロトコル、RF通信プロトコル、及びLF通信プロトコルを採用する様々な位置特定技術が当技術分野で知られているため、それらはここでは説明されない。非限定的な一実施形態において、その位置特定プロセスは定期的に実施される。非限定的な一例では、位置特定プロセスは1秒ごとに行われる。したがって、これにより、識別部3(ひいてはそのユーザu)が例えば所定領域z1から離れた後に戻ってきたかどうかを、検知することが可能である。
【0044】
以下に、識別部3がより詳細に説明される。
【0045】
図1に示すように、識別部3は、ハッチ30を開ける意図を記録するための手段を含み、当該手段は記録手段とも呼ばれる。いくつかの非限定的な実施形態において、前記記録手段30は:
- マイクロフォン、又は
- 専用アプリケーション、又は
- 少なくとも1つの専用ボタン
である。
【0046】
したがって、識別部3がキーである場合に、前記記録手段30は、所定のハッチ21に専用の1つのボタン又は複数のボタンである。したがって、識別部3がスマートフォンや接続されたオブジェクトである場合、前記記録手段30は、アプリケーション又はマイクロフォンである。非限定的な一例において、アプリケーションは、チェックされる1つ又は複数のボックスを含み、これらのボックスの各々は、1つのハッチ21に専用であり、それによってユーザuは、彼女又は彼がハッチ21の近傍領域z1に位置する場合に当該ハッチ21を開けたいかを示す。
【0047】
図1に示すように、識別部3はメモリ31を更に備え、当該メモリ31には、ハッチcd1を開ける意図を確認するコマンド、確認コマンドcd1とも呼ばれるコマンド、が格納されてもよい。これは、ユーザuがハッチ21の近傍領域z1に入る前に、この確認コマンドcd1が予め記録されていることを意味する。
【0048】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、確認コマンドcd1は、音声メッセージ又は確認値である。したがって、記録手段30がマイクロフォンである場合、確認コマンドcd1は音声メッセージであり、その一方で記録手段30がアプリケーション又は少なくとも1つのボタンである場合、確認コマンドcd1は確認値である。
【0049】
確認コマンドcd1は:
- 車両2のハッチ21を開けるというユーザの意図の確認に関する、又は
- 車両2のハッチ21を開けないというユーザの意図の確認に関する、
ことに留意される。
【0050】
したがって、確認コマンドcd1は、ポジティブ(positive)(開くことが望まれる)又はネガティブ(negative)(開くことが望まれない)であってもよい。それはハッチ21を開けようとするユーザuの意図を確認し、又は、それは、それを開けないとする、つまりそれを閉じたままにする、という彼女又は彼の意図を確認する。
【0051】
したがって、非限定的な一例において、音声メッセージは、「開けゴマ」又は「開くなゴマ(don’t open sesame)」である。
【0052】
したがって、非限定的な一例において、確認値は、開くことの確認に関しては1に等しくてもよく、開かないことの確認に関して0に等しくてもよい。ユーザuがアプリケーションを使用してハッチ21を開く彼女又は彼の意図を確認する場合、彼女又は彼は、例えば、アプリケーションにおけるボックスにチェックを入れて、彼女又は彼の意図を確認したと言い、これは確認値を1に設定する。彼女又は彼がこのボックスにチェックを入れない場合、これは、彼女又は彼がハッチ12を開けない彼女又は彼の意図を確認すること、つまり彼女又は彼がハッチ21を閉じたままにしておきたいということ、を意味する。アプリケーションは2つのボックスを含んでもよく、一方はポジティブ確認用であり、他方はネガティブ確認用である。ユーザuがハッチ21を開く彼女又は彼の意図を確認するためのボタンを使用する場合、彼女又は彼は、彼女又は彼が彼女又は彼の意図を確認したと言うために、ボタンを押圧し、これは確認値を1に設定する。ボタンが押圧されない場合、これは、それを「開けない」という彼女又は彼の意図を彼女又は彼が確認したことを意味し、これは確認値を0に設定する。識別部3は2つのボタンを含んでいてもよく、一方はポジティブ確認用であり、他方はネガティブ確認用である。
【0053】
非限定的な一実施形態において、様々なハッチ21間で区別するために、様々な音声メッセージが使用されてもよいし、0及び1以外の様々な値が使用されてもよい。
