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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002109
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】配線器具
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20231228BHJP
   H01R 31/02 20060101ALI20231228BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R31/02 B
H01R13/46 301D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101110
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000208477
【氏名又は名称】大和電器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】奈良 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】井上 康弘
(72)【発明者】
【氏名】林田 文孝
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA16
5E021FB21
5E021FC36
5E021FC40
5E021HC35
5E021HC37
5E087EE10
5E087HH01
5E087MM08
5E087MM09
5E087QQ03
5E087RR41
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】本発明は、複数の電源プラグを抜去する際に誤って隣接する電源プラグを抜去すること防止することができる配線器具を提供することを目的とする。
【解決手段】電源プラグのプラグ刃を差し込むための差込口を備えた複数のプラグ受けを有する筐体と、各プラグ受けに対応して、筐体内に配置され、且つ、差込口から差し込まれたプラグ刃を係止する弾性部材と、一部が弾性部材と当接し、他の一部がテーパー状に形成され、且つ、筐体内を摺動自在に配置された摺動部材と、一部がテーパー部と当接し、他の一部が筐体表面に押下部として露出し、且つ、押下部を押下することによって摺動部材を摺動させて弾性部材とプラグ刃との係止を解除する解除部材と、を備え、2つのプラグ受けに対応する2つの押下部が筐体表面に近接して配置され、且つ、近接して配置された2つの押下部の位置が筐体の長手方向と直交する方向に互いにずらして配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源プラグが抜差可能に構成された配線器具であって、
電源プラグのプラグ刃を差し込むための差込口を備えた複数のプラグ受けを有する筐体と、
各プラグ受けに対応して、
前記筐体内に配置され、且つ、前記差込口から差し込まれたプラグ刃を係止する弾性部材と、
一部が前記弾性部材と当接し、他の一部がテーパー状に形成され、且つ、前記筐体内を摺動自在に配置された摺動部材と、
一部がテーパー部と当接し、他の一部が前記筐体表面に押下部として露出し、且つ、前記押下部を押下することによって前記摺動部材を摺動させて前記弾性部材とプラグ刃との係止を解除する解除部材と、を備え、
前記複数のプラグ受けの内の2つのプラグ受けに対応する2つの前記押下部が前記筐体表面に近接して配置され、且つ、近接して配置された2つの前記押下部の位置が前記筐体の長手方向と直交する方向に互いにずらして配置されている、
ことを特徴とする配線器具。
【請求項2】
2つの前記押下部に対応して設けられた2つの前記弾性部材は、2つの前記押下部を押下した時に、同一方向に摺動する、請求項1に記載の配線器具。
【請求項3】
2つの前記押下部は、互いに異なる色で着色されている、請求項1または2に記載の配線器具。
【請求項4】
2つの前記プラグ受けの近傍に配置され、2つの前記プラグ受けのそれぞれと対応し、前記プラグ受けの識別情報を表示する2つの表示部をさらに備え、
前記表示部は、互いに異なる色で着色されている、請求項1または2に記載の配線器具。
【請求項5】
2つの前記プラグ受けの近傍に配置され、2つの前記プラグ受けのそれぞれと対応し、前記プラグ受けの識別情報を表示する2つの表示部をさらに備え、
2つの前記表示部の色は、それぞれ対応する前記プラグ受けに対応する前記押下部の色と同色である、
請求項1または2に記載の配線器具。
【請求項6】