【0054】
非限定的な一実施形態において、識別部3は、確認コマンドcd1が音声メッセージの形態をとる場合に、確認コマンドcd1を分析するように構成された音声認識モジュール32(
図1に図示される)を含む。音声メッセージの解析は、識別部3において(その音声認識モジュール32を介して)行われ、或いは、動力車両2において行われる。後者の場合、識別部3は、音声認識モジュール31を必要としない。
【0055】
非限定的な一実施形態において、識別部3は、ユーザuに向けられるデータメッセージs1(後述される)を受信するように構成されたインターフェース33を更に備える。
【0056】
識別部3は、電子制御ユニット20によってそれ自身の認証を行うように構成される(
図4に示される関数f30(3,20,Auth))。識別部3を認証するための様々な方法が当技術分野で知られているため、ここではそれらは説明されない。
【0057】
図1に示されるように、識別部3は、更に、確認リクエストrq1とも呼ばれるハッチを開ける意図の確認のためのリクエストrq1を前記電子制御ユニット20から受信するように構成される(
図4に示される関数f31(3,20,rq1))。
【0058】
非限定的な一実施形態において、前記識別部3が前記ハッチ21の周囲の近傍領域z1に入ると、前記識別部3は、前記識別部3のユーザuに警告信号s2を送信するように更に構成される(
図4に示された関数f32(3,u,s2))。これにより、ユーザuに、彼女又は彼が近傍領域z1にいることを知らせることが可能である。いくつかの非限定的な実施形態例において、警告信号s2は、前記識別部3の振動、音声信号、それが近傍領域z1に入ろうとしていることを示す音声信号、又はスクリーン上の視覚信号などの形態をとる。したがってこれは、確認コマンドcd1がポジティブなものとして事前に記録されている場合(後述される)、ハッチ21が今は開かれうることを、ユーザuに知らせる。
【0059】
この確認リクエストrq1の受信に続いて、識別部3は、更に、ハッチを開ける意図を確認するコマンドcd1のメモリ31における存在を検証し(
図4に示す関数f34(3,31,cd1))、そのコマンドがメモリ31に存在する場合、識別部3は更に、ハッチを開ける意図を確認する前記コマンドcd1(
図4に示す関数f35(3,20,msg1(cd1))に対応するコマンド信号を前記電子制御ユニット20に送信するよう構成される。
【0060】
非限定的な一実施形態において、コマンド信号msg1は、ハッチ自体を開く意図を確認するコマンドcd1である。したがって、これは音声メッセージ又は確認値のどちらかである。例えば、音声メッセージの音声認識が動力車両2の音声認識モジュールによって行われる場合、識別部3は、音声メッセージを動力車両2の電子制御ユニット20に送信し、当該電子制御ユニット20は、それが復号されることを目的として、動力車両2の音声認識モジュールにそれを送信する。別の非限定的な実施形態において、ハッチを開ける意図を確認するコマンドcd1が音声メッセージの場合、コマンド信号msg1は確認値である。例えば、音声メッセージの音声認識が識別部3の音声認識モジュール32によって行われる場合、識別部3は、もはや音声メッセージ全体を動力車両2の電子制御ユニット20に送信することを必要とせず、したがってそれは、電子制御ユニット20に対して、前記音声メッセージに対応する確認値のみを送信する。
【0061】
非限定的な一実施形態において、確認コマンドcd1は、ユーザが近傍領域z1に入る前に、すなわち実際にはユーザが彼女又は彼の腕がいっぱいになる前に、識別部3に予め記録される。したがって、それは予めメモリ31に記憶されている。
【0062】
それが存在しない場合(すなわち確認コマンドcd1が予め記録されていない場合)、識別部3は、ハッチを開ける意図を記録するための前記手段30を介してハッチを開ける意図を確認する前記コマンドcd1を開始するために、ユーザuにデータ信号s1を送るように構成される(
図4に示される関数f36(3,u,33,s1,cd1))。データ信号s1は、インターフェース33に送られる。したがって、これは、ユーザuに、彼女又は彼がいかなる確認コマンドcd1も事前に記録していないこと思い出させ、彼女又は彼がハッチ21を開けたい場合に又はそれを閉じたままにしたい場合に、彼女又は彼が今そのような確認コマンドcd1を開始してもよいことを思い出させる。
【0063】