2つの前記押下部は、それぞれ所定の角度で傾斜した傾斜部を備え、2つの前記傾斜部の表面は法線方向が互いに異なる、請求項1または2に記載の配線器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線器具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電気機器に電力を供給するために、複数の電源プラグに接続するコンセントバーが利用されている。コンセントバーに電源プラグを接続した後、電源プラグが誤って引き抜かれないようにすることが好ましい。そのようなコンセントバーとして、コンセント部にロック機構が設けられ、ロック機構がオンされているときは、プラグを抜去することができないコンセントバーが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、ロック機構を備えたコンセントユニットとして、プラグ刃が適切に差し込まれた状態で電源プラグがロックされるコンセントユニットが知られている(例えば、特許文献2)。特許文献2に記載されたコンセントユニットは、コンセントユニットに差し込まれた電源プラグの引き抜きを規制する規制手段を有する点を特徴としている。
【0004】
しかしながら、特許文献1には、ロック機構の具体的な構成については開示されていない。また、特許文献2には、単体のコンセントユニットのみが開示され、コンセントを複数配置した場合の構成については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-100218号公報
【特許文献2】特開2017-204366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数の電源プラグから特定の電源プラグを抜去する際に誤って隣接する電源プラグを抜去することを防止可能な配線器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る配線器具は、複数の電源プラグが抜差可能に構成された配線器具であって、電源プラグのプラグ刃を差し込むための差込口を備えた複数のプラグ受けを有する筐体と、各プラグ受けに対応して、筐体内に配置され、且つ、差込口から差し込まれたプラグ刃を係止する弾性部材と、一部が弾性部材と当接し、他の一部がテーパー状に形成され、且つ、筐体内を摺動自在に配置された摺動部材と、一部がテーパー部と当接し、他の一部が筐体表面に押下部として露出し、且つ、押下部を押下することによって摺動部材を摺動させて弾性部材とプラグ刃との係止を解除する解除部材と、を備え、複数のプラグ受けのうちの2つのプラグ受けに対応する2つの押下部が筐体表面に近接して配置され、且つ、近接して配置された2つの押下部の位置が筐体の長手方向と直交する方向に互いにずらして配置されていることを特徴とする。
【0008】
本開示の一実施形態に係る配線器具において、2つの押下部に対応して設けられた2つの弾性部材は、2つの押下部を押下した時に、同一方向に摺動してよい。
【0009】
本開示の一実施形態に係る配線器具において、2つの押下部は、互いに異なる色で着色されていてよい。
【0010】
本開示の一実施形態に係る配線器具において、本開示の一実施形態に係る配線器具において、2つのプラグ受けの近傍に配置され、2つのプラグ受けのそれぞれと対応し、プラグ受けの識別情報を表示する2つの表示部をさらに備え、表示部は、互いに異なる色で着色されていてよい。
【0011】
本開示の一実施形態に係る配線器具において、2つのプラグ受けの近傍に配置され、2つのプラグ受けのそれぞれと対応し、プラグ受けの識別情報を表示する2つの表示部をさらに備え、2つの表示部の色は、それぞれ対応する前記プラグ受けに対応する押下部の色と同色であってよい。
【0012】
本開示の一実施形態に係る配線器具において、2つの押下部は、それぞれ所定の角度で傾斜した傾斜部を備え、2つの傾斜部の表面は法線方向が互いに異なってよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一実施形態に係る配線器具によれば、複数の電源プラグを抜去する際に誤って隣接する電源プラグを抜去することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態に係る配線器具の斜視図である。
図2】本開示の一実施形態に係る配線器具の斜視図であって、(a)は押下部を押下する前の状態を示した図であり、(b)は押下部を押下した後の状態を示した図である。
図3】本開示の一実施形態に係る配線器具を構成するプラグ受け、弾性部材、摺動部材、及び押下部の斜視断面図であって、(a)は電源プラグを差し込む前の状態を示した図であり、(b)は電源プラグを差し込んだ状態を示した図であり、(c)は押下部を押下して、電源プラグを抜き出した後の状態を示した図である。
図4】本開示の一実施形態に係る配線器具を構成する弾性部材及び摺動部材の上面図であって、上側の図はプラグ刃が弾性部材に当接している状態を示した図であり、下側の図は摺動部材が摺動し、プラグ刃が弾性部材から離間した状態を示した図である。