この確認コマンドcd1が開始された後、識別部3は電子制御ユニット20に、対応するコマンド信号msg1(上述で定められた関数f35)を送信する。
【0064】
確認コマンドcd1の開始を目的として、非限定的な一実施形態では、識別部3が、そのマイクロフォン30を作動させるように更に構成されることに留意される(
図4に示される関数f37(3,30,ON))。したがって、識別部3は、そのマイクロフォン30を介し、音声メッセージの形をとる確認コマンドcd1を受信することができる。音声メッセージは、
図3に示すように、識別部3のユーザuによって与えられる。また、前記ユーザuの横に位置する人物によって与えられてもよい。このケースは、非限定的な一例として、ユーザuが彼女又は彼の腕がふさがりすぎていて、彼女又は彼の識別部3を彼女又は彼の手に取ることができない場合に、生じうる。
【0065】
識別部3は、上述した機能を実行するための電子制御ユニット(図示せず)を含むことに留意される。
【0066】
電子制御ユニット20が、以下において、より詳細に説明される。
【0067】
電子制御ユニット20は、前記識別部3を認証するように構成される(
図4に示す関数f20(20,3,Auth))。
【0068】
電子制御ユニット20は、更に、前記動力車両2のハッチ21の周囲の近傍領域z1において前記識別部3を探すように構成される(
図4に示される関数f21(20,3,z1,IN))。
【0069】
図2は、前記識別部3を装着/着用して動力車両2に接近するユーザuを示す。彼女又は彼が位置p1にいる場合、識別部3は、ハッチ21の近傍領域z1の外側に位置している。ユーザuが動力車両2に近づき、ハッチ21(位置p2)、ここでは動力車両2のトランクの蓋又はテールゲートに関連する近傍領域z1に入る場合、電子制御ユニット20は、この与えられた非限定的な例ではUWBセンサによって、この近傍領域z1においてそれを探す。
【0070】
前記識別部3が近傍領域z1に位置する場合、前記電子制御ユニット20は、前記識別部3が近傍領域z1に入る場合に、ハッチを開ける意図を確認するためのリクエストrq1を前記識別部3に送るように更に構成される(
図4に示される関数f23(20,3,rq1))。したがって、この確認リクエストrq1は、識別部3が近傍領域z1内に入るとすぐに送信される。非限定的な一実施形態において、電子制御ユニット20は、更に、それが前もってそのような確認リクエストrq1を前記識別部3に送信したかどうかをチェックするように構成される(
図4に示される関数f24(20,rq1))。肯定の場合、それはそれを再送信しない。識別部3が近傍領域z1において繰り返し検知される場合、これは、その都度確認リクエストrq1が送信されることを防ぐ。
【0071】
電子制御ユニット20は、更に、ユーザuによって開始された又は予め記録された前記確認コマンドcd1に対応するコマンド信号msg1を前記識別部3から受信するように構成される(
図4に示される関数f25(20,3,msg1(cd1))。したがって、電子制御ユニット20は、確認コマンドcd1に対応するコマンド信号msg1の解析によって、トランクの蓋21を開く又は閉じたままにするユーザuの意図を知ることができ、それがポジティブであるか又はそれがネガティブであるか知ることができる。
【0072】
非限定的な一実施形態において、確認コマンドcd1に対応するコマンド信号msg1を受信すると、電子制御ユニット20は、前記ハッチ21を開く(
図4に示される関数f26(20,21,OPN))又は開かない(すなわち、開く又は閉じたままにする)ように更に構成される。したがって、それはそれを開くか、又はそれは何もしない。ハッチ21は、それが開いている状態stに変化するか(st=OPN)、又は、状態stのままであるか(閉じられたst=CLSD)である。
【0073】
したがって、与えられる非限定的な例において、識別部3のユーザuが彼女又は彼の腕いっぱいに買い物をした場合、ハッチ21は、
図3において破線の矢印で示されるように自動的ひとりでに開き、ユーザuはそれを彼女自身又は彼自身の手動で開く必要がない。したがって彼女又は彼は、彼女の又は彼の買い物を動力車両2に積み込むことができる。
【0074】
非限定的な一実施形態において、電子制御ユニット20が識別部3からいかなるコマンド信号msg1も受信しない場合、それは、確認コマンドcd1を、ネガティブの確認値を有するものとして定めるように、したがって対応するコマンド信号msg1もネガティブであるとして特徴付けるように、更に構成される(