図5】本開示の一実施形態に係る配線器具の上面図である。
図6】本開示の一実施形態に係る配線器具を構成する、それぞれ隣接する2つのプラグ受け、弾性部材、摺動部材、及び押下部の断面図であって、(a)は押下部を押下する前の状態を示した図であり、(b)は押下部を押下した後の状態を示した図である。
図7】本開示の一実施形態の変形例に係る配線器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る配線器具について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
図1に、本開示の一実施形態に係る配線器具の斜視図を示す。本開示の一実施形態に係る配線器具100は、複数の電源プラグ(図示せず)が抜差可能に構成された配線器具である。配線器具100は、例えば、図1に示すような、サーバを構成する機器に電源を供給するために、ラックに設置するコンセントバーであってよい。ただし、このような例には限られず、建築物の壁面等に設置されたコンセント等であってよい。
【0017】
配線器具100は、電源プラグのプラグ刃を差し込むための差込口を備えた複数のプラグ受け(12a、12b)を有する筐体1を備える。図1には、筐体1に2つのプラグ受け(12a、12b)が8組配置された例を示しているが、このような例には限られず、2つのプラグ受け(12a、12b)の組数は任意に選択してよい。プラグ受け(12a、12b)は絶縁材料で構成されてよい。
【0018】
図2(a)及び(b)に、本開示の一実施形態に係る配線器具100の斜視図を示す。図2(a)は、図1の配線器具100をA-A線及びB-B線で切断した部分の拡大斜視図であり、押下部(42a、42b)を押下する前の状態を示している。図2(b)は、図1の配線器具100をC-C線及びD-D線で切断した部分の拡大斜視図であり、押下部(42a、42b)を押下した後の状態を示した図である。配線器具100は、差し込んだ電源プラグ200が容易に抜去されないようにロック機構を備え、電源プラグ200を抜去する際にロック機構を解除するための解除部材を構成する押下部(42a、42b)を有する。
【0019】
即ち、電源プラグ200を配線器具100のプラグ受け(12a、12b)に差し込むとロック機構が働き、電源プラグ200は容易に抜去できなくなる。そして、押下部(42a、42b)を押下するとロック機構が解除されて電源プラグ200を抜去することができる。
【0020】
なお、後述するように、押下部(42a、42b)を押下すると筐体1に内蔵された2つの摺動部材(図示せず)が摺動する。このとき、2つの摺動部材の摺動方向は、図2(b)に示すように、筐体1の長手方向の矢印D1及びD2で示す方向であり、両者は同じ方向に摺動するように構成され、両者が筐体1の内部で接触することはない。
【0021】
次に、本開示の一実施形態に係る配線器具100のロック機構の構成について説明する。図3(a)~(c)に、本開示の一実施形態に係る配線器具100を構成するプラグ受け12a、弾性部材2a、摺動部材3a、及び押下部42aの斜視断面図を示す。図3(a)は、電源プラグ200を差し込む前の状態の配線器具100の斜視断面図であり、図3(b)は、電源プラグ200を差し込んだ状態の配線器具100の斜視断面図であり、図3(c)は、押下部42aを押下して、電源プラグ200を抜き出した後の状態の配線器具100の斜視断面図である。また、図3(a)及び(b)は、図2(a)のE-E線で切断した配線器具100の斜視断面図であり、図3(c)は、図2(b)のF-F線で切断した配線器具100の斜視断面図である。図3(a)~(c)において、筐体1(図2(a)、(b)参照)の表面の位置をSとする。配線器具100は、弾性部材2aと、摺動部材3aと、解除部材4aとを有する。また、配線器具100のプラグ受け12aに差し込む電源プラグ200は、アース刃であるプラグ刃201と、一方の電極刃202と、カバー203と、電源ケーブル204とを有する。説明を分かりやすくするために、他の構成部材については図示を省略している。
【0022】
弾性部材2aは、各プラグ受け12aに対応して、筐体1内に配置され、且つ、差込口11aから差し込まれたプラグ刃201を係止する。弾性部材2aの本体部分は、筐体1内に保持され、一方の端部21aと他方の端部22aは、屈曲自在となっている。弾性部材2aは、ステンレス等の弾性を有する金属材料で構成してよい。図3(a)に示すように、弾性部材2aの端部21aは、差込口11a側に突出している。また、図3(b)に示すように、プラグ刃201を矢印D3の方向に向かって押し下げ、プラグ刃201を差込口11aに差し込むと、弾性部材2aの端部21aは、差込口11aに差し込まれたプラグ刃201と当接する。
【0023】
プラグ刃201と弾性部材2aの端部21aとが当接している状態において、プラグ刃201と端部21aとのなす角のうち、差込口11a側に形成される角度は鋭角であってよい。このような構成とすることにより、プラグ刃201を差込口11aに差し込む際には、プラグ刃201と弾性部材2aの端部21aとの間に生じる抵抗が小さく、プラグ刃201は差込口11aに容易に差し込むことができる。一方、プラグ刃201を差込口11aから抜去する際には、プラグ刃201と弾性部材2aの端部21aとの間に生じる抵抗が大きくなり、差し込まれたプラグ刃201を端部21aによって係止することができる。このようにして、差込口11aに差し込まれたプラグ刃201はロックされ、ロック機構を解除しない限り容易に抜去することができない状態とすることができる。
【0024】
弾性部材2aの他方の端部22aは、プラグ刃201と接し、アース電極の一部として機能してよい。また、端部22aは差込口11a側に向かって弧を描くように湾曲した構造を備え、湾曲した部分でプラグ刃201と当接してよい。このような構成とすることにより、弾性部材2aとプラグ刃201との接触抵抗を低減させることができる。
【0025】
摺動部材3aは、その一部31aが弾性部材2aと当接し、他の一部32aがテーパー状に形成され、且つ、筐体1内を摺動自在に配置されている。摺動部材3aは、略コの字状の形状を有し、鉛直方向に延在した第1部材33a及び第2部材34aと、水平方向に延在して筐体1上を摺動し、かつ、第1部材33a及び第2部材34aを連結する第3部材35aを含む。第1部材33a、第2部材34a及び第3部材35aは、剛性を有する金属等の材料により一体形成されてよい。また、摺動部材3aの他の一部(テーパー部)32aはテーパー状に形成されていることにより、後述する解除部材4aの押下により、摺動部材3aを摺動させることができる。
【0026】
解除部材4aは、その一部41aが摺動部材3aのテーパー部32aと当接し、他の一部が筐体1の表面Sに押下部42aとして露出し、且つ、押下部42aを押下することによって摺動部材3aを摺動させて弾性部材2aとプラグ刃201との係止を解除する。図3(c)に示すように、押下部42aを矢印D4で示した鉛直方向下側に押下すると、解除部材4aの一部41aがテーパー部32aに当接し、摺動部材3aは、矢印D1で示すように水平方向に摺動する。摺動部材3aの一部31aは弾性部材2aと当接し、摺動部材3aが弾性部材2aに向かって摺動することにより、弾性部材2aを変形させ、弾性部材2aとプラグ刃201との係止を解除し、弾性部材2aとプラグ刃201とを離間させることができる。その結果、電源プラグ200をプラグ受け12aにロックしていたロック機構が解除され、電源プラグ200を矢印D5で示すように鉛直方向上方に抜去することができる。
【0027】
なお、解除部材4aの内部にはバネ等の弾性体が内蔵されており、ユーザが押下部42aから手を離すと元の位置に戻るように構成されてよい。
【0028】
上述したロック機構の動作について、各構成部材の位置の変化に基づいて説明する。図4は、本開示の一実施形態に係る配線器具100を構成する弾性部材2a及び摺動部材3aの上面図であって、上側の図はプラグ刃201が弾性部材2aに当接している状態を示した図であり、下側の図は摺動部材3aが摺動し、プラグ刃201が弾性部材2aから離間した状態を示した図である。図4においては、説明を分かりやすくするために、弾性部材2a、摺動部材3a及びプラグ刃201以外の図示を省略している。また、摺動部材3aの第3部材35aが延在する方向をx軸方向とし、水平面上でx軸と直交する方向をy軸方向とする。
【0029】
図3(b)に示したように、差込口11aにプラグ刃201を差し込んだ状態では、図4の上側の図に示すように、弾性部材2aの一部21aは、摺動部材3aの一部31a及びプラグ刃201と当接している。このとき、弾性部材2aの一部21aのうち、プラグ刃201と当接している領域を第1領域211aとし、摺動部材3aの一部31aと当接している領域を第2領域212aとすると、第1領域211aと第2領域212aは互いに離間しており、摺動部材3aが摺動する場合に、摺動部材3aがプラグ刃201と接触することはない。
【0030】
また、弾性部材2aの一部21aのy軸方向の幅をW1とし、摺動部材3aの一部31aのy軸方向の幅をW2とし、プラグ刃201のy軸方向の幅をW3とすると、W1は、W2とW3との合計の幅よりも広い(W1>W2+W3)。
【0031】
プラグ刃201の両端のx軸上の位置をそれぞれx0、x1とすると、差込口11aにプラグ刃201を差し込んだ状態では、図4の上側の図に示すように、弾性部材2aの一部21aは、摺動部材3aの一部31a及びプラグ刃201とx1の位置で当接している。
【0032】