図4に示される関数f27(20,cd1,0))。この場合、電子制御ユニットは、ハッチ21を閉じたままにする。具体的には、包括的ではない以下の場合に、電子制御ユニット20が識別部3から確認コマンドcd1に対応するコマンド信号msg1を受信しないことが可能である:
- ユーザuがハッチ21を開く意図を持っていない場合、
- 確認コマンドcd1が音声メッセージであり、後者が音声認識モジュール32によって正しくデコードされていない場合、
- 時間が経過して、ユーザuが音声メッセージを与えていなかったり、又は識別部3の専用アプリケーションにおけるボックスにチェックを入れていなかったり、又は識別部3の専用ボタンを押圧していなかったりする場合。
【0075】
非限定的な一実施形態において、電子制御ユニット20は、前記ハッチ21が予めロックされていた場合、それが開けられることを可能にするために、前記ハッチ21のロックを解除するように更に構成される(
図4に示される関数f28(20,21,d2,DLCK))。前記動力車両2の周囲のロック解除領域z2において識別部3が動力車両2から所定の距離d2に位置する場合にロック解除が生じ、ロック解除領域は
図2に示されている。非限定的な一実施形態において、所定距離d2は、Thatchamルール(Thatcham rules)に従って、動力車両2から約2メートルである。したがって、非限定的な一実施形態において、電子制御ユニット20は、ロック解除領域z2において識別部3を探すように更に構成される(
図4に示される関数f30(20,3,z2,IN))。ロック解除領域z2は、近傍領域z1よりも大きいか又は近傍領域z1と等しい。示された非限定的な例において、それは、より大きく、近傍領域z1を包含している。そのような位置特定プロセスは当該技術において知られているため、それはここでは説明されない。
【0076】
別の実施形態(図示せず)において、電子制御ユニット20は、受信したコマンド信号msg1(
図4に示す関数f29(20,40,msg1(cd1)))を、ハッチ21を開くこと/閉めること専用である
図1で参照した別の電子制御ユニット40に送信するように構成され、それが、コマンド信号msg1に応じて、特に音声メッセージ又は確認値に応じて、ハッチ21を開いたり或いは閉じたままにしたりする後者であるということに留意される。
【0077】
したがって、記載された検知システムSys1は、車両2のハッチ21を開くユーザの意図を検知するための方法PR1を実施することを可能にし、このシステムの非限定的な一実施形態は
図5及び
図6を参照して以下に説明される。示した非限定的な実施形態において、ハッチ21はトランクの蓋であり、それは最初にロックされる。更に、示した非限定的な実施形態において、検知方法PR1は、確認リクエストrq1が予め既に送信されているかをチェックすることを含む。更に、示した非限定的な実施形態において、確認コマンドcd1は、音声メッセージである。したがって、記録手段30は、マイクロフォンである。最後に、示した実施形態において、電子制御ユニット20は、確認コマンドcd1に応じてハッチ21を開くこと或いは開かないことも担当する。
【0078】
図5のF1(20,3,Auth)に示されるステップE1において、電子制御ユニット20は、非限定的な一実施形態において、BLE通信を介して識別部3を認証する。これにより、識別部3を動力車両2とペアリングすることが可能となる。BLEのケースでは、識別部3が動力車両2の周囲約50m以内に位置する場合にペアリングが生じる。
【0079】
図5のF2(20,3,z2,IN)に示されるステップE2において、電子制御ユニット31は、識別部3がトランクの蓋21の周囲のロック解除領域z2にあるかを判定する。識別部3がロック解除領域z2(ブランチY0)に位置する場合、
図5のF3(20,21,DLCK)に示されるステップE3において、電子制御ユニット20は、トランクの蓋21のロックを解除する。それ以外の場合(ブランチN0)、位置特定プロセスを継続する。それを解除するための意図の確認が不要であることに留意される。最終的にユーザuがトランクの蓋21を開けることを望まない場合でも、すなわち、確認コマンドcd1がその後ネガティブであっても、トランクの蓋21はロック解除されることに留意される。
【0080】