次に、図3(c)に示すように、押下部42aを押下すると、図4の下側の図に示すように、摺動部材3aのテーパー部32aが水平方向であって矢印D1で示す方向に移動し、テーパー部32aの端部はx4からx5の位置に移動する。このとき、摺動部材3aの一部31aも水平方向であって矢印D6で示す方向に移動し、弾性部材2aを湾曲させ、弾性部材2aの一部21aは、x1からx2の位置に移動する。
【0033】
なお、弾性部材2aの本体は筐体1にx3の位置に固定されている。このとき、プラグ刃201の一方の端部の位置はx1のままであるため、プラグ刃201と弾性部材2aとが離間し、ロック機構が解除される。以上のようにして、押下部42aを押下することにより、弾性部材2aの一部21aによるプラグ刃201の係止が解除され、電源プラグ200のロックが解除される。
【0034】
(隣接する2つの押下部の配置)
次に、配線器具100に配置された隣接する2つの押下部の配置について説明する。図5に、本開示の一実施形態に係る配線器具100の上面図を示す。図5に示すように、複数のプラグ受けのうちの2つのプラグ受け(12a、12b)に対応する2つの押下部(42a、42b)が筐体1の表面に近接して配置され、且つ、近接して配置された2つの押下部(42a、42b)の位置が筐体1の長手方向に延びる筐体1の中心線Lcと直交する方向に互いにずらして配置されている。
【0035】
具体的には、図5に示すように、一方の押下部42aの端部と他方の押下部42bの端部のそれぞれの位置は、2つのプラグ受け(12a、12b)の中心を通る直線Lcと平行な直線La及びLbで表され、2つの押下部(42a、42b)の位置が筐体1の長手方向Lcと直交する方向に直線LaとLbとの間の距離dだけ互いにずらして配置されている。このような構成とすることにより、2つの押下部(42a、42b)が互いに離れた位置に配置されているため、一方の押下部(例えば、42a)を押下する際に、他方の押下部(例えば、42b)を誤って押下してしまうことを防止することができる。
【0036】
(隣接する2つの摺動部材の動作)
次に、本開示の一実施形態に係る配線器具100を構成する、隣接する2つの摺動部材の動作について説明する。本開示の一実施形態に係る配線器具100において、2つの押下部(42a、42b)に対応して設けられた2つの摺動部材(3a、3b)は、2つの押下部(42a、42b)を押下した時に、同一方向に摺動してよい。図6(a)及び(b)に、本開示の一実施形態に係る配線器具100を構成する、それぞれ隣接する2つのプラグ受け(12a、12b)、弾性部材(2a、2b)、摺動部材(3a、3b)、及び押下部(42a、42b)の断面図を示す。図6(a)は、押下部(42a、42b)を押下する前の状態を示した断面図であり、図6(b)は、押下部(42a、42b)を押下した後の状態を示した断面図である。差込口11b、弾性部材2bの一部21b、及び、摺動部材3bの一部31bは、それぞれ、差込口11a、弾性部材2aの一部21a、及び、摺動部材3aの一部31aと同様の構成を有する。解除部材4bの一部41b及びテーパー部32bは、それぞれ、解除部材4aの一部41a及びテーパー部32aと同じ方向に傾斜している。図3を用いて説明したように、一方の押下部42aを矢印D4で示した鉛直方向下側に押下すると、一方の摺動部材3aは矢印D1で示すように水平方向に摺動する。ここで、押下部42aに隣接する他方の押下部42bを矢印D7で示した鉛直方向下側に押下すると、解除部材4bの一部41bがテーパー部32bに接し、他方の摺動部材3bは、矢印D2で示すように、矢印D1と同じ方向に摺動する。その結果、隣接する2つの押下部(42a、42b)がともに押下された場合であっても、隣接する2つの摺動部材(3a、3b)が接触することはない。
【0037】
(隣接する2つの押下部の着色)
次に、本開示の一実施形態に係る配線器具100を構成する、隣接する2つの押下部の着色について説明する。本開示の一実施形態に係る配線器具100において、2つの押下部(42a、42b)は、互いに異なる色で着色されてよい。図5に示すように、隣接する2つの押下部(42a、42b)のうち、一方の押下部42aを、例えば、白色で着色した場合、他方の押下部42bを、例えば、赤色で着色してよい。このような構成とすることにより、抜去しようとする電源プラグに対応した押下部の押し間違えを防止することができる。ただし、2つの押下部(42a、42b)をそれぞれ白色及び赤色に着色する場合には限られず、両者を識別可能な他の色に着色するようにしてよい。
【0038】
(表示部)
次に、本開示の一実施形態に係る配線器具100を構成する、隣接する2つのプラグ受けの近傍に配置された表示部について説明する。本開示の一実施形態に係る配線器具100は、2つのプラグ受け(12a、12b)の近傍に配置され、2つのプラグ受け(12a、12b)のそれぞれと対応し、プラグ受け(12a、12b)の識別情報を表示する2つの表示部(5a、5b)をさらに備え、表示部(5a、5b)は、互いに異なる色で着色されていてよい。また、本開示の一実施形態に係る配線器具100において、2つのプラグ受け(12a、12b)の近傍に配置され、2つのプラグ受け(12a、12b)のそれぞれと対応し、プラグ受け(12a、12b)の識別情報を表示する2つの表示部(5a、5b)をさらに備え、2つの表示部(5a、5b)の色は、それぞれ対応するプラグ受け(12a、12b)に対応する押下部(42a、42b)の色と同色であってよい。図5に示すように、表示部(5a、5b)は、それぞれ2つのプラグ受け(12a、12b)の近傍に配置され、2つのプラグ受け(12a、12b)の識別情報を表示する。例えば、一方のプラグ受け12aの近傍に配置された表示部5aは、プラグ受け12aの番号が「3」番であることを表示し、他方のプラグ受け12bの近傍に配置された表示部5bは、プラグ受け12bの番号が「4」番であることを表示してよい。ただし、このような例には限定されず、プラグ受けを識別するための識別情報は、アルファベットや他の文字等であってよい。なお、図5において、表示部(5a、5b)はプラグ受け(12a、12b)の左側に存在するが、表示部(5a、5b)の位置は一例であってこのような例には限定されない。例えば、表示部はプラグ受け(12a、12b)の周囲を囲うように存在してもよい。
【0039】
さらに、一方の表示部5aの色は、これに近い位置に配置された一方の押下部42aの色と同色としてよい。例えば、押下部42aの色を白色とした場合に、表示部5aの色を同色の白色としてよい。同様に、他方の表示部5bの色は、これに近い位置に配置された他方の押下部42bの色と同色としてよい。例えば、押下部42bの色を赤色とした場合に、表示部5bの色を同色の赤色としてよい。このような構成とすることにより、ユーザは、まず抜去する対象の電源プラグが差し込まれたプラグ受け12aの近傍に配置された表示部5aの色を認識し、これと同じ色に着色された押下部42aを正しく選択して押下することができる。ただし、押下部(42a、42b)及び表示部(5a、5b)をそれぞれ白色及び赤色に着色する例には限定されず、押下部(42a、42b)及び表示部(5a、5b)をそれぞれ識別可能な他の色に着色してよい。
【0040】
(押下部の構成)
本開示の一実施形態に係る配線器具100において、2つの押下部(42a、42b)には、それぞれ凹凸(421a、421b)が形成されてよい。図2(a)に示すように、凹凸として、例えば、筐体1の長手方向に沿って複数の溝を形成してよい。ただし、このような例には限定されず、押下部(42a、42b)の表面に微小な凹凸を形成して摩擦係数を高くしてもよい。押下部(42a、42b)に凹凸を形成することにより、抜去しようとする電源プラグに対応した押下部の押し間違えを防止することができる。
【0041】
(押下部の変形例)
次に、本開示の一実施形態に係る配線器具100の変形例について説明する。図7に、本開示の一実施形態の変形例に係る配線器具100の斜視図を示す。本開示の一実施形態に係る配線器具100において、2つの押下部(43a、43b)は、それぞれ所定の角度で傾斜した傾斜部(431a、431b)を備え、2つの傾斜部(431a、431b)の表面は法線方向が互いに異なってよい。図7は、図1に示した配線器具100のB-B線及びC-C線で切断した部分の拡大斜視図である。押下部43aに形成された傾斜部431aの表面の法線方向は、押下部43bに形成された傾斜部431bの表面の法線方向とは異なっていてよい。押下部(43a、43b)に傾斜部(431a、431b)を設けることにより、2つの押下部(43a、43b)の傾斜部(431a、431b)からユーザに届く反射光の光量を異ならせることができるため、外観の差異を協調することができ、抜去しようとする電源プラグに対応した押下部の押し間違えを防止することができる。なお、2つの傾斜部(431a、431b)のそれぞれの色を互いに異ならせるようにしてもよい。
【0042】
(プラグ刃とロック機構の位置関係)
上述した実施形態においては、電源プラグの3つのプラグ刃のうち、アース用のプラグ刃201に弾性部材2aを当接させてプラグ刃201を係止する例を示したが、このような例には限定されず、電極刃202を係止するようにしてもよい。アース用のプラグ刃201は電源プラグ200の中央に位置しているため、アース用のプラグ刃201を用いて係止及び解除を行うことにより、電源プラグのロック機構の動作を安定して実行することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 筐体
2a、2b 弾性部材
3a、3b 摺動部材
4a、4b 解除部材
5a、5b 表示部
11a、11b 差込口
12a、12b プラグ受け
42a、42b 押下部
100 配線器具
200 電源プラグ
201 プラグ刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7