図5のF4(20,3,z1,IN)に示されるステップE4において、電子制御ユニット31は、識別部3がトランクの蓋21の周囲の近傍領域z1にあるかを判定する。識別部3が近傍領域z1に進入していないことを条件に、位置特定プロセスが繰り返される(示されるブランチN1)。非限定的な一例において、位置特定プロセスは96ms(ミリ秒)ごとに行われる。識別部3が近傍領域z1にある間、位置特定プロセスが依然として繰り返されることに留意される。これにより、それが前記近傍領域z1にあることを検証することが可能である。
【0081】
図5のF5(3,u,s2)に示されるステップE5において、識別部3は、警告信号s2をユーザuに送信し、それは彼女又は彼がトランクの蓋21の近傍領域z1に入ったことをそれに示すためである。
【0082】
ステップE6(
図5に示されるブランチY1)において、前記識別部3がトランクの蓋21の近傍領域z1に位置する場合、非限定的な一実施形態において、電子制御ユニット20は、それが近傍領域z1に入ったことをそれに示すための確認リクエストrq1を前記識別部3にまだ送っていないかをチェックする。
【0083】
それが既にそうしている場合、それはそれを再度送信せず、それはステップE9(示されるブランチY2)に進み、そうでない場合(ブランチN2)
図5のF7(20,3,rq1)に示されるステップE7において、電子制御ユニット20は、前記識別部3に確認リクエストrq1を送信する。
図5のF8(3,20,rq1)に示されるステップE8において、識別部3は、この確認リクエストrq1を予め受信していない場合、この確認リクエストrq1を受信する。
【0084】
ハッチを開ける意図の確認のための前記リクエストrq1を受信すると、
図5のステップE9において、識別部3は、そのメモリ31における、ハッチを開ける意図を確認するコマンドcd1の存在を検証し、コマンドがメモリ(示されるブランチY3)に保存されている場合、それを受信する(
図6のF11(20,3,msg1(cd1))に示されるステップE11)前記電子制御ユニット20に対応する確認信号msg1を送信する(
図6のF10(3,20,msg1(cd1))に示すステップE10)。
【0085】
前記コマンドが存在しない場合(示されるブランチN3)、すなわち予め記録された確認コマンドcd1がメモリに存在しない場合、
図6のF12(3,33,s1)に示されるステップE12において、識別部3は、ハッチを開く意図を記録するための前記手段30を介してハッチを開く意図を確認する前記コマンドcd1を開始するように、前記識別部3のユーザuにデータ信号s1を、そのインターフェース33を介して送信する。したがって、ユーザuは、彼女又は彼がそのような確認コマンドcd1を開始してもよいことを知らされ、彼女又は彼がトランクの蓋21が開くこと又は閉じられたままであることを望むことを示す。
図6のF13(3,30,ON)に示されるステップE13において、マイクロフォン30を採用する実施形態では、識別部3によって後者が作動される。確認コマンドcd1が存在しない場合にもマイクロフォン30がさらに作動され、それは、ユーザuがマイクロフォン又は専用アプリケーションを使用してトランクの蓋21を開ける彼女又は彼の意図を確認するか否かが不明であるため、すなわち確認コマンドcd1を開始するためにどの記録手段30を彼女又は彼が使用するかが不明であるためであることに留意される。ステップE9及びE10は、非限定的な一実施形態において並行して実行され、又は任意の順序で実行されることに留意されるであろう。
【0086】
記録手段30がマイクロフォンである非限定的な例において、トランクの蓋21を開くために、ユーザuはマイクロフォン30に向かって話し;したがって「開けごま」などの音声メッセージがマイクロフォン30を介して送信される。トランクの蓋21を閉じたままにするため、ユーザuはマイクロフォン30に向かって話し;したがって「開くなごま」などの音声メッセージがマイクロフォン30を介して送信される。
【0087】
確認コマンドcd1がユーザuによって開始された場合(
図6に示すブランチY4)、識別部3は、それを受信する(ステップE11)前記電子制御ユニット20に、対応するコマンド信号msg1を送信する(ステップE10)。したがって、電子制御ユニット20は、確認コマンドcd1を介して、トランクの蓋21を開くか否かのユーザuの意図を検知する。それを分析することで、それは、それがポジティブかマイナスかを見極めることができる。
【0088】
コマンド信号msg1を受信すると、それがポジティブ確認コマンドcd1に対応する場合(
図6に示されたブランチY5)、
図6のF14(20,21,OPN)に示されたステップE14において、電子制御ユニット20はトランクの蓋21を開ける。電子制御ユニットはそうすることができ、それは、トランクの蓋が前もってロック解除されたからである。したがって、トランクの蓋21は、ユーザuの介在なく、自動的に開かれる。それはオープン状態stであり:stは
図6に示すOPNで参照される。
【0089】
コマンド信号msg1を受信すると、それがネガティブ確認コマンドcd1に対応する場合(
図6に示したブランチN5)、電子制御ユニット20はトランクの蓋21を開けない。したがって、トランクの蓋21は閉じたままである。それはクローズ状態stのままであり:stは
図6に示すCLSDで参照される。
【0090】
(彼女又は彼がハッチ21を開く意図を持っていないために、或いは、非限定的な一例において音声メッセージが音声認識モジュール32によって正しく解読されないために、或いは、彼女又は彼が確認コマンドcd1を開始するのに時間がかかりすぎるために、そのマイクロフォンを介してかアプリケーションを介してかボタンを介してかにかかわらず)確認コマンドcd1がユーザuによって開始されない場合(
図6に示したブランチN4)、
図6のF14’(20,cd1,0)に示されたステップE14’において、電子制御ユニット20は、確認コマンドcd1がネガティブなものとして定め、すなわちユーザuがハッチ21を開ける意図を持っていないことを定める。したがって、対応するコマンド信号msg1もネガティブであるとみなされる。そして、確認値は0に設定される。この場合、電子制御ユニット20は、前記ハッチ21を、ここでは動力車両2のトランクの蓋又はテールゲートを、開けない。したがって、それは閉じた状態stのままである(
図6に示すst=CLSD)。
【0091】
別の非限定的な実施形態において、識別部3がキーである場合、マイクロフォンを作動させるステップE10はないことに留意される。確認コマンドcd1が予め記録されていない場合、電子制御ユニット20は、上述のようにユーザuがボタンを介して確認コマンドcd1を開始するのを待機する。
【0092】
もちろん、記載された発明は、上述した実施形態及び上述した分野に限定されるものではない。したがって、非限定的な一実施形態において、識別部3は、複数のマイクロフォン30を含む。
【0093】
したがって、記載された本発明は、特に以下の利点を有する:
- それは、ハッチ21が自動的に確実に開かれることを可能にし、ハッチ21を開くのにユーザuの手動介入は必要とされない、
- 車両2に設置されたマイクロフォンを介して送られる音声メッセージの形態をとる確認コマンドcd1の認識を統合しうるソリューションに関し、それは、そのようなマイクロフォンが車両2から取り外されることを可能にし、これは、検知システムSys1のコストが低減されるのを可能にし;例えばスマートフォンなどの識別器3は、すでに、統合された音声認識システム及び統合されたマイクロフォンを備えているため、コストがますます低減されることに留意され;更に、これは、マイクロフォンが車両2に統合されるソリューションとともに生じうるスプリアスノイズ(spurious noises)を伴う問題を低減することを可能にし、この場合、ユーザuは、前記マイクロフォンから非常に遠く、それは、非限定的な一実施形態では音声メッセージである確認コマンドcd1が、(例えばイヤフォンを介して又は直接マイクロフォンに口を近づけて)識別部3のマイクロフォンのすぐ近傍において予め記録され又は開始されることを可能にする発明のソリューションとは対照的であり、
- 確認コマンドcd1の事前記録又は開始は、識別部3を介して行われ、もはや車両2を介して行われないので、それは、ハッチ21を開けること又は開けないことのユーザの意図が確実に検知されることを可能にし、
- それは、車両2にキックセンサを装備する必要性を回避することを可能にし、そのようなセンサは、最小の動きに対して非常に敏感であり、猫が通過するなどのスプリアス動作を検知することができ、それは、トランクの蓋又はテールゲートなどのハッチ21を不要に開くことをもたらし;したがって、発明のソリューションのおかげで、車両2のコストは低減され、それはそのような動作センサを有していないためであり、
- それは、実装することがシンプルである。
【外国語明細書】